JP5831734B2 - 慣性質量ダンパー - Google Patents
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Description
慣性質量ダンパーは小質量の回転錘によって桁違いに大きな慣性質量が得られるものであり、ダンパーに作用する相対加速度に比例した反力が得られる特徴を有していることから、上記各システムのように慣性質量ダンパーに対して付加バネを直列に接続することによって高振動数域での応答を低減したり、TMDのように共振特性を大幅に改善できるシステムを構築できることから、今後の普及が期待されている。
図6はその一例を示すもので、シリンダー1内に両方向に変位可能なピストン2を配設し、(a)に示すような皿バネ3を(b)に示すようにピストン2の両側にそれぞれ多数(図示例では8枚づつ)直列に重ねた2組の皿バネ群3Aとして収容した構成としたものである。
このようなバネ部材では、ピストン2に連結したロッド4とシリンダー1の一端に設けたクレビス5との間に生じる圧縮力に対しては、一方(図示例ではピストン2の右側)の皿バネ群3A全体をピストン2により一方向(図示例では右方)に押圧して弾性的に圧縮することで対応し、引張力に対しては他方(同、左側)の皿バネ群3A全体をピストン2により逆方向(同、左方)に押圧して弾性的に圧縮させることで対応することができる。
また、従来のように慣性質量ダンパーと付加バネとを接続する場合に比べて全体の所要長さを短縮し得てコンパクト化を実現できるし、対象構造物に対する設置作業も容易となり、製作コストを削減することも可能である。
本実施形態の慣性質量ダンパー10は、それ自体が従来一般の慣性質量ダンパーと同様に機能するダンパー本体20と、それに接続される付加バネとしてのバネ部材30を外装シリンダー11内に一体に組み込んだことを主眼とする。
ボールネジ軸21は、ほぼその中心位置に円板状の回転防止板24が固定され、その回転防止板24は外装シリンダー11に対してキー25により軸方向に変位可能かつ回転不能に支持されており、したがってボールネジ軸21自体が外装シリンダー11内において軸方向に変位可能かつ回転不能に支持されている。
ボールナット22は上記のボールネジ軸21に螺着されて外装シリンダー11内においてベアリング26により回転可能かつ軸方向に変位不能に保持されており、そのボールナット22に対して円筒状の回転錘23が一体に組み付けられている。
勿論、このダンパー本体20は、従来一般の慣性質量ダンパーと同様に、ボールネジのリードや回転錘23の質量・寸法・形状等を調整することで慣性質量を自由に設定することができるものである。
なお、回転錘23をボールナット22に対して適宜の摩擦材(図示せず)を介して相対回転可能に装着して過負荷時には回転錘23をボールナット21に対してスリップさせる構成とすれば、この慣性質量ダンパー10に過負荷防止機能を持たせることができる。
本実施形態のバネ部材30は、端部シリンダー要素31(以下では単に端部シリンダー31と略す)と、その端部シリンダー31に対して軸方向に相対変位可能に挿入されたロッド要素32(以下では単にロッド32と略す)と、ロッド32の先端部に組み付けられて端部シリンダー31内に収容されているバネ要素33により構成されている。
すなわち、本実施形態におけるバネ要素33は、皿バネ群40Aの両端側に押板41(41a、41b)がそれぞれ配設されていて、そのバネ要素33の全体に対してロッド32が軸方向に相対変位可能に挿通せしめられており、かつロッド32には各押板41の外側の位置にそれぞれストッパー42(42a、42b)としての加力ボルトが螺着されていて、それらストッパー42の間においてバネ要素33の全体がロッド32の軸方向両側に弾性的に伸縮可能かつその全体が弾性的に変位可能な状態で組み付けられている。
なお、押板41の外面には硬質ゴム等の緩衝材44が取り付けられていて、押板41とストッパー42および蓋体43とが接触した際に騒音が発生することが防止されるようになっている。
逆に、(c)に示すように端部シリンダー31が外装シリンダー11から引き抜かれるような引張力が作用した際には、ロッド32が端部シリンダー31から抜き出る方向に相対変位し、それにより他方のストッパー42aによって押板41aが端部シリンダー31内に引き込まれて皿バネ群40Aの全体が図示左方向に変位するとともに、押板41bが蓋体43bに対して押圧され、これによりバネ要素33全体が弾性的に圧縮される。
その場合、皿バネ40を同じ向きに重ねる並列配列とすれば耐力(荷重)を増大させることができ、逆向きに重ねる直列配列とすれば変形性能を増大させることができるから、バネ部材30全体として所定の荷重に必要な枚数を並列とし、所定の変形に必要な枚数を直列にすれば良い。
勿論、従来のように個別の慣性質量ダンパー6とバネ部材7とを接続する場合に比べて全体の所要長さを短縮し得てコンパクト化を実現できるし、対象構造物に対する設置作業も容易となり、安価な皿バネ40を用いることと相俟って製作コストを十分に削減することも可能である。
なお、図5に示す変形例では、上記の変更の他に、上記実施形態における回転防止板24とストッパー42bとを一体化し、端部シリンダー11の先端面と蓋体43aとを一体化している。
11 外装シリンダー
12 クレビス
20 ダンパー本体
21 ボールネジ軸
22 ボールナット
23 回転錘
24 回転防止板
25 キー
26 ベアリング
30 バネ部材(付加バネ)
31 端部シリンダー(端部シリンダー要素)
32 ロッド(ロッド要素)
33 バネ要素
34 キー
35 クレビス
40 皿バネ
40A 皿バネ群
41(41a、41b) 押板
42(42a、42b) ストッパー
43(43a、43b) 蓋体
44 緩衝材
50 ボルト(端部シリンダー要素)
51 ナット
Claims (3)
- 互いに離接する方向に相対振動する二部材間に介装されて該二部材間の相対振動を制御する慣性質量ダンパーであって、
前記二部材の一方に対して接続される外装シリンダー内に、ダンパー本体と付加バネとが直列に接続されて一体に組み込まれて、前記付加バネが前記二部材の他方に対して接続され、
前記ダンパー本体は、前記外装シリンダー内において軸方向に変位可能かつ回転不能に支持されたボールネジ軸と、該ボールネジ軸に螺着されて前記外装シリンダー内において回転可能かつ軸方向に変位不能に保持されたボールナットと、該ボールナットの回転により回転せしめられる回転錘とを有してなり、
前記付加バネは、前記外装シリンダーの軸方向に伸縮可能な状態で前記ボールネジ軸に対して連結されてなることを特徴とする慣性質量ダンパー。 - 請求項1記載の慣性質量ダンパーであって、
前記付加バネは、複数の皿バネが前記外装シリンダーの軸方向に積層された皿バネ群を有し、該皿バネ群の全体が前記外装シリンダーの軸方向に相対変位可能な状態で弾性的に伸縮可能に組み込まれたバネ部材からなることを特徴とする慣性質量ダンパー。 - 請求項2記載の慣性質量ダンパーであって、
前記付加バネとしてのバネ部材は、前記二部材の他方に対して接続される端部シリンダー要素と、該端部シリンダー要素に対して先端部が軸方向に相対変位可能に挿入されたロッド要素と、該ロッド要素の先端部に組み付けられて前記端部シリンダー要素内に収容された皿バネ群により構成されていて、前記ロッド要素の基端部に対して前記ダンパー本体のボールネジ軸が接続され、
複数枚の皿バネが直列および/または並列に重ねられてなる1組の前記皿バネ群の両端側にそれぞれ押板が配設され、
前記ロッド要素の先端部が前記皿バネ群の全体に対して軸方向に相対変位可能に挿通せしめられているとともに、該ロッド要素には前記各押板の外側の位置にそれぞれストッパーが設けられていて、該ストッパーの間において前記皿バネ群の全体が前記ロッド要素の軸方向両側に弾性的に変位可能な状態で組み付けられ、
前記各押板がそれぞれ前記端部シリンダー要素の両端部に設けられた蓋体の内側に配置され、かつ前記ロッド要素の前記端部シリンダー要素に対する軸方向相対変位により各押板が各蓋体の内面に対して押圧されて該ロッド要素の軸方向内側に変位可能な状態で、前記皿バネ群の全体が前記端部シリンダー要素内に収容されて保持されてなることを特徴とする慣性質量ダンパー。
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