JP2002173712A - 金属リングの熱処理方法 - Google Patents
金属リングの熱処理方法Info
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Abstract
形を低減できる金属リングの熱処理方法を提供する。 【解決手段】マルエージング鋼の薄板1の端部同士を溶
接して形成されたリング状のドラム2を所定幅に裁断し
て形成された金属リング4を圧延した後、圧延された金
属リング4に溶体化を施す。前記溶体化後、金属リング
4のマルテンサイト変態開始温度からマルテンサイト変
態完了温度までの冷却を3〜50℃/分の冷却速度で行
う。前記冷却を好ましくは5〜50℃/分、さらに好ま
しくは10〜50℃/分の冷却速度で行う。
Description
T)等のベルトに使用される金属リングの製造工程にお
ける熱処理方法に関するものである。
リングは、次のようにして製造される。まず、超極力鋼
であるマルエージング鋼の薄板の端部同士を溶接して円
筒状のドラムを形成し、該ドラムを所定幅に裁断して金
属リングを形成し、該金属リングを圧延する。次に、圧
延された金属リングに対し、圧延組織を再結晶させ、圧
延により変形された金属組織の形状を復元するために、
溶体化を行う。そして、前記溶体化後の金属リングを所
定の周長に補正し、時効及び窒化処理を施して硬度を向
上させた後、少しずつ周長の異なる複数の金属リングを
相互に積層して積層リングを形成する。
リングを前記マルエージング鋼の再結晶温度以上の温度
で加熱することにより行われる。このとき前記金属リン
グをフックに吊り下げた状態で加熱すると、該金属リン
グに自重によるクリープ変形が発生し、極端に細長い楕
円形状になり、後工程の周長補正が困難になる。そこ
で、前記溶体化では、前記クリープ変形を防止するため
に、前記金属リングの端面が前記加熱炉の床面または該
加熱炉内を移動するメッシュベルトに接触するようにし
て、該金属リングを平置きすることが行われている。
うに平置きすると、前記溶体化後に前記金属リングを冷
却する際に、前記金属リングの前記加熱炉の床面または
メッシュベルトに接触している側と反対側の端面が該金
属リングの内周側に倒れ込むように変形することがある
との不都合がある。前記変形は、後工程の周長補正で矯
正されるが、該変形が大きいと前記矯正が困難になる。
合を解消して、金属リングを平置きして溶体化するとき
に、該溶体化後の冷却処理において、該金属リングの変
形を低減し、後工程の周長補正で容易に矯正することが
できる範囲の変形とすることができる金属リングの熱処
理方法を提供することを目的とする。
めに、本発明の金属リングの熱処理方法は、マルエージ
ング鋼の薄板の端部同士を溶接して形成されたリング状
のドラムを所定幅に裁断して形成された金属リングを圧
延した後、圧延された金属リングを平置きして溶体化を
施す熱処理方法において、前記溶体化後、該金属リング
のマルテンサイト変態開始温度からマルテンサイト変態
完了温度までの冷却を3〜50℃/分の冷却速度で行う
ことを特徴とする。
マルテンサイト変態開始温度からマルテンサイト変態完
了温度までの冷却を前記範囲の冷却速度で行うことによ
り、該金属リングの変形を低減し、後工程の周長補正で
容易に矯正することができる範囲の変形にとどめること
ができる。
記金属リングの端面が内周側に倒れ込む変形量が大きく
なり、後工程の周長補正で矯正することが困難になる。
一方、前記冷却速度を3℃/分より遅くすると、長時間
の処理を必要とし、製造コストの増大が避けられない。
5〜50℃/分の冷却速度で行うことが好ましく、冷却
に要する時間を短縮するために10〜50℃/分の冷却
速度で行うことがさらに好ましい。
本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図
1は金属リングの製造工程の要部を模式的に示す工程
図、図2は溶体化方法を示す説明的断面図、図3は溶体
化後の冷却時間と金属リングの温度との関係を示すグラ
フ、図4は溶体化後の冷却処理における金属リングの変
形量の度数分布を示すグラフである。
ルトを製造する際には、まず、図1示のようにマルエー
ジング鋼の薄板1をベンディングしてループ化したの
ち、端部同士を溶接して円筒状のドラム2を形成する。
このとき、前記マルエージング鋼は溶接の熱により時効
硬化を示すので、ドラム2の溶接部分2aの両側に硬度
の高い部分が出現し、これにより溶接歪が発生する。
して所定温度に所定時間保持することにより第1の溶体
化処理を行い、前記溶接時の熱により部分的に硬くなっ
た硬度を均質化する。前記第1の溶体化処理が終了した
ならば、ドラム2を真空炉3から搬出し、所定幅に裁断
してリング4を形成する。
次に圧下率40〜50%で圧延された後、加熱炉5に収
容して所定温度に所定時間保持することにより第2の溶
体化を行い、圧延組織を再結晶させ、圧延により変形さ
れた金属組織の形状を復元する。
リング4を加熱炉5から冷却室6に移動し、冷却室6内
で冷却した後、搬出し、周長補正を行う。そして、前記
周長補正が施されたリング4は、次に、図示しない熱処
理装置に収容して時効処理及び窒化処理が施されたの
ち、少しずつ周長の異なる複数のリング4を相互に積層
することにより、前記金属ベルトが形成される。
体化に適用されるものである。前記第2の溶体化は、図
2示のリング保持部材11を用いて行う。リング保持部
材11は、リング4の内周側に挿入される円筒状部12
と、円筒状部12の下端部から外周方向に鍔状部13と
を備えている。
で鍔状部13に平置きされた状態でリング保持部材11
に載置され、加熱炉5に収容される。また、加熱炉5内
における前記溶体化処理終了後には、リング4はリング
保持部材11に載置されたまま、冷却室6に移動され、
冷却室6内で冷却される。尚、加熱炉5または冷却室6
では、円筒状部12を介して複数のリング保持部材11
を積層することにより、複数のリング4を一度に処理す
ることができる。
4は一方の端縁4aで鍔状部13に接触しているが、他
方の端縁4bは何ら接触するものが無いため、端縁4b
の方が冷却されやすい。このため、リング4は、前記冷
却により端縁4bが内周側に倒れ込み、図2に仮想線で
示すような変形を生じる。前記変形は、後工程の周長補
正の際に矯正されるが、前記矯正のためには図2にΔr
で示す前記変形量が1.5mm程度であることが好まし
く、Δrが3mmを超えると、前記矯正が困難になる。
記冷却室6での冷却の際に、マルエージング鋼のマルテ
ンサイト変態開始温度(450℃)からマルテンサイト
変態終了温度(300℃)までの冷却を3〜50℃/分
の冷却速度で行うことにより、金属リング4の変形量が
1.5mm程度になるようにするものである。
却室6にリング4を収容した後、該冷却室6に窒素ガス
を導入、充満させ、ガス導入停止後、回転数を調整して
ファンを回転させることにより得ることができる。ま
た、前記範囲の冷却速度を得るには、前記窒素ガス導入
停止後、回転数を調整してファンを回転させて前記マル
テンサイト変態開始温度より高い温度まで冷却し、その
後、ファンを停止させてマルテンサイト変態終了温度ま
で冷却してもよく、前記窒素ガス導入停止後、ファンを
回転させることなくマルテンサイト変態終了温度に達す
るまで放冷してもよい。さらに、冷却室6にリング4を
収容した後、該冷却室6に窒素ガスを導入することな
く、真空のままファンを回転させることなくマルテンサ
イト変態終了温度に達するまで放冷してもよい。
変態終了温度まで冷却されたならば、窒素ガスがすでに
導入されている場合にはファンを回転させ、真空の場合
には窒素ガスを導入、充満させ、ガス導入停止後、回転
数を調整してファンを回転させることにより、その後の
冷却時間を短縮することができる。
70〜800℃のリング4をリング保持部材11により
加熱炉5から真空の冷却室6に移動させた後、冷却室6
に純度99.9999%の窒素ガスを導入し、該窒素ガ
スが冷却室6に充満したならば、該窒素ガスの導入を停
止した。このとき、冷却室6内の気圧は86.7×10
3Paであった。
ァンを、リング4の温度がマルテンサイト変態開始温度
(450℃)になるまでは高速で回転させ、リング4の
温度がマルテンサイト変態開始温度に達したならば低速
で回転させて、リング4の温度が300℃になるまで冷
却した。そして、リング4の温度が300℃に達したな
らば、回転ファンの回転数を増大させて、リング4の温
度が室温になるまで冷却した。
(450℃)からマルテンサイト変態終了温度(300
℃)までの冷却速度は、49.7℃/分であった。リン
グ4の温度と冷却時間との関係を図3に示す。また、本
実施例で得られたリング4の変形量Δrの度数分布を図
4(a)に示す。
グ4は、変形量Δrが1.5mmを中心として狭い範囲
に分布していることが明らかである。
後、冷却室6の天井に備えられた回転ファンを終始高速
で回転させた以外は、実施例1と全く同一にしてリング
4の温度が室温になるまで冷却した。
度から前記マルテンサイト変態終了温度までの冷却速度
は、53.6℃/分であった。リング4の温度と冷却時
間との関係を図3に示す。また、本実施例で得られたリ
ング4の変形量Δrの度数分布を図4(b)に示す。
グ4は、変形量Δrが3.0mmを中心として広い範囲
に分布していることが明らかである。
後、ファンを、リング4の温度が前記マルテンサイト変
態開始温度より高温の500℃になるまでは高速で回転
させ、リング4の温度が500℃に達したならばファン
を停止させてリング4の温度が300℃になるまで冷却
した以外は、実施例1と全く同一にしてリング4の温度
が室温になるまで冷却した。
度から前記マルテンサイト変態終了温度までの冷却速度
は、13.6℃/分であった。リング4の温度と冷却時
間との関係を図3に示す。
は、図4(a)示の実施例1の場合と同様の度数分布を
示した。
後、ファンを回転させることなくリング4の温度が30
0℃になるまで冷却した以外は、実施例1と全く同一に
してリング4の温度が室温になるまで冷却した。
度から前記マルテンサイト変態終了温度までの冷却速度
は、9.1℃/分であった。リング4の温度と冷却時間
との関係を図3に示す。
は、図4(a)示の実施例1の場合と同様の度数分布を
示した。
70〜800℃のリング4をリング保持部材11により
加熱炉5から真空の冷却室6に移動させた後、冷却室6
を真空に保持したまま、ファンを回転させることなくリ
ング4の温度が300℃になるまで冷却した。
窒素ガスを導入し、該窒素ガスが冷却室6に充満したな
らば、該窒素ガスの導入を停止した。このとき、冷却室
6内の気圧は86.7×103Paであった。
ァンを高速で回転させ、リング4の温度が室温になるま
で冷却した。
度からマルテンサイト変態終了温度までの冷却速度は、
3.5℃/分であった。リング4の温度と冷却時間との
関係を図3に示す。
は、図4(a)示の実施例1の場合と同様の度数分布を
示した。
程図。
係を示すグラフ。
量の度数分布を示すグラフ。
ング。
Claims (3)
- 【請求項1】マルエージング鋼の薄板の端部同士を溶接
して形成されたリング状のドラムを所定幅に裁断して形
成された金属リングを圧延した後、圧延された金属リン
グを平置きして溶体化を施す熱処理方法において、 前記溶体化後、該金属リングのマルテンサイト変態開始
温度からマルテンサイト変態完了温度までの冷却を3〜
50℃/分の冷却速度で行うことを特徴とする金属リン
グの熱処理方法。 - 【請求項2】前記冷却を5〜50℃/分の冷却速度で行
うことを特徴とする請求項1記載の金属リングの熱処理
方法。 - 【請求項3】前記冷却を10〜50℃/分の冷却速度で
行うことを特徴とする請求項1記載の金属リングの熱処
理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000370597A JP3784641B2 (ja) | 2000-12-05 | 2000-12-05 | 金属リングの熱処理方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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---|---|
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Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6029446A (ja) * | 1983-07-28 | 1985-02-14 | Riken Seikou Kk | 精密プラスチツク金型部品用合金鋼 |
JPS6036646A (ja) * | 1983-08-06 | 1985-02-25 | Kunio Kusaka | 精密プラスチツク金型用鋼 |
JPH04165013A (ja) * | 1990-10-25 | 1992-06-10 | Kawasaki Steel Corp | 強度、靭性および延性に優れたマルエージング鋼の製造方法 |
JPH05148538A (ja) * | 1991-11-26 | 1993-06-15 | Daido Steel Co Ltd | 強化リングの製造方法 |
JPH10121130A (ja) * | 1996-10-09 | 1998-05-12 | Honda Motor Co Ltd | 無端金属リングの製造方法 |
-
2000
- 2000-12-05 JP JP2000370597A patent/JP3784641B2/ja not_active Expired - Fee Related
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