JP4252723B2 - 熱処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無段変速機(CVT)等のベルトに使用される金属リングの溶体化等の熱処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、無段変速機用ベルト等に用いられる積層リングは、次のようにして製造される。まず、超極力鋼であるマルエージング鋼の薄板の端部同士を溶接して円筒状のドラムを形成し、該ドラムを所定幅に裁断して金属リングを形成し、該金属リングを圧延する。次に、圧延された金属リングに対し、圧延組織を再結晶させ、圧延により変形された金属組織の形状を復元するために、溶体化を行う。そして、前記溶体化後の金属リングを所定の周長に補正し、時効及び窒化処理を施して硬度を向上させた後、少しずつ周長の異なる複数の金属リングを相互に積層して積層リングを形成する。
【0003】
前記溶体化は、一般に加熱炉中で前記金属リングを前記マルエージング鋼の再結晶温度以上の温度で加熱することにより行われる。このとき前記金属リングをフックに吊り下げた状態で加熱すると、該金属リングに自重によるクリープ変形が発生し、該金属リングが極端に細長い楕円形状になり、後工程の周長補正が困難になる。そこで、前記溶体化の際に、前記クリープ変形を防止するために、前記金属リングをその一方の端縁で前記加熱炉の床面または該加熱炉内を移動するメッシュベルトに平置きすることが考えられる。
【0004】
しかしながら、前記金属リングを前記のように平置きすると、前記溶体化後に前記金属リングを冷却する際に、前記金属リングの前記床面またはメッシュベルトに接触している側の端縁は冷却されにくく、冷却雰囲気に暴露されている反対側の端縁では冷却が速いため、該冷却雰囲気に暴露されている端縁がより大きく収縮し、該金属リングの内周側に倒れ込むように変形することがあるとの不都合がある。前記金属リングの一方の端縁が前記のように変形して両方の端縁の周長に差が生じると、後工程の周長補正において該金属リングの幅方向で加工量を均一にすることができず、さらに後工程の時効処理、窒化処理において前記周長の差が拡大する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる不都合を解消して、金属リングの両端縁の周長差を低減することができる熱処理方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の熱処理方法は、マルエージング鋼の薄板の端部同士を溶接して形成された円筒状のドラムを所定幅に裁断し圧延して形成された無段変速機用ベルトに用いる金属リングを一方の端縁で加熱炉内に平置きして溶体化温度に加熱後、冷却雰囲気に暴露する熱処理を行う方法であって、該金属リングの両端縁の周長を比較して、該周長が短い方の端縁で平置きすることを特徴とする。
【0007】
前記金属リングは、前工程の圧延処理により両端縁の周長に差が生じている。そこで、本発明の熱処理方法では、まず、前記金属リングの両端縁の周長を比較してどちら側の周長が短いかを把握する。前記周長の比較は、前記金属リングの両端縁の周長自体の長さを測定することによって行ってもよく、該金属リングの両端縁の直径を測定することにより行ってもよい。
【0008】
次に、どちら側の周長が短いかを把握したならば、該周長が短い方の端縁で前記金属リングを加熱炉内に平置きして溶体化温度に加熱後、冷却雰囲気に暴露する熱処理に供する。
【0009】
前記熱処理では、冷却の際に、接地している側の端縁よりも、冷却雰囲気に暴露されている反対側の端縁の方が冷却が速く、収縮量が大きくなる。そこで、前記金属リングを前記のように周長が短い方の端縁で平置きすることにより、前記周長が長い方の端縁の方が収縮量が大きくなり、該金属リングの両端縁における周長の差を低減することができる。
【0010】
本発明の熱処理方法は、前記金属リングの幅より大なる高さを備える円筒状部と、該円筒状部の下端部から外周側に延出される鍔状部とを備える金属リング保持部材を用い、該円筒状部を該金属リングの内周側に挿入し、該金属リングを前記周長が短い方の端縁で該鍔状部に平置きすると共に、該円筒状部を介して複数の金属リング保持部材を積層することを特徴とする。前記のように金属リングを平置きして熱処理を行うときには、加熱炉の床面積により収容できる金属リングの数が限定される。そこで、前記金属リング保持部材を用い、前記円筒状部を介して複数の金属リング保持部材を積層して熱処理を行うことにより、前記加熱炉の床面積に対して収容可能な金属リングの数を増加させることができ、該加熱炉の床面積を有効に利用することができる。
【0011】
このとき、前記鍔状部に接地されている側に対して反対側の端縁と、その上方に積層された他の保持部材の鍔状部との間隙が狭いと、前記端縁が他の保持部材の熱を受けて十分に収縮しないことがある。そこで、本発明の熱処理方法は、前記金属リングを前記周長が短い方の端縁で前記金属リング保持部材の前記鍔状部に平置きしたときに、該金属リングの前記周長が長い方の端縁と、該金属リング保持部材の前記円筒状部に積層された他の金属リング保持部材の鍔状部との間隙が1〜2mmの範囲にあることを特徴とする。
【0012】
前記間隙が1mm未満の場合には、他の金属リング保持部材の熱の影響により、前記周長の長い方の端縁が十分に収縮しないことがある。また、前記間隙が2mmを超えると、前記金属リング保持部材を多数積層したときに、全体の容積が嵩高くなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図1は金属リングの製造工程の要部を模式的に示す工程図、図2は本実施形態の熱処理方法を示す説明的断面図である。
【0014】
無段変速機等のベルトに用いられる金属ベルトを製造する際には、まず、図1示のようにマルエージング鋼の薄板1をベンディングしてループ化したのち、端部同士を溶接して円筒状のドラム2を形成する。このとき、前記マルエージング鋼は溶接の熱により時効硬化を示すので、ドラム2の溶接部分の両側に硬度の高い部分が出現し、これにより溶接歪が発生する。
【0015】
そこで、次に、ドラム2を真空炉3に収容して所定温度に所定時間保持することにより第1の溶体化処理を行い、前記溶接時の熱により部分的に硬くなった硬度を均質化する。前記第1の溶体化処理が終了したならば、ドラム2を真空炉3から搬出し、所定幅に裁断してリング4を形成する。
【0016】
前記のようにして形成されたリング4は、次に圧下率40〜50%で圧延された後、加熱炉5に収容して所定温度に所定時間保持することにより第2の溶体化を行い、圧延組織を再結晶させ、圧延により変形された金属組織の形状を復元する。
【0017】
前記第2の溶体化処理が終了したならば、リング4を加熱炉5から冷却室6に移動し、冷却室6内で冷却した後、搬出し、周長補正を行う。そして、前記周長補正が施されたリング4は、次に、図示しない熱処理装置に収容して時効処理及び窒化処理が施されたのち、少しずつ周長の異なる複数のリング4を相互に積層することにより、前記金属ベルトが形成される。
【0018】
本実施形態の熱処理方法は、前記第2の溶体化に適用されるものであり、図2示の金属リング保持部材11を用いて行う。金属リング保持部材11は、リング4の内周側に挿入される円筒状部12と、円筒状部12の下端部から外周方向に鍔状部13とを備えている。
【0019】
圧延後のリング4は、図2に示すように、端縁4aと端縁4bとで周長が異なっていることがある。そこで、本実施形態では、まず、リング4の端縁4a,4bの周長を比較して、どちらの周長が短いかを把握する。前記周長の比較は、周長自体を測定して比較してもよく、直径を測定して比較してもよい。
【0020】
そして、図2に示すように、リング4を周長が短い方の端縁4aで鍔状部13に平置きした状態で金属リング保持部材11に載置すると共に、リング4を載置した複数の金属リング保持部材11を円筒状部12を介して積層する。そして、複数の金属リング保持部材11が積層された状態で、加熱炉5に収容する。また、加熱炉5内における前記溶体化処理終了後には、リング4は金属リング保持部材11に載置されたまま、冷却室6に移動され、冷却室6内で冷却される。
【0021】
前記冷却室6内で冷却される際に、リング4は周長が短い方の端縁4aで鍔状部13に接触しているが、周長が長い方の端縁4bは何ら接触するものが無く、冷却室6内の雰囲気に暴露されているため、端縁4bの方が冷却されやすい。この結果、リング4は、周長が長い方の端縁4bの方が端縁4aよりも収縮量が大きく、図2に仮想線示するように変形して、端縁4a,4bの周長差が低減される。
【0022】
またこのとき、リング4の周長が長い方の端縁4bとその上に積層された金属リング保持部材11の鍔状部13との間隙Sは、少なくとも1mm以上とされていないと、端縁4bを十分に収縮させることができず、端縁4a,4bの周長差を低減させる効果が十分に得られない。一方、間隙Sが2mmを超えると、例えば、金属リング保持部材11を5〜6段に積層したときに、間隙Sの合計がリング4の幅を超え、一度に処理できるリング4の数が減少することになるので不利である。従って、前記間隙Sは、1〜2mmの範囲とすることが好ましい。
【0023】
尚、本実施形態では、金属リング保持部材11を用いてリング4の熱処理を行っているが、金属リング保持部材11を用いずにリング4を加熱炉5、冷却室6の床面または加熱炉5、冷却室6内を移動するメッシュベルトに直に平置きして熱処理を行うようにしてもよい。
【0024】
また、本実施形態では圧延処理後の第2の溶体化を例に説明しているが、本発明の熱処理方法は、溶接後の第1の溶体化、時効処理、窒化処理等、他の熱処理に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属リングの製造工程の要部を模式的に示す工程図。
【図2】本発明の熱処理方法の一実施形態を示す説明的断面図。
【符号の説明】
1…マルエージング鋼の薄板、 2…ドラム、 4…金属リング、 5…加熱炉、 6…冷却室、 11…金属リング保持部材、 12…円筒状部、 13…鍔状部。
Claims (3)
- マルエージング鋼の薄板の端部同士を溶接して形成された円筒状のドラムを所定幅に裁断し圧延して形成された無段変速機用ベルトに用いる金属リングを一方の端縁で加熱炉内に平置きして溶体化温度に加熱後、冷却雰囲気に暴露する熱処理を行う方法であって、
該金属リングの両端縁の周長を比較して、該周長が短い方の端縁で平置きすることを特徴とする熱処理方法。 - 前記金属リングの幅より大なる高さを備える円筒状部と、該円筒状部の下端部から外周側に延出される鍔状部とを備える金属リング保持部材を用い、該円筒状部を該金属リングの内周側に挿入し、該金属リングを前記周長が短い方の端縁で該鍔状部に平置きすると共に、該円筒状部を介して複数の金属リング保持部材を積層することを特徴とする請求項1記載の熱処理方法。
- 前記金属リングを前記周長が短い方の端縁で前記金属リング保持部材の前記鍔状部に平置きしたときに、該金属リングの前記周長が長い方の端縁と、該金属リング保持部材の前記円筒状部に積層された他の金属リング保持部材の鍔状部との間隙が1〜2mmの範囲にあることを特徴とする請求項2記載の熱処理方法。
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