JP2002171153A - 弾性表面波装置及びその製造方法 - Google Patents
弾性表面波装置及びその製造方法Info
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Abstract
極を有する弾性表面波装置において、通過帯域内におけ
る、特に群遅延時間特性上にあらわれる大きなリップル
を効果的に抑圧し得る、弾性表面波装置及びその製造方
法を提供する。 【解決手段】 圧電性基板2に、Alよりも大きな質量
の金属または大きな質量の合金からなる少なくとも1個
のインターデジタルトランスデューサ3,4が形成され
ており、該インターデジタルトランスデューサ3,4の
電極指の延びる方向における表面波の音速分布が276
ppm以内とされている、弾性表面波装置1。
Description
ルタとして用いられている弾性表面波装置及びその製造
方法に関し、より詳細には、大きな質量を有する電極を
用いて構成されているSHタイプの表面波を利用した弾
性表面波装置及びその製造方法に関する。
タとして幅広く用いられている。従来の弾性表面波装置
では、圧電基板上に、Alを主体とする電極材料により
インターデジタルトランスデューサー(IDT)や反射
器などの電極が形成されていた。
るタングステン(W)やタンタル(Ta)などを用いる
ことにより、SHタイプの弾性表面波を利用し得ること
が知られている。
や反射器を形成する際に、その膜厚や線幅にばらつきが
生じることは避けられない。そして大きな質量の電極材
料を用いた場合には、従来のAlを主体とする電極材料
に比べて、質量が大きいがゆえに、表面波の音速分布す
なわち周波数分布に大きなばらつきが見られた。その結
果、通過帯域内における群遅延時間特性上に、図10に
おいて矢印Aで示すような致命的な程大きなリップルが
生じていた。
の2IDT型の縦結合型共振子フィルタの減衰量周波数
特性及び群遅延時間特性を示す図である。この縦結合共
振子型弾性表面波フィルタでは、圧電基板として水晶
(37°回転Y板)が用いられており、TaによりID
T及び反射器が構成されている。
を解消し、Taのような質量の大きな電極材料を用いて
SHタイプの弾性表面波の利用を可能とした弾性表面波
装置において、電極指の延びる方向における音速分布す
なわち周波数分布を抑制することができ、それによって
通過帯域内におけるリップルを抑圧することが可能とさ
れている、弾性表面波装置及びその製造方法を提供する
ことにある。
圧電性基板と、前記圧電性基板に形成されており、かつ
Alよりも重い金属又はAlよりも重い合金からなり、
互いに平行に延びる複数本の電極指を有する少なくとも
1つのIDTとを備え、前記IDTの前記電極指が延び
る方向における表面波の音速分布が276ppm以内と
されていることを特徴とする弾性表面波装置が提供され
る。
に設けられており、複数本の電極指を有する反射器がさ
らに備えられ、該反射器の電極指の延びる方向の表面波
の音速分布が、276ppm以内とされている。
Tとして、表面波伝般方向に並設された第1,第2のI
DTを有し、前記反射器が、第1,第2のIDTが設け
られている領域の表面波伝般方向両側に配置されてお
り、それによって縦結合型共振子フィルタが構成されて
いる。
る弾性表面波は特に限定されるわけではないが、ラブ波
などのSHタイプの表面波を利用することができる。本
発明に係る弾性表面波装置のさらに別の局面では、ID
Tの形成により生じる前記圧電性基板面内における音速
分布の傾斜方向に対して、前記IDTの電極指の延びる
方向が略直交するように配置される。
ある広い局面によれば、圧電性基板と、前記圧電性基板
に形成されており、かつAlよりも重い金属又はAlよ
りも重い合金からなり、互いに平行に延びる複数本の電
極指を有する少なくとも1つのインターデジタルトラン
スデューサとを備え、前記インターデジタルトランスデ
ューサの前記電極指が延びる方向における表面波の音速
分布が276ppm以内とされている弾性表面波装置の
製造方法であって、複数の弾性表面波装置が構成されて
いるウエハーを用意する工程と、前記ウエハーの各弾性
表面波装置における電極指の延びる方向における音速分
布を測定する工程と、前記音速分布が276ppm以内
の弾性表面波装置を前記ウエハーから切り出すことを特
徴とする、弾性表面波装置の製造方法が提供される。
面によれば、圧電性基板と、前記圧電性基板に形成され
ており、かつAlよりも重い金属又はAlよりも重い合
金からなり、互いに平行に延びる複数本の電極指を有す
る少なくとも1つのインターデジタルトランスデューサ
とを備え、前記インターデジタルトランスデューサの前
記電極指が延びる方向における表面波の音速分布が27
6ppm以内とされている弾性表面波装置の製造方法で
あって、圧電性基板上に前記インターデジタルトランス
デューサーを構成するため金属膜を成膜する工程と、前
記金属膜をフォトリソグラフィーによりパターニングす
る工程とを備え、前記金属膜成膜後における電極指の延
びる方向に設定されている方向における膜厚分布と、前
記パターニング後の電極指の延びる方向における膜厚分
布とが相殺されるように、前記金属膜の成膜及びパター
ニングを行なうことを特徴とする、弾性表面波装置の製
造方法が提供される。
の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明ら
かにする。
波装置の模式的平面図である。この弾性表面波装置は、
2個のIDTを有する縦結合共振子型弾性表面波フィル
タである。
形板状の圧電性基板2を有する。圧電性基板2は、本実
施例では、水晶基板により構成されている。もっとも、
圧電性基板2は、LiTaO3(LT)などの他の圧電
単結晶、あるいは圧電セラミックスにより構成されても
よい。
配置れさている。IDT3,4は、それぞれ、1対のく
し歯電極3a,3b及び4a,4bを有する。各くし歯
電極3a〜4bは、それぞれ、複数本の電極指3a1,
3b1,4a1,4b1を有する。複数本の電極指3a1,
3b1,4a1,4b1は互いに平行に延ばされている。
あり、IDT4から出力が取り出される。IDT3に入
力電圧が引加されると表面波が励振されるが、この表面
波は、上記電極指3a1,3b1,4a1,4b1と直交す
る方向に伝搬する。
波伝搬方向両側には、反射器5,6が配置されている。
反射器5,6は、グレーティング型反射器であり、複数
本の電極指5a,6aを有する。複数本の電極指5a,
6aは、それぞれ、両端が短絡されている。
実施例では、Taにより形成されている。すなわち、A
lに比べて大きな質量の金属により構成されている。も
っとも、IDT3,4及び反射器5,6などの電極は、
Alよりも質量の大きな金属材料であれば特に限定され
ず、上記Ta以外のAu,W,Mo,Ni,Cu,C
o,Cr,Zn,Fe,Mnなどの金属またはこれらの
金属を含む合金であって、Alよりも大きな質量を有す
るものを適宜用いることができる。
1の左に示すように圧電性基板2の上面にX−Y座標系
を想定すると、Y軸方向は電極指3a1,3b1,4
a1,4b1,5a,6aの延びる方向となる。
されると、SH波が励振され、このSH波に基づく出力
が出力側のIDT4から取り出される。本実施例の特徴
は、上記SH波のY軸方向における音速分布が、276
ppm以内とされていることにあり、それによって通過
帯域内における、特に群遅延時間特性において顕著に表
れる大きなリップルを抑制することができる。これを以
下においてより詳細に説明する。
の金属材料により電極を構成した場合、ラブ波などのS
Hタイプの表面波を利用することができる。しかしなが
ら、その大きな質量がゆえに、電極膜厚や電極の線幅が
ばらつき、大きなリップルが生じがちであった。
て詳細に検討した結果、IDT3,4及び反射器5,6
の電極指の延びる方向に一定以上の音速分布が生じる
と、大きなリップルが生じることを見出した。
波長が一定の場合には、音速の変動量と周波数の変動量
とは全く等価の関係となる。すなわち、音速分布=周波
数分布となる。また、以下においては、受信周波数が2
25MHzの上記縦結合共振子型弾性表面波フィルタに
ついて具体的に検討した。
な場合の特性を、等価回路法によりシミュレーションし
た。図2は、その結果を示し、減衰量周波数特性及び群
遅延時間特性を示す。
ける群遅延時間特性は、非常に滑らかであり、大きなリ
ップルは存在しない。上記シミュレーション結果をもと
に、電極指の延びる方向、すなわち交差幅方向に表面波
の音速分布が生じた場合、上記特性がどのように変化す
るかを検討した。なお、群遅延時間特性上のリップルの
許容範囲は、良好な特性を有する弾性表面波装置を得る
ために必要とされる、通過帯域内の群遅延時間の偏差=
(群遅延時間最大値−群遅延時間最小値)の10パーセ
ントを上限値とした。
極指の延びる方向(Y軸方向)において、n個の領域に
分割し、各領域に対し、図3の右側に示すように、階段
状に音速分布が生じると仮定した。図3の右側において
示されている音速分布では、音速Vで示す方向が交差幅
方向、即ち電極指の延びる方向への表面波の音速の大き
さを示しており、隣り合う領域の音速差の総和は、ΔV
となる。
も音速の大きな領域と最も小さな領域との音速差でもあ
るΔVを0から徐々に大きく変化させ、群遅延時間特性
をシミュレーションにより評価した。
図4ではΔV=44ppm(225MHzにおいて10
kHz)、図5ではΔV=66ppm(225MHzに
おいて15kHz)、図6ではΔV=88ppm(22
5MHzにおいて20kHz)、及び図7ではΔV=1
11ppm(225MHzにおいて25kHz)であ
る。
すなわち音速差ΔVが大きくなるにつれて、通過帯域内
における群遅延時間特性に大きなリップルが生じること
がわかる。
ち電極指の延びる方向に表面波伝搬領域を2分割した場
合、群遅延時間特性上に表れるリップルの大きさが上述
した偏差の10パーセントとなる音速差ΔVの最大値は
約88ppm(20kHz)であることがわかる。
し、上記群遅延時間特性上に表れるリップルの大きさ
が、偏差の10パーセントとなる最大の音速差ΔVを計
算した。結果を図8に示す。
し、縦軸は、リップルが許容範囲である場合の音速差Δ
Vの最大値ΔVmaxを示す。図8から明らかなよう
に、上記偏差の10パーセントの範囲にある場合の最大
音速差ΔVmaxと、nの逆数とが逆比例の関係にある
ことがわかる。
大まで外挿した場合、最大音速差ΔVmaxは276と
なることがわかる。従って、図8の結果から、IDT
3,4及び反射器5,6の電極指の延びる方向における
表面波の音速分布を約276ppm以下とすれば、通過
帯域内における群遅延時間特性上にあらわれる大きなリ
ップルを効果的に抑圧し得ることがわかる。
おいて、マザーの圧電性基板上に、IDT3,4 反射
器5,6をマトリックス状に形成したのち、マザーの圧
電性基板面内における周波数分布を測定し、電極指の延
びる方向における表面波の音速分布が約276ppm以
内である弾性表面波装置部分を取り出し、その特性を測
定した。結果を図9に示す。
得られた弾性表面波装置1では、通過帯域内において、
群遅延時間特性上に大きなリップルが表れていないこと
がわかる。
板上において、電極指の延びる方向における表面波の音
速分布はプロービングによる周波数の測定により得た。
マザーの圧電基板上において、多数の弾性表面波装置を
構成後に、電極指の延びる方向における各弾性表面波装
置の音速分布を測定し、該音速分布が276ppm以内
の弾性表面波装置をウエハーから切り出す方法を用いた
が、この方法に代えて、マザーの圧電性基板全体にわた
り表面波の音速分布を低減してもよい。あるいは、弾性
表面波装置の製造に際し、圧電性基板上にIDTを構成
するための金属膜を成膜し、しかる後フォトリソグラフ
ィーによりパターニングするにあたり、上記成膜後のI
DTの電極指の延びる方向における膜厚分布と、フォト
リソグラフィーによるパターニングによる電極指の延び
る方向における膜厚分布とが相殺されるように上記成膜
工程及びパターニング工程を実施してもよい。
結合型の共振子フィルタにつき説明したが、本発明は、
縦結合型の共振子フィルタだけでなく、横結合型共振子
フィルタ、1個のIDTのみを有する弾性表面波共振
子、複数のIDTを有する様々な弾性表面波フィルタ、
例えばラダー型フィルタ、ラチス型フィルタなどにも適
用することができる。
Hタイプの表面波を用いることができ、さらにSHタイ
プの表面波以外の表面波を用いた弾性表面波装置にも適
用することができる。
性基板上にAlよりも大きな質量の金属または合金によ
り少なくとも1つのIDTが形成されている。従って、
電極の大きな質量により、通過帯域内において大きなリ
ップルが生じがちであるが、IDTの電極指の延びる方
向の音速分布が276ppm以内とされているので上記
リップルが効果的に抑圧される。従って、通過帯域内に
おけるリップルが低減された、良好な周波数特性を有す
る弾性表面波装置を提供することができる。
方向における表面波の音速分布が276ppm以内とさ
れている場合には、反射器付きの弾性表面波装置におい
て、同様に通過帯域内におけるリップルを効果的に抑圧
することができる。
共振子フィルタだけでなく、他の様々な弾性表面波装置
に適用することができ、本発明に従って、通過帯域内リ
ップルの少ない縦結合型共振子フィルタなどを提供する
ことができる。
波装置では、Alよりも質量の大きな金属または合金に
より電極を形成されることが多く、このような表面波装
置では、電極の大きな質量により上記リップルが発生し
易いが、本発明により、上記リップルを効果的に抑圧す
ることができる。従って、周波数特性が良好である、ラ
ブ波などのSHタイプの表面波を利用した弾性表面波装
置を提供することが可能となる。
る圧電性基板面内の音速分布の傾斜方向に対し、IDT
の電極指の延びる方向が略直交するように構成すると、
容易にIDTの電極指の延びる方向の音速分布を276
ppm以内にすることができる。
的平面図。
いて、IDT及び反射器の電極指の延びる方向において
表面波の音速分布が存在しないと仮定した場合の周波数
特性を示す。
デルを説明するための模式的平面図。
表面波装置の周波数特性を示す図。
表面波装置の周波数特性を示す図。
表面波装置の周波数特性を示す図。
性表面波装置の周波数特性を示す図。
合の最大音速差ΔVmaxとの関係を示す図。
性を示す図。
図。
Claims (7)
- 【請求項1】 圧電性基板と、 前記圧電性基板に形成されており、かつAlよりも重い
金属又はAlよりも重い合金からなり、互いに平行に延
びる複数本の電極指を有する少なくとも1つのインター
デジタルトランスデューサとを備え、 前記インターデジタルトランスデューサの前記電極指が
延びる方向における表面波の音速分布が276ppm以
内とされていることを特徴とする、弾性表面波装置。 - 【請求項2】 前記圧電性基板に形成されており、複数
本の電極指を有する反射器をさらに備え、該反射器の電
極指の延びる方向における表面波の音速分布が276p
pm以内とされている、請求項1に記載の弾性表面波装
置。 - 【請求項3】 前記インターデジタルトランスデューサ
として、表面波伝般方向に並設された第1,第2のイン
ターデジタルトランスデューサを有し、前記反射器が、
第1,第2のインターデジタルトランスデューサが設け
られている領域の表面波伝般方向両側に配置されてお
り、それによって縦結合型共振子フィルタが構成されて
いる請求項2に記載の弾性表面波装置。 - 【請求項4】 前記表面波としてSHタイプの表面波が
用いられている、請求項1〜3のいずれかに記載の弾性
表面波装置。 - 【請求項5】 インターデジタルトランスデューサの形
成後の音速分布の傾斜方向に対して、前記インターデジ
タルトランスデューサの電極指の延びる方向が略直交す
るように配置されていることを特徴とする、請求項1〜
4のいずれかに記載の弾性表面波装置。 - 【請求項6】 圧電性基板と、 前記圧電性基板に形成されており、かつAlよりも重い
金属又はAlよりも重い合金からなり、互いに平行に延
びる複数本の電極指を有する少なくとも1つのインター
デジタルトランスデューサとを備え、 前記インターデジタルトランスデューサの前記電極指が
延びる方向における表面波の音速分布が276ppm以
内とされている弾性表面波装置の製造方法であって、 複数の弾性表面波装置が構成されているウエハーを用意
する工程と、 前記ウエハーの各弾性表面波装置における電極指の延び
る方向における音速分布を測定する工程と、 前記音速分布が276ppm以内の弾性表面波装置を前
記ウエハーから切り出すことを特徴とする、弾性表面波
装置の製造方法。 - 【請求項7】 圧電性基板と、 前記圧電性基板に形成されており、かつAlよりも重い
金属又はAlよりも重い合金からなり、互いに平行に延
びる複数本の電極指を有する少なくとも1つのインター
デジタルトランスデューサとを備え、 前記インターデジタルトランスデューサの前記電極指が
延びる方向における表面波の音速分布が276ppm以
内とされている弾性表面波装置の製造方法であって、 圧電性基板上に前記インターデジタルトランスデューサ
ーを構成するため金属膜を成膜する工程と、 前記金属膜をフォトリソグラフィーによりパターニング
する工程とを備え、前記金属膜成膜後における電極指の
延びる方向における膜厚分布と、前記パターニング後の
電極指の延びる方向に設定されている方向における膜厚
分布とが相殺されるように、前記金属膜の成膜及びパタ
ーニングを行なうことを特徴とする、弾性表面波装置の
製造方法。
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