JP2003218665A5 - - Google Patents
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【書類名】明細書
【発明の名称】弾性表面波フィルタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極指を有する一対の櫛歯状電極を互いに噛み合うように配置した入力用交叉指電極及び出力用交叉指電極を圧電基板上に形成してなる弾性表面波フィルタにおいて、
前記入力用交叉指電極及び出力用交叉指電極は、櫛歯状電極の隣接する電極指間にダミー電極指を有しているとともに、該ダミー電極指の電極指幅を他のダミー電極指の電極指幅と相違せしめたことを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電基板上に交叉指電極を形成した弾性表面波装置に関し、特に入力用交叉指電極と出力用交叉指電極を用いた共振子型弾性表面波フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の共振子型の弾性表面波フィルタにおいては、例えば、図4のような電極構造となっている。即ち、圧電基板10の表面に、入力用交叉指電極20と出力用交叉指電極30と、入出力用交叉指電極20,30の弾性表面波のエネルギーを閉じこめるグレーティング反射器40,50とがそれぞれ弾性表面波伝播方向に向けて配設されてなる。
入力用交叉指電極20は櫛歯状の入力用電極21と櫛歯状のグランド電極22を有している。
入力用電極21は共通電極2−1と複数の電極指21a、各隣接しあう電極指21a間に形成されたダミー電極指21bとから成る。また、グランド電極22は共通電極2−2と複数の電極指22a、各隣接しあう電極指22a間に形成されたダミー電極指22bとから成る。この電極指21a,22a、ダミー電極指21b,22bは弾性表面波の伝搬方向に対して垂直に形成されている。
【0003】
一方、出力用交叉指電極30は櫛歯状の出力用電極31と櫛歯状のグランド電極32を有している。
出力用電極31は共通電極3−1と複数の電極指31a、各隣接しあう電極指31a間に形成されたダミー電極指31bとから成る。また、グランド電極32は共通電極3−2と複数の電極指32a、各隣接しあう電極指32a間に形成されたダミー電極指32bとから成る。この電極指31a、32a、ダミー電極指31b、32bはそれぞれ弾性表面波の伝搬方向に対して垂直に形成されている。
【0004】
ダミー電極指21b、22b、31b、32bは弾性表面波の伝播速度を均一にするために配設している。即ち、ダミー電極指21b、22b、31b、32bを設けない場合には、入出力用電極指21a、31a及びグランド用電極指22a、32aの交叉部と非交叉部で伝播速度が異なり弾性表面波の伝播する位相差が交叉部と非交叉部で生じるためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の弾性表面波フィルタにおいては、図5に示すように弾性表面波の伝播方向に対し垂直方向に1次の横振動モードのみならず2次以上の高次横振動モードの振動エネルギーが閉じ込められており、基本モードが主応答のモードとなるのに対し2次以上はスプリアスとなる。この高次横振動モードの偶数次の振動モードにおける電荷は、入出力用交叉指電極20,30内で相殺されるが、奇数次の振動モードによる電荷は相殺されることがなく、フィルタ特性にスプリアスとして現れるという問題があった。
【0006】
この高次横モードスプリアスを抑圧するために、入出力交叉指電極の交叉長および開口長を小さくする方法や、COS型等の重み付けを施す方法があるが、これらの方法では挿入損失が悪化し、所望の特性を得るのが困難となる。特開平8-22989号公報に開示の手法では、2重モードフィルタの帯域を形成する縦方向のモードの閉じ込めが十分にできないことが多く、挿入損失が悪化する。特開平9-260996号公報に開示の手法を用いても、より高次の横モードに対しての効果が少ない。
【0007】
本発明は上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、高次横振動モードによるスプリアスを抑圧でき、且つ通過帯域の挿入損失の低下を防止した弾性表面波フィルタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため本発明の弾性表面波フィルタは、複数の電極指を有する一対の櫛歯状電極を互いに噛み合うように配置した入力用交叉指電極及び出力用交叉指電極を圧電基板上に形成してなるものにおいて、前記入力用交叉指電極及び出力用交叉指電極は、櫛歯状電極の隣接する電極指間にダミー電極指を有しているとともに、該ダミー電極指の電極指幅を他のダミー電極指の電極指幅と相違せしめたことを特徴とするものである。
【作用】
上述した高次横振動モードスプリアスは、両側の共通電極間で弾性表面波が多重反射して定在波が生じることによって発生し、定在波の形状によってスプリアスの周波数が変化する。例えば、図3に於いて3次横振動モードスプリアスcは基本モードより高周波側に発生し、5次横振動モードスプリアスdは更に高周波側に発生している。しかし、このスプリアスレベルを抑制するのに、従来から、同じ3次横振動モードスプリアスでも、開口長(交叉指電極における両側の共通電極間の間隔)、交叉指電極の交叉長を変化させることにより、高次横モードの定在波の波形を変化させ、これに伴ってスプリアスの周波数を変化させて行われていた。
【0009】
これに対し、本発明では、基本モードの励振に関与する交叉部に関係のないダミー電極に着目し、少なくともダミー電極指の内の1つは、その電極指幅が、他のダミー電極指の電極指幅と相違するようにしたことで、伝搬する高次横振動モードの定在波の波形を変化させ、高次横振動モードスプリアスの周波数を分散することができるので、挿入損失の増大を抑えながらスプリアスレベルを抑制することができるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態における共振子型の弾性表面波フィルタを説明する平面図である。図1において弾性表面波フィルタAは、圧電基板1の主面に、入力用交叉指電極2及び出力用交叉指電極3が、また、入出力用交叉指電極2,3の両側にはグレーティング反射器4,5が弾性表面波の伝播方向に配設されている。
圧電基板1は水晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、四ホウ酸リチウム、さらに、所定伝播方向となるように分極処理されたPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、PZ(ジルコン酸鉛)等から成り、所定カット角,所定伝播方向となるように切断処理されている。
【0011】
入力用交叉指電極2は、櫛歯状の入力用電極23と櫛歯状のグランド電極24とが互いに噛み合うように配置されている。入力電極23は、共通電極23aに複数の入力用電極指2aが並列して弾性表面波伝播方向に対して略垂直に形成され、この各入力用電極指2a間に振動に寄与しない入力用のダミー電極指2bが弾性表面波伝播方向に対して略垂直に形成されている。
【0012】
更に、グランド用電極24は、共通電極24aに複数のグランド用電極指2cが並列して弾性表面波伝播方向に対して略垂直に形成され、この各グランド用電極指2c間に振動に寄与しないグランド用のダミー電極指2dが弾性表面波伝播方向に対して略垂直に形成されている。
【0013】
そして、入力用電極指2aにグランド用のダミー電極指2cが、また、入力用のダミー電極指2bにグランド用電極指2cがそれぞれ対向するように配設されている。また、一方の入力用電極23は外部回路sと接続され、ここより入力信号が励振される。また、他方のグランド用電極24は外部回路の接地電位tと接続される。なお、入力用電極指2aとグランド用電極指2cが弾性表面波伝播方向で互いに噛み合う交叉長をW1としている。
出力用交叉指電極3は、櫛歯状の出力用電極33と櫛歯状のグランド電極34とが互いに噛み合うように配置されている。出力用電極33は、共通電極33aに複数の出力用電極指3aが並列して弾性表面波伝播方向に対して略垂直に形成され、この各出力用電極指3a間に振動に寄与しない出力用のダミー電極指3bが弾性表面波伝播方向に対して略垂直に形成されている。
【0014】
また、グランド用電極34は、共通電極34aに複数のグランド用電極指3cが並列して弾性表面波伝播方向に対して略垂直に形成され、この各グランド用電極指3c間に振動に寄与しないグランド用のダミー電極指3dが弾性表面波伝播方向に対して略垂直に形成されている。
【0015】
そして、出力用ダミー電極指3bにグランド用電極指3dが、また、出力用電極指3aにグランド用ダミー電極指3dがそれぞれ対向するように配設されている。また、一方の出力用電極33は外部回路vと接続され、ここから出力信号が抽出される。また、他方のグランド用電極34は外部回路の接地電位tと接続される。
ここで、入出力用交叉指電極2,3のダミー電極指2b、2d、3b、3dは、電極指幅が弾性表面波の伝搬方向の距離によって変化するように形成されている。
【0016】
ダミー電極指の電極指幅の変化は大きければ大きいほど高次横振動モードスプリアスの発生周波数が分散しスプリアスレベルが低下する。この場合は、入出力交叉指電極2,3の弾性表面波伝搬方向中央部でダミー電極指の電極指幅を一番広く形成し、入出力用交叉指電極2、3の弾性表面波伝播方向の端部になるに従って電極指幅が狭くなるように形成されている。
【0017】
即ち、ダミー電極指2b、2d、3b、3dの電極指幅Lxは、入出力用交叉指電極2,3の弾性表面波伝播方向の長さをL、入出力用交叉指電極2,3の端部から任意のダミー電極指までの距離をX、弾性表面波フィルタの中心周波数における波長をλとしたとき、ダミー電極指の電極指幅は、次の式で示されるように設計した重みつけを施している。
Lx=(3λX)/(2L)・・・・・・・・・・・・・(0≦X≦L/2)
Lx={(3λ)/2}−{(3λX)/(2L)}・・・(L/2≦X≦L) また、本発明の他の実施形態として、入出力用交叉指電極の弾性表面波伝搬方向の中央部でダミー電極指の電極指幅がもっとも小さく、弾性表面波伝播方向の端部になるに従って大きくなるように形成しても良い。また、入出力用交叉指電極の弾性表面波伝搬方向の一方端部から他方端部に向かってダミー電極指の電極指幅が徐々に小さくなる(或いは大きくなる)ように形成しても良い。その他の電極の重み付けとしては、曲線関数(2次関数または高次関数)状に重み付けしても良く、また、曲線関数形状の重みつけを周期的に繰り返す構造にしてもよい。これらによっても高次横振動モードスプリアスの周波数の分散が更にすすめることができ、スプリアスレベルを抑制することができる。
なお、入出力用交叉指電極2,3及びグレーティング反射器4,5は、例えば、アルミニウム薄膜からなり、その厚みは0.1〜1μmで所定のパターンに被着形成されている。また、入出力用電極指2a、3a、グランド用電極指2c、3cの電極指幅及び間隔は、例えば、弾性表面波の波長λに対してλ/4となっている。
【0018】
【実施例】
次に本発明の作用効果を確認するために本発明の実施例を示す。圧電基板としては27.5ーSTカットの水晶基板を用い、図1に示す構造に従って、圧電基板の表面に入力用交叉指電極、出力用交叉指電極、グレーティング反射器をそれぞれ弾性表面波伝播方向に沿って形成した。これにより、中心周波数360MHzの2ポート共振子型の弾性表面波フィルタを製作した。入力用交叉指電極、出力用交叉指電極、グレーティング反射器は、具体的には圧電基板に電極材料であるアルミニウムを真空蒸着により膜厚0.36オmで形成した後、フォトプロセスで所定パターンを形成してRIE(Reactive Ion Etching)法で不要部を除去し、レジスト剥離して電極を形成した。この場合、電極指周期を8.54オmとし、入出力用電極指の交叉長W1はW1=127オmとした。また、入出力用交叉指電極の開口長W0をW0=172オmとし、また、入出力電極の延長上の励振に寄与しないダミー電極指の電極指幅を入出力用交叉指電極の弾性表面波伝播方向のセンターに向かうに従って広く、入出力用交叉指電極の弾性表面波伝播方向の両端になるほど狭くなるように重み付けを施した。以上の構成で2ポート共振子型の弾性表面波フィルタを2素子並列接続したものを2段縦続接続して実験した結果を図2に示す。
これより、通過帯域外の高周波側における阻止域で高次横振動モードによる不要なスプリアスa(3次のスプリアス)、b(5次のスプリアス)のスプリアスレベルを抑制でき良好な特性が得られた。
比較例としてダミー電極指の電極指幅をすべて同じ(λ/4)とした構成で実験した結果を図3に示す。
図に示すように、高次横振動モードによる3次のスプリアスc、5次のスプリアスdのスプリアスレベルが大きく、実用には不適な特性であった。
【0019】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、複数の電極指を有する一対の櫛歯状電極を互いに噛み合うように配置した入力用交叉指電極及び出力用交叉指電極を圧電基板上に形成し、前記入力用交叉指電極及び出力用交叉指電極が、櫛歯状電極の隣接する電極指間にダミー電極指を有する弾性表面波フィルタにおいて、弾性表面波の伝搬方向の距離によって、ダミー電極指の電極指幅が変化するようにしたので、これにより、高次横振動モードスプリアスの周波数を分散させてスプリアスレベルを抑制し、その結果、通過帯域外の減衰量が大きい弾性表面波フィルタが提供できる。
【0020】
また、ダミー電極指の電極指幅のみを変化させるので通過帯域内の挿入損失を劣化させず、通過帯域内の低損失と通過帯域外の高減衰を兼ね備えた良好な特性を有する弾性表面波フィルタが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の弾性表面波フィルタの平面図である。
【図2】
本発明のフィルタ特性を示す特性図である。
【図3】
従来のフィルタ特性を示す特性図である。
【図4】
従来の弾性表面波フィルタを示す平面図である。
【図5】
従来の弾性表面波フィルタにおいて発生する横振動モードを説明する図である。
【符号の説明】
A:弾性表面波装置
1:圧電基板
2:入力用交叉指電極
3:出力用交叉指電極
4、5:グレーティング反射器
【発明の名称】弾性表面波フィルタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極指を有する一対の櫛歯状電極を互いに噛み合うように配置した入力用交叉指電極及び出力用交叉指電極を圧電基板上に形成してなる弾性表面波フィルタにおいて、
前記入力用交叉指電極及び出力用交叉指電極は、櫛歯状電極の隣接する電極指間にダミー電極指を有しているとともに、該ダミー電極指の電極指幅を他のダミー電極指の電極指幅と相違せしめたことを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電基板上に交叉指電極を形成した弾性表面波装置に関し、特に入力用交叉指電極と出力用交叉指電極を用いた共振子型弾性表面波フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の共振子型の弾性表面波フィルタにおいては、例えば、図4のような電極構造となっている。即ち、圧電基板10の表面に、入力用交叉指電極20と出力用交叉指電極30と、入出力用交叉指電極20,30の弾性表面波のエネルギーを閉じこめるグレーティング反射器40,50とがそれぞれ弾性表面波伝播方向に向けて配設されてなる。
入力用交叉指電極20は櫛歯状の入力用電極21と櫛歯状のグランド電極22を有している。
入力用電極21は共通電極2−1と複数の電極指21a、各隣接しあう電極指21a間に形成されたダミー電極指21bとから成る。また、グランド電極22は共通電極2−2と複数の電極指22a、各隣接しあう電極指22a間に形成されたダミー電極指22bとから成る。この電極指21a,22a、ダミー電極指21b,22bは弾性表面波の伝搬方向に対して垂直に形成されている。
【0003】
一方、出力用交叉指電極30は櫛歯状の出力用電極31と櫛歯状のグランド電極32を有している。
出力用電極31は共通電極3−1と複数の電極指31a、各隣接しあう電極指31a間に形成されたダミー電極指31bとから成る。また、グランド電極32は共通電極3−2と複数の電極指32a、各隣接しあう電極指32a間に形成されたダミー電極指32bとから成る。この電極指31a、32a、ダミー電極指31b、32bはそれぞれ弾性表面波の伝搬方向に対して垂直に形成されている。
【0004】
ダミー電極指21b、22b、31b、32bは弾性表面波の伝播速度を均一にするために配設している。即ち、ダミー電極指21b、22b、31b、32bを設けない場合には、入出力用電極指21a、31a及びグランド用電極指22a、32aの交叉部と非交叉部で伝播速度が異なり弾性表面波の伝播する位相差が交叉部と非交叉部で生じるためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の弾性表面波フィルタにおいては、図5に示すように弾性表面波の伝播方向に対し垂直方向に1次の横振動モードのみならず2次以上の高次横振動モードの振動エネルギーが閉じ込められており、基本モードが主応答のモードとなるのに対し2次以上はスプリアスとなる。この高次横振動モードの偶数次の振動モードにおける電荷は、入出力用交叉指電極20,30内で相殺されるが、奇数次の振動モードによる電荷は相殺されることがなく、フィルタ特性にスプリアスとして現れるという問題があった。
【0006】
この高次横モードスプリアスを抑圧するために、入出力交叉指電極の交叉長および開口長を小さくする方法や、COS型等の重み付けを施す方法があるが、これらの方法では挿入損失が悪化し、所望の特性を得るのが困難となる。特開平8-22989号公報に開示の手法では、2重モードフィルタの帯域を形成する縦方向のモードの閉じ込めが十分にできないことが多く、挿入損失が悪化する。特開平9-260996号公報に開示の手法を用いても、より高次の横モードに対しての効果が少ない。
【0007】
本発明は上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、高次横振動モードによるスプリアスを抑圧でき、且つ通過帯域の挿入損失の低下を防止した弾性表面波フィルタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため本発明の弾性表面波フィルタは、複数の電極指を有する一対の櫛歯状電極を互いに噛み合うように配置した入力用交叉指電極及び出力用交叉指電極を圧電基板上に形成してなるものにおいて、前記入力用交叉指電極及び出力用交叉指電極は、櫛歯状電極の隣接する電極指間にダミー電極指を有しているとともに、該ダミー電極指の電極指幅を他のダミー電極指の電極指幅と相違せしめたことを特徴とするものである。
【作用】
上述した高次横振動モードスプリアスは、両側の共通電極間で弾性表面波が多重反射して定在波が生じることによって発生し、定在波の形状によってスプリアスの周波数が変化する。例えば、図3に於いて3次横振動モードスプリアスcは基本モードより高周波側に発生し、5次横振動モードスプリアスdは更に高周波側に発生している。しかし、このスプリアスレベルを抑制するのに、従来から、同じ3次横振動モードスプリアスでも、開口長(交叉指電極における両側の共通電極間の間隔)、交叉指電極の交叉長を変化させることにより、高次横モードの定在波の波形を変化させ、これに伴ってスプリアスの周波数を変化させて行われていた。
【0009】
これに対し、本発明では、基本モードの励振に関与する交叉部に関係のないダミー電極に着目し、少なくともダミー電極指の内の1つは、その電極指幅が、他のダミー電極指の電極指幅と相違するようにしたことで、伝搬する高次横振動モードの定在波の波形を変化させ、高次横振動モードスプリアスの周波数を分散することができるので、挿入損失の増大を抑えながらスプリアスレベルを抑制することができるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態における共振子型の弾性表面波フィルタを説明する平面図である。図1において弾性表面波フィルタAは、圧電基板1の主面に、入力用交叉指電極2及び出力用交叉指電極3が、また、入出力用交叉指電極2,3の両側にはグレーティング反射器4,5が弾性表面波の伝播方向に配設されている。
圧電基板1は水晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、四ホウ酸リチウム、さらに、所定伝播方向となるように分極処理されたPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、PZ(ジルコン酸鉛)等から成り、所定カット角,所定伝播方向となるように切断処理されている。
【0011】
入力用交叉指電極2は、櫛歯状の入力用電極23と櫛歯状のグランド電極24とが互いに噛み合うように配置されている。入力電極23は、共通電極23aに複数の入力用電極指2aが並列して弾性表面波伝播方向に対して略垂直に形成され、この各入力用電極指2a間に振動に寄与しない入力用のダミー電極指2bが弾性表面波伝播方向に対して略垂直に形成されている。
【0012】
更に、グランド用電極24は、共通電極24aに複数のグランド用電極指2cが並列して弾性表面波伝播方向に対して略垂直に形成され、この各グランド用電極指2c間に振動に寄与しないグランド用のダミー電極指2dが弾性表面波伝播方向に対して略垂直に形成されている。
【0013】
そして、入力用電極指2aにグランド用のダミー電極指2cが、また、入力用のダミー電極指2bにグランド用電極指2cがそれぞれ対向するように配設されている。また、一方の入力用電極23は外部回路sと接続され、ここより入力信号が励振される。また、他方のグランド用電極24は外部回路の接地電位tと接続される。なお、入力用電極指2aとグランド用電極指2cが弾性表面波伝播方向で互いに噛み合う交叉長をW1としている。
出力用交叉指電極3は、櫛歯状の出力用電極33と櫛歯状のグランド電極34とが互いに噛み合うように配置されている。出力用電極33は、共通電極33aに複数の出力用電極指3aが並列して弾性表面波伝播方向に対して略垂直に形成され、この各出力用電極指3a間に振動に寄与しない出力用のダミー電極指3bが弾性表面波伝播方向に対して略垂直に形成されている。
【0014】
また、グランド用電極34は、共通電極34aに複数のグランド用電極指3cが並列して弾性表面波伝播方向に対して略垂直に形成され、この各グランド用電極指3c間に振動に寄与しないグランド用のダミー電極指3dが弾性表面波伝播方向に対して略垂直に形成されている。
【0015】
そして、出力用ダミー電極指3bにグランド用電極指3dが、また、出力用電極指3aにグランド用ダミー電極指3dがそれぞれ対向するように配設されている。また、一方の出力用電極33は外部回路vと接続され、ここから出力信号が抽出される。また、他方のグランド用電極34は外部回路の接地電位tと接続される。
ここで、入出力用交叉指電極2,3のダミー電極指2b、2d、3b、3dは、電極指幅が弾性表面波の伝搬方向の距離によって変化するように形成されている。
【0016】
ダミー電極指の電極指幅の変化は大きければ大きいほど高次横振動モードスプリアスの発生周波数が分散しスプリアスレベルが低下する。この場合は、入出力交叉指電極2,3の弾性表面波伝搬方向中央部でダミー電極指の電極指幅を一番広く形成し、入出力用交叉指電極2、3の弾性表面波伝播方向の端部になるに従って電極指幅が狭くなるように形成されている。
【0017】
即ち、ダミー電極指2b、2d、3b、3dの電極指幅Lxは、入出力用交叉指電極2,3の弾性表面波伝播方向の長さをL、入出力用交叉指電極2,3の端部から任意のダミー電極指までの距離をX、弾性表面波フィルタの中心周波数における波長をλとしたとき、ダミー電極指の電極指幅は、次の式で示されるように設計した重みつけを施している。
Lx=(3λX)/(2L)・・・・・・・・・・・・・(0≦X≦L/2)
Lx={(3λ)/2}−{(3λX)/(2L)}・・・(L/2≦X≦L) また、本発明の他の実施形態として、入出力用交叉指電極の弾性表面波伝搬方向の中央部でダミー電極指の電極指幅がもっとも小さく、弾性表面波伝播方向の端部になるに従って大きくなるように形成しても良い。また、入出力用交叉指電極の弾性表面波伝搬方向の一方端部から他方端部に向かってダミー電極指の電極指幅が徐々に小さくなる(或いは大きくなる)ように形成しても良い。その他の電極の重み付けとしては、曲線関数(2次関数または高次関数)状に重み付けしても良く、また、曲線関数形状の重みつけを周期的に繰り返す構造にしてもよい。これらによっても高次横振動モードスプリアスの周波数の分散が更にすすめることができ、スプリアスレベルを抑制することができる。
なお、入出力用交叉指電極2,3及びグレーティング反射器4,5は、例えば、アルミニウム薄膜からなり、その厚みは0.1〜1μmで所定のパターンに被着形成されている。また、入出力用電極指2a、3a、グランド用電極指2c、3cの電極指幅及び間隔は、例えば、弾性表面波の波長λに対してλ/4となっている。
【0018】
【実施例】
次に本発明の作用効果を確認するために本発明の実施例を示す。圧電基板としては27.5ーSTカットの水晶基板を用い、図1に示す構造に従って、圧電基板の表面に入力用交叉指電極、出力用交叉指電極、グレーティング反射器をそれぞれ弾性表面波伝播方向に沿って形成した。これにより、中心周波数360MHzの2ポート共振子型の弾性表面波フィルタを製作した。入力用交叉指電極、出力用交叉指電極、グレーティング反射器は、具体的には圧電基板に電極材料であるアルミニウムを真空蒸着により膜厚0.36オmで形成した後、フォトプロセスで所定パターンを形成してRIE(Reactive Ion Etching)法で不要部を除去し、レジスト剥離して電極を形成した。この場合、電極指周期を8.54オmとし、入出力用電極指の交叉長W1はW1=127オmとした。また、入出力用交叉指電極の開口長W0をW0=172オmとし、また、入出力電極の延長上の励振に寄与しないダミー電極指の電極指幅を入出力用交叉指電極の弾性表面波伝播方向のセンターに向かうに従って広く、入出力用交叉指電極の弾性表面波伝播方向の両端になるほど狭くなるように重み付けを施した。以上の構成で2ポート共振子型の弾性表面波フィルタを2素子並列接続したものを2段縦続接続して実験した結果を図2に示す。
これより、通過帯域外の高周波側における阻止域で高次横振動モードによる不要なスプリアスa(3次のスプリアス)、b(5次のスプリアス)のスプリアスレベルを抑制でき良好な特性が得られた。
比較例としてダミー電極指の電極指幅をすべて同じ(λ/4)とした構成で実験した結果を図3に示す。
図に示すように、高次横振動モードによる3次のスプリアスc、5次のスプリアスdのスプリアスレベルが大きく、実用には不適な特性であった。
【0019】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、複数の電極指を有する一対の櫛歯状電極を互いに噛み合うように配置した入力用交叉指電極及び出力用交叉指電極を圧電基板上に形成し、前記入力用交叉指電極及び出力用交叉指電極が、櫛歯状電極の隣接する電極指間にダミー電極指を有する弾性表面波フィルタにおいて、弾性表面波の伝搬方向の距離によって、ダミー電極指の電極指幅が変化するようにしたので、これにより、高次横振動モードスプリアスの周波数を分散させてスプリアスレベルを抑制し、その結果、通過帯域外の減衰量が大きい弾性表面波フィルタが提供できる。
【0020】
また、ダミー電極指の電極指幅のみを変化させるので通過帯域内の挿入損失を劣化させず、通過帯域内の低損失と通過帯域外の高減衰を兼ね備えた良好な特性を有する弾性表面波フィルタが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の弾性表面波フィルタの平面図である。
【図2】
本発明のフィルタ特性を示す特性図である。
【図3】
従来のフィルタ特性を示す特性図である。
【図4】
従来の弾性表面波フィルタを示す平面図である。
【図5】
従来の弾性表面波フィルタにおいて発生する横振動モードを説明する図である。
【符号の説明】
A:弾性表面波装置
1:圧電基板
2:入力用交叉指電極
3:出力用交叉指電極
4、5:グレーティング反射器
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