JP2002167255A - 水硬性組成物用粉末分散剤 - Google Patents

水硬性組成物用粉末分散剤

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JP2002167255A JP2000361125A JP2000361125A JP2002167255A JP 2002167255 A JP2002167255 A JP 2002167255A JP 2000361125 A JP2000361125 A JP 2000361125A JP 2000361125 A JP2000361125 A JP 2000361125A JP 2002167255 A JP2002167255 A JP 2002167255A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乾燥前のポンプ輸送性に優れ、且つ耐圧性、
耐湿性に優れた粉末分散剤を提供する。 【解決手段】 ポリオキシアルキレン基を有するエチレ
ン系不飽和カルボン酸誘導体等の特定のビニル系単量体
(a)と、(メタ)アクリル酸等の特定のビニル系単量
体(b)とを重合して得られる共重合体を含有し、炭素
数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシスチレン基の
付加モル数の平均値が50〜300であり、単量体
(a)と単量体(b)の割合が(a)/〔(a)+
(b)〕×100=10〜50(モル%)であり、且つ
前記共重合体の少なくとも一部が1価金属塩である粉末
分散剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、セメント、石膏等の水
硬性化合物用、特にグラウトモルタル用途の粉末分散剤
及びこれを含有する水硬性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】水硬性化合物用分散剤として、ポリカル
ボン酸系共重合体1価金属塩は、分散性が高いという利
点を有し、通常液状品として使用されているが、更に利
便性を高めるために、粉末状の分散剤とし、水硬性化合
物や骨材等の粉体材料と予め混合(プレミックス)され
た製品が開発されている。例えば、特許2669761
号には、液状のポリカルボン酸系共重合体と無機粉末を
噴霧乾燥する方法が、特開平9−309756号公報に
は、ポリアルキレングリコールアルケニルエーテルと無
水マレイン酸との共重合体を多価金属塩にする方法が、
特開2000−26145号公報には、アルキレンオキ
サイドの平均付加モル数が20〜109の特定構造の
(メタ)アクリレート系セメント分散剤を乾燥粉末化す
る方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】粉末分散剤は、長期保
存安定性、すなわち使用されるまでに、包装内の圧力に
より凝着等を生じないこと(耐圧性)と、吸湿による凝
着、分散性能劣化を生じないこと(耐湿性)が要求され
るが、従来の特にポリカルボン酸系共重合体1価金属塩
に係る粉末分散剤では、これら耐圧性及び耐湿性が未だ
不十分である。また、乾燥粉末化を工業的に行う場合
に、ポンプ輸送等支障がでない程度に原料水溶液の粘性
が増大しないこと(ポンプ輸送性)が重要であり、更に
グラウトモルタル用途に使用する場合は、混練直後の水
硬性組成物が高い流動性と適度な分離抵抗性を有するこ
とが要求されるが、これらについても従来の粉末分散剤
は不十分である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式
(1)で表されるビニル系単量体(a)の1種以上と下
記一般式(2)で表されるビニル系単量体(b)の1種
以上とを重合して得られる共重合体の一種以上を含有す
る水硬性組成物用の粉末分散剤であって、該分散剤にお
ける炭素数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシスチ
レン基の付加モル数の平均値が50〜300であり、単
量体(a)と単量体(b)の割合が(a)/〔(a)+
(b)〕×100=10〜50(モル%)であり、且つ
前記共重合体の少なくとも一部が1価金属塩である粉末
分散剤、並びに該粉末分散剤と水硬性化合物とを含有す
る水硬性組成物に関する。
【0005】
【化3】
【0006】〔式中、 R1,R2:水素原子又はメチル基 R3:水素原子又は−COO(AO)nX m:0〜2の数 p:0又は1の数 AO:炭素数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシス
チレン基 n:平均付加モル数であり2〜300の数 X:水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基 を表す。〕
【0007】
【化4】
【0008】〔式中、 R4〜R6:同一でも異なっていても良く、それぞれ水素
原子、メチル基又は(CH2)m1COOM2であり、(C
2)m1COOM2はCOOM1又は他の(CH2)m1COO
2と無水物を形成していてもよく、その場合、それら
の基のM1,M2は存在しない。 M1,M2:水素原子又は1価金属 m1:0〜2の数 を表す。〕
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者等は、ポリカルボン酸系
分散剤の耐圧性と耐湿性の両方をバランス良く発現させ
るために最も適した構造を決めることを試みた結果、分
散剤中に存在する炭素数2〜4のオキシアルキレン基又
はオキシスチレン基(以下、特定AOと表記する)の付
加モル数と単量体(a)の共重合モル比Ma(モル%)
の関与が極めて大きいことを見出した。すなわち、耐圧
性は特定AOの付加モル数が増大しMaが減少する程良
好となる傾向があり、一方、耐湿性は特定AOの付加モ
ル数が増大しMaが増大する程良好となる傾向があるこ
とを見出した。そして、耐圧性と耐湿性の両者がバラン
ス良く発現する範囲として、分散剤中の特定AOの付加
モル数の平均値nMを50〜300、Maを10〜50
(モル%)と規定したものである。更に、この規定を満
たす分散剤において、優れた分散性能を得るために、該
共重合体の1価金属塩を使用することを定めたものであ
る。以下、単量体(a)、(b)、共重合体等について
説明する。
【0010】<単量体(a)>一般式(1)で表される
単量体(a)としては、メトキシポリエチレングリコー
ル、メトキシポリプロピレングリコール、メトキシポリ
ブチレングリコール、メトキシポリスチレングリコー
ル、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコール等
の片末端アルキル封鎖ポリアルキレングリコールと(メ
タ)アクリル酸、マレイン酸との(ハーフ)エステル化
物や、3−メチル−3−ブテニルアルコール、(メタ)
アリルアルコールとのエーテル化物、及び(メタ)アク
リル酸、マレイン酸、3−メチル−3−ブテニルアルコ
ール、(メタ)アリルアルコールへのエチレンオキシ
ド、プロピレンオキシド付加物が挙げられる。R3は水
素原子が好ましく、pは1が好ましく、mは0が好まし
い。AOはオキシエチレン基が好ましい。単量体(a)
としては、アルコキシ、特にはメトキシポリエチレング
リコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物がより
好ましい。なお、nの異なる二種以上の単量体(a)を
混合して用いてもよい。nは5〜200、特に8〜15
0が好ましい。
【0011】<単量体(b)>また、一般式(2)で表
される単量体(b)としては、(メタ)アクリル酸、ク
ロトン酸等のモノカルボン酸系単量体、マレイン酸、イ
タコン酸、フマル酸等のジカルボン酸系単量体、又はこ
れらの無水物もしくは1価金属塩、例えばアルカリ金属
塩が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸、マ
レイン酸、無水マレイン酸、更に好ましくは(メタ)ア
クリル酸又はこれらのナトリウム塩、カリウム塩等のア
ルカリ金属塩である。
【0012】<共重合体>本発明の粉末状分散剤に用い
られる共重合体は、上記単量体(a)及び(b)を用い
て、公知の方法で製造することができる。単量体
(a)、(b)は、それぞれ複数使用することができ
る。その製造法の例として、特開昭59−162163
号公報、特開昭62−70250号公報、特開昭62−
78137号公報、米国特許第4870120号、米国
特許第5137945号等に例示の溶液重合法が挙げら
れる。即ち、適当な溶媒中で、上記ビニル系単量体
(a)、(b)を上記の如き割合で組み合わせて重合さ
せることによって製造可能である。例えば、水や炭素数
1〜4の低級アルコール中、過硫酸アンモニウム、過酸
化水素等の重合開始剤の存在下、必要ならば亜硫酸水素
ナトリウムやメルカプトエタノール等を添加し、窒素雰
囲気下50〜100℃で0.5〜10時間反応させれば
よい。
【0013】なお、本発明の共重合体を製造するにあた
り、更に、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミ
ド、スチレン、(メタ)アクリル酸アルキル(水酸基を
有していてもよい炭素数1〜12のもの)エステル、メ
タリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ホスホエチル
メタクリレート、スルホエチルメタクリレート等の共重
合可能な単量体を併用できるが、原料単量体中、単量体
(a)と(b)を合計で98〜100重量%含有するこ
とが好ましい。
【0014】本発明の粉末状分散剤に用いられる共重合
体の重量平均分子量〔ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー法、ポリエチレングリコール換算、カラム:G
4000PWXL+G2500PWXL(東ソー(株)
製)、溶離液:0.2Mリン酸緩衝液/アセトニトリル
=7/3(体積比)〕は、分散性及び表面硬度の観点か
ら、6千〜100万の範囲が良く、1万〜20万がより
好ましく、5.5万〜15万が更に好ましい。
【0015】本発明の共重合体は、少なくとも一部が1
価金属との塩を形成している。塩は、単量体に由来する
ものでも、共重合反応後に中和して形成されたものでも
いずれでもよい。1価金属としては、アルカリ金属が好
ましく、ナトリウムがより好ましい。また、中和度は4
0〜100%、更に50〜90%、特に50〜80%が
好ましい。
【0016】本発明の粉末分散剤においては、前記nM
やMaが異なる共重合体を複数使用することができる。
また、1価金属塩となっていない酸型の共重合体を適宜
併用することもできる。
【0017】<粉末分散剤>得られた共重合体は、公知
の方法で粉末化して分散剤に用いることができる。具体
的には、噴霧乾燥法、薄膜乾燥法等が挙げられる。単量
体(a)としてnが110以上のものを用いた場合は、
支持体上に、ポリカルボン酸系共重合体等の粘着性の薄
膜を形成し、該薄膜の粘着性を低減させ、該薄膜を粉体
化することが好ましい。また製造時に要すれば有機化合
物及び/または無機化合物を担体として粉末化すること
も可能であるが、これらの担体を使用しない方が好まし
い。有機化合物としては高分子化合物が好ましく、無機
化合物としては高炉スラグ、珪砂、珪石粉末、フライア
ッシュ、炭酸カルシウムが好ましい。担体を用いる場合
は、最終的に得られる粉末状分散剤中の量が、1〜80
重量%、特に5〜30重量%となるように用いるのが好
ましい。
【0018】本発明の粉末分散剤中の特定AOの付加モ
ル数の平均値nMは50〜300であり、耐圧性、耐湿
性の点から、nMは60以上、更に70以上、より更に
75以上、特に80以上が好ましい。また、共重合体の
製造時のポンプ輸送性や耐圧性の点から、nMは150
以下、更に130以下、より更に115以下、特に10
0以下が好ましい。
【0019】また、本発明の粉末分散剤中の全単量体
(a)と全単量体(b)の割合Maは、(a)/
〔(a)+(b)〕×100=10〜50モル%であ
り、粉末乾燥性及び耐湿性の点から、好ましくは15モ
ル%以上、より好ましくは20モル%以上である。ま
た、耐圧性の点から、好ましくは45モル%以下であ
る。
【0020】ここで、nM及びMaは、単量体(a)、
(b)の仕込み比率から算出することもできるが、最終
分散剤の1H−NMRを測定することにより求めること
ができる。本発明では、1H−NMRを測定して求めた
M及びMaを分散剤の値として採用する。なお、分子設
計する際には、単量体(a)として、nが異なる2種以
上の単量体を用いる場合、nMは、Σ〔付加モル数j×
付加モル数jの単量体(a)のモル%〕/Σ〔付加モル
数jの単量体(a)のモル%〕により算出される値を目
安にすることができる。
【0021】本発明の粉末状分散剤には、消泡性の観点
から、消泡剤を添加することが望ましく、消泡剤として
は、メタノール、エタノール等の低級アルコール系、ジ
メチルシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル等
のシリコーン系、鉱物油と界面活性剤の配合品等の鉱物
油系、リン酸トリブチル等のリン酸エステル、オレイン
酸、ソルビタンオレイン酸モノエステル、ソルビタンオ
レイン酸モノエステル、ポリエチレングリコール脂肪酸
エステル、ポリエチレン/ポリプロピレングリコール脂
肪酸エステル等の脂肪酸又はそのエステル系、ポリプロ
ピレングリコール、ポリエチレン/ポリプロピレングリ
コールアルキルエーテル等のノニオン系が挙げられる。
好ましくは、脂肪酸又はそのエステル系であり、更に好
ましくはポリエチレン/ポリプロピレングリコール脂肪
酸エステルである。消泡剤の添加量は粉末状分散剤中に
0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%
が更に好ましく、0.1〜3重量%が特に好ましい。
【0022】本発明の粉末状分散剤は、実用における水
溶解性の観点から、粒子径が500μm以下のものを5
0〜100重量%含有することが望ましく、より好まし
くは70〜100重量%、更に好ましくは90〜100
重量%である。
【0023】本発明の粉末状分散剤は、セメント、石膏
等の水硬性化合物、必要に応じさらに骨材とプレミック
スして使用することができる。該プレミックスは、セル
フレベリング材、トンネル用グラウト、吹き付けモルタ
ル、無収縮材、耐火物、石膏プラスター等に使用出来
る。水硬性化合物としては、ポルトランドセメント、高
炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメン
ト、アルミナセメント、天然石膏、副成石膏等が挙げら
れる。好ましくは、ポルトランドセメント、アルミナセ
メント、天然石膏であり、更に好ましくはポルトランド
セメント、アルミナセメントである。本発明の粉末状分
散剤は、セメント、石膏等の水硬性化合物に対して固形
分で0.01〜5重量%が好ましく、0.02〜3重量
%が更に好ましい。
【0024】
【実施例】製造例1 温度計、撹拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却
器を備えたガラス製反応容器に、水202.2重量部を
仕込み窒素置換を行った。続いて窒素雰囲気下で80℃
まで昇温した後、60%−メトキシポリエチレングリコ
ールモノメタクリレート(単量体(a)、n=75)水
溶液570.7重量部、メタクリル酸34.7重量部を
混合した液と、5%−2−メルカプトエタノール水溶液
62.9重量部と、5%−過硫酸アンモニウム水溶液6
8.8重量部の3液を同時に滴下し、3液とも90分か
けて滴下を終了させた。次に同温で1時間熟成した後、
5%−過硫酸アンモニウム水溶液23重量部を30分か
けて滴下し、滴下後同温で2時間熟成させた。更に、4
8%−水酸化ナトリウム水溶液23.5重量部を加えて
中和した後、35%−過酸化水素水7.8重量部を添加
し90℃まで昇温し同温にて1時間保持した後、冷却し
重量平均分子量33000の共重合体〔Na塩(中和度
70%)〕(表1中の本発明品4)を得た。表1中の他
の類似する共重合体もこれに準じて中和度70±10%
で製造した。
【0025】製造例2 製造例1と同様のガラス製反応容器に、水248.5重
量部を仕込み窒素置換を行った。続いて窒素雰囲気下で
80℃まで昇温した後、60%−メトキシポリエチレン
グリコールモノメタクリレート(単量体(a)、n=1
20)水溶液502.2重量部、メトキシポリエチレン
グリコールモノメタクリレート(単量体(a)、n=
9)41.5重量部、メタクリル酸36重量部を混合し
た液と、5%−2−メルカプトエタノール水溶液39.
2重量部と、5%−過硫酸アンモニウム水溶液76.2
重量部の3液を同時に滴下し、3液とも90分かけて滴
下を終了させた。次に同温で1時間熟成した後、5%−
過硫酸アンモニウム水溶液20.3重量部を30分かけ
て滴下し、滴下後同温で2時間熟成させた。更に、48
%−水酸化ナトリウム水溶液24.4重量部を加えて中
和した後、35%−過酸化水素水5重量部を添加し90
℃まで昇温し同温にて1時間保持した後、冷却し重量平
均分子量68000の共重合体〔Na塩(中和度70
%)〕(表1中の本発明品15)を得た。表1中の他の
類似する共重合体もこれに準じて中和度70±10%で
製造した。
【0026】製造例3 特開平7−309656号公報の水溶性ビニル共重合体
の製造方法に準じて表1の比較品5の共重合体〔Na塩
(中和度70%)〕を製造した。
【0027】製造例4 特開平9−309756号公報の段落0042記載の製
造方法に準じ、ただし水酸化カルシウムに代えて水酸化
ナトリウムを添加して、表1の本発明品18の共重合体
〔Na塩(中和度70%)〕を製造した。
【0028】実施例1 表1に示す共重合体を分散剤として用い、以下の評価を
行った。結果を表2に示す。また、分散剤のnM及びMa
を以下の方法で測定した。
【0029】(A)分散剤のnM 水に溶解した分散剤を窒素雰囲気中で減圧乾燥したもの
を、3〜4%の濃度で重水に溶解し、1H−NMRを測
定する。アルコキシ基(この場合はメトキシ基)のピー
クの積分値とアルキレンオキサイド基(この場合はエチ
レンオキサイド基)のピークの積分値とから、エチレン
オキサイド基のHの総数を求め、エチレンオキサイド基
1個に含まれる水素原子の数で除した値を分散剤のnM
とする。なお、1H−NMRの測定は、Varian社
製「UNITY−INOVA500」(500MHz)
を用い、データポイント数64000、測定範囲100
00.0Hz、パルス幅(45°パルス)60μse
c、パルス遅延時間30sec、測定温度25.0の条
件で行った。
【0030】(B)分散剤のMa 水に溶解した分散剤を窒素雰囲気中で室温乾燥したもの
を重水に溶解し、1H−NMRを測定する(条件は上記
と同じ)。アルコキシ基(この場合はメトキシ基)のピ
ークの積分値sと主鎖のアルキル基(この場合はメチル
基)のピークの積分値Sとから、〔(S−s)/S〕×1
00を計算し、分散剤全体の単量体(a)と単量体
(b)の割合Maを求める。
【0031】(1−1)乾燥粉末性 表1の分散剤の水溶液を、乾燥後の膜厚が約1mmとな
るように濃度及び量を調整して平坦な容器に入れ、10
5℃で2時間乾燥する。乾燥した分散剤薄膜から40m
m×15mmの試験片を作製し、長手方向の一端から約
1cmの箇所を指で挟み、他端から手で曲げ力を加え
る。この試験を所定の薄膜温度で実施し、その際の挙動
を観察し、下記の基準で評価した。その際、この曲げ力
で破断するものを「粉末化可能」とし、破断せずに単に
曲がるものは「粉末化不能」とした。また、薄膜の温度
調整は、吸湿しない状態で所定温度の恒温室に2時間放
置することで行った。 ◎:40℃で粉末化可能 ○〜◎:30℃で粉末化可能であるが、40℃で液状も
しくは粉末化不能 ○:20℃で粉末化可能であるが、30℃で液状もしく
は粉末化不能 △〜○:10℃で粉末化可能であるが、20℃で液状も
しくは粉末化不能 △:10℃で粉末化不能 ×:10℃で液状。
【0032】(1−2)耐圧性 分散剤をポリエチレン製の袋(容量250cm3)に2
50cm3充填し、密封した状態で1000kgf/m2
の荷重をかけた状態で、20℃で放置した。1日後及び
7日後に1410μm篩通過率を測定し、下記の基準で
耐圧性を評価した。 ◎:篩通過率95%超100%以下 ○〜◎:篩通過率90%超95%以下 ○:篩通過率80%超90%以下 △〜○:篩通過率70%超80%以下 △:篩通過率50%超70%以下 ×:篩通過率50%以下。
【0033】(1−3)耐湿性 300mlビーカーに粉末分散剤(予め105℃で2時
間乾燥済のもの)50gを入れ、温度25℃、湿度40
%の恒温室内に開放系にて7日間放置し、重量変化から
吸湿水分量を求め、以下の基準で耐湿性を評価した。 ◎:水分量2%以下(固形分率98%以上) ○〜◎:水分量2%超4%以下(固形分率96%以上9
8%未満) ○:水分量4%超6%以下(固形分率94%以上96%
未満) △〜○:水分量6%超8%以下(固形分率92%以上9
4%未満) △:水分量8%超10%以下(固形分率90%以上92
%未満) ×:水分量10%超(固形分率90%未満)。
【0034】(1−4)ポンプ輸送性 分散剤の水溶液(有効成分40重量%)の20℃の粘度
を、B型回転粘度計を用いて測定し、以下の基準でポン
プ輸送性を評価した。 ◎:粘度400mPa・s以上420mPa・s未満 ○〜◎:粘度420mPa・s以上450mPa・s未
満 ○:粘度450mPa・s以上500mPa・s未満 △〜○:粘度500mPa・s以上600mPa・s未
満 △:粘度600mPa・s以上700mPa・s未満 ×:粘度700mPa・s以上。
【0035】
【表1】
【0036】(注)表中の記号は以下の通りである。ま
た表中の共重合体は、全て中和度70±10%のナトリ
ウム塩である。また、比較品4は全単量体中、単量体
(a)+単量体(b)が87.2重量%であり、比較品
5は全単量体中、単量体(a)+単量体(b)が93.
7重量%であり、比較品6は全単量体中、単量体(a)
+単量体(b)が96.2重量%であった。 ・MEPEG:メトキシポリエチレングリコールモノメ
タクリレート ・METPEG:メトキシポリエチレングリコールモノ
アリルエーテル ・MAA:メタクリル酸 ・MSA:メタリルスルホン酸 ・MAc:メチルアクリレート ・MA:無水マレイン酸 ・Mw:重量平均分子量。
【0037】
【表2】
【0038】表1、2に示されるように、分散剤のnM
が小さい比較品1〜3は乾燥粉末性が悪く、nMが大き
いがMaが小さい比較品4は乾燥粉末性は向上するが耐
湿性が悪く、nの大きい単量体を用いているが平均する
とnMが小さい比較品5〜7は耐圧性、耐湿性が悪く、
aが大きい比較品8はポンプ輸送性が悪い。一方、本
発明品1〜18では、乾燥粉末性、耐圧性、耐湿性及び
ポンプ輸送性の何れにおいても良好である。
【0039】実施例2 表3の組み合わせで分散剤を調製し、実施例1と同様の
評価を行った。結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】実施例3 早強ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)
100重量部、細骨材〔珪砂(3,4,5号混合、竹折
砿業所製)〕100重量部、増粘剤〔メトローズ(信越
化学(株)製)〕0.0025重量部、遅延剤〔クエン
酸ナトリウム(試薬特級)〕0.02重量部、膨張材
〔デンカCSA(電気化学工業(株)製)〕5重量部及
び発泡剤(金属アルミニウム粉)0.0015重量部、
表4の粉末分散剤及び表4に示す量の消泡剤〔フォーム
レックス797(日華化学(株)製)〕を混合し、グラ
ウト材を製造した。グラウト材に水を添加し、ハンドミ
キサーで3分間混練することにより、スラリーを得た。
このスラリーを用いて、以下の評価を行った。結果を表
4に示す。
【0042】(3−1)流動性 土木学会規準「PCグラウト試験方法(JCSE−F5
31)」に準じてJ14ロートからの流下時間(秒)を
測定した。ただし、「JIS R 5201セメントの物
理試験方法」に準じて測定されたフロー値が、250m
m±10mmとなるように、粉末分散剤の添加率を調整
して、行った。
【0043】(3−2)ブリーディング率 土木学会規準「PCグラウト試験方法(ポリエチレン袋
方法)(JCSE−F532)」に準じて測定した。
【0044】(3−3)膨張率 土木学会規準「PCグラウト試験方法(容器方法)(J
CSE−F533)」に準じて測定した。
【0045】(3−4)圧縮強度 「JIS R 5201セメントの物理試験方法」に準じ
て、材齢28日で測定した。
【0046】
【表4】
【0047】表4に示されるように、本発明の粉末分散
剤をモルタルグラウト用途に使用すると、流動性、ブリ
ーディング率、膨張率、圧縮強度が良好なものが得られ
る。特に、消泡剤を使用すると、圧縮強度が安定する。
また、モルタルグラウト用途では、エステル系単量体由
来の共重合体のNa塩(No.3−1〜3−4)の方
が、エーテル系単量体由来の共重合体のNa塩(No.
3−5)より流下時間が大きく、分離抵抗性はより安定
している。一方、No.3−6(比較品)は、過度の増
粘により、流動性が低下する場合がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 216/12 C08F 216/12 220/04 220/04 220/26 220/26 222/02 222/02 222/04 222/04 222/10 222/10 // C04B 103:40 C04B 103:40

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるビニル系単
    量体(a)の1種以上と下記一般式(2)で表されるビ
    ニル系単量体(b)の1種以上とを重合して得られる共
    重合体の一種以上を含有する水硬性組成物用の粉末分散
    剤であって、該分散剤における炭素数2〜4のオキシア
    ルキレン基又はオキシスチレン基の付加モル数の平均値
    が50〜300であり、単量体(a)と単量体(b)の
    割合が(a)/〔(a)+(b)〕×100=10〜5
    0(モル%)であり、且つ前記共重合体の少なくとも一
    部が1価金属塩である粉末分散剤。 【化1】 〔式中、 R1,R2:水素原子又はメチル基 R3:水素原子又は−COO(AO)nX m:0〜2の数 p:0又は1の数 AO:炭素数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシス
    チレン基 n:平均付加モル数であり2〜300の数 X:水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基 を表す。〕 【化2】 〔式中、 R4〜R6:水素原子、メチル基又は(CH2)m1COOM2
    であり、(CH2)m1COOM2はCOOM1又は他の(CH
    2)m1COOM2と無水物を形成していてもよく、その場
    合、それらの基のM1,M2は存在しない。 M1,M2:水素原子又は1価金属 m1:0〜2の数 を表す。〕
  2. 【請求項2】 原料単量体中の単量体(a)と単量体
    (b)の合計の割合が98〜100重量%である共重合
    体を含有する請求項1記載の粉末分散剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の粉末分散剤と水硬
    性化合物とを含有する水硬性組成物。
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