JP2002166423A - 透明性と剛性に優れたポリプロピレン樹脂成形体およびその製造方法 - Google Patents

透明性と剛性に優れたポリプロピレン樹脂成形体およびその製造方法

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JP2002166423A
JP2002166423A JP2000366314A JP2000366314A JP2002166423A JP 2002166423 A JP2002166423 A JP 2002166423A JP 2000366314 A JP2000366314 A JP 2000366314A JP 2000366314 A JP2000366314 A JP 2000366314A JP 2002166423 A JP2002166423 A JP 2002166423A
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less
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crystal
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Kohei Nitta
晃平 新田
Naonobu Minamizawa
尚伸 南澤
Tokifumi Masukawa
解文 益川
Hisafumi Kawamoto
尚史 川本
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JNC Petrochemical Corp
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Chisso Petrochemical Corp
Chisso Corp
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C33/00Moulds or cores; Details thereof or accessories therefor
    • B29C33/42Moulds or cores; Details thereof or accessories therefor characterised by the shape of the moulding surface, e.g. ribs or grooves
    • B29C33/424Moulding surfaces provided with means for marking or patterning

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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性と剛性に優れたポリプロピレン樹脂成
形体およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 溶融樹脂と接触する表面の中心線平均粗
さRa(mold)が0.1μm以下であり、熱伝導率が100W/m・K以
上である金型を用いて、溶融樹脂を50℃以下にまで冷却
固化させて成形体とした後、該成形体に60℃以上150℃
以下の範囲の温度で20J/g以上の熱量を与えることを特
徴とする、ポリプロピレン樹脂成形体の製造方法。およ
び該製造方法により得られる、広角X線回折により得ら
れる回折パターンが単斜晶(α晶)を呈し、光散乱法に
よる測定によって5μm以上の組織構造が認められず、赤
外分光法により求められた結晶化度χが60重量%以上で
あり、結晶化度χと小角X線散乱により求められる長周
期Lとの積(χ・L/100)で表される結晶厚みLcが9
nm以上であり、引張弾性率Eが1400MPa以上であること
を満たす、透明性と剛性に優れたポリプロピレン樹脂成
形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明性と剛性に優れ
たポリプロピレン樹脂成形体およびその製造方法に関す
る。詳しくは、ポリプロピレン樹脂の特徴である優れた
剛性を損なうことなく透明性が極めて改良されたポリプ
ロピレン樹脂成形体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは優れた成形性、剛性、
耐熱性を有し、且つ低比重であることなどから、フィル
ム、シート、構造部品など広く利用されている。しかし
ながらポリプロピレンは結晶性高分子であり、成形体の
透明性は必ずしも良好とはいえない。そのため、実用上
様々な問題が生ずる場合があった。ポリプロピレンの透
明性(ヘイズ)を改良する方法としては、プロピレンに
エチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンを共重合
させて結晶性を低下させことによる方法、あるいは造核
剤を添加し球晶組織構造を微細化させることによる方法
が知られている。これら従来公知の方法によって透明性
(ヘイズ)は改善されるものの、市場或いは用途によっ
ては更なる透明性の改善が望まれており、透明性の改善
は未だ十分であるとは言えない。更にエチレンまたは炭
素数4以上のα−オレフィンとプロピレンを共重合によ
る方法では、共重合量の増大に伴い得られるポリプロピ
レンの結晶性が低下し成形体の剛性が低下する問題が生
じていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は透明性
と剛性に優れたポリプロピレン樹脂成形体およびその製
造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
解決のため鋭意検討した結果、溶融樹脂と接触する表面
の中心線平均粗さRa(mold)が0.1μm以下であり、熱伝導
率が100W/m・K以上である金型を用いて、溶融樹脂を50℃
以下にまで冷却固化して成形体とした後、該成形体に60
℃以上150℃以下の範囲の温度で20J/g以上の熱量を与え
ることにより、得られるポリプロピレン樹脂成形体が、
広角X線回折により得られる回折パターンが単斜晶(α
晶)を呈し、光散乱法による測定によって5μm以上の組
織構造が認められず、赤外分光法により求められた結晶
化度χが60重量%以上であり、結晶化度χと小角X線散
乱により求められる長周期Lとの積(χ・L/100)で
表される結晶厚みLcが9nm以上であり、引張弾性率E
が1400MPa以上であることを満たす、透明性と剛性に優
れたポリプロピレン樹脂成形体であり、これによって上
記課題を解決することを見出し、この知見に基づき本発
明を完成するに到った。
【0005】
【発明の実施形態】以下、本発明について具体的に説明
する。本発明のポリプロピレン樹脂成形体の製造方法
は、溶融樹脂と接触する表面の中心線平均粗さRa(mold)
が0.1μm以下であり、熱伝導率が100W/m・K以上である金
型を用いて、溶融樹脂を50℃以下にまで冷却固化して成
形体とした後、該成形体に60℃以上150℃以下の範囲の
温度で20J/g以上の熱量を与えることを特徴とする。使
用する金型の溶融樹脂と接触する表面の中心線平均粗さ
Ra(mold)は、0.1μm以下である。好ましくはRa(mold)
が0.07μm以下である。中心線平均粗さRa(mold)が0.1
μmを超えると得られる成形体表面の粗さが増し、成形
体の表面での光の散乱損失が増加する。その結果、成形
体の透明性が低下する。また、金型の熱伝導率は、100W
/m・K以上である。好ましくは150W/m・K以上、より好まし
くは200W/m・K以上である。ここで熱伝導率とは20℃での
値を云う。熱伝導率が100W/m・K未満の金型では、溶融樹
脂の冷却固化速度が低下し、結果として成形体の内部に
5μmを超える組織構造の形成が進行し、成形体の透明性
を低下させる。
【0006】溶融樹脂を冷却固化させて成形体とする温
度は、50℃以下までである。固化させる温度が50℃を超
すと、成形体内部に5μmを超える組織構造である球晶組
織が生成し、成形体の透明性が不十分となり易い。成形
体に熱量を与える際の温度範囲は60℃以上150℃以下の
範囲である。成形体に熱量を与える際の温度が上記の範
囲以外であると成形体の剛性または透明性が不十分とな
り易い。温度が60℃未満であるとα晶への結晶転移が不
十分となり成形体の剛性が低下する場合がある。また15
0℃を超えると融解、結晶化などが進行する場合があ
り、5μm以上の組織構造が生成し成形体の透明性が損な
われる場合がある。与える熱量は20J/g以上であれば特
に制限されない。与える熱量が20J/gに満たない場合に
は、α晶への転移および結晶化度が不十分となり、成形
体の剛性が低下する。本発明のポリプロピレン樹脂成形
体の製造方法は、金型を用いる公知のポリプロピレン樹
脂成形方法に適用することができる。例えば、プレス成
形法、押出成形法、射出成形法に適用できる。押出成形
法においてはロールまたはエンドレスベルトが本発明で
いう金型に当たる。
【0007】本発明の製造方法により得られるポリプロ
ピレン樹脂成形体は、広角X線回折により得られる回折
パターンが単斜晶(α晶)を呈し、光散乱法による測定
によって5μm以上の組織構造が認められず、赤外分光法
により求められた結晶化度χが60重量%以上であり、結
晶化度χと小角X線散乱により求められる長周期Lとの
積(χ・L/100)で表される結晶厚みLcが9nm以上で
あり、引張弾性率Eが1400MPa以上であることを満た
す。
【0008】ポリプロピレンの結晶形としてはα晶以外
にβ晶、γ晶などいくつかの結晶形が知られているが、
α晶以外の結晶形では引張弾性率Eが1400MPa未満とな
り、成形体の剛性が不十分である。光散乱法による測定
によって5μm以上の組織構造が認められる場合は、光の
散乱損失が生起し、成形体の透明性が著しく低下するの
で好ましくない。1μm以上の組織構造が認められない
場合がより好ましく、0.4μm以上の組織構造が認められ
ない場合が更に好ましい。
【0009】また本発明の製造方法により得られるポリ
プロピレン樹脂成形体は、赤外分光法により求められる
結晶化度χが60重量%以上であり、結晶化度χと小角X
線散乱により求められる長周期Lとの積(χ・L/10
0)で表される結晶厚みLcが9nm以上である。結晶化度
χは、好ましくは70重量%以上、より好ましくは75重量
%以上である。結晶厚みLcは、好ましくは11nm以上、
より好ましくは14nm以上である。ここで、赤外分光法に
より求められる結晶化度χとは、R.G.Quynn, J.R.Rile
y, D.A.Young, H.D.Noether, Journal of Applied Poly
mer Science, Volume 2, No.5, p.166 (1959)に記載の
方法に準じて求めた値である。結晶化度χが60重量%未
満であり、結晶厚みLcが9nm未満であると引張弾性率
Eが1400MPa未満となる。
【0010】(1)本発明に供するポリプロピレン樹脂 本発明に供するポリプロピレン樹脂はプロピレン単独重
合体又はエチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィンか
ら選ばれた1種以上のオレフィンとプロピレンとの共重
合体であって、この共重合体中のプロピレン含有率Pが9
7重量%以上、好ましくは98重量%以上のものである。
言い換えればポリプロピレン樹脂中のプロピレン含有率
P(重量%)が97≦P≦100の範囲、好ましくは98≦P≦
100の範囲の樹脂である。プロピレン含有率Pが97重量%
未満では、成形体の剛性が不十分である。また必要に応
じて本発明の効果を損なわない範囲で添加剤、例えば酸
化防止剤、アンチブロッキング剤を加えることができ
る。
【0011】(2)本発明に供するポリプロピレン樹脂
の製造方法 本発明に供するポリプロピレン樹脂の製造方法として
は、得られるポリプロピレン樹脂が前記要件を満たすも
のであれば特に限定されない。本発明に供するポリプロ
ピレン樹脂の製造方法としては次の方法を例示すること
ができる。
【0012】マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電
子供与性有機化合物を必須成分とする固体触媒成分、有
機アルミニウム化合物および電子供与性有機珪素化合物
からなるいわゆるチーグラー・ナッタ触媒またはチタ
ン、ジルコニウム、ハフニウムを中心金属に有するメタ
ロセン化合物と活性化剤からなるいわゆるメタロセン触
媒を用いて、プロピレンを重合する方法またはエチレン
若しくは炭素数4以上のα-オレフィンから選ばれた1種
以上のオレフィンとプロピレンとを共重合する方法によ
って本発明に供するポリプロピレン樹脂を製造すること
ができる。
【0013】ポリプロピレン樹脂を製造するための重合
方法としては、炭化水素溶媒を使用してプロピレンを重
合するスラリー重合法あるいは溶液重合法、重合に供す
るプロピレンそのものを液化プロピレンとして分散媒体
に利用するバルク重合法、プロピレンガス中で分散媒体
を使用しない気相重合法の公知の方法を用いることがで
きる。 重合条件は、選択する製造方法により異なる
が、一般に工業的に好適な重合温度、重合圧力において
行うことが可能である。また、重合条件を最適化するこ
とは当業者にとって容易である。このような方法によっ
て得られるポリプロピレン樹脂は粉末ないし顆粒状であ
る。通常、このようなポリプロピレン樹脂に、必要に応
じて本発明の効果を損なわない範囲で添加剤例えば酸化
防止剤を添加し、押出機等によって混練し、ペレット状
にする。ペレット状になったポリプロピレン樹脂は成形
加工に供される。
【0014】以下にプレス成形法を例にして、本発明の
透明性と剛性に優れたポリプロピレン樹脂成形体を製造
する方法を具体的に説明する。プレス成形に用いる金型
は、溶融樹脂と接触する表面の中心線平均粗さRa(mold)
が0.1μm以下であり、熱伝導率が100W/m・K以上であれば
材質は特に限定されない。例えば黄銅(真鍮)、アルミ
ニウム・マグネシウム合金、アルミニウム・マンガン合
金、ジュラルミン、Y−合金、アルミニウムを素材とす
る金型を用いることが好ましい。アルミニウム・マグネ
シウム合金、アルミニウム・マンガン合金、アルミニウ
ムを材質とする金型を用いることがより好ましい。
【0015】プレス成形機の金型内にペレット状のポリ
プロピレン樹脂の所定量を供給し、ポリプロピレン樹脂
の融点以上の温度に加熱し、加圧することで、溶融した
ポリプロピレン樹脂が金型内に充填される。ここでポリ
プロピレン樹脂の融点以上の温度とは180℃〜280℃の範
囲、好ましくは200℃〜260℃の範囲、より好ましくは21
0℃〜250℃の範囲の温度範囲である。また加圧は、0.01
MPa〜25MPaの範囲、好ましくは0.05MPa〜20MPaの範囲、
より好ましくは0.1MPa〜15MPaの範囲で行う。また加圧
前に前記温度範囲下において無加圧で予熱することもで
きる。加熱および加圧を伴う金型内へのポリプロピレン
樹脂の充填操作は、ポリプロピレン樹脂の融点および溶
融樹脂の粘度にもよるが、0.5分〜30分の範囲、好まし
くは2分〜20分の範囲、より好ましくは3分〜15分の範囲
で行う。
【0016】上記の充填操作後、溶融樹脂が充填された
金型を-78℃〜50℃の範囲にまで、好ましくは-78℃〜30
℃の範囲にまで、より好ましくは-78℃〜10℃の範囲に
まで冷却し、ポリプロピレン樹脂を固化させる。冷却固
化操作時には、溶融充填操作時の圧力を保持しているこ
とが望ましい。
【0017】冷却固化した成形体に、60℃以上150℃以
下の範囲の温度で20J/g以上の熱量を与える方法は公知
の方法であれば特に限定されない。例えば、金型温度を
60℃以上150℃以下の範囲に設定し熱量を与える方法、
或いは得られた成形体を金型から取り出し、60℃以上15
0℃以下の熱媒体中で熱量を与える方法がある。好まし
くは、後者の方法である。
【0018】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。実施例および比較例で用いた各物性値の測定方
法を以下に示す。 (i) メルトフローレイト(MFR: dg/min) JIS K7210に記載の方法(条件14: 230℃、21.18
N)に準じて測定した。 (ii) エチレン含有量(重量%) ポリプロピレン樹脂サンプルをアルミ箔で覆ったアルミ
板(厚み0.4mm)で挟み、230℃に加熱し、プレスして、
厚み0.1mmのエチレン含有量測定用フィルムを作成し
た。該フィルムについて赤外分光装置(パーキンエルマ
ー FT-IR 1760X)にて733cm-1の吸光度を測定し、予
め作成した13C-NMRにて検定された検量線を基にエチレ
ン含有量を算出した。
【0019】(iii)結晶化度χ(重量%) 結晶化度χは、R.G.Quynn, J.R.Riley, D.A.Young, H.
D.Noether, Journal ofApplied Polymer Science, Volu
me 2, No.5, p.166 (1959)に記載の方法に準じ、以下の
式を用いて求めた。結晶化度: χ=109(A997-A917)/
(A972-A917)-31.4 ここでA997、A972、A917は997 cm-1、972 cm-1、917 cm
-1における吸光度をそれぞれ示す。尚、赤外分光装置は
パーキンエルマー FT-IR 1760Xを使用した。 (iv)広角X線回折(結晶形) 日本電子製X-ray Diffractometer JEOL JDX-8200Tを用
い、ターゲットCu(CuKα)、電圧50kV、電流150mAの条
件下、回折角(2θ)5°〜35°の範囲で測定を行った。
得られた回折パターンより結晶形を決定した。回折ピー
クの帰属はS.Z.D.Cheng, J.J.Janimak, J.Rodriguez, &
#34;Crystalline structures of polypropylene homo-
and copolymers", in POLYPROPYLENE-Structure, b
lendsand composites, J.Karger-Kocsis Ed. London 19
95, Chapman & Hallに基づいて行った。
【0020】(v) 小角X線散乱(長周期L) 日本電子製X-ray Diffractometer JEOL JDX-8200Tを用
い、ターゲットCu(CuKα)、電圧50kV、電流150mAの条
件下、空気中において回折角(2θ)0.2°〜2.0°の範
囲で測定を行った(散乱A)。またサンプルを装着せ
ず、上記条件に準じて測定を行い(散乱B)、散乱Aより
散乱Bを差し引き、得られた散乱ピークより、半値幅法
にて長周期Lを求めた。尚、結晶厚みLcは長周期Lと
(iii)に示した方法によって得られた結晶化度χより求
めた(Lc=χ・L/100)。 (vi) 光散乱 測定装置としてイストプラニング株式会社製レーザー小
角光散乱装置SALS-100Sを、光源としてHe−Neレーザー
ビーム(出力2mW、発振波長632.8nm)を用い、R.S.Stei
n, M.B.Rhodes, Journal of Applied Physics, Volume
31,p.1873(1960)に記載の方法に準じて測定を行った。 (vii)中心線平均粗さ(Ra(mold)) 小坂研究所製サーフコーダーAY-41を用い、2次元モード
に於いて中心線平均粗さを測定した。
【0021】(viii)引張弾性率E(MPa) ダンベル社製スーパーダンベルカッターSDMK-1000-D (JIS K-6251-6準拠:ゲージ長さ25mm)を用い、プレス
成形で得たフィルムから試験片を切り出した。引張試験
は島津製作所製卓上引張試験機EZ-test REX.C.を用い測
定を実施した。引張試験はクランプ間距離50mm、引張速
度10mm/minにて実施した。引張弾性率は歪み0.5%以下の
範囲において歪み-弾性率を対数プロットし、歪み0%に
外挿して求めた。 (ix) ヘイズ 東京電色株式会社製AUTOMATIC HAZE METER MODEL TC-H3
DPを用い、JIS K 7105に準じて測定した。
【0022】製造例1 (1)固体触媒成分(A)の合成 攪拌機、圧力計および温度計を備え、高純度窒素で置換
された30Lのオートクレーブに、マグネシウムエトキシ
ド2.3kg、2−エチル−1−ヘキサノール4.15Lおよびトル
エン16.5Lを加えた。この混合物を0.2MPa(以下ゲージ
圧力をいう)の二酸化炭素ガス雰囲気下で90℃に加熱
し、回転数150rpmで3時間攪拌した。得られた溶液を冷
却し、二酸化炭素ガスを脱気して溶液(a)を得た。こ
の溶液は0.1g/Lのマグネシウムエトキシドを含んでい
た。攪拌機、温度計、コンデンサー、窒素シールライン
およびバッフルを装備した15Lのオートクレーブ(バッ
フル率0.15)中へ、トルエン3L、 TiCl4190mlおよびヘ
キサメチルジシロキサン250mlを投入し、室温で、回転
数250rpmで5分間混合した後、溶液(a)1.5Lを10分間
で投入した。投入後直ちに固体粒子(I)が析出した。
該固体粒子(I)を含有する溶液にエタノール30mlと
テトラヒドロフラン(THF)0.5Lを添加し、回転数150rp
mの攪拌を維持しながら15分以内に60℃に昇温したとこ
ろ、いったん、固体粒子(I)が溶解し、次いで15分以
内に再び固体粒子が析出し始めた。この固体粒子の形成
は10分以内に終了した。さらに、60℃で45分間攪拌を継
続した後、攪拌を停止して、生成固体(II)を沈降させ
た。上澄液をデカンテーションで除き、残った生成固体
(II)を2Lのトルエンで2回洗浄した。生成固体(II)
にトルエン2LとTiCl41Lを添加し、回転数250rpmで攪拌
しながら、135℃に20分以内で昇温し、この温度を1時間
保った。攪拌を停止し、生成固体(III)を沈降させ
て、上澄み液をデカンテーションで除いた。生成固体
(III)にTiCl41L、トルエン2.5L、およびジイソブチル
フタレート21mlを添加し、135℃に加熱し、回転数250r
pmで1.5時間攪拌した。上澄液をデカンテーションで除
き、残分にTiCl42Lを添加し、攪拌しながら10分間リフ
ラックスさせた。上澄み液をデカンテーションで除き、
残分を2Lのトルエンで3回、さらに2Lのヘキサンで4回洗
浄して、固体触媒成分(A)116gを得た。この固体触媒
成分(A)には、マグネシウム17.3重量%、チタン2.3重
量%、塩素55.6重量%、およびジイソブチルフタレート8.
6重量%が含有されていた。
【0023】(2)予備重合処理 攪拌機を装備し、高純度窒素で置換された内容積50Lの
ステンレス製反応器に、ヘキサン20L、固体触媒成分
(A)100g、トリエチルアルミニウム0.1molおよびジイ
ソプロピルジメトキシシラン0.015molを加えた。30℃
で、回転数200rpmで攪拌しながら、プロピレン分圧が0.
1MPaになるまでプロピレンガスを導入、加圧し、6時間
予備重合処理を行った。その後、プロピレンガスをパー
ジした。重合したプロピレン量は固体触媒成分(A)1g
に対して3gであった。
【0024】(3)本重合 攪拌機を装備し、高純度窒素で置換された内容積100Lの
ステンレス製反応器に、予備重合処理した固体触媒成分
(A)を固体触媒成分として0.5g/hで、トリエチルアル
ミニウムを0.018mol/hで、ジイソプロピルジメトキシシ
ランを0.003mol/hでそれぞれ連続的に供給した。同時
に、重合温度70℃の条件下、重合圧力が2.3MPaを維持す
るようにプロピレンを連続的に供給し、さらに、気相部
の水素/プロピレンmol比が0.055となるように水素を連
続的に供給して、プロピレンの連続気相重合をおこな
い、14kg/hの生産ペースにて粉末状のポリプロピレンを
得た。
【0025】(4)造粒 得られた粉末状ポリプロピレン100重量部に対して、酸
化防止剤のテトラキス−[メチレン−3−(3',5'−ジ−
t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
メタン0.10重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェ
ニル)フォスファイト0.10重量部を添加し、ヘンシェル
ミキサー(商品名)によって均一に混合した。得られた
混合物を、口径が65mm、L/Dが30の押出機を用い、押出
温度230℃にて溶融混練して、ペレット状のポリプロピ
レン樹脂(P1)を得た。P1のMFRは8.5dg/minであっ
た。
【0026】製造例2 製造例1の(3)本重合においてプロピレンに代えてエ
チレン/プロピレン混合ガスを、重合圧力が2.3MPaを維
持するようにエチレン/プロピレンmol比0.004で連続的
に供給する以外は製造例1に準じて実施して、14.7kg/h
の生産ペースにて粉末状のポリプロピレンを得た。得ら
れた粉末状ポリプロピレンを製造例1の(4)に準じて
造粒し、ペレット状のポリプロピレン樹脂(P2)を得
た。尚、P2のMFRは8.2dg/min、エチレン含有量は0.5
重量%であった。
【0027】製造例3 製造例2におけるエチレン/プロピレンmol比を0.017に
変更した以外は製造例2に準じて実施して、ペレット状
のポリプロピレン樹脂(P3)を得た。尚、P3のMFR
は9.1dg/min、エチレン含有量は2.5重量%であった。
【0028】実施例1 表面が鏡面仕上げされたアルミニウム板(アクリサンデ
ー製:表面の中心線平均粗さRa(mold)=0.043μ
m:厚み0.1mm)を裁断して、長さ20cm、幅15cmの板2枚
を準備した。製造例1で得たペレット状ポリプロピレン
樹脂(P1)0.5gを該アルミニウム板の間に挟み、プレ
ス成形機(庄司鉄鋼製10トンプレス成形機)に挿入し、
温度230℃、圧力0.1MPaで5分間予熱し、その後20MPa迄
昇圧し、5分間保持して加熱溶融した。溶融したポリプ
ロピレン樹脂をアルミニウム板ごと、予め用意した氷冷
水30L中に浸漬し、3分間冷却固化させて厚み0.05mmのフ
ィルムを得た。該フィルムを真空下、145℃において6時
間加熱し、フィルムF1を得た。 F1の物性値を表1
に示した。
【0029】実施例2 実施例1において使用したポリプロピレン樹脂(P1)
をポリプロピレン樹脂(P2)に代えた以外は実施例1
に準じて実施して、フィルムF2を得た。F2の物性値
を表1に示した。 実施例3 実施例1において使用したポリプロピレン樹脂(P1)
をポリプロピレン樹脂(P3)に代えた以外は実施例1
に準じて実施して、フィルムF3を得た。F3の物性値
を表1に示した。 実施例4 実施例1において氷冷水による冷却固化に代えて、5?C
に設定されたプレス成型機(庄司鉄鋼製10トンプレス成
型機)を用い、圧力10MPa下、3分間冷却固化させた以外
は実施例1に準じて実施して、フィルムF4を得た。F
4の物性値を表1に示した。
【0030】比較例1 実施例1において実施した真空下、145℃における6時間
の加熱を実施しなかった以外は実施例1に準じて実施し
て、フィルムF5を得た。F5の物性値を表1に示し
た。 比較例2 実施例1で使用したアルミニウム板をアルミ箔(表面の
中心線粗さRa(mold)=0.248μm)で包み、これを使用しポ
リプロピレン樹脂ペレットを挟んだ以外は実施例1に準
じて実施して、フィルムF6を得た。F6の物性値を表
1に示した。 比較例3 表面が鏡面仕上げされたステンレス板(SUS304、表面の
中心線平均粗さRa(mold)=0.053μm:厚み0.1m
m)を裁断して、長さ20cm、幅15cmの板を2枚準備した。
製造例1で得たペレット状サンプル(P1)0.5gを該ス
テンレス板間に挟み、プレス成形機(庄司鉄鋼製10トン
プレス成形機)に挿入し、温度230℃、圧力0.1MPaで5分
間予熱し、その後20MPa迄昇圧し、5分間保持して加熱溶
融させた。溶融したサンプルをステンレス板ごと、予め
50℃に設定したプレス成形機(庄司鉄鋼製10トンプレス
成形機)に挿入し、圧力10Mpaの下で、3分間、冷却固化
させて、厚み0.05mmのフィルムを得た。該フィルムを真
空下、145℃において6時間加熱し、フィルムF7を得
た。 F7の物性値を表1に示した。
【0031】
【表1】 (註1)使用した材質について「化学工学協会編、改訂
三版 化学工学便覧、丸善、1968」に記載の数値をもと
に、熱伝導率が100 W/m・K以上の場合を○、100 W/m・K未
満の場合をXで示した。 (註2)実施例に示した方法による広角X線回折測定に
於いて、α晶に基づく回折パターンが得られた場合を
○、α晶以外の結晶形に基づく回折パターン及びα晶以
外の結晶形とα晶の結晶形に基づく回折パターンが混在
している場合をXと示した。 (註3)5μmを超える組織構造が認められない場合を
○、認められる場合をXで示した。 (註4)スメチカ晶であることから、結晶化度といった
α晶に対して用いられる結晶化度算出方法からは外れる
ものと思われるが、赤外分光法に於いて実施例記載の式
に基づいて算出された数値を結晶化度χとし、該結晶化
度χを用いて計算された結晶厚みLcをそれぞれ示す。
【0032】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン樹脂成形体の製
造方法によれば、透明性(ヘイズが小さい)と剛性(引
張弾性率が高い)に優れたポリプロピレン樹脂成形体を
得られる。すなわち広角X線回折により得られる回折パ
ターンが単斜晶(α晶)を呈し、光散乱法による測定に
よって5μm以上の組織構造が認められず、赤外分光法に
より求められた結晶化度χが60重量%以上であり、結晶
化度χと小角X線散乱により求められる長周期Lとの積
(χ・L/100)で表される結晶厚みLcが9nm以上であ
り、引張弾性率Eが1400MPa以上であることを満たす、
透明性と剛性に優れたポリプロピレン樹脂成形体を得ら
れる。
フロントページの続き (72)発明者 南澤 尚伸 東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 チ ッソ株式会社内 (72)発明者 益川 解文 千葉県市原市五井海岸5番地の1 チッソ 石油化学株式会社高分子研究所内 (72)発明者 川本 尚史 千葉県市原市五井海岸5番地の1 チッソ 石油化学株式会社高分子研究所内 Fターム(参考) 4F071 AA15 AA15X AA20 AA20X AA21 AA21X AF14 AF30 AH19 BA01 BB03 BB05 BB06 BC01 BC07 4F202 AF16 AR06 CA30 CB01 CK09 CN01 CN05 CN15

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融樹脂と接触する表面の中心線平均粗
    さRa(mold)が0.1 μm以下であり、熱伝導率が100W/m・K
    以上である金型を用いて、溶融樹脂を50℃以下にまで冷
    却固化させて成形体とした後、該成形体に60℃以上150
    ℃以下の範囲の温度で20J/g以上の熱量を与えることを
    特徴とする、ポリプロピレン樹脂成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 溶融樹脂と接触する表面の中心線平均粗
    さRa(mold)が0.1 μm以下であり、熱伝導率が100W/m・K
    以上である金型を用いて、溶融樹脂を50℃以下までに冷
    却固化させて成形体とした後、該成形体に60℃以上150
    ℃以下の範囲の温度で20J/g以上の熱量を与えることに
    より得られる、広角X線回折により得られる回折パター
    ンが単斜晶(α晶)を呈し、光散乱法による測定によっ
    て5μm以上の組織構造が認められず、赤外分光法により
    求められた結晶化度χが60重量%以上であり、結晶化度
    χと小角X線散乱により求められる長周期Lとの積(χ
    ・L/100)で表される結晶厚みLcが9nm以上であり、
    引張弾性率Eが1400MPa以上であることを満たす、透明
    性と剛性に優れたポリプロピレン樹脂成形体。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013105848A (ja) * 2011-11-11 2013-05-30 Denso Corp はんだ付け装置

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