JP3666384B2 - プロピレン共重合体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、柔軟性及び透明性を有し、かつ引張強度、耐衝撃性等の機械物性に優れたプロピレン共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロピレン単独重合体は耐熱性、剛性等が優れているため、射出成形品、シート、フィルム、容器等の分野で幅広く利用されている。また、従来ポリ塩化ビニルが使用されてきた、例えば化粧シート等の建材分野や、食品包装分野においても、ポリオレフィンへの代替の検討が積極的に行われ、柔軟性、耐熱性、透明性を併せ持つ材料が要望されている。しかしながら、プロピレン単独重合体は、耐熱性に優れるものの、柔軟性、透明性に劣り、ポリエチレンおよびエチレン−α−オレフィン共重合体は、柔軟性、透明性に優れるが、耐熱性が劣ることから、その使用範囲は限られていた。
【0003】
このような用途にはプロピレンに少量のエチレン及び/又は炭素原子数4〜6のα−オレフィンを共重合させたランダム共重合体が従来より用いられているが、この重合体は透明性に優れるものの、柔軟性は今一つであり、また耐熱性が低下するという本質的な問題があった。
ポリプロピレンの柔軟性と透明性を改良する方法として、例えば特開平8−100037号公報に、二段重合により特定の極限粘度比を有するプロピレン単独重合体とエチレン含有量25〜65重量%の共重合体を製造する、優れた耐熱性と柔軟性を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体の製造方法が開示されている。また、特開平10−316810号公報、特開平11−92619号公報等には、ランダムポリプロピレンをマトリックスとした柔軟性と透明性が良好なプロピレン系ブロック共重合体が開示されている。
【0004】
しかしながら、耐熱性、透明性、柔軟性をバランス良く改良したプロピレン系の重合体はまだ得られてはいない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の従来技術に鑑みてなされたものであり、優れた柔軟性、透明性およびプロピレン単独重合体と同等レベルの耐熱性を有し、かつ引張強度や耐衝撃性等の機械物性に優れたプロピレン共重合体を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、プロピレンとエチレンとを必須成分とする、プロピレンと炭素原子数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体であって、以下の条件を満足するプロピレン共重合体、に存している。
(1)プロピレンの含有量:85〜95重量%
(2)室温でキシレンに可溶な成分(以下「室温キシレン可溶分」又は単に「CXS 」と記す):10〜90重量%
(3)プロピレン以外のα−オレフィン含有量(以下「αt」と示す。単位:重量% )と、上記の室温キシレン可溶分(CXS)とが、次式の関係を満たす
【0007】
【数2】
Figure 0003666384
(4)融点ピーク温度:160℃以上
(5)曲げ弾性率150〜600MPa
本発明の、別の要旨は、プロピレンとエチレンのみからなる上記のプロピレン共重合体、室温キシレン可溶分(CXS)が30重量%を超え、かつ60重量%以下である上記のプロピレン共重合体、及び厚さ2mmのシートのヘイズが70%以下、引張り破断点強度が30MPa以上の上記のプロピレン共重合体にも存している。
【0008】
また、本発明の他の要旨は、少なくとも二段階の重合により製造され、その一段目でプロピレン単独重合体を製造し、次いで二段目以降でプロピレンとエチレンとを含むプロピレンと炭素原子数2〜8のα−オレフィンとの共重合体を製造することにより得られる上記のプロピレン共重合体にも存している。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のプロピレン共重合体は、プロピレンとエチレンとを必須成分とする、プロピレンと、炭素原子数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体である。
ここで用いることができる他のα−オレフィンとしては、必須成分であるエチレンの他に、例えば、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。特に好ましい共重合体は、プロピレンとエチレンのみからなるものである。
【0010】
プロピレンの含有量および炭素原子数2〜8のプロピレン以外のα−オレフィン含有量(αt)としては、それぞれ85〜95重量%及び5〜15重量%であることが必要である。
より好ましいプロピレン含有量及びαtは、それぞれ87〜95重量%及びおよび5〜13重量%であり、更に好ましいのは、それぞれ88〜92重量%および8〜12重量%の範囲である。プロピレン含有量が前記範囲を超過し、αtが前記範囲未満では、柔軟性が乏しくなり、プロピレン含有量が前記範囲未満で、αtが前記範囲を超過すると、透明性が低下する傾向となる。
【0011】
このプロピレン共重合体の室温でキシレンに可溶な非結晶成分(CXS)は、共重合体全体の10重量%以上、90重量%以下であることが必要であり、好ましくは30重量%を超えて、かつ60重量%以下である。CXSがこの範囲未満では柔軟性が不十分となり、またこの範囲を超えて高い場合は、耐熱性が劣ることになる。
【0012】
また、炭素原子数2〜8のプロピレン以外のα−オレフィン含有量(αt:重量%)と、室温キシレン可溶分(CXS:重量%)との間には、下式の関係が満たされていることが必要である。
【0013】
【数3】
CXS>5αt−25 (5≦αt≦15)
CXSが上記の式を満たさない場合は、透明性が損なわれる。
これらの条件を満たす本発明のプロピレン共重合体は、プロピレン単独重合体と同等の融点を有し、そのピーク温度は160℃以上と、高い耐熱性を有する。
【0014】
また、JIS K7203に準拠して温度23℃で測定した曲げ弾性率が150MPa〜600MPa、JIS K6717に準拠して測定した厚さ2mmのシートのヘイズは70%以下と、優れた柔軟性と透明性を有し、更にJIS K7113に準拠して温度23℃で測定した引張破断点強度が30MPa以上と、機械的強度も高い材料となる。
また、引張降伏点応力(ISO−R1184に準拠)も15MPa以下の柔軟性に優れたものも得ることができる。
【0015】
本発明のプロピレン共重合体は、上記の諸条件を満たしている限り、どのような製造方法によって得られたものでもよい。例えば、少なくとも二段階の重合により、一段目でプロピレン単独重合体を製造した後、二段目以降でプロピレンとエチレンとを必須成分とするプロピレンと炭素原子数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体を製造する方法を用いても、またはプロピレン単独重合体とプロピレンとエチレン及び必要に応じて炭素原子数4〜8の他のα−オレフィンとの共重合体とを混合することにより、全体としてプロピレンが85〜95重量%、αtが5〜15重量%からなるものを得てもよい。
【0016】
好ましいのは、少なくとも二段以上の重合による前者の方法である。以下、この製造方法について詳述する。
この重合に用いられる触媒は、特に限定されるものではないが、有機アルミニウム化合物と、チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子及び電子供与性化合物を必須とする固体成分とからなるものが好ましい。
【0017】
ここで、有機アルミニウム化合物としては、一般式R1 mAlX(3-m)(式中、R1は炭素原子数1〜12の炭化水素残基、Xはハロゲン原子を示し、mは1〜3の数である)で表される化合物、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムジハライド、ジエチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライド等が挙げられる。
【0018】
チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子、及び電子供与性化合物を必須とする固体成分の、チタン原子の供給源となるチタン化合物としては、一般式Ti(OR2(4-n)n(式中、R2は炭素原子数1〜10の炭化水素残基、Xはハロゲン原子を示し、nは0〜4の数である)で表される化合物が挙げられ、中でも四塩化チタン、テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン等が好ましい。
【0019】
マグネシウム原子の供給源となるマグネシウム化合物としては、例えば、ジアルキルマグネシウム、マグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド等が挙げられ、中でもマグネシウムジハライドが好ましい。
ハロゲン原子としては、弗素、塩素、臭素、沃素が挙げられ、この内では塩素が好ましい。ハロゲン原子は通常、前記のチタン化合物やマグネシウム化合物から供給されるが、アルミニウムのハロゲン化物、珪素のハロゲン化物、タングステンのハロゲン化物等の他のハロゲン供給源から供給されてもよい。
【0020】
電子供与性化合物としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸又は無機酸及びその誘導体等の含酸素化合物、アンモニア、アミン類、ニトリル類、イソシアネート類等の含窒素化合物等が挙げられる。この中で、無機酸エステル、有機酸エステル、有機酸ハライド等が好ましく、珪酸エステル、フタル酸エステル、酢酸セロソルブエステル、フタル酸ハライド等が更に好ましい。
【0021】
上記の珪酸エステルとしては、一般式R34 (3-p)Si(OR5p(式中、R3は炭素原子数3〜20、好ましくは4〜10の分岐脂肪族炭化水素残基又は炭素原子数5〜20、好ましくは6〜10の環状脂肪族炭化水素残基を示し、R4は炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10の分岐又は直鎖脂肪族炭化水素残基を示し、R5は炭素原子数1〜10、好ましくは1〜4の脂肪族炭化水素残基を示し、pは1〜3の数である)で表される有機珪素化合物、例えばt−ブチル−メチル−ジメトキシシラン、t−ブチル−メチル−ジエトキシシラン、シクロヘキシル−メチル−ジメトキシシラン、シクロヘキシル−メチル−ジエトキシシラン等が特に好ましい。
【0022】
プロピレン共重合体の製造は、第一段階でプロピレン又はプロピレンと炭素原子数2〜8の他のα−オレフィンを供給して、前記の触媒の存在下に温度50〜150℃、好ましくは50〜100℃、プロピレンの分圧0.5〜4.5MPa、好ましくは1.0〜3.5MPaの条件で、プロピレンの重合を実施し、続いて第二段階で、プロピレンとエチレン、又はプロピレンとエチレンと炭素原子数4〜8のα−オレフィンとを供給して、前記触媒の存在下に温度50〜150℃、好ましくは50〜100℃、プロピレン及びエチレンの分圧各0.3〜4.5MPa、好ましくは0.5〜3.5MPaの条件で、プロピレン−エチレン共重合又はプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合を実施することにより行うことができる。
【0023】
この重合は、回分式、連続式、半回分式のいずれによってもよく、第一段階の重合は気相又は液相中、また第二段階以降の重合も気相又は液相中、特には気相中で実施するのが好ましく、各段階の滞留時間は各々0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間とするのがよい。
この方法において、αtは各段階において仕込む単量体の組成により、CXS及び融点ピーク温度は、第1段階と第2段階以降の重合量の割合や例えば水素供給量で調節される分子量により調整することができる。また、触媒の種類の選択によっても調整が可能である。
【0024】
前記の方法により製造される重合体の粉体粒子にベタツキ等の問題が生じる際は、粉体粒子の流動性を付与するため、第一段階での重合後、第二段階での重合開始前又は重合途中に、活性水素含有化合物を、触媒の固体成分中のチタン原子に対して100〜1000倍モルで、かつ触媒の有機アルミニウム化合物に対して2〜5倍モルの範囲で添加することが好ましい。
【0025】
ここで、活性水素含有化合物としては、例えば、水、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、カルボン酸類、酸アミド類、アンモニア、アミン類等が挙げられる。
本発明のプロピレン共重合体には、その透明性を損なわない範囲でエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン系重合体や、スチレンとブタジエンのブロック共重合体の水素添加物等を配合してもよく、またプロピレン系重合体の透明性向上に常用されるα晶結晶核剤を添加しても良い。更に柔軟性等を付与するためにゴム用軟化剤が配合されてもよい。
【0026】
また本発明のプロピレン共重合体には、本発明の効果を損なわない範囲で上記以外のその他の各種樹脂やゴム、ガラス繊維、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、マイカ、クレー等の充填材、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、分散剤、中和剤、難燃剤等の各種添加剤、等を必要に応じて添加して用いてもよい。本発明のプロピレン共重合体は、ポリオレフィンに適用されている押出成形、射出成形、圧縮成形等の各種の成形法により、単体として又は他の材料との積層体等として、所望の形状に賦形されて成形体とされる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて、更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。
<プロピレン共重合体の製造>
以下の実施例及び比較例で用いるプロピレン共重合体の製造方法は次の通りである。
(1)固体成分触媒の製造
窒素置換した内容積50リットルの攪拌機付反応槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン20リットルを導入し、次いで塩化マグネシウム4モルとテトラブトキシチタン8モルとを導入して95℃で2時間反応させた後、温度を40℃に下げ、メチルヒドロポリシロキサン(粘度20センチストークス)480ミリリットルを導入して更に3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
【0028】
続いて、前記と同様の攪拌機付反応槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン15リットルを導入し、次いで上記で得られた固体成分をマグネシウム原子換算で3モル導入し、更に四塩化珪素8モルをn−ヘプタン25ミリリットルに加えた混合液を30℃で30分間かけて導入して、温度を90℃に昇温して、1時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
【0029】
引き続いて、前記と同様の攪拌機付反応槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン5リットルを導入し、次いで上で得られた四塩化珪素処理したチタン含有固体成分250グラムと、1,5−ヘキサジエン750グラム、t−ブチルーメチルージメトキシシラン130ミリリットル、ジビニルジメチルシラン10ミリリットル、トリエチルアルミニウム225グラムとをそれぞれ導入して30℃で2時間接触させた後、反応液を取り出し、n−ヘプタンで洗浄して固体成分触媒を得た。
【0030】
得られた固体成分触媒は、1,5−ヘキサジエンの予備重合量がチタン含有固体成分あたり、2.9グラムであった。
(2)プロピレン/プロピレン−エチレンの二段重合
内容積550リットルの第一段反応器に、温度70℃で加圧下(70℃においては約3.2MPaになる)において、プロピレンとトリエチルアルミニウム及び、重合体生成速度が20kg/時間となるような量の前記固体成分触媒とを連続的に供給し、更に分子量調整剤として水素をやはり連続的に供給して液相中で第1段階の重合を実施した。
【0031】
続いて、プロピレンパージ槽を経由して、生成重合体を内容積1900リットルの第二段反応器に導入し、温度60℃で、圧力3.0MPaになるように、目的とする共重合体の組成割合に応じたプロピレンとエチレンとを連続的に供給し、更に分子量調整剤として水素を連続的に供給するとともに、活性水素化合物(エタノール)を、第一段階で供給した固体成分触媒中のチタン原子に対して200倍モルで、トリエチルアルミニウムに対して2.5倍モルになるように供給して気相中で重合を実施し、生成重合体を連続的にベッセルに移した後、水分を含んだ窒素ガスを導入して反応を停止させた(第二段階重合)。
<実施例1〜6、比較例1〜4>
前記の方法に従って、プロピレン等の仕込量を変えて、種々のCXS、αt等の重合体を製造した。
重合体の組成分析
これら各実施例及び比較例の重合体について、以下に示す方法で、炭素原子数2〜8のプロピレン以外のα−オレフィン含有量(αt)、及び組成物全体に対する室温でキシレンに可溶な非結晶成分の重量割合(CXS)をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
(1)炭素原子数2〜8のプロピレン以外のα−オレフィン含有量(αt)
αtは、一般に赤外分光光度法または13C−NMRスペクトル法によりKang−Bong Lee et.al,Polymer J.28,696−702ページ(1996年)に記載の方法で求めることができるが、本実施例においては赤外分光光度法よって測定した。
(2)室温でキシレンに可溶な非結晶成分の重量割合(CXS)
サンプル1gを油浴槽中のキシレン300ミリリットル中に入れ、キシレンの沸点である140℃で撹拌下に溶解してそのまま1時間攪拌を続ける。続いて、撹拌しながら1時間以内で100℃まで降温した後、急冷用油浴槽に移して撹拌を継続しながら23±2℃まで急冷してポリマーを析出させ、20分間以上放置した。析出物を濾紙で自然濾過し、濾液をエバポレータを用いて蒸発乾固して、120℃で2時間減圧乾燥した後、常温まで放冷してその重量を測定することによりCXSを算出した。
重合体の評価
得られたプロピレン共重合体のメルトフローレート(MFR)、密度は下記(1)、(2)の方法で測定した。
【0032】
また得られたプロピレン共重合体の硬度、機械物性(曲げ弾性率、引張特性及び衝撃強度)、ヘイズ、融点ピーク温度は以下の方法で作成したサンプルを用いて下記(3)〜(8)に従って測定した。即ち、プロピレン共重合体に、酸化防止剤としてテトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(日本チバガイギー社製「IRGANOX 1010」)とトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(日本チバガイギー社製「IRGAFOS 168」)とを、中和剤としてステアリン酸亜鉛を、それぞれプロピレン共重合体100重量部に対して0.05重量部ずつ添加し、シリンダー径45mmの二軸押出機(池貝社製「PCM45」)を用いて設定温度200℃にて溶融混練してペレット化した後、型締め圧100tの射出成形機(日本製鋼所社製「N−100」)を用いて、ホッパー下温度175℃、シリンダー温度220℃、ノズル温度210℃、金型温度40℃にて、射出成形を行って試験片サンプルを得た。測定結果を表1に示す。
(1)メルトフローレート
JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nにて測定した。
(2)密度
JIS K7112に準拠し、水中置換法にて測定した。
(3)硬度
JIS K7215に準拠し、タイプDのデュロメータ硬さを測定した。
(4)曲げ弾性率および曲げ応力
JIS K7203に準拠し、温度23℃にて測定した。
(5)引張特性
JIS K7113に準拠し、2号形試験片を用いて、温度23℃、引張速度50mm/分にて、引張降伏点強度、引張破断点強度、及び引張破断点伸びを測定した。
(6)衝撃強度
JIS K7110に準拠し、温度23℃及び0℃にて、ノッチ付きのアイゾット衝撃強度を測定した。
(7)ヘイズ
JIS K6717に準拠し、2mmの射出成形シートのヘイズを測定した。
(8)融点ピーク温度
JIS K7121に準拠し、示差操作熱量計(セイコーインスツルメンツ社製DSC)を用いて、昇温速度10℃/分で融点ピーク温度を測定した。
【0033】
【表1】
Figure 0003666384
【0034】
<結果の評価>
表1に示した結果から、次の諸点が判明する。
(1)CXSが「5αt−25」よりも小さい値となる比較例1では、同等のプロピレン含有量の実施例4と比べてヘイズが劣り、透明性が不十分である。
(2)CXSが上記条件を満たさず、またαtも本発明の範囲外の比較例2では、機械的強度(破断点応力・伸び)が低く、またヘイズも劣る。
(3)CXSの値が、本発明の範囲に満たない比較例3では、実施例と比べて、衝撃強度が劣っている。
(4)CXSやαtは本発明の範囲内であるが、融点ピーク温度が低い比較例4においては、機械的強度(破断点応力・伸び)が低くなっている。
【0035】
【発明の効果】
本発明のプロピレン重合体は、耐熱性と柔軟性、透明性が良好であり、かつ引張破断点強度や耐衝撃性等の機械物性に優れている。

Claims (7)

  1. プロピレンとエチレンとを必須成分とする、プロピレンと炭素原子数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体であって、以下の条件を満足するプロピレン共重合体。
    (1)プロピレンの含有量:85〜95重量%
    (2)室温でキシレンに可溶な成分(以下「室温キシレン可溶分」又は単に「CXS 」と記す):10〜90重量%
    (3)プロピレン以外のα−オレフィン含有量(以下「αt」と示す。単位:重量% )と、上記の室温キシレン可溶分(CXS)とが、次式の関係を満たす
    Figure 0003666384
    (4)融点ピーク温度:160℃以上
    (5)曲げ弾性率150〜600MPa
  2. プロピレンとエチレンのみからなる請求項1に記載のプロピレン共重合体。
  3. 室温キシレン可溶分(CXS)が30重量%を超え、かつ60重量%以下である請求項1又は2に記載のプロピレン共重合体。
  4. 厚さ2mmのシートのヘイズが70%以下、引張り破断点強度が30MPa以上の請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン共重合体。
  5. 引張降伏点応力が15MPa以下の請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン共重合体。
  6. 少なくとも二段階の重合により製造され、その一段目でプロピレン単独重合体を製造し、次いで二段目以降でプロピレンとエチレンとを含むプロピレンと炭素原子数2〜8のα−オレフィンとの共重合体を製造することにより得られる請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン共重合体。
  7. 重合触媒として、(a)有機アルミニウム化合物と、(b)チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子及び電子供与性化合物を必須とする固体成分、とからなる触媒を用いて得られる請求項6に記載のプロピレン共重合体。
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