JP2002166180A - 触媒複合成形体およびその製造方法ならびにその使用方法 - Google Patents

触媒複合成形体およびその製造方法ならびにその使用方法

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JP2002166180A
JP2002166180A JP2000363382A JP2000363382A JP2002166180A JP 2002166180 A JP2002166180 A JP 2002166180A JP 2000363382 A JP2000363382 A JP 2000363382A JP 2000363382 A JP2000363382 A JP 2000363382A JP 2002166180 A JP2002166180 A JP 2002166180A
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Yasuyuki Sakakura
康之 坂倉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】反応器への充填の際の紛化や崩壊が高度に防止
され且つ製造工程における触媒同士の粘着を全く顧慮す
る必要のない触媒複合成形体を提供する。 【解決手段】成型触媒または担持触媒を熱分解性高分子
化合物で相互に結着して反応器に充填し得る大きさの範
囲内にブロック化して成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は触媒複合成形体およ
びその製造方法ならびにその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、工業的に使用される触媒は、
触媒成分の粉末が球状や円柱状に成型された成型触媒
と、球状、円柱状、リング状などの不活性担体に触媒成
分が担持させた担持触媒に大別される。
【0003】ところで、反応器への充填の際、触媒粒子
の粉化や割れや表面コーティングの崩壊があると、実際
の反応の際に、反応器の閉塞による反応ガスの偏流、反
応ガスの圧力損失の増大、反応収率の低下などの問題が
発生する。
【0004】特許第2852712号公報には、反応器
に充填する際の衝撃による触媒粒子の破壊を防止する目
的で、解重合性を有する有機高分子化合物で成型触媒ま
たは担持触媒の表面の一部または全部をコーティングし
た固体触媒が提案され、特許第2855375号公報に
は、上記の固体触媒の使用方法として、反応器に上記の
固体触媒を充填し、反応開始前に触媒にコーティングさ
れている有機高分子化合物を解重合して除去した後に反
応行う方法が提案されている。
【0005】しかしながら、触媒毎に有機高分子化合物
のコーティングが行われる上記の固体触媒は、触媒同士
が結着しない様なコーティング操作が必要であり、斯か
る操作は必ずしも容易ではない。
【0006】すなわち、上記の公報には、有機高分子化
合物は溶液としてコーティングに使用されるが、その
際、「溶液中の高分子化合物の濃度が高すぎると、溶液
の粘度が高くなり成型触媒又は担持触媒どうしが粘着し
操作上困難を招くので、溶液中の高分子化合物の濃度は
1〜30重量%の範囲を用いることが好ましい」と記載
されている。
【0007】ところで、乾燥工程においては、触媒同士
の接触を避けることは極めて困難であり、非常に非効率
な乾燥を行わなければならない。仮に、触媒粒子の結着
を避けるため、触媒粒子を移動(又は回転)させつつ乾
燥させた場合は、触媒粒子の崩壊が避けられない。溶媒
の作用で触媒粒子の強度が低下したり、触媒成分の薄層
コーティングの付着力が低下する様な場合は、乾燥工程
での触媒粒子の崩壊は顕著である。
【0008】また、上記の様なコーティング触媒は、コ
ーティグ前の触媒に比して物理的衝撃に対する抵抗性が
高められてはいるが、工業的規模の反応器に触媒を充填
する際に触媒粒子同士が受ける流動摩擦による粉化や崩
壊を完全に避けることは困難である。特に、触媒同士の
粘着を防止するために低濃度のコーティング溶液を使用
し、触媒表面の高分子化合物のコーティング量が少ない
場合は、流動摩擦による粉化や崩壊は無視できない程度
となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、反応器への充填
の際の粉化や崩壊が高度に防止され且つ製造工程におけ
る触媒同士の粘着を全く顧慮する必要のない触媒複合成
形体およびその製造方法ならびにその使用方法を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討を
重ねた結果、前記のコーティング触媒の先行技術におい
て回避すべきとされた触媒同士の粘着現象を巧みに利用
し、むしろ、触媒同士を結着してブロック化するなら
ば、反応器に充填する際の触媒粒子同士の流動摩擦の問
題は一気に解決されるとの着想に至った。
【0011】本発明は、上記の着想を基に更に検討を重
ねて完成されたものであり、一群の関連発明から成り、
各発明の要旨は次の通りである。
【0012】すなわち、本発明の第1の要旨は、成型触
媒または担持触媒を熱分解性高分子化合物で相互に結着
して反応器に充填し得る大きさの範囲内にブロック化し
て成ることを特徴とする触媒複合成形体に存する。
【0013】本発明の第2の要旨は、反応器または反応
器の内面形状の少なくとも一部と相似形状の結着容器に
成型触媒または担持触媒を充填し且つ熱分解性高分子化
合物で相互に結着することを特徴とする触媒複合成形体
の製造方法に存する。
【0014】そして、本発明の第3の要旨は、反応器に
上記の触媒複合成形体を充填し、反応開始前に熱分解性
高分子化合物を熱分解により除去して個々の成型触媒ま
たは担持触媒に分解した後、反応を行うことを特徴とす
る触媒複合成形の使用方法に存する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の触媒複合成形体は、成型触媒または担持触媒を
熱分解性高分子化合物で相互に結着して反応器に充填し
得る大きさの範囲内にブロック化して成る。
【0016】先ず、上記の触媒について説明する。本発
明において、触媒の種類は特に制限されず、各種の成型
触媒または担持触媒を使用することが出来る。斯かる触
媒の例としては、モリブデン(Mo)、ビスマス(B
i)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)の群から選
択される少なくとも1種類を構成成分として含有し、プ
ロピレン、イソブチレン又はターシャリーブタノールを
酸化して対応するα、β−不飽和アルデヒドを製造する
ために使用される複合金属酸化物触媒、モリブデン(M
o)、バナジュウム(V)、コバルト(Co)、ニッケ
ル(Ni)、アンチモン(Sb)の群から選択される少
なくとも1種類を構成成分として含有し、(メタ)アク
ロレインを酸化して対応するα、β−不飽和カルボン酸
を製造するために使用される複合金属酸化物触媒などが
挙げられる。これらは、適宜に成型触媒または担持触媒
として使用される。
【0017】成型触媒は、上記の金属酸化物の乾燥また
は湿潤状態の粉末を成型して得られる。この場合、必要
に応じ、グラファイト等のバインダーが使用される。成
型には、錠剤機、押し出し機、造粒機などが使用され
る。成型触媒の形状は、特に制限されず、タブレット、
円柱状、球状などが挙げられるが、リング状が特に好適
である。すなわち、本発明は、形状が複雑であるため、
運搬、移動、反応器への充填の際に粉化や崩壊が起こり
易い触媒に対して特に有効である。通常、リング状触媒
の外径は3〜10mm、内径は外径の0.3〜0.7倍
(好ましくは0.3〜0.5倍)、長さは外径の0.5
〜2.0倍とされる。
【0018】担持触媒は、3〜10mmの大きさの多孔
質不活性担体の表面に上記の金属酸化物を担持させて得
られる。担持触媒の形状は不活性担体の形状で決定され
る。多孔質不活性担体としては、特に制限されず、シリ
カ、アルミナ、シリカ・アルミナ、マグネシア、チタニ
ア等の通常の担体が使用される。その形状についても特
に制限はなく、球状、円柱状、リング状などが採用され
る。
【0019】通常、触媒は、成型または担持処理の後、
200〜600℃程度の温度条件下に適当な酸化ガス気
流中で焼成され複合金属酸化物触媒としての触媒活性が
発現される。本発明で使用する触媒は、焼成前のもので
も焼成後ものでもよい。
【0020】次に、前記の熱分解性高分子化合物(バイ
ンダー)について説明する。本発明においては、触媒の
性能を劣化させることがない温度条件下で熱分解可能な
限り、如何なる種類の高分子化合物をも使用することが
出来る。熱分解温度は、通常60〜300℃、好ましく
は100〜200℃の温度範囲とするのがよい。斯かる
熱分解性高分子化合物としては、例えば、スチレン、α
−メチルスチレン等のスチレン類、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキ
シルエチル等のメタクリレート類やアクリル酸、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアク
リレート等を重合して得られる高分子化合物が挙げられ
る。
【0021】熱分解性高分子化合物は溶液または溶融液
として使用される。熱分解性高分子化合物の溶液を調製
する際の溶媒としては、トルエン、ベンゼン、シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサン、ペンタン、ヘキサンや
オクタン等の炭化水素類、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジ
エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、
酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル類が挙げら
れる。上記の溶液の濃度は、粘性などを考慮し、通常1
〜30重量%以下、好ましくは5〜20重量%とされ
る。
【0022】本発明の触媒複合成形体は、成型触媒また
は担持触媒を熱分解性高分子化合物で相互に結着して反
応器に充填し得る大きさの範囲内にブロック化して成る
ことを特徴とする。
【0023】本発明の触媒複合成形体は、反応器に充填
し、反応開始前に熱分解性高分子化合物を熱分解により
除去して個々の成型触媒または担持触媒に分解する、後
述の本発明方法に従って使用される。
【0024】従って、触媒複合成形体の形状は、反応器
に充填し得る大きさである限り特に制限されない。上記
の熱分解により触媒複合成形体(ブロック)が徐々に崩
壊し、反応器中において成型触媒または担持触媒が移動
することがあるが、斯かる移動は少量で且つ緩慢に行わ
れるため全く問題ない。
【0025】ところで、通常、触媒は固定床反応器に充
填して使用され、触媒の形状は、反応器に隙間無く充填
できる形状であることが好ましい。また、反応器の内壁
近傍や反応器の狭い所への充填用触媒の形状は反応器の
内形状に合った形状であることが好ましい。従って、触
媒複合成形体の形状は、使用する反応器の形状に合わせ
て選択するのが好ましい。すなわち、触媒複合成形体
は、反応器の内部形状の少なくとも一部と相似形状に成
形されるのが好ましい。上記の形状としては、煉瓦状、
板状、円柱状、三角柱状、六角柱状などが挙げられる。
【0026】例えば、多管式反応器に使用される触媒複
合成形体の形状は、反応器の内径と同じかそれより僅か
に小さい外径をもつ円柱形で且つ反応器の長さと同じか
それ以下が好ましい。反応器の長さが1m以上の場合に
は、触媒複合成形体の長さは最大1m程度に制限し、短
めの触媒複合成形体を複数個使用する。具体的な長さは
30〜50cmの範囲が好ましい。これにより、触媒複
合成形体の強度(高分子化合物のコーティング量)を無
駄に高める必要もなく、移動時にも触媒複合成形体が崩
壊することも少ない。
【0027】熱分解性高分子化合物は、触媒の形態に応
じ、触媒粒子集合体の粒子間の隙間または触媒粒子の表
面の一部をコーティングし触媒粒子相互を結着させる。
触媒複合成形体の強度は、上記の使用方法の説明からも
明らかな様に、余り高くする必要はない。また、触媒粒
子同士の結着力は成形体の形状を維持するに充分な結着
力があればよく、高分子化合物のコーティング量は出来
る限り少ない方が経済的であり、また、触媒の性能を損
なう可能性も低く好ましい。触媒複合成形体における熱
分解性高分子化合物の割合は、通常0.1〜10重量
%、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0028】本発明に係る触媒複合成形体は、反応器ま
たは反応器の内面形状の少なくとも一部と相似形状の結
着容器に成型触媒または担持触媒を充填し且つ熱分解性
高分子化合物で相互に結着する、本発明の製造方法に従
って得ることが出来る。ここで、結着容器は、触媒複合
成形体を製造するための専用容器であり、例えばステン
レス等で構成される。斯かる結着容器は、後述する種々
の操作の便宜性の観点から、反応器よりも好適に使用さ
れる。以下、反応器と結着容器とを合わせて容器と表現
する。
【0029】上記の各容器は、後述する溶媒の乾燥後、
結着容器の分解などにより成形体を取り出すことが出来
る構造(例えば分割構造など)でなければならない。ま
た、各容器の、少なくとも内表面は撥水性になされてい
るのが好ましい。斯かる撥水性は、例えば内面にテフロ
ン(登録商標)シートを配置するによって達成すること
が出来る。また、結着容器においては、容器内面にフッ
素樹脂やシリコーン等の撥水性化合物をコーティングす
ることによって達成することが出来る。
【0030】容器に充填された成型触媒または担持触媒
の熱分解性高分子化合物による結着は、容器内に熱分解
性高分子化合物の溶液(以下、「バインダー溶液」とい
う)を供給して成型触媒または担持触媒と接触させ、次
いで、溶媒を乾燥除去することにより行うことが出来
る。
【0031】バインダー溶液の容器内への供給は、容器
をバインダー溶液に浸漬するか、または、容器にバイン
ダー溶液を流し込むことにより行われる。これにより、
触媒粒子表面や触媒粒子間の隙間がバインダー溶液で濡
らされる。溶媒の乾燥除去は室温から100℃程度の温
度で行う。この際、窒素ガス等のガスを通気すること
は、溶媒の蒸発・飛散を助けるために有効であると共
に、触媒複合成形体の隙間が熱分解性高分子化合物で充
満されずにガスの通路である孔を多数持った多孔性の触
媒複合成形体を得るのに非常に重要である。この多孔性
は、熱分解性高分子化合物を熱分解によって除去する際
に重要な働きをする。溶媒の乾燥除去に使用するガスと
しては酸素濃度が10V/V%以下の窒素ガスが好まし
い。
【0032】本発明においては、上記の他、容器および
充填された成型触媒または担持触媒の全体を加熱して所
定の温度に保持し、当該容器に熱分解性高分子化合物の
加熱溶融液を流し込む方法を採用することも出来る。
【0033】本発明の触媒複合成形体は、本発明方法に
従って、反応器に充填し、反応開始前に熱分解性高分子
化合物を熱分解により除去して個々の成型触媒または担
持触媒の状態に戻した後に使用される(反応に供され
る)。結着容器から取り出された触媒複合成形体の場合
は、紙やプラスチックで形成された移動用容器を使用し
て取り扱われる。
【0034】触媒複合成形体(ブロック)の反応器への
充填は、落下させることがない様に必要に応じて適当な
治具を使用して行われる。そして、熱分解性高分子化合
物の熱分解は、反応器の温度を上昇する方法、高温ガス
を供給する方法、または、これらを組み合わせた方法を
使用して、熱分解性高分子化合物の熱分解温度以上に触
媒複合成形体の温度を上げることにより行う。この場
合、反応器に酸素濃度が10V/V%以下の窒素ガスを
流通させるのが好ましい。
【0035】上記の熱分解により、触媒複合成形体(ブ
ロック)は、個々の成型触媒または担持触媒の状態に戻
り、触媒の表面での反応ガスとの接触が可能となる。そ
して、上記の触媒が未焼成の場合は、温度を触媒の焼成
温度まで引き続いて上昇させ、触媒の焼成処理を行うこ
とも可能である。焼成温度は、触媒によって異なるが、
通常200〜600℃である。
【0036】ところで、プロピレンやイソブチレンの酸
化反応やアクロレインやメタクロレイン等の酸化反応や
アンモ酸化反応は非常に大きな発熱を伴う反応であり、
酸化反応の発熱に伴う触媒の劣化や損傷を避け、触媒層
の温度分布を制御する目的で、反応器の入口から出口に
向かって、反応器内の触媒の活性を変更することがしば
しば行われる。そして、触媒の活性を制御する方法の一
つとして、アルミナ粒子などの不活性希釈剤を触媒と混
合して反応器に充填する方法がある。
【0037】本発明の触媒複合成形体は、上記の方法に
よって反応器内の触媒層の温度分布を制御する際に非常
に有効である。すなわち、本発明によれば、予め目的の
比率の反応希釈剤が配合された触媒複合成形体を容易に
得ることが出来る。不活性希釈剤の比率は、通常0.7
以下であり、反応器のガスの流れ方向に向かって当該希
釈率を小さくする。この希釈率は通常2〜3段階に変更
される。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、以下において、
「部」とあるのは「重量部」を表し、ガスについて使用
された「%」は「V/V%」を表す。
【0039】実施例1 先ず、分子状酸素によるプロピレンの酸化反応でアクロ
レインやアクリル酸を製造する触媒として、Mo12Bi
5Co2Fe0.4Ni3Na0.10.20.1Si24の組成の
触媒粉末を調製した。この触媒粉末100部にグラファ
イト(成型バインダー)2部を添加し、外径6mm、内
径2mm、高さ6mmのリング状に打錠成形した後、5
00℃で6時間、焼成して成型触媒とした。
【0040】次いで、結着容器としての直径27mm、
長さ300mmの半割れ構造のステンレス管の内周にテ
フロンシートをセットし、上記のリング状の成型触媒を
充填した。この際、成型触媒の崩壊や粉化が起こらない
様に結着容器を若干斜めにして成型触媒を慎重に挿入し
て充填した。そして、トルエン150部にポリメタクリ
ル酸メチル23部を溶解して調製した溶液を流し込み成
型触媒の表面を濡らした後に充分に液切りをした。
【0041】次いで、結着容器の下部から窒素ガスを流
してトルエンを蒸発させた。充分にトルエンが蒸発した
ことを確認した後、結着容器のテフロンシートを剥がし
て触媒複合成形体(A)を取り出した。
【0042】一方、上記とは別途に、上記と同様の成型
触媒と希釈材であるアルミナ粒子(粒径約5mm)とを
60対40の容積比率で混合して使用したこと以外は、
上記と同様にして触媒複合成形体(B)とした。
【0043】次いで、直径28mm、長さ3.5mのス
テンレス製反応器の反応ガスの出口部分に上記の触媒複
合成形体(A)を6本、反応ガスの入口部分に上記の触
媒複合成形体(B)を4本順次挿入した。その際、触媒
の崩壊や粉化は全く認められなかった。その後、空気流
通下反応器の外側から360℃に加熱し、ポリメタクリ
ル酸メチルを熱分解して除去した。5時間後に反応器か
ら放出される空気中にメタクリル酸メチルが痕跡程度と
なったことを確認した。
【0044】次いで、触媒性能を確認するため、ガス空
間速度890hr-1(0℃基準)、反応温度325℃の
条件下、プロピレン7%、空気70%、蒸気23%の混
合ガスを流通させ、プロピレンの酸化を行った。反応成
績は、プロピレン転化率97.3%、アクリル酸とアク
ロレインの合計収率は93.1%と良好であった。
【0045】実施例2 実施例1と同じ触媒粉末を使用した。先ず、この触媒粉
末100部にグラファイト(成型バインダー)2部を添
加し、外径5mm、高さ6mmの円柱状に打錠成形した
後、500℃で6時間、焼成して成型触媒とした。
【0046】次いで、結着容器としての直径24mm、
長さ300mmの半割れ構造のステンレス管の内周にテ
フロンシートをセットし、上記の円柱状の成型触媒を充
填した。この際、成型触媒の崩壊や粉化が起こらない様
に結着容器を若干斜めにして成型触媒を慎重に挿入して
充填した。そして、アセトン158部にポリアクリル酸
メチル25部を溶解して調製した溶液中に結着容器を浸
漬し、成型触媒の表面と成型触媒の粒子間を濡らし、そ
して、常温の窒素ガスを通気して溶液の液切りを行った
後、最後には70℃に加温した窒素ガスを結着容器内に
通気してアセトンを除去した。その後、結着容器のテフ
ロンシートを剥がし、触媒複合成形体を取り出した。
【0047】次いで、直径24.5mm、長さ45cm
のステンレス製反応器に上記の触媒複合成形体を充填し
た。この際、触媒粒子の損傷や脱落は無かった。そし
て、実施例1と同様に、ポリアクリル酸メチルを熱分解
して除去した後、プロピレンの酸化を行った。反応結果
は良好であった。
【0048】実施例3 先ず、分子状酸素による気相接触酸化反応によりアクロ
レインからアクリル酸を、メタクロレインからメタクリ
ル酸を製造するための触媒として、Sb100Ni43Si
80Mo3573Cu3の組成の触媒粉末を調製した。こ
の触媒粉末100部にグラファイト(成型バインダー)
2部を添加し、外径6mm、内径2mm、高さ6mmの
リング状に打錠成形した。
【0049】次いで、結着容器としての直径22mm、
長さ1000mmの半割れ構造のステンレス管の内周に
テフロンシートをセットし、上記のリング状の成型触媒
を充填した。この際、成型触媒の崩壊や粉化が起こらな
い様に結着容器を若干斜めにして成型触媒を慎重に挿入
して充填した。そして、トルエン/酢酸イソプロピル
(1/1)の混合溶媒100部にメタクリル酸イソブチ
ル/メタクリル酸−2−ヒドロキシルエチル(9/1)
の共重合体(重合度約14万)5部を溶解して調製した
溶液を流し込み成型触媒の表面を濡らした後に充分に液
切りをした。
【0050】次いで、結着容器の下部から常温の窒素ガ
スを毎分1リットルの流量で流し、徐々に窒素ガスの温
度を上げて60℃として3時間維持し溶媒を完全に除去
した後、結着容器のテフロンシートを剥がし、触媒複合
成形体を取り出した。
【0051】次いで、直径23mm、長さ1.5mのス
テンレス製反応器に上記の触媒複合成形体を充填した。
この際、触媒粒子の損傷や脱落は無かった。そして、1
50℃の窒素ガスを流して前記共重合体の熱分解を行っ
た。4時間後、窒素ガス中に熱分解で生成したメタクリ
レート類が痕跡程度になったことを確認した。そして、
通気ガスを空気に代え、温度を徐々に上げて400℃で
5時間処理を行い触媒の焼成を行った。
【0052】次いで、ガス空間速度870Hr-1(0℃
基準)、反応温度260℃の条件下、アクロレイン4
%、水蒸気46%、空気50%の混合ガスを流通させて
アクロレインの酸化を行った。反応成績は、アクロレイ
ン転化率99%、アクリル酸収率97.2%であった。
【0053】実施例4 先ず、分子状酸素による気相接触酸化反応によりメタク
ロレインからメタクリル酸を製造するための触媒とし
て、Mo1221Sb1Cu0.2Cs0.5Zn1の組成の触
媒粉末を調製した。次いで、この触媒粉末100部にカ
ーボン微粉末(成型バインダー)2部を添加し、外径4
mmの球に成形し、酸素1%を含む窒素ガス流通下43
0℃で6時間焼成し、球状の成型触媒を得た。
【0054】次いで、結着容器としての直径18mm、
長さ1000mmの半割れ構造のステンレス管の内周に
テフロンシートをセットし、上記の球状の成型触媒を充
填した。この際、成型触媒の崩壊や粉化が起こらない様
に結着容器を若干斜めにして成型触媒を慎重に挿入して
充填した。そして、トルエン150部にポリ−α−メチ
ルスチレン(分子量は約1300)26部を溶解して調
製した溶液中に結着容器を浸漬し、成型触媒の表面と成
型触媒の粒子間を濡らし、そして、常温の窒素ガスを通
気して溶液の液切りを行った後、最後には70℃に加温
した窒素ガスを結着容器内に通気してトルエンを除去
た。その後、結着容器のテフロンシートを剥がし、触媒
複合成形体を取り出した。
【0055】次いで、直径20mm、長さ150mmの
ステンレス製反応器に上記の触媒複合成形体を充填し
た。この際、触媒粒子の損傷や脱落は無かった。そし
て、空気流通下、室温から徐々に380℃まで加熱して
高分子化合物の熱分解を行った。そして、反応器から排
出される空気中にα−メチルスチレンや炭酸ガスが痕跡
程度になったことを確認した。
【0056】次いで、ガス空間速度1400Hr-1(0
℃基準)、反応温度290℃の条件下、メタクロレイン
5%、酸素12%、水蒸気30%、窒素53%の混合ガ
スを供給しメタクロレインの酸化を行った。反応成績
は、メタクロレイン転化率95%、メタクリル酸収率7
5.8%であった。
【0057】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、反応器へ
の充填の際の粉化や崩壊が高度に防止され且つ製造工程
における触媒同士の粘着を全く顧慮する必要のない触媒
複合成形体およびその製造方法が提供され、本発明の工
業的価値は大きい。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成型触媒または担持触媒を熱分解性高分
    子化合物で相互に結着して反応器に充填し得る大きさの
    範囲内にブロック化して成ることを特徴とする触媒複合
    成形体。
  2. 【請求項2】 反応器の内部形状の少なくとも一部と相
    似形状に成形されて成る請求項1に記載の触媒複合成形
    体。
  3. 【請求項3】 外径が3〜10mmで且つ内径が外径の
    0.3〜0.7倍であるリング状の成型触媒を使用する
    請求項1又は2に記載の触媒複合成形体。
  4. 【請求項4】 反応器または反応器の内面形状の少なく
    とも一部と相似形状の結着容器に成型触媒または担持触
    媒を充填し且つ熱分解性高分子化合物で相互に結着する
    ことを特徴とする触媒複合成形体の製造方法。
  5. 【請求項5】 反応器または結着容器の少なくとも内表
    面が撥水性になされている請求項4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 反応器または結着容器に成型触媒または
    担持触媒を充填し、熱分解性高分子化合物の溶液を供給
    して成型触媒または担持触媒と接触させ、次いで、溶媒
    を乾燥除去する請求項4又は5に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 反応器または結着容器に酸素濃度が10
    V/V%以下の窒素ガスを流通させて溶媒を乾燥除去す
    る請求6に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 反応器に請求項1〜3の何れかに記載の
    触媒複合成形体を充填し、反応開始前に熱分解性高分子
    化合物を熱分解により除去して個々の成型触媒または担
    持触媒に分解した後、反応を行うことを特徴とする触媒
    複合成形の使用方法。
  9. 【請求項9】 熱分解性高分子化合物の熱分解の際に反
    応器に酸素濃度が10V/V%以下の窒素ガスを流通さ
    せる請求8に記載の使用方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016518246A (ja) * 2013-03-22 2016-06-23 クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド ダストフリー触媒を得るための除去可能な保護コーティング

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016518246A (ja) * 2013-03-22 2016-06-23 クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド ダストフリー触媒を得るための除去可能な保護コーティング
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