JP2002162765A

JP2002162765A - 感光ドラム用基体及び該基体を用いた感光ドラム

Info

Publication number: JP2002162765A
Application number: JP2000357751A
Authority: JP
Inventors: Munenori Iizuka; 宗紀飯塚; Takahiro Suzuki; 隆弘鈴木; Kunio Machida; 邦郎町田
Original assignee: Bridgestone Corp
Current assignee: Bridgestone Corp
Priority date: 2000-11-24
Filing date: 2000-11-24
Publication date: 2002-06-07

Abstract

(57)【要約】【課題】吸湿による寸法変化を可及的に防止しし得る
感光ドラム用基体を提供することを目的とする。【解決手段】樹脂基材に導電剤を配合した導電性樹脂
組成物からなる円筒状の感光ドラム用基体において、上
記樹脂基材として、ポリアミド樹脂に低吸水率の他の樹
脂を混合した混合樹脂を用いたことを特徴とする感光ド
ラム用基体を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、ファクシ
ミリ、プリンター等の電子写真装置の感光ドラムに、円
筒状の基体として用いられる感光ドラム用基体に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】複写機、ファクシミリ、プリンター等に
おける静電記録プロセスでは、まず、感光ドラムの表面
を一様に帯電させ、この感光ドラム表面に光学系から映
像を投射して光の当たった部分の帯電を消去することに
よって静電潜像を形成し、次いで、この静電潜像にトナ
ーを供給してトナーの静電的付着によりトナー像を形成
し、これを紙，ＯＨＰ，印画紙等の記録媒体へと転写す
ることにより、プリントする方法が採られている。

【０００３】このような静電記録プロセスに用いられる
感光ドラムとしては、従来、図１に示した構造のものが
一般に用いられている。

【０００４】即ち、良導電性を有する円筒状基体１の両
端にフランジ２ａ，２ｂを嵌合固定すると共に、該円筒
状基体１の外周面に感光層３を形成したものが一般に用
いられており、通常、この感光ドラムは、図１に示され
ているように、電子写真装置の本体ａに設けられた支持
軸４，４が両フランジ２ａ，２ｂに設けられた軸孔５，
５に挿入されて回転自在に支持され、一方のフランジ２
ｂに形成された駆動用ギア６にモータ等の駆動源と連結
されたギア７を歯合させ、回転駆動されるようになって
いる。

【０００５】この場合、上記円筒状基体１を形成する材
料としては、比較的軽量で機械加工性にも優れ、かつ良
好な導電性を有することから、アルミニウム合金が従来
から用いられている。

【０００６】しかしながら、アルミニウム合金からなる
円筒状基体は、厳しい寸法精度に対する要求や所定の表
面粗さを満足するために、個々に高精度の機械加工を施
す必要があり、また両端に上記フランジ２ａ，２ｂを嵌
合固定させるための加工を施す必要もあり、更に場合に
よっては表面の酸化などを防止するための加工を要する
場合もある。このため、製造工数が多くなって製造コス
トが高くなるという問題を有しており、アルミニウム合
金は、感光ドラムを構成する円筒状基体用の材料として
必ずしも満足し得るものではない。

【０００７】一方、樹脂基材にカーボンブラック等の導
電剤を混合分散した導電性樹脂組成物を用いて、樹脂製
の円筒状基体１を形成することも提案されており、これ
によれば、より軽量な円筒状基体１を射出成形法等によ
り比較的容易に成形することが可能であり、また上記フ
ランジ２ａ，２ｂのいずれか一方を同樹脂組成物によっ
て円筒状基体１と一体に成形することも可能である。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな樹脂製感光ドラム用キタイには、寸法安定性の点で
必ずしも満足し得ない場合がある。即ち、このような樹
脂製感光ドラム用基体を形成する導電性樹脂組成物に
は、感光層を形成するに良好な表面平滑性が得られる
点、耐薬品性及び機械的強度が比較的良好である点など
から、樹脂基材としてポリアミド樹脂が多用されるが、
このポリアミド樹脂を用いた感光ドラム用基体は、樹脂
の吸湿によりその寸法が経時的に変化しやすく、これが
画像不良の原因となる場合もある。

【０００９】このため、従来は得られた感光ドラム用基
体の表面に防湿コート層を形成して、吸湿による寸法変
化を防止することが行われているが、これがコスト高を
招く原因の１つとなっている。

【００１０】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、表面平滑性、耐薬品性、機械的強度などの性能を低
下させることなく、上記吸湿による寸法変化の問題を解
決し、防湿コート層の形成を省略することが可能な感光
ドラム用基体、及び該感光ドラム用基体を用いた感光ド
ラムを提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結
果、樹脂基材に導電性を配合した導電性樹脂組成物を用
いて円筒状の感光ドラム用基体を形成する場合に、ポリ
アミド樹脂に、例えばポリプロピレン、ポリフェニレン
エーテル、ポリフェニレンサルファイドなどの低吸水率
樹脂を適量混合し、これを樹脂基材として導電性樹脂組
成物を調製し、この導電性樹脂組成物により感光ドラム
用基体を形成することにより、表面平滑性，耐薬品性，
機械的強度などを低下させることなく、樹脂組成物の吸
湿性を効果的に低下させて、吸湿による寸法変化を可及
的に防止することが可能であり、従来の樹脂製感光ドラ
ム用基体の表面に形成していた防湿コート層を省略し得
ることを見出し、本発明を完成したものである。

【００１２】従って、本発明は、樹脂基材に導電剤を配
合した導電性樹脂組成物からなる円筒状の感光ドラム用
基体において、上記樹脂基材として、ポリアミド樹脂に
低吸水率の他の樹脂を混合した混合樹脂を用いたことを
特徴とする感光ドラム用基体、及び、円筒状基体の外周
面に感光層を形成してなる感光ドラムにおいて、上記円
筒状基体として上記本発明の感光ドラム用基体を用いた
ことを特徴とする感光ドラムを提供する。

【００１３】以下、本発明につき、更に詳しく説明す
る。本発明の感光ドラム用基体は、上記のように、ポリ
アミド樹脂に低吸水率樹脂を混合した混合樹脂に導電剤
を配合した導電性樹脂組成物により形成したものであ
る。

【００１４】上記導電性樹脂組成物に樹脂基材として用
いられるポリアミド樹脂としては、ナイロン１１、ナイ
ロン１２、ナイロン４６、ナイロン６、ナイロン６６、
ナイロンＭＸＤ６、ナイロン６１０、ナイロン６１２、
ナイロン１２１２、及びこれらの共重合物などの他のポ
リアミド樹脂が例示され、これらの１種又は２種以上を
混合して用いることができる。これらのなかでは、成形
性、耐熱性、機械的特性、耐薬品性、材料コスト等の点
から、ナイロン６６、ナイロンＭＸＤ６が特に好ましく
用いられる。

【００１５】本発明では、上記ポリアミド樹脂と低吸湿
性の他の樹脂とを混合して導電性樹脂組成物の樹脂基材
とするものであり、この低吸湿率樹脂としては、特に制
限されるものではないが、ＡＳＴＭ−Ｄ５７０による吸
湿率が０．３％以下、特に０．１％以下の樹脂が好適に
用いられ、この低吸湿率樹脂の混合により樹脂組成物全
体の吸湿性を低下せしめ、これによりこの樹脂組成物か
らなる感光ドラム用基体の吸湿による寸法変化を可及的
に防止したものである。

【００１６】この低吸湿率樹脂として具体的には、ポリ
プロピレン（ＰＰ）、ポリフェニレンエーテル（ＰＰ
Ｅ）、ポリフェニレンサルファイド（ＰＰＳ）、ポリブ
チレンテレフタレート（ＰＢＴ）、ポリエチレンテレフ
タレート（ＰＥＴ）、ポリアリレート（ＰＡＲ）、ポリ
カーボネート（ＰＣ）などが挙げられ、これらの１種又
は２種以上を用いることができる。

【００１７】この低吸湿率樹脂の配合量は、その樹脂の
種類や上記ポリアミド樹脂の種類などに応じて適宜選定
され、特に制限されるものではないが、通常は導電性樹
脂組成物全体の１〜７０重量％、特に５〜５０重量％、
更には１０〜４０重量％とすることが好ましく、配合量
が１％未満では樹脂組成物の吸湿性を十分に低下させる
ことができない場合があり、一方７０重量％を超えると
表面平滑性、耐薬品性、機械的強度などのポリアミド樹
脂に依存する性能が低下する場合がある。

【００１８】ここで、上記ポリアミド樹脂と低吸水率樹
脂とを混合する場合、特に制限されるものではないが、
これら樹脂の相溶性を向上させて分散性を高め、機械特
性や吸水性耐薬品性を向上させるために相溶化剤を添加
することができる。この相溶化剤としては、ポリアミド
樹脂と低吸水率樹脂との両方の樹脂に対して親和性の高
い樹脂などが用いられ、例えば低水分率樹脂としてポリ
プロピレンを用いた場合には、マレイン酸変性ポリプロ
ピレンなどが用いられ、また低水分率樹脂としてポリフ
ェニレンサルファイドやポリフェニレンエーテルを用い
た場合に、ポリスチレン−ポリメチルメタクリレート共
重合体などが用いられる。

【００１９】この相溶化剤の添加量は、特に制限される
ものではないが、通常は導電性樹脂組成物全体の２〜１
５重量％、特に３〜１０重量％程度とすることができ
る。

【００２０】上記導電性樹脂組成物は、通常上記樹脂基
材に導電剤を添加して導電性を付与したものである。こ
の場合、導電剤としては、上記樹脂中に均一に分散させ
ることが可能なものであればいずれのものでもよく、例
えばカーボンブラック、グラファイト、アルミニウム，
銅，ニッケル等の金属粉、導電性ガラス粉などが挙げら
れるが、特にカーボンブラックを用いることが好まし
い。導電剤の添加量は、特に制限されるものではない
が、組成物の５〜３０重量％、特に５〜２０重量％とす
ることが好ましく、これにより成形物の表面抵抗値を１
０⁴Ω／□（オーム／スクエア）以下、特に１０²Ω／□
以下とすることが好ましい。

【００２１】本発明の感光ドラム用基体は、上記導電性
樹脂組成物に補強用充填材を配合して、機械的強度を向
上されたものであるが、この場合本発明では、この補強
用充填材として、微小球状物質、フレーク状物質又はこ
れらの双方を用いるものである。

【００２２】上記導電性樹脂組成物には、補強や増量の
目的で、各種繊維等の無機充填材を配合することができ
る。この無機充填材としては、カーボン繊維，導電性ウ
ィスカー，導電性ガラス繊維等の導電性繊維やウィスカ
ー，ガラス繊維等の非導電性繊維などを用いることがで
きる。この場合、上記導電性繊維は、導電剤としても作
用することができ、導電性繊維を用いることにより、上
記カーボンブラックの使用量を減らすことができる。

【００２３】これら充填材の配合量は、用いる充填材の
種類や繊維の長さ，径などに応じて適宜選定され、特に
制限されるものではないが、通常は組成物の１〜３０重
量％、より好ましくは５〜２５重量％、更に好ましくは
１０〜２５重量％程度とすることが好ましい。この場
合、本発明の樹脂組成物によれば、このような充填材の
添加により、表面平滑性を低下させることなく成形物の
強度や剛性を効果的に向上させることができる。

【００２４】なお、この導電性樹脂組成物には、必要に
応じて上記カーボンブラック及び充填材の他に、ポリテ
トラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）、シリコーン、二硫
化モリブデン（ＭｏＳ₂）、各種金属石鹸等の公知の添
加剤を適量添加することができる。また、通常用いられ
るシランカップリング剤やチタネートカップリング剤な
どを用いて、充填材に表面処理を施してもよい。

【００２５】本発明の感光ドラム用基体は、上記導電性
樹脂組成物を円筒状に成形したものであるが、この場合
その成形方法は、特に制限されるものではないが、射出
成形法を採用することが好ましい。なお、成形温度や射
出圧力などの成形条件は、導電性樹脂組成物を構成する
樹脂成分の種類等に応じた通常の条件とすることができ
る。

【００２６】次に、本発明の感光ドラムは、例えば図１
に示された感光ドラムのように、円筒状基体１の外周面
に感光層３を形成したものであり、本発明ではその円筒
状基体１として、上記本発明の感光ドラム用基体を用い
たものである。

【００２７】この場合、図１の感光ドラムでは、円筒状
基体１の両端面に別体に形成したフランジ２ａ，２ｂを
嵌着固定しているが、本発明では、フランジ２ａ，２ｂ
の少なくとも一方を上記導電性樹脂組成物を用いて円筒
状基体１と一体に成形することもできる。この場合、本
発明導電性樹脂組成物は、上記補強用の無機充填材を添
加することにより、強度，剛性に優れた成形物を得るこ
とができるので、フランジと共に、駆動用ギア６を本発
明導電性樹脂組成物で一体に成形することもできる。

【００２８】ここで、上記円筒状基体１の外周面、即ち
本発明感光ドラム用基体の外周面は、特に制限されるも
のではないが、その表面粗さを中心線平均粗さＲａで
０．８μｍ以下、特に０．２μ以下、最大高さＲｍａｘ
で１．６μｍ以下、特に０．８μｍ以下、１０点平均粗
さＲｚで１．６μｍ以下、特に０．８μｍ以下とするこ
とが好ましく、これらＲａ，Ｒｍａｘ，Ｒｚが大きすぎ
ると、円筒状基体１表面の凹凸が感光層３上に現れて、
これが画像不良の原因となる場合がある。

【００２９】上記円筒状基体１の外周面に感光層３を形
成することにより、本発明の感光ドラムが構成される
が、この場合、感光層３は、公知の材料，組成により形
成することができ、またその層構成も公知の構成とする
ことができる。

【００３０】なお、本発明の感光ドラムは、図１に示さ
れたものに限定されるものではなく、例えば両フランジ
２ａ，２ｂに、軸孔５ではなく、外方へと突出する軸体
（支持軸）を突設し、この軸体を用いて電子写真装置の
本体に回転可能に取り付けることもできる。更に、各フ
ランジ２ａ，２ｂの形状や感光ドラムの回転駆動方法な
ど、その他の構成についても本発明の要旨を逸脱しない
限り適宜変更することができる。

【００３１】

【実施例】以下、実施例，比較例を示し、本発明をより
具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限される
ものではない。

【００３２】〔実施例１〜３，比較例１〜３〕ＰＡ６６
（ナイロン６６）、ＰＰＥ（ポリフェニレンエーテ
ル）、ＰＰＳ（ポリフェニレンサルファイド）、ＰＰ
（ポリプロピレン）、Ｃ/Ｂ（カーボンブラック）及び
補強材（チタン酸カリウムウィスカー）を表１に示した
割合で混合し、導電性樹脂組成物を調製し、この導電性
樹脂組成物を用いて、外径３０ｍｍ，長さ２６０ｍｍ，
周壁の厚さ１．５ｍｍの感光ドラム用の円筒状基体を射
出成形法により成形した。

【００３３】得られた感光ドラム用基体を、５０℃，９
５％ＲＨの高温高湿環境下に２４時間放置して、その前
後の寸法差から寸法変化率を求めた。また、得られた感
光ドラム用基体及び上記各樹脂（ＰＡ６６、ＰＰＥ、Ｐ
ＰＳ、ＰＰ）の吸水率をＡＳＴｍ−Ｄ５７０に従って測
定した。結果を表１に示す。

【００３４】

【表１】

【００３５】表１に示されているように、低吸水率樹脂
を配合した導電性樹脂組成物により形成された感光ドラ
ム用基体は、吸水性が低く寸法変化の少ないものであ
り、防湿コート層の形成を省略し得るものであった。

【００３６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の感光ドラ
ム用基体によれば、吸湿による寸法変化を可及的に防止
し得、従来行われていた防湿コート層の形成を省略する
ことができる。また、この感光ドラム用基体を用いた本
発明の感光ドラムは、寸法安定性に優れ、良好な画像形
成を安定的に行うことができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】感光ドラムの一例を示す概略断面図である。

【符号の説明】

１円筒状基体２ａ，２ｂフランジ３感光層４支持軸５軸孔６駆動用ギア

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】樹脂基材に導電剤を配合した導電性樹脂
組成物からなる円筒状の感光ドラム用基体において、上
記樹脂基材として、ポリアミド樹脂に低吸水率の他の樹
脂を混合した混合樹脂を用いたことを特徴とする感光ド
ラム用基体。
【請求項２】上記低吸水率の樹脂が、ＡＳＴＭ−Ｄ５
７０による吸水率が０．３％以下の樹脂である請求項１
記載の感光ドラム用基体。
【請求項３】上記低吸水率の樹脂が、ポリプロピレ
ン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファ
イドから選ばれる１種又は２種以上である。請求項１又
は２記載の感光ドラム用基体。
【請求項４】上記ポリアミド樹脂がナイロン１１、ナ
イロン１２、ナイロン４６、ナイロン６、ナイロン６
６、ナイロンＭＸＤ６、ナイロン６１０、ナイロン６１
２、ナイロン１２１２、及びこれらの共重合物などの他
のポリアミド樹脂から選ばれる１種又は２種以上である
請求項１〜３のいずれか１項に記載の感光ドラム用基
体。
【請求項５】上記低吸水率の樹脂の配合量が、全樹脂
成分の１〜７０重量％である請求項１〜４のいずれか１
項に記載の感光ドラム用基体。
【請求項６】上記導電性樹脂組成物が、上記ポリアミ
ド樹脂と低給水率の樹脂との相溶性を高める相溶化剤を
含有する請求項１〜５のいずれか１項に記載の感光ドラ
ム用基体。
【請求項７】上記相溶化剤が、マレイン酸変性ポリプ
ロピレン、ポリスチレン−ポリメタクリレート共重合体
のいずれか又は両方である請求項６記載の感光ドラム用
基体。
【請求項８】円筒状基体の外周面に感光層を形成して
なる感光ドラムにおいて、上記円筒状基体として請求項
１〜７のいずれか１項に記載の感光ドラム用基体を用い
たことを特徴とする感光ドラム。