JP2002161137A - ブロック共重合マレイミド系樹脂およびその製造方法 - Google Patents

ブロック共重合マレイミド系樹脂およびその製造方法

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JP2002161137A
JP2002161137A JP2000361498A JP2000361498A JP2002161137A JP 2002161137 A JP2002161137 A JP 2002161137A JP 2000361498 A JP2000361498 A JP 2000361498A JP 2000361498 A JP2000361498 A JP 2000361498A JP 2002161137 A JP2002161137 A JP 2002161137A
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maleimide
represented
solvent
mixture
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JP2000361498A
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English (en)
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Keizo Takahama
啓造 高浜
Koji Amano
浩治 天野
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟性、高強度、高耐熱のマレイミド系樹
脂、およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 マレイン酸類縁体モノマーおよび/また
は無水マレイン酸類縁体モノマーとジアミンとを、溶媒
を用いずに混合した後、該混合物を80〜200℃で加
熱処理して得られ、連続した一般式(1)および一般式
(2)で表される繰り返し単位を有する、2種類のマレ
イミド系樹脂オリゴマー(a),(b)と、またはこれ
に、ジアミン、またはマレイン酸もしくは無水マレイン
酸(c)を加えて、それぞれが所定の重量比になるよう
に、溶媒を用いずに混合した後、80〜200℃で加熱
処理する。 【化1】 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、柔軟性と耐熱性に
優れたマレイミド系樹脂、およびその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ポリイミド樹脂は従来より、高耐熱、高
信頼性、柔軟性を有する樹脂として様々な用途で用いら
れている。中でもカプトン(東レ・デュポン社製)やユ
ーピレックスS(宇部興産社製)に代表される線状ポリ
イミドフィルムは、非常に優れた特性を持つ反面、原料
モノマーが非常に高価で、しかも加工温度が400℃前
後に達するために、高価な設備を利用せざるを得ず、エ
ンジニアリングプラスチックの中でも最高位に位置する
高価な材料である。
【0003】一方、従来のマレイミド樹脂は、マレイン
酸無水物と芳香族ジアミンとを反応させて、マレアミド
酸とした後、閉環反応によりビスマレイミドを得てい
る。しかし、中間体であるビスマレアミド酸は溶解性が
悪く、分子間脱水アミド化副反応によるゲル化を防ぐた
めに、大量の有機溶媒中で反応せざるを得ないといった
問題点があった。更に、ビスマレイミド樹脂単独の硬化
物は非常に脆いので、単独での使用には耐えず、ジアミ
ン、アリル化合物等の可撓性を備えた変性剤により変性
した場合でも、脆さを解消できないという問題点もあっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の線状
ポリイミド樹脂やマレイミド系樹脂のこのような問題点
に鑑み、鋭意検討の結果なされたもので、柔軟性、高強
度、高耐熱のマレイミド系樹脂、およびその製造方法を
提供することを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、分子中
に、連続した一般式(1)で表される繰り返し単位、お
よび連続した一般式(2)で表される繰り返し単位を有
する、ブロック共重合マレイミド系樹脂である。
【0006】またさらには、一般式(3)で表されるマ
レイン酸類縁体モノマー、および/または一般式(4)
で表される無水マレイン酸類縁体モノマーと、一般式
(5)で表されるジアミンとを、溶媒を用いずに混合し
た後、該混合物を80〜200℃で加熱処理して得られ
るマレイミド系樹脂オリゴマー(a)と、一般式(6)
で表されるマレイン酸類縁体モノマー、および/または
一般式(7)で表される無水マレイン酸類縁体モノマー
と、一般式(8)で表されるジアミンとを、溶媒を用い
ずに混合した後、該混合物を80〜200℃で加熱処理
して得られるマレイミド系樹脂オリゴマー(b)、また
はこれに、一般式(9)で表されるジアミン、またはマ
レイン酸もしくは無水マレイン酸(c)を加えて、それ
ぞれが所定の重量比になるように、溶媒を用いずに混合
した後、80〜200℃で加熱処理することを特徴とす
る、ブロック共重合マレイミド系樹脂の製造方法であ
る。
【0007】
【化10】
【0008】
【化11】
【0009】式中、AおよびBは、互いに異なる炭素数
4以上の2価の有機基で、R1〜R4はそれぞれ、水素,
アルキル基,フェニル基,または置換フェニル基を表
す。mおよびnはそれぞれ、5〜100の整数である。
【0010】
【化12】
【0011】
【化13】
【0012】
【化14】
【0013】
【化15】
【0014】
【化16】
【0015】
【化17】
【0016】式中、R5〜R12はそれぞれ、水素,アル
キル基,フェニル基,または置換フェニル基を表す。A
およびBは、互いに異なる炭素数4以上の2価の有機基
を表す。
【0017】
【化18】 式中、Cは炭素数4以上の2価の有機基を表す。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明は、前記のようにマレイン
酸類縁体モノマーおよび/または無水マレイン酸類縁体
モノマーと、ジアミンとを規定のモル比で、溶媒を用い
ずに混合した後、80〜200℃で加熱処理して得ら
れ、連続した一般式(1)および一般式(2)で表され
る繰り返し単位を有する、2種類のマレイミド系樹脂オ
リゴマーを原料とする。そして、これらのオリゴマー同
士を規定の重量比で、溶媒を用いずに混合した後、さら
に80〜200℃で加熱処理することによって、ブロッ
ク共重合体マレイミド系樹脂を得ることを骨子とする。
【0019】ここで、一般式(1)および(2)におい
て、R1〜R4が全て水素原子である組合わせ、A、Bの
いずれか一方が炭素数4以上の芳香環を有さない2価の
有機基であって、かつ他方が炭素数6以上の芳香環を有
する2価の有機基である組合わせ、また、A、Bのいず
れか一方が、炭素数17以下の2価の有機基であって、
かつ他方が炭素数18以上の2価の有機基である組合わ
せなどが、好ましい態様である。
【0020】2種類のマレイミド系樹脂オリゴマー
(a),(b)、またはこれにジアミン、またはマレイ
ン酸もしくは無水マレイン酸(c)を加えた、代表的な
組み合わせを次に示す。
【0021】(製造方法1)一般式(3)で表されるマ
レイン酸類縁体モノマー、および/または一般式(4)
で表される無水マレイン酸類縁体モノマーと、一般式
(5)で表されるジアミンとを、モル比が0.5〜1.
0:1.0で、溶媒を用いずに混合した後、該混合物を
80〜200℃で加熱処理して得られるマレイミド系樹
脂オリゴマー(a1)と、一般式(6)で表されるマレ
イン酸類縁体モノマー、および/または一般式(7)で
表される無水マレイン酸類縁体モノマーと、一般式
(8)で表されるジアミンとを、モル比が1.0〜2.
0:1.0で、溶媒を用いずに混合した後、該混合物を
80〜200℃で加熱処理して得られるマレイミド系樹
脂オリゴマー(b1)とを、重量比(a1):(b1)が
1:0.1〜10になるように、溶媒を用いずに混合し
た後、80〜200℃で加熱処理することを特徴とす
る、当該ブロック共重合マレイミド系樹脂の製造方法。
【0022】(製造方法2)一般式(3)で表されるマ
レイン酸類縁体モノマー、および/または一般式(4)
で表される無水マレイン酸類縁体モノマーと、一般式
(5)で表されるジアミンとを、モル比が1.0〜2.
0:1.0で、溶媒を用いずに混合した後、該混合物を
80〜200℃で加熱処理して得られるマレイミド系樹
脂オリゴマー(a2)と、一般式(6)で表されるマレ
イン酸類縁体モノマー、および/または一般式(7)で
表される無水マレイン酸類縁体モノマーと、一般式
(8)で表されるジアミンとを、モル比が1.0〜2.
0:1.0で、溶媒を用いずに混合した後、該混合物を
80〜200℃で加熱処理して得られるマレイミド系樹
脂オリゴマー(b2)と、一般式(9)で表されるジア
ミン(c2)とを、重量比(a2):(b2):(c2)が
1:0.1〜10:0.0001〜2になるように、溶媒
を用いずに混合した後、80〜200℃で加熱処理する
ことを特徴とする、当該ブロック共重合マレイミド系樹
脂の製造方法。
【0023】(製造方法3)一般式(3)で表されるマ
レイン酸類縁体モノマー、および/または一般式(4)
で表される無水マレイン酸類縁体モノマーと、一般式
(5)で表されるジアミンとを、モル比が0.5〜1.
0:1.0で溶媒を用いずに混合した後、該混合物を8
0〜200℃で加熱処理して得られるマレイミド系樹脂
オリゴマー(a3)と、一般式(6)で表されるマレイ
ン酸類縁体モノマー、および/または一般式(7)で表
される無水マレイン酸類縁体モノマーと、一般式(8)
で表されるジアミンとを、モル比が0.5〜1.0:1.
0で、溶媒を用いずに混合した後、該混合物を80〜2
00℃で加熱処理して得られるマレイミド系樹脂オリゴ
マー(b3)と、マレイン酸または無水マレイン酸(c
3)とを、重量比(a3):(b3):(c3)が1:0.
1〜10:0.0001〜2になるように、溶媒を用い
ずに混合した後、80〜200℃で加熱処理することを
特徴とする、当該ブロック共重合マレイミド系樹脂の製
造方法。
【0024】本発明で用いる一般式(3)および(6)
で表されるマレイン酸類縁体としては、マレイン酸、シ
トラコン酸などを、一般式(4)および(7)で表され
る無水マレイン酸類縁体としては、無水マレイン酸、無
水シトラコン酸などを例示することができる。それぞれ
において、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。マ
レイン酸類縁体および無水マレイン酸類縁体は、単独で
用いても良く、2種類以上を組み合わせて用いても良
い。
【0025】本発明で用いる一般式(5)、(8)、お
よび(9)で表されるジアミンとしては、p−フェニレ
ンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,5−ジアミ
ノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4−ジ
アミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,5−ジ
アミノ−p−キシレン、2,5−ジアミノ−m−キシレ
ン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジ
ン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジア
ミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルプ
ロパン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、3,3'
−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、4,4'
−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、3,3'
−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフ
ェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテ
ル、ベンジジン、3,3'−ジアミノビフェニル、3,3'
−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジ
フェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスル
フォン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフォン、4,
4'−ジアミノベンズアニリド、4,4'−メチレンジ−
o−トルイジン、4,4'−メチレンジ−2,6−キシリ
ジン、4,4'−メチレンジ−2,6−ジエチルアニリ
ン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、
3,3'−ジメトキシベンジジン、1,3−ビス(3−ア
ミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ
フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェ
ノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプ
ロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル]スルフォン、4,4'−ビス(4−アミノフェ
ノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]エーテル、1,4−ジアミノブタン、1,
3−ジアミノペンタン、1,5−ジアミノペンタン、1,
6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,
8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,1
0−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,
4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロ
ヘキサン、4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタン、
ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタ
ン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−
ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメ
チレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジア
ミン、5−メチルノナメチレンジアミン、1,3−ビス
(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、
α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロ
キサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジフ
ェニルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピ
ル)ポリメチルフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0026】本発明では特に、異なるジアミンを用いて
合成したマレイミド系樹脂オリゴマー同士を反応させる
ことで、ブロック共重合体を合成する。これによって、
ポリマーブレンドでは相分離してしまう組み合わせのジ
アミンを、同時に分子中に取り込むことや、ランダム共
重合体では薄められてしまう、それぞれのジアミンに由
来する特性を維持したまま、均一な樹脂を得ることが可
能になる。
【0027】2種類のオリゴマーに用いるジアミンの組
み合わせは特に限定されるものではないが、特に芳香環
を有するものと有さないものの組み合わせでは、溶解性
パラメーターが大きく異なるため、得られるブロック共
重合体は界面活性能を持ち、高耐熱性の乳化剤、表面改
質剤、相溶化剤などとして用いることができ好ましい。
また、炭素数が少なく短い構造を持つジアミンと、炭素
数が多く長い構造のジアミンとの組み合わせでは、耐熱
性と柔軟性を兼ね備えた樹脂を得ることができて好まし
い。
【0028】また、本発明で使用する原料であるマレイ
ン酸類縁体、無水マレイン酸類縁体、およびジアミン
は、固体であっても、液体であっても構わない。
【0029】本発明の中間原料であるマレイミド系樹脂
オリゴマーの合成は、前記マレイン酸類縁体モノマーお
よび/または無水マレイン酸類縁体モノマーとジアミン
とを、溶媒を用いずに混合した後、該混合物を加熱処理
することで行うが、それぞれのモノマー成分のモル比
を、0.5〜1.0:1.0にするとアミン成分末端のオ
リゴマーを、また、1.0〜2.0:1.0にすると酸成
分末端のオリゴマーを合成できる。この範囲を外れた場
合、つまり、0〜0.5:1.0、もしくは2.0より
大:1.0の領域では、オリゴマーの分子量が低くなり
すぎて、最終的に得られる樹脂の性能が、ランダム共重
合体と同等のレベルになってしまい好ましくない。
【0030】オリゴマー同士の反応も、それぞれのオリ
ゴマーを溶媒を用いずに混合した後、該混合物を加熱処
理することで行うが、オリゴマーの組み合わせは、酸成
分末端とアミン成分末端、酸成分末端同士、アミン成分
末端同士の3種類がある。酸成分末端とアミン成分末端
との反応は、そのまま加熱処理することで可能である
が、酸成分末端同士の反応ではジアミンを、アミン成分
末端同士の反応ではマレイン酸または無水マレイン酸
を、それぞれ添加する必要がある。酸成分末端同士の反
応に用いるジアミンは、反応させるオリゴマーに用いた
ものであっても、そうでなくても構わない。
【0031】2種類のオリゴマー(a)、(b)、およ
び添加するジアミン、マレイン酸または無水マレイン酸
(c)の重量比は、(a):(b):(c)が1:0.
1〜10:0.0001〜2で配合する。(b)がこの
範囲を外れると、得られる樹脂の性能が量の多い方の構
造の、単独重合体と同等レベルになってしまい好ましく
ない。また、(c)がこの範囲より小さいと、反応が十
分進まず高分子量にならないし、大きいと残存するモノ
マーが多くなりすぎて、耐熱性などの性能を劣化させる
ため、それぞれ好ましくない。
【0032】マレイン酸類縁体もしくは無水マレイン酸
類縁体とジアミンとのモノマー同士の混合、および、オ
リゴマー同士あるいはオリゴマーとジアミン、マレイン
酸、または無水マレイン酸との混合は、常温で通常のミ
キサーなどを用いて行うことが出来る。特に、各成分が
固体の場合は、より細かい粒子に粉砕し、混練機などで
十分均一にモノマー同士を混合することが、生成物をよ
り均一に出来るため好ましい。
【0033】オリゴマーの合成およびオリゴマー同士の
反応は、溶媒を用いずに、混合物を80〜200℃で加
熱することによって行なわれるが、200℃を越える高
温で加熱処理すると、副反応による架橋が起こり、生成
物の溶解性や加工性が低下する。一方、加熱温度が80
℃未満では、反応速度が急激に低下して、未反応物の残
存が起こり高分子量の樹脂が得られない。反応時間はモ
ノマーの構造や目的の生成物特性によって異なるが、数
分〜数時間のオーダーで行われる。
【0034】得られた樹脂は、従来のマレイミド樹脂と
同様に粉砕して、粉末状レジンとして固体のまま、成形
材料などの用途に、また、溶解しワニスとして、液状の
成形材料や硬質回路基板などに使用できる。ワニスを調
製するための溶媒としては、通常のマレイミド系樹脂は
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メ
チル−2−ピロリドンなど、高沸点で有害なアミド系溶
媒しか使用できないが、本発明によると配合を選択する
ことで、水をはじめアルコール、エチレングリコールな
どにまで溶媒の幅を広げることが可能である。特に水や
低沸点のアルコールを溶媒として用いた場合は、溶媒を
乾燥する工程が、通常のマレイミド樹脂の場合と比較し
て低温で行えるため好ましい。特に、水を溶媒として用
いると引火性、有害性など安全面での問題を回避できる
と共に、環境適合の意味においても好ましい。
【0035】さらに、本発明のマレイミド系樹脂は構造
の直線性から、ビスマレイミド単独の硬化物やジアミン
を添加したビスマレイミドの硬化物に比べて、可とう性
に優れ、溶融押し出しやキャストによってフィルム状に
することも可能である。このことにより、耐熱フィルム
やフレキシブル回路基板材料等への使用も可能になっ
た。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明を一層具体的に説
明するが、本発明はこれらによって何んら限定されるも
のではない。尚、実施例および比較例で使用する原料
は、下記の略号で表した。 MA :マレイン酸 MAH :無水マレイン酸 CA :シトラコン酸 CAH :無水シトラコン酸 PPD :p−フェニレンジアミン DDM :4,4'−ジアミノジフェニルメタン DDE :4,4'−ジアミノジフェニルエーテル TPER:1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼン BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]プロパン HMDA:1,6−ジアミノヘキサン HM :4,4'−ジアミノジシクロヘキシルメタン APDS:1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラ
メチルジシロキサン NMP :N−メチル−2−ピロリドン EG :エチレングリコール CH :シクロヘキサノン
【0037】(マレイミド樹脂MI01の合成)MA
185.8重量部(1.6mol)の粉体と、PPD 1
08.2重量部(1mol)の粉体を、ミキサーで均一
に混合して、MA/PPDの粉末混合物を得た。この混
合物を、140℃で1時間乾燥機中で加熱し、固形のマ
レイミド樹脂を合成した。この樹脂は、赤外吸収スペク
トル測定において、1770cm-1付近にイミド環のカ
ルボニル基に由来する吸収が観測され、加熱によりイミ
ド化が進行していることが示唆された。また、GPC測
定による数平均分子量(ポリスチレン換算)からこの樹
脂の重合度は11であり、比較的低分子量のオリゴマー
であることが分かった。
【0038】(マレイミド樹脂MI02〜MI20の合
成)前記MI01の合成と同様の方法により、MI02
〜MI20の合成を行った。各樹脂の配合、加熱条件お
よび重合度は、表1〜4にまとめて示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】(実施例1)前記のマレイミド樹脂MI0
7を100重量部と、MI04を100重量部とをミキ
サーで粉砕し均一に混合して、MI07/MI04の粉
末混合物を得た。この混合物を、140℃で2時間乾燥
機中で加熱して、固形のマレイミド樹脂を合成した。得
られた樹脂は、NMPに可溶で均一溶液になった。この
樹脂はGPC測定の結果から、平均重合度は148であ
り、原料のマレイミド樹脂と比較して増大していること
から、ブロック共重合体になっていることが示唆され
る。
【0044】この樹脂のNMP溶液を、離型処理したス
テンレス板の上に流延し、120℃/30分の予備乾燥
後、180℃/5時間の条件で乾燥した。ステンレス板
から剥離して厚さ約50μmの褐色で透明なフィルムを
得た。このフィルムについて、引張り試験、TMA測
定、TG/DTA測定を実施したところ、引張り強度1
35MPa、引張り伸び13%、ガラス転移温度218
℃、5%減量温度365℃と柔軟で高強度、高耐熱のマ
レイミド樹脂フィルムであることが分かった。
【0045】(実施例2〜10)実施例1と同様の方法
により、表1〜表4に示した配合および条件で、実施例
2〜10のマレイミド樹脂を合成した。どの樹脂も溶媒
に可溶で均一な溶液が得られ、原料樹脂よりも重合度が
増大していることから、ブロック共重合体であることが
示唆された。それぞれについて実施例1と同様の方法で
フィルム化し、物性評価を行った。その結果を表5およ
び表6に示した。どの例においても、透明で柔軟な高強
度、高耐熱フィルムが得られていることが分かる。
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】(比較例1〜7)表1〜表4に示した配合
および条件で合成したマレイミド樹脂を用いて、実施例
1と同様の方法でフィルム化し、物性評価を行った。そ
の配合、条件、物性値を、表7および表8にまとめて示
した。
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】比較例1および2におけるマレイミド樹脂
はホモポリマー、比較例3および4におけるマレイミド
樹脂はランダム共重合体で、いずれも透明なフィルムが
得られるが、フィルムは比較的脆く柔軟性、強度で劣る
結果となった。比較例5および6におけるマレイミド樹
脂はポリマーブレンドであるが、相分離し濁ったフィル
ムしか得られなかった。非常に脆いフィルムで柔軟性、
強度で劣っていた。また、比較例7におけるマレイミド
樹脂は、プロセスとしてはブロック共重合と同じである
が、原料の2つのマレイミド樹脂に同じジアミンを用い
ているため、生成物がホモポリマーと同じ構造をとると
考えられる。従って物性もホモポリマーと同等で、比較
的脆いフィルムしか得られなかった。
【0052】これに対して、本発明による実施例1〜1
0におけるマレイミド系樹脂では、いずれも透明で、柔
軟性と強度に優れたフィルムが得られた。またいずれ
も、5%減量温度は300℃以上で、優れた耐熱性を示
した。
【0053】
【発明の効果】本発明の方法によれば、取り扱い易く単
純なモノマー混合物を出発物質として用いることによ
り、工程も極めて簡便で、容易にマレイミド系樹脂を得
ることができる。しかもブロック共重合体にすることに
よって、柔軟性、高強度、高耐熱を併せ持った樹脂が得
られ、成型材料、回路基板材料等に好適である。また、
従来の線状ポリイミド製品と比較して原料も安価で、か
つ低温の工程で容易に高耐熱、高強度のフィルムを得ら
れることから、耐熱フィルム材料、フレキシブル回路基
板材料等にも好適である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J043 PA04 PA05 PA09 PC015 PC016 QB15 QB26 QB33 QC02 RA08 RA34 SA06 SA42 SA43 SA47 SA72 SB01 SB02 SB03 TA12 TA21 TA72 TB01 TB02 TB03 UA041 UA121 UA131 UA141 UA151 UA261 UA361 UA632 UA761 UA762 UA771 UB011 UB061 UB121 UB131 UB221 UB281 UB301 UB351 UB401 VA011 VA021 VA031 VA041 VA051 VA061 VA071 VA081 WA09 WA16 XA03 XA06 XB36 ZB11 ZB50

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に、連続した一般式(1)で表さ
    れる繰り返し単位、および連続した一般式(2)で表さ
    れる繰り返し単位を有することを特徴とするブロック共
    重合マレイミド系樹脂。 【化1】 【化2】 式中、AおよびBは、互いに異なる炭素数4以上の2価
    の有機基で、R1〜R4はそれぞれ、水素,アルキル基,
    フェニル基,または置換フェニル基を表す。mおよびn
    はそれぞれ、5〜100の整数である。
  2. 【請求項2】 一般式(1)および(2)において、R
    1〜R4が全て水素原子であることを特徴とする、請求
    項1記載のブロック共重合マレイミド系樹脂。
  3. 【請求項3】 一般式(1)および(2)において、
    A、Bのいずれか一方が、炭素数4以上の芳香環を有さ
    ない2価の有機基であって、かつ他方が炭素数6以上の
    芳香環を有する2価の有機基であることを特徴とする、
    請求項1または請求項2記載のブロック共重合マレイミ
    ド系樹脂。
  4. 【請求項4】 一般式(1)および(2)において、
    A、Bのいずれか一方が、炭素数17以下の2価の有機
    基であって、かつ他方が炭素数18以上の2価の有機基
    であることを特徴とする、請求項1または請求項2記載
    のブロック共重合マレイミド系樹脂。
  5. 【請求項5】 一般式(3)で表されるマレイン酸類縁
    体モノマー、および/または一般式(4)で表される無
    水マレイン酸類縁体モノマーと、一般式(5)で表され
    るジアミンとを、モル比が0.5〜1.0:1.0で、溶
    媒を用いずに混合した後、該混合物を80〜200℃で
    加熱処理して得られるマレイミド系樹脂オリゴマー(a
    1)と、一般式(6)で表されるマレイン酸類縁体モノ
    マー、および/または一般式(7)で表される無水マレ
    イン酸類縁体モノマーと、一般式(8)で表されるジア
    ミンとを、モル比が1.0〜2.0:1.0で、溶媒を用
    いずに混合した後、該混合物を80〜200℃で加熱処
    理して得られるマレイミド系樹脂オリゴマー(b1)と
    を、重量比(a1):(b1)が1:0.1〜10になる
    ように、溶媒を用いずに混合した後、80〜200℃で
    加熱処理することを特徴とする、請求項1〜請求項4の
    いずれかに記載のブロック共重合マレイミド系樹脂の製
    造方法。 【化3】 【化4】 【化5】 【化6】 【化7】 【化8】 式中、R5〜R12はそれぞれ、水素,アルキル基,フェ
    ニル基,または置換フェニル基を表す。AおよびBは、
    互いに異なる炭素数4以上の2価の有機基を表す。
  6. 【請求項6】 一般式(3)で表されるマレイン酸類縁
    体モノマー、および/または一般式(4)で表される無
    水マレイン酸類縁体モノマーと、一般式(5)で表され
    るジアミンとを、モル比が1.0〜2.0:1.0で、溶
    媒を用いずに混合した後、該混合物を80〜200℃で
    加熱処理して得られるマレイミド系樹脂オリゴマー(a
    2)と、一般式(6)で表されるマレイン酸類縁体モノ
    マー、および/または一般式(7)で表される無水マレ
    イン酸類縁体モノマーと、一般式(8)で表されるジア
    ミンとを、モル比が1.0〜2.0:1.0で、溶媒を用
    いずに混合した後、該混合物を80〜200℃で加熱処
    理して得られるマレイミド系樹脂オリゴマー(b2)
    と、一般式(9)で表されるジアミン(c2)とを、重
    量比(a2):(b2):(c2)が1:0.1〜10:
    0.0001〜2になるように、溶媒を用いずに混合し
    た後、80〜200℃で加熱処理することを特徴とす
    る、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のブロック共
    重合マレイミド系樹脂の製造方法。 【化9】 式中、Cは炭素数4以上の2価の有機基を表す。
  7. 【請求項7】 一般式(3)で表されるマレイン酸類縁
    体モノマー、および/または一般式(4)で表される無
    水マレイン酸類縁体モノマーと、一般式(5)で表され
    るジアミンとを、モル比が0.5〜1.0:1.0で溶媒
    を用いずに混合した後、該混合物を80〜200℃で加
    熱処理して得られるマレイミド系樹脂オリゴマー(a
    3)と、一般式(6)で表されるマレイン酸類縁体モノ
    マー、および/または一般式(7)で表される無水マレ
    イン酸類縁体モノマーと、一般式(8)で表されるジア
    ミンとを、モル比が0.5〜1.0:1.0で、溶媒を用
    いずに混合した後、該混合物を80〜200℃で加熱処
    理して得られるマレイミド系樹脂オリゴマー(b3)
    と、マレイン酸または無水マレイン酸(c3)とを、重
    量比(a3):(b3):(c3)が1:0.1〜10:
    0.0001〜2になるように、溶媒を用いずに混合し
    た後、80〜200℃で加熱処理することを特徴とす
    る、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のブロック共
    重合マレイミド系樹脂の製造方法。
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