JP2002153295A - β−1,4−ガラクトシルマルトースの連続的製造方法 - Google Patents
β−1,4−ガラクトシルマルトースの連続的製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 全体操作を簡略化したβ−1,4−ガラクト
シルマルトースの製造方法を提供すると共に、晶析法に
より高純度β−1,4−ガラクトシルマルトースの生産
を工業的規模で簡便に行うことができる製造方法を提供
すること。 【解決手段】 内部に充填剤層が形成された塔の複数を
無端に連結した系内にラクトースとマルトースを原料と
して含む原料液及び溶離液をそれぞれ供給し、該液を一
方向に循環流として流す操作と、この系に導入されたガ
ラクトシル基転移酵素を含む酵素液又は固定化した該酵
素を、ラクトース及びマルトースと反応させ、生成した
β−1,4−ガラクトシルマルトースに富む区分液とグ
ルコースに富む区分液をそれぞれ上記系外に抜出す操作
と、前記原料液及び溶離液の各液を供給する入口の位置
及び各区分液を該系から抜出す出口の位置を間欠的に移
動させ、上記入口及び出口に対して充填剤を液の流れと
は見かけ上反対方向に移動させる擬似移動層式クロマト
分離の操作を行うことを特徴とするβ−1,4−ガラク
トシルマルトースの連続的製造方法。
シルマルトースの製造方法を提供すると共に、晶析法に
より高純度β−1,4−ガラクトシルマルトースの生産
を工業的規模で簡便に行うことができる製造方法を提供
すること。 【解決手段】 内部に充填剤層が形成された塔の複数を
無端に連結した系内にラクトースとマルトースを原料と
して含む原料液及び溶離液をそれぞれ供給し、該液を一
方向に循環流として流す操作と、この系に導入されたガ
ラクトシル基転移酵素を含む酵素液又は固定化した該酵
素を、ラクトース及びマルトースと反応させ、生成した
β−1,4−ガラクトシルマルトースに富む区分液とグ
ルコースに富む区分液をそれぞれ上記系外に抜出す操作
と、前記原料液及び溶離液の各液を供給する入口の位置
及び各区分液を該系から抜出す出口の位置を間欠的に移
動させ、上記入口及び出口に対して充填剤を液の流れと
は見かけ上反対方向に移動させる擬似移動層式クロマト
分離の操作を行うことを特徴とするβ−1,4−ガラク
トシルマルトースの連続的製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はβ−1,4−ガラク
トシルマルトースの連続的製造方法に関する。この物質
は、α−アミラーゼ活性の測定に用いられるβ−1,4
−ガラクトシルマルトース誘導体やα−アミラーゼ阻害
剤として有用な物質の製造原料として使用される。
トシルマルトースの連続的製造方法に関する。この物質
は、α−アミラーゼ活性の測定に用いられるβ−1,4
−ガラクトシルマルトース誘導体やα−アミラーゼ阻害
剤として有用な物質の製造原料として使用される。
【0002】
【従来の技術】膵液や尿などの体液に含有されるα−ア
ミラーゼの活性を測定することによって、各種疾患の診
断が行われている。α−アミラーゼの活性測定用基質の
一つとしてβ−1,4−ガラクトシルマルトースの還元
性末端にフェニル基、ナフチル基、またはそれらの誘導
体をアグリコンとして結合させた化合物が知られている
(特開平6−315399号公報)。この基質を用いる
活性測定法はα−グリコシダーゼやグルコアミラーゼ等
の共役酵素を使用しないため、体液中のα−アミラーゼ
活性を高感度で簡便に測定することが可能である。この
ように、β−1,4−ガラクトシルマルトース誘導体は
臨床検査において非常に有用な化合物であり、この物質
はβ−1,4−ガラクトシルマルトースを原料として製
造することができる。また、β−1,4−ガラクトシル
マルトースは、α−アミラーゼ阻害剤として有効である
ことが知られているガラクトシルマルトビオノラクトン
(特開平8−291192号公報)の原料としても用い
られている。
ミラーゼの活性を測定することによって、各種疾患の診
断が行われている。α−アミラーゼの活性測定用基質の
一つとしてβ−1,4−ガラクトシルマルトースの還元
性末端にフェニル基、ナフチル基、またはそれらの誘導
体をアグリコンとして結合させた化合物が知られている
(特開平6−315399号公報)。この基質を用いる
活性測定法はα−グリコシダーゼやグルコアミラーゼ等
の共役酵素を使用しないため、体液中のα−アミラーゼ
活性を高感度で簡便に測定することが可能である。この
ように、β−1,4−ガラクトシルマルトース誘導体は
臨床検査において非常に有用な化合物であり、この物質
はβ−1,4−ガラクトシルマルトースを原料として製
造することができる。また、β−1,4−ガラクトシル
マルトースは、α−アミラーゼ阻害剤として有効である
ことが知られているガラクトシルマルトビオノラクトン
(特開平8−291192号公報)の原料としても用い
られている。
【0003】しかしながら、これらに用いられるβ−
1,4−ガラクトシルマルトースは98%以上の高純度
であることが必要であり、工業的にはその製造方法は十
分に確立されてはいない。β−1,4−ガラクトシルマ
ルトースは、マルトースの非還元性末端にガラクトース
がβ−1, 4結合した3糖であり、糖供与体としてラク
トースを、糖受容体としてマルトースを用い、β−ガラ
クトシダーゼの糖転移反応により合成することが出来
る。しかしながら、この酵素反応は平衡反応であり、目
的とするβ−1,4−ガラクトシルマルトースの生成率
が10%程度と低く、さらにβ−1,4−ガラクトシル
マルトースと同時に異性体であるβ−1,6−ガラクト
シルマルトースや糖供与体として用いるラクトース自身
にガラクトースが転移したガラクトシルラクトースが生
成する。
1,4−ガラクトシルマルトースは98%以上の高純度
であることが必要であり、工業的にはその製造方法は十
分に確立されてはいない。β−1,4−ガラクトシルマ
ルトースは、マルトースの非還元性末端にガラクトース
がβ−1, 4結合した3糖であり、糖供与体としてラク
トースを、糖受容体としてマルトースを用い、β−ガラ
クトシダーゼの糖転移反応により合成することが出来
る。しかしながら、この酵素反応は平衡反応であり、目
的とするβ−1,4−ガラクトシルマルトースの生成率
が10%程度と低く、さらにβ−1,4−ガラクトシル
マルトースと同時に異性体であるβ−1,6−ガラクト
シルマルトースや糖供与体として用いるラクトース自身
にガラクトースが転移したガラクトシルラクトースが生
成する。
【0004】これらの化合物は、各種分画処理において
β−1,4−ガラクトシルマルトースと同様の挙動を示
すため、工業的規模でのβ−1,4−ガラクトシルマル
トースの分画は困難である。そこで、一般的には糖供与
体としてラクトースを、糖受容体としてマルトオリゴ糖
を用い、β−ガラクトシダーゼの糖転移反応によりガラ
クトシルマルトオリゴ糖をまず生成し、得られたガラク
トシルマルトオリゴ糖からβ−1,4−ガラクトシルマ
ルトースを製造する方法が行われている。ガラクトシル
マルトオリゴ糖からβ−1,4−ガラクトシルマルトー
スを製造する方法には2つあり、第一の方法は生成した
ガラクトシルマルトオリゴ糖画分から分画によってガラ
クトシルラクトースを除去し、得られたガラクトシルマ
ルトオリゴ糖にタカアミラーゼを作用させガラクトシル
マルトースを生成させ、再度分画することによって高純
度のβ−1,4−ガラクトシルマルトースを製造する方
法(特開平8−173180号公報)である。第二の方
法はガラクトシルマルトオリゴ糖反応液にβ−1,6−
ガラクトシルマルトオリゴ糖には作用せず、β−1,4
−ガラクトシルマルトースのみを遊離するサーモモノス
ポラ属放線菌のα−アミラーゼを作用させ、β−1,4
−ガラクトシルマルトースを得、共存するガラクトシル
ラクトースはβ−ガラクタナーゼを作用させることによ
り低分子化し、最終的に分画によって高純度のβ−1,
4−ガラクトシルマルトースを製造する方法(特開平1
1−215997号公報)である。
β−1,4−ガラクトシルマルトースと同様の挙動を示
すため、工業的規模でのβ−1,4−ガラクトシルマル
トースの分画は困難である。そこで、一般的には糖供与
体としてラクトースを、糖受容体としてマルトオリゴ糖
を用い、β−ガラクトシダーゼの糖転移反応によりガラ
クトシルマルトオリゴ糖をまず生成し、得られたガラク
トシルマルトオリゴ糖からβ−1,4−ガラクトシルマ
ルトースを製造する方法が行われている。ガラクトシル
マルトオリゴ糖からβ−1,4−ガラクトシルマルトー
スを製造する方法には2つあり、第一の方法は生成した
ガラクトシルマルトオリゴ糖画分から分画によってガラ
クトシルラクトースを除去し、得られたガラクトシルマ
ルトオリゴ糖にタカアミラーゼを作用させガラクトシル
マルトースを生成させ、再度分画することによって高純
度のβ−1,4−ガラクトシルマルトースを製造する方
法(特開平8−173180号公報)である。第二の方
法はガラクトシルマルトオリゴ糖反応液にβ−1,6−
ガラクトシルマルトオリゴ糖には作用せず、β−1,4
−ガラクトシルマルトースのみを遊離するサーモモノス
ポラ属放線菌のα−アミラーゼを作用させ、β−1,4
−ガラクトシルマルトースを得、共存するガラクトシル
ラクトースはβ−ガラクタナーゼを作用させることによ
り低分子化し、最終的に分画によって高純度のβ−1,
4−ガラクトシルマルトースを製造する方法(特開平1
1−215997号公報)である。
【0005】しかし、これらの方法は何れもガラクトシ
ルマルトオリゴ糖を合成した後、種々の酵素剤を作用さ
せることによってβ−1,4−ガラクトシルマルトース
を製造しているため、糖受容体としてマルトースを用い
る方法に比べ操作が煩雑である。さらに、98%以上の
高純度β−1,4−ガラクトシルマルトースを得るため
には、通常のODSカラム、ゲルろ過、イオンクロマト
等のカラムクロマトでの分離を行う必要があるが、β−
ガラクトシダーゼ以外の酵素剤を多量に用いること、さ
らに通常のカラムクロマトではβ−1,4−ガラクトシ
ルマルトースの回収率が低くなることによって製品は高
価にならざるを得なかった。
ルマルトオリゴ糖を合成した後、種々の酵素剤を作用さ
せることによってβ−1,4−ガラクトシルマルトース
を製造しているため、糖受容体としてマルトースを用い
る方法に比べ操作が煩雑である。さらに、98%以上の
高純度β−1,4−ガラクトシルマルトースを得るため
には、通常のODSカラム、ゲルろ過、イオンクロマト
等のカラムクロマトでの分離を行う必要があるが、β−
ガラクトシダーゼ以外の酵素剤を多量に用いること、さ
らに通常のカラムクロマトではβ−1,4−ガラクトシ
ルマルトースの回収率が低くなることによって製品は高
価にならざるを得なかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは
上記の酵素反応が平衡反応であり、原料のラクトースと
マルトースが2糖同士であってカラム内で分離し難く、
生成物であるβ−1,4−ガラクトシルマルトースとグ
ルコースが原料から容易に分離可能である点に着目し、
擬似移動層分離装置内に原料を連続注入し、ガラクトシ
ル基転移活性を有する酵素液、又は固定化した酵素によ
り連続的に反応を行いながら、生成したβ−1,4−ガ
ラクトシルマルトースを酵素反応系外へ分離して、反応
を目的物の生成方向に進め、総括的な反応率を平衡反応
以上に高めることによって、β−1,4−ガラクトシル
マルトース含有率の高い反応液を得ることに成功した。
さらに、晶析法を用いることにより、得られた反応液か
ら効率的に純度98%以上の高純度β−1,4−ガラク
トシルマルトースを製造することに成功し、本発明を完
成させた。
上記の酵素反応が平衡反応であり、原料のラクトースと
マルトースが2糖同士であってカラム内で分離し難く、
生成物であるβ−1,4−ガラクトシルマルトースとグ
ルコースが原料から容易に分離可能である点に着目し、
擬似移動層分離装置内に原料を連続注入し、ガラクトシ
ル基転移活性を有する酵素液、又は固定化した酵素によ
り連続的に反応を行いながら、生成したβ−1,4−ガ
ラクトシルマルトースを酵素反応系外へ分離して、反応
を目的物の生成方向に進め、総括的な反応率を平衡反応
以上に高めることによって、β−1,4−ガラクトシル
マルトース含有率の高い反応液を得ることに成功した。
さらに、晶析法を用いることにより、得られた反応液か
ら効率的に純度98%以上の高純度β−1,4−ガラク
トシルマルトースを製造することに成功し、本発明を完
成させた。
【0007】本発明の目的は、擬似移動層分離装置にマ
ルトース、ラクトースを含む原料糖液を連続的に注入
し、β−ガラクトシダーゼを介した酵素反応とクロマト
分離とを同時に行うことによって全体操作を簡略化した
β−1,4−ガラクトシルマルトースの製造方法を提供
すると共に、構造異性体であるβ−1,6−ガラクトシ
ルマルトース及びガラクトシルラクトースが混在してい
る分画液から、晶析法を用いることにより、高純度のβ
−1,4−ガラクトシルマルトース生産を工業的規模で
簡便に行うことができる製造方法を提供することにあ
る。
ルトース、ラクトースを含む原料糖液を連続的に注入
し、β−ガラクトシダーゼを介した酵素反応とクロマト
分離とを同時に行うことによって全体操作を簡略化した
β−1,4−ガラクトシルマルトースの製造方法を提供
すると共に、構造異性体であるβ−1,6−ガラクトシ
ルマルトース及びガラクトシルラクトースが混在してい
る分画液から、晶析法を用いることにより、高純度のβ
−1,4−ガラクトシルマルトース生産を工業的規模で
簡便に行うことができる製造方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、内部に充填剤層が形成された塔の複数を無端に連結
した系内にラクトースとマルトースを原料として含む原
料液及び溶離液をそれぞれ供給し、該液を一方向に循環
流として流す操作と、この系に導入されたガラクトシル
基転移酵素を含む酵素液又は固定化した該酵素を、ラク
トース及びマルトースと反応させ、生成したβ−1,4
−ガラクトシルマルトースに富む区分液とグルコースに
富む区分液をそれぞれ上記系外に抜出す操作と、前記原
料液及び溶離液の各液を供給する入口の位置及び各区分
液を該系から抜出す出口の位置を間欠的に移動させ、上
記入口及び出口に対して充填剤を液の流れとは見かけ上
反対方向に移動させる擬似移動層式クロマト分離の操作
を行うことを特徴とするβ−1,4−ガラクトシルマル
トースの連続的製造方法である。
は、内部に充填剤層が形成された塔の複数を無端に連結
した系内にラクトースとマルトースを原料として含む原
料液及び溶離液をそれぞれ供給し、該液を一方向に循環
流として流す操作と、この系に導入されたガラクトシル
基転移酵素を含む酵素液又は固定化した該酵素を、ラク
トース及びマルトースと反応させ、生成したβ−1,4
−ガラクトシルマルトースに富む区分液とグルコースに
富む区分液をそれぞれ上記系外に抜出す操作と、前記原
料液及び溶離液の各液を供給する入口の位置及び各区分
液を該系から抜出す出口の位置を間欠的に移動させ、上
記入口及び出口に対して充填剤を液の流れとは見かけ上
反対方向に移動させる擬似移動層式クロマト分離の操作
を行うことを特徴とするβ−1,4−ガラクトシルマル
トースの連続的製造方法である。
【0009】請求項2記載の本発明は、請求項1記載の
方法で得たβ−1,4−ガラクトシルマルトースに富む
区分液を晶析することを特徴とする純度98%以上のβ
−1,4−ガラクトシルマルトースを製造する方法であ
る。請求項3記載の本発明は、β−1,4−ガラクトシ
ルマルトースに富む区分液が、純度20〜98%のβ−
1,4−ガラクトシルマルトース溶液である請求項2記
載の方法である。請求項4記載の本発明は、β−1,4
−ガラクトシルマルトースに富む区分液が、β−1,4
−ガラクトシルマルトースと共にガラクトース、グルコ
ース、ラクトース、マルトース、マルトオリゴ糖、ガラ
クトシル−ラクトース、ガラクトシル−マルトオリゴ糖
及びβ−1,6−ガラクトシル−マルトースよりなる群
から選ばれる少なくとも1種類の化合物が共存するもの
である請求項2又は3に記載の方法である。
方法で得たβ−1,4−ガラクトシルマルトースに富む
区分液を晶析することを特徴とする純度98%以上のβ
−1,4−ガラクトシルマルトースを製造する方法であ
る。請求項3記載の本発明は、β−1,4−ガラクトシ
ルマルトースに富む区分液が、純度20〜98%のβ−
1,4−ガラクトシルマルトース溶液である請求項2記
載の方法である。請求項4記載の本発明は、β−1,4
−ガラクトシルマルトースに富む区分液が、β−1,4
−ガラクトシルマルトースと共にガラクトース、グルコ
ース、ラクトース、マルトース、マルトオリゴ糖、ガラ
クトシル−ラクトース、ガラクトシル−マルトオリゴ糖
及びβ−1,6−ガラクトシル−マルトースよりなる群
から選ばれる少なくとも1種類の化合物が共存するもの
である請求項2又は3に記載の方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】上記した請求項1記載の本発明
は、擬似移動層分離装置にラクトース、マルトースを原
料として含む原料液を連続的に注入すると共に、ガラク
トシル基転移活性を持つ酵素液及び溶離液をそれぞれ供
給して、β−1,4−ガラクトシルマルトースを生成さ
せ、生成したβ−1,4−ガラクトシルマルトースを酵
素反応系内から分離して、β−1,4−ガラクトシルマ
ルトースに富む液を擬似移動層分離装置から連続的に抜
出すことを特徴とする。また、上記の操作は、擬似移動
層分離装置内にガラクトシル基転移酵素を固定化したカ
ラムを導入することによっても同様な反応分離操作を行
うことが可能である。
は、擬似移動層分離装置にラクトース、マルトースを原
料として含む原料液を連続的に注入すると共に、ガラク
トシル基転移活性を持つ酵素液及び溶離液をそれぞれ供
給して、β−1,4−ガラクトシルマルトースを生成さ
せ、生成したβ−1,4−ガラクトシルマルトースを酵
素反応系内から分離して、β−1,4−ガラクトシルマ
ルトースに富む液を擬似移動層分離装置から連続的に抜
出すことを特徴とする。また、上記の操作は、擬似移動
層分離装置内にガラクトシル基転移酵素を固定化したカ
ラムを導入することによっても同様な反応分離操作を行
うことが可能である。
【0011】上記において擬似移動層分離装置として
は、内部に充填剤層を形成し、複数の塔を配管で無端に
連結した系と、この系の所定位置に原料、溶離液、酵素
液を供給し、かつその供給位置を間歇的に循環流の下流
側に切換え移動することができる液供給系と同期して間
歇的に循環流の下流側に切換え移動することのできる液
抜出し系と、これらの液供給系及び液抜出系の切換え移
動を行わせる制御手段の組合せによって構成されたもの
を用いることができる。
は、内部に充填剤層を形成し、複数の塔を配管で無端に
連結した系と、この系の所定位置に原料、溶離液、酵素
液を供給し、かつその供給位置を間歇的に循環流の下流
側に切換え移動することができる液供給系と同期して間
歇的に循環流の下流側に切換え移動することのできる液
抜出し系と、これらの液供給系及び液抜出系の切換え移
動を行わせる制御手段の組合せによって構成されたもの
を用いることができる。
【0012】請求項2記載の発明は、β−1,4−ガラ
クトシルマルトースを含む反応液から高純度β−1,4
−ガラクトシルマルトースを製造する方法であり、晶析
工程を含むことを特徴とする方法に関する。
クトシルマルトースを含む反応液から高純度β−1,4
−ガラクトシルマルトースを製造する方法であり、晶析
工程を含むことを特徴とする方法に関する。
【0013】本発明の方法を図面により説明する。図1
は、本発明の方法を実施するのに用いられる擬似移動層
分離装置の概略図を示したものである。実際の装置は、
充填剤充填塔である10本の塔(カラム)1〜10を5
本づつ2列に配列し、配管11によって無端状に連結さ
れているが、図1では便宜上カラムを直線状に配置した
状態で示した。この装置における、10本のカラムから
なる系に対して酵素液、原料液、溶離液がそれぞれポン
プ12, 13, 14により所定のカラム内に供給され、
反応生成物であるA区分液、C区分液が所定のカラムか
らポンプ15, 16により抜出され、一定時間毎に循環
流の下流側に1カラムづつ、カラムとの連結が切換え移
動されるようになっている。
は、本発明の方法を実施するのに用いられる擬似移動層
分離装置の概略図を示したものである。実際の装置は、
充填剤充填塔である10本の塔(カラム)1〜10を5
本づつ2列に配列し、配管11によって無端状に連結さ
れているが、図1では便宜上カラムを直線状に配置した
状態で示した。この装置における、10本のカラムから
なる系に対して酵素液、原料液、溶離液がそれぞれポン
プ12, 13, 14により所定のカラム内に供給され、
反応生成物であるA区分液、C区分液が所定のカラムか
らポンプ15, 16により抜出され、一定時間毎に循環
流の下流側に1カラムづつ、カラムとの連結が切換え移
動されるようになっている。
【0014】すなわち、図1に示した状態では、酵素
液、原料液はポンプ12, 13よりカラム5の塔頂に供
給するように連結されていると共に、溶離液はポンプ1
4によってカラム1の塔頂に供給するように連結され、
かつA区分液はポンプ16によってカラム8の塔末か
ら、C区分液はカラム2の塔末から、それぞれ液を抜出
すように連結が切換えられる。以下、同様にして各液の
供給位置、抜出し位置が一定時間毎に1カラムづつ循環
流の下流側に移動するように切換えられる。
液、原料液はポンプ12, 13よりカラム5の塔頂に供
給するように連結されていると共に、溶離液はポンプ1
4によってカラム1の塔頂に供給するように連結され、
かつA区分液はポンプ16によってカラム8の塔末か
ら、C区分液はカラム2の塔末から、それぞれ液を抜出
すように連結が切換えられる。以下、同様にして各液の
供給位置、抜出し位置が一定時間毎に1カラムづつ循環
流の下流側に移動するように切換えられる。
【0015】塔の内部には、アンバーライト、ダイヤイ
オンなどの充填剤の層が形成されており、複数の塔が無
端に連結された系内は供給された液が一方向に循環流と
して流れるように構成されている。酵素反応によって生
成したβ−1,4−ガラクトシルマルトースに富む区分
液(A区分液)は、充填剤に対する親和力が弱いが、他
の生成物であるグルコースに富む区分液(C区分液)
は、充填剤に対する親和力が強い。これら区分液は、上
記したように、それぞれ別々に系外に抜出す。さらに、
本発明においては、原料液、酵素液及び溶離液の各液を
供給する入口の位置並びに各区分液を系外に抜出すため
の出口の位置を弁の切換えによって間欠的に移動できる
ように構成している。そのため、この入口や出口に対し
て充填剤を液の流れとは見かけ上、反対方向に移動させ
る疑似移動層式クロマト分離の操作を行うことができ、
これによってβ−1,4−ガラクトシルマルトースに富
む区分液を系外に抜出し、連続的に製造することができ
る。原料としては、マルトースの比率が乳糖より高い方
が良く、例えばマルトースと乳糖の比率が2:1程度で
あると、β−1,4−ガラクトシルマルトースの収率が
良い。カラム温度は、20〜80℃にて製造が可能であ
るが、酵素の至適温度に近い温度で反応を行う方が良
い。また、カラムの切り換え時間によって反応時間を制
御することが可能であるが、原料がカラム内を移動する
速度と同程度に切り換え時間を設定すると、反応時間が
長くなり、効率的であるが、あまり反応時間が長すぎる
と、逆反応が進行し、収率低下を招くことがある。
オンなどの充填剤の層が形成されており、複数の塔が無
端に連結された系内は供給された液が一方向に循環流と
して流れるように構成されている。酵素反応によって生
成したβ−1,4−ガラクトシルマルトースに富む区分
液(A区分液)は、充填剤に対する親和力が弱いが、他
の生成物であるグルコースに富む区分液(C区分液)
は、充填剤に対する親和力が強い。これら区分液は、上
記したように、それぞれ別々に系外に抜出す。さらに、
本発明においては、原料液、酵素液及び溶離液の各液を
供給する入口の位置並びに各区分液を系外に抜出すため
の出口の位置を弁の切換えによって間欠的に移動できる
ように構成している。そのため、この入口や出口に対し
て充填剤を液の流れとは見かけ上、反対方向に移動させ
る疑似移動層式クロマト分離の操作を行うことができ、
これによってβ−1,4−ガラクトシルマルトースに富
む区分液を系外に抜出し、連続的に製造することができ
る。原料としては、マルトースの比率が乳糖より高い方
が良く、例えばマルトースと乳糖の比率が2:1程度で
あると、β−1,4−ガラクトシルマルトースの収率が
良い。カラム温度は、20〜80℃にて製造が可能であ
るが、酵素の至適温度に近い温度で反応を行う方が良
い。また、カラムの切り換え時間によって反応時間を制
御することが可能であるが、原料がカラム内を移動する
速度と同程度に切り換え時間を設定すると、反応時間が
長くなり、効率的であるが、あまり反応時間が長すぎる
と、逆反応が進行し、収率低下を招くことがある。
【0016】上記装置によって、以上の操作を行うこと
により、カラム内に供給された酵素液と原料液から、酵
素反応によって生成物であるβ−1,4−ガラクトシル
マルトースとグルコースを生成し、親和力の弱いβ−
1,4−ガラクトシルマルトースはA区分側から、親和
力の強いグルコースはC区分側から抜出される。反応カ
ラムである3,4,5,6,7,8においては、生成物
であるβ−1,4−ガラクトシルマルトースとグルコー
スが除去されることによって、平衡反応が生成物側に移
動し、高収率でβ−1,4−ガラクトシルマルトースに
富む液が得られることになる。
により、カラム内に供給された酵素液と原料液から、酵
素反応によって生成物であるβ−1,4−ガラクトシル
マルトースとグルコースを生成し、親和力の弱いβ−
1,4−ガラクトシルマルトースはA区分側から、親和
力の強いグルコースはC区分側から抜出される。反応カ
ラムである3,4,5,6,7,8においては、生成物
であるβ−1,4−ガラクトシルマルトースとグルコー
スが除去されることによって、平衡反応が生成物側に移
動し、高収率でβ−1,4−ガラクトシルマルトースに
富む液が得られることになる。
【0017】得られた液は、珪藻土ろ過(ラジオライト
#100) 、脱塩、濃縮工程を経て晶析を行い、純度が98
%以上の高純度β−1,4−ガラクトシルマルトースを
得ることができるが、効率的にβ−1,4−ガラクトシ
ルマルトースを晶析させるためには、糖混合液(A区分
液)中のβ−1,4−ガラクトシルマルトース濃度が糖
組成比で20%以上、好ましくは20〜98%の水溶液
とする。また、その溶液温度は溶液が凍結せず、製造工
程上熱損失の比較的少ない0〜95℃の範囲が好適であ
る。溶液の過飽和度や粘度を調節するために、メタノー
ル、エタノール、アセトン等の有機溶媒を添加させるこ
とも可能である。通常、30〜95℃の比較的高温の糖
混合液を助晶缶にとり、これに種晶を添加し、ゆっくり
攪拌しながら冷却を行い、晶出を促してマスキット(種
晶含有過飽和物)にすれば良い。
#100) 、脱塩、濃縮工程を経て晶析を行い、純度が98
%以上の高純度β−1,4−ガラクトシルマルトースを
得ることができるが、効率的にβ−1,4−ガラクトシ
ルマルトースを晶析させるためには、糖混合液(A区分
液)中のβ−1,4−ガラクトシルマルトース濃度が糖
組成比で20%以上、好ましくは20〜98%の水溶液
とする。また、その溶液温度は溶液が凍結せず、製造工
程上熱損失の比較的少ない0〜95℃の範囲が好適であ
る。溶液の過飽和度や粘度を調節するために、メタノー
ル、エタノール、アセトン等の有機溶媒を添加させるこ
とも可能である。通常、30〜95℃の比較的高温の糖
混合液を助晶缶にとり、これに種晶を添加し、ゆっくり
攪拌しながら冷却を行い、晶出を促してマスキット(種
晶含有過飽和物)にすれば良い。
【0018】晶出したマスキットからβ−1,4−ガラ
クトシルマルトース結晶及びそれを含有する粉末を得る
には、分蜜方法など公知の方法を利用することが出来
る。分蜜方法とは、マスキットをバスケット型遠心分離
機にかけ、結晶と蜜とを分離する方法であり、必要によ
り該結晶に少量の冷水又は冷アルコール溶液などをスプ
レーして洗浄することも容易であり、より高純度のβ−
1,4−ガラクトシルマルトースを製造するのに適して
いる。このようにして得られるβ−1,4−ガラクトシ
ルマルトース結晶及びそれを含有する粉末は非吸湿性で
あり、粘着、固着の懸念もなく容易に取り扱うことがで
き、β−1,4−ガラクトシルマルトース誘導体等の原
料に適している。
クトシルマルトース結晶及びそれを含有する粉末を得る
には、分蜜方法など公知の方法を利用することが出来
る。分蜜方法とは、マスキットをバスケット型遠心分離
機にかけ、結晶と蜜とを分離する方法であり、必要によ
り該結晶に少量の冷水又は冷アルコール溶液などをスプ
レーして洗浄することも容易であり、より高純度のβ−
1,4−ガラクトシルマルトースを製造するのに適して
いる。このようにして得られるβ−1,4−ガラクトシ
ルマルトース結晶及びそれを含有する粉末は非吸湿性で
あり、粘着、固着の懸念もなく容易に取り扱うことがで
き、β−1,4−ガラクトシルマルトース誘導体等の原
料に適している。
【0019】このように、本発明の製造方法を用いれ
ば、従来の方法では十分に精製することが出来なかった
糖混合液、すなわちマルトースとラクトースにβ−ガラ
クトシダーゼを作用させて得た糖混合液からも純度98
%以上という高純度のβ−1,4−ガラクトシルマルト
ースを得ることが可能である。さらに、従来行っている
ような酵素分解工程や分画工程を省くことが出来る。
ば、従来の方法では十分に精製することが出来なかった
糖混合液、すなわちマルトースとラクトースにβ−ガラ
クトシダーゼを作用させて得た糖混合液からも純度98
%以上という高純度のβ−1,4−ガラクトシルマルト
ースを得ることが可能である。さらに、従来行っている
ような酵素分解工程や分画工程を省くことが出来る。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。下記の
実施例における糖組成は試料を高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)により分析し、ピーク面積から算出し
た。HPLCは以下の条件で行った。
が、本発明はこれらに限定されるものではない。下記の
実施例における糖組成は試料を高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)により分析し、ピーク面積から算出し
た。HPLCは以下の条件で行った。
【0021】カラム:Asahipak NH2P−5
0(昭和電工(株)製) 移動相:71%アセトニトリル 流速:0.8ml/ min カラム温度:35℃ 検出器:示差屈折計
0(昭和電工(株)製) 移動相:71%アセトニトリル 流速:0.8ml/ min カラム温度:35℃ 検出器:示差屈折計
【0022】実施例1 単位充填層として内径3.6cm、長さ150cmで、加熱
ジャッケットを装着したステンレスカラム10本を用い
て、図1の擬似移動層分離装置にて実験を行った。
ジャッケットを装着したステンレスカラム10本を用い
て、図1の擬似移動層分離装置にて実験を行った。
【0023】原料糖はマルトース(商品名:サンマルト
S、三和澱粉工業(株)製)20kgとラクトース10
kg、固形分濃度42%、pH6.0に調整した。酵素
液はガラクトース転移酵素(β−ガラクトシダーゼ、商
品名:ビオラクタFN5、大和化成(株)製)を用い、
酵素濃度は50U/mlに調製した。 擬似移動層分離
装置の充填剤としては、アンバーライトCR1310
(クロマト分離用ゲル型強酸性カチオン交換樹脂、オル
ガノ(株)製) のナトリウム型を用いた。各ゾーンのカ
ラム数は溶離液供給口から下流方向に2本、2本、4
本、2本とした。カラム内の温度は60℃に設定し、1
サイクルの時間は5時間とした。また、各流速は次のと
おりにした。
S、三和澱粉工業(株)製)20kgとラクトース10
kg、固形分濃度42%、pH6.0に調整した。酵素
液はガラクトース転移酵素(β−ガラクトシダーゼ、商
品名:ビオラクタFN5、大和化成(株)製)を用い、
酵素濃度は50U/mlに調製した。 擬似移動層分離
装置の充填剤としては、アンバーライトCR1310
(クロマト分離用ゲル型強酸性カチオン交換樹脂、オル
ガノ(株)製) のナトリウム型を用いた。各ゾーンのカ
ラム数は溶離液供給口から下流方向に2本、2本、4
本、2本とした。カラム内の温度は60℃に設定し、1
サイクルの時間は5時間とした。また、各流速は次のと
おりにした。
【0024】原料液供給量:1.1ml/min 酵素液供給量:0.2ml/min 溶離液供給量:17.5ml/min A区分液抜出流量:9.4ml/min C区分液抜出流量:10.4ml/min
【0025】運転の結果、150時間後に表1に示す糖
濃度と組成のA区分液とC区分液が得られた。次に、こ
のA区分液の回収を行い、β−1,4−ガラクトシルマ
ルトース52.5%を含む糖混合液を4.9kg得るこ
とができた。また、回分反応と上記の擬似移動層分離装
置による反応のラクトース反応率、β−1,4−ガラク
トシルマルトース収率、β−1,4−ガラクトシルマル
トース選択率は、下記の式1、2、3に従って計算し、
その結果を表2に示した。
濃度と組成のA区分液とC区分液が得られた。次に、こ
のA区分液の回収を行い、β−1,4−ガラクトシルマ
ルトース52.5%を含む糖混合液を4.9kg得るこ
とができた。また、回分反応と上記の擬似移動層分離装
置による反応のラクトース反応率、β−1,4−ガラク
トシルマルトース収率、β−1,4−ガラクトシルマル
トース選択率は、下記の式1、2、3に従って計算し、
その結果を表2に示した。
【0026】
【数1】
【0027】
【数2】
【0028】
【数3】
【0029】
【表1】表1 運転150時間後の各区分液の糖濃度と
組成
組成
【0030】
【表2】表2 回分反応と擬似移動層分離装置による反
応との比較
応との比較
【0031】表2の結果から、擬似移動層分離装置によ
る反応の方が、ラクトース反応率、β−1,4−ガラク
トシルマルトース収率並びにβ−1,4−ガラクトシル
マルトース選択率において、それぞれ5.5%、10.
3%、11.0%も回分反応に比べて高く、効率的な連
続反応による目的物の生産が可能であることが証明され
た。
る反応の方が、ラクトース反応率、β−1,4−ガラク
トシルマルトース収率並びにβ−1,4−ガラクトシル
マルトース選択率において、それぞれ5.5%、10.
3%、11.0%も回分反応に比べて高く、効率的な連
続反応による目的物の生産が可能であることが証明され
た。
【0032】得られた糖混合液(固形分4.9kg) を
けい藻土ろ過後、エバポレーターにて55℃で濃度72
%まで濃縮した。その後、大気圧に戻し、種晶5gを加
え30℃まで1時間あたり1℃の割合で温度を下げなが
ら結晶化を行った。さらに、微結晶を消去するために5
0℃まで加温し、続いて温度降下、温度上昇を4回繰り
返した。本操作によって50〜100μmに成長した、
純度98.1%のβ−1,4−ガラクトシルマルトース
結晶を1.2kg得ることができた。さらに、回収した
結晶は再結晶化を行うことにより、純度99.0%以上
に高めることが可能であった。
けい藻土ろ過後、エバポレーターにて55℃で濃度72
%まで濃縮した。その後、大気圧に戻し、種晶5gを加
え30℃まで1時間あたり1℃の割合で温度を下げなが
ら結晶化を行った。さらに、微結晶を消去するために5
0℃まで加温し、続いて温度降下、温度上昇を4回繰り
返した。本操作によって50〜100μmに成長した、
純度98.1%のβ−1,4−ガラクトシルマルトース
結晶を1.2kg得ることができた。さらに、回収した
結晶は再結晶化を行うことにより、純度99.0%以上
に高めることが可能であった。
【0033】実施例2 表3に示した固形分5kgの糖混合液に種晶を0.5g
加え、エバポレーターで緩やかに回転しながら晶析させ
た。生じた結晶はろ過により回収し、冷水で洗浄した。
ろ紙上の結晶は乾燥機で乾燥させ、純度と回収率を算出
した。結果を表4に示した。
加え、エバポレーターで緩やかに回転しながら晶析させ
た。生じた結晶はろ過により回収し、冷水で洗浄した。
ろ紙上の結晶は乾燥機で乾燥させ、純度と回収率を算出
した。結果を表4に示した。
【0034】
【表3】表3 糖混合液の糖組成(%) 1,4Gal-G2:β- 1,4−ガラクトシルマルトース 1,6Gal-G2:β- 1,6−ガラクトシルマルトース Gal-Lac :ガラクトシルラクトース Lac:ラクトース
【0035】
【表4】表4 β- 1,4−ガラクトシルマルトース晶
析試験
析試験
【0036】表4の結果から明らかなように、β−1,
4−ガラクトシルマルトースの純度が低くなると、晶析
日数が長くなる上に回収率も低下した。しかし、糖混合
液中のβ−1,4−ガラクトシルマルトース純度が20
%以上であれば、1回の晶析で純度90%以上のβ−
1,4−ガラクトシルマルトースが得られることが判明
した。
4−ガラクトシルマルトースの純度が低くなると、晶析
日数が長くなる上に回収率も低下した。しかし、糖混合
液中のβ−1,4−ガラクトシルマルトース純度が20
%以上であれば、1回の晶析で純度90%以上のβ−
1,4−ガラクトシルマルトースが得られることが判明
した。
【0037】
【発明の効果】本発明の方法によれば、高純度のβ−
1,4−ガラクトシルマルトースを工業的規模で安価
に、かつ容易に製造することが出来る。すなわち、本発
明に従い原料糖液と酵素溶液を連続的に供給することに
よって、反応を効率的に行い、目的とするβ−1,4−
ガラクトシルマルトースを高収率で得られる。なお、目
的物に混在するβ−1,6- ガラクトシルマルトース、
ガラクトシルラクトース等の異性体は、晶析法により簡
便に除くことができ、極めて純度の高いβ−1,4−ガ
ラクトシルマルトースを製造することが可能である。従
って、本発明の方法は実用上多大な効果をもたらすもの
である。
1,4−ガラクトシルマルトースを工業的規模で安価
に、かつ容易に製造することが出来る。すなわち、本発
明に従い原料糖液と酵素溶液を連続的に供給することに
よって、反応を効率的に行い、目的とするβ−1,4−
ガラクトシルマルトースを高収率で得られる。なお、目
的物に混在するβ−1,6- ガラクトシルマルトース、
ガラクトシルラクトース等の異性体は、晶析法により簡
便に除くことができ、極めて純度の高いβ−1,4−ガ
ラクトシルマルトースを製造することが可能である。従
って、本発明の方法は実用上多大な効果をもたらすもの
である。
【図1】 本発明の方法を実施するために用いられる疑
似移動層分離装置の概略図である。
似移動層分離装置の概略図である。
1〜10 カラム 11 配管 12〜16 ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 哲也 神奈川県横浜市鶴見区大黒町13番46号 株 式会社横浜国際バイオ研究所内 (72)発明者 藤田 孝輝 神奈川県横浜市鶴見区大黒町13番46号 株 式会社横浜国際バイオ研究所内 (72)発明者 原 耕三 神奈川県横浜市鶴見区大黒町13番46号 株 式会社横浜国際バイオ研究所内 Fターム(参考) 4B064 AF04 CA21 CA34 CB30 CC03 CD09 CE10 CE15 DA13
Claims (4)
- 【請求項1】 内部に充填剤層が形成された塔の複数を
無端に連結した系内にラクトースとマルトースを原料と
して含む原料液及び溶離液をそれぞれ供給し、該液を一
方向に循環流として流す操作と、この系に導入されたガ
ラクトシル基転移酵素を含む酵素液又は固定化した該酵
素を、ラクトース及びマルトースと反応させ、生成した
β−1,4−ガラクトシルマルトースに富む区分液とグ
ルコースに富む区分液をそれぞれ上記系外に抜出す操作
と、前記原料液及び溶離液の各液を供給する入口の位置
及び各区分液を該系から抜出す出口の位置を間欠的に移
動させ、上記入口及び出口に対して充填剤を液の流れと
は見かけ上反対方向に移動させる擬似移動層式クロマト
分離の操作を行うことを特徴とするβ−1,4−ガラク
トシルマルトースの連続的製造方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の方法で得たβ−1,4−
ガラクトシルマルトースに富む区分液を晶析することを
特徴とする純度98%以上のβ−1,4−ガラクトシル
マルトースを製造する方法。 - 【請求項3】 β−1,4−ガラクトシルマルトースに
富む区分液が、純度20〜98%のβ−1,4−ガラク
トシルマルトース溶液である請求項2記載の方法。 - 【請求項4】 β−1,4−ガラクトシルマルトースに
富む区分液が、β−1,4−ガラクトシルマルトースと
共にガラクトース、グルコース、ラクトース、マルトー
ス、マルトオリゴ糖、ガラクトシルラクトース、ガラク
トシルマルトオリゴ糖及びβ−1,6−ガラクトシルマ
ルトースよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の化
合物が共存するものである請求項2又は3に記載の方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000356157A JP2002153295A (ja) | 2000-11-22 | 2000-11-22 | β−1,4−ガラクトシルマルトースの連続的製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000356157A JP2002153295A (ja) | 2000-11-22 | 2000-11-22 | β−1,4−ガラクトシルマルトースの連続的製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002153295A true JP2002153295A (ja) | 2002-05-28 |
Family
ID=18828452
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000356157A Pending JP2002153295A (ja) | 2000-11-22 | 2000-11-22 | β−1,4−ガラクトシルマルトースの連続的製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002153295A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017018135A (ja) * | 2010-07-19 | 2017-01-26 | アルラ フーズ アムバArla Foods Amba | ガラクトオリゴ糖含有組成物およびそれを生産する方法 |
JP2017523905A (ja) * | 2014-06-06 | 2017-08-24 | ジョージア テック リサーチ コーポレイション | 擬似移動床反応器を操作するためのプロセス |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08168393A (ja) * | 1994-12-16 | 1996-07-02 | Dainippon Ink & Chem Inc | ガラクトオリゴ糖の製造方法 |
JPH10215892A (ja) * | 1997-02-03 | 1998-08-18 | Yoshiyuki Sakano | オリゴ糖組成物の製造方法 |
JPH1146788A (ja) * | 1997-08-07 | 1999-02-23 | Ensuiko Sugar Refining Co Ltd | ガラクトシルスクロースの製造方法 |
JPH11215997A (ja) * | 1998-01-30 | 1999-08-10 | Nippon Shokuhin Kako Co Ltd | β−1,4−ガラクトシル−マルトースの製造方法 |
JPH11332592A (ja) * | 1998-05-27 | 1999-12-07 | Mitsubishi Chemical Corp | グルコースを出発原料としたl−リボースの製造方法 |
-
2000
- 2000-11-22 JP JP2000356157A patent/JP2002153295A/ja active Pending
Patent Citations (5)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017018135A (ja) * | 2010-07-19 | 2017-01-26 | アルラ フーズ アムバArla Foods Amba | ガラクトオリゴ糖含有組成物およびそれを生産する方法 |
JP2017523905A (ja) * | 2014-06-06 | 2017-08-24 | ジョージア テック リサーチ コーポレイション | 擬似移動床反応器を操作するためのプロセス |
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Legal Events
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---|---|---|---|
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