JPH1146788A - ガラクトシルスクロースの製造方法 - Google Patents

ガラクトシルスクロースの製造方法

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JPH1146788A
JPH1146788A JP9213221A JP21322197A JPH1146788A JP H1146788 A JPH1146788 A JP H1146788A JP 9213221 A JP9213221 A JP 9213221A JP 21322197 A JP21322197 A JP 21322197A JP H1146788 A JPH1146788 A JP H1146788A
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galactosyl
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健治 橋本
Motoaki Kawase
元明 河瀬
Kozo Hara
耕三 原
Takateru Fujita
孝輝 藤田
Fumihiko Matsuda
文彦 松田
Takayuki Masuda
隆之 増田
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YOKOHAMA KOKUSAI BIO KENKYUSHO
Ensuiko Sugar Refining Co Ltd
Organo Corp
Yokohama Kokusai Bio Kenkyusho KK
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YOKOHAMA KOKUSAI BIO KENKYUSHO
Ensuiko Sugar Refining Co Ltd
Organo Corp
Japan Organo Co Ltd
Yokohama Kokusai Bio Kenkyusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平衡反応であるガラクトシルスクロースの酵
素反応による製造を平衡反応率よりも高い収率で製造す
る。 【解決手段】 擬似移動層装置にラクトースとスクロー
スを原料として含む原料液、フラクトシル基転移酵素を
含む酵素液及び溶離液をそれぞれ供給して、ガラクトシ
ルスクロースを酵素反応により生成させ、生成したガラ
クトシルスクロースに富む区分液を他の成分から分離
し、ガラクトシルスクロースに富む区分液を擬似移動層
装置から抜出す、以上の処理を擬似移動層装置により同
時に行わせる操作と、得られたガラクトシルスクロース
含有液に含まれる塩類を除去する操作とを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラクトシルスク
ロース(他にラクトシルフラクトシド、あるいはラクト
スクロースと称されることもある)の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来技術】ガラクトシルスクロースは、ビフィズス菌
増殖因子としての活性を有しており、特定保健食品(厚
生省認可)として人々の健康に役立つものである。
【0003】従来から、このガラクトシルスクロース
は、ラクトースとスクロースにフラクトシル基転移酵素
を作用させることによって、酵素反応により製造できる
ことが知られており、またこの製造を効率化する方法と
して、ラクトースとスクロースにフラクトシル基転移酵
素及びインベルターゼ欠損酵母を作用させる方法が提案
されている(特開平4−293494号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のフラ
クトシル基転移酵素を用いた酵素反応は、平衡反応であ
るため、上記のガラクトシルスクロースを回分式で製造
する方法では、ガラクトシルスクロースが反応固形分中
の30%程度しか得られず、収率が低いという問題があ
る。
【0005】これに対し、上記特開平4−293494
号公報記載の方法は、酵素反応で生成したグルコースを
酵母が消費するため、平衡反応が生成物の生成方向に進
んでガラクトシルスクロースの含有率を反応固形分中の
60%程度にまで高めることができるという利点があ
る。しかし、原理的に酵母が原料の糖分を摂取して失わ
れるという問題があり、また酵母の取扱が容易でないと
いう問題がある。
【0006】そこで本発明者らは、上記フラクトシル基
転移酵素を用いた酵素反応が平衡反応であって、回分式
では平衡反応率以上に収率を高めることができないが、
生成されたガラクトシルスクロースを酵素反応の領域か
ら分離させれば反応が生成物の生成方向に進み、総括的
な反応率を平衡反応率以上に高くしてガラクトシルスク
ロース含有率の高い反応液が得られる点に注目し、鋭意
検討を進めて本発明をなすに至ったものである。
【0007】すなわち、本発明の目的は、酵素反応とク
ロマト分離とを同時に行わせることによって全体操作を
簡略化したガラクトシルスクロースの製造方法を提供す
るところにある。
【0008】また本発明の別の目的は、回分式のように
純度をよくするために長いカラムを用いて溶離液を多量
に用いる必要がなく、純度が高く収率にも優れていて、
後段の濃縮工程の負担も小さくでき、ガラクトシルスク
ロースを効率よく高い生産性をもって低コストに製造で
きる方法を提供するところにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1のガラクトシル
スクロースの製造方法の発明は、擬似移動層装置にラク
トースとスクロースを原料として含む原料液、フラクト
シル基転移酵素を含む酵素液及び溶離液をそれぞれ供給
して、ガラクトシルスクロースを酵素反応により生成さ
せ、生成したガラクトシルスクロースに富む区分液を他
の成分から分離し、ガラクトシルスクロースに富む区分
液を擬似移動層装置から抜出す、ことを上記擬似移動層
装置により同時に行わせる操作と、得られたガラクトシ
ルスクロース含有液に含まれる塩類を除去する操作と、
を行うことを特徴とする。
【0010】上記において、擬似移動層装置としては、
例えば、内部に充填剤層を形成し複数の塔を配管で無端
に連結した系と、この系の所定位置に原料,溶離液,酵
素液を供給しかつその供給位置を間欠的に循環流の下流
側に切換え移動することができる液供給系と、分離した
成分の富化帯域の液を循環系外に抜出しかつ液供給系と
同期して間欠的に循環流の下流側に切換え移動すること
ができる液抜出系と、これら液供給系及び液抜出系の切
換え移動を行わせる制御手段の組合せによって構成され
たものを用いることができる。
【0011】請求項2のガラクトシルスクロースの製造
方法の発明は、内部に充填剤層が形成された塔の複数を
無端に連結した系内で液を一方向に循環流として流す操
作と、この系にラクトースとスクロースを原料として含
む原料液,フラクトシル基転移酵素を含む酵素液及び溶
離液をそれぞれ供給し、かつ充填剤に対する親和力の弱
いガラクトシルスクロースに富む区分液、及び充填剤に
対する親和力の強いグルコースに富む区分液をそれぞれ
上記系外に抜出す操作と、前記の各液を供給する入口の
位置及び各区分液を該系から抜出す出口の位置を弁の切
換えにより上記一方向に間欠的に移動させて、上記入口
及び出口に対して充填剤を液の流れとは見かけ上反対方
向に移動させる擬似移動層式クロマト分離の操作とを行
って、酵素反応により上記原料からガラクトシルスクロ
ースを生成させかつ同時にクロマト分離操作で分離して
系外に抜出し、得られたガラクトシルスクロース含有液
に含まれる塩類を除去する処理を行うことを特徴とす
る。
【0012】上記の各発明において、擬似移動層の内部
は、必要に応じて酵素反応及びクロマト分離に適した条
件(pH,温度等)に設定されることは当然であり、例
えば酵素液には酵素が活性至適条件に維持されるように
活性化剤、緩衝液等が添加される。また擬似移動層の充
填剤が水素イオン形になって糖を加水分解することを防
止したり、擬似移動層内のpHを至適pHに保つように
溶離液には水酸化ナトリウム等を添加することが好まし
い。また、原料液である糖液は脱塩したものまたは酵素
反応の至適pHに調整したものを用いることが好まし
い。
【0013】本発明においては、擬似移動層装置から得
られたガラクトシルスクロース含有液に含まれる塩類を
除去する処理が行われる。脱塩処理は、ガラクトシルス
クロースの分解を招かないように処理することが必要で
あり、例えば50℃程度に加温した糖液を強塩基性アニ
オン交換樹脂、弱酸性カチオン交換樹脂の順に通液して
脱塩する方法(リバース法)、30℃以下に冷却した糖
液を強酸性カチオン交換樹脂(又は弱酸性カチオン交換
樹脂)と強塩基性アニオン交換樹脂の混床に通液して脱
塩する方法(混床法)、10℃以下に冷却した糖液を強
酸性カチオン交換樹脂、強塩基性アニオン交換樹脂(又
は弱塩基性アニオン交換樹脂)の順に通液して脱塩する
方法(冷脱塩法)などを挙げることができる。
【0014】この発明によれば、凝似移動層装置内で、 ラクトース+スクロース=ガラクトシルスクロース+グ
ルコース の酵素反応と、生成されたガラクトシルスクロースに富
む液の分離とを同時に行うことができて、酵素反応装置
と分離装置を別々に設ける必要がないので、全体操作、
設備を簡略化してガラクトシルスクロースを製造するこ
とができると共に、平衡反応である上記反応を右方向
(ガラクトシルスクロース生成方向)に進めることがで
きて、平衡反応率よりも高い収率でガラクトシルスクロ
ースを製造することができる。
【0015】また、得られたガラクトシルスクロース含
有液の脱塩処理を行うので、これに含まれる塩類を除去
して、高品質のガラクトシルスクロースを製造すること
ができる。
【0016】請求項3の発明は、上記発明において、酵
素液の系への供給を、原料液の供給口に該原料液と共に
供給することを特徴とし、請求項4の発明は、酵素液の
系への供給位置を、親和力の強い物質を系外に抜出す出
口と、原料液の供給口との間としたことを特徴とする。
【0017】この発明によれば、酵素と原料を効率よく
接触させることができ、特に請求項4の発明によれば、
酵素が他の物質に比べて移動流速が速いので、原料の供
給位置よりも循環流の上流側から流れる酵素は、より効
率よく原料と接触することができる。
【0018】請求項5の発明は、上記の各発明におい
て、アルカリ金属形の強酸性カチオン交換樹脂により充
填剤層を形成したことを特徴とする。
【0019】本発明方法において用いられる充填剤は、
例えばイオン交換樹脂、ゲルろ過用充填剤などを挙げる
ことができるが、アルカリ金属形の強酸性カチオン交換
樹脂を用いるこの発明によれば、比較的低分子の糖類で
ある単糖と2糖と3糖を分子量により分離でき、ガラク
トシルスクロースの製造に最適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
実施形態1 図1は本発明方法を実施するのに用いられるロータリー
バルブ型擬似移動層装置の一例の概要を示したものであ
り、実際の装置は、充填剤充填塔である12本のカラム
1〜12を同一円周上に等角度をなすように離隔配置
し、配管15によって無端状に連結されているが、この
図1では、説明の便宜上カラムを直線状に展開配置した
状態で示した。
【0021】そしてこの装置では、この12本のカラム
からなる系に対して原料液、酵素液,溶離水の各供給液
をポンプ21,22,23により所定のカラムに供給
し、A区分液及びC区分液を所定のカラムからポンプ2
4,25で抜出すように連結されると共に、図示しない
開閉弁の切換えにより一定時間毎に循環流(図中に流れ
方向を矢印で示した)の下流側に一カラムづつ、カラム
との連結が切換え移動されるようになっている。
【0022】すなわち、図1の状態では、原料液及び酵
素液はポンプ21,22によってカラム5の塔頂に液を
供給するように連結されていると共に、溶離液はポンプ
23によってカラム1の塔頂に供給するように連結さ
れ、かつA区分液はポンプ24によってカラム10の塔
末から液を抜出し、C区分液はポンプ25によってカラ
ム2の塔末から液を抜出すようにそれぞれ連結されてい
る。そしてこの連結が間欠的に液の循環する下流側に移
動されることによって、間欠的に移動された次の時点で
は、原料液及び酵素液はカラム6の塔頂へ、また溶離水
はカラム2の塔頂へそれぞれ供給され、A区分液はカラ
ム11の塔末から、C区分液はカラム3の塔末からそれ
ぞれ液を抜出すように連結が切換えられる。以下同様に
して各液の供給位置,抜出位置が一定時間毎にカラム一
つづつ循環流の下流側に移動するように切換えられる。
【0023】上記装置において、以上の操作を行うこと
で、無端接続されたカラムの系に原料液と酵素液の混合
液として供給された原料と酵素は、酵素反応により反応
生成物を生成し、生成されたうちの充填剤に対する親和
力の弱い成分(A区分液の成分)は循環流によって原料
よりも下流方向にその富化帯域が進み、A区分液の抜出
し口から系外に抜出される。一方、生成物のうちの充填
剤に対する親和力の強い成分(C区分液の成分)は、上
述した供給口及び抜出口の一定時間毎の切換えにより充
填剤が見掛け上循環流の流れとは反対方向に移動するこ
とにより、その富化帯域は原料の供給位置よりも上流側
に移動し、供給される溶離水に押されてC区分液の抜出
し口から系外に抜出される。
【0024】以上のようにして、図1の装置を用いて本
発明の方法を実施することにより、原料液に含まれる原
料と、酵素液に含まれる酵素とが擬似移動層装置に供給
される直前で混合された時点から擬似移動層装置内で酵
素反応が進行することになると共に、同時に擬似移動層
の作用であるクロマト分離が行われ、この酵素反応と擬
似移動層式クロマト分離が同時に行われることによっ
て、効率的な酵素反応と生成物質の分離抜出しを連続的
に行うことができる。
【0025】そして特に、酵素反応が平衡(可逆)反応
である場合には、クロマト分離作用により生成物質が酵
素反応の場から分離される(原料と酵素が接触する場か
ら、これに関与しない場に移行する)ために、平衡(可
逆)反応における生成物質生成の方向の反応を促進する
ことができる。
【0026】実施形態2 図2に示した本例は、上記図1で説明した実施形態1の
装置に比べて、酵素液の供給位置を、C区分液の抜出し
位置(図2で言えばカラム2の塔末)よりも下流で、原
料液の供給位置(図2で言えばカラム5の塔頂)の上流
において、カラムの系に酵素液を供給するようにしたも
のであり、その他の構成は実施形態1と同じである。な
お図2は、カラム2の塔末からカラム3の塔頂への配管
15に逆止弁30を設けた例として示しているが、この
逆止弁30は必ずしも必須のものではなく、循環流の流
量制御によって実質的に循環流が流れないようにするよ
うにしてもよい。なおこの逆止弁も供給口及び抜出口と
同様に一定時間毎に循環流の下流側に移動されるもので
ある。
【0027】本例の装置によれば、最も流れ方向への進
み方が速い酵素液が循環流によって原料が存在する領域
に渡って確実に通過するので、実施形態1に比べて酵素
反応をより効率よく行わせることができる。
【0028】実施例1 単位充填層として内径1.2cm、長さ20cmで加熱
ジャケット付きのガラスカラムの12本を用いて図1の
ロータリーバルブ型擬似移動層装置を構成した。
【0029】上記充填剤としては、ロームアンドハース
社製のアンバーライトCR1310(クロマト分離用ゲ
ル型強酸性カチオン交換樹脂)のナトリウム形を用い
た。各ゾーンのカラム数は溶離液供給口から下流方向に
2本、2本、6本、2本とした。すなわち、溶離液供給
口からC区分抜出口までの充填剤に対して親和力の強い
成分の回収ゾーンを2本、C区分抜出口から原料供給口
までのゾーンを2本、原料供給口からA区分抜出口まで
のゾーンを6本、A区分抜出口から溶離液供給口までの
親和力の弱い成分の回収ゾーンを2本とした。この装置
内でβ−フラクトフラノシダーゼによる次のフラクトシ
ル基転移反応を行わせた。
【0030】ラクトース+スクロース=ガラクトシルス
クロース+グルコース ここで、ラクトースはガラクトースとグルコースの結合
した物質、スクロースはグルコースとフラクトースの結
合した物質、ガラクトシルスクロースはラクトースとフ
ラクトースの結合した物質であり、該反応はスクロース
を構成するフラクトースをラクトースに転移させる平衡
反応である。
【0031】pHを7.0に調整したラクトースとスク
ロースの混合水溶液ならびにβ−フラクトフラノシダー
ゼ原液の脱塩水による稀釈液を原料供給口より供給し、
装置内のpHを調整するために脱塩水に10mg/Lの
水酸化ナトリウムを溶解した溶離水を溶離液供給口から
供給した。反応温度は55℃、原料糖濃度はそれぞれ1
0wt%、酵素濃度は180U/mlとした。ただし、
1Uは常法により1分間に1μmolのフラクトシル基
を転移させる酵素量とした。1サイクルの時間は2時間
とした。また、各流速は次のようにした。
【0032】原料供給口とC区分液抜出口間の単位充填
塔における流速:1.45ml/min 原液液供給量:0.05ml/min 酵素液供給量:0.05ml/min 溶離水供給量:0.75ml/min A区分液抜出し量:0.40ml/min C区分液抜出し量:0.45ml/min 運転の結果、15時間後に下記表1に示す濃度と組成の
A区分液とC区分液が得られた。
【0033】
【表1】
【0034】なお次式(i)で計算した出口基準の総括
反応率は55.8%であり、比較例1の平衡反応率4
4.9%に比べて、10.9%高かった。
【0035】
【数1】
【0036】また、反応で生成したガラクトシルスクロ
ースのA区分液での回収率は100%であり、A区分液
のガラクトシルスクロースの純度は比較例1の回分反応
に比べて19.5%高くすることができた。
【0037】しかし、A区分液の電気伝導率は254μ
S/cmで、イオン交換樹脂法により測定した全カチオ
ンは3.2meq/L、全アニオンは3.4meq/L
でありイオン性の不純物を含んでいた。そこでこのA区
分液200mlを分画分子量1万の限外ろ過膜:ウルト
ラフィルターQO100(アドバンテック東洋株式会社
製)で処理して酵素を分離した後、強酸性カチオン交換
樹脂:アンバーライトAmb200C(ローム・アンド
・ハース社製)の水素イオン形10mlと強塩基性アニ
オン交換樹脂:アンバーライトXT−5007(ローム
・アンド・ハース社製)の水酸基形25mlを混合して
充填したガラスカラムに通液した。通液温度は室温、通
液速度は1ml/minとした。その結果、処理液の電
気伝導率は0.8μS/cm、全カチオンと全アニオン
は共にイオン交換樹脂法による測定限界の0.4meq
/L以下となり高品質の糖液が得られた。
【0038】なお、上記限外ろ過膜で分離した酵素は、
ガラクトシルスクロース製造に用いる酵素として再利用
することもできる。
【0039】比較例1 実施例1の反応を回分反応で行った。55℃に保った実
施例1と同じ原料液100mlにβ−フラクトフラノシ
ダーゼを101U添加し、3時間、6時間、9時間、2
1時間、27時間後にそれぞれ2mlづつ反応液をサン
プリングし、酵素を100℃、10分で加熱失活させた
後、高速液体クロマトにより組成を測定した、その結果
を下記表2に示した。
【0040】
【表2】
【0041】また次式(ii)で計算したラクトースから
ガラクトシルスクロースへの反応後基準の反応率は、3
時間後25.9%、6時間後39.8%、9時間後4
4.9%、21時間後44.2%、27時間後39.6
%であり、したがって回分法で平衡反応率は上記の反応
率が最大となる反応時間(9時間)を採用しても44.
9%が最大であることが分かる。
【0042】
【数2】
【0043】実施例2 図1のロータリーバルブ型擬似移動層装置で酵素液の供
給場所を変更した図2の装置を用い他は、条件をすべて
実施例1と同じにしてガラクトシルスクロースを製造し
た。
【0044】運転の結果、15時間後に下記表3に示す
濃度と組成のA区分液とC区分液とが得られた。
【0045】
【表3】
【0046】なお、実施例1と同様に計算した出口基準
の総括反応率は60.2%であり、実施例1よりも4.
4%高くなった。また反応で生成したガラクトシルスク
ロースのA区分液での回収率は100%であり、A区分
液のガラクトシルスクロースの純度は実施例1の53.
1%に比べ、5.2%高くすることができた。
【0047】A区分液の電気伝導率は259μS/cm
で、イオン交換樹脂法により測定した全カチオンは3.
3meq/L、全アニオンは3.5meq/Lでありイ
オン性の不純物を含んでいた。そこで、このA区分液2
00mlを分画分子量1万の限外ろ過膜:ウルトラフィ
ルターQO100(前出)で処理して酵素を分離した
後、強酸性カチオン交換樹脂:アンバーライトAmb2
00C(前出)の水素イオン形10mlと強塩基性アニ
オン交換樹脂:アンバーライトXT−5007(前出)
の水酸基形25mlを混合して充填したガラスカラムに
通液した。通液温度は室温、通液速度は1ml/min
とした。その結果、処理液の電気伝導率は0.8μS/
cm、全カチオンと全アニオンは共にイオン交換樹脂法
による測定限界の0.4meq/L以下となり高品質の
糖液が得られた。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、原料と酵素が存在する
反応場からクロマト分離の働きで連続的にガラクトシル
スクロースを分離する作用がはたらくので、ガラクトシ
ルスクロースから原料生成方向への逆反応が抑制され、
ガラクトシルスクロース生成の総括的な反応率が通常の
攪拌槽内で行われる平衡反応率よりも高くなり、ガラク
トシルスクロースを高い収率で製造することができると
いう効果が奏される。
【0049】また、酵素反応とクロマト分離とを同時に
行わせるので、酵素反応の操作あるいはクロマト分離の
操作をそれぞれ単独に行う場合に比べて全体操作が簡略
化され、設備的にも酵素反応装置と分離装置の二つを設
備する必要がなく、純度が高く収率にも優れていて、後
段の濃縮工程の負担も小さくでき、ガラクトシルスクロ
ースを効率よく高い生産性をもって低コストで製造でき
るという効果が奏される。
【0050】また、酵母を用いる従来法に比べて、原料
を有効に利用でき、酵母取扱という煩雑さがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で用いられるロータリーバル
ブ型擬似移動層式クロマト分離装置の構成概要をフロー
図として示した図。
【図2】本発明の実施例2で用いられるロータリーバル
ブ型擬似移動層式クロマト分離装置の構成概要をフロー
図として示した図。
【符号の説明】
1〜12・・・カラム 15・・・配管 21・・・原料液供給ポンプ 22・・・酵素液供給ポンプ 23・・・溶離水供給ポンプ 24・・・A区分液抜出しポンプ 25・・・C区分液抜出しポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河瀬 元明 京都市左京区松ケ崎正田町7番地の11 フ ォルム松ケ崎204号 (72)発明者 原 耕三 横浜市鶴見区大黒町13−46 株式会社横浜 国際バイオ研究所内 (72)発明者 藤田 孝輝 横浜市鶴見区大黒町13−46 株式会社横浜 国際バイオ研究所内 (72)発明者 松田 文彦 埼玉県戸田市川岸1丁目4番9号 オルガ ノ株式会社総合研究所内 (72)発明者 増田 隆之 東京都文京区本郷5丁目5番16号 オルガ ノ株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 擬似移動層装置にラクトースとスクロー
    スを原料として含む原料液、フラクトシル基転移酵素を
    含む酵素液及び溶離液をそれぞれ供給して、ガラクトシ
    ルスクロースを酵素反応により生成させ、生成したガラ
    クトシルスクロースに富む区分液を他の成分から分離
    し、ガラクトシルスクロースに富む区分液を擬似移動層
    装置から抜出す、ことを上記擬似移動層装置により同時
    に行わせる操作と、得られたガラクトシルスクロース含
    有液に含まれる塩類を除去する操作と、を行うことを特
    徴とするガラクトシルスクロースの製造方法。
  2. 【請求項2】 内部に充填剤層が形成された塔の複数を
    無端に連結した系内で液を一方向に循環流として流す操
    作と、この系にラクトースとスクロースを原料として含
    む原料液,フラクトシル基転移酵素を含む酵素液及び溶
    離液をそれぞれ供給し、かつ充填剤に対する親和力の弱
    いガラクトシルスクロースに富む区分液、及び充填剤に
    対する親和力の強いグルコースに富む区分液をそれぞれ
    上記系外に抜出す操作と、前記の各液を供給する入口の
    位置及び各区分液を該系から抜出す出口の位置を弁の切
    換えにより上記一方向に間欠的に移動させて、上記入口
    及び出口に対して充填剤を液の流れとは見かけ上反対方
    向に移動させる擬似移動層式クロマト分離の操作とを行
    って、酵素反応により上記原料からガラクトシルスクロ
    ースを生成させかつ同時にクロマト分離操作で分離して
    系外に抜出し、得られたガラクトシルスクロース含有液
    に含まれる塩類を除去する処理を行うことを特徴とする
    ガラクトシルスクロースの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、酵素液の系への供給
    を、原料液の供給口に該原料液と共に供給することを特
    徴とするガラクトシルスクロースの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2において、酵素液の系への供給
    位置を、グルコースに富む区分液を系外に抜出す出口
    と、原料液の供給口との間としたことを特徴とするガラ
    クトシルスクロースの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項2ないし4のいずれかにおいて、
    充填剤層がアルカリ金属形の強酸性カチオン交換樹脂に
    より形成されていることを特徴とするガラクトシルスク
    ロースの製造方法。
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