JP2002148221A - エチレン−ビニルアルコール共重合体の評価方法、およびその評価方法による特定の特性を満足するエチレン−ビニルアルコール共重合体 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール共重合体の評価方法、およびその評価方法による特定の特性を満足するエチレン−ビニルアルコール共重合体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微視的なガスの透過通路と直接関係のある非
晶部の構造から指標を見い出すことにより、エチレン−
ビニルアルコール共重合体(EVOH)を評価する評価
方法を提供すること、および、その評価方法による特定
の特性を満足するガスバリア性のすぐれたエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体(EVOH)を提供することを
目的とする。 【解決手段】 エチレン−ビニルアルコール共重合体
(EVOH)のエチレン含有量Etとケン化度SV、およ
び、そのEVOHについての陽電子消滅寿命測定法によ
り求めた自由体積Vfと陽電子の全寿命成分に占める第3
成分τ3 の割合I3とに基いて、EVOHの評価を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレン−ビニル
アルコール共重合体の評価方法に関するものである。ま
た、その評価方法による特定の特性を満足するガスバリ
ア性のすぐれたエチレン−ビニルアルコール共重合体に
関するものである。
【0002】以下、説明の簡単化のため、エチレン−ビ
ニルアルコール共重合体(つまりエチレン−酢酸ビニル
共重合体ケン化物)を、必要に応じて「EVOH」と略
記することがある。
【0003】
【従来の技術】〈EVOHとそのガスバリア性向上手
段〉周知のように、EVOHは、エチレン−酢酸ビニル
共重合体(EVA)をケン化して、酢酸ビニル成分をビ
ニルアルコール成分に変換することにより製造される。
エチレン単位とビニルアルコール単位とを構成成分とす
るEVOHは、ビニルアルコール単位に基く多数のOH
基を分子内に有するため、ガスバリア性が良好である。
分子内に多数のOH基を有することは、保香性、耐溶剤
性、耐油性、保温性などの性質が良好であることも意味
する。そのため、EVOHフィルムやEVOHフィルム
層を含む積層体は、食品包装材料、医薬品包装材料、工
業薬品包装材料、農薬包装材料をはじめとする各種包装
用途や、農業用の用途に広く使われている。また、プラ
スチックス基板を用いた液晶表示素子においても、ガス
バリア性を確保するため、EVOHフィルム層を含む電
極基板の検討がなされている(たとえば、特公昭62−
51740号公報を参照)。
【0004】上記のようにEVOHは、素質的にはガス
バリア性が良好な樹脂であるが、側鎖にOH基を有する
ため親水性を有し、高湿条件下や水と接触する用途に用
いるときには、本来のガスバリア性が低下するという問
題点を有している。
【0005】そこで、(イ)EVOHフィルムを熱処理
する方法、(ロ)EVOHフィルムを二軸延伸する方
法、(ハ)EVOHフィルム層を疎水性樹脂層の中間に
位置させる方法など、EVOHをフィルムにしてからガ
スバリア性を向上させる手段が講じられている。そし
て、次に述べるように、上記以外のガスバリア性向上方
法も提案されている。
【0006】〈EVOHのX線構造解析によるa軸方向
の水素結合間距離〉すなわち、特開平11−21320
号公報には、エチレン含有量3〜60モル%、1,2−
グリコール結合量 0.2〜 1.5モル%、ケン化度95%以
上のエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)
からなり、該EVOHのX線構造解析によるa軸方向の
水素結合間距離が3.00〜3.15Åである成形物が示されて
おり、b軸方向の水素結合間距離は2.50〜2.70Åが好ま
しいとしてある。この公報の発明は、EVOHそのもの
の「結晶部分の構造」に着目したものである。なお「Ma
cromolecules 1999, 32, 5860-5871」にも、この特開平
11−21320号公報と同様の趣旨のことが記載され
ている。
【0007】〈陽電子消滅寿命測定法に関する文献〉本
発明に関係する陽電子消滅寿命測定法については、EV
OHにかかるものではないが、次のような文献に解説な
いし説明がある。
【0008】「高分子論文集,Vol. 55, No. 8, pp. 44
8-455 (Aug. 1998) 」には、「形状記憶ポリマー(スチ
レン−ブタジエン共重合体)の自由体積の温度特性と記
憶メカニズムの考察」と題する論文が掲載されており、
ポリノルボルネン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポ
リエチレンについても言及がある。
【0009】「高分子論文集,Vol. 55, No. 8, pp. 45
6-464 (Aug. 1998) 」には、「陽電子消滅によるスチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体の自由体積の評価」と
題する論文が掲載されている。
【0010】「高分子論文集,Vol. 55, No. 11, pp. 7
10-714 (Nov. 1998)」には、「陽電子消滅寿命測定によ
る延伸したポリエチレンシート自由体積の変化」と題す
る論文が掲載されており、延伸率を増すとポリエチレン
が結晶化し、示差走査熱測定における非晶部の減少、X
線回折ピークの増大として確認されることが示されてい
る。
【0011】「ぶんせき, 1988 1, pp. 11-20」には、
「陽電子消滅法による高分子の自由体積の評価」と題す
る解説記事が掲載されており、応用例として、ポリエー
テルエーテルケトン(PEEK)、ポリビニルアルコー
ル(PVA)、シリコーンゴム、ポリスチレン(P
S)、ポリスチレン(PS)/ポリフェニレンエーテル
(PPE)ブレンドポリマー、ポリメタクリル酸アルキ
ルの自由体積の測定例が示されている。
【0012】「RADIOISOTOPES, Vol. 47, No.1, pp. 19
-28 (1998)」には、「オルト−ポジトロニウム消滅寿命
測定を用いた高分子ヒドロゲル中の水の状態の解析」と
題する論文が掲載されている。高分子試料としては、ポ
リ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリビニルア
ルコール、カラゲナン、卵白アルブミン、ゼラチンなど
の高分子を用いている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】EVOHは、EVAの
重合工程、得られたEVAのケン化工程、その後の精製
工程、後処理工程、成形工程、二次加工工程などを経
て、フィルムやその他の形状の成形物とされるが、これ
ら各工程のそれぞれには多数の要因を含んでいるため、
それらの要因の影響を受けて、最終的に得られるフィル
ム等の成形物のガスバリア性が変化する。なお、先に述
べた(イ)の熱処理や(ロ)の二軸延伸は、成形後のE
VOH成形物の結晶部分の割合を増大させることによ
り、EVOH成形物のガスバリア性を向上させるもので
あるということができる。また先に述べた(ハ)は、E
VOHフィルム層自体のガスバリア性を上げるものでは
なく、疎水性樹脂層により耐水性を確保し、積層体中の
EVOH層の吸湿によるガスバリア性の低下を防ぐもの
である。
【0014】もし、ガスバリア性に「直接的に」影響を
与えるEVOHそのものの構造にかかる指標を見い出し
て、ガスバリア性との関係を解明することができれば、
EVOHを正確に評価することができる。そして、その
ような構造を与える指標に基いて各要因を検討し、好ま
しい条件を追及していけば、ガスバリア性のすぐれたE
VOHを得ることが可能となる。このようにして得たE
VOHは、そのEVOHフィルムを単独で用いる場合で
あってもガスバリア性がすぐれており、そのEVOHに
従来公知の手段(熱処理、二軸延伸、疎水性樹脂層との
ラミネート)を講じるときは、ガスバリア性をさらに高
めることができる。
【0015】先に述べた特開平11−21320号公報
または「Macromolecules 1999, 32,5860-5871」にあっ
ては、EVOHのX線構造解析によるa軸方向(または
これとb軸方向)の水素結合間距離に着目してガスバリ
ア性の向上を図っており、具体的手段としては、EVO
Hに含有させるリン酸根の含有量やホウ素化合物の含有
量を調整して、a軸方向(またはこれとb軸方向)の水
素結合間距離を特定の範囲に設定しようとしている。し
かしながら、EVOHにリン酸根やホウ素化合物を含有
させること自体は従来より知られている方法であり、そ
の含有量の調整によるa軸方向(またはこれとb軸方
向)の水素結合間距離のみでは、EVOHの結晶構造の
一面のみを把握するにとどまり、そのような水素結合間
距離を指標にしても、必ずしも期待するようなガスバリ
ア性向上が得られるとは限らない。というのは、X線構
造解析によるa軸方向(またはこれとb軸方向)の水素
結合間距離は、EVOHの構造のうち結晶部分に着目し
たものであるところ、結晶部分は微視的なガスの透過通
路から見た場合には「間接的な」指標であるにとどまる
からである。
【0016】本発明は、このような背景下において、微
視的なガスの透過通路と直接関係のある非晶部の構造か
ら指標を見い出すことにより、エチレン−ビニルアルコ
ール共重合体(EVOH)を評価する評価方法を提供す
ること、および、その評価方法による特定の特性を満足
するガスバリア性のすぐれたエチレン−ビニルアルコー
ル共重合体(EVOH)を提供することを目的とするも
のである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明のエチレン−ビニ
ルアルコール共重合体の評価方法は、エチレン−ビニル
アルコール共重合体(EVOH)のエチレン含有量Etと
ケン化度SV、および、そのEVOHについての陽電子消
滅寿命測定法により求めた自由体積Vfと陽電子の全寿命
成分に占める第3成分τ3 の割合I3とに基いて、EVO
Hの評価を行うことを特徴とするものである。
【0018】本発明のエチレン−ビニルアルコール共重
合体は、エチレン含有量Et(mole %)が5〜60で、ケン
化度SV(mole %)が95以上であるエチレン−ビニルアル
コール共重合体(EVOH)であって、そのEVOHの
陽電子消滅寿命測定法により求めた自由体積Vf(nm3) が Vf ≦1.35×10-5・Et2 - 1.42×10-4・Et - 4.73 ×10-3・SV + C1 (1) (ただし、C1は5.09×10-1)の関係を満足し、かつその
EVOHの陽電子消滅寿命測定法で求めた陽電子の全寿
命成分に占める第3成分τ3 の割合I3(%) が I3 ≦ 1.2×10-3・Et2 - 1.60×10-1・Et - 1.51 ・SV + C2 (2) (ただし、C2は1.75×102 )の関係を満足することを特
徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0020】〈評価方法〉本発明のエチレン−ビニルア
ルコール共重合体の評価方法は、 ・EVOHのエチレン含有量Et、 ・EVOHのケン化度SV、 ・EVOHについての陽電子消滅寿命測定法により求め
た自由体積Vf、 ・EVOHについての陽電子消滅寿命測定法により求め
た陽電子の全寿命成分に占める第3成分τ3 の割合I3 という4つの必須の指標に基いて、EVOHの評価を行
うものである。
【0021】なお、これら4指標のほかに、さらに他の
指標を加味することは差し支えない。他の指標の例は、
EVOHのエチレン組成分布、タクチシティー、固有粘
度、連鎖長分布などである。
【0022】〈EVOHの共重合組成〉まず、本発明に
適用できるEVOHの共重合組成は、 ・エチレン含有量Etが5〜60モル%で、 ・ケン化度SVが95モル%以上 である。EVOHのエチレン含有量 Et およびケン化度
SV は、この業界では周知の手段を用いて測定される。
【0023】EVOHのエチレン含有量Etの下限は、上
記のように5モル%であり、好ましくは10モル%、さ
らに好ましくは15モル%、特に好ましくは20モル%
である。一方、EVOHのエチレン含有量Etの上限は、
上記のように60モル%であり、好ましくは55モル%
である。エチレン含有量Etが余りに少ないときには、フ
ィルム等の成形物の耐水性が不足すると共に、高湿時の
ガスバリア性が不足する。一方、エチレン含有量Etが余
りに多いときには、フィルム等の成形物のガスバリア性
が不足する。
【0024】EVOHのケン化度(つまり酢酸ビニル単
位のケン化度)SVの下限は、上記のように95モル%で
あり、好ましくは97モル%、さらに好ましくは98モ
ル%である。ケン化度SVが余りに低いときには、フィル
ム等の成形物の耐水性が不足すると共に、ガスバリア性
も不足するようになる。ケン化度SVは、一般的に高けれ
ば高いほど好ましく、上限は100モル%である。
【0025】EVOHは、エチレン含有量Etやケン化度
SVが異なる2種以上のEVOHの混合物であってもよ
い。
【0026】またEVOHは、ケン化前のエチレン−酢
酸ビニル共重合体(EVA)を得るときの共重合やグラ
フト重合や、EVOHの官能基を利用した付加反応によ
る変性EVOHであってもよい。このような変性EVO
Hの例は、酢酸ビニル以外のビニルエステル;α−オレ
フィン、エチレン性不飽和カルボン酸またはその塩・無
水物・モノまたはジアルキルエステル;エチレン性不飽
和ニトリル;エチレン性不飽和アミド;アルキルビニル
エーテル;ポリオキシアルキレン基を有する(メタ)ア
リルエーテル・(メタ)アクリレート・(メタ)アクリ
ルアミド・ビニルエーテル・アリルアミン・ビニルアミ
ン;オレフィンスルホン酸またはその塩;塩化ビニル;
塩化ビニリデン;ケイ素含有モノマー;酢酸アリル;酢
酸イソプロペニル;などのコモノマーで共重合体変性し
たEVOHや、EVOHのOH基をシアノエチル化した
り、EVOHのOH基にアルキレンオキサイドを付加し
たものなどである。ただし、これらの変性EVOHにお
ける変性量は、本発明の趣旨を損なわない程度の範囲と
する。
【0027】〈陽電子寿命測定法におけるサンプル〉以
下に述べる陽電子寿命測定は、EVOHを厚さ3mm、直
径50mmの円板に成形したサンプルについての測定であ
る。このような円板は、EVOHが粉粒体やペレットあ
るいは成形物の粉砕物であるときは、その融点より30
℃高い温度にて射出成形することにより作製される(E
VOHが2種以上のEVOHの混合物であるときは、そ
の最多成分の融点を基準とするが、溶融不足の成分があ
るときは全ての成分が溶融するに足る温度を基準とす
る)。サンプルは、EVOHがフィルムまたは薄板状で
あるときは、そのフィルムまたは薄板を積層することに
より作製される。
【0028】射出成形により、厚さ3mm、直径50mmの
円板サンプルを作製するときの典型的な条件は、次の通
りである。 ・射出時間: 8sec ・冷却時間: 15sec ・サイクル時間: 29sec ・射出速度: 25mm/sec ・射出圧力: 1095kg/cm2 ・保圧: 548kg/cm2 ・スクリュー回転数:76rpm ・金型温度: 50℃ ・シリンダー温度: 融点+30℃
【0029】〈陽電子寿命測定法の原理と装置〉陽電子
寿命測定のための計測装置においては、陽電子e+ が円
板試料に入射されてから消滅するまでの寿命を測定す
る。以下の説明は、主として、従来の技術の項で述べた
「ぶんせき, 1988 1, pp. 11-20」を参照して要約した
ものである。
【0030】陽電子寿命測定のためには、e+ の入射時
刻と消滅時刻を知る必要があるが、 22Na 線源からのe
+ の入射時刻は、同時に放出される1.28 MeVのγ線の検
出時刻より求められる。e+ の消滅時刻は、消滅γ線
(511 keV)の検出時刻より求められる。そして、その時
間差をfast-fast 同時計数システムにより測定する。γ
線で得られたパルスは、弁別回路で識別され、高速同時
計数回路で入射γ線と消滅γ線の同時性が確認されたと
きにだけ、時間差波高変換回路に送られる。時間差波高
変換回路で、入射パルスと消滅パルスの時間差に比例し
た波高の電圧パルスが発生し、この電圧パルスはアナロ
グ−ディジタル変換器でディジタル信号に変換され、パ
ソコンに蓄積されて、経時的に減衰する消滅曲線(減衰
曲線)が得られる。
【0031】横軸に時間(ns)、縦軸にカウント数として
プロットされた減衰曲線には、減衰の急な第1成分τ
1 、減衰のやや緩やかな第2成分τ2 、減衰のゆるやか
な第3成分τ3 、減衰のずっとゆるやかな第4成分τ4
などが含まれている。これをラプラス逆変換して、横軸
に時間(ns)、縦軸に確率密度関数をとると、τ1
τ2、τ3 、τ4 など各τ成分の寿命の分布がピークと
して現われる。このうち第3成分τ3 は、自由体積 Vf
の大きさの分布を示している。
【0032】自由体積 Vf は、ポリマーの非結晶部に形
成されるサブナノメーターのオーダーの半径の原子空孔
の体積であり、陽電子e+ や、陽電子e+ と電子e-
から形成されたポジトロニウムの寿命に関係する。
【0033】〈自由体積Vf、第3成分τ3 の割合I3〉本
発明のEVOHは、先に述べた共重合組成を満足するほ
か、そのEVOHの陽電子消滅寿命測定法により求めた
自由体積Vf(nm3) が Vf ≦1.35×10-5・Et2 - 1.42×10-4・Et - 4.73 ×10-3・SV + C1 (1) (ただし、C1は5.09×10-1)の関係を満足し、かつその
EVOHの陽電子消滅寿命測定法で求めた陽電子の全寿
命成分に占める第3成分τ3 の割合I3(%) が I3 ≦ 1.2×10-3・Et2 - 1.60×10-1・Et - 1.51 ・SV + C2 (2) (ただし、C2は1.75×102 )の関係を満足することの関
係を満足することが要求される。
【0034】市場で入手しうる種々の共重合組成のEV
OHにつき、陽電子消滅寿命測定法によりVfおよびI3
求めたところ、Vf, I3は、後述の表1および表3のよう
に、上記の式(1), (2)の右辺からの算出値よりも大き
く、上記の式(1), (2)を満足しなかった。そのようなVf
およびI3を示すものが市場で入手できる代表的なEVO
Hであり、これが従来とられている要因に基くEVOH
の「樹脂としての」ガスバリア性向上の限界のようであ
る。従来のEVOHを製膜してから熱処理や二軸延伸処
理のような特別の処理を行えば、ガスバリア性を相当程
度上げることができるが、おのずから限界がある。市場
で入手できる代表的なEVOHのVfおよびI3がこのよう
な範囲にあり、従ってガスバリア性の点で限界があった
のは、VfおよびI3に基いて評価を行うことによってガス
バリア性向上を図るという視点を欠いていたため、ブレ
ークスルーすることができなかったものと考えられる。
【0035】EVOHは、EVAの重合工程、得られた
EVAのケン化工程、その後の精製工程、後処理工程、
成形工程、二次加工工程などを経て、フィルム、ボト
ル、トレイをはじめとする種々の形状の成形物とされる
が、これら各工程のそれぞれには極めて多数の要因を含
んでいるため、どのような要因を組み合わせれば最もす
ぐれたガスバリア性が得られるかは判断しがたい。しか
るに、本発明においては、VfおよびI3に基いて評価を行
うことによってガスバリア性向上を図るという視点を見
い出したため、それらを指標にEVOHを得る諸工程の
要因を最適なものに導くことができ、従ってEVOHの
ガスバリア性を従来の限界を越えて高めることができ
る。
【0036】本発明における上記の式(1), (2)における
C1, C2は、それぞれ5.09×10-1、1.75×102 であるが、
さらにC1, C2の数値をやや小さくして、Vf, I3により厳
しい制約を課すこともできる。
【0037】〈VfおよびI3を小にする要因の例〉EVO
Hのガスバリア性を小さくすることのできる要因を見い
出すべく、VfおよびI3を小にする要因を探索していった
場合、エチレンと酢酸ビニルの共重合工程における要因
を例にとると、たとえば、 ・重合温度を低くすること、 ・重合率を低くすること、 ・溶剤/モノマー比(S/M比)を高くすること、 ・重合触媒としてアゾ系のものを用いたり、有機過酸化
物であればエステルタイプのものを用いること などが有効である。
【0038】そして、このようにして得たEVAをケン
化してEVOHとなしたときのケン化工程や精製工程に
おいては、たとえば、 ・ケン化により得たEVOHを凝固液中に吐出して、E
VOHの多孔性析出物を得、これをペレット化するこ
と、 ・そのペレットの含水率に留意すること、 ・EVOH中に含まれる灰分の量を調整すること(たと
えば500ppm 以下、好ましくは470ppm 以下、殊に
450ppm 以下になるようにすること)、 ・EVOHに含まれるNaおよびKの金属含有量を調整
すること(たとえば両者の和が0.01〜500ppm になる
ようにすること)、 ・EVOHに含まれるCaおよびMg金属含有量を調整
すること(たとえば両者の和が1〜200ppm になるよ
うにすること)、 ・EVOHに含まれる酢酸含有量を調整すること、 ・EVOHに含まれるリン酸根含有量を調整すること、 ・EVOHに含まれるホウ酸化合物の含有量を調整する
こと、 ・そのほか、乾燥工程、製膜条件などにも留意するこ
と、 などが有効である。
【0039】これらの要因につき、VfおよびI3を小にす
る条件を探索して、総合的に目的を達成できる要因を発
見するようにする。
【0040】成形法としては、押出成形法(キャスト
法、ブロー成形法、インフレーション成形法を含む)、
射出成形法、圧縮成形法などの溶融成形法が採用され
る。流延製膜法も可能であり、対象物に塗布やディッピ
ングを行うだけのコーティング法も可能である。
【0041】得られたEVOH成形物は、乾式または湿
式の熱処理に供することもできる。また、得られたEV
OH成形物は、それがフィルム状、パリソン状、ボトル
状、容器状などであるときは、真空成形ないし深絞り成
形や、一軸または二軸延伸(殊に同時または逐次の二軸
延伸)に供することができる。延伸後は熱固定し、つい
で冷却することが多い。
【0042】〈積層体〉EVOHは、他の層と積層した
積層体として使用することもできる。積層体の代表例
は、EVOH層の片面または両面に他のフィルムまたは
フィルム層がラミネートされたものである。積層体は、
共押出、エクストルージョンコーティング、ドライラミ
ネート、ウエットラミネートなどの方法により製造され
る。接着剤を用いてラミネートするときは、たとえば、
有機チタン系化合物、イソシアネート系(ウレタン系)
接着剤、ポリエステル系接着剤をはじめとする適宜の接
着剤が用いられる。
【0043】ここで積層相手の他のフィルムまたはフィ
ルム層としては、ポリオレフィン系樹脂(直鎖状低密度
ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エ
チレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレ
ン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα
−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテンな
どのオレフィンの単独または共重合体、あるいはこれら
の不飽和カルボン酸やそのエステルによるグラフト変性
物)、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ
アミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリ
デン系樹脂、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、
ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマ
ー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの
フィルムがあげられる。EVOHフィルムとの積層も可
能である。積層相手の基材層としては、フィルム以外の
もの、たとえば、紙、織布、不織布、編布、金属箔、木
質材なども使用可能である。
【0044】積層体の層構成は、EVOHフィルムまた
はフィルム層をA、他の基材層をBとするとき、A/
B、A/B/A、B/A/B、A/A/B、A/B/
B、B/B/A/B/Bをはじめ任意であり、積層体の
うちAやBを2層以上含む場合は、それらのAあるいは
Bは同種であっても異種であってもよい。なお、A/B
/B、B/B/A/B/Bのような積層体を共押出によ
り得る場合は、B/BのうちAに隣接する方のBを接着
性樹脂層で構成することもできる。
【0045】EVOHフィルムには、他の物質をコーテ
ィングして複合フィルムとすることもできる。このとき
のコーティング物質としては、先に述べた種々の樹脂の
ほか、無機物も可能である。コーティング方法として
は、それ自体が液状であるコーティング物質やコーティ
ング物質の溶液、分散液、溶融液を塗布し、コーティン
グ液の種類に応じて乾燥、硬化、冷却、紫外線照射など
の被膜形成手段を講じる方法、蒸着、スパッタリング、
イオンプレーティングなどに被膜を形成する方法などが
あげられる。
【0046】〈用途〉このようにして得られるEVOH
フィルム等の成形物や該フィルム層を含む積層体は、ガ
スバリア性がすぐれているので(保香性、耐溶剤性、耐
油性などの性質もすぐれている)、食品、医薬品、農薬
品、工業薬品、香料、油類などを包装する包装用のフィ
ルム、シート、チューブ、袋、容器(ボトル、コンテ
ナ、トレイ、タンク等)として特に有用であり、保温性
を利用した農業用資材や、ガスバリア性を利用した電極
基板などの用途にも用いることができる。
【0047】
【実施例】次に実施例を比較例と共にあげて、本発明を
さらに説明する。
【0048】−比較例− 〈原料EVOHと供試サンプルの作成〉EVOHとし
て、市場で入手しうるEVOHと、本出願人が市販EV
OHと同様の重合法およびケン化法に従って試作製造し
てあるEVOHとを準備した。これらのEVOHの共重
合組成および融点は、後述の表1に示してある。表1
中、Etはエチレン含有量(mole %)、SVはケン化度(mole
%)である。なお、EVOHの融点の測定は、示差熱走査
熱測定装置(DSC)を用いてセカンド・ラン(second
run)につき昇温速度10℃/minで測定したものである。
ここでセカンド・ランの融点とは、一旦10℃/minの速
度で230℃(ポリビニルアルコールの場合は250
℃)まで昇温した後(これがファースト・ラン(first r
un) )、10℃/minの速度で30℃まで冷却してから、
再度10℃/minの速度で昇温したときに測定される融点
のことである。
【0049】上記で準備したEVOHにつき、先に説明
した条件に従って射出成形を行い、厚さ3mm、直径50
mmの円板を成形した。
【0050】〈陽電子寿命の測定〉このようにして得ら
れた円板をサンプルとして用いて、陽電子寿命測定法に
より、自由体積Vf(nm3) と、陽電子の全寿命成分に占め
る第3成分τ3 の割合I3(%) とを求めた。22Naは、 7×
105 Bqに相当する22NaCl水溶液を、ポリイミド膜に直径
0.2mm以内となるよう滴下して乾燥し、ついで同じ大き
さのポリイミド膜で密封することにより調製した。
【0051】使用した陽電子寿命測定装置の概略を図1
に示す。図1のシステム中、検出器としての光電子増倍
管としてはフィリップス社製の「XP2020Q 」を、エネル
ギー弁別回路(差分式ディスクリミネーター回路)とし
てはSEIKO EG & G社製の「ORTEC 583 」を、高速同時計
数回路としてはSEIKO EG & G社製の「ORTEC 414A」を、
時間差波高変換回路としてSEIKO EG & G社製の「ORTEC
457 」を、AD(アナログ−デジタル)変換回路として
はSEIKO EG & G社製の「1821」を、パソコンとしてはNE
C 社製の「PC-9801RX 」を、それぞれ用いている。
【0052】上記の陽電子寿命測定によって得られる陽
電子の寿命の測定は室温で行い、陽電子消滅寿命の減衰
曲線を非線形最小二乗法により解析し、各成分の寿命と
相対強度を求めた。寿命と自由体積の半径との関係は、
下記の(注)で述べた式を用いて求めた。各成分の寿命
の分布は、減衰曲線をラプラス逆変換することにより求
めた。 (注)自由体積を球形に仮定すると、半径(R, nm) とオ
ルトポジトロンの寿命 (τ3 , ns) との関係は τ3 = 0.5 [1-(R/R0)+(1/(2π))sin(2 πR/R0)]-1 になる。R0はオルトポジトロンの半径であり、自由体積
の壁から浸出している電子層の厚さは 0.166nmなので、
R0 = R + 0.166 (nm) である。
【0053】〈酸素透過度(OTR) の測定〉また上記のE
VOHにつき、T−ダイを備えた単軸押出成形機により
厚さ20μm のフィルムを成形した。得られたフィルム
の酸素透過度(OTR) を、20℃、0%RHの条件下にM
OCON社製の「OXTRAN 2/20」を使用して
測定した。
【0054】〈結果〉使用したEVOHの共重合組成と
融点、VfとI3の測定結果、およびOTR の測定結果を、次
の表1に示す。OTR の単位は「 cc.20μm/m2/day/atm」
(20μm 換算値)である。比較例の No. 0はポリビニ
ルアルコール(PVA) である。表1のVf, I3の欄の下段の
( ) 書きは、請求項の式(1), (2)の右辺の計算値であ
り、参考のために示したものである。
【0055】
【表1】 比較例 Et SV m.p. Vf I3 OTR No. (mole %) (mole %) (℃ ) (nm3) (%) 0 0.0 99.1 226 4.08×10-2 26.5 0.03 (4.03×10-2) (25.4) 1a 7.9 99.2 211 4.31×10-2 26.0 0.08 (3.95×10-2) (24.0) 2a 27.0 99.6 195 4.41×10-2 22.3 0.10 (4.39×10-2) (21.2) 3a 32.0 99.5 182 5.15×10-2 22.0 0.47 (4.76×10-2) (20.9) 4a 38.4 99.6 170 5.53×10-2 21.9 0.52 (5.23×10-2) (20.2) 4b 38.0 98.6 168 5.70×10-2 22.9 1.51 (5.67×10-2) (21.8) 5a 45.0 99.7 163 5.99×10-2 22.4 4.12 (5.84×10-2) (19.7) 5b 44.3 98.5 159 6.35×10-2 22.7 4.71 (6.33×10-2) (21.5) 5c 44.1 96.5 153 7.43×10-2 25.7 5.77 (7.25×10-2) (24.6) 6a 49.0 99.5 154 6.67×10-2 22.2 8.72 (6.38×10-2) (19.8) 7a 74.2 99.3 114 10.74×10-2 20.9 173 (10.31×10-2) (19.8)
【0056】−実施例− 実施例(No.5) 外部冷却ジャケットおよび撹拌機を備えた容量10リッ
トルの重合缶を用いて、EVAの重合を行った。触媒と
しては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−
ジメチルバレロニトリルを用いた。 ・重合温度: 45℃ ・エチレン圧: 53 MPa ・酢酸ビニル仕込み量:4000g ・触媒仕込み量: 1.8 g ・重合時間: 1.0 hr
【0057】これにより、エチレン含有量45mole %、
酢酸ビニルの重合率20%のEVAを得たので、これを
ケン化、精製、洗浄、乾燥して、EVOHを得た。
【0058】実施例(No.1〜4, 6) 実施例(No.5)において、エチレン圧、酢酸ビニル仕込
み量、触媒仕込み量、重合時間を種々変更して重合を行
ってEVAを得、ついで実施例(No.5)に準じてケン
化、精製、洗浄、乾燥を行い、EVOHを得た。
【0059】このようにして得たEVOHの共重合組成
と融点、VfとI3の測定結果、および酸素透過度(OTR) の
測定結果を、次の表2に示す。表2のVf, I3の欄の下段
の() 書きは、請求項の式(1), (2)の右辺の計算値であ
り、参考のために示したものである。
【0060】
【表2】 実施例 Et SV m.p. Vf I3 OTR No. (mole %) (mole %) (℃ ) (nm3) (%) 1 7.7 99.1 215 3.99×10-2 24.0 0.06 (4.00×10-2) (24.2) 2 27.3 99.2 197 4.57×10-2 21.6 0.08 (4.60×10-2) (21.7) 3 32.6 99.5 182 4.80×10-2 20.5 0.38 (4.81×10-2) (20.8) 4 37.5 99.2 171 5.33×10-2 20.8 0.49 (5.34×10-2) (20.9) 5 44.6 99.5 162 5.88×10-2 19.9 3.78 (5.89×10-2) (20.1) 6 48.5 99.3 157 6.41×10-2 20.0 7.61 (6.42×10-2) (20.1)
【0061】〈解析〉比較例、実施例において使用した
EVOHのEt、SVから求められる請求項の式(1), (2)の
右辺のVf, I3の計算値と、比較例、実施例におけるVf,
I3の実測値との乖離の度合いΔVf, ΔI3を、次の表3に
示す。また比較例、実施例におけるOTR の実測値を表3
に併せて示す。OTR の単位は「 cc.20μm/m2/day/atm」
である。
【0062】
【表3】 Et SV ΔVf ΔI3 OTR (mole %) (mole %) (nm3) (%) 比較例 No.0 0.0 99.1 +0.05×10-2 +1.1 0.03 No.1a 7.9 99.2 +0.36×10-2 +2.0 0.08 No.2a 27.0 99.6 +0.02×10-2 +1.1 0.10 No.3a 32.0 99.5 +0.39×10-2 +1.1 0.47 No.4a 38.4 99.6 +0.30×10-2 +1.7 0.52 No.4b 38.0 98.6 +0.03×10-2 +1.1 1.51 No.5a 45.0 99.7 +0.15×10-2 +2.7 4.12 No.5b 44.3 98.5 +0.02×10-2 +1.2 4.71 No.5c 44.1 96.5 +0.18×10-2 +1.1 5.77 No.6a 49.0 99.5 +0.29×10-2 +2.4 8.72 No.7a 74.2 99.3 +0.43×10-2 +1.1 173 実施例 No.1 7.7 99.1 -0.01×10-2 -0.2 0.06 No.2 27.3 99.2 -0.03×10-2 -0.1 0.08 No.3 32.6 99.5 -0.01×10-2 -0.3 0.38 No.4 37.5 99.2 -0.01×10-2 -0.1 0.49 No.5 44.6 99.5 -0.01×10-2 -0.2 3.78 No.6 48.5 99.3 -0.01×10-2 -0.1 7.61
【0063】表3から、実施例と比較例の同等の組成の
ものを対比すると、実施例の方が確実に酸素透過度OTR
が小さくなっていることがわかる。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、微視的なガスの透過通
路と「直接的に」関係のある非晶部の構造からVf、I3
よりEVOHを評価するようにしているので、EVAの
製造工程からケン化工程、得られたEVOHの精製工
程、後処理工程をはじめとする多種の要因をVf、I3に及
ぼす影響を探索することができ、従って、Vf、I3を下げ
る要因を追跡して最小のVf、I3となる要因を見い出すこ
とにより、従来に比しさらにすぐれたガスバリア性を有
するEVOHを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】使用した陽電子寿命測定装置の概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 29:04 C08L 29:04 (72)発明者 齋藤 鷹逸郎 大阪府茨木市室山2丁目13番1号 日本合 成化学工業株式会社中央研究所内 (72)発明者 国枝 誠 岡山県倉敷市松江4丁目8番1号 日本合 成化学工業株式会社水島事業所内 Fターム(参考) 2G001 AA03 BA28 CA02 DA01 EA03 KA12 KA20 LA05 MA05 RA10 4F071 AA15X AA29 AA29X AF08 AF08Y AH04 BA01 BB06 BB09 BC01 4J100 AA02Q AD02P CA04 DA36 DA55 JA50 JA58 JA59 JA64

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン−ビニルアルコール共重合体(E
    VOH)のエチレン含有量Etとケン化度SV、および、そ
    のEVOHについての陽電子消滅寿命測定法により求め
    た自由体積Vfと陽電子の全寿命成分に占める第3成分τ
    3 の割合I3とに基いて、EVOHの評価を行うことを特
    徴とするエチレン−ビニルアルコール共重合体の評価方
    法。
  2. 【請求項2】エチレン−ビニルアルコール共重合体(E
    VOH)のエチレン含有量Et(mole%)が5〜60で、ケ
    ン化度SV(mole %)が95以上である請求項1の評価方
    法。
  3. 【請求項3】エチレン含有量Et(mole %)が5〜60で、
    ケン化度SV(mole %)が95以上であるエチレン−ビニル
    アルコール共重合体(EVOH)であって、 そのEVOHの陽電子消滅寿命測定法により求めた自由
    体積Vf(nm3) が Vf ≦1.35×10-5・Et2 - 1.42×10-4・Et - 4.73 ×10-3・SV + C1 (1) (ただし、C1は5.09×10-1)の関係を満足し、かつその
    EVOHの陽電子消滅寿命測定法で求めた陽電子の全寿
    命成分に占める第3成分τ3 の割合I3(%) が I3 ≦ 1.2×10-3・Et2 - 1.60×10-1・Et - 1.51 ・SV + C2 (2) (ただし、C2は1.75×102 )の関係を満足することを特
    徴とするエチレン−ビニルアルコール共重合体。
  4. 【請求項4】エチレン−ビニルアルコール共重合体(E
    VOH)が、単層の成形物の形態にあるか、複層成形物
    の少なくとも1層を構成している請求項3記載のエチレ
    ン−ビニルアルコール共重合体。
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