JP2015217983A - パッキン - Google Patents

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英樹 村井
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Tamotsu Aizawa
保 相澤
正季 鈴木
Masaki Suzuki
正季 鈴木
英一 守屋
Hidekazu Moriya
英一 守屋
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Abstract

【課題】容器本体の開口部を密閉するための蓋体の内部に具備されるパッキンであって、容器の内容物の金属探知による検査が可能であり、酸素や二酸化炭素、水分の透過性が低いパッキンを提供する。【解決手段】ポリエステル層及びバリア層が積層されたバリアフィルムと、前記バリアフィルムの前記バリア層と積層された、融点105℃以上のポリオレフィンを含む樹脂発泡体層と、を有し、前記バリア層は、重合度が20未満である不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩の重合体を含み、赤外線吸収スペクトルにおける1700cm−1付近のカルボン酸基のνC=Oに基づく吸光度A0と1520cm−1付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Aとの比(A0/A)が0.10以下である、パッキンとする。【選択図】図1

Description

本発明は、キャップ用のパッキンに関する。より具体的には、密閉容器の容器本体の開口部を封止するためのキャップの内部に具備され、容器の内容物が劣化することを防止するパッキンに関する。
開口部を有する密閉容器本体は蓋体により密閉される。通常、蓋体の内部にはパッキンが具備されて、パッキンは蓋体と容器本体との合わせ面に配置される。パッキンは、密閉容器の内容物が漏れ出すことを防止するとともに、内容物の品質を維持する。
パッキンには弾性(柔軟性)が必要であるためゴム素材であることが多いが、熱可塑性エラストマー素材のパッキンも提案されている(特許文献1〜4参照)。熱可塑性エラストマーを含むパッキンでは、種々の添加物を含むことで、パッキンに必要な特性を確保している。しかし、このような添加物は、容器の内容物に衛生が求められる場合には好ましくない場合があり、特に食品または飲料容器の蓋体のパッキンに適用できない場合がある。
そこで、衛生が求められる内容物の密閉容器の蓋体に、低密度ポリエチレン(LDPE)や線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を主成分とするパッキンを適用することが検討されている。
また、パッキンにアルミフィルムが含まれると、酸素透過性、二酸化炭素透過性、透湿度などが低減し、容器の気密性が高まることが知られている。そこで、アルミフィルムを含むパッキンも検討されている。
一方、基材層に、不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩溶液を塗布し、当該金属塩に電子線を照射して得られるガスバリア性膜も提案されている(特許文献5)。
特開2006−273384号公報 特開2010−126655号公報 特開平10−120015号公報 特開2000−248159号公報 特開2009−018589号公報
ここで、前述のポリエチレンを主成分とするパッキンは、酸素や二酸化炭素、水分の透過抑制性が十分でなく、容器の内容物の品質を長期に亘って維持できないおそれがあった。また、アルミフィルムを含むパッキンは、酸素や二酸化炭素、水分の透過抑制性が十分に高いものの、金属探知機による検査において、パッキンが反応してしまう。そのため、金属探知機によって、容器の内容物の異物混入検査ができない、との問題があった。
本発明は、容器本体の開口部を密閉するための蓋体の内部に具備されるパッキンに関し、容器の内容物の金属探知による検査が可能であり、酸素や二酸化炭素、水分の透過性が低いパッキンを提供する。
すなわち本発明は、以下のパッキン、及び当該パッキンを含む食品用容器に関する。
[1]容器本体の開口部を密閉するための蓋体の内部に具備されるパッキンであって、ポリエステル層及びバリア層が積層されたバリアフィルムと、前記バリアフィルムの前記バリア層と積層された、融点105℃以上のポリオレフィンを含む樹脂発泡体層と、を有し、前記バリア層は、重合度が20未満である不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩の重合体を含み、赤外線吸収スペクトルにおける1700cm−1付近のカルボン酸基のνC=Oに基づく吸光度Aと1520cm−1付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Aとの比(A/A)が0.10以下である、パッキン。
[2]前記樹脂発泡体層は、エチレン単独重合体、またはエチレンと炭素数3〜20のオレフィンとの共重合体を含む、[1]に記載のパッキン。
[3]前記樹脂発泡体層の10MPaでの圧縮率が、80%以下である、[1]または[2]に記載のパッキン。
[4]前記樹脂発泡体層が含む前記ポリオレフィンのショアA硬度は60〜95である、[1]〜[3]のいずれかに記載のパッキン。
[5]前記バリアフィルムの前記バリア層と前記樹脂発泡体層との間に、接着層を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のパッキン。
[6]前記接着層は、ポリオレフィンを含む、[5]に記載のパッキン。
[7]厚みが0.5〜5mmである、[1]〜[6]のいずれかに記載のパッキン。
[8]容器本体と、蓋体とを含む食品用容器であって、前記蓋体の内部に、[1]〜[7]のいずれかに記載のパッキンを具備する、食品用容器。
食品用容器。
本発明のパッキンは、金属層を含まないにもかかわらず、酸素や二酸化炭素、水分の透過性が低い。
パッキンの積層構成の第1の例を示す図である。 パッキンの積層構成の第2の例を示す図である。 パッキンと、蓋体と、食品用容器の開口部との状態を示す図である。
1.パッキンについて
本発明のパッキンには、ポリエステル層及びバリア層が積層されたバリアフィルムと、ポリオレフィンを含む樹脂発泡体層と、が含まれる。図1の概略断面図に示されるように、本発明のパッキン100は、バリアフィルム10及び樹脂発泡体層3が積層された構造を有し、バリアフィルム10は、ポリエステル層1と、バリア層2とを含む。本発明のパッキン100では、バリアフィルム10のバリア層2が樹脂発泡体層3と積層される。
また、本発明のパッキン100は、図2の概略断面図に示されるように、樹脂発泡体層3の両面に、バリアフィルム10が積層されていてもよく、この場合もバリア層2と樹脂発泡体層3とが積層される。ここで、バリアフィルム10のバリア層2と樹脂発泡体層3との間には、必要に応じて接着層(図示せず)が含まれる。
前述のように、従来は、パッキンに金属(アルミニウム)を含む層が含まれないと、酸素や二酸化炭素、水分の透過を抑制することが難しかった。一方で、パッキンに金属が含まれると、当該パッキンを具備する容器の内容物を十分に検査できないとの問題があった。
これに対し、本発明のパッキン100には、前述のポリエステル層1及びバリア層2を有するバリアフィルム10が含まれる。ここで、バリア層2には、主に不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩の重合体が含まれる。当該バリア層2は、架橋密度が高いため、金属を含まないにも関わらず、酸素や二酸化炭素、水分の透過度が低い。一方、本発明のパッキン100の樹脂発泡体層3は弾性を有する。したがって、蓋体と容器本体との間にパッキン100を配置すると、蓋体と容器本体との隙間が、パッキン100によって十分に塞がれる。つまり、本発明のパッキン100によれば、気密性が高く、さらに内容物の品質を、長期間に亘って維持可能な容器が提供される。そしてさらに、容器の内容物を金属探知機によって検査することも可能である。
(1.1)バリアフィルム
本発明のパッキンに含まれるバリアフィルムには、ポリエステル層及びバリア層が含まれる。前述のように、通常、ポリエステル層の一方の面にバリア層が形成されている。
・ポリエステル層
本発明のポリエステル層は、ポリエステルを含む層であれば特に制限されない。ポリエステル層に含まれるポリエステルの量は、ポリエステル層全体に対して95質量%以上であることが好ましく、より好ましくは97質量%以上である。ポリエステル層は、ポリエステルのみから層であってもよい。
ポリエステルは、ジカルボン酸とジオール化合物とを重合して得られる。ジカルボン酸の例には、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸等が含まれる。ポリエステル層の強度や耐熱性等の観点から、ジカルボン酸は、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸であることが好ましい。ポリエステルには、上記ジカルボン酸由来の構造が1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。また、ポリエステルには、上記ジカルボン酸由来の構造と併せて、3官能以上のポリカルボン酸由来の構造が含まれてもよい。
一方、ジオール化合物の例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノール等が含まれる。ポリエステル層の強度や耐熱性等の観点から、ジオール化合物は、エチレングリコールであることが好ましい。ポリエステルには、上記ジオール化合物由来の構造が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。また、ポリエステルには、上記ジオール化合物の構造と併せて、3官能以上のポリオール由来の構造が含まれてもよい。
ポリエステル層に含まれるポリエステルは、入手の容易性、強度、耐熱性等の観点から、ポリエチレンテレフタレート、またはポリエチレン−2,6−ナフタレートであることが特に好ましい。また、ポリエステルの分子量は、10000以上であることが、パッキンの強度を高めるとの観点から好ましい。
ポリエステル層には、必要に応じて有機や無機の微粒子が含まれてもよい。微粒子の例には、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、グラファイト、カオリン、シリカ、アルミナ、酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸化錫等の無機微粒子;アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等の有機微粒子が含まれる。
またさらに、ポリエステル層には、必要に応じて各種添加剤が含まれてもよい。添加剤の例には、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、着色剤、顔料、蛍光増白剤、可塑剤、架橋剤、潤滑剤、紫外線吸収剤等が含まれる。
また、ポリエステル層の表面にはシリカ等の無機化合物等が蒸着されていてもよい。さらにポリエステル層は、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニアルコール共重合体、アクリル樹脂、ウレタン系樹脂等の有機樹脂でコーティングされていてもよい。
さらに、ポリエステル層は、バリア層や接着層、樹脂発泡体層との密着性を高めるために、表面がコロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理、またはフレーム処理されたものであってもよい。
また、ポリエステル層は、未延伸であってもよく、延伸(一軸延伸または二軸延伸)処理されていてもよい。
ポリエステル層の厚みは、パッキンの厚みに応じて適宜選択されるが、10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは12〜50μmである。特にポリエステル層の厚みが12μm以上であると、パッキンの強度やバリア性が高まりやすい。一方、ポリエステル層の厚みが特に50μm以下であると、パッキンが過度に厚くならず、パッキンを種々の用途に適用できる。
・バリア層
バリア層は、不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩の重合体を含む層であり、架橋度が高く、バリア性の高い層が得られるとの観点から、不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩の重合体を主に含む層であることが好ましい。
ここで、バリア層は、赤外線吸収スペクトルにおける1700cm−1付近のカルボン酸基のνC=Oに基づく吸光度Aと1520cm−1付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Aとの比(A/A)が0.10以下である。当該比(A/A)が0.10以下であることは、当該バリア層では、遊離のカルボン酸基が存在しないか、少ないことを意味し、バリア層内での架橋密度が高いことを示す。
上記比(A/A)は、以下のように求められる。パッキンから1cm×3cmの測定用サンプルを切り出し、発泡体樹脂層等を公知の方法で剥離して、バリア層の表面を露出させる。その後、当該バリア層表面の赤外線吸収スペクトルを赤外線全反射測定(ATR法)で測定する。そして、以下のように求められる吸光度A及び吸光度Aから算出する。
1700cm−1付近のカルボン酸基のνC=Oに基づく吸光度Aは、以下のように求められる。赤外線吸収スペクトルの1660cm−1と1760cm−1の吸光度とを直線(N)で結び、1660〜1760cm−1間の最大吸光度(1700cm−1付近)から垂直に直線(O)を下ろす。そして、当該直線(O)と直線(N)との交点と最大吸光度との吸光度の距離(長さ)を算出し、当該距離を吸光度Aとする。
一方、1520cm−1付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Aは、以下のように求められる。赤外線吸収スペクトルの1480cm−1と1630cm−1の吸光度とを直線(L)で結び、1480〜1630cm−1間の最大吸光度(1520cm−1付近)から垂直に直線(M)を下ろす。そして、当該直線(M)と直線(L)との交点と最大吸光度との吸光度の距離(長さ)を算出し、当該距離を吸光度Aとする。なお、最大吸光度(1520cm−1付近)は、対イオンの金属種によりピーク位置が変化することがある。例えば、カルシウムでは1520cm−1付近であり、亜鉛では1520cm−1付近であり、マグネシウムでは1540cm−1付近であり、ナトリウム(Na)では1540cm−1付近である。
上記赤外線吸収スペクトルの測定(赤外線全反射測定:ATR法)は、例えば日本分光社製FT−IR350装置を用い、KRS−5(Thallium Bromide−Iodide)結晶を装着して、入射角45度、室温、分解能4cm-1、積算回数150回の条件で行うことができる。
上述のように、架橋密度が高く、バリア性の高いバリア層は、ポリエステル層表面に、「重合度が20未満である不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩」からなる層を形成し、当該層に電離放射線を照射して重合させることで得られる。重合度が大きな不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩を重合させると、バリア層内部での架橋密度が高まり難く、バリア層のバリア性が高まらない場合があるが、重合度が20未満であれば、バリア性の高い層が得られる。ここで、バリア層の成膜に用いられる「不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩」は、「不飽和カルボン酸化合物」と「多価金属または多価金属化合物」とを反応させて得られる塩である。
上記「不飽和カルボン酸化合物」は、不飽和カルボン酸の単量体、またはその重合体でありうる。不飽和カルボン酸化合物が重合体である場合、当該不飽和カルボン酸化合物は、不飽和カルボン酸が1種のみの単独重合体であってもよく、2種以上の不飽和カルボン酸の共重合体であってもよい。また、その重合度は、20未満であり、より好ましくは10以下である。不飽和カルボン酸化合物は、特に好ましくは不飽和カルボン酸の単量体である。不飽和カルボン酸化合物が不飽和カルボン酸の単量体であると、後述の「多価金属または多価金属化合物」によって完全に中和されやすく、多価金属塩を重合して得られるバリア層のバリア性が高まり易い。
不飽和カルボン酸は、分子中に不飽和結合及びカルボン酸を少なくとも1つずつ含む化合物であればよく、その例には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のα、β−エチレン性不飽和基を有するカルボン酸化合物が含まれる。
一方、「多価金属、または多価金属化合物」は、不飽和カルボン酸化合物のカルボキシル基と反応して塩を形成可能な2価以上の金属、もしくはその金属化合物でありうる。多価金属及びその金属化合物の具体例には、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等の2価以上の金属;もしくはこれらの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硫酸塩、もしくは亜硫酸塩等が含まれる。「不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩」の合成時には、上記の多価金属等を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
多価金属または多価金属化合物は、二価の金属化合物であることが好ましく、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛であることが特に好ましい。これらの金属化合物と不飽和カルボン酸化合物との多価金属塩を重合して得られるバリア層は、高湿度下でのバリア性が優れる。
また特に、バリア層の耐熱水性が高まるとの観点から、「不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩」は、メタアクリル酸亜鉛またはアクリル酸亜鉛であることが好ましい。
ここで、バリア層には、不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩の重合体以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、滑剤、スリップ剤、アンチ・ブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料、無機また有機の充填剤等の各種添加剤や、各種界面活性剤が含まれてもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、他の樹脂が含まれてもよい。
バリアフィルムにおいて、ポリエステル層と積層されるバリア層の単位面積当たりの重量は、0.05〜10g/mであることが好ましく、より好ましくは0.1〜5g/mである。バリア層の単位面積当たりの重量が0.05g/m以上であると、パッキンのバリア性が十分に高まる。一方、バリア層の単位面積当たりの重量が10g/m以下であると、パッキンが過度に厚くならず、パッキンを種々の用途に適用できる。
(1.2)樹脂発泡体層
樹脂発泡体層は、融点が105℃以上のポリオレフィンの発泡体でありうる。ポリオレフィンの融点の上限は特に限定されないが、130℃以下であることが好ましい。
樹脂発泡体層に含まれるポリオレフィンの例には、炭素数が2〜20のポリオレフィンが含まれ、ポリオレフィンは、エチレン単独重合体、またはエチレンと炭素数が3〜20のオレフィンとの共重合体(エチレン・α−オレフィン共重合体)であることが好ましい。エチレンと共重合させるコモノマーは特に制限されないが、プロピレン、1−ブテン、及び1−ヘキセンから選ばれるコモノマーであることが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれるコモノマーの量は、エチレン・α−オレフィン共重合体の融点や結晶化度に影響を与え;結晶化度は、エチレン・α−オレフィン共重合体の硬度に影響を与える。したがって、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれるコモノマーの量は、エチレン・α−オレフィン共重合体が前述の融点を満たすように、適宜調整される。
ここで、樹脂発泡体層に含まれるポリオレフィンのショアA硬度は60〜95であることが好ましい。ショアA硬度は、JIS K 7215に準じて測定されるショアA硬度を意味する。ショアA硬度が95以下であるとパッキンの封止性が十分になりやすく、ショアA硬度が60以上であるとパッキンの耐熱性や耐久性が十分に得られやすい。
さらに、樹脂発泡体層の10MPaでの圧縮率は、80%以下であることが好ましく、より好ましくは60%以下である。10MPaでの圧縮率とは、樹脂発泡体層に厚み方向に10MPaの荷重をかけた際の樹脂発泡体層の厚み変化が80%以下である;つまり、10MPaの荷重をかけた際の厚みが、初期の厚みの20%以上であることをいう。上記圧縮率は、ASTM−1667に準拠して測定される。上記圧縮率が80%以下であれば、容器に外圧がかかっても、容器本体と蓋体との間に隙間が生じ難く、容器の内容物が外部に漏れ出すことが抑制される。また、樹脂発泡体層のみかけ密度は、0.12〜0.80であることが好ましい。
ここで、樹脂発泡体層の厚みは0.5〜5mmであることが好ましく、0.7〜3.0mmであることがより好ましい。樹脂発泡体層の厚みが上記範囲内であると、パッキンとしての密閉性能が十分に得られやすい。
(1.3)接着層
本発明のパッキンには、接着層が含まれてもよい。接着層は、例えばバリアフィルムのバリア層と樹脂発泡体層とを接着する層でありうる。
接着層は、ポリオレフィンを含む層でありうる。接着層に含まれるポリオレフィンは、ある程度の融着性を有するポリオレフィンであればよく、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、またはそれらの変成体であることが好ましい。
ポリオレフィンのMFR(メルトフローレート)や融点、密度等は特に限定されないが、接着層に低密度ポリエチレンが含まれる場合、当該低密度ポリエチレンのMFRは2〜15g/10min、融点は105〜135℃、密度は915〜940kg/mであることが好ましい。一方、接着層にポリプロピレンが含まれる場合、当該ポリプロピレンのMFRは20〜30g/10min、密度は890〜910kg/mであることが好ましい。
また、接着層の厚みは、25μm〜50μmであることが好ましく、35μm〜45μmであることがより好ましい。接着層の厚みが上記範囲であると、バリアフィルムと樹脂発泡体層とが十分な強度で接着される。
なお、接着層は、必要に応じて顔料が含まれてもよい。接着層に顔料が含まれると、パッキンを所望の色とすることができる。顔料の種類や量は特に制限されず、接着層に含まれるポリオレフィンとの相溶性を考慮して選択される。顔料の例には、二酸化チタンや酸化亜鉛などの無機顔料、フタロシアニン系・アゾ系などの有機顔料が含まれる。
(1.4)パッキンについて
本発明のパッキンは、前述のように、バリアフィルム、及び樹脂発泡体層が積層された構造を有する。当該パッキンの厚みは0.5〜5mmであることが好ましく、より好ましくは0.7〜3.0mmである。パッキンの厚みが0.5mm以上であると、十分な密閉性が得られやすい。
また、本発明のパッキンは、容器本体の開口部を密閉するための蓋体の内部に具備されるが、パッキンの容器本体と接する側の表面は、平滑であることが好ましい。具体的には、パッキンの容器本体と接する側の表面の中心線平均粗さRaが3.8μm以下であることが好ましく、最大高さRmaxが36.6μm以下であることが好ましい。中心線平均粗さRaおよび最大高さRmaxは、いずれもJIS B 0601に準じて測定される。パッキン表面の平滑性が高いと、蓋体と容器本体の間に、パッキンが挟みこまれた際に、高い気密性が保持される。
2.パッキンの製造方法について
本発明のパッキンの製造方法は、特に制限されないが、例えば(1)バリアフィルムを形成する工程と、(2)樹脂発泡体層を形成する工程と、(3)バリアフィルムと樹脂発泡体層とを貼り合わせてパッキン原反シートを作製する工程と、(4)パッキン原反シートを打ち抜いて所望の形状のパッキンとする工程とを含む方法でありうる。
(2.1)バリアフィルムの形成工程
バリアフィルムの形成方法は、特に制限されないが、例えば、ポリエステル層を準備し、当該ポリエステル層表面に、不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩を含むバリア層形成用組成物の塗膜を形成し、当該塗膜に電離放射線を照射する方法でありうる。
バリア層形成用組成物には、前述の不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩及び溶媒が含まれる。バリア層形成用組成物の調製方法は、不飽和カルボン酸と前記多価金属化合物との反応物(多価金属塩)を、溶媒に溶解させる方法であってもよく;不飽和カルボン酸化合物及び多価金属化合物をそれぞれ溶媒に溶解させる方法であってもよい。
前記不飽和カルボン酸化合物及び前記多価金属化合物をそれぞれ溶媒に溶解させてバリア層形成用組成物を調製する場合、不飽和カルボン酸化合物に対する、多価金属化合物の量は、0.3化学当量超であることが好ましい。多価金属化合物の量が、不飽和カルボン酸化合物に対して0.3化学当量以下であると、得られるバリア層において、遊離のカルボン酸基の量が多くなりやすく、十分なバリア性が得られないことがある。一方、多価金属化合物の量の上限は特に制限されないが、未反応の多価金属化合物の量を少なくするとの観点から、不飽和カルボン酸化合物に対して多価金属化合物の量は、5化学当量以下であることが好ましく、より好ましくは2化学当量以下である。またこのとき、不飽和カルボン酸化合物と多価金属化合物とを十分に反応させるためには、1分以上混合処理することが好ましい。
バリア層形成用組成物に含まれる溶媒は、不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩を十分に溶解可能な溶媒であれば特に制限されない。溶媒の例には、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;アセトン;メチルエチルケトン;やこれらの混合溶媒が含まれるが、取り扱いの容易性等の観点から、水であることが好ましい。
バリア層形成用組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、前述の各種添加剤や、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート(商品名、新中村化学工業社製)、ポリエチレングリコール#400ジ(メタ)アクリレート(商品名、新中村化学工業社製)、ポリエチレングリコール#600・ジ(メタ)アクリレート(商品名、新中村化学工業社製)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等のグリコール類のアクリル酸二価エステル;その他の不飽和カルボン酸(ジ)エステル化合物、酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物のモノマーまたはオリゴマー;ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエチルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、澱粉、アラビアガム、メチルセルロース等の水溶性重合体;アクリル酸エステル重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン等の高分子量の化合物等が含まれてもよい。
ポリエステル層上にバリア層形成用組成物の塗膜を形成する方法は、特に制限されず、塗布、浸漬、噴霧等のいずれの方法でもありうる。塗布の例には、エアーナイフコーター、ダイレクトグラビアコーター、グラビアオフセット、アークグラビアコーター、グラビアリバースおよびジェットノズル方式等のグラビアコーター;トップフィードリバースコーター、ボトムフィードリバースコーターおよびノズルフィードリバースコーター等のリバースロールコーター;5本ロールコーター、リップコーター、バーコーター、バーリバースコーター、ダイコーター等種々公知の塗工機による塗布が挙げられる。
ポリエステル層上に形成するバリア層形成用組成物の塗膜の単位面積当たりの固形分量は、0.05〜10g/mであることが好ましく、より好ましくは0.1〜5g/mである。固形分量が上記範囲であると、電離放射線照射によって、不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩を十分に重合させやすくなる。
バリア層形成用組成物の塗膜形成後、電離放射線を照射して、前述の不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩を重合させる。このとき、電離放射線の照射は、塗膜中の溶媒量を調整してから行うことが好ましい。具体的には、塗膜の質量に対する溶媒量を20〜60質量%としてから、電離放射線を照射することが好ましい。塗膜に含まれる溶媒の量が20質量%未満であると、得られるバリア層の酸素透過性が高まることがある。また、塗膜に含まれる溶媒の量が60質量%超であると、バリア層の酸素透過性が高まるだけでなく、バリア層の透明性が低下することがある。塗膜中の溶媒量の調整は、例えば溶媒を乾燥させること等により行うことができる。
また、バリア層形成用組成物の塗膜への電離放射線の照射時の塗膜の温度は、塗膜中に含まれる溶媒の沸点より低い温度であれば特に制限されないが、60℃以下であることが好ましく、常温〜50℃の範囲であることが好ましい。温度が過度に高いと、溶媒の揮発速度が速くなり、多価金属塩の結晶が析出することがある。一方、温度が過度に低いと、溶媒の乾燥に時間を要する。
バリア層形成用組成物の塗膜に照射する電離放射線は、波長0.001〜800nmのエネルギー線であれば特に制限されず、例えばα線、β線、γ線、X線、可視光線、紫外線、電子線等でありうる。これらの電離放射線の中でも、波長400〜800nmの可視光線、波長50〜400nmの紫外線、及び波長0.01〜0.002nmの電子線が好ましい。これらは、取り扱いが容易であり、装置も普及している。
例えばバリア層形成用組成物に電子線を照射する場合、その強度は、不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩が重合する強度であれば特に制限されないが、加速電圧が30kV〜300kV、線量が10〜300キログレイ(kGy)の電子線であることが好ましい。加速電圧が過度に大きいと、電子線の浸透深さが深くなり、ポリエステル層が劣化する可能性がある。一方、加速電圧が過度に小さいと、電子線の浸透深さが浅くなり、不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩の重合が不十分になる可能性がある。また、線量を多くくしすぎると、ライン速度が遅くなり、生産性が低下するおそれがある。一方、線量が過度に少ないと、不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩の重合が不十分になる可能性がある。
(2.2)樹脂発泡体層の形成工程
樹脂発泡体層は、定法に従って、前述のポリオレフィンと、発泡剤と、必要に応じて他の添加剤とを溶融混練し、当該混練物を押出し成形することで得られる。
発泡剤は、公知の化学発泡剤及び物理発泡剤のいずれでもありうるが、物理発泡剤(例えば二酸化炭素や窒素)であることが、得られる樹脂発泡体層に発泡剤が残存しないとの観点から好ましい。
混練物の押出しは、押出機によって行われる。押出機の種類には、一軸押出機、二軸押出機、押出機を直列につないだタンデム押出機などがあるが、通常は、タンデム化されていないシングルの押出機でありうる。押出機の温度は、溶融した混練物が押出に耐えうる溶融粘度となるように設定すればよく、具体的には80℃以上260℃以下とすることが好ましい。押出機のスクリューは、注入する発泡剤の性質に応じて適宜選択される。
発泡剤と溶融混練されたポリオレフィンは、押出機のダイスから吐出されて、フィルム状に成形される。フィルム状に成形されたポリオレフィン(樹脂発泡体層)は、一方向または二方向に延伸処理されてもよい。ダイスから吐出された樹脂発泡体層は、実質的に非晶無配向であるが、延伸処理により配向性を付与することができる。延伸処理は、公知の技術である逐次二軸延伸や、チューブラー法や、テンター法による同時二軸延伸により行われる。
また、フィルム状に成形されたポリオレフィン(樹脂発泡体層)は、必要に応じてプレス(面プレス)されてもよい。面プレスは、ダイスから吐出された加熱状態の発泡体をロールでプレスすることで行ってもよく;ダイスから吐出された発泡体を一端冷却し、冷却後の発泡体を再加温してからロールでプレスしたり、プレートでプレスしたりしてもよい。これにより、樹脂発泡体層の表面が平滑化される。
(2.3)バリアフィルムと樹脂発泡体層との貼合わせ工程
前述のバリアフィルムと樹脂発泡体層との貼合わせ方法は、特に制限されないが、例えば、バリアフィルムと樹脂発泡体層とを接着層を介して貼り合わせる方法でありうる。
接着層は、バリアフィルムや樹脂発泡体層にドライラミネートしてもよく、バリアフィルム及び樹脂発泡体層の間に接着層用組成物(溶融物)を押出して、ラミネート(押出しラミネート)してもよい。
(2.4)打ち抜き工程
前述のように作製されたバリアフィルムと樹脂発泡体層との積層体であるパッキン原反シートを、打ち抜きによって、所望の大きさに裁断し、パッキンとする。パッキン原反シートを打ち抜く方法は、公知の打抜機等により行われる。
3.蓋体および食品用容器について
本発明の食品用容器は、容器本体と蓋体とを有する。容器本体は開口部を有し、開口部を蓋体で密閉される。図3には食品用容器の例が示され、容器本体20と、蓋体30と、蓋体30の内部に具備されるパッキン100とが示される。パッキン100は蓋体30に固定されて一体化されていてもよいが、分離されて別個の部材として用いられてもよい。
容器本体20には、内容物を充填したり取り出したりするための開口部がある。蓋体30は、容器本体20の開口部20aに、着脱自在に合わさって該容器本体20を密閉する、ねじ込みタイプの蓋体である。パッキン100は、容器本体20の内部を気密状態に維持するパッキンであり、通常は蓋体30の内部に具備されている。
容器本体20や蓋体30の材質は特に限定されず、樹脂製であっても、ガラス製であっても、他の材質であってもよいが;内容物を加熱処理することができるように一定の耐熱性が求められる。
当該食品用容器に密閉される内容物は特に限定されず、各種食品や飲料でありうる。密閉容器に収容された食品または飲料は、60℃〜95℃で加熱殺菌処理されることがある。本発明のパッキンを具備する蓋体で密閉容器を密閉すれば、加熱によって内容物が容器から漏れ出すことが防止できる。
なお、上述のパッキンを具備する容器は、食品用に限らず、医薬品、化粧品などのサニタリー品用の容器にも適用できる。
以下において、実施例を参照して本発明を説明する。実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
[実施例1]
・バリアフィルムの準備
(バリア層形成用組成物の調製)
アクリル酸亜鉛(アクリル酸のZn塩)水溶液〔浅田化学社製、濃度30質量%(アクリル酸成分:20質量%、Zn成分10質量%)〕と、メチルアルコールで25質量%に希釈した光重合開始剤〔1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 商品名;イルガキュアー 2959)〕と、界面活性剤(花王社製 商品名;エマルゲン120)とを、モル分率で98.5mol%、1.2mol%、0.3mol%となるように混合し;アクリル酸亜鉛を含むバリア層形成用組成物を調製した。
(バリアフィルムの作製)
二軸延伸ポリエステルフィルム(ユニチカ社製 商品名;エンブレットPET12、厚さ12μm)のコロナ処理面に、前述のバリア層形成用組成物をメイヤーバーで塗布した。単位面積当たりの塗布量(固形分量)は3.5g/mとした。その後、塗膜中の水分量が28質量%となった状態で、直ちにEB照射装置(岩崎電気株式会社製 型式:CB250/30/20)にて、電子線を照射して、アクリル酸亜鉛を重合させた。電子線の照射条件は、加速電圧110kV、線量30kGyとした。そして、ポリエステルフィルムの一方の面にバリア層(単位面積当たりの重量:1.2g/m)を有するバリアフィルムを得た。得られたバリア層の赤外線吸収スペクトルにおける1700cm−1付近のカルボン酸基のνC=Oに基づく吸光度Aと1520cm−1付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Aとの比(A/A)は、0.05であった。
なお、塗膜中の水分量[質量%]は、以下のように測定した。バリア層形成用組成物を塗布したポリエステルフィルムから120×297mmの測定用サンプルを切り出し、その質量(W)を測定した。その後、温度;130℃の熱風乾燥器で10分間乾燥してその質量(W乾)を測定した。それとは別に、ポリエステルフィルム(バリア層形成用組成物を塗布するフィルム)から120×297mmの測定用サンプルを切り出しその質量(W基材)を測定した。そして、各フィルムの質量から、以下の式で塗膜中の水分量を求めた。
水分量(質量%)=〔(W−W基材)−(W乾−W基材)〕/(W−W基材)
(樹脂発泡体層の成膜)
ポリエチレン(融点:110℃、密度:920kg/m、MFR:6.0g/10min、ショアA硬度:69)を、溶融押出機にて溶融し、ポリエチレン1kgあたり1.6gの発泡剤である炭酸ガスを供給して溶融させた。溶融押し出し条件は、樹脂温度:155℃、樹脂圧力:8MPaとした。溶融押し出し機に装備したダイス(サーキュラーダイス)から樹脂を押し出して、密度が500kg/mである発泡シート(厚み2mm、)を得た。当該樹脂発泡体層の10MPaの圧縮率(ASTM−1667に準拠して測定)は、50%であった。
(樹脂発泡体層とバリアフィルムの積層)
前述の樹脂発泡体層と、バリアフィルムのバリア層との間に、高圧法低密度ポリエチレンの溶融物を押出して、樹脂発泡体層とバリアフィルムとをラミネートした。
そして、ポリエステル層(厚み12μm)/バリア層(単位面積当たりの重量:1.2g/m)/接着層(厚み40μm)/樹脂発泡体層(厚み2mm)からなる、パッキン原反シートを得た。
[比較例1]
実施例1と同様に樹脂発泡体層を形成した。そして、前述のバリアフィルムを積層せずに、樹脂発泡体層(厚み2mm)のみからなるパッキン原反シートとした。
[比較例2]
実施例1と同様に、樹脂発泡体層を形成した。一方、厚み20μmのポリプロピレンフィルムを準備した。樹脂発泡体層と、ポリプロピレンフィルムとの間に、実施例1と同様に高圧法低密度ポリエチレンの溶融物を押出して、樹脂発泡体層とポリプロピレンフィルムとをラミネートした。そして、ポリプロピレンフィルム層(厚み20μm)/接着層(厚み40μm)/樹脂発泡体層(厚み2mm)からなるパッキン原反シートを得た。
[比較例3]
実施例1と同様に、樹脂発泡体層を形成した。一方、厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。樹脂発泡体層とポリエチレンテレフタレートフィルムとの間に、実施例1と同様に高圧法低密度ポリエチレンの溶融物を押出して、樹脂発泡体層とポリエチレンテレフタレートフィルムとをラミネートした。そして、ポリエチレンテレフタレートフィルム層(厚み12μm)/接着層(厚み40μm)/樹脂発泡体層(厚み2mm)からなるパッキン原反シートを得た。
[比較例4]
実施例1と同様に、樹脂発泡体層を形成した。一方、厚み6μmのアルミフィルムを準備した。樹脂発泡体層とアルミフィルムとの間に、実施例1と同様に高圧法低密度ポリエチレンの溶融物を押出して、樹脂発泡体層とアルミフィルムとをラミネートした。そして、アルミフィルム層(厚み6μm)/接着層(厚み40μm)/樹脂発泡体層(厚み2mm)からなるパッキン原反シートを得た。
[評価]
得られたパッキン原反シートの酸素透過度、二酸化炭素透過度(差圧法23℃ 0%)、透湿度(カップ法 40℃ 90%)を測定した。また、金属探知機による金属の検出、パッキンの気密性を評価した。各評価方法は以下の方法とした。測定結果を表1に示す。
(1)酸素透過度[ml/(m・day・MPa)]:JIS K7126−1に準拠して求めた。具体的には、各パッキン原反シートの酸素透過度を、東洋精機製MT−C3を用いて、差圧法、温度;23℃、湿度;0%RHの条件で測定した。
(2)二酸化炭素透過度[ml/(m・day・MPa)]:JIS K7126−1に準拠して求めた。具体的には、パッキンの二酸化炭素透過度を、東洋精機製MT−C3を用いて、差圧法、温度;23℃、湿度;0%RHの条件で測定した。
(3)透湿度[g/(m/day)]:JIS Z0208 に準拠して求めた。具体的には、開口部面積が、60mmφアルミ製のカップの中に塩化カルシウムを適量入れて各パッキン原反シートで密封した。これを40℃、90%RH(相対湿度)の雰囲気中に3日間放置し、質量増加から透湿度(水蒸気透過度)を求めた。
(4)金属検知器による金属の検知
金属検知器により各パッキン原反シートを検査し、金属を検知したものを×、検知しなかったものを○と評価した。
(5)内容物の保存性
各パッキン原反シートを所定の形状に切り出して、パッキンとした。パッキンを、キャップに装填して、パッキン付きキャップを得た。パッキン原反シートが積層体である場合には、樹脂発泡体層がキャップと接するように配置した。そして、ポリプロピレン容器にエタノールを所定量入れて、当該キャップにより密封した。そして、当該ポリプロピレン容器を50℃の恒温機で一週間保管し、ポリプロピレン容器内に残存するエタノールの質量を測定した。
質量変化が2.0%以下であるものを○、2.0%超5.0%以下であるものを△、5.0%超であるものを×、として、パッキンの気密性を評価した。
Figure 2015217983
表1に示されるように、樹脂発泡体層と、バリア層及びポリエステル層を含むバリアフィルムと、が積層された本願のパッキンでは、酸素透過度や二酸化炭素透過度、透湿度が非常に低く、気密性が高かった(実施例1)。また、パッキンが金属を含まないため、当該パッキンを用いた密閉容器を、金属探知機で検査することが可能である。
一方、樹脂発泡体層のみからなるパッキンでは、非常に気密性が低かった(比較例1)。また、樹脂発泡体とポリオレフィン系の層(ポリプロピレンフィルム)とを積層しただけでは、酸素や二酸化炭素の透過を十分に抑制できなかった(比較例2)。さらに、樹脂発泡体とポリエステル系の層(ポリエチレンテレフタレートフィルム)とを積層しただけでは、二酸化炭素の透過を十分に抑制できなかった(比較例3)。なお、樹脂発泡体層とアルミ層とを積層したパッキンでは、酸素透過度や二酸化炭素透過度、透湿度が非常に低く、気密性が高かったものの、金属探知機によって金属が検出されるため、内容物を十分に検査できない、という問題があった(比較例4)。
本発明のパッキンによれば、容器の内容物の品質を、長期間に亘って維持可能である。また、パッキンに金属が含まれないため、金属探知機によって、内容物の検査を十分に行うことができる。したがって、本発明のパッキンは、食品や飲料、化粧品、医薬品等の保存容器に適用可能である。
1 ポリエステル層
2 バリア層
10 バリアフィルム
100 パッキン

Claims (8)

  1. 容器本体の開口部を密閉するための蓋体の内部に具備されるパッキンであって、
    ポリエステル層及びバリア層が積層されたバリアフィルムと、
    前記バリアフィルムの前記バリア層と積層された、融点105℃以上のポリオレフィンを含む樹脂発泡体層と、を有し、
    前記バリア層は、重合度が20未満である不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩の重合体を含み、赤外線吸収スペクトルにおける1700cm−1付近のカルボン酸基のνC=Oに基づく吸光度Aと、1520cm−1付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Aとの比(A/A)が0.10以下である、パッキン。
  2. 前記樹脂発泡体層は、エチレン単独重合体、またはエチレンと炭素数3〜20のオレフィンとの共重合体を含む、請求項1に記載のパッキン。
  3. 前記樹脂発泡体層の10MPaでの圧縮率が、80%以下である、請求項1または2に記載のパッキン。
  4. 前記樹脂発泡体層が含む前記ポリオレフィンのショアA硬度は60〜95である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパッキン。
  5. 前記バリアフィルムの前記バリア層と前記樹脂発泡体層との間に、接着層を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパッキン。
  6. 前記接着層は、ポリオレフィンを含む、請求項5に記載のパッキン。
  7. 厚みが0.5〜5mmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のパッキン。
  8. 容器本体と、蓋体とを含む食品用容器であって、
    前記蓋体の内部に、請求項1〜7のいずれか一項に記載のパッキンを具備する、食品用容器。

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