JP2022034746A - ガスバリア積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】加工適正がよく、シワになりにくいガスバリア積層体の提供。【解決手段】ポリエチレンを含む基材層1と、バリア層2とを備え、ポリエチレンを含む基材層1のバリア層2とは反対側の面の算術平均粗さaが3μm以上である、ガスバリア積層体。バリア層2は、ポリエチレンを含む基材層1側から、下引層3と、無機蒸着層4と、ガスバリア被膜層5と、をこの順で備える。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア積層体に関する。
従来、ガスバリア積層体としては、ベースフィルムとして耐熱性及び強靭性に優れた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと、シーラント層と、を備える積層体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2017-178357号公報
ところで近年、海洋プラスチックごみ問題等に端を発する環境意識の高まりから、プラスチック材料の分別回収と再資源化の更なる高効率化が求められるようになってきている。すなわち、従来、様々な異種材料を組み合わせることで高性能化を図ってきた包装用の積層体においても、モノマテリアル化が求められるようになってきた。
積層体においてモノマテリアル化を実現するためには、構成するフィルムを同一素材とする必要がある。例えばポリオレフィンフィルムの一種であるポリエチレンフィルムは、包装材料として広く用いられているため、ポリエチレンフィルムでのモノマテリアル化が期待されている。しかしながら、ポリエチレンフィルムの基本物性として、融点が低く、低温でもフィルムが伸びやすく、変形しやすいという特徴がある。そのため、ポリエチレンフィルムに対して蒸着等の方法によってバリア層を形成し、高いガスバリア性を付与する工程において、ポリエチレンフィルムにテンションをかけて巻き取る際に、ロール搬送性が悪くなり、フィルムにシワが生じ、後加工において、適切に加工できないという問題がたびたび起こり得る。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、モノマテリアル化の実現に有用であり、加工適正がよく、シワになりにくいガスバリア積層体を提供することを目的とする。
本発明は、ポリエチレンを含む基材層と、バリア層とを備え、前記ポリエチレンを含む基材層の前記バリア層とは反対側の面の算術平均粗さaが3μm以上である、ガスバリア積層体を提供する。このようなガスバリア積層体であれば、ロール加工を行う際にフィルム搬送性がよく、シワが入りにくい。
ポリエチレンを含む基材層のバリア層と接する面の算術平均粗さをbとした場合、a/bが3以上であってよい。
ポリエチレンを含む基材層は、未延伸ポリエチレンを含んでいてよい。
バリア層は、ガスバリア被膜層を含んでいてよく、無機蒸着層を含んでいてもよい。
バリア層は、ポリエチレンを含む基材層側から、下引層と、無機蒸着層と、ガスバリア被膜層と、をこの順で備えていてもよい。
本発明は、加工適正がよく、シワになりにくいガスバリア積層体を提供することができる。
一実施形態に係るガスバリア積層体を示す模式断面図である。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
<ガスバリア積層体>
図1は、一実施形態に係るガスバリア積層体を示す模式断面図である。図1に示すガスバリア積層体10は、基材層1及びバリア層2を備える。基材層1はポリエチレンを含み、基材層のバリア層とは反対側の面の算術平均粗さaは3μm以上である。
[基材層]
基材層1は、支持体となるフィルムであり、ポリエチレンを含む。基材層1中のポリエチレンの含有量は、基材層1全量を基準として50質量%以上であってよく、80質量%以上であってよく、100質量%であってよい。基材層1は、ポリエチレンフィルムを含んでいてもよく、ポリエチレンフィルムからなるものであってよい。また、ポリエチレンとしては、ポリエチレンを、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステル等を用いてグラフト変性して得られる酸変性ポリエチレン等を用いてもよい。
基材層1に含まれるポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)であることが好ましい。基材層1に含まれるポリエチレンがHDPEであると、耐熱性に優れ、他のポリエチレンと比較して伸びにくく、シワが入ることを抑制しやすいため好ましい。基材層1に含まれるポリエチレンの密度は、例えば0.94g/cm以上であってよく、0.95g/cm以上であってよい。
基材層1に含まれるポリエチレンは、延伸であっても未延伸であってもよいが、未延伸であることが好ましい。未延伸ポリエチレンを含む基材層であると、包材としての剛性が確保でき、落袋や破袋を防ぎやすくなる。
基材層1のバリア層2とは反対側の面の算術平均粗さaは3μm以上である。算術平均粗さaが3μm以上であると、ポリエチレンフィルムにテンションをかけて巻き取る際に、ロール搬送性に優れるため、フィルムにシワが生じるのを抑制することができる。このような観点から、基材層1のバリア層2とは反対側の面の算術平均粗さaは、4μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。算術平均粗さaの上限は特に制限されず、例えば10μm以下であってよい。
基材層1のバリア層2と接する面の算術平均粗さをbとした場合、a/bが3以上であることが好ましい。a/bが3以上であると、バリア性を損なうことなくバリア層2を積層しやすくなる。このような観点から、a/bは、3.5以上であることがより好ましく、4以上であることが更に好ましい。a/bの上限は特に制限されず、例えば100以下であってよい。なお、本明細書において算術平均粗さは、光干渉式表面測定機を用いて、表面及び/又は裏面をそれぞれ3回測定し、3回の測定で最も値が大きい最大突起高さ(μm)をそのフィルムの算術平均粗さとした。
なお、基材層1の構成は、例えば、該基材層1を構成するフィルムの加工適正、剛性や腰強度、耐熱性、搬送時の粉落ちなどを考慮して、適宜多層化することもできる。基材層1の構成は、例えば、密度の異なるポリエチレンをそれぞれ含む複数の層(フィルム)を備える多層構成であってもよい。基材層1を構成するフィルムは、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどを適宜選択することができる。基材層1として基材の密度を測定した場合、密度は0.94g/cm以上であることが好ましい。また、スリップ剤や帯電防止剤などを含む場合、それらの含有量を各層で変えて積層してもよい。複数の層を備える基材層1は、押出コーティングや共押出コーティング、シート成形、共押出ブロー成型などにより積層してフィルム化することができる。
基材層1の厚さは、厚みが例えば10~100μmであってよく、15~50μmであってよい。
基材層1には、その積層面に、バリア性能を損なわない範囲でコロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理などの各種前処理を施したり、易接着層などのコート層を設けても構わない。
[バリア層]
バリア層2は、ガスバリア積層体にガスバリア性を付与することができる層であり、例えばガスバリア被膜層や、無機蒸着層等を含んでいてもよい。バリア層2は、図1に示すように、基材層1側から、下引層3、無機蒸着層4、ガスバリア被膜層5をこの順で備えていてもよい。バリア層2の酸素透過度は、20cc/m・day・atm以下であることが好ましく、10cc/m・day・atmであることがより好ましく、5cc/m・day・atm以下であることが更に好ましく、2cc/m・day・atm以下であることが特に好ましい。酸素透過度が上記範囲内であることで、ガスバリア積層体のガスバリア性を十分に確保することができる。
(下引層)
下引層(アンカーコート層)3は、基材層1と無機蒸着層4との密着性能向上、基材層1表面の平滑性向上、及び、基材層1の伸びに起因した無機蒸着層4の割れの発生の抑制といった効果を奏することができる。なお、平滑性が向上することで、無機蒸着層4を欠陥なく均一に成膜しやすくなり、高いバリア性を発現しやすい。下引層3は、下引層形成用組成物(アンカーコート剤)を用いて形成することができる。
アンカーコート剤としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂等が挙げられる。アンカーコート剤としては、耐熱性及び層間接着強度の観点から、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
下引層3の厚さは特に制限されないが、例えば、0.01~5μmの範囲であることが好ましく、0.03~3μmの範囲であることがより好ましく、0.05~2μmの範囲であることが更に好ましい。下引層3の厚さが上記下限値以上であると、より十分な層間接着強度が得られる傾向にあり、他方、上記上限値以下であると、所望のガスバリア性が発現しやすい。
下引層3を基材層1上に塗工する方法としては、公知の塗工方法が特に制限なく使用可能であり、浸漬法(ディッピング法);スプレー、コーター、印刷機、刷毛等を用いる方法が挙げられる。また、これらの方法に用いられるコーター及び印刷機の種類並びにそれらの塗工方式としては、ダイレクトグラビア方式、リバースグラビア方式、キスリバースグラビア方式、オフセットグラビア方式等のグラビアコーター、リバースロールコーター、マイクログラビアコーター、チャンバードクター併用コーター、エアナイフコーター、ディップコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター等を挙げることができる。
下引層3の塗布量としては、アンカーコート剤を塗工して乾燥した後の1mあたりの質量が0.01~5g/mであることが好ましく、0.03~3g/mであることがより好ましい。アンカーコート剤を塗工して乾燥した後の1mあたりの質量が上記下限以上であると、成膜が十分となる傾向にあり、他方、上記上限以下であると、十分に乾燥しやすく溶剤が残留しにくい傾向にある。
下引層3を乾燥させる方法としては、特に制限はないが、自然乾燥による方法や、所定の温度に設定したオーブン中で乾燥させる方法、上記コーター付属の乾燥機、例えばアーチドライヤー、フローティングドライヤー、ドラムドライヤー、赤外線ドライヤー等を用いる方法を挙げることができる。さらに、乾燥の条件としては、乾燥させる方法により適宜選択することができ、例えばオーブン中で乾燥させる方法においては、温度60~100℃にて、1秒間から2分間程度乾燥することが好ましい。
下引層3として、上述した樹脂に代えて、ポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ビニルエステル単位がケン化されてなるビニルアルコール単位を有するものであればよく、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)が挙げられる。
PVAとしては、例えば、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等のビニルエステルを、単独で重合し、次いでケン化した樹脂が挙げられる。PVAは、共重合変性又は後変性された変性PVAであってもよい。変性PVAは、例えばビニルエステルと、ビニルエステルと共重合可能な不飽和モノマーを共重合された後にケン化することで得られる。ビニルエステルと共重合可能な不飽和モノマーとしては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のオレフィン;3-ブテン-1-オール、4-ペンチン-1-オール、5-ヘキセン-1-オール等のヒドロキシ基含有α-オレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル;ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸;アルキルビニルエーテル、ジメチルアリルビニルケトン、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2-ジアルキル―4-ビニル-1,3-ジオキシラン、グリセリンモノアリルエーテル、3,4-ジアセトキシ-1-ブテン等のビニル化合物;塩化ビニリデン、1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、ビニレンカーボネート等が挙げられる。
PVAの重合度は、300~3000が好ましい。重合度が300より小さいとバリア性が低下しやすく、また3000超であると粘度が高すぎて塗工適性が低下しやすい。PVAのケン化度は90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、99モル%以上が更に好ましい。また、PVAのケン化度は100モル%以下であっても、99.9モル%以下であってもよい。PVAの重合度及びケン化度は、JIS K 6726(1994)に記載の方法に準拠して測定できる。
EVOHは、一般にエチレンと、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等の酸ビニルエステルとの共重合体をケン化して得られる。
EVOHの重合度は300~3000が好ましい。重合度が300より小さいとバリア性が低下しやすく、また3000超であると粘度が高すぎて塗工適性が低下しやすい。EVOHのビニルエステル成分のケン化度は90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、99モル%以上が更に好ましい。また、EVOHのケン化度は100モル%以下であっても、99.9モル%以下であってもよい。EVOHのケン化度は、核磁気共鳴(H-NMR)測定を行い、ビニルエステル構造に含まれる水素原子のピーク面積と、ビニルアルコール構造に含まれる水素原子のビーク面積とから求められる。
EVOHのエチレン単位含有量は好ましくは10モル%以上であり、15モル%以上がより好ましく、20モル%以上が更に好ましく、25モル%以上が特に好ましい。また、EVOHのエチレン単位含有量は65モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。エチレン単位含有量が10モル%以上であると、高湿度下におけるガスバリア性或いは寸法安定性を良好に保つことができる。一方、エチレン単位含有量が65モル%以下であると、ガスバリア性を高めることができる。EVOHのエチレン単位含有量は、NMR法により求めることができる。
下引層3としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、下引層3の形成方法としては、ポリビニルアルコール系樹脂溶液を用いた塗布や、多層押出等が挙げられる。
(無機蒸着層)
無機蒸着層4の構成材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化錫等の無機酸化物が挙げられる。透明性及びバリア性の観点から、無機酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及び酸化マグネシウムからなる群より選択されてよい。また、加工時に引張延伸性に優れる観点から、無機蒸着層4を酸化ケイ素を用いた層とすることが好ましい。無機蒸着層4を用いることにより、ガスバリア積層体のリサイクル性に影響を与えない範囲のごく薄い層で、高いバリア性を得ることができる。
無機蒸着層4のO/Si比は1.7以上であることが望ましい。O/Si比が1.7以上であると金属Siの含有割合が抑制されて良好な透明性が得られやすい。また、O/Si比は2.0以下であることが好ましい。O/Si比が2.0以下であるとSiOの結晶性が高くなって無機蒸着層が硬くなりすぎることを防ぐことができ、良好な引張り耐性が得られる。これにより、ガスバリア被膜層5を積層する際に無機蒸着層4にクラックが発生することを抑制することができる。また、包装袋に成形後もボイル処理時の熱により基材層1が収縮することがあるが、O/Si比が2.0以下であることで無機蒸着層が上記収縮に追従しやすく、バリア性の低下を抑制することができる。これらの効果をより十分に得る観点から、無機蒸着層4のO/Si比は1.75以上1.9以下であることが好ましく、1.8以上1.85以下であることがより好ましい。
無機蒸着層4のO/Si比は、X線光電子分光法(XPS)により求めることができる。例えば、測定装置はX線光電子分光分析装置(日本電子株式会社製、商品名:JPS-90MXV)にて、X線源は非単色化MgKα(1253.6eV)を使用し、100W(10kV-10mA)のX線出力で測定することができる。O/Si比を求めるための定量分析には、それぞれO1sで2.28、Si2pで0.9の相対感度因子を用いることができる。
無機蒸着層4の膜厚は、10nm以上50nm以下であることが好ましい。膜厚が10nm以上であると、十分なガスバリア性を得ることができる。また、膜厚が50nm以下であると、薄膜の内部応力による変形によりクラックが発生することを抑制し、ガスバリア性の低下を抑制することができる。なお、膜厚が50nmを超えると、材料使用量の増加、及び膜形成時間の長時間化等に起因してコストが増加しやすいため、経済的観点からも好ましくない。上記と同様の観点から、無機蒸着層の膜厚は、20nm以上40nm以下であることがより好ましい。
無機蒸着層4は、例えば真空成膜で形成することができる。真空成膜では、物理気相成長法或いは化学気相成長法を用いることができる。物理気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。化学気相成長法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上記真空成膜では、抵抗加熱式真空蒸着法、EB(Electron Beam)加熱式真空蒸着法、誘導加熱式真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタリング法、プラズマ化学気相堆積法(PECVD法)等が特に好ましく用いられる。ただし、生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては、電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方法を用いることが好ましい。
(ガスバリア被膜層)
ガスバリア被膜層5は、無機蒸着層4を保護し、屈曲時の無機酸化物層の割れを防ぐ効果を奏する。
また、ガスバリア被膜層5は、ガスバリア性を有する層である。ガスバリア被膜層を設けることで、ガスバリア積層体のガスバリア性を向上させることができる。
ガスバリア被膜層5は、水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシド、シランカップリング剤、及び、それらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種を行くむ水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするガスバリア被膜層形成用組成物(以下、コーティング剤ともいう)を用いて形成されてもよい。
水酸基含有高分子化合物としては、具体的には、エチレンビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルキン酸ナトリウム等の水溶性高分子が挙げられるが、特にポリビニルアルコール(PVA)はバリア性に優れ、好ましい。
金属アルコキシドは、下記一般式(1)で表される金属アルコキシド及びその加水分解物、又は重合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む組成物から形成されることが好ましい。
M(OR(Rn-m・・・(1)
上記一般式(1)中R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~8の1価の有機基であり、メチル基、エチル基等のアルキル基であることが好ましい。MはSi、Ti、Al、Zr等のn価の金属原子を示す。mは1~nの整数である。なお、R又はRが複数存在する場合、R同士又はR同士は同一でも異なっていてもよい。
金属アルコキシドとしては、具体的には、テトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O-2’-C〕等が挙げられる。金属アルコキシドは、加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であることから、テトラエトキシシラン又はトリイソプロポキシアルミニウムであることが好ましい。金属アルコキシドの加水分解物としては、例えば、テトラエトキシシランの加水分解物であるケイ酸(Si(OH))、及びトリプロポキシアルミニウムの加水分解物である水酸化アルミニウム(Al(OH))等が挙げられる。これらは1種を単独で又は複数種を組み合わせて使用することができる。
シランカップリング剤としては、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Si(OR11(R123-p13・・・(2)
上記一般式(2)中、R11はメチル基、エチル基等のアルキル基を示し、R12はアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基、アクリロキシ基で置換されたアルキル基、又は、メタクリロキシ基で置換されたアルキル基等の1価の有機基を示し、R13は1価の有機官能基を示し、pは1~3の整数を示す。なお、R11又はR12が複数存在する場合、R11同士又はR12同士は同一でも異なっていてもよい。R13で示される1価の有機官能基としては、グリシジルオキシ基、エポキシ基、メルカプト基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、又は、イソシアネート基を含有する1価の有機官能基が挙げられる。
シランカップリング剤として具体的には、ビニルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
また、シランカップリング剤は、上記一般式(2)で表される化合物が重合した多量体であってもよい。多量体としては三量体が好ましく、より好ましくは、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートである。これは、3-イソシアネートアルキルアルコキシシランの縮重合体である。この1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、イソシア部には化学反応性はなくなるが、ヌレート部の極性により反応性は確保されることが知られている。一般的には、3-イソシアネートアルキルアルコキシシランと同様に接着剤などに添加され、接着性向上剤として知られている。よって1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートを、水酸基含有高分子化合物に添加することにより、水素結合によりガスバリア被膜層5の耐水性を向上させることができる。3-イソシアネートアルキルアルコキシシランは反応性が高く、液安定性が低いのに対し、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、ヌレート部はその極性により水溶性ではないが、水系溶液中に分散しやすく、液粘度を安定に保つことができる。また、耐水性能は3-イソシアネートアルキルアルコキシシランと1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートとは同等である。
1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、3-イソシアネートプロピルアルコキシシランの熱縮合により製造されるものであり、原料の3-イソシアネートプロピルアルコキシシランが含まれる場合もあるが、特に問題はない。更に好ましくは、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレートであり、より好ましくは1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートである。このメトキシ基は加水分解速度が速く、またプロピル基を含むものは比較的安価に入手し得る事から1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートは実用上有利である。
また、コーティング剤には、ガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、或いは、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤等の公知の添加剤を添加してもよい。
コーティング剤には、水膨潤性雲母を含んでもよい。雲母は、極薄の単位結晶層が重なった1つの層状粒子を形成している無機層状鉱物の一種である。雲母には、天然雲母、合成雲母が含まれる。例えば、白雲母、金雲母、黒雲母、カリウム金雲母、カリウム四ケイ素雲母、カリウムテニオライト、カリウム・フッ素四ケイ素雲母ナトリウム、・フッ素四ケイ素雲母、ナトリウム金雲母、ナトリウム四ケイ素雲母、ナトリウムヘクトライトなどが挙げられる。これらのうち一種類のマイカを使用してもよく、2油以上の異なるマイカを組み合わせて使用してもよい。
雲母としては、水中で膨潤・へき開するものが好ましく、これらの中でも、特に水への膨潤性を有する水膨潤性雲母が好ましく用いられる。より具体的には、極薄の単位結晶層間に水を配位し、吸収・膨潤する性質を有する合成雲母であり、一般には、Si4+がO2-に対して配位して四面体構造を構成する層と、Al3+、Mg2+、Fe2+、及びFe3+などが、O2-及びOHに対して配位して八面体構造を構成する層とが、1対1或いは2対1で結合し、積み重なって層状構造を形成する化合物である。例えば、ナトリウム・フッ素四ケイ素雲母が好ましい。
水膨潤性雲母を含む場合、コーティング剤には、水酸基含有高分子化合物が含まれていることが好ましい。ガスバリア被膜層5の全質量を100質量部とすると、水膨潤性雲母の含有量は、例えば20質量部~50質量部で示された近似範囲内であってよい。なお、この場合のガスバリア被膜層5は、固形分として水酸基含有高分子化合物及び水膨潤性雲母を含む塗液を使用して形成することができる。この塗液の全固形分のうち、水膨潤性雲母の固形分比率は、例えば20質量%~50質量%で示された近似範囲内とすればよい。
水膨潤性雲母の面積平均径は、例えば、0.5μm~5μmで示された近似範囲内であり、1.5μm~2.5μmで示された近似範囲内であってもよい。水膨潤性雲母のアスペクト比は、例えば、10以上200以下で示された近似範囲内である。
ガスバリア被膜層5の厚さは、50~1000nmであることが好ましく、100~500nmであることがより好ましい。ガスバリア被膜層5の厚さが50nm以上であると、より十分なガスバリア性を得ることができる傾向があり、1000nm以下であると、十分な柔軟性を保持できる傾向がある。
ガスバリア被膜層5を形成するためのコーティング剤は、例えば、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等により塗布することができる。このコーティング剤を塗布してなる塗膜は、例えば、熱風乾燥法、熱ロール乾燥法、高周波照射法、赤外線照射法、UV照射法、またはそれらの組み合わせにより乾燥させることができる。塗膜の感想は、高速加工性を考慮すると、熱風乾燥法により行うことが最も好ましい。
上記塗膜を乾燥させる際の温度及び張力は、例えば、塗膜表面の温度30~120℃、張力10~100N/mとすることができ、塗膜表面の温度40~70℃、張力10~70N/mとすることが好ましい。乾燥時の塗膜表面の温度及び張力を上記範囲内とすることで、無機蒸着層4やガスバリア被膜層5にクラックが発生することをより一層抑制でき、優れたバリア性を発現することができる。
高速加工によりガスバリア被膜層5を形成する場合、上記塗膜を乾燥させる際の温度及び張力は、例えば、オーブン温度50~180℃、張力10~100N/mとすることができ、オーブン温度70~150℃、張力10~70N/mとすることが好ましい。乾燥時のオーブン温度及び張力を上記範囲内とすることで、500mm以上の広幅で、100m/min以上の高速加工において、無機蒸着層4やガスバリア被膜層5にクラックが発生することをより一層抑制でき、優れたバリア性を発現することができる。
ガスバリア被膜層5と無機蒸着層4とは、無機蒸着層4の割れ防止の観点から、直接接している(間に他の層が介在していない)ことが好ましい。そのため、ガスバリア被膜層5は、上記接着剤を無機蒸着層4上に塗布し、乾燥及び硬化させて形成することが好ましい。同様に、無機蒸着層4と下引層3とは、無機蒸着層4の割れ防止の観点から、直接接している(間に他の層が介在していない)ことが好ましい。
本実施形態に係るガスバリア積層体は、バリア層上にシーラント層や印刷層を備えてもよい。
シーラント層は、ガスバリア積層体においてヒートシールによる封止性を付与する層である。シーラント層はポリオレフィンを含んでいてもよく、ポリオレフィンはポリエチレンであってよい。
シーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直施錠低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。これらの熱可塑性樹脂は、使用用途やボイル処理などの温度条件によって適宜選択できる。
シーラント層は、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤が添加されてよい。
シーラント層の厚さは、内容物の質量や、包装体の形状などにより定められるが、概ね30~150μmの厚さが好ましい。
シーラント層の形成方法としては、上述の熱可塑性樹脂からなるフィルム上のシーラント層を、上述したガスバリア被膜層5を形成するための接着剤で貼り合わせる方法、一液硬化型若しくは二液硬化型ウレタン系接着剤等の接着剤で貼り合わせるドライラミネート法、フィルム上のシーラント層を無溶剤接着剤を用いて貼り合わせるノンソルベントドライラミネート法、上述した熱可塑性樹脂を加熱溶融させ、カーテン状に押し出し、貼り合わせるエクストルージョンラミネート法等、いずれも公知の積層方法により形成することができる。
印刷層は、内容物に関する情報の表示、内容物の識別、或いは包装袋の意匠性向上を目的として、ガスバリア積層体の外側から見える位置に設けられる。印刷方法及び印刷インキは特に限定されず、既知の印刷方法及び印刷インキの中からフィルムへの印刷適性、色調などの意匠性、密着性、食品容器としての安全性などを考慮して適宜選択される。印刷方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法などを用いることができる。中でもグラビア印刷法は生産性や絵柄の高精細度の観点から、好ましく用いることができる。
印刷層の密着性を高めるため、印刷層を形成する層の表面にはコロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理などの各種前処理を施したり、易接着層などのコート層を設けても構わない。
上述のとおり、本実施形態に係るガスバリア積層体を構成するフィルムは、リサイクル性に優れる単一素材からなる(モノマテリアルの)包装材料とすることができる。ガスバリア積層体は、容器や袋等の包装製品、化粧シートやトレー等のシート成形品、光学フィルム、樹脂板、各種ラベル材料、蓋材、及び、ラミネートチューブ当の各種用途に好適に使用することができ、特に、包装製品に好適に使用することができる。包装製品としては、ピロー袋、スタンディングパウチ、3方シール袋、4方シール袋等が挙げられる。
<包装袋>
包装袋は、上述したガスバリア積層体を製袋してなるものである。包装袋は、1枚のガスバリア積層体をシーラント層が対向するように二つ折りにした後、3方をヒートシールすることによって袋形状としたものであってもよく、2枚のガスバリア積層体をシーラント層が対向するように重ねた後、4方をヒートシールすることによって袋形状としたものであってもよい。包装袋は、内容物として食品、医薬品等の内容物を収容することができる。包装袋は、ボイル処理などの加熱殺菌処理を施すことができる。
ボイル処理は、食品、医薬品等を保存するため湿熱殺菌する方法である。通常は、内容物にもよるが、食品等を包装した包装袋を60~100℃、大気圧下で、10~120分の条件で湿熱殺菌処理を行う。ボイル処理は、通常、熱水槽を用いて100℃以下で処理を行う。方法としては、一定温度の熱水槽の中に浸漬し一定時間処理した後に取り出すバッチ式と、熱水槽の中をトンネル式に通して処理する連続式がある。本実施形態の包装袋は、ボイル処理を施す用途にも好適に用いることができる。
また、包装袋は、スタンディングパウチ等の屈曲部(折り曲げ部)を有する形状であってもよい。本実施形態の包装袋は、屈曲部を有する形状であっても高いガスバリア性を維持することができる。
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
[基材層]
基材A:GAP(Charter NEX社製、厚さ:32μm、未延伸HDPE)
基材B:SMUQ(東京インキ株式会社製、厚さ:25μm、延伸HDPE)
基材C:UB-3(タマポリ株式会社製、厚さ:40μm、未延伸MDPE)
基材D:JINDAL(JINDAL社製、厚さ:25μm、延伸HDPE)
<基材層の算術平均粗さの測定>
光干渉式表面測定機(菱化システム株式会社製、Vertscan R3300h Lite)を用いて、対物レンズ5倍を用いて、表面及び裏面をそれぞれ3回測定し、3回の測定で最も値が大きい最大突起高さ(μm)をそのフィルムの突起高さ(算術平均粗さ)とした。
[下引層形成用組成物の調製]
アクリルポリオールとトリレンジイソシアネートとを、アクリルポリオールのOH基の数に対してトリレンジイソシアネートのNCO基の数が等量となるように混合し、全固形分(アクリルポリオール及びトリレンジイソシアネートの合計量)が5質量%になるよう酢酸エチルで希釈した。希釈後の混合液に、更にβ-(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランを、アクリルポリオール及びトリレンジイソシアネートの合計量100質量部に対して5質量部となるように添加し、これらを混合することで下引層形成用組成物(アンカーコート剤)を調製した。
[ガスバリア被膜層形成用組成物(コーティング剤)の調製]
ガスバリア被膜層形成用組成物A:
下記のA液、B液及びC液を、質量比70/20/10で混合することで、ガスバリア被膜層Aを調製した。
A液:テトラエトキシシラン(Si(OC)17.9gとメタノール10gに0.1N塩酸72.1gを加えて30分間撹拌して加水分解させた固形分5質量%(SiO2換算)の加水分解溶液。
B液:ポリビニルアルコールの5質量%水/メタノール溶液(水:メタノールの質量比は95:5)
C液:1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレートを水/イソプロピルアルコールの混合液(水:イソプロピルアルコールの質量比は1:1)で固形分5質量%に希釈した加水分解溶液。
ガスバリア被膜層形成用組成物B:
ポリウレタン樹脂と5%PVA水溶液とシランカップリング剤の固形分比が60:35:5となるように混合し、液の固形分濃度が5%となる様に、水とイソプロパノールで希釈し、ガスバリア被膜層形成用組成物Bを調製した。このとき、イソプロパノールは、ガスバリア被膜層形成用組成物B全体の10%とした。
ガスバリア被膜層形成用組成物C:
水酸基含有高分子化合物として、ポリビニルアルコール樹脂(PVA、Selvol-325(ケン化度:98~99%、重合度1700)、Sekisui Specialty Chemicals America,LLC.社製)を用いた。ポリビニルアルコール樹脂及び水を混合して、95℃に加熱し、ポリビニルアルコール樹脂を水に溶解した。この混合物を室温まで冷却した後、最終的な固形分濃度が5質量%となるように、水及びイソプロパノール(質量比は1:1)で希釈し、成分(A)を調製した。
水膨潤性雲母として、水膨潤性合成雲母(ソマシフ MEB-3、コープアグリ社製)を用いた。面積粒径が2μmとなるように、ビーズミルを用いて水膨潤性合成雲母を処理した。その後、最終的な固形分濃度が8質量%となるように水を混合し、成分(B)を調製した。
成分(A)及び(B)を、最終的なガスバリア被膜層における水膨潤性合成雲母の含有量が15質量%となるように、水及びメタノール(質量比が1:1)で希釈し、ガスバリア被膜層形成用組成物Cを調製した。
(実施例1)
基材Aの最大突起高さの値の小さい面上に、上述した下引層形成用組成物をグラビアロールコート法にて塗工し、60℃で乾燥及び硬化させ、塗布量が0.1g/mである下引層を形成した。上記下引層上に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、厚さ30nmの酸化ケイ素からなる透明な無機蒸着層(シリカ蒸着膜)を形成した。シリカ蒸着膜としては、蒸着材料種を調製し、O/Siが1.8である蒸着膜を形成した。上記無機蒸着層上にガスバリア被膜層形成用組成物Aをグラビアロールコート法にて塗工し、オーブン中、張力20N/nで、且つ塗工した塗膜表面の温度が60℃になる条件で加熱乾燥させ、厚さ0.3μmのガスバリア被膜層を形成した。加熱乾燥は、ヒートラベル(ミクロン社製)を乾燥前の塗膜表面に貼り、乾燥後に温度を確認して任意の温度(本実施例では60℃)になるようにオーブン温度を調整して行った。これにより、基材層/下引層/無機蒸着層/ガスバリア被膜層の積層構造を有するガスバリア積層体を得た。
(実施例2)
ガスバリア被膜層形成用組成物Aの代わりにガスバリア被膜層形成用組成物Bを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ガスバリア積層体を得た。
(実施例3)
ガスバリア被膜層形成用組成物Aの代わりにガスバリア被膜層形成用組成物Cを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ガスバリア積層体を得た。
(実施例4)
ガスバリア被膜層を形成しない以外は実施例1と同様の操作を行い、ガスバリア積層体を得た。
(実施例5)
下引層上に無機蒸着層を形成しない以外は、実施例3と同様の操作を行い、ガスバリア積層体を得た。
(比較例1)
基材Aの代わりに基材Bを用い、最大突起高さの値の大きい方の面上に実施例1と同様に下引層、無機蒸着層及びガスバリア被膜層を形成し、ガスバリア積層体を得た。
(比較例2)
基材Aの代わりに基材Cを用い、最大突起高さの値の小さい方の面上に実施例1と同様に下引層、無機蒸着層及びガスバリア被膜層を形成し、ガスバリア積層体Gを得た。
(比較例3)
基材Aの代わりに基材Dを用い、最大突起高さの値の小さい方の面上に実施例1と同様に下引層、無機蒸着層及びガスバリア被膜層を形成し、ガスバリア積層体Hを得た。
<加工適正の評価>
実施例1~5及び比較例1~3で作製したガスバリア積層体A~Hに対し、グラビアコーティング機によりロールツーロールで貼り合わせてラミネートを実施する際、問題なくラミネートできたものは「〇」、巻取りにシワが入り、巻取形が変形したものは「×」とした。結果を表1に示す。
<酸素バリア性の評価>
加工適正がよかった実施例に係るガスバリア積層体の酸素バリア性をJIS K7126、B法(等圧法)により測定した。測定装置は、MOCON社製 OXTRAN 2/20を用い、温度30℃、相対湿度70%で測定した。結果を表1に示す(単位:cc/m・day・atm)。
<動摩擦係数>
加工適正がよかった実施例に係るガスバリア積層体における基材層の裏面側とバリア層の基材層とは反対側の面の動摩擦係数を、ガスバリア積層体をロール等で巻き取ることを想定して、以下の条件で測定した。動摩擦係数を表1に示す。
測定スピード:100mm/分
滑り片:63×63mm
滑り片質量:200g
動摩擦力:接触面間の相対ズレ運動を開始した後から60mmまでの平均荷重(N=3回)
動摩擦係数:動摩擦力を1.96で割った値
Figure 2022034746000002
1…基材層、2…バリア層、3…下引層、4…無機蒸着層、5…ガスバリア被膜層、10…ガスバリア積層体。

Claims (6)

  1. ポリエチレンを含む基材層と、バリア層とを備え、前記ポリエチレンを含む基材層の前記バリア層とは反対側の面の算術平均粗さaが3μm以上である、ガスバリア積層体。
  2. 前記ポリエチレンを含む基材層の前記バリア層と接する面の算術平均粗さをbとした場合、a/bが3以上である、請求項1に記載のガスバリア積層体。
  3. 前記ポリエチレンを含む基材層が、未延伸ポリエチレンを含む、請求項1又は2に記載のガスバリア積層体。
  4. 前記バリア層が、ガスバリア被膜層を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のガスバリア積層体。
  5. 前記バリア層が、無機蒸着層を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のガスバリア積層体。
  6. 前記バリア層が、前記ポリエチレンを含む基材層側から、下引層と、無機蒸着層と、ガスバリア被膜層と、をこの順で備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のガスバリア積層体。
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