JP7036266B1 - ガスバリアフィルム、積層体、および包装材料 - Google Patents

ガスバリアフィルム、積層体、および包装材料 Download PDF

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Abstract

【課題】基材とヒートシール層とが十分に密着し、かつリサイクルしやすい積層体を構成できるガスバリアフィルムを提供する。【解決手段】ガスバリアフィルム10は、ポリエチレンを主な樹脂成分とする基材11と、基材の第一面11a側に形成された無機酸化物層13とを備える。基材11の第一面11a側の結晶化度は35%以下であり、ガスバリアフィルム全体に占めるポリエチレンの割合は90質量%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリアフィルムに関する。このガスバリアフィルムを用いた積層体および包装材料についても言及する。
食品、医薬品等の包装に用いられる包装材料には、内容物の変質や腐敗等を抑制し、それらの機能や品質を維持するため、内容物を変性させる気体(水蒸気、酸素、その他)の進入を防ぐ性質、つまりガスバリア性が求められる。そのため、これらの包装材料には、ガスバリア性を有するフィルム材料(ガスバリアフィルム)が用いられる。
ガスバリアフィルムとしては、ガスバリア性を有する材料からなるガスバリア層を樹脂基材の表面に設けたものが知られている。ガスバリア層としては、金属箔や金属蒸着膜、ウェットコート法により形成された皮膜が知られている。皮膜としては、酸素バリア性を示すものとして、水溶性高分子、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂を含むコーティング剤から形成された樹脂膜や、水溶性高分子と無機層状鉱物とを含むコーティング剤から形成された無機層状鉱物複合樹脂膜が知られている(特許文献1)。さらに、ガスバリア層として、無機酸化物からなる蒸着薄膜層と、水性高分子と無機層状化合物及び金属アルコキシドを含むガスバリア性複合被膜を順次積層したガスバリア層(特許文献2)や、ポリカルボン酸系重合体のカルボキシ基と多価金属化合物との反応生成物であるカルボン酸の多価金属塩を含むガスバリア層(特許文献3)が提案されている。
近年、海洋プラスチックごみ問題等に端を発する環境意識の高まりから、プラスチック材料の分別回収と再資源化のさらなる高効率化が求められつつある。これまで様々な異種材料を組み合わせることで高性能化を図ってきた包装用の積層体においても例外でなく、モノマテリアル化が求められるようになってきた。
積層体においてモノマテリアル化を実現するためには、各層を構成するフィルムの樹脂材料を同一系統とする必要がある。例えばポリオレフィンの一種であるポリエチレンは、包装材料に広く使用されているため、ポリエチレンを使用した積層体のモノマテリアル化が期待されている。
モノマテリアル化を実現するために、例えば、特許文献4では、基材、ヒートシール層の少なくとも一方の面に蒸着層を備えるポリエチレン系フィルムを用いた積層体が提案されており、印刷適性、製袋適性の観点から延伸ポリエチレンが基材として開示されている。
特許第6191221号公報 特開2000-254994号公報 特許第4373797号公報 特開2020-055157号公報
本発明者らは、特許文献4に記載の積層体を包装袋やスタンディングパウチ等に適用した際に、積層体を構成する延伸ポリエチレン基材とヒートシール層である線状低密度ポリエチレンとの密着性が、包装する内容物によっては十分でない場合があることを見出した。密着性が不十分であると、積層体にデラミネーションを生じたり、包装材料が破れたりしたりする可能性がある。
発明者らは、モノマテリアル化された構成を保持しつつ、この問題を解決した。
上記事情を踏まえ、本発明は、基材とヒートシール層とが十分に密着し、かつリサイクルしやすい積層体を構成できるガスバリアフィルムを提供することを目的とする。
本発明の第一の態様は、樹脂成分としてポリエチレンのみを含有する基材と、基材の第一面側に形成された無機酸化物層とを備えるガスバリアフィルムである。
このガスバリアフィルムは、基材の第一面側の結晶化度が35%以下である。
ガスバリアフィルム全体に占めるポリエチレンの割合は90質量%以上である。
このガスバリアフィルムは、水膨潤性雲母を含む酸素バリア性被膜を備えない。
本発明の第二の態様は、第一の態様に係るガスバリアフィルムと、樹脂成分としてポリエチレンのみを含有し、無機酸化物層を基材との間に挟むようにガスバリアフィルムに接合されたヒートシール層とを備える積層体である。
積層体全体に占めるポリエチレンの割合は90質量%以上である。
本発明の第三の態様は、第二の態様に係る積層体を用いて形成された包装材料である。
本発明によれば、基材とヒートシール層とが十分に密着し、かつリサイクルしやすい積層体を構成できるガスバリアフィルムを提供できる。
本発明の一実施形態に係る積層体の模式断面図である。 実施例に係る積層体の模式断面図である。
以下、本発明の一実施形態について、図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る積層体1の模式断面図である。積層体1は、ガスバリアフィルム10と、ヒートシール層30とを備えている。本実施形態のガスバリアフィルム10は、本発明に係るガスバリアフィルムの一態様である。
ガスバリアフィルム10とヒートシール層30とは、接着層20により接合されている。
積層体1に占めるポリエチレンの割合は、90質量%以上である。これにより、積層体1は、リサイクル性の高いモノマテリアルとして構成されている。
ガスバリアフィルム10は、シート状の基材11と、基材11の第一面11aに順次形成された、下引き層12、無機酸化物層13、およびオーバーコート層14を備える。
ガスバリアフィルム10に占めるポリエチレンの割合は、90質量%以上である。これにより、ガスバリアフィルム10は、リサイクル性の高いモノマテリアルとして構成されている。
以下、ガスバリアフィルム10の各構成について説明する。
基材11は、ポリエチレン(PE)を含む。基材11は、単一の樹脂で構成された単層フィルム、複数の樹脂を用いた単層又は積層フィルムのいずれでもよい。また、上述の各種樹脂が他の基材(金属、木材、紙、セラミックス等)に積層されたものであってもよい。すなわち、基材11は、単層でもよく、2層以上であってもよい。
基材11は、未延伸フィルムであってもよく、一軸延伸又は二軸延伸等の延伸フィルムであってもよい。
基材11に含まれるPEの密度は、0.935以上であることが好ましく、0.940以上であることがより好ましい。PEの密度が上記範囲内であると、ロール加工中に基材11が伸びてシワが入ることを抑制しやすいと共に、無機酸化物層13に割れが生じることを抑制しやすい。
PEは、ホモポリマー、ランダムコポリマー及びブロックコポリマーから選ばれる少なくとも一種のポリマーであってもよい。ホモポリマーはポリエチレン単体のみからなるポリエチレンである。ランダムコポリマーは、主モノマーであるエチレンと、エチレンとは異なる少量のコモノマー(例えばα―オレフィン)がランダムに共重合し、均質な相をなすポリエチレンである。ブロックコポリマーは、主モノマーであるエチレンと上記コモノマー(例えばα―オレフィン)がブロック的に共重合したり、ゴム状に重合したりすることによって不均質な相を形成するポリエチレンである。
基材11は、密度の異なるPEをそれぞれ含む複数の層(フィルム)を備える多層構成であってもよい。基材11は、各層を構成するフィルムの加工適性、剛性や腰強度、耐熱性、搬送時の粉落ちなどを考慮して適宜多層化することが望ましい。基材11を構成するフィルムは、高密度ポリオレフィン、中密度ポリオレフィン、低密度ポリオレフィンなどを適宜選択して用いて作製することができる。この場合も、基材11全体として密度を測定したときの密度は0.935以上であることが好ましい。
基材11の各層はスリップ剤や帯電防止剤などを含有してもよく、それらの含有量または含有率が各層で異なってもよい。複数の層を備える基材11は、押出コーティングや共押出コーティング、シート成形、共押出ブロー成型などにより作製できる。
基材11の第一面11aは、下引き層12や無機酸化物層13との密着性を向上させるために、薬品処理、溶剤処理、コロナ処理、低温プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されてもよい。さらに、印刷基材と貼り合わせる目的で、第一面11aと反対側の第二面11bにも、同様の表面処理が施されてもよい。
基材11は、フィラー、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤等の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
基材11の厚さには特に制限はなく、包装材料としての適性や他の皮膜の積層適性を考慮しつつ、価格や用途によって適宜決定できる。基材11の厚みは、実用的には3μm~200μmが好ましく、5μm~120μmがより好ましく、6μm~100μmがさらに好ましく、10μm~40μmが特に好ましい。
(下引き層12)
下引き層12は、有機高分子を主成分として含有する層であり、プライマー層と呼ばれることもある。下引き層を設けることによって、無機酸化物層13の成膜性や密着強度を向上させることができる。
下引き層12における有機高分子の含有量は、例えば70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよい。有機高分子としては、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などを例示できる。基材11と無機酸化物層13との密着強度の耐熱水性を考慮すると、上記のうちポリアクリル系樹脂、ポリオール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、またはこれら有機高分子の反応生成物の少なくとも1つを下引き層12が含むことが好ましい。
下引き層12は、シランカップリング剤や有機チタネートまたは変性シリコーンオイル等を含んでもよい。
下引き層12に用いる有機高分子として、高分子末端に2つ以上のヒドロキシル基を有するポリオール類とイソシアネート化合物との反応により生成したウレタン結合を有する有機高分子や、高分子末端に2つ以上のヒドロキシル基を有するポリオール類とシランカップリング剤またはその加水分解物のような有機シラン化合物との反応生成物を含む有機高分子がさらに好ましい。これらは一方を用いてもよいし、両方を用いてもよい。
上記ポリオール類としては、例えば、アクリルポリオール、ポリビニルアセタール、ポリスチルポリオール、及びポリウレタンポリオール等から選択される少なくとも一種が挙げられる。アクリルポリオールは、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られるものであってもよく、アクリル酸誘導体モノマーとその他のモノマーとを共重合させて得られるものであってもよい。アクリル酸誘導体モノマーとしては、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、およびヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられる。アクリル酸誘導体モノマーと共重合させるモノマーとしては、スチレン等が挙げられる。
イソシアネート化合物は、ポリオールと反応して生じるウレタン結合により、基材11と無機酸化物層13との密着性を高める作用を有する。すなわち、イソシアネート化合物は、架橋剤又は硬化剤として機能する。イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、およびイソホロンジイソシアネート(IPDI)などのモノマー類、これらの重合体、およびこれらの誘導体が挙げられる。上述のイソシアネート化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、およびγ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。有機シラン化合物は、これらのシランカップリング剤の加水分解物であってもよい。有機シラン化合物は、上述のシランカップリング剤およびその加水分解物の1種を単独で用いてもよいし、又は2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
下引き層12は、有機溶媒中に上述の成分を任意の割合で配合した混合液を用いて形成することができる。混合液は、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等の硬化促進剤;フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の酸化防止剤;レベリング剤;流動調整剤;触媒;架橋反応促進剤;充填剤等を含有してもよい。
混合液は、オフセット印刷法、グラビア印刷法、又はシルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式、或いは、ロールコート、ナイフエッジコート、又はグラビアコートなどの周知の塗布方式を用いて基材11上に層状に配置できる。配置後、例えば50~200℃に加熱することによって、下引き層12を形成できる。
下引き層12の厚さに特に制限はなく、例えば、0.005~5μmとできる。厚さは、用途や求められる特性に応じて適宜決定できる。下引き層12の厚さは、0.01~1μmが好ましく、0.01~0.5μmがより好ましい。下引き層12の厚さが0.01μm以上であれば、基材11と無機酸化物層13との十分な密着強度が得られ、酸素バリア性も良好となる。下引き層12の厚みが1μm以下であれば、均一な塗工面を形成することが容易であり、乾燥負荷や製造コストを抑制できる。
(無機酸化物層13)
無機酸化物層13を構成する無機酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム等を例示できる。特に、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素は、生産性に優れ、かつ耐熱、耐湿熱での酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れることから好ましい。無機酸化物層13は、1種類の無機酸化物で形成されてもよいし、適宜選択した2種以上の無機酸化物で形成されてもよい。
無機酸化物層13の厚さは、1nm以上200nm以下とできる。厚さが1nm以上であれば、優れた酸素バリア性と水蒸気バリア性が得られる。厚さが200nm以下であれば、製造コストを低く抑えられるとともに、折り曲げや引っ張りなどの外力による亀裂が生じにくく、バリア性の劣化を抑えられる。
無機酸化物層13は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、またはプラズマ気相成長法(CVD)等の公知の成膜方法によって形成できる。
(オーバーコート層14)
ウェットコート法により形成される公知の酸素バリア性皮膜を、オーバーコート層14とできる。オーバーコート層は任意の構成であり、設けられなくてもよい。
オーバーコート層14は、基材11、下引き層12、および無機酸化物層13のいずれかの層の上にウェットコート法によりコーティング剤からなる塗膜を形成し、この塗膜を乾燥することにより得られる。なお、本明細書において、「塗膜」は湿潤膜を、「皮膜」は乾燥膜を、それぞれ意味する。
オーバーコート層14としては、金属アルコキシドおよびその加水分解物、もしくはその反応生成物の少なくとも1つと、水溶性高分子を含む皮膜(以下、「有機無機複合皮膜」と称することがある。)を含んでもよい。さらにシランカップリング剤及びその加水分解物の少なくとも一方をさらに含むことが好ましい。
有機無機複合皮膜に含まれる金属アルコキシド及びその加水分解物としては、例えば、テトラエトキシシラン[Si(OC]及びトリイソプロポキシアルミニウム[Al(OC]等の一般式M(OR)で表されるもの、ならびにその加水分解物が挙げられる。これらのうちの1種のみが含有されてもよいし、2種以上が適宜組み合わされて含有されてもよい。
有機無機複合皮膜における、金属アルコキシドおよびその加水分解物、もしくはその反応生成物の少なくとも1つの合計含有量は、例えば40~70質量%である。酸素透過度を一層低減する観点からは、上記合計含有量の下限は50質量%であってもよく、上記合計含有量の上限は65質量%であってもよい。
有機無機複合皮膜に含まれる水溶性高分子は、特に限定されず、例えばポリビニルアルコール系、デンプン・メチルセルロース・カルボキシメチルセルロース等の多糖類、及びアクリルポリオール系等の各種高分子を例示できる。酸素ガスバリア性を一層向上させる観点からは、ポリビニルアルコール系の高分子を含むことが好ましい。水溶性高分子の数平均分子量は、例えば、40000~180000である。
ポリビニルアルコール系の水溶性高分子は、例えばポリ酢酸ビニルをけん化(部分けん化も含む)して得ることができる。この水溶性高分子は、酢酸基が数十%残存しているものであってもよく、酢酸基が数%しか残存していないものであってもよい。
有機無機複合皮膜における、水溶性高分子の含有量は、例えば、15~50質量%である。水溶性高分子の含有量が20~45質量%であると、有機無機複合膜の酸素透過度をさらに低減でき、好ましい。
有機無機複合皮膜に含まれるシランカップリング剤及びその加水分解物としては、有機官能基を有するシランカップリング剤が挙げられる。そのようなシランカップリング剤及びその加水分解物としては、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプリピルメチルジメトキシシラン、およびこれらの加水分解物が挙げられる。これらのうちの1種のみが含有されてもよいし、2種以上が適宜組み合わされて含有されてもよい。
シランカップリング剤及びその加水分解物の少なくとも一方は、有機官能基として、エポキシ基を有するものを用いることが好ましい。エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、γ-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、及びβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。エポキシ基を有するシランカップリング剤及びその加水分解物は、ビニル基、アミノ基、メタクリル基又はウレイル基のように、エポキシ基とは異なる有機官能基を有していてもよい。
有機官能基を有するシランカップリング剤およびその加水分解物は、その有機官能基と水溶性高分子の水酸基との相互作用によって、オーバーコート層14の酸素バリア性と、下引き層12または無機酸化物層13との接着性を一層向上することができる。特に、シランカップリング剤及びその加水分解物のエポキシ基とポリビニルアルコールの水酸基とは、相互作用によって、酸素バリア性および接着性に特に優れるオーバーコート層14を構成できる。
有機無機複合皮膜における、シランカップリング剤およびその加水分解物、もしくはその反応生成物の少なくとも1つの合計含有量は、例えば1~15質量%である。シランカップリング剤およびその加水分解物、もしくはその反応生成物の少なくとも1つの合計含有量が2~12質量%であると、有機無機複合皮膜の酸素透過度をさらに低減でき、好ましい。
有機無機複合皮膜は、層状構造を有する結晶性の無機層状化合物を含んでもよい。無機層状化合物としては、例えば、カオリナイト族、スメクタイト族、又はマイカ族等に代表される粘土鉱物が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を適宜組み合わせて使用できる。無機層状化合物の粒径は、例えば0.1~10μmである。無機層状化合物のアスペスト比は、例えば50~5000である。
無機層状化合物としては、層状構造の層間に水溶性高分子が入り込むこと(インターカレーション)によって、優れた酸素バリア性と密着強度を有する皮膜を形成できることから、スメクタイト族の粘土鉱物が好ましい。スメクタイト族の粘土鉱物の具体例としては、モンモリロナイト、ヘクトライト、及びサポナイト、水膨潤性合成雲母等が挙げられる。
オーバーコート層14の厚みは、要求される酸素バリア性に応じて設定され、例えば0.05~5μmとでき、0.05~1μmが好ましく、0.1~0.5μmがより好ましい。オーバーコート層14の厚みが0.05μm以上であれば、充分な酸素バリア性が得られやすい。オーバーコート層14の厚みが1μm以下であれば、均一な塗工面を形成することが容易で、乾燥負荷や製造コストを抑制できる。
有機無機複合皮膜からなるオーバーコート層14は、ボイル処理やレトルト殺菌処理の後においても優れた酸素バリア性を示す。ガスバリアフィルム10にシーラントフィルムが接合された積層体1は、ボイル、レトルト処理用包装材料として十分な密着強度やシール強度を有し、さらに、金属箔や金属蒸着膜にはない透明さと、耐屈曲性や耐延伸性とを兼ね備える。さらに、ダイオキシン等の有害物質発生のリスクもない等の利点がある。
(接着層20)
公知のドライラミネート用接着剤を接着層20として使用できる。ドライラミネート用接着剤であれば特に制限なく使用できるが、具体例として、2液硬化型のエステル系接着剤やエーテル系接着剤、ウレタン系接着剤等が挙げられる。
硬化後にガスバリア性を発現するガスバリア性接着剤を接着層20に用いることもできる。ガスバリア性接着剤を使用することで、積層体1のガスバリア性を向上させることができる。ガスバリア性接着剤の酸素透過度は、150cc/m・day・atm以下であることが好ましく、100cc/m・day・atm以下であることがより好ましく、80cc/m・day・atm以下であることが更に好ましく、50cc/m・day・atm以下であることが特に好ましい。酸素透過度が上記範囲内であることで、積層体1のガスバリア性を十分に向上させることができると共に、無機酸化物層13やオーバーコート層14に軽微なクラック等が生じた場合であっても、その隙間にガスバリア性接着剤が入りこむことによりガスバリア性の低下を抑制することができる。
ガスバリア性接着剤としては、エポキシ系接着剤、ポリエステル・ポリウレタン系接着剤等が挙げられる。ガスバリア性接着剤の具体例としては、三菱ガス化学社製の「マクシーブ」、DIC社製の「Paslim」等が挙げられる。
接着層20がガスバリア性接着剤からなる場合、その厚さは、無機酸化物層13の厚さの50倍以上であることが好ましい。厚さが上記範囲内であることで、無機酸化物層13の割れをより十分に抑制することができ、かつ、積層体1のガスバリア性をより向上させることができる。さらに、外部からの衝撃を緩和するクッション性を接着層20に付与することができ、衝撃により無機酸化物層13が割れることを防ぐことができる。積層体1の柔軟性の保持、加工適性、およびコストの観点からは、厚さは無機酸化物層13の厚さの300倍以下であることが好ましい。
このような厚さを数値で表すと、例えば0.1~20μmであり、好ましくは0.5~10μmであり、より好ましくは1~5μmである。
接着層20を形成する接着剤は、例えば、バーコート法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等により塗布できる。接着剤の塗膜を乾燥させる際の温度は、例えば、30~200℃とでき、50~180℃が好ましい。上記塗膜を硬化させる際の温度は、例えば、室温~70℃とでき、30~60℃が好ましい。乾燥及び硬化時の温度を上記範囲内とすることで、無機酸化物層13や接着層20にクラックが発生することをより一層抑制でき、優れたガスバリア性を発現させることができる。
無機酸化物層13の割れ防止の観点からは、接着層20と無機酸化物層13とが直接接していることが好ましいが、接着層20と無機酸化物層13との間に他の層があってもよい。
(ヒートシール層30)
ヒートシール層30は、ポリオレフィンを含む層であり、積層体1を用いて包装袋等を製造する際にシーラントとして機能する。ポリオレフィンフィルムをヒートシール層30として使用できる。ポリエチレンフィルムをヒートシール層30として使用することにより、積層体1をモノマテリアル化できる。
ヒートシール層30に用いるポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。これらの熱可塑性樹脂は、使用用途やボイル処理などの温度条件によって適宜選択できる。
ヒートシール層30には、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加材が添加されてよい。
ヒートシール層30の厚さは、製造する包装袋の形状や、収容される内容物の質量等を考慮して適宜設定できるが、例えば30~150μmとできる。
ポリオレフィンフィルムを用いて、接着層20およびヒートシール層30を備えた積層体1を製造する場合は、一液硬化型もしくは二液硬化型ウレタン系接着剤等の接着剤で貼りあわせるドライラミネート法、無溶剤接着剤を用いて貼りあわせるノンソルベントドライラミネート法のいずれも適用できる。
他の方法として、熱可塑性樹脂を加熱溶融させ、カーテン状に押し出し、貼りあわせるエクストルージョンラミネート法等によりヒートシール層30を形成することもできる。この場合、接着層20が省略されてもよい。
以上が積層体1の基本的な構成である。積層体1において、無機酸化物層13は基材11とヒートシール層との間に位置している。
ガスバリアフィルム10は、単独でもガスバリア性が要求される各種包材に使用できるが、ガスバリアフィルム10にヒートシール層30を設けた積層体を1枚または複数枚準備し、ヒートシール層30どうしを対向させて周縁を熱融着すると、積層体1を用いた包装袋や、スタンディングパウチ等の各種包装材料を形成できる。
発明者らは、ポリエチレン基材とヒートシール層との密着性が十分でないケースについて種々検討した結果、基材の結晶化度により密着性が変化することを見出した。具体的には、基材の結晶化度が35%以下であると、ヒートシール層と良好に密着することが分かった。この知見を踏まえ、本実施形態の基材11の結晶化度は、35%以下とされている。
樹脂フィルムの結晶化度は、X線回折法(XRD)により測定できる。X線回折法のアウト・オブ・プレーン(Out-of-plane)測定で2θ/θスキャンさせて測定を行うことで、X線回折パターンが得られる。樹脂フィルムがポリエチレンフィルムの場合、回折角度10°~30°の範囲でスキャンを行うことが好ましい。この範囲でスキャンを行うと、PE(110)面とPE(200)面に対応する2つシャープな結晶ピークとブロードな非晶質ピーク(ハローピーク)が観測される。この3つのピークを分離解析し、結晶ピークと非晶質ピークの面積を算出すると、式(1)より結晶化度が求められる。
結晶化度=結晶ピーク面積/(結晶ピーク面積+非晶質ピーク面積)…(1)
樹脂フィルムの表面は平坦ではなく、測定面にずれが生じる可能性があることから、平行ビーム法を用いることが好ましい。
発明者らの検討では、結晶化度が35%以下であると、無機酸化物層13を設けた基材11とヒートシール層30との密着強度を十分確保できることが分かった。
本明細書において、「密着強度が十分である」とは、JIS K6854に準拠して測定した基材11とヒートシール層30とのラミネート強度が2N以上であることを意味する。後に実施例を用いて示すが、本実施形態に係る積層体1においては、基材11とヒートシール層30との密着強度が十分に確保されている。
結晶化度は、樹脂フィルムの配向度と一定の相関を示し、未延伸フィルムで値が小さくなる傾向を示すが、ごく一部の二軸延伸フィルムの結晶化度も上記数値範囲内である場合がある。すなわち、結晶化度は、樹脂フィルムの一般的な延伸、未延伸の区別とは独立したパラメータであり、ヒートシール層30との密着強度との関係は、発明者らによって初めて見出されたものである。
ガスバリアフィルム10および積層体1の製造手順の一例を説明する。
まず、結晶化度が35%以下の基材11を選択する。基材11は、市販品であってもよく、公知の方法で製造されてもよい。
基材11は、複数の樹脂フィルムが貼り合わされたものであってもよい。この場合、複数の樹脂フィルムのすべての結晶化度が35%以下であると、基材の層間接合強度を高く保持することができ、好ましい。
次に、基材11上に、下引き層12(必要に応じて)および無機酸化物層13を形成する。
下引き層12を形成する場合は、例えば第一面11aに下引き層12を形成するための混合液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥(溶媒を除去)すればよい。
混合液の塗布方法としては、公知のウェットコート法を用いることができる。ウェットコート法としては、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法等が挙げられる。
混合液からなる塗膜を乾燥する方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等の公知の乾燥方法を用いることができる。塗膜の乾燥温度は、例えば、50~200℃とできる。乾燥時間は、塗膜の厚さ、乾燥温度等によっても異なるが、例えば、1秒~5分間とできる。
無機酸化物層13は、上述した真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、又はプラズマ気相成長法(CVD)等により形成できる。
必要に応じて、無機酸化物層13上に、オーバーコート層14を形成する。
オーバーコート層14は、例えば、オーバーコート層14を形成するための混合液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥することにより形成できる。
混合液の塗布方法および乾燥方法は、下引き層12の形成工程の説明で挙げたものと同様の方法を用いることができる。
オーバーコート層14は、一度の塗布、乾燥により形成しても、同種の混合液あるいは異種の混合液により、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成しても構わない。
積層体1には、必要に応じて、印刷層、保護層、遮光層、その他の機能層等をさらに設けてもよい。
印刷層は、内容物に関する情報の表示、内容物の識別、あるいは包装袋の意匠性向上を目的として、積層体あるいは包装材料の状態において外側から見える位置に設けることができる。印刷方法及び印刷インキは特に制限されず、公知の印刷方法及び印刷インキの中からフィルムへの印刷適性、色調などの意匠性、密着性、食品容器としての安全性などを考慮して適宜選択できる。
印刷方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法などを例示できる。中でもグラビア印刷法は、生産性や絵柄の高精細度の観点から好ましい。印刷層の密着性を高めるため、印刷層を形成する層の表面に、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理などの各種前処理を施したり、易接着層などのコート層を設けたりしてもよい。
印刷層は、無機酸化物層と接着層の間や、オーバーコート層と接着層の間等に設けることができる。さらに、後述するように、基材が複数層構成である場合は、基材内に設けることもできる。
本実施形態のガスバリア性フィルムについて、実施例および比較例を用いてさらに説明する。本発明は、実施例および比較例の具体的内容により、何ら限定されない。
実施例および比較例に使用した樹脂フィルムを以下に示す。
α1:未延伸ポリエチレンフィルム(厚さ32μm、密度0.950g/cm、片面コロナ処理)
α2:未延伸ポリエチレンフィルム(厚さ25μm、密度0.952g/cm、片面コロナ処理)
α3:一軸延伸ポリエチレンフィルム(厚さ25μm、密度0.950g/cm、片面コロナ処理)
α4:二軸延伸ポリエチレンフィルム(厚さ25μm、密度0.950g/cm、片面コロナ処理)
α5:無延伸ポリエチレンフィルム(厚さ35μm、密度0.926g/cm、片面コロナ処理)
α6:一軸延伸ポリエチレンフィルム(厚さ25μm、密度0.957g/cm、片面コロナ処理)
(下引き層用混合液の調製)
アクリルポリオールとトリレンジイソシアネートとを、アクリルポリオールのOH基の数に対してトリレンジイソシアネートのNCO基の数が等量となるように混合し、全固形分(アクリルポリオール及びトリレンジイソシアネートの合計量)が5質量%になるように酢酸エチルで希釈した。さらにβ-(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランを、アクリルポリオールおよびトリレンジイソシアネートの合計量100質量部に対して5質量部となるように添加して混合した。
以上により、下引き層用混合液を得た。
(オーバーコート層用混合液の調製)
以下に示すA液、B液およびC液を、それぞれ70/20/10の質量比で混合してオーバーコート層用混合液を得た。
A液:テトラエトキシシラン(Si(OC)17.9gとメタノール10gに0.1N塩酸72.1gを加えて30分間攪拌して加水分解させた、固形分5質量%(SiO換算)の加水分解溶液
B液:ポリビニルアルコールの5質量%水/メタノール溶液(水:メタノールの質量比は95:5)
C液:1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを水/イソプロピルアルコールの混合液(水:イソプロピルアルコールの質量比は1:1)で固形分5質量%に希釈した加水分解溶液
接着層に用いた2種類の接着剤を以下に示す。
(ウレタン系接着剤)
三井化学社製のタケラックA525 100質量部に対し、三井化学社製のタケネートA52 11質量部、酢酸エチル 84質量部を混合した接着剤
(ガスバリア性接着剤)
酢酸エチルとメタノールとを質量比1:1で混合した溶媒23質量部に、三菱ガス化学社製のマクシーブC93T 16質量部と、三菱ガス化学社製のマクシーブM-100 5質量部を混合した接着剤
(実施例1)
基材として、樹脂フィルムα1を用いた。基材のコロナ処理面(第一面)に、下引き層用混合液をグラビアコート法により塗布して乾燥及び硬化させ、塗布量が0.1g/mである下引き層を形成した。
次に、下引き層上に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、厚さ30nmの酸化ケイ素からなる透明な無機酸化物層(シリカ蒸着膜)を形成した。無機酸化物層のO/Si比は1.8とした。
さらに、無機酸化物層上に、オーバーコート層用混合液をグラビアコート法により塗布して乾燥及び硬化させ、厚さ0.3μmのオーバーコート層を形成した。
以上により、実施例1に係るガスバリアフィルムを得た。
実施例1に係るガスバリアフィルムのオーバーコート層上に、上記ウレタン系接着剤をグラビアコート法で塗工及び乾燥させ、厚さ3μmの接着層を形成した。この接着層に対し、ヒートシール層としてLLDPEからなる厚さ60μmの未延伸フィルム(三井化学東セロ社製、商品名:TUX-MCS)をドライラミネーションにより貼り合わせた。その後、40℃で4日間のエージングを行った。これにより、実施例1に係る積層体を得た。
(実施例2)
基材として樹脂フィルムα2を用いた点を除き、実施例1と同様の手順で、実施例2に係るガスバリア性フィルムおよび積層体を得た。
(実施例3)
オーバーコート層を設けなかった点を除き、実施例1と同様の手順で、実施例3に係るガスバリアフィルムを得た。
実施例3に係るガスバリアフィルムの無機酸化物層上に、上記ガスバリア性接着剤をグラビアコート法で塗工及び乾燥させ、厚さ3μmの接着層を形成した。この接着層に対し、ヒートシール層としてLLDPEからなる厚さ60μmの未延伸フィルム(三井化学東セロ社製、商品名:TUX-MCS)をドライラミネーションにより貼り合わせた。その後、40℃で4日間のエージングを行った。これにより、実施例3に係る積層体を得た。
(実施例4)
基材として樹脂フィルムα2を用いた点を除き、実施例3と同様の手順で、実施例4に係るガスバリア性フィルムおよび積層体を得た。
(実施例5)
樹脂フィルムα1の一方の面に、グラビア印刷法により絵柄を印刷して印刷層を設けた。印刷層上に上記ウレタン系接着剤を塗布し、実施例1に係るガスバリアフィルムの基材において、無機酸化物層が設けられていない側の面(第二面)にドライラミネーションにより貼り合わせて実施例5に係るガスバリアフィルムを作製した。同様に、実施例1に係る積層体にも印刷した樹脂フィルムα1を貼り合わせて、実施例5に係る積層体を作製した。
実施例5に係る積層体の層構成を図2に示す。図2に示す積層体1Aの基材は、印刷層115を有する第一のポリエチレンフィルム111が、接着層120で基材11の第二面11bに接合されることにより構成されている。すなわち、実施例5に係る基材は、2つのポリエチレン層が接着層により接合された構成を有する。
(実施例6)
実施例3に係るガスバリアフィルムおよび積層体を使用した点を除き、実施例5と同様の手順で、実施例6に係るガスバリアフィルム及び積層体を得た。
(実施例7)
基材として樹脂フィルムα5を用いた点、および下引き層を設けなかった点を除き、実施例3と同様の手順で、実施例7に係るガスバリアフィルム及び積層体を得た。
(実施例8)
実施例7に係るガスバリアフィルムおよび積層体を使用した点を除き、実施例5と同様の手順で、実施例8に係るガスバリアフィルム及び積層体を得た。
(比較例1)
基材として樹脂フィルムα3を使用した点を除き、実施例1と同様の手順で、比較例1に係るガスバリアフィルム及び積層体を得た。
(比較例2)
基材として樹脂フィルムα3を使用した点を除き、実施例3と同様の手順で、比較例2に係るガスバリアフィルム及び積層体を得た。
(比較例3)
基材として樹脂フィルムα4を使用した点を除き、実施例3と同様の手順で、比較例3に係るガスバリアフィルム及び積層体を得た。
(比較例4)
基材として樹脂フィルムα6を用いた点を除き、実施例7と同様の手順で、比較例4に係るガスバリアフィルム及び積層体を得た。
実施例および比較例のガスバリアフィルムおよび積層体を用いて、以下の項目を評価した。
(基材の結晶化度の測定)
ガスバリアフィルムの作製前に、以下の条件で、基材の結晶度を測定した。
基材のX線回折パターンは、リガク社製の広角X線回折装置を使用し、アウト・オブ・プレーン(Out-of-plane)測定で、回折角度10°~30°の範囲を2θ/θスキャンさせることで得た。X線は特性X線CuKαを用い、多層膜ミラーにより平行化して入射し、受光ユニットには平板コリメータを取り付けたシンチレーション検出器を用いた。
得られたX線回折パターンより、結晶ピークと非晶質ピークの面積を求め、全ピーク面積に対する結晶ピーク面積の比を結晶化度として算出した。
基材が複数層を有する場合は、第一面を構成する層の結晶化度を測定した。
(リサイクル性)
下記式(1)に基づき、各例の積層体におけるポリエチレンの割合(wt%)を算出した。
(使用した樹脂フィルムα1ないしα4の質量+ヒートシール層の質量)/積層体全体の質量×100…(1)
評価は、以下の2段階とした。
〇(good):積層体に占めるポリエチレンの割合が90wt%以上
×(bad):積層体に占めるポリエチレンの割合が90wt%未満
(基材とヒートシール層とのラミネート強度)
JIS Z1707に準拠して、各例の積層体から15mm巾短冊状試験片を切り出し、オリエンテック社テンシロン万能試験機RTC-1250を用いて基材とヒートシール層とのラミネート強度を測定した。条件は以下の2つとした。
T型剥離 常態(DryT)
T型剥離 測定部位湿潤(WetT)
(酸素透過度:OTR)
モコン法により、30°、70%RH(相対湿度)の条件下で各例の積層体を測定した。
(水蒸気透過度:WVTR)
モコン法により、40°、90%RHの条件下で各例の積層体を測定した。
結果を表1に示す。
Figure 0007036266000002
実施例は、いずれもリサイクル性が良好であり、基材とヒートシール層との密着強度も十分であった。すべての実施例が良好なガスバリア性を示したが、ガスバリア性接着剤を接着層に用いた実施例3、4、および6は特にガスバリア性に優れていた。
一方、各比較例は、リサイクル性は良好であったものの、基材とヒートシール層との密着強度が十分でなく、用途等によってはデラミネーションや破袋などを生じてしまうことが懸念された。
以上、本発明の一実施形態、および実施例について説明したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。
1、1A 積層体
10 ガスバリアフィルム
11、11A 基材
11a 第一面
12 下引き層
13 無機酸化物層
14 オーバーコート層
20 接着層
30 ヒートシール層

Claims (9)

  1. 樹脂成分としてポリエチレンのみを含有する基材と、
    前記基材の第一面側に形成された無機酸化物層と、
    を備え、
    前記基材の第一面側の結晶化度が35%以下であり、
    全体に占める前記ポリエチレンの割合が90質量%以上であり、
    水膨潤性雲母を含む酸素バリア性被膜を備えない、
    ガスバリアフィルム。
  2. 前記基材の第一面側の結晶化度が14.8%以上35%以下である、
    請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記基材と前記無機酸化物層との間に設けられた下引き層をさらに備える、
    請求項1または2に記載のガスバリアフィルム。
  4. 前記基材は、樹脂成分としてポリエチレンのみを含有する層を複数有する、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムと、
    樹脂成分としてポリエチレンのみを含有し、前記無機酸化物層を前記基材との間に挟むように前記ガスバリアフィルムに接合されたヒートシール層と、
    を備え、
    全体に占める前記ポリエチレンの割合が90質量%以上である、
    積層体。
  6. 前記ガスバリアフィルムと前記ヒートシール層とが接着層により接合されている、
    請求項5に記載の積層体。
  7. 前記接着層がガスバリア性接着剤からなる、
    請求項6に記載の積層体。
  8. 前記無機酸化物層と前記ヒートシール層との間に設けられたオーバーコート層をさらに備える、
    請求項5から7のいずれか一項に記載の積層体。
  9. 請求項5から8のいずれか一項に記載の積層体を用いて形成された包装材料。
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