JP2024066073A - 積層体及び包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好なヒートシール適性を有しつつ、熱水処理後にも良好な外観が維持される、リサイクル性に優れる積層体を提供すること。【解決手段】保護層と、基材層と、シーラント層と、をこの順で備え、基材層及びシーラント層がポリエチレンを含み、保護層が、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物と、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物の加熱硬化物であり、積層体に占めるポリエチレンの割合が90質量%以上である、積層体。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体及び包装袋に関する。より詳しくは、本発明は、材料のリサイクル適性に優れる環境負荷の小さな包装材料用積層体と、当該積層体を製袋してなる包装袋に関する。
包装材料用の積層体には、包装する内容物の性質、内容物の量、内容物の変質を防ぐための後処理、包装袋を運搬する形態、包装袋を開封する方法、廃棄する方法などによって、さまざまな素材が組み合わせて用いられている。
例えば、フレキシブルパッケージの包装袋においては、包装袋の機械的強度を得るためにポリプロピレンやポリエステルなどの二軸延伸フィルムを基材として有し、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等をヒートシール材料として有する積層体が用いられている。また、内容物の劣化を抑制するために、これらの層に加えてアルミ箔や、エチレンビニルアルコール共重合体の層を積層することも行われている。
このような積層体は、内容物の包装から、輸送、保管、開封などの各過程での適性に重点をおいて設計されたものである。しかしながら、近年の環境問題への意識の高まりから、包装材料用の積層体においてもリサイクル性などの機能に重点が置かれるようになり、その設計思想の変更が求められてきている。
一般に、包装材料用積層体に含まれる主要な樹脂の割合が90質量%以上であるとリサイクル性が高いとされるが、従来の積層体の多くは複数の樹脂材料や場合により紙、金属材料等を含むためこの基準を満たさず、リサイクル性が高いとは言えないのが現状である。
そこで、特許文献1には、基材と、接着層と、ヒートシール層とを備えた積層体において、基材及びヒートシール層をポリエチレンから構成することが記載されている。基材及びヒートシール層を同一材料で構成することにより、上記リサイクル性の基準をクリアし易くなる。
特開2020-55157号公報
ところで、包装材料用積層体から包装袋を製袋する際、製袋工程では、積層体のヒートシール層(シーラント層)同士を向かい合わせ、積層体の基材層外面側から高温治具により圧力をかけて挟み込むことで、ヒートシール層同士を熱溶着(ヒートシール)させる。ヒートシール機の治具は高温になっており、直接治具に接触する基材層外面側は高温に曝されるため、特許文献1に記載の積層体ではポリエチレン基材が熱に冒されて治具に付着したり、ヒートシール部にシワが発生したりするなどの不具合が生じる場合がある。
一方で、そのような不具合を抑制するべく治具の設定温度を低くすると、充分なヒートシール強度を確保できず、ヒートシール部分がボイル処理等の熱水処理に耐えられない虞がある。このように、従来の積層体はヒートシール時の工程適性において改善の余地がある。
このことを受けて、ヒートシール時の熱から積層体を保護するため、基材層上に保護層を設けることが考えられる。しかしながら、発明者らの検討の結果、保護層の材質によってはボイル処理等の熱水処理後に剥がれる等して却って外観不良をもたらす虞があることが分かった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、良好なヒートシール適性を有しつつ、熱水処理後にも良好な外観が維持される、リサイクル性に優れる積層体を提供することを目的とする。
本発明はまた、当該積層体から製袋される包装袋を提供することを目的とする。
本開示の一側面は、保護層と、基材層と、シーラント層と、をこの順で備え、基材層及びシーラント層がポリエチレンを含み、保護層が、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物と、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物の加熱硬化物であり、積層体に占めるポリエチレンの割合が90質量%以上である、積層体を提供する。
一態様において、金属アルコキシドがテトラエトキシシランを含んでよい。
一態様において、シランカップリング剤が、イソシアネート基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種を有してよい。
一態様において、積層体は、基材層とシーラント層との間に蒸着層を備えてよい。
一態様において、蒸着層が金属酸化物を含んでよい。
一態様において、保護層の厚さが、積層体の総厚の0.4~2.0%であってよい。
一態様において、基材層が、高密度ポリエチレン又は中密度ポリエチレンを含んでよい。
一態様において、シーラント層が、低密度ポリエチレンを含んでよい。
一態様において、基材層及びシーラント層の少なくとも一方が、無延伸ポリエチレンフィルムからなる層であってよい。
一態様において、基材層が、保護層側の第一基材層及びシーラント層側の第二基材層を含んでいてよく、第一基材層が延伸ポリエチレンフィルムからなる層であり、第二基材層が無延伸ポリエチレンフィルムからなる層であってよい。
本開示の一側面は、上記積層体を製袋してなる包装袋を提供する。
本発明によれば、良好なヒートシール適性を有しつつ、熱水処理後にも良好な外観が維持される、リサイクル性に優れる積層体が提供される。
また、本発明によれば、当該積層体から製袋される包装袋が提供される。
一実施形態に係る積層体の断面模式図である。 他の実施形態に係る積層体の断面模式図である。
以下、場合により図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、一実施形態に係る積層体の断面模式図である。図1に示す積層体100は、保護層10と、基材層20と、シーラント層30と、をこの順に備える。
図2は、他の実施形態に係る積層体の断面模式図であり、当該積層体は、積層体の強度やガスバリア性等の向上を目的とした各種の層を備える。図2に示す積層体110は、保護層10と、第一基材層21及び第二基材層22を有する基材層20と、シーラント層30と、をこの順に備える。
保護層10は第一基材層21上に設けられている。第二基材層22の少なくとも一方の面には蒸着層40が設けられており、当該蒸着層40上にはガスバリア性被覆層50が設けられている。
第一基材層21の第二基材層22側の面には印刷層が設けられていてよい。
第一基材層21(場合により印刷層)と第二基材層22とは、接着層により接着されていてよい。
基材層20(場合により第二基材層22、蒸着層40又はガスバリア性被覆層50)とシーラント層30とは、接着層により接着されていてよい。
積層体は、保護層、第一基材層、印刷層、接着層、第二基材層、蒸着層、ガスバリア性被覆層、接着層及びシーラント層をこの順に備えてよく、保護層、第一基材層、印刷層、接着層、第二基材層、蒸着層、ガスバリア性接着層及びシーラント層をこの順に備えてもよい。
本発明の積層体は、ポリエチレンを含む基材層の外面に、最外層としての保護層を備える。これにより、ヒートシール部の耐熱性を高めることができ、適正な条件での製袋が可能となり、包装袋として要求される強度及び外観が良好となる。また、基材層として、蒸着層を備える無延伸フィルムからなる層を用いることにより、包装袋の強度を高め易く、液体を充填した包装袋が落下した際に、衝撃により包装袋が破袋し難くなる。
積層体は包装材料用積層体であって、包装袋を形成するために好適に用いることができる。包装袋内に充填される(包装される)内容物としては、液体調味料、トイレタリー用品、スープ、液体洗剤等の液状物、煮物等の固形物、カレー等の液状物と固形物との固液混合物などが挙げられる。
本実施形態の積層体は、基材層及びシーラント層がポリエチレン(ポリエチレン系樹脂)で構成されていることにより、積層体に占めるポリエチレンの割合を90質量%以上とすることができる。これにより、積層体は高いリサイクル性を有する。基材層及びシーラント層がいずれもポリエチレンのみからなる場合、積層体に占めるポリエチレンの割合(質量%)は、下記式(1)により算出できる。
(基材層の質量+シーラント層の質量)/積層体全体の質量×100 …(1)
以下、各層について説明する。
<基材層>
基材層はポリエチレンを含む単層であってもよく、ポリエチレンを含む複数層からなるものであってもよい。例えば、基材層は主として強度や加工適性を付与するための第一基材層と、主としてバリア性を付与するための第二基材層とを有することができる。
基材層はポリエチレンにより構成される無延伸フィルムであってよく、一軸延伸又は二軸延伸等がされた延伸フィルムであってもよい。
基材層に含まれるポリエチレンとしては、強度及び耐熱性の観点からは、高密度ポリエチレン(密度0.94g/cm以上)、又は、中密度ポリエチレン(密度0.925~0.940g/cm)が好ましい。これらの材料は、石油由来からなるものでも、植物由来からなるものでもよく、これらの混合物であってもよい。
基材層に用いるポリエチレンには、酸化防止剤、帯電防止剤、造核剤、紫外線吸収剤などの添加剤を添加してもよい。
<第一基材層>
第一基材層は包装袋となった時に外面側となる層である。強度や加工適性の観点から、第一基材層は延伸ポリエチレンフィルムからなる層であることが好ましい。
密度が異なるポリエチレンを共押出法により押出した多層構造のポリエチレンフィルム自体を第一基材層として用いることも可能である。
第一基材層の厚さは、10μm以上50μm以下であることが好ましく、12μm以上35μm以下であることがより好ましい。第一基材層の厚さを10μm以上とすることにより、積層体の強度を向上できる。第一基材層の厚さを50μm以下とすることにより、積層体の加工適性を向上できる。
第一基材層は、ポリエチレンを用いたTダイ法又はインフレーション法などにより作製できる。Tダイ法により第一基材層を作製する場合、ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、3g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましい。MFRを3g/10分以上とすることにより、積層体の加工適性を向上することができる。また、MFRを20g/10分以下とすることにより、作製された第一基材層が破断してしまうことを防止できる。
インフレーション法により第一基材層を作製する場合、ポリエチレンのMFRは、0.5g/10分以上、5g/10分以下であることが好ましい。MFRを0.5g/10分以上とすることにより、積層体の加工適性を向上することができる。また、MFRを5g/10分以下とすることにより、製膜性を向上することができる。
第一基材層が延伸ポリエチレンフィルムからなる層である場合、当該フィルムは一軸延伸されたものであっても、二軸延伸されたものであってもよいが、強度の観点からは、二軸延伸されたものが好ましい。
延伸ポリエチレンフィルム長手方向(MD)の延伸倍率は、2倍以上、10倍以下であることが好ましく、3倍以上、7倍以下であることが好ましい。これにより、第一基材層の印刷適性及び強度をより向上することができる。また、第一基材層の透明性を向上することができる。
横手方向(TD)の延伸倍率は、2倍以上、10倍以下であることが好ましく、3倍以上、7倍以下であることが好ましい。これにより、第一基材層の印刷適性及び強度をより向上することができると共に、透明性を向上することができる。
延伸ポリエチレンフィルムを製造する方法としては、製膜しながら延伸し、冷却する方法、無延伸フィルムを予熱し、延伸装置で延伸する方法がある。
二軸延伸フィルムを製造する方法には、MD方向に延伸した後、TD方向を延伸する逐次二軸延伸法、MD方向とTD方向を同時に延伸する同時二軸延伸法とがあり、どちらの方法で作製された二軸延伸フィルムも利用可能である。
延伸ポリエチレンフィルムは、無延伸ポリエチレンフィルムをガラス転移温度以上、融点以下で延伸することで球状の結晶(球晶)を破壊し、分子鎖を配向させた構造を有する。このため、透明性、突き刺しなどに対する強度が向上する。これらの構造は、走査電子顕微鏡(SEM)による観察や、X線回折法による観察などで確認することができる。
第一基材層は、その片面又は両面に、コロナ処理、大気圧プラズマ処理などの乾式の表面処理(易接着処理)を施すことができる。これにより、第一基材層と、保護層や印刷層との密着性が向上する。
<第二基材層>
第二基材層は包装袋となった時に内面側となる層である。第二基材層は、ガスバリア性の観点から無延伸フィルムからなる層であることが好ましい。
第二基材層としては、第一基材層と同様に、密度が異なるポリエチレンを共押出法により押出した多層構造の無延伸ポリエチレンフィルムを用いることも可能である。
無延伸ポリエチレンフィルムとは、成膜時に延伸処理が行われず、ランダムに折りたたまれたポリエチレン分子鎖により構成された10~100μm程度の球状の結晶(球晶)が、非結晶性分子で繋ぎあった構造となっているポリエチレンフィルムをいう。無延伸ポリエチレンフィルムは、強い衝撃を受けた場合、球晶が破壊されて、分子鎖が配向して延伸することにより、フィルム自体が破れることを防止できるという性質を有する。そのため、基材層及びシーラント層として無延伸ポリエチレンフィルムを用いた積層体から包装袋を製袋することで、落袋強度に優れる包装体(包装袋内に内容物を充填して密封したもの)を得易い。
第二基材層の厚さは、9μm以上50μm以下であることが好ましく、12μm以上30μm以下であることがより好ましい。第二基材層の厚さを9μm以上とすることにより、積層体の強度及び耐熱性を向上できる。第二基材層の厚さを50μm以下とすることにより、積層体の加工適性を向上できる。
第二基材層は、ポリエチレンを用いたTダイ法又はインフレーション法などにより作製できる。Tダイ法により第二基材層を作製する場合、ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、3g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましい。MFRを3g/10分以上とすることにより、積層体の加工適性を向上することができる。また、MFRを20g/10分以下とすることにより、作製された第二基材層が破断してしまうことを防止できる。
インフレーション法により第二基材層を作製する場合、ポリエチレンのMFRは、0.5g/10分以上、5g/10分以下であることが好ましい。MFRを0.5g/10分以上とすることにより、積層体の加工適性を向上することができる。また、MFRを5g/10分以下とすることにより、製膜性を向上することができる。
第二基材層は、その片面又は両面に、コロナ処理、大気圧プラズマ処理などの乾式の表面処理(易接着処理)を施すことができる。これにより、第二基材層と蒸着層との密着性が向上する。
<保護層>
基材層として用いられる高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンの融点は、概ね120℃から140℃である。一方、後述するシーラント層として用いられる低密度ポリエチレンの融点は、概ね90℃から120℃である。これら基材層及びシーラント層を備える積層体をヒートシールするために、ヒートシール機の治具であるヒートシールバーは130℃から140℃程度に加熱され、その熱は基材層を通してシーラント層に伝えられ、シーラント層同士が熱溶着される。基材層を形成するポリエチレンの融点と、ヒートシールバーの温度とがほぼ同じであるため、基材層を最外層とした場合、ヒートシールによりシワなどの外観上の不具合や、溶融した基材層のヒートシールバーへの付着(とられ)が発生する虞がある。
保護層は、製袋や充填密封時におけるこのようなヒートシールによる不具合を防止し、ヒートシール適性を確保するために設けられる。このような役割から、保護層は、積層体の最外層として設けられてよい。
積層体は、包装する内容物の重量に応じて、厚さが変更される。軽量の内容物を包装する場合には、コストを考慮して薄くし、重量物を充填する場合には、強度を考慮して厚くするのが一般的である。積層体の厚さが増すにつれて、シーラント層のヒートシール面が熱溶融するのに必要な熱量が増加する。このため、保護層の厚さは、積層体の総厚に比例して変化させることが好ましい。積層体の総厚に対する保護層の厚さの割合は、0.4~2.0%であることが好ましく、0.6~1.8%であることがより好ましい。この割合が0.4%以上であると、所望の耐熱性が得られ易く、より優れたヒートシール性を得易い。この割合が2.0%以下であると、保護層の材料の無駄を抑制できると共に、ヒートシールに必要な熱量の増加を抑制し易い。
保護層の厚さは、上述の通り積層体の総厚に応じて調整されるが、耐熱性の向上及びヒートシールに必要な熱量の低減の観点から、例えば、0.1~5.0μmであってよく、0.2~4.0μmであってよく、0.3~2.0μmであってよい。
保護層には、ヒートシール時に例えば140℃に加熱されても軟化、融解、分解などが生じない耐熱性が必要である。そのため、保護層は、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物と、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物(保護層形成用組成物)の加熱硬化物である。ポリオールと、金属アルコキシド及び/又はシランカップリング剤の加水分解物とが脱水縮重合反応し、耐熱性に優れた保護層が形成されると考えられる。
ポリオールは、高分子末端に2つ以上のヒドロキシル基を有しており、このヒドロキシル基がイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応してウレタン結合が生じることで、基材層との密着性に優れかつ耐熱性に優れる保護層が形成される。このポリオールとして、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られるポリオールもしくは、アクリル酸誘導体モノマー及びその他のモノマーを共重合させて得られるポリオールであるアクリルポリオールが好ましい。
アクリルポリオールとしては、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート等のアクリル酸誘導体モノマーを重合させたアクリルポリオール、アクリル酸誘導体モノマーとスチレン等のその他のモノマーとを共重合させたアクリルポリオールが好ましく用いられる。
イソシアネート化合物との反応性、シランカップリング剤との相溶性等を考慮すると、アクリルポリオールのヒドロキシル価は5~200(KOHmg/g)であることが好ましい。
金属アルコキシドとしては、下記一般式(I)で表わされる化合物が挙げられる。
M(OR(Rn-m …(I)
上記一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~8の1価の有機基であり、メチル基、エチル基等のアルキル基であることが好ましい。MはSi、Ti、Al、Zr等のn価の金属原子を示す。mは1~nの整数である。なお、R又はRが複数存在する場合、R同士又はR同士は同一でも異なっていてもよい。
金属アルコキシドとしては、具体的には、テトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O-2’-C〕などが挙げられる。テトラエトキシシラン及びトリイソプロポキシアルミニウムは、加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
シランカップリング剤として、任意の有機官能基を含むものを用いることができ、例えばビニルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
また、シランカップリング剤として、ポリオールの水酸基及び/又はイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する官能基を持つものを好適に用いることができる。例えば、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネート基を含むもの、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基を含むもの、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N―β―(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を含むものが挙げられる。
さらに、シランカップリング剤として、γ―グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、β―(3、4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を含むもの、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β―メトキシエトキシ)シラン等にアルコール等を用いて水酸基等を付加したものも挙げられる。
シランカップリング剤として、アルコキシ基がクロロ基、アセトキシ基等になっているものも挙げられる。これらのアルコキシ基、クロロ基、アセトキシ基等が加水分解し、シラノール基を形成するものであれば、シランカップリング剤として好適に用いることができる。
シランカップリング剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
シランカップリング剤の一端に存在する有機官能基がアクリルポリオール及びイソシアネート化合物を含む組成物中で相互作用を示し、もしくはポリオールの水酸基又はイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する。シランカップリング剤を用いることで有機官能基による共有結合が生じるため強固な保護層が形成され易い。
また、シランカップリング剤の他端のアルコキシ基又はアルコキシ基の加水分解によって生成したシラノール基が、コロナ処理やプラズマ処理等の表面処理により生じた第一基材層表面の水酸基等と脱水縮合することで、高い密着性を有し、ボイル処理等の熱水処理でも剥離し難い耐熱水性を有する保護層が得られ易い。この観点から、金属アルコキシドとシランカップリング剤とを併用しても構わない。
耐熱水性は、ボイル処理等の熱水処理に対する実用可能性である。積層体又は積層体から製袋された包装袋を80℃の温水に浸漬し、30分間のボイル殺菌処理を行った場合に、保護層に大幅な剥がれ、浮き、荒れ等が生じない場合、保護層が耐熱水性を有すると言える。
アクリルポリオールと金属アルコキシドとの配合比(アクリルポリオールの量/金属アルコキシドの量)は、質量比で1/1~1000/1であることが好ましく、2/1~100/1であることがより好ましい。
アクリルポリオールとシランカップリング剤との配合比(アクリルポリオールの量/シランカップリング剤の量)は、質量比で1/1~1000/1の範囲であることが好ましく、2/1~100/1であることがより好ましい。
アクリルポリオールと金属アルコキシド及びシランカップリング剤との配合比(アクリルポリオールの量/金属アルコキシド及びシランカップリング剤の全量)は、質量比で1/1~1000/1の範囲であることが好ましく、2/1~100/1であることがより好ましい。
イソシアネート化合物は、主としてアクリルポリオールの架橋剤又は硬化剤として用いられる。イソシアネート化合物としては、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシリレンジイソシアネート(XDI)やヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などのモノマー類、これらの重合体もしくは誘導体が挙げられる。イソシアネート化合物は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリルポリオールとイソシアネート化合物との配合比は特に制限されるものではないが、イソシアネート化合物が少なすぎると硬化不良になる場合があり、また多すぎるとブロッキング等が発生する場合がある。この観点から、アクリルポリオールとイソシアネート化合物との配合比としては、イソシアネート化合物由来のNCO基の数がアクリルポリオール由来のOH基の数の50倍以下であることが好ましいが、NCO基とOH基が等量(等モル)で配合される場合がより好ましい。
保護層形成用組成物には、耐熱水性及び耐水性を損なわない範囲で、さらに各種添加剤、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等の硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の酸化防止剤、レベリング剤、流動調整剤、触媒、架橋反応促進剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、抗菌・抗ウイルス剤等を必要に応じて加えることも可能である。
保護層形成用組成物に含まれる液状媒体(溶解及び希釈溶媒)としては、各成分を溶解及び希釈可能であれば特に限定されるものではなく、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上の任意に組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤を加水分解するために塩酸等の水溶液を用いる場合には、共溶媒としてイソプロピルアルコール等のアルコール類と極性溶媒である酢酸エチルとを任意に混合した溶媒を用いることが好ましい。
保護層形成用組成物は、例えば、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等により基材層に塗布することができる。保護層形成用組成物を塗布してなる塗膜を、例えば、熱風乾燥法、熱ロール乾燥法、高周波照射法、赤外線照射法、UV照射法、又はそれらの組み合わせにより乾燥させて硬化させることで、保護層を形成することができる。
塗膜を乾燥させる際の温度は、例えば、50~150℃とすることができ、70~100℃とすることが好ましい。乾燥時の温度を上記範囲内とすることで、基材層の熱収縮を抑制し易い。
基材層と保護層との密着性を向上させる目的で、リサイクル性を損なわない範囲で、基材層上に密着付与層を設けてもよい。
<印刷層>
基材層には印刷層がさらに設けられていてよい。印刷層は、基材層の保護層側の面に設けられていてよく、基材層のシーラント層側の面に設けられていてよい。印刷層は、第一基材層の保護層側の面に設けられていてよく、第一基材層の第二基材層側の面に設けられていてよい。
印刷層(画像)は、特に限定されることなく通常のグラビア印刷やフレキソ印刷などにより、それぞれに応じたインキを用いて形成することができる。インキとしては、溶剤系インキと、水系インキとがあるが、環境面から水系インキを用いることが好ましい。ターンバーなどの表裏反転機能を有する印刷機であれば、基材層の一方の面に印刷層を、他方の面に保護層を一つの工程で形成することが可能である。
<蒸着層>
基材層の少なくとも一方の面には蒸着層が設けられてよい。蒸着層は、積層体に酸素バリア性及び水蒸気バリア性を付与する。基材層が第一基材層及び第二基材層を有する場合、蒸着層はいずれの層に設けられていてもよい。
蒸着層としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化錫等の金属酸化物からなる蒸着層が挙げられる。透明性及びバリア性の観点から、金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化珪素、及び酸化マグネシウムからなる群より選択されてよく、コストの観点からは、酸化アルミニウム及び酸化珪素から選択されてよく、加工時に引っ張り延伸性に優れる観点からは、酸化珪素であってよい。
金属酸化物からなる蒸着層を用いることにより、積層体のリサイクル性に影響を与えない範囲のごく薄い層で、高いバリア性を得ることができる。
金属酸化物からなる蒸着層は、透明性を有するため、金属からなる蒸着層と比べて、積層体からなる包装材料を手にする使用者に、金属箔が使用されているとの誤認を生じさせにくいという利点がある。
酸化アルミニウムからなる蒸着層の厚さは、5nm以上30nm以下であることが好ましい。厚さが5nm以上であると、十分なガスバリア性を得ることができる。また、厚さが30nm以下であると、薄膜の内部応力による変形によりクラックが発生することを抑制し、ガスバリア性の低下を抑制することができる。なお、厚さが30nmを超えると、材料使用量の増加、及び膜形成時間の長時間化等に起因してコストが増加し易いため、経済的観点からも好ましくない。上記と同様の観点から、厚さは、7nm以上15nm以下であることがより好ましい。
酸化アルミニウムのO/Al比は1.4以上であることが望ましい。O/Al比が1.4以上であるとアルミニウム原子の未結合手の含有割合が抑制されて良好な透明性が得られ易い。
O/Al比は1.7以下であることが好ましい。O/Al比が1.7以下であるとAlOの結晶性が高くなって蒸着層が硬くなり過ぎることを防ぐことができ、良好な引張り耐性が得られる。また、ボイル処理等の熱水処理時の熱により基材層が収縮することがあるが、O/Al比が1.7以下であると、この収縮に蒸着層が追従し易く、バリア性の低下を抑制できる。
これらの効果をより十分に得る観点から、O/Al比は1.4以上1.7以下であることが好ましく、1.5以上1.55以下であることがより好ましい。
酸化珪素からなる蒸着層の厚さは、10nm以上50nm以下であることが好ましい。厚さが10nm以上であると、十分なガスバリア性を得ることができる。また、厚さが50nm以下であると、薄膜の内部応力による変形によりクラックが発生することを抑制し、ガスバリア性の低下を抑制することができる。なお、厚さが50nmを超えると、材料使用量の増加、及び膜形成時間の長時間化等に起因してコストが増加し易いため、経済的観点からも好ましくない。上記と同様の観点から、厚さは、20nm以上40nm以下であることがより好ましい。
酸化珪素のO/Si比は、1.7以上であることが望ましい。O/Si比が1.7以上であると金属Siの含有割合が抑制されて良好な透明性が得られ易い。
O/Si比は2.0以下であることが好ましい。O/Si比が2.0以下であるとSiOの結晶性が高くなって蒸着層が硬くなり過ぎることを防ぐことができ、良好な引張り耐性が得られる。また、ボイル処理等の熱水処理時の熱により基材層が収縮することがあるが、O/Si比が2.0以下であると、この収縮に蒸着層が追従し易く、バリア性の低下を抑制することができる。
これらの効果をより十分に得る観点から、O/Si比は1.75以上1.9以下であることが好ましく、1.8以上1.85以下であることがより好ましい。
蒸着層は、例えば真空成膜法で形成することができる。真空成膜法としては、物理気相成長法あるいは化学気相成長法を用いることができる。
物理気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。化学気相成長法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
真空成膜法としては、抵抗加熱式真空蒸着法、EB(Electron Beam)加熱式真空蒸着法、誘導加熱式真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタリング法、プラズマ化学気相堆積法(PECVD法)等が特に好ましく用いられる。ただし、生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましい。
<アンカーコート層>
基材層の蒸着層が形成される側の面には、公知のアンカーコート剤を用いて、アンカーコート層を形成してもよい。これにより、基材層と蒸着層との密着性を向上させることができる。アンカーコート剤としては、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、アクリル系ポリウレタン樹脂等を例示できる。耐熱性及び層間接着強度の観点からは、アクリル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
アンカーコート剤として、ポリビニルアルコール系樹脂を用いてもよい。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ビニルエステル単位がケン化されてなるビニルアルコール単位を有するものであればよく、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)が挙げられる。
アンカーコート剤としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、アンカーコート層の形成方法としては、ポリビニルアルコール系樹脂溶液を用いた塗布や、多層押出等が挙げられる。多層押出の場合は、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン等の接着性樹脂を介して基材層に積層してよい。
アンカーコート層の厚さは、10~2000nmであることが好ましく、50~500nmであることがより好ましい。アンカーコート層の厚さが2000nm超であると、柔軟性が得られ難く、蒸着層にクラックが生じ易くなり、バリアが劣化し易い。一方、厚さが10nm未満であると、カスレによる未塗工部が生じ易く、蒸着層の密着が低下し易い。
<ガスバリア性被覆層>
ガスバリア性の向上及び蒸着層の保護を目的として、蒸着層上に、ガスバリア性被覆層を設けてもよい。特に限定されるものではないが、ガスバリア性被覆層は、水酸基含有高分子化合物を含んでよく、具体的には、水酸基含有高分子化合物及びその加水分解物の少なくともいずれかと、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物の加熱硬化物であってよい。水酸基含有高分子化合物としては、アンカーコート層の項で例示したポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。
ガスバリア性被覆層は、例えば、水酸基含有高分子化合物と、金属アルコキシド及び/又はシランカップリング剤とを、水或いは水/アルコール混合液に添加して得られる組成物(以下、オーバーコート剤という)を用いて形成することができる。オーバーコート剤は、例えば、水溶性高分子である水酸基含有高分子化合物を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液と、金属アルコキシド及び/又はシランカップリング剤とを直接、或いは予めこれらを加水分解させるなどの処理を行った溶液とを混合して調製することができる。
オーバーコート剤における金属アルコキシドの量は、蒸着層との密着性及びガスバリア性維持の観点から、水酸基含有高分子化合物1質量部に対して1~4質量部とすることができ、2~3質量部であってよい。シランカップリング剤の量は、水酸基含有高分子化合物1質量部に対して0.01~1質量部とすることができ、0.1~0.5質量部であってよい。金属アルコキシドとしてアルコキシシランを用いる場合、オーバーコート剤におけるシラン化合物(アルコキシシランとシランカップリング剤)の量は、水酸基含有高分子化合物1質量部に対して1~4質量部とすることができ、2~3質量部であってよい。
オーバーコート剤には、ガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、あるいは、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて加えることも可能である。
オーバーコート剤は、例えば、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等により蒸着層上に塗布することができる。オーバーコート剤を塗布してなる塗膜を、熱風乾燥法、熱ロール乾燥法、高周波照射法、赤外線照射法、UV照射法、又はそれらの組み合わせにより乾燥させて硬化させることで、ガスバリア性被覆層を形成することができる。
塗膜を乾燥させる際の温度は、例えば、50~150℃とすることができ、70~100℃とすることが好ましい。乾燥時の温度を上記範囲内とすることで、蒸着層やガスバリア性被覆層にクラックが発生することをより一層抑制でき、優れたバリア性を発現することができる。
ガスバリア性被覆層は、水酸基含有高分子化合物(例えばポリビニルアルコール系樹脂)及び上述したシラン化合物を含むオーバーコート剤を用いて形成されてよい。オーバーコート剤には、必要に応じて酸触媒、アルカリ触媒、光重開始剤等を加えてよい。
ガスバリア性被覆層の厚さは、50~1000nmであることが好ましく、100~500nmであることがより好ましい。ガスバリア性被覆層の厚さが50nm以上であると、より十分なガスバリア性を得ることができる傾向があり、1000nm以下であると、十分な柔軟性を保持できる傾向がある。
<シーラント層>
シーラント層は、ポリエチレンにより構成されており、積層体を用いて包装袋等の包装材料を形成する際に熱溶着(ヒートシール)により接合される。シーラント層を構成するポリエチレンは、良好なヒートシール性の観点から、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び超低密度ポリエチレン(VLDPE)が好ましい。また、環境負荷の観点から、バイオマス由来のポリエチレン又はリサイクルされたポリエチレンがシーラント層に使用されてもよい。
シーラント層は、無延伸ポリエチレンフィルムで構成されていてよい。
低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm以上0.925g/cm未満のポリエチレンを使用することができる。直鎖状低密度ポリエチレンとしては、密度が0.910g/cm以上0.925g/cm未満のポリエチレンを使用することができる。超低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm未満のポリエチレンを使用することができる。シーラント層には、積層体の特性を損なわない範囲において、エチレンとその他のモノマーとの共重合体を使用することができる。
シーラント層の厚さは、作製される包装材料に充填する内容物の重量等に応じて適宜変更できる。例えば、1~200gの内容物を充填する包装袋を作製する場合、シーラント層の厚さは、20~60μmであることが好ましい。厚さを20μm以上とすることにより、充填された内容物が、シーラント層の破損により漏れてしまうことを防止できる。厚さを60μm以下とすることにより、積層体の加工適性を向上できる。
他の例として、50~2000gの内容物を充填するスタンディングパウチを作製する場合、シーラント層の厚さは、50~200μmであることが好ましい。厚さを50μm以上とすることにより、充填された内容物が、シーラント層の破損により漏れてしまうことを防止することができる。また、厚さを200μm以下、好ましくは150μm以下とすることにより、積層体の加工適性を向上できる。
シーラント層に用いるポリエチレンには、酸化防止剤、帯電防止剤、造核剤、紫外線吸収剤などの添加剤を添加してもよい。
<接着層>
接着層は、少なくとも1種類の接着剤を含有した層であり、例えば第一基材層(場合により印刷層)と第二基材層との間、あるいは基材層(場合により第二基材層、蒸着層又はガスバリア性被覆層)とシーラント層との間に設けられて両者を接合する。接着層は、1液硬化型、もしくは2液硬化型ウレタン系接着剤等から形成することができる。接着剤は、バリア性をさらに高める目的で層状無機化合物を含んでもよい。
硬化後にガスバリア性を発現する接着剤を用いて接着層(ガスバリア性接着層)を形成することもできる。蒸着層が設けられた基材層とシーラント層との間の接着層を、ガスバリア性を発現する接着剤を用いて形成すると、蒸着層のクラック発生によるガスバリア性の低下をさらに抑制することが可能である。これにより、積層体のガスバリア性能をさらに向上できる。このようなガスバリア性接着剤を用いる場合、ガスバリア性被覆層の形成を省くことができる。
ガスバリア性接着剤としては、エポキシ系接着剤、ポリエステル・ポリウレタン系接着剤等が挙げられ、具体例としては、三菱ガス化学社製の「マクシーブ」、DIC社製の「Paslim」等が挙げられる。
接着層の厚さは、0.5~6μmであることが好ましく、0.8~5μmであることがより好ましく、1.0~4.5μmであることがさらに好ましい。接着層の厚さを0.5μm以上とすることにより、接着層の接着性を向上することができる。接着層の厚さを6μm以下とすることにより、積層体の加工適性を向上することができる。
接着層は、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法及びトランスファーロールコート法などの公知の各種方法により形成できる。
<包装袋>
包装袋は、上記積層体を製袋してなるもの(上記積層体の製袋物)である。
シーラント層を対向させつつ1枚の積層体を折り曲げた状態で、あるいはシーラント層を対向させつつ2枚の積層体を重ねた状態で、内容物の充填部を残して周縁部のシーラント層をヒートシールにより接合することで、積層体から平パウチ形状の包装袋を製袋できる。折り曲げた底フィルムを挟みつつ上記の様な接合を行うことにより、スタンディングパウチを形成できる。その他、ピロー包装袋、四方シール、三方シール、ガゼット袋など、各種包装袋として用いることができる。このように、積層体から各種包装袋を製袋することができる。
ピロー包装袋は、筒形状を呈する本体部と、上記本体部の軸方向に沿って延在するとともに上記本体部から突出するフランジ部と、を備えていてよい。ピロー包装袋は、例えば公知のピロー包装充填機等を用いることによって形成できる。
<本実施形態の概要>
[1]
保護層と、基材層と、シーラント層と、をこの順で備え、
前記基材層及び前記シーラント層がポリエチレンを含み、
前記保護層が、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物と、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物の加熱硬化物であり、
積層体に占めるポリエチレンの割合が90質量%以上である、積層体。
[2]
前記金属アルコキシドがテトラエトキシシランを含む、[1]に記載の積層体。
[3]
前記シランカップリング剤が、イソシアネート基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種を有する、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]
前記基材層と前記シーラント層との間に蒸着層を備える、[1]~[3]のいずれか一に記載の積層体。
[5]
前記蒸着層が金属酸化物を含む、[4]に記載の積層体。
[6]
前記保護層の厚さが、前記積層体の総厚の0.4~2.0%である、[1]~[5]のいずれか一に記載の積層体。
[7]
前記基材層が、高密度ポリエチレン又は中密度ポリエチレンを含む、[1]~[6]のいずれか一に記載の積層体。
[8]
前記シーラント層が、低密度ポリエチレンを含む、[1]~[7]のいずれか一に記載の積層体。
[9]
前記基材層及び前記シーラント層の少なくとも一方が、無延伸ポリエチレンフィルムからなる層である、[1]~[8]のいずれか一に記載の積層体。
[10]
前記基材層が、前記保護層側の第一基材層及び前記シーラント層側の第二基材層を含み、
前記第一基材層が延伸ポリエチレンフィルムからなる層であり、前記第二基材層が無延伸ポリエチレンフィルムからなる層である、[1]~[9]のいずれか一に記載の積層体。
[11]
[1]~[10]のいずれか一に記載の積層体を製袋してなる包装袋。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(保護層形成用塗布液(組成物)の調製)
(塗布液A)
希釈溶媒(酢酸エチル)中、γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン1質量部に対し、アクリルポリオール5質量部を、混合し、攪拌した。ついで、イソシアネート化合物としてキシリレンジイソシアネート(XDI)をアクリルポリオールのOH基に対しNCO基が等量となるように加えた。この混合溶液を希釈溶媒で固形分10質量%の濃度に希釈したものを塗布液Aとした。
(塗布液B)
希釈溶媒(酢酸エチル)中、N-β―(アミノエチル)―γ-アミノプロピルトリエトキシシラン1質量部に対し、アクリルポリオール6質量部を、混合し、攪拌した。ついでイソシアネート化合物としてキシリレンジイソシアネート(XDI)をアクリルポリオールのOH基に対しNCO基が等量となるように加えた。この混合溶液を希釈溶媒で固形分10質量%の濃度に希釈したものを塗布液Bとした。
(塗布液C)
希釈溶媒(イソプロピルアルコール/酢酸エチル)中、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(以下EETMSという)1質量部に対し、アクリルポリオール2.5質量部を混合し、さらに触媒として塩化錫(SnCl)/メタノール溶液(0.003mol/gに調液したもの)をEETMSに対し1/135mol添加し、攪拌した。ついでイソシアネート化合物としてキシリレンジイソシアネート(XDI)をアクリルポリオールのOH基に対しNCO基が等量となるように加えた。この混合溶液を希釈溶媒で固形分10質量%の濃度に希釈したものを塗布液Cとした。
(塗布液D)
希釈溶媒(イソプロピルアルコール/酢酸エチル)中、EETMSとテトラエトキシシラン(Si(OC、以下TEOSという)とをモル比で1:1で混合したものに、アクリルポリオールを、EETMS及びTEOSの全量に対して質量比で1.25倍添加し、さらに触媒として塩化錫(SnCl)/メタノール溶液(0.003mol/gに調液したもの)をEETMS及びTEOSの全量に対し1/400mol添加し、攪拌した。そこへ0.1N塩酸を加えさらに攪拌してEETMS及びTEOSを加水分解させた後、キシリレンジイソシアネート(XDI)をアクリルポリオールのOH基に対しNCO基が等量となるように加えた。この混合溶液を希釈溶媒で固形分10質量%の濃度に希釈したものを塗布液Dとした。
(塗布液E)
希釈溶剤(イソプロピルアルコール/酢酸エチル)中、アクリルポリオール1質量部に対し、TEOS0.1質量部を加え、そこへ0.1N塩酸を加え攪拌し、TEOSを加水分解させた後、キシリレンジイソシアネート(XDI)をアクリルポリオールのOH基に対しNCO基が等量となるように加えた。この混合溶液を希釈溶剤で固形分10質量%の濃度に希釈したものを塗布液Eとした。
(塗布液F)
希釈溶媒(酢酸エチル)中、アクリルポリオールにイソシアネート化合物としてキシリレンジイソシアネート(XDI)をアクリルポリオールのOH基に対してNCO基が等量になるように添加した。この混合溶液を希釈溶媒で固形分10質量%の濃度に希釈したものを塗布液Fとした。
(延伸ポリエチレンフィルム:第一基材層用)
高密度ポリエチレン(HDPE、密度:0.958g/cm)、及び中密度ポリエチレン(MDPE、密度:0.940g/cm)を用いて、インフレーション成形法により、ポリエチレンフィルム(厚さ:HDPE/MDPE/HDPE=45μm/140μm/45μmの3層構成)を作製した。作製したポリエチレンフィルムを長手方向(MD)及び幅方向(TD)に、3倍の延伸倍率で延伸し、厚さ25μmの第一基材層用フィルムを得た。
(無延伸ポリエチレンフィルム:第一基材層又は第二基材層用)
高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンを用いて、インフレーション成形法により、ポリエチレンフィルム(厚さ:HDPE/MDPE/HDPE=5μm/15μm/5μmの3層構成)を作製した。作製したポリエチレンフィルムに延伸処理は施さなかった。
表中、蒸着層及びガスバリア性被覆層のいずれも備えない第二基材層は、この無延伸ポリエチレンフィルムである。
(アンカーコート剤の調製)
アクリルポリオールとトリレンジイソシアネートとを、アクリルポリオールのOH基の数に対してトリレンジイソシアネートのNCO基のモル数が等量となるように混合し、全固形分(アクリルポリオール及びトリレンジイソシアネートの合計量)が5質量%になるよう酢酸エチルで希釈した。希釈後の混合液に、さらにβ-(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランを、アクリルポリオール及びトリレンジイソシアネートの合計量100質量部に対して5質量部となるように添加し、これらを混合することでアンカーコート剤を調製した。
(オーバーコート剤の調製)
下記のI液、II液、及びIII液を、それぞれ70/20/10の質量比で混合することで、オーバーコート剤を調製した。
I液:TEOS17.9gとメタノール10gに0.1N塩酸72.1gを加えて30分間攪拌して、TEOSを加水分解させた固形分5質量%(SiO換算)の加水分解溶液。
II液:ポリビニルアルコールの5質量%水/メタノール溶液(水:メタノールの質量比は95:5)。
III液:1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを水/イソプロピルアルコールの混合液(水:イソプロピルアルコールの質量比は1:1)で固形分5質量%に希釈した加水分解溶液。
(第二基材層Aの作製)
両面にコロナ処理を施した無延伸ポリエチレンフィルムの一方の面に、アンカーコート剤をグラビアコート法により塗布、乾燥し、厚さ0.1μmのアンカーコート層を設けた。次に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、酸化珪素からなる厚さ30nmの透明な蒸着層をアンカーコート層上に形成した。蒸着層のO/Si比は、蒸着材料種を調整することにより1.8とした。蒸着層の上にオーバーコート剤をグラビアコート法により塗布して乾燥し、ガスバリア機能を有する厚さ0.3μmのガスバリア性被覆層(オーバーコート層)を形成した。以上により、酸化珪素からなる蒸着層が形成された第二基材層Aを得た。
表中、酸化珪素(シリカ)蒸着層及びガスバリア性被覆層を備える第二基材層が第二基材層Aである。
(第二基材層Bの作製)
両面にコロナ処理を施した無延伸ポリエチレンフィルムの一方の面に、アンカーコート剤をグラビアコート法により塗布、乾燥し、厚さ0.1μmのアンカーコート層を設けた。次に、アルミニウムを蒸着源とした電子線加熱方式による真空蒸着装置により、酸化アルミニウムからなる厚さ10nmの透明な蒸着層をアンカーコート層上に形成した。蒸着層のO/Al比は、酸素導入量を調整することにより1.5とした。さらに蒸着層の上にオーバーコート剤をグラビアコート法により塗布して乾燥し、ガスバリア機能を有する厚さ0.3μmのガスバリア性被覆層(オーバーコート層)を形成した。以上により、酸化アルミニウムからなる蒸着層が形成された第二基材層Bを得た。
表中、酸化アルミニウム蒸着層及びガスバリア性被覆層を備える第二基材層が第二基材層Bである。
(第二基材層Cの作製)
ガスバリア性被覆層を形成しなかったこと以外は、第二基材層Aと同様にして第二基材層Cを得た。
表中、酸化珪素(シリカ)蒸着層を備えかつガスバリア性被覆層を備えない第二基材層が第二基材層Cである。
(接着剤Aの調製)
三井化学社製のタケラックA525 100質量部に対し、三井化学社製のタケネートA52 11質量部及び酢酸エチル84質量部を混合して、ウレタン系接着剤である接着剤Aを調製した。
表中、ウレタン系接着剤と記載されているものが接着剤Aである。
(接着剤B)
三菱ガス化学社製のマクシーブC93T 16質量部と、三菱ガス化学社製のマクシーブM-100 5質量部とを混合して、エポキシ系ガスバリア性接着剤である接着剤Bを調製した。
表中、エポキシ系接着剤と記載されているものが接着剤Bである。
(シーラント層)
片面にコロナ処理を施した無延伸ポリエチレンフィルム(直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度:0.916g/cm)の単層構成、厚さ20μm、60μm又は150μm)を準備した。
(実施例1-1)
第一基材層用に準備した延伸ポリエチレンフィルムの両面にコロナ処理を施した。反転装置(ターンバー)付きグラビア印刷機を用いて、第一基材層の内面側のコロナ処理面に、ウレタン系インキを使用して、グラビア印刷法により印刷層(厚さ1μm)として画像を形成した後、第一基材層の外面側のコロナ処理面に、保護層形成用塗布液として準備した塗布液Aを、グラビアコート法により塗布した後硬化させ、厚さ0.5μmの保護層を形成した。
次に、接着剤Aを用いたドライラミネート法により、第一基材層の印刷層が形成された面と、第二基材層Aの蒸着層が形成されていないコロナ処理面とを接着した。該接着層を第一の接着層とした。第一の接着層の厚さは3μmであった。
さらに、接着剤Aを用いたドライラミネート法により、第二基材層Aのガスバリア性被覆層側の面と、シーラント層である無延伸ポリエチレンフィルム(厚さ60μm)のコロナ処理面とを接着した。該接着層を第二の接着層とした。第二の接着層の厚さは3μmであった。以上により包装材料用の積層体を得た。
(実施例1-2~比較例2-5)
積層体の構成を表1~8に示すように変更したこと以外は、実施例1-1と同様にして積層体を得た。
(実施例7-1)
第二基材層Aの蒸着層を形成した側と反対のコロナ処理面に、保護層形成用塗布液として準備した塗布液Aを、グラビアコート法により塗布した後硬化させ、厚さ0.3μmの保護層を形成した。さらに、接着剤Aを用いたドライラミネート法により、第二基材層Aガスバリア性被覆層側の面と、シーラント層である無延伸ポリエチレンフィルム(厚さ20μm)のコロナ処理面とを接着した。以上により包装材料用の積層体を得た。
(実施例7-2~比較例4-4)
積層体の構成を表9~12に示すように変更したこと以外は、実施例7-1と同様にして積層体を得た。
<評価>
各実施例及び比較例の積層体に対し、以下の評価を行った。結果を表1~12に示す。
(リサイクル性)
下記式(1)に基づき、各例の積層体に占めるポリエチレンの割合(質量%)を算出した。評価は、以下の2段階とした。
(基材層の質量+シーラント層の質量)/積層体全体の質量×100 …(1)
A:ポリエチレンの含有割合が90質量%以上。
C:ポリエチレンの含有割合が90質量%未満。
(画像の視認性)
印刷層が設けられた例(実施例1-1~比較例2-5)の積層体について、保護層側から画像を目視により確認し、画像の視認性を官能評価した。
A:画像が明瞭に視認できる。
B:画像が明瞭に視認できない(曇って見える)。
(突き刺し強度)
各例の積層体について、JIS Z 1707:2019に準拠して突刺し強度を測定した。各例に係る積層体にテンションを掛けて平坦に保持し、直径1.0mm、先端が半径0.5mmの半球状の針を保護層側から50mm/分で押し当て、突き破られた際の力量(ニュートン:N)を測定した。
(ヒートシール性の評価)
作製した積層体をそれぞれ10cm角に切り出し、シーラント層が内側になるように二つ折りし、ヒートシールテスターを用いて、温度140℃、圧力0.1MPa、加熱時間1秒の条件にてヒートシールした。ただし、ヒートシール層の厚さが150μmである例の加熱時間は3秒とした。得られたサンプルのヒートシール部を目視により観察し、ヒートシールバーへの積層体材料の付着の有無、及び、ヒートシール部のシワの有無を確認した。評価は、以下の基準に基づいて行った。
(1)ヒートシールバーへの付着
S:ヒートシールバーへの積層体材料の溶融付着が認められない。
A:ヒートシールバーへの積層体材料の溶融付着がほぼ認められない。
C:ヒートシールバーへの積層体材料の溶融付着が認められる。
(2)ヒートシール部のシワ
S:ヒートシール部にシワが認められない。
A:ヒートシール部にシワがほぼ認められない。
C:ヒートシール部にシワが認められる。
(耐衝撃性)
ヒートシール性が良好であった各例の積層体を用いて、周縁部がヒートシールされた100mm×150mmの包装袋を10個作製した。ヒートシールは、上記ヒートシール性の評価と同じ条件で行った。この包装袋に蒸留水200gを充填してヒートシールにより封止し、5℃で1日保存した。保存後に各包装袋を1.5mの高さから50回落下させ、破袋した包装袋の数を記録した。
(耐熱水性-1)
ヒートシール性が良好であった各例の積層体を用いて、周縁部がヒートシールされた100mm×150mmの包装袋を10個作製した。ヒートシールは、上記ヒートシール性の評価と同じ条件で行った。この包装袋に蒸留水200gを充填してヒートシールにより封止し、80℃の温水に浸漬し、30分間のボイル殺菌処理を行い、処理後の包装袋表面状態を観察した。評価は、以下の基準に基づいて行った。
S:処理前後で保護層外観に違いが認められない。
A:保護層外観にほぼ違いが認められない。
C:保護層に剥がれ、浮き、荒れを認める。
(耐熱水性-2)
耐熱水性-1と同様にボイル殺菌処理を行った試料について、JIS K 5600-5-6:1999に準じて、クロスカット試験を行い、保護層のボイル殺菌処理後の密着性を評価した。
すなわち、ボイル殺菌処理を行った包装袋表面(保護層面)に、2mm間隔の6枚の刃をもつ多重刃カッターを用いて、基材層まで達する格子状の切れ目を入れ、碁盤目を形成した。碁盤目部分にセロハンテープを圧着させた後に剥離し、ブラッシング直後の表面状態をルーペで確認し、以下の基準に基づいて評価した。
S:どの碁盤目にも、保護層の剥がれが認められない。
A:碁盤目の5%未満に、保護層の剥がれを認める(カットの交差点のわずかな剥がれを認める)。
C:碁盤目の5%以上に、保護層の剥がれを認める。
(酸素透過度:OTR)
モコン法により、30℃、70%RH(相対湿度)の条件下で、酸素透過度を測定した。但し、蒸着層を有しない積層体については、酸素透過度を測定しなかった。
(水蒸気透過度:WVTR)
モコン法により、40℃、90%RH(相対湿度)の条件下で、水蒸気透過度を測定した。但し、蒸着層を有しない積層体については、水蒸気透過度を測定しなかった。
10…保護層、20…基材層、21…第一基材層、22…第二基材層、30…シーラント層、40…蒸着層、50…ガスバリア性被覆層、100,110…積層体。

Claims (11)

  1. 保護層と、基材層と、シーラント層と、をこの順で備え、
    前記基材層及び前記シーラント層がポリエチレンを含み、
    前記保護層が、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物と、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物の加熱硬化物であり、
    積層体に占めるポリエチレンの割合が90質量%以上である、積層体。
  2. 前記金属アルコキシドがテトラエトキシシランを含む、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記シランカップリング剤が、イソシアネート基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種を有する、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記基材層と前記シーラント層との間に蒸着層を備える、請求項1又は2に記載の積層体。
  5. 前記蒸着層が金属酸化物を含む、請求項4に記載の積層体。
  6. 前記保護層の厚さが、前記積層体の総厚の0.4~2.0%である、請求項1又は2に記載の積層体。
  7. 前記基材層が、高密度ポリエチレン又は中密度ポリエチレンを含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  8. 前記シーラント層が、低密度ポリエチレンを含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  9. 前記基材層及び前記シーラント層の少なくとも一方が、無延伸ポリエチレンフィルムからなる層である、請求項1又は2に記載の積層体。
  10. 前記基材層が、前記保護層側の第一基材層及び前記シーラント層側の第二基材層を含み、
    前記第一基材層が延伸ポリエチレンフィルムからなる層であり、前記第二基材層が無延伸ポリエチレンフィルムからなる層である、請求項1又は2に記載の積層体。
  11. 請求項1又は2に記載の積層体を製袋してなる包装袋。
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