JP2002146711A - 連結式床板構造体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 変形を防止して耐用年数を高めることがで
き、且つ施工精度を高めることができる連結式床板構造
体を提供する。 【解決手段】 床面の一部を構成する床用プレート2a
と、その床用プレートの投影面積内に収めるようにして
枠状に組み合わされる枠組み部材2cと、その枠組み部材
を水平方向に連結するための連結用受桁とを有し、床用
プレート2aの下面に枠組み部材2cを固定して床板構造体
2を構成するとともに、その床板構造体を連結用受桁上
に敷設するとともにその連結用受桁と枠組み部材2cとを
接続することにより、連続する床面を形成するようにし
たことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、架設道路、架設ス
テージ、建築物の基礎等を構成するのに好適である連結
式床板構造体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、交通を遮断することなく地下鉄工
事を施工する際に仮設の道路として覆工板が使用されて
いる。この種の覆工板は、掘削溝に構築された受桁間に
跨った状態で多数枚敷き詰められるようにパネル構造と
なっており、大型車両の通行に耐えるよう強度、剛性に
優れたＨ形鋼が母材として使用されている。

【０００３】詳しくは、図４に示すように、Ｈ形鋼５０
をその幅方向に複数個連結して断面格子状に組み合わ
せ、各フランジ部５０ａの突き合わせ部分を溶接５１に
より接合することにより、全体として例えば幅１m×長
さ２mのパネル状に構成されている。なお、図中５２は
補強材であり、また、５３は、受桁に載置された覆工板
の位置ずれを防止するためのストッパでありＬ形アング
ルで構成されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た覆工板では、図５に示すように接合部分に溶接ビード
５１が突出することになり、Ｈ形鋼５０上面に、通行車
両のスリップを防止する滑止めプレート（図示しない）
を積層すると、滑止めプレートにがたつきが発生した
り、また、溶接ビード５１に局部的に荷重Ｗが加わるこ
とにより覆工板が変形する虞れがある。しかも、この種
の覆工板は、通常、受桁上に載置されたままで固定され
ていないため、変形が進むと大型車両の通過時に覆工板
がはね上がったり、また、騒音や振動を発生することに
なる。

【０００５】また、この種の覆工板は、複数のＨ形鋼の
フランジ部５０ａを順次溶接していくことにより組み立
てられるため、加工誤差の発生が避けられない。従っ
て、各覆工板の寸法が不揃いになって、連結作業を行う
際に或いは敷設された覆工板の一部を交換する際に手間
取るという問題もある。

【０００６】本発明は以上のような従来の覆工板におけ
る課題を考慮してなされたものであり、変形を防止して
耐用年数を高めることができ、また、寸法精度を高める
ことによって連結作業を簡便に行うことのできる連結式
床板構造体を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、床面の一部を
構成する床用プレートと、その床用プレートの投影面積
内に収めるようにして枠状に組み合わされる枠組み部材
と、その枠組み部材を水平方向に連結するための連結用
受桁とを有し、上記床用プレートの下面に上記枠組み部
材を固定して床板構造体を構成するとともに、その床板
構造体を上記連結用受桁上に敷設するとともにその連結
用受桁と上記枠組み部材とを接続することにより、連続
する床面を形成するようにした連結式床板構造体であ
る。

【０００８】本発明において、上記枠組み部材は、フラ
ンジ部を垂直または水平にして配列される複数の主Ｈ形
鋼と、フランジ部を水平または垂直にしてその主Ｈ形鋼
を接続する補助Ｈ形鋼とから構成することが好ましい。

【０００９】本発明において、上記床用プレート上に、
滑りを防止するための滑止めプレートを付設することが
できる。この場合、床用プレートに貫通孔を有し、滑止
めプレートの下面にその貫通孔に対応してねじ部を垂下
させることが好ましい。

【００１０】本発明の連結式床板構造体に従えば、例え
ば受桁等の支持部材に上記連結用受桁を所定の配置で架
設し、その連結用受桁に対し床板構造体の枠組み部材を
固定していけば床用プレートが正確に接続され、連続す
るフラットな床面が形成される。

【００１１】上記枠組み部材を、主Ｈ形鋼と補助Ｈ形鋼
とで組み合わせた本発明に従えば、枠組み部材の剛性を
高めることができる。

【００１２】上記床用プレート上に滑止めプレートを付
設した本発明に従えば、架設道路である覆工板として利
用することができる。また、床用プレート表面にはビー
ドが一切発生しないため、滑止めプレートを付設した場
合にがたつきの発生を防止することができる。

【００１３】床用プレートに貫通孔を設け、その貫通孔
に対し、滑止めプレートのねじ部を係合させる本発明に
従えば、床板構造体と滑止めプレートとを簡便に位置決
めすることができ、さらにそのねじ部にナットを螺合さ
せて締め付ければ、両者を固定することができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、図面に示した実施の形態に
基づいて本発明を詳細に説明する。

【００１５】図１は、本発明の床板構造体を覆工板とし
て使用する場合の施工方法を示したものである。同図
（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図であり、掘削溝内に主
要受桁１を構築し、その主要受桁１と直交する方向（Ｘ
方向）に、床板構造体２を連結するための連結用受桁３
が架設されている。

【００１６】床板構造体２は、上記連結用受桁３上に複
数枚Ｘ方向に並べて敷設されるようになっている。この
床板構造体２の床板プレート２ａは例えば幅2000mm×長
さ6000mmの定尺鋼板からなり、この床板プレート２ａ上
に滑止めプレート２ｂが積層される。積層プレート２ｂ
のサイズは例えば2000mm×2000mmからなり、Ｙ方向に敷
設される（本実施形態では３枚）ようになっている。な
お、図１では説明のために滑止めプレート２ｂを一部取
外した状態を示している。また、上記床板プレート２ａ
付きの枠組み部材２ｃを床板構造体２と呼び、その床板
構造体２に滑止めプレート２ｂが付設されたものを覆工
板と呼ぶ。

【００１７】以下、覆工板の各部の構成を図２を参照し
ながら説明する。

【００１８】床用プレート２ａの投影面積内に収まるよ
うにしてその下方に枠組み部材２ｃが配置される。この
枠組み部材２ｃは、例えばフランジ幅Ｗ：200mm×高さ
Ｈ：200mmからなる主Ｈ形鋼４をＹ方向に５本平行に配
置し、それらの主Ｈ形鋼４を、さらに同種のＨ形鋼を短
尺に切断した補助Ｈ形鋼５を用い溶接によって接続する
ことにより、平面から見て格子状に組立てられている。

【００１９】各主Ｈ形鋼４はそのフランジ部４ａを垂直
方向にして配置されており、一方、各補助Ｈ形鋼５はそ
のフランジ部５ａを水平方向にして配置されている。補
助Ｈ形鋼５は、主Ｈ形鋼４の長手方向に所定の間隔を空
けて複数配設されており、補助Ｈ形鋼５の下側のフラン
ジ部５ａには固定用孔６が穿設されている。

【００２０】この固定用孔６は床板構造体２を上述した
連結用受桁３に固定するためのものであり、詳しくはそ
の固定用孔６と連結用受桁３に穿設された固定用孔（図
示しない）とを対向させ、両固定用孔に固定ボルト（図
示しない）のねじ部を挿通し、そのねじ部にナットを螺
合させて締め付け固定することにより、床板構造体２を
連結用受桁３に固定することができるようになってい
る。

【００２１】また、図中７は、枠組み部材２ｃのＹ方向
各端部を補強するために配置されるＣ形鋼である。８
は、主Ｈ形鋼４におけるフランジ部４ａの下端同士を連
結している補強板であり、枠組み部材２ｃのＹ方向の剛
性を高めるものである。

【００２２】このようにして構成される枠組み部材２ｃ
は、床用プレート２ａの下面に溶接される。すなわち、
本実施形態における床板構造体２の特徴は、床用プレー
ト２ａ表面にビードが一切現れないようにしている点に
ある。

【００２３】上記床用プレート２ａの各コーナー部分に
は滑止めプレート２ｂを固定するための貫通孔９が４箇
所形成されており、以下、その滑止めプレート２ｂの構
成について説明する。

【００２４】滑止めプレート２ｂは、床用プレート２ａ
と同じサイズ（2000mm×2000mm）からなる正方形の底板
１０ａと、その底板１０ａの四辺から立ち上げられた枠
板１０ｂを有し、浅皿状に形成されたその内部に滑り止
め用としての舗装材１１が充填されている。なお、図中
１２は、上記貫通孔９に対応して底板１０ａ下面から垂
下された固定ねじであり、この固定ねじ１２を床用プレ
ート２ａの貫通孔９に挿通し、床用プレート２ａの下面
から突出するその固定ねじ１２にナットを螺合し締め付
けることにより、床用プレート２ａに滑止めプレート２
ｂを固定することができるようになっている。ただし、
貫通孔９は、枠組み部材２ｃの下側からナットを取り付
けることができるように主Ｈ形鋼４の間に穿設するもの
とする。

【００２５】上記舗装材１１の材料としては、例えば、
セメントモルタル、コンクリート、アスファルト等が示
されるが、これらに限らず、樹脂に珪砂を混合させたも
のや樹脂コンクリート等も挙げられる。要するに底板１
０ａに固着でき、且つ耐摩耗性に優れて滑り止め機能を
長期に発揮するものであれば、任意の舗装材を使用する
ことができる。

【００２６】本実施形態の床用プレート２ａの表面には
前述した通り、溶接ビードが存在しないため、上記滑止
めプレート２ｂを付設する場合であっても滑止めプレー
ト２ｂのがたつきが発生しないという利点がある。ま
た、枠組み部材２ｃは、床用プレート２ａの投影面積内
に組み立てられているため、床板構造体２を多数連結す
る場合でも、枠組み部材２ｃの加工誤差が施工精度に影
響することがない。すなわち、床板構造体２を連結する
場合の施工精度を高めることができる。従って、従来の
覆工板では１枚のパネルサイズは１ｍ×２ｍが限界であ
ったが、本発明では２ｍ×６ｍのサイズに拡張すること
ができる。

【００２７】また、本発明の連結式床板構造体は上記覆
工板に限らず、以下に示すように多目的に使用すること
ができる。

【００２８】(ａ)立体駐車場として使用する場合 駐車スペースに立設された支柱に主要受桁を架設し、そ
の主要受桁に上記連結用受桁３を架設し、床板構造体２
を敷設して連結すれば、立体駐車場を構築することがで
きる。

【００２９】この場合、床用プレート２ａとしては滑り
止め処理が施された縞鋼板を使用することが好ましい。

【００３０】また、本発明の床板構造体２は枠組み部材
２ｃの剛性が高いため、大型車両が搬入または搬出され
ても変形が生じにくく、しかも連結部分に隙間が発生し
ないため、安全且つ円滑に立体駐車場を構成することが
できる。

【００３１】(ｂ)野外ステージとして使用する場合 例えば演奏会場となる空き地に、足場を組み立て、その
足場に連結用受桁を架設し、その連結用受桁に床板構造
体２を敷設して固定すれば、野外ステージを短時間で形
成することができる。しかも、連結された床板構造体２
には一切隙間が発生しないため、極めて安全な野外ステ
ージを構成することができる。また、解体時には運搬が
容易な一定のサイズに分解できるため、迅速に搬出する
ことが可能になる。

【００３２】なお、この場合の枠組み部材２ｃは、軽量
化を図るためにＨ形鋼に代えて角パイプを使用すること
もできる。

【００３３】(ｃ)構造物の基礎として使用する場合 地形上、平面が確保できない傾斜地に対し、上端を結ぶ
線が水平となるように複数の杭を打ち込み、各杭を主要
受桁で接続し、その主要受桁に連結用受桁３を架設し、
その連結用受桁３上に床板構造体２を敷設して固定すれ
ば、大規模な地盤掘削作業を必要とせず、フラットな基
礎を簡単に形成することができる。

【００３４】この床板構造体２上を基礎として山荘を建
設することができる。また、庭、バルコニー、駐車場等
としても利用することもできる。

【００３５】図３は、上記野外ステージや構造物の基礎
を構成するにあたり、床面を矩形以外の形状、例えば三
角形に形成する場合の枠組み部材２ｃの構成を示したも
のである。

【００３６】同図において、枠組み部材２ｃは、三角形
の各辺に沿って配置される主Ｈ形鋼２０と、その主Ｈ形
鋼２０を平行して連結する複数の補助Ｈ形鋼２１とから
構成されている。この枠組み部材２ｃ上に三角形からな
る例えば縞鋼板２２が配置され、溶接によって接続され
る。

【００３７】このように構成することにより、任意の平
面形状からなる床板構造体２を得ることができる。

【００３８】(ｄ)小規模な道路として使用する場合 また、上記床板構造体２を一方向に帯状に連結すれば、
例えば山間部に架設の道路を簡単に施工することができ
る。また、災害時において道路が破壊された場合に、架
設道路として使用することもできる。

【００３９】なお、本発明において、滑止めプレート２
ｂと床用プレート２ａは、上記実施形態に示したように
ボルト、ナットを用いて接合することが好ましいが、こ
れに限らず、例えば突出ピン及びそれに係合する筒穴等
のように、滑止めプレートが車両の走行によって位置ず
れ、離脱しないものであれば任意の固定手段を使用する
ことができる。

【００４０】また、舗装材１１は、軽量化を図ることを
目的として比重の軽い例えば蒸気養生気泡コンクリート
を底板４ａ上に敷き詰め、その上面にアスファルト舗装
したもので構成することもできる。

【００４１】なお、本発明の連結式床板構造体を形成す
るにあたり、上記実施形態では主Ｈ形鋼４のフランジ部
４ａを垂直方向に向けて枠組み部材２ｃを組み立てた
が、これに限らず、フランジ部４ａを水平方向に向けて
組み立てることもできる。また、必要に応じて床用プレ
ート２ａに吊りフック用の孔を設けることもできる。

【００４２】

【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
請求項１の本発明によれば、例えば主要受桁等の支持部
材に上記連結用受桁を所定の配置で架設し、その連結用
受桁に床板構造体を敷設していけば床用プレートが正確
に面一に連結され、フラットな床面が形成される。しか
も、床用プレート表面には溶接ビードが発生しないため
に床用プレートに対し荷重を均等に作用させることがで
き、それにより、床用構造体の変形を防止することがで
きる。

【００４３】請求項２の本発明によれば、上記枠組み部
材を、主Ｈ形鋼と補助Ｈ形鋼とで組み合わせたため、枠
組み部材の剛性を高めることができ、重量物に耐え得る
床面を構成することができる。

【００４４】請求項３の本発明によれば、床用プレート
上に滑止めプレートを付設したため、架設道路としての
覆工板として利用することができる。また、床用プレー
ト表面にはビードが一切発生しないため、滑止めプレー
トを付設した場合にがたつきの発生を防止することがで
きる。

【００４５】請求項４の本発明によれば、床用プレート
に貫通孔を設け、その貫通孔に対し、滑止めプレートか
ら垂下させたボルトを係合させるように構成したため、
床板構造体と滑止めプレートとを簡便に位置決めするこ
とができ、さらにそのボルトにナットを螺合させて締め
付ければ、両者を固定することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】(ａ)は本発明に係る連結式床板構造体が連結さ
れた状態を示す平面図、(ｂ)はその正面図示である。

【図２】図１に示す各床板構造体の構成を示す斜視図で
ある。

【図３】異形床板構造体の構成を示す平面図である。

【図４】従来の覆工板の構成を示す斜視図である。

【図５】図４に示す覆工板に発生する変形を説明する断
面図である。

【符号の説明】

１ 主要受桁 ２ 床板構造体 ２ａ 床用プレート ２ｂ 滑止めプレート ２ｃ 枠組み部材 ３ 連結用受桁 ４ 主Ｈ形鋼 ４ａ フランジ部 ５ 補助Ｈ形鋼 ５ａ フランジ部 ６ 固定用孔 ７ Ｃ形鋼 ８ 補強板 ９ 貫通孔 １０ａ 底板 １０ｂ 枠板 １１ 舗装材 １２ 固定ねじ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 床面の一部を構成する床用プレートと、
   その床用プレートの投影面積内に収めるようにして枠状
   に組み合わされる枠組み部材と、その枠組み部材を水平
   方向に連結するための連結用受桁とを有し、上記床用プ
   レートの下面に上記枠組み部材を固定して床板構造体を
   構成するとともに、その床板構造体を上記連結用受桁上
   に敷設するとともにその連結用受桁と上記枠組み部材と
   を接続することにより、連続する床面を形成するように
   したことを特徴とする連結式床板構造体。
2. 【請求項２】 上記枠組み部材が、フランジ部を垂直ま
   たは水平にして配列される複数の主Ｈ形鋼と、フランジ
   部を水平または垂直にしてその主Ｈ形鋼を接続する補助
   Ｈ形鋼とを有する請求項１記載の連結式床板構造体。
3. 【請求項３】 上記床用プレート上に、滑りを防止する
   ための滑止めプレートが付設される請求項１または２に
   記載の連結式床板構造体。
4. 【請求項４】 上記床用プレートに貫通孔を有し、上記
   滑止めプレートの下面にその貫通孔に対応してねじ部が
   垂下されている請求項３記載の連結式床板構造体。