JP2002146553A - 燃料タンク用アルミニウム系めっき鋼板 - Google Patents

燃料タンク用アルミニウム系めっき鋼板

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JP2002146553A JP2000338514A JP2000338514A JP2002146553A JP 2002146553 A JP2002146553 A JP 2002146553A JP 2000338514 A JP2000338514 A JP 2000338514A JP 2000338514 A JP2000338514 A JP 2000338514A JP 2002146553 A JP2002146553 A JP 2002146553A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プレス成形等の加工によってクラック等の欠
陥が化成処理皮膜に生じた場合にあっても欠陥を自己修
復し、内面及び外面共に優れた耐食性を維持する燃料タ
ンク用アルミニウム系めっき鋼板を提供する。 【構成】 Si:5〜13%を含むAl−Si合金めっ
き層が鋼板表面に形成され、表層のSi濃度が7〜80
%に調整された鋼板を基材とし、Ti及びMnの複合化
合物を含む化成処理皮膜が基材表面に形成されている。
Ti及びMnの複合化合物としては、酸化物,水酸化
物,リン酸塩,フッ化物,有機酸塩から選ばれた1種又
は2種以上がある。化成処理皮膜は、更にリン酸塩,複
合リン酸塩,潤滑剤等を含むことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内面及び外面共に耐食
性に優れた燃料タンク用アルミニウム系めっき鋼板に関
する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム系めっきを施したままの鋼
板を湿潤雰囲気,排ガス雰囲気,海塩粒子飛散雰囲気等
に長時間放置すると、めっき層表面に白錆が発生し外観
が劣化する。アルミニウム系めっき鋼板をクロメート処
理することにより白錆の発生を防止できるが、クロメー
ト処理ではCr含有廃液の処理に多大な負担が強いられ
る。Crフリーの化成処理皮膜としては、チタン系,ジ
ルコニウム系,リン酸塩系等の薬液を使用した皮膜が開
発され、アルミニウム製DI缶に適用されている。たと
えば、チタン系では、チタン化合物,燐酸硫黄,フッ化
物,促進剤を含む水溶液をアルミニウム含有金属材料に
接触させ、水洗・乾燥することによって化成処理皮膜を
形成している(特開平9−20984号公報)。
【0003】ところが、Crフリーの化成処理が施され
たアルミニウム系めっき鋼板をプレス成形して自動車用
燃料タンクを製造する場合、カジリ,クラック等の欠陥
が化成処理皮膜やめっき層に生じやすい。具体的には、
自動車用燃料タンクの製造では、プレス成形したアッパ
ーハーフ1u及びロアハーフ1dをシーム溶接すること
により燃料タンク本体1とし、インレットパイプ2,フ
ュエルパイプ3,フュエルリターンパイプ4,サブタン
ク5,ドレーンプラグ6等の各種部材を取り付ける(図
1)。アッパーハーフ1u及びロアハーフ1dの形状に
アルミニウム系めっき鋼板を成形するプレス加工は伸
び,圧縮等が複合された複雑な塑性変形を伴う加工であ
る。そのため、従来のCrフリー化成処理皮膜では潤滑
性が不足し,プレス油を塗布した場合にあっても加工時
の塑性変形にアルミニウム系めっき層や化成処理皮膜が
追従できず、カジリ,クラック等の欠陥が発生しやす
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】欠陥発生個所では、ア
ルミニウム系めっき層及び化成処理皮膜本来の長所が発
現されず、燃料タンクが腐食環境に曝されたとき腐食発
生の起点となり、穴開きに至る腐食が生じることもあ
る。また、アルコール系燃料が使用される燃料タンクで
は、アルミニウム系めっき層の犠牲防食作用を期待でき
ず、プレス成形時に生じた欠陥発生個所で露出している
鋼素地の腐食が進行し、耐久性が低下する。
【0005】クロメート皮膜の上に高分子樹脂粉末を含
む有機樹脂皮膜を形成してアルミニウム系めっき鋼板表
面の潤滑性を改善することにより、カジリ,クラック等
の欠陥発生を抑制できる(特開平8−41651号公
報,特開平8−319550号公報)。有機樹脂皮膜
は、欠陥発生の抑制には有効であるものの、燃料タンク
製造時のシーム溶接やスポット溶接工程で熱分解してヒ
ュームや臭気を発生させ、作業環境を悪化させる。しか
も、下地めっき層の腐食等に起因してアルミニウム系め
っき層に対する有機樹脂皮膜の密着性が低下する。その
結果、脱落した有機樹脂皮膜片が燃料に混入すると、フ
ィルタの目詰り等のトラブルを発生させることにもなり
かねない。この点、脱膜型の有機樹脂皮膜を採用し、プ
レス成形後に有機樹脂皮膜を除去することも提案されて
いるが、脱膜工程を必要とすることから作業性及び製造
性に問題がある。
【0006】なかでも、チタン系皮膜は、従来のクロム
系皮膜と同様に酸化物や水酸化物からなる重合酸化物に
なりやすく、バリア性に優れた連続皮膜となることによ
ってめっき鋼板の耐食性を向上させると考えられている
が、クロム系の重合酸化物と異なり水に難溶性であるた
め自己修復機能を備えていない。その結果、皮膜欠陥部
を起点とする腐食の進展に対して有効な抑制作用が得ら
れない。
【0007】また、汎用のロールコート法やスプレーリ
ンガー法等でCrフリーの化成処理液をアルミニウム系
めっき鋼板に塗布する場合、少ない塗布量ではAl露出
部の発生が避けられない。Al露出部は腐食の起点やプ
レス加工時にカジリの起点となり、化成処理皮膜やめっ
き層が損傷する原因となる。逆に塗布量を多くして厚い
化成処理皮膜を形成すると、プレス成形時に化成処理皮
膜にクラック等の欠陥が発生しやすくなり、不充分な自
己修復作用と相俟って耐食性を低下させる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、鋼板表面に形成
するアルミニウム系めっき層を特定すると共にTi及び
Moの複合化合物皮膜を形成することにより、プレス成
形時の化成処理皮膜やめっき層の損傷を軽減し、且つ化
成処理皮膜にクラック等の欠陥が生じた場合にあっても
皮膜欠陥を自己修復し、大きな加工を受ける内面側でも
優れた耐食性を維持する燃料タンク用アルミニウム系め
っき鋼板を提供することを目的とする。
【0009】本発明の燃料タンク用アルミニウム系めっ
き鋼板は、その目的を達成するため、Si:5〜13質
量%を含むAl−Si合金めっき層が鋼板表面に形成さ
れ、表層のSi濃度が7〜80質量%に調整された鋼板
を基材とし、Ti及びMnの複合化合物を含む化成処理
皮膜が基材表面に形成されていることを特徴とする。T
i及びMnの複合化合物としては、酸化物,水酸化物,
リン酸塩,フッ化物,有機酸塩から選ばれた1種又は2
種以上がある。化成処理皮膜は、更にリン酸塩,複合リ
ン酸塩,潤滑剤等を含むことができる。7〜80質量%
のSi濃度は、少なくとも表層から深さ100nmまで
の範囲で維持されることが好ましい。
【0010】
【作用】化成処理皮膜中で自己修復作用を呈する化合物
として、クロム化合物以外にマンガン化合物が知られて
いる。マンガン化合物は、化成処理皮膜中で一部自己修
復作用のある可溶成分になる。そこで、本発明者等は、
自己修復作用のあるマンガン系化成処理皮膜を形成する
化成処理液に種々の薬剤を添加し、耐食性に及ぼす影響
を調査検討した。その結果、マンガン系化成処理液にチ
タン塩を添加するとき、化成処理皮膜の溶出が抑制さ
れ、しかも耐食性回復に有効な自己修復作用が発現され
ることを見出した(特願2000−137136号)。
【0011】チタン塩の複合によりマンガン化合物化成
処理皮膜の安定性及び耐食性が向上するとの知見をベー
スにして、更に化成処理皮膜量が少ない場合でもアルミ
ニウム系めっき層の露出を防止できる方法を検討した。
その結果、めっき層表層にある程度Siを濃化させたA
l−Si合金めっき鋼板を基材とすることが有効である
ことが判った。表層のSi濃度は、次の理由から化成処
理皮膜の耐食性向上に働くものと推察される。
【0012】表層にSiが濃化したAl−Si合金めっ
き鋼板を化成処理液に接触させると、めっき層表面のA
lが選択的にエッチング除去され、金属Si主体の凸部
及びAlリッチの凹部が生成する。凹部には化成処理液
が溜まりやすいので、Alリッチな凹部が優先的にTi
及びMnの複合酸化物で被覆される。金属Si主体の凸
部及びAlリッチの凹部は、化成処理に先立つ酸洗,ア
ルカリ洗浄等で形成することも可能である。
【0013】この方法で化成処理皮膜を形成するとき、
めっき層表面は金属SiとTi,Mnの複合化合物皮膜
で覆われて硬質化すると共に、凹凸の形成で金型との接
触面積が低減するため、成形加工時等に摺動抵抗が軽減
する。また、Alリッチな部位がめっき層の表層にほと
んど露出しないため、耐カジリ性も良好で、抵抗溶接時
には電極へのAlのピックアップが低減し、電極寿命も
長くなる。更には、凹凸のあるめっき層表面に後塗装を
施す場合、表面のアンカー効果によって塗膜密着性も向
上する。しかも、プレス成形等の加工時における鋼板の
変形に化成処理皮膜が追従できずクラック等の皮膜欠陥
が発生しても、マンガン化合物の自己修復作用により皮
膜欠陥部が修復されるため、加工部耐食性も良好にな
る。
【0014】
【実施の形態】下地鋼には、低炭素鋼,中炭素鋼,高炭
素鋼,合金鋼等が使用される。なかでも、燃料タンクと
しての用途では良好なプレス成形性が要求されることか
ら、低炭素Ti添加鋼,低炭素Nb添加鋼等の深絞り用
鋼板が好ましい。下地鋼は、常法に従って溶融アルミニ
ウムめっきされるが、Al−Si合金めっき層のSi含
有量を5〜13質量%の範囲に調整することが好まし
い。Si含有量を5質量%以上とすることにより、めっ
き層表層にSiが濃化しやすくなると共に、下地鋼とめ
っき層との界面に生じ加工性に有害な合金層の成長が抑
制される。しかし、13質量%を超える過剰量のSiが
含まれると、溶融めっき後の冷却過程で初晶Siがめっ
き層に晶出し、加工性が著しく劣化する。
【0015】Si含有量を5〜13質量%に調整したA
l−Si合金めっき鋼板を溶融めっき浴から引き上げ、
冷却速度等を調整することによって予めめっき層の表層
にSiを濃化させた後、酸洗,アルカリ洗浄等を施すこ
とにより金属Si主体の凸部及びAlリッチの凹部がめ
っき層の表層に形成される。酸洗,アルカリ洗浄等で金
属Si主体の凸部及びAlリッチの凹部を形成する場
合、水洗,乾燥工程を必要とする。他方、Alに対して
エッチング作用のある化成処理液を使用する場合、化成
処理液をめっき層に塗布して乾燥させる化成処理皮膜の
生成過程で表層のAlが選択的にエッチング除去され、
Alリッチの凹部が形成される。
【0016】金属Si主体の凸部及びAlリッチの凹部
がめっき層の表層に分散している状況は、AES分析法
を用いて1000μm四方のエリアを走査・分析し、同
様にArスパッタで表層から100nmの深さまで繰返
し分析することにより確認できる。本発明者等による実
験結果からすると、めっき層の表層から100nmまで
の深さにおけるSi濃度を7質量%以上にするとき、目
標とする平坦部耐食性及び加工部耐食性が得られること
が判った。しかし、表層のSi濃度が80質量%を超え
るまでAlがエッチング除去されると、めっき層の表層
が脆くなり、プレス加工時等の際に鋼板が変形すると化
成処理皮膜が脱落しやすくなる。
【0017】チタン及びマンガンの酸化物,水酸化物,
リン酸塩,フッ化物,有機酸塩の1種又は2種以上を含
む複合化合物皮膜は,基材表面にチタン化合物及びマン
ガン化合物を含む水溶液を基材表面に塗布し、乾燥する
ことによって形成される。チタン化合物には、K2Ti
6,TiOSO4,(NH4)2TiF6,K2[TiO(CO
O)2],TiCl4,Ti(SO4)2,Ti(OH)4等があ
る。Mn化合物には、Mn(H2PO4)2,MnCO3,M
n(NO3)2,Mn(OH)2,MnSO4,MnCl2,M
n(C232)2等がある。
【0018】マンガン化合物は、好ましくはMn濃度
0.1〜100g/lで化成処理液に含まれる。0.1
g/lに達しないMn濃度では十分な耐食性を呈するM
n付着量が得られ難く、逆に100g/lを超えるMn
濃度では化成処理液の安定性が低下しやすい。チタン化
合物は、好ましくはTi/Mnのモル比が0.05〜2
となるように添加される。Ti/Mnのモル比が0.0
5以上になると,チタン化合物の複合による効果、すな
わち化成処理皮膜の自己修復作用を損なうことなく耐食
性を向上させる効果が顕著になる。他方、2を越えるT
i/Mnのモル比では、Ti化合物に起因する耐食性向
上効果はみられるものの、化成処理液が不安定になりや
すく、製造コストも高くなる。
【0019】難溶性リン酸塩を生成する成分となるリン
酸又はリン酸塩を化成処理液に添加すると、耐食性に一
層優れた化成処理皮膜が生成する。リン酸塩には、リン
酸マンガン,リン酸二水素ナトリウム,リン酸水素二ナ
トリウム,リン酸マグネシウム,リン酸二水素アンモニ
ウム等がある。リン酸又はリン酸塩は、好ましくはP/
Mnのモル比が0.2〜4となるように化成処理液に添
加される。P/Mnのモル比が0.2以上になると化成
処理皮膜の耐食性向上に及ぼすリン酸塩の効果が顕著に
なるが、4を超えるP/Mnのモル比では化成処理液が
不安定化しやすくなる。
【0020】Alに対するエッチング成分としてフッ化
物を化成処理液に添加する場合、KF,NaF,NH4
F等のフッ素イオンを解離しやすいフッ化物が使用され
る。これらフッ化物は、単独添加又は系フッ化物等の解
離係数の小さなフッ化物と併用して化成処理液に添加で
き、チタンやマンガンのフッ化物も使用可能である。フ
ッ化物は、F/Mnのモル比が10以下となる添加量で
化成処理液に添加することが好ましい。
【0021】チタン,マンガン等の難溶性金属を金属イ
オンとして化成処理液中に安定的に維持させるため、キ
レート作用のある有機酸を更に化成処理液に添加するこ
とが好ましい。有機酸としては、酒石酸,タンニン酸,
クエン酸,マロン酸,乳酸,酢酸等がある。有機酸は、
好ましくは有機酸/Mnのモル比が0.05〜1となる
ように化成処理液に添加される。金属イオンをキレート
化して化成処理液を安定化する有機酸の作用は、0.0
5以上の有機酸/Mnのモル比で顕著になるが、1を超
える有機酸/Mnのモル比では化成処理液のpH値が低
下し、連続処理性が悪くなる。
【0022】化成処理液には、好ましくはpH1〜6と
なるように所定量のチタン化合物,マンガン化合物,リ
ン酸又はリン酸塩,フッ化物,有機酸等が添加される。
化成処理液のpHが1未満ではAlの溶出量が多くなり
すぎて連続処理性が低下し、逆に6を超えるpHではチ
タン化合物の析出により化成処理液の安定性が低下す
る。調製された化成処理液は、ロールコート法,スピン
コート法,スプレー法等でAl−Si合金めっき鋼板に
塗布され,水洗することなく乾燥される。乾燥後、耐食
性に優れた化成処理皮膜がめっき層表層に形成される。
化成処理液の塗布量は、十分な耐食性を確保する上でM
n換算付着量で1mg/m2以上となるように調整する
ことが好ましい。耐食性に及ぼす塗布量の影響は、Mn
換算付着量1000mg/m2で飽和し、それ以上の付
着量で化成処理皮膜を形成しても厚膜化に見合った耐食
性の向上はみられない。
【0023】化成処理皮膜は、常温乾燥も可能である
が、連続操業を考慮すると50℃以上に保持して乾燥時
間を短縮することが好ましい。しかし、200℃を超え
る乾燥温度は、有機物を含む化成処理皮膜の場合に有機
物を熱分解し、皮膜の耐食性を低下させる原因ともな
る。化成処理皮膜に潤滑剤を添加すると、潤滑性が向上
し、プレス加工時等において化成処理皮膜やめっき層の
損傷が軽減される。潤滑剤としては、フッ素樹脂,ポリ
エチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、A
BS,ポリスチレン等のスチレン樹脂、塩化ビニル,塩
化ビニリデン等のハロゲン化樹脂等の合成樹脂粉末が使
用される。また、シリカ,二硫化モリブデン,黒鉛,二
硫化タングステン等の無機系粉末も潤滑剤として使用で
きる。潤滑剤添加による加工性向上効果は、化成処理皮
膜に対する潤滑剤の配合量1質量%以上で顕著になる
が、25質量%を超える過剰な配合量では化成処理皮膜
の造膜性が阻害され耐食性が低下する。
【0024】燃料タンクの使用環境や製造工程によって
は、化成処理皮膜を形成した後、プレス成形性,耐食
性,抵抗溶接性等を向上させるため、必要に応じて有機
皮膜を設けても良い。この種の有機皮膜としては、たと
えばウレタン系樹脂,エポキシ樹脂,ポリエチレン、ポ
リプロピレン,エチレン−アクリル酸共重合体等のオレ
フィン系樹脂,ポリスチレン等のスチレン系樹脂,ポリ
エステル,或いはこれらの共重合物又は変性物,アクリ
ル系樹脂等がある。有機樹脂皮膜としては、アルカリ洗
浄で容易に除去できるアルカリ可溶タイプ又は非可溶タ
イプの何れであってもよい。アクリル酸量を多くすると
アルカリ可溶タイプになり、少なくすると非可溶タイプ
になる。有機樹脂皮膜は、ロールコート法や静電霧化に
よって膜厚0.1〜5μmで化成処理皮膜の上に設けら
れる。導電性に優れた樹脂皮膜を化成処理皮膜の上に設
けることにより、潤滑性が改善され、溶接性も付与され
る。有機樹脂皮膜に有機系又は無機系潤滑剤を添加して
プレス成形時の潤滑性を確保し、或いは無機系ゾルを添
加して抵抗溶接性を改善することもできる。
【0025】
【実施例】板厚0.8mmの極低炭素Ti添加冷延鋼板
を連続溶融めっきラインに通板し、Si:6〜11質量
%のAl−Si合金めっき層をめっき付着量35g/m
2(平均層厚13μm)で形成させた。化成処理液とし
ては、チタン化合物,マンガン化合物,フッ化物,リン
酸又はリン酸塩及び有機酸を種々の比率で配合し、表1
の組成に調製したものを用意した。
【0026】
【0027】各化成処理液をAl−Si合金めっき鋼板
にロールコート法で塗布した後、水洗することなくオー
ブンに装入し、120℃の到達板温で乾燥することによ
り化成処理皮膜を形成した。形成された化成処理皮膜を
蛍光X線,AES及びESCAで分析し、めっき層の表
面から100nmまでの深さにおけるSi含有量、化成
処理皮膜のマンガン濃度を測定し、Ti/Mn,P/M
n,F/Mn及び有機酸/Mnの各モル比を求めた。化
成処理されたAl−Si合金めっき鋼板から試験片を切
り出し,平坦部腐食試験,内面腐食試験及び抵抗溶接性
試験に供した。
【0028】平坦部腐食試験では、試験片の端面をシー
ルし、JIS Z2371に準拠して35℃の5%Na
Cl水溶液を噴霧した。塩水噴霧を所定時間継続した
後、試験片表面を観察した。そして、試験片表面に発生
している白錆の面積率を測定し、白錆発生面積率が5%
以下を◎,5〜10%を○,10〜30%を△、30〜
50%を▲,50%以上を×として耐食性を評価した。
【0029】内面腐食試験では,劣化ガソリンからなる
腐食性雰囲気に燃料タンクの内面が曝されることを想定
し,自動車燃料タンク形状にプレス成形したアルミニウ
ム系めっき鋼板から切り出した試験片を使用し、50℃
に加温した試験液A,Bに試験片を浸漬し、1週間ごと
に試験液を取り替えながら浸漬し続けた。9週間後に試
験液から試験片を引き上げ、試験片の腐食状況を観察し
た。腐食は、最も大きな加工を受けた加工部内側を起点
として発生・成長していた。試験片に生じている腐食の
最大深さを測定し、最大侵食深さが100μm以下を
◎,100〜200μmを○,200〜300μmを
△,300μm以上を×として内面耐食性を評価した。 試験液A:蟻酸400ppmを含む水+等量のガソリン 試験液B:メタノール80質量%+ガソリン20質量%
+蟻酸400ppm
【0030】抵抗溶接性試験では、Cr−Cu合金電極
を用い、重ね合わせた2枚の試験片をスポット溶接し
た。溶接条件は、各試験片ごとに適正電流及び適正荷重
を予め求めておき、一定打点ごとに一定比率で溶接電流
を増加させる方法を採用した。そして、溶接打点数が5
00〜1000打点を○,500打点以下を×として抵
抗溶接性を評価した。
【0031】表2の調査結果にみられるように、本発明
に従って化成処理皮膜が形成された試験番号1〜6は、
何れも良好な平坦部耐食性,内面耐食性,抵抗溶接性を
示した。これに対し、マンガン化合物を含まない化成処
理皮膜を形成した試験番号7(比較例)は、自己修復効
果が不充分なため燃料タンク形状に整形した後での内面
耐食性に劣っていた。チタン化合物を含まない化成処理
皮膜を形成した試験番号8(比較例)では、バリア効果
に乏しく平坦部耐食性,内面耐食性共に劣っていた。同
じ化成処理液を使用した場合でも、Siを含まないアル
ミニウムめっき鋼板を化成処理した試験番号9(比較
例)では、Alリッチ部位が一部露出してしまい、目標
とする品質性能が得られなかった。
【0032】
【0033】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の燃料タ
ンク用アルミニウム系めっき鋼板は、表層にSiを濃化
させたAl−Si合金めっき鋼板にTi,Mnの複合化
合物を含む化成処理皮膜を形成させている。この化成処
理皮膜は、複雑な燃料タンク形状への成形によって生じ
た皮膜欠陥部を自己修復するため、平坦部,加工部共に
優れた耐食性を呈する。また、少ない皮膜量であっても
Alリッチ部位の露出を抑制し、金属Si及びTi,M
nの複合化合物皮膜でめっき層表層を硬質化しており、
耐カジリ疵性,塗膜密着性にも優れているため、耐久性
に優れた燃料タンクが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 燃料タンクの概略図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森川 茂保 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社技術研究所内 (72)発明者 古川 伸也 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社技術研究所内 (72)発明者 武津 博文 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K026 AA09 AA13 AA22 BA03 BA08 BB04 BB08 BB10 CA13 CA18 CA23 CA24 CA26 CA28 CA32 CA33 CA36 CA38 4K044 AA02 AB02 BA10 BA12 BA17 BA20 BB03 BC01 BC02 BC04 BC08 CA11 CA16 CA53

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:5〜13質量%を含むAl−Si
    合金めっき層が鋼板表面に形成され、表層のSi濃度が
    7〜80質量%に調整された鋼板を基材とし、Ti及び
    Mnの複合化合物を含む化成処理皮膜が基材表面に形成
    されていることを特徴とする燃料タンク用アルミニウム
    系めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 Ti及びMnの複合化合物が酸化物,水
    酸化物,リン酸塩,フッ化物,有機酸塩から選ばれた1
    種又は2種以上である請求項1記載の燃料タンク用アル
    ミニウム系めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 化成処理皮膜が更にリン酸塩,複合リン
    酸塩及び/又は潤滑剤を含む請求項1記載の燃料タンク
    用アルミニウム系めっき鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013227646A (ja) * 2012-03-27 2013-11-07 Asahi Kagaku Kogyo Co Ltd 耐食性などに優れた亜鉛系めっき鋼板用の表面処理剤および該表面処理剤で被覆された亜鉛系めっき鋼板

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