JP2002144578A - 液体吐出ヘッド、その液体吐出ヘッドの製造方法、その液体吐出ヘッドが搭載されたヘッドカートリッジおよび液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド、その液体吐出ヘッドの製造方法、その液体吐出ヘッドが搭載されたヘッドカートリッジおよび液体吐出装置

Info

Publication number
JP2002144578A
JP2002144578A JP2001221824A JP2001221824A JP2002144578A JP 2002144578 A JP2002144578 A JP 2002144578A JP 2001221824 A JP2001221824 A JP 2001221824A JP 2001221824 A JP2001221824 A JP 2001221824A JP 2002144578 A JP2002144578 A JP 2002144578A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
movable member
movable
flow path
element substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001221824A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Sugiyama
裕之 杉山
Yoichi Tanetani
陽一 種谷
Yoshinori Misumi
義範 三隅
Hiroyuki Ishinaga
博之 石永
Masami Kasamoto
雅己 笠本
Teruo Ozaki
照夫 尾崎
Hiroaki Mihara
弘明 三原
Junichiro Iri
潤一郎 井利
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2001221824A priority Critical patent/JP2002144578A/ja
Publication of JP2002144578A publication Critical patent/JP2002144578A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2/14032Structure of the pressure chamber
    • B41J2/14048Movable member in the chamber

Abstract

(57)【要約】 【課題】 気泡の発生により変位する可動部材を有する
液体吐出ヘッドにおいて、可動部材の段差部や可動部の
根元部分の耐久性を向上させるとともに、可動部材の撓
み変形を防止して耐久性を向上させる。 【解決手段】 流路103内に、可動部材111の段差
部と、分岐された可動部の付け根部とを覆う押え部材2
0が設けられている。押え部材20の一部が、可動部材
111から離れるように先細になりながら下流側に(吐
出口104に向かって)延びて、可動部材111の中間
部と間隔を置いて対向する撓み規制部112bとなって
いる。この押え部材20と撓み規制部112bが、可動
部材111の過剰変形を抑止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを液
体に作用させることで起こる気泡の発生によって所望の
液体を吐出する液体吐出ヘッド、その液体吐出ヘッドの
製造方法、その液体吐出ヘッドが搭載されたヘッドカー
トリッジおよび液体吐出装置に関する。特に、気泡の発
生を利用して変位する可動部材を有する液体吐出ヘッ
ド、その液体吐出ヘッドの製造方法、その液体吐出ヘッ
ドが搭載されたヘッドカートリッジおよび液体吐出装置
に関する。
【0002】なお、本発明における「記録」とは、文字
や図形などの意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターンなどの意味を持たない画
像を付与することをも意味するものである。
【0003】
【従来の技術】熱などのエネルギーをインクに与えるこ
とで、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状
態変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によっ
て吐出口からインクを吐出させ、これを被記録媒体上に
付着させて記録を行うインクジェット記録方法、いわゆ
るバブルジェット(登録商標)記録方法が従来から知ら
れている。このバブルジェット記録方法を用いる記録装
置には、特公昭61−59911号公報や特公昭61−
59914号公報や米国特許第4,723,129号等
に開示されているように、インクを吐出するための吐出
口と、この吐出口に連通するインク流路と、インク流路
内に配されたインクを吐出させるためのエネルギー発生
手段としての発熱体(電気熱変換体)とが一般的に設け
られている。
【0004】このような記録方法によれば、品位の高い
画像を高速、低騒音で記録することができる。さらに、
この記録方法で記録を行うヘッドでは、インクを吐出す
るための吐出口を比較的容易に高密度に配置することが
できるため、小型の装置で高解像度の記録画像、さらに
カラー画像をも形成できるようにすることが比較的容易
である。このように、バブルジェット記録方法は多くの
優れた点を有している。このため、バブルジェット記録
方法は、近年、プリンタ、複写機、ファクシミリなどの
多くのオフィス機器に利用されており、さらに、捺染装
置などの産業用システムにまで利用されるようになって
きている。
【0005】このようにバブルジェット技術が多方面の
製品に利用されるに従って、次のような様々な要求が近
年さらに高まっている。
【0006】高画質な画像を得るために、インクの吐出
速度が速く、安定した気泡発生に基づく良好なインク吐
出を行える液体吐出方法等を与えるための駆動条件が提
案されたり、また、高速記録の観点から、吐出された液
体の液流路内への充填(リフィル)速度の速い液体吐出
ヘッドを得るために流路形状を改良したものも提案され
ている。
【0007】このようなヘッドの他にも、気泡の発生に
伴って発生するバック波(吐出口へ向かう方向とは逆の
方向へ向かう圧力)に着目し、吐出において損失エネル
ギーになるバック波を防止する構造の発明が特開平6−
31918号公報に開示されている。この公報に記載の
発明は、三角形状の板状部材の三角形部分を気泡を発生
するヒーターに対して対向させたものである。この発明
では、板状部材によってバック波を一時的にかつわずか
には抑えられている。しかし、気泡の成長と三角形部分
との相関関係については全く触れていないし、その着想
もないため、上記の発明は以下の問題点を含んでいる。
【0008】すなわち、上記公報に記載の発明では、ヒ
ーターが凹部の底に位置しており吐出口との直線的連通
状態をとれないため、液滴形が安定できず、さらに、気
泡の成長は三角形の頂点の部分の周囲から許容されてい
るため、気泡は三角形の板状部材の片側から反対側全体
まで成長し、結果的に板状部材が存在していないかのよ
うに液中における通常の気泡の成長が完了してしまう。
従って、成長した気泡にとって板状部材の存在は何ら関
係のないものとなってしまう。むしろ、板状部材の全体
が気泡に囲まれるために、気泡の収縮段階において、凹
部に位置するヒーターへのリフィルが乱流を生じさせ、
その凹部内に微小気泡を蓄積する原因となり、成長気泡
に基づいて吐出を行う原理自体を乱すことになってしま
う。
【0009】また、欧州特許公開第436047A1号
公報には、吐出口近傍域と気泡発生部との間にこれらを
遮断する第1弁と、気泡発生部とインク供給部との間に
これらを完全に遮断する第2弁とを交互に開閉させる発
明が提案されている(当該公報の第4〜9図参照)。し
かし、この発明は、これら3つの部屋を2つづつに区分
してしまうために、吐出時には液滴に追従するインクが
大きな尾を引き、気泡成長・収縮・消泡を行う通常の吐
出方式に比べてサテライトドットがかなり多くなってし
まう(消泡によるメニスカス後退の効果を使えないと推
定される)。また、リフィル時は、消泡に伴って気泡発
生部に液体が供給されるが、吐出口近傍域には次の発泡
が生じるまで液体は供給できないので、吐出液滴のばら
つきが大きいだけでなく、吐出応答周波数が極めて小さ
く、実用レベルではない。
【0010】そこで本発明者達の一部は、液体吐出原理
に立ち返り、従来では得られなかった、気泡を利用した
新規な液体吐出方法およびそれに用いられるヘッドなど
を提供すべく鋭意研究を行い、上述の従来技術とはまっ
たく異なり液滴の吐出に関し有効に貢献できる可動部材
(自由端を支点よりも吐出口側に有する板状部材等)を用
いた発明を、特開平9−201966号などにより提案
している。
【0011】ここで、特開平9−201966号公報な
どに開示された液体吐出方法およびそれに用いられる液
体吐出ヘッドを、図29,30を参照して説明する。図
29は、この液体吐出ヘッドの、吐出原理を説明するた
めの、液流路方向の断面図である。また、図30は、図
29に示した液体吐出ヘッドの部分破断斜視図である。
図29,30に示す液体吐出ヘッドは、液体を吐出する
際に、気泡の発生に起因して生じる圧力の伝播方向や気
泡の成長方向を制御して、吐出力や吐出効率を向上させ
ることができる、特開平9−201966号公報に開示
された液体吐出方法を実現する、最も基本となる構成を
有している。
【0012】なお、以下の説明で用いる「上流」および
「下流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(または
可動部材)の上方を経て、吐出口へ向う液体の流れ方向
に関する表現である。
【0013】気泡自体に関する「下流側」とは、主とし
て液滴の吐出に直接作用する気泡の吐出口側部分であ
る。より具体的には、上記流れの方向に関して、気泡の
中心よりも下流側、または発熱体の面積中心よりも下流
側を意味する。
【0014】さらに、「櫛歯」とは、可動部材について
用いる表現であり、台座部との接続部が共通部分になっ
ており、そこから自由端に向う複数の可動部に分岐して
おり、自由端の前方が開放されている形状を意味する。
【0015】図29に示す例では、液体吐出ヘッドは、
液体を吐出するための吐出エネルギー発生素子として、
液体に熱エネルギーを作用させる発熱体1102(本例
においては20μm×105μmの形状の発熱抵抗体)
が素子基板1101に設けられており、この素子基板1
101上に発熱体1102に対応して液流路1103が
配されている。液流路1103は吐出口1104に連通
していると共に、複数の液流路1103に液体を供給す
るための共通液室1105に連通しており、吐出口11
04から液体を吐出した後、吐出された液体に見合う量
の液体がこの共通液室1105から液流路1103内に
供給される。
【0016】この液流路1103内、素子基板1101
上には、前述の発熱体1102に対向する平面部を有す
る、金属などの弾性を有する材料で構成された板状の可
動部材1106が片持梁状に設けられている。この可動
部材1106の一端は、液流路1103の壁や、素子基
板1101上に感光性樹脂などをパターニングして形成
した台座(支持部材)1107などに固定されており、
これによって支点(固定端)1108が構成されてい
る。
【0017】また、可動部材1106は櫛歯状の形状を
有している。このようにすることにより、簡単にかつ安
価に可動部材1106を作製することができ、台座11
07に対するアライメントも容易にできる。
【0018】この可動部材1106は、液体の吐出動作
時に共通液室1105から可動部材1106の上方を経
て吐出口1104側へ流れる大きな液体の流れの上流側
に支点1108が位置し、自由端1109がこの支点1
108に対して下流側に位置するように、発熱体110
2に面した位置に発熱体1102から15μm程度の距
離を隔ててこれを覆うような状態で配されている。この
発熱体1102と可動部材1106との間が気泡発生領
域1110となる。
【0019】発熱体1102を発熱させることで可動部
材1106と発熱体1102との間の気泡発生領域11
10の液体に熱を作用させ、米国特許4,723,12
9号明細書などの公報に記載されているような膜沸騰現
象に基づいて液体に気泡1111を発生させる(図29
(b)参照)。気泡1111の発生に基づく圧力は可動
部材1106に優先的に作用し、可動部材1106は図
29(b),(c)や図30に示されるように支点11
08を中心に吐出口1104側に大きく開くように変位
する。可動部材1106が変位することによって気泡1
111の発生に基づく圧力の伝搬や気泡1111自身の
成長が吐出口1104側に導かれる。またこのとき、自
由端1109の幅が比較的広いため、気泡1111の発
泡パワーを吐出口1104側へ導きやすくなり、液滴の
吐出効率や吐出力や吐出速度などの根本的な向上を図る
ことができる。
【0020】以上説明したように、特開平9−2019
66号公報などに開示された技術は、液流路1103中
の可動部材1106の自由端1109を、吐出口110
4側つまり下流側に位置させ、かつ可動部材1106を
発熱体1102および気泡発生領域1110に面するよ
うに配置することで、積極的に気泡1111を制御する
技術である。
【0021】また、前述したように、可動部材1106
の固定部分に台座1107を設けることにより、可動部
材1106と発熱体1102との間に1〜20μm程度
のギャップが生じ、可動部材1106による液体吐出効
率の向上効果が十分に引出される。したがって、前述し
たような極めて新規な吐出原理に基づく液体吐出ヘッド
によると、発生する気泡1111とこれによって変位す
る可動部材1106との相乗効果を得ることができ、吐
出口1104近傍の液体を効率よく吐出できるため、従
来のバブルジェット方式の液体吐出ヘッドに比べて液体
の吐出効率を向上させることができる。
【0022】なお、前述した液体吐出ヘッドに用いられ
る可動部材1106の材料としては様々なものが考えら
れるが、気泡1111の発生による圧力を液体の吐出に
効率的に利用するために、弾性に優れたニッケルが一般
的に使われている。また、特開平11−170531号
公報や特開平11−235829号公報に記載されてい
るようにシリコン系の材料が使われているのが一般的で
ある。
【0023】また、特開平9−48127号公報は、上
述した可動部材の挙動がわずかに乱れることを防止すべ
く、可動部材の変位の上限を規制する発明を開示してい
る。また、特開平9−323420号公報は、上記可動
部材に対して、上流における共通液室の位置を、上記可
動部材の利点を利用して可動部材の自由端側、つまり下
流側にシフトさせてリフィル能力を高める発明を開示し
ている。これらは、発明が生み出される前提の想定に、
気泡の成長を可動部材で一時的に包み込んだ状態から一
気に吐出口側に開放する形態を採っていたため、気泡全
体が液滴形成に関わる個々の要素や、それらの相関関係
については注目されていない。
【0024】次の段階として、本願出願人は、特開平1
0−24588号公報にて、液体吐出に関わる要素とし
て圧力波伝播による気泡成長に注目した発明(音響波)
として、気泡発生領域の一部を上記可動部材から開放す
る発明を開示している。しかしながら、この発明におい
ても液体吐出時の気泡の成長のみに着目しているため、
気泡全体が液滴自体の形成に係わる個々の要素や、それ
らの相関関係について注目されていない。
【0025】従来から知られている膜沸騰による気泡の
前方部分(エッジシューター型)が吐出に大きな影響を与
えることは知られているものの、従来この部分をより効
率よく吐出液滴の形成に貢献させることについて着目し
たものはなく、本発明はこれらの技術的解明をすべく本
発明者たちは鋭意研究を行った。
【0026】さらに、本発明者達は、前記可動部材の変
位と発生気泡に着目したところ、以下の有効な知見を得
るに至った。
【0027】その知見は、可動部材の気泡の成長に対す
る自由端の変位を規制部(ストッパ)によって規制する
ことである。この規制部により可動部材の変位を規制す
ることで、気泡が流路の上流側に成長することが規制さ
れ、吐出口の形成された下流側に効率よく液体を吐出さ
せるエネルギーが伝えられる。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】ヘッドの高密度化に伴
い、可動部材と台座とを別々に形成しアライメントして
構成することは、精度上かなり困難をきたすようにな
り、可動部材と台座とを一体的に形成することが必要と
なってきた。
【0029】このように台座部(固定部)を含む可動部
材を形成した場合、可動部材は、台座部と可動部との境
界部に段差構造を有する。このように可動部材に形状が
大きく変化する部分があると、気泡の発生に起因する可
動部材の変位時に、この部分に応力集中が生じやすい。
また、可動部材は前述のように分岐されて櫛歯状に形成
され、この櫛歯状の形状の付け根部も、形状が大きく変
化する部分であり、応力集中が生じやすい。特に、櫛歯
状に分岐した隣接する多数の可動部が同時に変位した場
合には、共通部分の台座部との境界部に過大な応力が加
わる危惧がある。
【0030】可動部材の材料として、前述のように好適
に用いられるシリコン系の材料は、良好な弾性を有する
しなやかな材料であるが、過度の応力が加わった場合に
は、クラックを生じるなど、可動部材の耐久性に問題を
生じる危惧がある。クラックが生じた場合には、その部
分にさらに応力が集中し、遂には破壊に至る危惧があ
る。また、金属材料を用いた場合でも、過度の応力が加
わると、好ましくない影響が生じる危惧がある。通常、
可動部材には、ある程度の応力が加わっても問題が生じ
ないように、充分な厚みを持たせるなどして耐久性を持
たせている。
【0031】しかしながら、液体吐出ヘッドの可動部材
を、ニッケルなどの金属でスパッタリング法を用いて膜
状に形成する場合、応力をコントロールすることが困難
であり、膜厚を厚くするのが困難である。また、可動部
材を、シリコン系の材料でCVD法などを利用して形成
する場合、応力をコントロールし、台座部と一体的な可
動部材を厚膜に形成することは可能であるが、その場合
でも、前述のように過度の応力が加わると、耐久性を損
なうことになる。
【0032】また、前記した可動部材を有する構成の液
体吐出ヘッドでは、液体吐出の度に、液体の加熱発泡お
よび消泡に伴って可動部材が変位と復帰を繰り返す。た
だし、通常の液体吐出のための発泡よりも大きな気泡が
発生した場合、可動部材が過度の変形を生じるおそれが
ある。通常は、流路は吐出口のメニスカス部分以外ほと
んどすべて液体で満たされているが、液体吐出ヘッドの
吸引回復処理を行った後などに、流路中の液体を排出し
過ぎて流路中に液体で満たされていない空間が存在する
場合がある。この状態で液体吐出のための発熱体の加熱
が行われると、液体の発泡に伴い可動部材が変位して、
可動部材の自由端(先端)が規制部により規制されて所
望の位置で停止するが、可動部材の中間部(自由端と支
点との間)は規制されておらず上方へ強く引き寄せられ
る。特に可動部材の上方に液体の存在しない空間がある
状態では、液体の圧力もないため上流方向へ引っ張られ
る応力を大きく受け、上方(天板側)に凸の撓み変形を
生じる。この撓み変形により可動部材にクラックや欠陥
が発生してしまうおそれがある。さらに、この撓み変形
が大きくなったり、度々繰り返されると、可動部材が破
断する場合もある。
【0033】本発明は、上述の課題に鑑みてなされたも
のであって、その目的は、可動部材の、段差部や分岐さ
れた可動部の根元部分の耐久性を向上させ、液体吐出の
信頼性を向上させることができる液体吐出ヘッド、その
液体吐出ヘッドの製造方法およびその液体吐出ヘッドが
搭載されたヘッドカートリッジおよび液体吐出装置を提
供することにある。
【0034】また、本発明の他の目的は、可動部材の自
由端の変位を規制するのみならず撓み変形を防止するこ
とによって、可動部材の耐久性を向上させ、吐出特性が
安定した、信顛性の高い液体吐出ヘッドおよび液体吐出
装置を提供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、液体を吐出する吐出口と、吐出口に連通
し液体を供給する液流路と、液流路に充填された液体に
気泡を発生させる発熱体が備えられた素子基板と、素子
基板上に支持固定された固定部と、吐出口側を自由端と
し、素子基板上の発熱体に対向する位置に素子基板との
間に間隙を置いて配置されている可動部とを有する可動
部材と、可動部材の変位量を規制する規制部とを有し、
気泡の発生によって生じる圧力によって液体を吐出口か
ら吐出させ、その際、可動部材の可動部が変位する液体
吐出ヘッドにおいて、規制部が、可動部材の自由端と当
接する先端規制部と、先端規制部から離間した少なくと
も1つの変位規制部とからなることを特徴とする。
【0036】そして、可動部材は、固定部と、複数の可
動部と、素子基板から離間するとともに可動部を分岐支
持する共通支持部とが一体的に形成され、液体の吐出時
に可動部が共通支持部との接続部を支点として変位する
ものであり、変位規制部は、可動部材の少なくとも共通
支持部に対向して設けられ、共通支持部の過剰な変位を
抑制する補助部材であってもよい。
【0037】この構成によれば、補助部材が設けられて
いない場合には可動部材の変位時に応力集中が生じやす
い、共通支持部と固定部との接続部に生じる段差部およ
び分岐された可動部の付け根部に加わる応力を、補助部
材に分散させて緩和することができる。
【0038】この補助部材は、共通支持部の過剰な変位
を抑制するように共通支持部に対向して設ければ、可動
部材への応力を緩和する効果が得られるが、少なくとも
可動部材の上面に接合するように設けられることによ
り、応力を緩和させる作用をより効果的に得ることがで
きる。さらに、補助部材を、分岐された複数の可動部間
で素子基板上まで延びて接合されるように設けることに
より、可動部材の応力集中が生じやすい部分をしっかり
と支えて、より効果的に応力を緩和することができる。
応力集中を緩和する作用をさらに効果的に得るために
は、補助部材を、可動部材の可動部と素子基板との間隙
部にも形成し、すなわち可動部の付け根の全周を覆うよ
うに形成することが望ましい。
【0039】また、補助部材を、分岐された可動部の並
び方向に沿って形成すれば、各可動部に加わる応力をそ
の並び方向に分散させて、分岐された各可動部間で均一
化するように緩和することができ、分岐された各可動部
の耐久性を向上できる。
【0040】また、補助部材は、液流路の側壁を形成す
る流路壁と一体的に形成することもでき、このようにす
れば、製造工程を増やすことなく補助部材を形成するこ
とができる。
【0041】補助部材の材料としては、感光性樹脂、特
にエポキシ系樹脂を好適に用いることができる。
【0042】上記本発明の液体吐出ヘッドの製造方法と
しては、流路壁と補助部材とを同一材料で同時に形成す
るようにすれば、工程数を増やすことなく簡便に補助部
材を形成できる。この場合、素子基板上に可動部材を形
成する工程と、液状の光硬化性樹脂を、可動部材と素子
基板との間隙部を埋め、かつ、可動部材を被覆するまで
素子基板に塗布する工程と、光硬化性樹脂の、少なくと
も流路壁および補助部材を形成すべき領域に露光し硬化
する工程と、光硬化性樹脂の未露光部を除去する工程と
を有する製造方法を好適に用いることができる。
【0043】また、流路壁と補助部材とは、それぞれの
機能を考慮して別部材にするなどの目的で別々に形成し
てもよい。この場合、素子基板上に可動部材と、液流路
の側壁を形成する流路壁とを形成する工程と、液状の光
硬化性樹脂を、可動部材と素子基板との間隙を埋め、か
つ、可動部材を被覆するまで素子基板に塗布する工程
と、光硬化性樹脂の少なくとも補助部材を形成すべき領
域に露光し硬化する工程と、光硬化性樹脂の未露光部を
除去する工程とを有する製造方法を好適に用いることが
できる。
【0044】上述のように、露光することにより硬化す
るネガ型の光硬化性樹脂を用いて補助部材を形成する場
合、可動部材を透明な材料により形成することによっ
て、可動部材と素子基板との間隙部にも露光して硬化さ
せ、この部分にも補助部材を形成することができる。
【0045】また、本発明の他の液体吐出ヘッドは、変
位規制部が、先端規制部から離間して発熱体よりも上流
側に設けられて可動部材の中間部と当接可能な少なくと
も1つの撓み規制部である。この撓み規制部は、可動部
材が過剰変位を生じた時にのみ可動部材の中間部と当接
するものであってもよい。
【0046】この構成によると、可動部材の自由端の変
位を先端規制部で規制するとともに、可動部材の中間部
の撓み変形を撓み規制部で規制することにより、可動部
材が過剰に変形することはない。従って、クラックや欠
陥が可動部材に発生して破損することはない。
【0047】先端規制部と、撓み規制部とは、素子基板
に接合されている天板にそれぞれ独立して形成されてい
ることが好ましい。
【0048】先端規制部の前記液流路内の液体の流れ方
向に対して直角な方向の断面積が撓み規制部の前記液流
路内の液体の流れ方向に対して直角な方向の断面積より
も大きいことが好ましい。この場合、先端規制部は、撓
み規制部よりも幅広であってもよい。このような構成で
あると、可動部材の過剰な変形を防止するとともに、リ
フィル特性を低下させることがない。さらに、先端規制
部は複数設けられていてもよい。
【0049】本発明によるヘッドカートリッジは、以上
のような液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドに供給する
液体を貯溜する液体容器とを有することを特徴とする。
【0050】本発明による液体吐出装置は、以上のよう
な液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドから液体を吐出さ
せるための駆動信号を供給する駆動信号供給手段とを有
することを特徴とする。さらに、液体吐出ヘッドから吐
出された液体を受ける被記録媒体を搬送する搬送手段を
有することを特徴とする。
【0051】なお、本発明の説明で用いる「上流」「下
流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(または可動
部材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関し
て、またはこの構成上の方向に関しての表現として表さ
れる。
【0052】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
気泡の中心に対して、上記流れ方向や上記構成上の方向
に関する下流側、または、発熱体の面積中心より下流側
の領域で発生する気泡を意味する。同様に、気泡自体に
関する「上流側」とは、気泡の中心に対して、上記流れ
方向や上記構成上の方向に関する上流側、または、発熱
体の面積中心より上流側の領域で発生する気泡を意味す
る。
【0053】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0054】<第1の実施形態>(液体吐出ヘッドの構
成)図7は、本発明を適用可能な、一般的な液体吐出ヘ
ッドの基本構成を示す模式的斜視図であり、その全体
を、一部を破断して示している。この液体吐出ヘッド
は、吐出エネルギーを発生するための発熱体2が形成さ
れている素子基板1を有している。素子基板1上には、
発熱体2が複数並んで形成されており、また、選択的に
液体を吐出させるための電気信号を発熱体2に伝達する
Al配線(不図示)などが形成されている。素子基板1
上には、さらに、液体を各発熱体2部分の上方を通るよ
うに導く液流路7の側壁となる流路壁9と、液流路7に
連通する共通液室8の側壁となる液室壁10とが形成さ
れている。また、発熱体2での気泡発生による圧力を下
流側に導いて液体吐出効率を向上させる可動部材6が形
成されている。これら発熱体2および電気配線、流路壁
9、液室壁10、可動部材6は、シリコンなどの素子基
板1上に成膜技術により形成されている。
【0055】また、この液体吐出ヘッドは、共通液室8
の天井となる凹部と、共通液室8に連通するインク供給
口11と、可動部材6の上方への変位を規制する上方変
位規制部(先端規制部)12とが形成された天板3を有
している。天板3は素子基板1上に形成された流路壁9
と液室壁10とに接合され、これによって共通液室8と
これに連通する複数の液流路7とが形成され、また上方
変位規制部材12が各可動部材6の上方に一定の間隔を
置いて配置されている。また、この液体吐出ヘッドは、
素子基板1と天板3とによって形成された複数の液流路
7の、共通液室8とは反対側の端部前方に位置し、液流
路7の吐出口5となる開口が配されているオリフィスプ
レート4を有している。オリフィスプレート4は、素子
基板1と天板3との積層体の、液流路7の開口配設面に
貼り合わされる。
【0056】なお、素子基板1と天板3との接合には、
UV照射によりタック性を保持したままBステージ化し
て硬化収縮が終了し、加熱することにより硬化するエポ
キシ系の接着剤が用いられている。この接着剤は加熱圧
着のみによっても接着することができる。また、オリフ
ィスプレート4としては、ステンレス、Niなどの金属
フィルム、または耐インク性に優れたプラスチックフィ
ルム、例えば、ポリイミド、ポリサルフォン、ポリエー
テルサルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェ
ニレンサルファイド、ポリプロピレンなどの樹脂フィル
ム材を用いることが望ましい。
【0057】(液体吐出ヘッド構成の第1の実施例)図
1〜3に本実施例の液体吐出ヘッドの模式図を示す。図
1(a)は、この液体吐出ヘッドを吐出口5側から見た
側面図、図1(b)は図1(a)のB−B’線に沿って
断面した平面断面図、図1(c)は図1(a)のA−
A’線に沿って断面した断面図、図1(d)は図1
(b)、図1(c)のC−C’線に沿って断面した断面
図を示している。図2は、この液体吐出ヘッドの主要部
の寸法例を示している。図3は、天板3、オリフィスプ
レート4を取り付けていない状態で、流路壁9の形状を
示す図であり、図3(a)は平面図、図3(b)はより
拡大して示した平面図、図3(c)は斜視図、図3
(d)はより拡大して示した斜視図を示している。な
お、本実施例の液体吐出ヘッドの全体構成は、図7に示
した前述の一般的な液体吐出ヘッドとほぼ同様であり、
同一の部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略す
る。
【0058】本実施例において、素子基板1上には、絶
縁および蓄熱を目的とした酸化シリコン膜または窒化シ
リコン膜が成膜され、その上に、電気抵抗層と配線電極
とが形成され発熱体2が構成されている(図1には、こ
れらの詳細な構成については記載しておらず、発熱体2
を模式的に記載している)。さらに、この上には電気抵
抗層や配線電極を液体から保護する保護膜15と、これ
らを消泡によるキャビテーションから保護する耐キャビ
テーション層16とが形成されている。これらの各層と
電気配線は、スパッタ法およびCVD法を用いて成膜さ
れ、必要に応じてフォトリソグラフィ技術を用いてパタ
ーニングされて形成されている。以降の説明では、これ
らの各層を含めて素子基板1と称する場合もある。
【0059】また、上方変位規制部材(規制部の先端規
制部)12は、天板3の下面に形成された下地層14を
介して天板3に接続している。素子基板1と天板3とオ
リフィスプレート4とは接着剤13によって接合されて
いる。
【0060】可動部材6は、上流側に位置する、素子基
板1上に固定されている台座部(固定部)19と、多数
の可動部とが一体的に形成されている。台座部19は、
その下流側で立ち上がるようにして共通支持部に接続
し、さらにそこから分岐して各可動部に接続しており、
可動部は共通支持部との接続部6aを支点として、素子
基板1との間に間隔を置いて片持梁状に支持されてい
る。この可動部材6は、その台座部14から、接続部6
aを介して、各液流路内に延びる矩形の複数の可動部に
分岐する櫛歯状になっており、分岐された可動部の付け
根部には丸みが付けられており、この部分の幅が根元側
に向かうにしたがって広くなっている。分岐された可動
部の下流側先端が自由端6bである。台座部19と可動
部との接続部は、平面的に見ると波形状になっており、
波形状の、上流側に向かって見た頂点部が各可動部の中
心線上に位置している。
【0061】流路壁9は、各可動部の側方位置から、さ
らに上流側に向って、可動部材6の台座部19にまで延
びている部分と、分岐された可動部の付け根付近で、幅
が広がって付け根の側部を覆っている部分とを含む押え
部(変位規制部である補助部材)9aを有している。押
え部9aは、可動部材6の上方だけでなく、可動部材6
の複数の可動部間では、下方に向って素子基板1上まで
延びており、可動部材6と素子基板1との間に間隙部9
bがある部分では、この間隙部9b内にも、可動部材6
の上方と同様に形成されている。
【0062】本実施例の液体吐出ヘッドは、流路壁9が
この押え部9aを有していることに特徴がある。すなわ
ち、本実施例の液体吐出ヘッドでは、このような押え部
9aを設けることにより、押え部9aが無い場合には可
動部材6が変位する際に特に応力集中が生じやすい部分
である、可動部材6の段差部と分岐された可動部の付け
根部分とに加わる応力を、この部分に接合された押え部
9aに分散させて緩和することができる。これにより、
可動部材6の耐久性を向上させ、液体吐出の信頼性を向
上させることができる。そして、可動部材6の隣接する
多数の可動部が同時に変位しても、可動部材6の耐久性
に大きな影響が生じるほどの応力が加わらないようにで
きる。
【0063】なお、本実施例の液体吐出ヘッドでは、押
え部9aは可動部材6と素子基板1との間隙部9bにも
形成されている構成を示した。このように、押え部9a
が間隙部9bにも形成されていることは、応力を緩和す
る作用を得る上で好ましい。しかし、製造する上で、押
え部9aを間隙部9bに形成することが困難である場合
もあり、このような場合には、間隙部9bには押え部9
aが形成されていない構成としてもよい。この場合で
も、押え部9aは、可動部材6の上面に接合され、ま
た、分岐された可動部間では素子基板1まで延びて接合
されており、可動部材6をしっかりと支えるようにで
き、一定の応力緩和作用を得ることができる。
【0064】また、本実施例では、押え部9aが可動部
材6に接合されている構成を示したが、押え部9aを少
なくとも共通支持部に対向して設けることで、共通支持
部の過剰な変位を抑制するようにすることができ、接合
されていなくても、可動部材6の応力を緩和する作用を
得ることができる。
【0065】(液体吐出ヘッド構成の第2の実施例)図
4〜6に本実施例の液体吐出ヘッドの模式図を示す。図
4(a)は、この液体吐出ヘッドを吐出口5側から見た
側面図、図4(b)は図4(a)のB−B’線に沿って
断面した平面断面図、図4(c)は図4(a)のA−
A’線に沿って断面した断面図、図4(d)は図4
(b)、図4(c)のC−C’線に沿って断面した断面
図を示している。図5は、この液体吐出ヘッドの主要部
の寸法例を示している。図6は、天板3、オリフィスプ
レート4を取り付けていない状態で、流路壁9の形状を
示す斜視図であり、図6(a)は、可動部材6の長さ
(弁長)が220μmのもの、図6(b)は弁長が25
0μmのものを示している。なお、液体吐出ヘッド構成
の第1の実施例と同様の部分については、同一の符号を
付し、説明を省略する。
【0066】本実施例では、可動部材6の段差部と、分
岐された可動部の付け根部とを覆う押え部材(補助部
材)20が、流路壁9から離れて別部材として設けられ
ている。押え部材20は、可動部材6の段差部と分岐さ
れた可動部の付け根部とを覆う幅で可動部の並び方向に
沿って延びている。押え部材20は、可動部材6の複数
の可動部間では下方に向って素子基板1上まで延びてお
り、可動部材6と素子基板1との間に間隙部20bがあ
る部分では、この間隙部20bにも、可動部材6の上方
と同様の平面形状で形成されている。
【0067】本実施例の液体吐出ヘッドでは、このよう
な押え部材20を設けることにより、液体吐出ヘッド構
成の第1の実施例と同様に、可動部材6の段差部と分岐
された可動部の付け根部に加わる応力を、この部分に接
合された押え部材20に分散させて緩和することができ
る。これにより、可動部材6の耐久性を向上させ、液体
吐出の信頼性を向上させることができる。さらに、本実
施例の液体吐出ヘッドでは、押え部材20が、複数の分
岐された可動部の並び方向に沿って延びているため、各
可動部に加わる応力をその並び方向に分散させて、各可
動部間で均一化するように緩和することができ、分岐さ
れた部分それぞれの耐久性に関する余裕をより大きく広
げることができる。
【0068】なお、本実施例の液体吐出ヘッドでは、押
え部材20は可動部材6と素子基板1との間隙部20a
にも形成されている構成を示した。このように、押え部
材20が間隙部20aにも形成されていることは、応力
を緩和する作用を得る上で好ましい。しかし、液体吐出
ヘッド構成の第1の実施例と同様に、間隙部20aには
押え部材20が形成されていない構成としてもよい。こ
の場合でも、押え部材20は、可動部材6の上面に接合
され、また、分岐された複数の可動部間では素子基板1
まで延びて接合されており、可動部の付け根部分を跨ぐ
ブリッジ状の構造によって、可動部材6をしっかりと支
えるようにでき、一定の応力緩和作用を得ることができ
る。
【0069】また、本実施例では、押え部材20が可動
部材6に接合されている構成を示したが、押え部材20
を少なくとも共通支持部に対向して設けることで、共通
支持部の過剰な変位を抑制するようにすることができ、
接合されていなくても、可動部材6の応力を緩和する作
用を得ることができる。
【0070】(液体吐出ヘッドの製造方法)次に、本発
明の液体吐出ヘッドの製造方法について説明する。な
お、以下の液体吐出ヘッド製造方法の実施例では、第2
の実施例の構成の液体吐出ヘッドについての製造方法を
示すが、第1の実施例の液体吐出ヘッドについても同様
の方法で製造可能である。
【0071】(液体吐出ヘッド製造方法の第1の実施
例)図8および図9は、本発明による液体吐出ヘッド製
造方法の第1の実施例について説明するための図であ
る。図8および図9の(a)〜(i)が、液流路7が延
びる方向に対して垂直な方向の断面図であり、図8およ
び図9の(a’)〜(i’)が、液流路7方向に沿った
断面図である。図8の(a)および(a’)から、図9
の(i)および(i’)までの工程を経て、素子基板1
上に可動部材6と流路壁9と押え部材20とが形成され
る。
【0072】まず、図8(a)および図8(a’)に示
すように、素子基板1の発熱体2側の面全体に、犠牲層
21として、CVD法によって温度350℃の条件でP
SG(phospho silicate glass)膜を形成する。この犠
牲層21の膜厚は、図4に示した可動部材6と発熱体2
とのギャップに相当し、1〜20μmが好ましく、1〜
10μmがより好ましい。このようにすることにより、
液体吐出ヘッドの液流路7全体のバランス上、可動部材
6の効果が顕著にあらわれる。次に、犠牲層21をパタ
ーニングするために、犠牲層21の表面に、スピンコー
トなどによりレジストを塗布した後、フォトリソグラフ
ィー技術に基づいて露光および現像を行い、レジスト
の、可動部材6が固定される部分に相当する部分などを
除去する。
【0073】そして、図8(b)および図8(b’)に
示すように、犠牲層21の、レジストで覆われていない
部分を、バッファードフッ酸によるウェットエッチング
によって除去する。その後、犠牲層21の表面に残って
いるレジストを、酸素プラズマによるプラズマアッシン
グ、あるいは素子基板1をレジスト除去剤に浸すことに
よって除去する。これにより、PSG膜21の一部が素
子基板1の表面に残され、そのPSG膜21の一部が、
気泡発生領域10に相当する型部材となる。このような
工程を経て、素子基板1の表面に、気泡発生領域10の
空間に相当する型部材が作り込まれる。
【0074】次に、図8(c)および図8(c’)に示
すように、素子基板1および犠牲層21の表面に、温度
400℃の条件下で、アンモニアとシランガスを材料と
するプラズマCVD法により、厚さ1〜10μmのSi
N膜22を形成する。このSiN膜22の一部が可動部
材6となる。SiN膜22の組成としては、Si34
最も良いとされるが、可動部材6の機能を効果的に得る
ためには、Siを1としてNの比率が1〜1.5の範囲
であっても良い。このSiN膜は、半導体プロセスで一
般的に使用され、耐アルカリ性、化学的安定性、および
耐インク性を有している。SiN膜22の一部が可動部
材6となるため、この膜の材質が、可動部材6として最
適な物性値を得られる構造および組成であれば、この膜
の製造方法は限定されない。例えば、SiN膜22の形
成方法として、前述したプラズマCVD法の代わりに、
常圧CVD法、LPCVD法、バイアスECRCVD
法、マイクロ波CVD法、あるいはスパッタ法、塗装方
法などを用いてもよい。また、SiN膜を、その応力、
剛性、ヤング率などの物理的特性や、耐アルカリ性、耐
酸性などの化学的特性を用途に応じて向上させるため
に、段階的に組成比を変えて多層膜化してもよい。ある
いは、段階的に不純物を添加して多層膜化したり、単層
で不純物を添加してもよい。
【0075】次に、図8(d)および図8(d’)に示
すように、SiN膜22の表面に耐エッチング保護膜2
3として、厚さ2μmのAl膜を形成する。そして、耐
エッチング保護膜23を所定の形状にするために、耐エ
ッチング保護膜23の表面にレジストをスピンコートな
どにより塗布し、フォトリソグラフィーによりパターニ
ングを行う。
【0076】その後、図8(e)および図8(e’)に
おいて、CF4ガスなどを使用したドライエッチング、
あるいはリアクティブイオンエッチング法などによって
SiN膜22および耐エッチング保護膜23のエッチン
グを行い、SiN膜22および耐エッチング保護膜23
を可動部材6の形状にする。これにより、素子基板1の
表面に可動部材6が作り込まれる。ここでは、耐エッチ
ング保護膜23およびSiN膜22を同時にパターニン
グしたが、耐エッチング保護膜23のみを可動部材6の
形状にパターニングし、後の工程でSiN膜22をパタ
ーニングしてもよい。また、押え部材20を形成する部
分については、耐エッチング保護膜23のみをエッチン
グする。
【0077】次に、図9(f)および図9(f’)にお
いて、耐エッチング保護膜23、素子基板1の表面に、
厚さ20〜40μmのSiN膜24を形成する。SiN
膜24を高速で形成したい場合には、マイクロウェーブ
CVD法を用いる。このSiN膜24が、最終的に流路
壁9および押え部材20となる。SiN膜24は、通
常、半導体の製造工程で求められるような膜の特性、例
えばピンホール密度や、膜の緻密さには左右されない。
SiN膜24は、液流壁9および押え部材20としての
耐インク特性や機械的強度を満たすものであればよく、
SiN膜24の高速成形によってSiN膜24のピンホ
ール密度が多少高くなっても問題はない。
【0078】また、ここではSiN膜を用いたが、流路
壁9および押え部材20の材料としてはSiN膜に限定
されることはなく、不純物を含んだSiN膜や、組成を
変えたSiN膜など、機械的特性および耐インク性を有
するものであればよく、ダイヤモンド膜、水素化アモル
ファスカーボン膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)、
アルミナ系、ジルコニア系などの無機膜でもよい。
【0079】次に、SiN膜24を所定の形状にするた
めに、SiN膜24の表面にレジストをスピンコートな
どにより塗布し、フォトリソグラフィーによりパターニ
ングを行う。その後、CF4ガスなどを使用したドライ
エッチング、あるいはリアクティブイオンエッチングを
行い、図9(g)および図9(g’)に示すように、S
iN膜24を、流路壁9となる部分24aと、押え部材
20となる部分24bの形状にする。あるいは、より高
速なエッチング性を重視すると、ICP(誘導結合プラ
ズマ)エッチング法が、厚いSiN膜24のエッチング
に最も適している。このような工程を経て、素子基板1
の表面に流路壁9および押え部材20が作り込まれる。
【0080】この際、本実施例では、前の工程でSiN
膜22上に形成した耐エッチング保護膜23が、流路壁
9および押え部材20を形成するためにエッチングを行
う際に、可動部材6となるSiN膜22へのダメージを
防止する役割を果たす。すなわち本実施例では、可動部
材6と流路壁9および押え部材20とがほぼ同一の材料
で形成されるので、流路壁9および押え部材20の形成
時のエッチングが、可動部材6もエッチングできるもの
であるが、可動部材6となるSiN膜22の、素子基板
1側の反対側の面に耐エッチング保護膜23が形成され
ているため可動部材6の、エッチングによるダメージが
防止される。
【0081】そして、SiN膜24のエッチングを行っ
た後、酸素プラズマによるプラズマアッシング、あるい
は、素子基板1をレジスト除去剤に浸すことによって、
SiN膜24上に残ったレジストを除去する。
【0082】次に、図9(h)および図9(h’)に示
すように、SiN膜22上の耐エッチング保護膜23を
ウェットエッチングまたはドライエッチングによって除
去する。ここでは、それらの方法に限定されず、耐エッ
チング保護膜23のみを除去することができれば、どの
ような方法でもよい。あるいは、耐エッチング保護膜2
3が、可動部材6の特性に悪影響を及ぼすものではな
く、かつ耐インク性の高いTa膜などであれば、除去す
る必要はない。
【0083】次に、図9(i)および図9(i’)に示
すように、バッファードフッ酸によってSiN膜22の
下方の犠牲層21を除去する。以上の工程により、流路
壁9と、可動部材22と、本発明の特徴部である押え部
材20とを素子基板1上に形成することができる。
【0084】次に、天板3を、シリコンの結晶方位が接
着面に対して(110)で形成されたSi基板を用い
て、以下のように作製する。
【0085】まず、Si基板(110)に熱酸化膜を形
成する。次に、熱酸化膜をフォトリソグラフィ技術を用
いてパターニングする。そしてパターニングした熱酸化
膜をマスクとして、TMAH−22(関東化学社製;商
品名)を用い、温度80℃の条件で異方性エッチングを
行う。このようにして、インク供給口11と共通液室8
となる凹部とを異方性エッチングにより同時に形成す
る。
【0086】次に、天板3の、素子基板1に接着される
面に東京応化社製のSY327(商品名)を利用して上
方変位規制部材12の下地層14のパターニングを行
う。その後、上方変位規制部材12を同じようにネガレ
ジストで形成する。
【0087】次に、UV照射によりタック性を保持した
ままBステージ化し、加熱圧着により接着できるエポキ
シ系の接着剤13を流路壁9に転写し、この上に天板3
を貼り合わせる。その後、素子基板1と天板3との積層
体の、液流路7の開口配設面に接着剤13を転写し、液
流路7のピッチに応じた所定のピッチで吐出口5が形成
されたオリフィスプレート4を接合する。
【0088】以上の工程により、液体吐出ヘッドを製造
することができる。
【0089】(液体吐出ヘッド製造方法の第2の実施
例)図10および図11は、本発明による液体吐出ヘッ
ド製造方法の第2の実施例について説明するための図で
ある。図10および図11の(a)〜(i)が、液流路
7が延びる方向に対して垂直な方向の断面図であり、図
10および図11の(a’)〜(i’)が、液流路7方
向に沿った断面図である。図10の(a)および
(a’)から、図11の(i)および(i’)までの工
程を経て素子基板1上に可動部材6と流路壁9と押え部
材20とが形成される。
【0090】まず、図8(a)および図8(a’)に示
すように、素子基板1の発熱体2側の面全体に、犠牲層
31としてスパッタリング法によってAl膜を形成す
る。Al膜の膜圧は、液体吐出ヘッド製造方法の第1の
実施例と同様に1〜20μmが好ましく、1〜10μm
がより好ましい。
【0091】次に、図10(b)および図10(b’)
に示すように、犠牲層31を、周知のフォトリソグラフ
ィプロセスを用いてパターニングすることで、その犠牲
層31の、可動部材6の台座部に対応する部分のみを除
去する。
【0092】次に、図10(c)および図10(c’)
に示すように、素子基板1および犠牲層31の表面に厚
さ1〜10μmのSiN膜32を形成する。
【0093】次に、図10(d)および図10(d’)
に示すように、SiN膜22の表面に、耐エッチング保
護膜23として厚さ6100ÅのAl膜を形成する。
【0094】次に、耐エッチング保護膜33を、周知の
フォトリソグラフィプロセスを用いてパターニングし、
SiN膜32表面の、可動部材6に対応する部分のみに
残す。そして、誘電結合プラズマを使ったエッチング装
置を用い、耐エッチング保護膜23をマスクにしてSi
N膜32をパターニングすることで、図10(e)およ
び図10(e’)に示すように、SiN膜32の残った
部分で構成される可動部材6を形成する。
【0095】次に、図11(f)および図11(f’)
に示すように、酢酸、りん酸および硝酸の混酸を用い
て、可動部材6上に残っている耐エッチング保護膜33
や、犠牲層31を溶解して除去し、素子基板1上に可動
部材6を作り込む。
【0096】次に、上記のように可動部材6が形成され
た素子基板1の上に、図11(g)および図11
(g’)に示すように、ネガ型の感光性エポキシ樹脂3
4である、マイクロケミカルコンポ社製のNANO X
P SU−8(商品名)をスピンコートによって50μ
mの厚さで塗布する。
【0097】ここで、感光性エポキシ樹脂34について
説明する。流路壁9の材料としては液流路7をフォトリ
ソグラフィーで容易にかつ精度よく形成できることか
ら、感光性樹脂が好ましい。このような感光性樹脂は、
構造材料としての高い機械的強度、素子基板1との密着
性、および耐インク性と同時に、液流路7の微細なパタ
ーンを高アスペクトでパターニングするための高い解像
性が要求される。ここで、本発明者は、鋭意検討の結
果、エポキシ樹脂のカチオン重合硬化物が構造材料とし
て優れた強度、密着性、耐インク性を有し、また、前記
エポキシ樹脂が常温にて固体状であれば、優れたパター
ニング特性を有することを見い出した。常温で固体状の
エポキシ樹脂を用いる場合は、塗布の際には溶媒に溶か
して液状とする。
【0098】まず、エポキシ樹脂のカチオン重合硬化物
は、通常の酸無水物もしくはアミンによる硬化物に比較
して高い架橋密度(高Tg)を有するため、構造材とし
て優れた特性を示す。
【0099】また、常温にて固体状のエポキシ樹脂を用
いることで、光照射によりカチオン重合開始剤より発生
した重合開始種のエポキシ樹脂中への拡散が抑えられ、
優れたパターニング精度、形状を得ることができる。
【0100】ここで、可動部材6のような片持ち梁状の
弁部材が表面に設けられている場合には、粘性が高い樹
脂をスピンコートによって塗布しようとすると、樹脂が
拡散する際に弁部材が撓んだり曲がったりするおそれが
ある。しかしながら、本実施例におけるネガ型の感光性
エポキシ樹脂34として用いられる上記の材料は比較的
粘性が低いので、スピンコートによって塗布する際に弁
部材に撓みや曲がりが起こるおそれがなく、さらに、素
子基板1と可動部材6との間の隙間にも樹脂を良好に流
し込むことができる。
【0101】そして、本発明者らは、可動部材6の変形
を防止し、かつ、光硬化性樹脂の塗布表面を平滑にする
ために、上述のような光硬化性樹脂の材料としては、固
形成分が十分に多くかつ塗布工程でのレベリング(平坦
化)がしやすい材料であること、具体的には50%以上
の固形成分を含んでいる材料が好ましいことを見出し
た。さらに、スピンコートによる塗布を可能にするに
は、樹脂の分子量が小さいこと、具体的には樹脂の平均
分子量が1万以下であることが好ましいことが判った。
【0102】なお、このスピンコート工程において、余
分な樹脂コート材料(光硬化性樹脂)が、外周部の空気
抵抗との関係から広がりきれないために、ウェハー周辺
部が盛り上がる傾向にある。これは、コートの膜厚が厚
くなればなる程、精度における問題となる。そこで、本
実施例では、樹脂コート材料を溶解するアセトンおよび
IPA(イソプロピルアルコール)の混合液などをウェ
ハーの周辺部に滴下することにより(サイドリンス工
程)、ウェハー上の樹脂コート膜の厚さの均一性を向上
させることができた。
【0103】続いて、ホットプレートを用いて90℃,
5分の条件で感光性エポキシ樹脂100のプリベークを
行った後に、露光装置(MPA600:商品名)を用い
て2[J/cm2]の露光光量で感光性エポキシ樹脂3
4を所定のパターンに露光する。
【0104】ネガ型の感光性樹脂である光硬化性樹脂
は、露光された部分が硬化し、露光されない部分は硬化
しない。そこで、この露光工程ではマスク35を用いて
流路壁9を形成すべき箇所と、押え部材20を形成すべ
き箇所のみを露光し、その他の箇所は露光しない。これ
によって、図11(h)および図11(h’)に示すよ
うに、流路壁9となる部分34aと、押え部材20とな
る部分34bのみが硬化される。この際、可動部材6と
なる部分にSiN膜32を用いており、SiNは光を透
過する特性を有する透明な材料であるため、間隙部20
aに位置する押え部材20となる、SiN膜32と素子
基板1との間の部分34cも露光され硬化される。この
ように34c部分も硬化されることは、間隙部20aに
位置する押え部材20を形成してより効果的に可動部材
6の根元部分の応力を緩和できるようにするために好ま
しい。しかし、可動部材6となる層にはSiN以外の材
料を用いることもでき、不透明な材料を用いた場合に
は、34c部分は露光されず硬化されないが、この場合
でも前述のように押え部材20の他の部分で応力緩和の
効果を得ることができる。
【0105】次に、再びホットプレートを用いて90
℃,5分の条件で感光性エポキシ樹脂100のPEBを
行い、キシダ化学社製プロピレングリコール1−モノメ
チルエーテルアセテートを現像液として用いてエッチン
グを行う。これにより、図11(i)および図11
(i’)に示すように、硬化されていない部分を容易に
良好に除去することができる。そして、200℃,1時
間の条件で本ベークを行う。ここで、光硬化後の樹脂の
レベリングを行う工程(本ベーク工程)では、樹脂の融
点(上記の樹脂では90℃)以上の温度でベークを行っ
てレベリングフローをさせることが、レベリングの精度
を向上させるために有効である。
【0106】以上の工程により、流路壁9と、可動部材
22と、本発明の特徴部である押え部材20とを素子基
板1上に形成することができる。本実施例では、間隙部
20aにも押え部材20を形成することができる。
【0107】次に、液体吐出ヘッド製造方法の第1の実
施例と同様に天板3とオリフィスプレート4を接合して
液体吐出ヘッドを作製することができる。
【0108】以上説明した液体吐出ヘッド製造方法の第
1、第2の実施例では、押え部材20を液流路9と同一
の材料を用いて同時に作製する方法を示した。このよう
にすることで、工程を増やすことなく簡便な方法で押え
部材20が形成された液体吐出ヘッドを製造することが
できる。しかし、例えば、液体吐出ヘッド製造方法の第
1の実施例に示したような方法で、可動部材6と流路壁
9とを形成した後、第2の実施例に示したような方法で
押え部材20を形成するなどして、流路壁9と押え部材
20とを別部材で形成するようにしてもよい。このよう
にすることで、液流路9と押え部材20とにそれぞれの
機能に適した材料を用いるなどすることができる。
【0109】<第2の実施形態>図12は本実施形態の
液体吐出ヘッドの要部の側断面模式図である。また、図
3(a)〜図13(f)は、図1に示した液体吐出ヘッ
ドからの液体の吐出過程を説明する図である。
【0110】まず図12を用いて、液体吐出ヘッドの構
成について説明する。
【0111】この液体吐出ヘッドは、気泡発生手段であ
る発熱体110および可動部材111を有する素子基板
101と、規制部112が形成された天板102と、吐
出口104が形成されたオリフィスプレート105とを
有する。本実施形態では、規制部(ストッパ)112
は、それぞれ独立している先端規制部112aと撓み規
制部(変位規制部)112bとからなる。
【0112】液体が流れる流路(液流路)103は、素
子基板101と天板102とが積層状態で固着されるこ
とで形成されており、素子基板101と側壁(流路壁)
107と天板102とに囲まれた細長い形状を有してい
る。また、流路103は、1つの液体吐出ヘッドに複数
並列に形成されており、下流側(図12左側)に形成さ
れた、液体を吐出する吐出口104に連通している。発
熱体110と液体の接する面の近傍領域には気泡発生領
域が存在する。また、これら各流路103の上流側(図
12右側)に同時に連通するように、大容積の共通液室
106が設けられている。つまり、各流路103は、単
一の共通液室106から分岐した形状となっている。こ
の共通液室106の液室高さは、流路103の流路高さ
よりも高く形成されている。
【0113】可動部材111は、一端支持の片持ち梁状
であり、インクの流れの上流側で素子基板101に固定
され、支点111aより下流側が素子基板101に対し
て上下方向に移動可能である。そして、可動部材111
は、初期状態においては、素子基板101との間に隙間
を保ちつつ素子基板101に略平行に位置する。
【0114】本実施形態では、自由端111bが発熱体
110のほぼ中央領域に位置するように可動部材111
が配設され、この可動部材111の自由端111bの上
方に、天板102に第1の規制部(先端規制部)112
aが設けられ、発熱体の上流側端部よりも上流側に第2
の規制部(撓み規制部)112bが設けられている。先
端規制部112aは、可動部材111の自由端111b
に当接してその上方への移動を規制する。撓み規制部1
12bは、可動部材の撓み変形(自由端と支点との間の
中間部が上流側に凸状になる変形)を規制する。このよ
うにして、可動部材111の変位規制時には、可動部材
111および先端規制部112aにより、流路103
は、可動部材111および先端規制部112aより上流
側と、可動部材111および先端規制部112aより下
流側とが、実質的に遮断される。
【0115】自由端111bの位置Yと、先端規制部1
12aの端部Xとは、素子基板101に対して垂直な面
上に位置していることが好ましい。さらに好ましくは、
これらX、Yが発熱体110の中心であるZとともに基
板に対して垂直な面上に位置していることが好ましい。
【0116】また、先端規制部112aから下流側の流
路103の高さは急激に高くなる形状となっている。こ
の構成により、気泡発生領域の下流側の気泡140は、
可動部材111が先端規制部112aおよび撓み規制部
112bによって規制された際にも十分な流路高さを有
しているため、成長が阻害されることなく、液体を吐出
口104に向かってスムーズに向かわせることができ
る。さらに、吐出口104の下端から上端までの高さ方
向での圧力バランスの不均一が少なくなる。したがっ
て、良好な液体の吐出を行うことができる。
【0117】先端規制部112aよりも共通液室106
側(上流側)の天井形状は、撓み規制部112bを除い
て、急激にたちあがっている。この構成で可動部材11
1がない場合には、気泡発生領域の下流側の流体抵抗が
上流側の流体抵抗よりも大きいため、圧力は吐出口10
4側に向かいにくいものであった。しかし本実施形態に
おいては、気泡形成時には、可動部材111により気泡
発生領域の上流側への気泡140の移動が実質的に遮断
されているため、吐出に用いられる圧力は積極的に吐出
口104側へ向かうとともに、インク供給時には、気泡
発生領域の上流側の流体抵抗が小さくなっていることか
ら気泡発生領域へインク供給が速やかになされる。
【0118】上記構成によれば、気泡140の下流側へ
の成長成分と上流側への成長成分とが均等ではなく、上
流側への成長成分が少なくなり上流側への液体の移動が
抑制される。上流側への液体の流れが抑制されるため、
吐出後のメニスカスの後退量が減少し、その分リフィル
時にメニスカスがオリフィス面105aよりも突出する
量も減少する。したがってメニスカス振動が抑制される
こととなり、低周波数から高周波数まであらゆる駆動周
波数において安定した吐出が行われる。
【0119】なお、本実施形態においては、気泡140
の下流側の部分と吐出口104との間は液流に対しまっ
すぐな流路構造を保っている「直線的連通状態」となっ
ている。これは、より好ましくは、気泡140の発生時
に生じる圧力波の伝播方向とそれに伴う液体の流動方向
と吐出方向とを直線的に一致させることで、後述の吐出
滴166の吐出方向や吐出速度等の吐出状態をきわめて
高いレベルで安定化させるという理想状態を形成するこ
とが望ましい。本実施形態では、この理想状態を達成、
または近似させるための一つの定義として、吐出口10
4と発熱体110、特に気泡140の吐出口104側に
影響力を持つ発熱体110の吐出口104側(下流側)と
が直接直線で結ばれる構成とすればよく、これは、流路
103内の液体がない状態であれば、吐出口104の外
側から見て発熱体110、特に発熱体110の下流側が
観察することが可能な状態である。
【0120】次に、各部構成要素の寸法に関して説明す
る。
【0121】本発明においては、上述の可動部材111
の上面への気泡140のまわり込み(気泡発生領域の上
流側への気泡140のまわり込み)について検討したと
ころ、可動部材111の移動速度と気泡成長速度(言い
換えれば液体の移動速度)との関係によって可動部材1
11の上面への気泡140のまわり込みをなくし、良好
な吐出特性を得ることができるという知見を得た。
【0122】すなわち、本発明は、気泡140の体積変
化率と可動部材111の変位体積変化率とがともに増加
傾向にある時点で可動部材111の変位を規制部112
によって規制することにより、可動部材111の上面へ
の気泡140のまわり込みをなくし、良好な吐出特性を
得るものである。
【0123】このことについて、以下に図14を用いて
詳細に説明する。
【0124】まず、図14(a)の状態から、発熱体8
10上で気泡840が発生すると、瞬間的に圧力波が発
生し、この圧力波により発熱体810周囲の液体が移動
することで気泡840が成長していく。そして、当初、
可動部材811は液体の移動にほぼ追従するように上方
に変位する(図14(b))。さらに時間が進むと、液
体の慣性力が小さくなることと可動部材811の弾力性
とによって、可動部材811の変位速度が急激に小さく
なる。このとき、液体の移動速度はそれほど小さくなる
ものではないため、液体の移動速度と可動部材811の
移動速度との差は大きくなる。そして、この時点で可動
部材811(自由端811b)と先端規制部812との
間隙が図14(c)のように依然広く存在する場合に
は、この間隙より液体が気泡発生領域の上流側(矢印方
向)に流入することとなり、可動部材811が先端規制
部812と接触しにくい状態を作り出すとともに、吐出
力の一部が損失することとなる。従って、このような場
合には、規制部(先端規制部812aおよび撓み規制部
812b)による可動部材811の規制(遮断)効果を
十分に生かすことができないものとなる。
【0125】これに対して、本発明では、先端規制部1
12aによる可動部材111の規制を可動部材111の
変位が液体の移動にほぼ追従している段階で行うように
した。ここで、本発明においては、便宜上、可動部材1
11の変位速度および気泡140の成長速度(液体の移
動速度)を「可動部材変位体積変化率」、「気泡体積変
化率」として表すものとする。なお、この「可動部材変
位体積変化率」、「気泡体積変化率」とは、可動部材変
位体積もしくは気泡体積を微分したものである。
【0126】このような構成により、可動部材111の
上面への気泡140のまわり込みを生じるような液体の
流れを実質上なくし、気泡発生領域の密閉状態をより確
実にすることができるため、良好な吐出特性を得ること
ができる。
【0127】本構成によれば、可動部材111が先端規
制部112aによって規制されたあとも、気泡140は
成長を続けるわけであるが、このときに気泡140の下
流側成分の自由成長を促すように、先端規制部112a
より下流部分の流路103の流路高さは十分に設けられ
ていることが望ましい。
【0128】可動部材111の幅が流路103の幅に比
べて小さいため、可動部材111と流路側壁107との
クリアランスが確保されている。そして、発熱体110
の発熱によって発生する気泡140に対し、この気泡1
40の上流側半分に対面して位置し、前記したように可
動部材111の変位を規制する先端規制部112aと、
発熱体の上流端よりも上流側に位置する撓み規制部11
2bとが設けられている。この先端規制部112aによ
って可動部材111の上方変位の規制が行われるととと
もに、可動部材111に過剰な応力が加わった場合に
は、撓み規制部112bによって可動部材111の撓み
変形(過剰変形)が規制される。
【0129】撓み規制部112bは、通常の液体吐出状
態であって気泡140の正常な発泡状態においては可動
部材111と当接することはなく、気泡140が通常よ
りも大きくなり過ぎて可動部材111が過剰に変形する
場合にのみ、可動部材111に当接してそれ以上の変形
を抑えるような位置および寸法に形成されている。
【0130】なお、本発明において、規制部による可動
部材の変位の規制とは、可動部材の変位体積変化率が0
または負となる状態を指す。
【0131】なお、本実施形態における流路103の高
さは55μmであり、可動部材111の厚さは5μmで
ある。ストッパの高さをt1とし、可動部材111の上
面とストッパ112との間の高さ方向の間隔をt2とし
たとき、t1が30μm以上のときは、t2は15μm以
下とすることで液体の安定した吐出特性を発揮すること
ができた。
【0132】次に、本実施形態の液体吐出ヘッドの吐出
動作について、図13(a)〜図13(f)と、気泡の
変位速度と体積の時間変化および可動部材の変位速度と
変位体積の時間変化とを示す図15を用いて詳細に説明
する。
【0133】図15において、気泡体積変化率v1は実
線で、気泡体積Vd1は二点鎖線で、可動部材変位体積変
化率v2は破線で、可動部材変位体積Vd2は一点鎖線で
それぞれ示されている。また、気泡体積変化率v1は気
泡体積Vd1の増加を正とし、気泡体積Vd1は体積の増加
を正とし、可動部材変位体積変化率v2は可動部材変位
体積Vd2の増加を正とし、可動部材変位体積Vd2は体積
の増加を正として、それぞれ示している。なお、可動部
材変位体積Vd2は可動部材111が図13(a)の初期
状態から天板102側へ変位した際の体積を正とするた
め、可動部材111が初期状態から素子基板101側に
変位した際には、可動部材変位体積Vd2は負の値を示す
こととなる。
【0134】図13(a)は、発熱体110に電気エネ
ルギー等のエネルギーが印加される前の状態であり、発
熱体110が熱を発生する前の状態を示す。可動部材1
11は、後述するように、発熱体110の発熱によって
発生する気泡140に対し、この気泡140の上流側半
分に対面する領域に位置している。
【0135】図15においては、この状態は時間t=0
のA点に相当する。
【0136】図13(b)では、気泡発生領域内を満た
す液体の一部が発熱体110によって加熱され、膜沸騰
に伴う気泡140が発泡し始めた状態を示す。図15に
おいてはこの状態は、B〜C1点の直前までの間に相当
し、気泡体積Vd1は、時間とともに大きくなっていく状
況が示されている。なお、このとき、可動部材111の
変位は気泡140の体積変化より遅れて始まる。すなわ
ち、膜沸騰による気泡140の発生に基づく圧力波が流
路103内を伝播し、それに伴い液体は気泡発生領域の
中央領域を境に下流側および上流側に移動し、上流側に
おいては気泡140の成長に伴う液の流れにより可動部
材111が変位し始める。また、上流側への液体の移動
は流路103の側壁107と可動部材111との間をと
おり共通液室106側に向かう。この時点における先端
規制部112aと可動部材111との間のクリアランス
は可動部材111が変位するにつれ狭くなっていく。こ
の状態で、吐出口104からは吐出滴166が吐出され
始める。
【0137】図13(c)では、気泡140のさらなる
成長により、変位した可動部材111の自由端111b
が先端規制部112aに接触した状態を示す。図15に
おいてはこの状態は、C1〜C3点に相当する。
【0138】可動部材変位体積変化率v2は、図13
(b)に示す状態から図13(c)に示す状態である可
動部材111が先端規制部112aに接触する前、すな
わち、図15ではB点からC1点へ移行する際のB点で
は急激に低下する。これは、可動部材11が先端規制部
12aに接触する直前において、可動部材11と先端規
制部112aとの間の液体の流抵抗が急激に大きくなる
ことによるものである。また、気泡体積変化率v1も急
激に低下する。
【0139】その後、可動部材111は先端規制部11
2aにさらに接近し、接触するが、この可動部材111
と先端規制部112aとの接触は、先端規制部112a
の高さt1と可動部材111の上面と先端規制部112
aの先端部との間のクリアランスt2が上述のように寸
法規定されることにより、確実なものとなる。そして、
可動部材111が先端規制部112aに接触するとそれ
以上の上方への変位が規制される(図15のC1〜C
3点)ため、上流方向への液体の移動もそこで大きく制
限される。これに伴い気泡140の上流側への成長も可
動部材111で制限される。
【0140】通常発泡状態であれば、ここで可動部材1
11の上方への変位は規制されるが、流路中のインク量
が少なくインクで満たされていない部分が(特に可動部
材111の上方に)存在する状態で加熱発泡すると、通
常よりも大きな気泡が発生し、インクに過剰な力が加わ
る。このため可動部材111は、さらに上流方向へ引っ
張られる大きな応力を受け、図13(d)に点線で示す
ように、上方(天板側)に向かって凸になるように撓み
変形しようとする。仮に、このように撓み変形すると、
可動部材111に過剰な応力が働いてクラックや欠陥が
発生するおそれがあり、さらに変形が大きくなると、可
動部材が破断するという場合がある。これに対し、本実
施形態では発熱体110の上流側端部よりも上流側に撓
み規制部112bが設けられているので、図13(d)
に実線で示すように、可動部材111が上方(天板側)
に向かって凸になるような撓み変形は防止される。撓み
規制部112bは、可動部材111の上方への撓み変形
規制を目的としており、先端規制部112aのように流
路を遮断する(仕切る)必要はないので、できるだけ流
抵抗が大きくならない(リフィルの妨げにならない)よ
うな形状が望ましい。
【0141】このように可動部材111が先端規制部1
12aおよび撓み規制部112bに当接した後も、気泡
140は成長を続ける。先端規制部112aおよび可動
部材111によって上流側への成長が規制されているの
で、気泡140は下流側にさらに成長し、可動部材11
1を設けない場合に比べ、発熱体110の下流側におけ
る気泡140の成長高さが高くなっている。すなわち、
図15に示すように、可動部材変位体積変化率v2は、
可動部材111が先端規制部112aおよび撓み規制部
112bに接触していることによりC1〜C3点の間でゼ
ロとなっているが、気泡140は下流側に成長し、C1
点よりやや時間的に遅れたC2点まで成長を続け、この
2点で気泡体積Vd1は最大値となる。
【0142】一方、前述したように気泡140の上流側
の部分は、可動部材111の変位が先端規制部112a
および撓み規制部112bによって規制されているた
め、小さなサイズになっている。この気泡140の上流
側の部分は、先端規制部112a、流路側壁、可動部材
111および支点111aにより、上流側の領域へと進
入する量がほとんどゼロに規制されている。
【0143】これによって、上流側への液流を大幅に規
制し、隣接した流路への流体クロストークや、高速リフ
ィルを阻害する供給路系における液の逆流や圧力振動を
防止する。
【0144】図13(e)では、前述した膜沸騰の後に
気泡140の内部の負圧が、流路103内の下流側への
液体の移動に打ち勝って、気泡140の収縮が開始され
た状態を示す。
【0145】気泡140の収縮(図15におけるC2
E点)に伴い、可動部材111は下方変位(図15にお
けるC3〜D点)するが、可動部材111自身が片持ち
梁ばねの応力と前述した上方凸変形の応力を持ってお
り、それにより下方変位する速度を高める。そして、こ
れに伴う、共通液室106と流路103との間に形成さ
れた低流路抵抗領域である可動部材111の上流側で
の、液体の下流方向への流れは流路抵抗が小さいため、
急速に大きな流れとなって流路103へ流れ込む。これ
らの動作で共通液室106側の液体は流路103内へと
誘導される。流路103内に導かれた液体はそのまま先
端規制部112aと下方変位した可動部材111との間
を通り、発熱体110の下流側に流れ込むと同時に、ま
だ消泡しきっていない気泡140に対し消泡を加速する
ように作用する。この液体の流れは消泡を助けたあと、
吐出口104方向にさらに流れを作りメニスカスの復帰
を助け、リフィル速度を向上する。
【0146】この段階で、吐出口104から出た吐出滴
166からなる液柱は、液滴となり外部へと飛翔する。
【0147】また、前述した可動部材111と先端規制
部112aとの間の部分を介した流路103への流れ込
みは天板102側での流速を高めるため、この部分での
微少泡などの残留も極めて少なく、吐出の安定性に寄与
している。
【0148】さらに、消泡によるキャビテーション発生
ポイントも気泡発生領域の下流側にずれるため、発熱体
110に対するダメージが少なくなる。同時に、同現象
によりこの領域での発熱体110へのこげの付着も少な
くなるため、吐出安定性が向上する。
【0149】図13(f)では、気泡140が完全に消
泡したあと、可動部材111が初期状態から下方にオー
バーシュートして変位した状態(図15におけるE点以
降)を示す。
【0150】この可動部材111のオーバーシュート
は、可動部材111の剛性や使用する液体の粘度にもよ
るが、短い時間で減衰収束し、初期状態に戻る。
【0151】次に、図12に示した一部のヘッドの透視
斜視図である図16を用いて、特に、可動部材111の
両側部から隆起する隆起気泡141と、吐出口104で
の液体のメニスカスとに関して詳細に説明する。なお、
図16に示す、先端規制部112aの形状および先端規
制部112aより上流側の低流路抵抗領域103aの形
状は図12に示すものと異なるが、基本的特性は同様で
ある。
【0152】本実施形態では、流路103を構成する側
壁107の壁面と可動部材111の両側部には僅かなが
らにクリアランスが存在し、可動部材111のスムーズ
な変位を可能にしている。さらに、発熱体110による
発泡の成長工程において、気泡140は可動部材111
を変位させるとともに、前記したクリアランスを介し可
動部材111の上面側へ隆起して低流路抵抗領域103
aに若干侵入する。この侵入した隆起気泡141は可動
部材111の背面(気泡発生領域と反対面)に回り込む
ことで可動部材111のブレを抑え、吐出特性を安定化
する。
【0153】さらに、気泡140の消泡工程において、
隆起気泡141が低流路抵抗領域103aから気泡発生
領域への液流を促進させ、前述した、吐出口104側か
らの高速なメニスカス引き込みと相まって、消泡をすみ
やかに完了させる。特に、隆起気泡141が引き起こす
液流によって可動部材111や流路103のコーナーに
気泡を滞留させることがほとんどない。
【0154】このように上記構成の液体吐出ヘッドで
は、気泡140の発生によって吐出口104から液体が
吐出された瞬間では吐出滴166は先端に球状部を持つ
液柱に近い状態で吐出される。このことは旧来のヘッド
構造でも同じであるが、本実施形態では、気泡の成長工
程によって可動部材111が変位し、この変位した可動
部材111が先端規制部112aに接触したとき、気泡
発生領域を有する流路103が吐出口を除いて、実質的
に閉じた空間が形成される。したがって、この状態で気
泡を消泡すれば、消泡によって可動部材111が先端規
制部112aより離れるまでは上述の閉空間が保たれる
ため、気泡140の消泡エネルギーのほとんどが吐出口
104近傍の液体を上流方向へ移動させる力として働く
こととなる。その結果、気泡140の消泡開始直後にお
いては、吐出口104からメニスカスが流路103内に
急速に引き込まれ、吐出口104の外側で吐出滴166
と繋がって液柱を形成している尾引き部分がメニスカス
により強い力ですばやく切り離される。これにより、尾
引き部分から形成されるサテライトドットが小さくな
り、印字品位を向上させることができる。
【0155】さらに、尾引き部分がいつまでもメニスカ
スに引っ張られ続けないことで、吐出速度が低下せず、
また吐出滴166とサテライトドットとの距離も短くな
るので、吐出滴166の後方でいわゆるスリップストリ
ーム現象によりサテライトドットが引き寄せられる。そ
の結果、吐出滴166とサテライトドットの合体も起こ
り得て、サテライトドットがほとんど無い液体吐出ヘッ
ドを提供することが可能である。
【0156】さらに本実施形態は、上述した液体吐出ヘ
ッドにおいて、可動部材111が、吐出口104に向か
う液体の流れに関して上流方向に成長する気泡140の
みを抑制するために設けられている。より好ましくは、
可動部材111の自由端111bが気泡発生領域の実質
中央部に位置している。この構成によれば、液体の吐出
にとって直接関係しない、気泡成長による上流側へのバ
ック波および液体の慣性力を抑えるとともに、気泡14
0の下流側への成長成分を素直に吐出口104の方向に
向けることが可能である。
【0157】図17(a)は、先端規制部形成部分の流
路に垂直な断面図、図17(b)は、撓み規制部形成部
分の流路に垂直な断面図である。先端規制部112a
は、発泡により変位した可動部材111が接触または近
接した時に液体の流れを遮断するために、左右の側壁1
07との間のクリアランスはごく小さい。一方、図17
(b)に示す撓み規制部112bは、前記のように可動
部材111の撓み変形(過剰な変位)を規制できればい
いので、先端規制部112aほどの幅広さは必要ない。
むしろ、リフィル特性を低下させないため、比較的狭幅
である。また、上下方向に関しては、撓み規制部112
bは、可動部材111の中間部(自由端111bと支点
111aとの間の部分)を自由端111b以上に変位さ
せないために、先端規制部112bと同等かそれ以上の
高さが必要である。
【0158】図17(c)は撓み規制部の変形例であ
る。この撓み規制部112cは、左右の側壁107の近
傍から流路内側へ突出するように形成されており、可動
部材111の幅方向の中心部は開放し、両側端に当接し
て変形を規制する。これにより可動部材111のひねり
方向の変形も同時に規制することが可能となり、より安
定的な規制が可能となる。
【0159】(可動部材)次に、上述の各実施形態の液
体吐出ヘッドに用いられる可動部材111に関して詳細
に説明する。
【0160】可動部材111の材料としては、窒化シリ
コンのほか、耐久性の高い、銀、ニッケル、金、鉄、チ
タン、アルミニウム、白金、タンタル、ステンレス、り
ん青銅等の金属およびその合金、または、アクリロニト
リル、ブタジエン、スチレン等のニトリル基を有する樹
脂、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、ポリカーボ
ネイト等のカルボキシル基を有する樹脂、ポリアセター
ル等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリサルフォン等のス
ルホン基を持つ樹脂、そのほか液晶ポリマー等の樹脂お
よびその化合物、耐インク性の高い、金、タングステ
ン、タンタル、ニッケル、ステンレス、チタン等の金属
およびその合金およびこれらを表面にコーティングして
耐インク性を向上させたもの、若しくは、ポリアミド等
のアミド基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒ
ド基を持つ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等のケト
ン基を有する樹脂、ポリイミド等のイミド基を有する樹
脂、フェノール樹脂等の水酸基を有する樹脂、ポリエチ
レン等のエチル基を有する樹脂、ポリプロピレン等のア
ルキル基を持つ樹脂、エポキシ樹脂等のエポキシ基を持
つ樹脂、メラミン樹脂等のアミノ基を持つ樹脂、キシレ
ン樹脂等のメチロール基を持つ樹脂およびその化合物、
さらに二酸化珪素、チッ化珪素等のセラミックおよびそ
の化合物が望ましい。
【0161】次に、発熱体110と可動部材111の配
置関係について説明する。発熱体110と可動部材11
1の最適な配置によって、発熱体110による発泡時の
液の流れを適正に制御して有効に利用することが可能と
なる。
【0162】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口104からインクを吐出し、これを被記録媒体上
に付着させて画像形成を行うインクジェット記録方法、
いわゆるバブルジェット記録方法の従来技術において
は、図18に示すように、発熱体面積とインク吐出量は
比例関係にあるが、インク吐出に寄与しない非発泡有効
領域Sが存在していることがわかる。また、発熱体11
0上のコゲの様子から、この非発泡有効領域Sが発熱体
110の周囲に存在していることがわかる。これらの結
果から、発熱体周囲の約4μmの領域は、発泡に関与さ
れていない。
【0163】したがって、発泡圧を有効利用するために
は、発熱体110の周囲から約4μm以上内側の発泡有
効領域の直上が可動部材111に対し有効に作用する領
域であるが、本発明の場合、気泡発生領域のほぼ中央領
域(実際には中央から液体の流れ方向に約10μmの範
囲)の上流側と下流側の気泡の流路103内の液流に対
し独立的に作用する段階と、総合的に作用する段階とに
区分して、中央領域より上流側部分のみが可動部材11
1に対面するように、可動部材111を配置するのが極
めて重要である。本実施形態においては、発泡有効領域
を発熱体110の周囲から約4μm以上内側としたが、
発熱体110の種類や形成方法によっては、これに限定
されるものではない。
【0164】(素子基板)次に、上述の各実施形態の液
体吐出ヘッドに用いられる、液体に熱を与えるための発
熱体110が設けられた素子基板101の構成について
詳細に説明する。
【0165】図19は、素子基板101の構成を説明す
るための、本発明の一例である液体吐出ヘッドの要部の
模式的側断面図を示したもので、図19(a)は後述す
る保護膜がある液体吐出ヘッド、図19(b)は保護膜
がない液体吐出ヘッドである。
【0166】素子基板101上には、前記した流路10
3を構成する溝を設けた溝付き天板102が配されてい
る。
【0167】素子基板101は、シリコン等の基体10
1fに絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜また
はチッ化シリコン膜101eを成膜し、その上に発熱体
110を構成するハフニウムボライド(HfB2)、チ
ッ化タンタル(TaN)、タンタルアルミニウム(Ta
Al)等の電気抵抗層101d(厚さ0.01〜0.2
μm)とアルミニウム等の配線電極101c(厚さ0.
2〜1.0μm)を図19(a)のようにパターニング
している。この配線電極101cから抵抗層101dに
電圧を印加し、抵抗層101dに電流を流し発熱させ
る。配線電極101c間の抵抗層101d上には、酸化
シリコンやチッ化シリコン等の保護膜101bを厚さ
0.1〜2.0μm形成し、さらにそのうえにタンタル
等の耐キャビテーション層101a(厚さ0.1〜0.
6μm)が成膜されており、インク等の各種の液体から
抵抗層101dを保護している。
【0168】特に、気泡140の発生、消泡の際に発生
する圧力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の
耐久性を著しく低下させるため、金属材料のタンタル
(Ta)等が耐キャビテーション層101aとして用い
られる。
【0169】また、液体、流路構成、抵抗材料の組み合
わせにより、上述の抵抗層101dに保護膜101bを
必要としない構成でもよく、その例を図19(b)に示
す。このような保護膜101bを必要としない抵抗層1
01dの材料としてはイリジウム−タンタル−アルミニ
ウム合金等が挙げられる。
【0170】このように、前述の各実施形態における発
熱体110の構成としては、前述の電極101c間の抵
抗層101d(発熱部)だけででもよく、また抵抗層1
01dを保護する保護膜101bを含むものでもよい。
【0171】各実施形態においては、発熱体110とし
て電気信号に応じて発熱する抵抗層101dで構成され
た発熱部を有するものを用いたが、これに限られること
なく、吐出液を吐出させるのに十分な気泡140を発泡
液に生じさせるものであればよい。例えば、レーザ等の
光を受けることで発熱するような光熱変換体や高周波を
受けることで発熱するような発熱部を有する発熱体でも
よい。
【0172】なお、前述の素子基板101には、前述の
発熱部を構成する抵抗層101dとこの抵抗層101d
に電気信号を供給するための配線電極101cで構成さ
れる発熱体110の他に、この発熱体110(電気熱変
換素子)を選択的に駆動するためのトランジスタ、ダイ
オード、ラッチ、シフトレジスタ等の機能素子が一体的
に半導体製造工程によって作り込まれていてもよい。
【0173】また、前述のような素子基板101に設け
られている発熱体110の発熱部を駆動し、液体を吐出
するためには、前述の抵抗層101dに配線電極101
cを介して図20に示されるような矩形パルスを印加
し、配線電極101c間の抵抗層101dを急峻に発熱
させる。前述の各実施形態のヘッドにおいては、それぞ
れ電圧24[V]、パルス幅7[μm]、電流150
[mA]、電気信号を6[kHz]で加えることで発熱
体を駆動させ、前述のような動作によって、吐出口10
4から液体であるインクを吐出させた。しかしながら、
駆動信号の条件はこれに限られることなく、発泡液を適
正に発泡させることができる駆動信号であればよい。
【0174】<第3の実施形態>次に、本発明の第3の
実施形態について説明する。第1、第2の実施形態と同
様な部分については、同一の符号を付与し説明を省略す
る。
【0175】本実施形態の液体吐出ヘッドは、第1の実
施形態と同様な補助部材(押え部材20)に、第2の実
施形態の撓み規制部112bと同様な機能を持たせてい
る。すなわち、図21に示されているように、押え部材
20の一部が、可動部材111から離れるように先細に
なりながら下流側に(吐出口104に向かって)延び
て、可動部材111の中間部と間隔を置いて対向する撓
み規制部112bとなっている。本実施形態の変位規制
部は、この押え部材20と撓み規制部112bとからな
る。
【0176】図21は、発熱体110に電気エネルギー
等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体1
10が熱を発生する前の状態を示す。可動部材111
は、後述するように、発熱体110の発熱によって発生
する気泡140に対し、この気泡140の上流側半分に
対面する領域に位置している。
【0177】液体吐出動作において発熱体110が駆動
されて発熱し、気泡140が発生して成長すると、図2
2(a)に示すように、変位した可動部材111が先端
規制部112aに接近して接触する。この可動部材11
1と先端規制部112aとの接触は、先端規制部112
aの高さt1と、可動部材111の上面と先端規制部1
12aの先端部との間のクリアランスt2が、第2の実
施形態と同様に寸法規定されることにより、確実にな
る。そして、可動部材111が先端規制部112aに接
触するとそれ以上の上方への変位が規制されるため、上
流方向への液体の移動もそこで大きく制限される。これ
に伴い気泡140の上流側への成長も可動部材111で
制限される。
【0178】通常発泡状態であれば、可動部材111の
上方への変位は規制され、撓み規制部112bと可動部
材111は接触することはないため、可動部材111に
何ら影響を与えない。
【0179】しかし、流路中のインク量が少なくインク
で満たされていない部分が(特に可動部材111の上方
に)存在する状態で加熱発泡すると、通常よりも大きな
気泡140が発生し、インクに過剰な力が加わる。この
ため可動部材111は、さらに上流方向へ引っ張られる
大きな応力を受け、図22(b)に点線で示すように、
上方(天板側)に向かって凸になるように過剰変位(撓
み変形)しようとする。仮に、このように過剰変位(撓
み変形)すると、可動部材111に過剰な応力が働いて
クラックや欠陥が発生するおそれがあり、さらに変形が
大きくなると、可動部材111が破断するという場合が
ある。これに対し、本実施形態では発熱体110の上流
側端部よりも上流側に、押え部材20と一体に形成され
た撓み規制部112bが設けられているので、可動部材
111の自由端111bが先端規制部112aに当接し
た後に可動部材111が上方(天板側)に向かって凸に
なるような過剰な変形(撓み変形)は防止される。
【0180】このように可動部材111が先端規制部1
12aおよび撓み規制部112bに当接した後も、気泡
140は成長を続ける。先端規制部112aおよび可動
部材111によって上流側への成長が規制されているの
で、気泡140は下流側にさらに成長し、可動部材11
1を設けない場合に比べ、発熱体110の下流側におけ
る気泡140の成長高さが高くなっている。
【0181】一方、前述したように気泡140の上流側
の部分は、可動部材111の変位が先端規制部112a
および撓み規制部112bによって規制されているた
め、小さなサイズになっている。この気泡140の上流
側の部分は、先端規制部112a、流路側壁、可動部材
111および支点111aにより、上流側の領域へと進
入する量がほとんどゼロに規制されている。これによっ
て、上流側への液流が大幅に規制され、隣接した流路へ
の流体クロストークや、高速リフィルを阻害する供給路
系における液の逆流や圧力振動が防止される。
【0182】また、押え部材20は、図21のB−B’
線断面である図23に示すように、可動部材111の段
差部と分岐された可動部材111の付け根部とを覆って
いるため、押え部材20がない場合には可動部材111
が変位する際に特に応力集中が生じやすい部分である、
可動部材11の段差部と分岐された可動部材の付け根部
とに加わる応力を、この部分に接合された押え部材20
に分散させて緩和することができる。そして、可動部材
111の多数の可動部が同時に変位しても、可動部材1
11の耐久性に大きな影響を生じるほどの応力が加わら
ないようにできる。
【0183】なお、押え部材20と撓み規制部112b
とからなる本実施形態の変位規制部は、可動部材111
の上方への過剰な変位(撓み変形)規制と可動部材11
1の段差部と分岐された可動部材111の付け根部とに
加わる応力を緩和することを目的としているため、可動
部材111と撓み規制部112bのクリアランスは、通
常発泡状態における可動部材111の最大変位時に可動
部材111と接しない(撓み変形が生じない)程度が望
ましい。また、先端規制部112aのように流路を遮断
する(仕切る)必要はないので、撓み規制部112b
は、たとえば図21のA−A’線断面図である図24
(a),(b)に示すように、できるだけ流抵抗が大き
くならない(リフィルの妨げにならない)ような形状が
望ましい。
【0184】<その他の構成>図25は、以上説明した
液体吐出ヘッド48と、それに供給する液体を保持する
液体容器とを有するヘッドカートリッジ47を示す斜視
図である。なお、この液体容器には、液体消費後に液体
を再充填して使用することが可能である。
【0185】次に、図26は、ヘッドカートリッジ47
が搭載される液体吐出装置の概略構成を示す斜視図であ
る。ここでは、特に、吐出液体としてインクを用いるイ
ンク吐出装置IJRAを示している。このインク吐出装
置IJRAは、ギア52を介してモータ51に接続され
ており、不図示の駆動信号供給手段からの駆動信号に応
じて回転駆動されて記録紙などの被記録媒体50を搬送
する搬送ローラを有している。ヘッドカートリッジ47
はキャリッジHCに搭載されており、図25には、液体
吐出ヘッド48が搭載された液体吐出ヘッド部40と液
体容器部41とが着脱自在な構成のものを搭載している
例を示している。キャリッジHCは、キャリッジガイド
およびキャリッジ軸54上に、被記録媒体50の幅方向
(図26の矢印a,b方向)に往復移動できるように支
持されている。キャリッジ軸54は、ギア52,53を
介してモータ51に接続されており、駆動信号に応じて
回転駆動される。キャリッジHCは、キャリッジ軸54
に形成されている螺旋状の溝に係合されており、キャリ
ッジ軸54の回転に応じて往復移動する。
【0186】このインク吐出装置IJRAによる記録
は、被記録媒体50を搬送ローラによって所定の位置に
搬送し、キャリッジHCを所定の位置に移動させた後、
キャリッジHCに搭載された液体吐出ヘッド48から被
記録媒体50に対してインクを吐出させることによって
行われ、良好な画像を形成することができる。
【0187】図27は、液体吐出装置の他の例を示す模
式的斜視図である。この液体吐出装置は、被記録媒体8
0の記録可能領域の全幅にわたって複数の吐出口が配さ
れた、いわゆるフルラインヘッド70を有している。フ
ルラインヘッド70は、搬送ドラム90による、被記録
媒体80の搬送経路上に、搬送経路を横切るように配置
されており、被記録媒体80の記録可能領域の全幅に一
括して記録を行うことができる。
【0188】図28は、前述のような液体吐出装置(イ
ンク吐出記録装置)の記録動作の制御を行う制御部の模
式的ブロック図を示している。インク吐出記録装置はホ
ストコンピュータ60より画像情報を制御信号として受
ける。画像情報は、インク吐出記録装置内部の入出力イ
ンターフェイス61で、記録装置内で処理可能なデータ
に変換され一時保存される。
【0189】CPU62はROM63に保存されている
制御プログラムに基づき、入出力インターフェイス61
に一時保存されたデータをRAM64などの周辺ユニッ
トを利用しつつ処理し、記録するデータ(画像データ)
に変換する。さらに、CPU62は被記録媒体上の適当
な位置に画像データに応じた画像を記録するために、駆
動用モータ51を画像データに基づいて、液体吐出ヘッ
ド48からの液体吐出動作に同期する適当なタイミング
で駆動するための駆動データを作成する。このようにし
て作製された画像データはヘッドドライバ66を介して
キャリッジHCに、駆動データはモータドライバ65を
介して駆動用モータ51に伝達され、キャリジHC(液
体吐出ヘッド48)と駆動用モータ51とがそれぞれ制
御されたタイミングで駆動され、画像が形成される。
【0190】以上のような液体吐出装置において使用で
きる、インクなどの液体の付与が行われる被記記録媒体
としては、各種の紙やOHPシート、コンパクトディス
クや装板版などに用いられるプラスチック材、布帛、ア
ルミニウムや銅などの金属材、牛皮、豚皮、人工皮革な
どの皮革材、木、合板などの木材、竹材、タイルなどの
セラミックス材、スポンジなどの三次元構造体などを対
象とすることができる。
【0191】また、以上のような液体吐出装置は、各種
のOHPシートなどに対して記録を行うプリンタ装置、
コンパクトディスクなどのプラスチック材に記録を行う
プラスチック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記
録装置、皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録
を行う木材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセ
ラミックス用記録装置、スポンジなどの三次元網状構造
体に対して記録を行う記録装置、また布帛に記録を行う
捺染装置などとして使用可能なように構成することがで
きる。これらの種々の液体吐出装置に用いる液体は、夫
々の被記録媒体や記録条件に合わせた液体であることが
好ましい。
【0192】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると先
端規制部と変位規制部とからなる規制部を有しており、
可動部材を備える液体吐出ヘッドにおいて、変位規制部
として、可動部材の台座部と可動部との接続部の段差部
および分岐された可動部の付け根部に接合された押え部
を設ける構成とすると、これらの部分に加わる応力を緩
和することができる。これにより、可動部材の耐久性を
向上させ、液体吐出の信頼性を向上させることができ
る。
【0193】また、変位規制部として撓み規制部を設
け、可動部材の自由端の変位を先端規制部で規制すると
ともに、可動部材の中間部の撓み変形を撓み規制部で規
制する構成とすると、可動部材の過剰な変形によるクラ
ックや欠陥の発生や破損を防ぎ、耐久性を向上すること
ができる。
【0194】先端規制部が撓み規制部よりも幅広である
などして、先端規制部が設けられている部分の流路の液
体が通過可能な面積は、撓み規制部が設けられている部
分の流路の液体が通過可能な面積よりも小さいと、リフ
ィル特性を低下させることがなく、高周波液体吐出が可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッド構成
を示す模式図であり、図1(a)は吐出口側から見た側
面図、図1(b)は平面断面図、図1(c)は液流路に
沿って断面した断面図、図1(d)は液流路に垂直な方
向に断面した断面図である。
【図2】図1に示した液体吐出ヘッドの主要部の寸法例
を示す図である。
【図3】図1に示した液体吐出ヘッドの流路壁の形状
を、天板およびオリフィスプレートを取り付けていない
状態で示す図であり、図3(a)は平面図、図3(b)
は拡大して示した平面図、図3(c)は斜視図、図3
(d)は拡大して示した斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッド構成
の他の実施例を示す模式図であり、図4(a)は吐出口
側から見た側面図、図4(b)は平面断面図、図4
(c)は液流路に沿って断面した断面図、図4(d)は
液流路に垂直な方向に断面した断面図である。
【図5】図4に示した液体吐出ヘッドの主要部の寸法例
を示す図である。
【図6】図4に示した液体吐出ヘッドの流路壁の形状
を、天板およびオリフィスプレートを取り付けていない
状態で示す図である。
【図7】本発明を適用可能な般的な液体吐出ヘッドの部
分破断斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッドの製
造方法の第1の実施例の工程を説明する断面図である。
【図9】図8に示した工程の後の工程を説明する断面図
である。
【図10】本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッドの
製造方法の第2の実施例の工程を説明する断面図であ
る。
【図11】図10に示した工程の後の工程を説明する断
面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態の液体吐出ヘッドの
側断面模式図である。
【図13】図12に示した液体吐出ヘッドからの液体の
吐出過程を説明する図である。
【図14】可動部材と規制部との間隙に液体が流入して
いる状況を説明する図である。
【図15】気泡の変位速度と体積の時間変化及び可動部
材の変位速度と変位体積の時間変化を示す図である。
【図16】図12に示した液体吐出ヘッドの要部の透視
斜視図である。
【図17】(a)は図12に示した液体吐出ヘッドの先
端規制部形成部分の流路に垂直な方向の断面図、(b)
はその撓み規制部形成部分の流路に垂直な方向の断面
図、(c)は撓み規制部の変形例の流路に垂直な方向の
断面図である。
【図18】発熱体面積とインク吐出量の関係を示すグラ
フである。
【図19】本発明の液体吐出ヘッドの素子基板の構成を
説明する模式的速断面図である。
【図20】発熱体に印加されるパルス波形を示すグラフ
である。
【図21】本発明の第3の実施形態の液体吐出ヘッドの
側断面模式図である。
【図22】図21に示す液体吐出ヘッドの液体吐出過程
を説明する側断面模式図である。
【図23】図21のB−B’線断面図である。
【図24】図21のA−A’線断面図である。
【図25】本発明の実施形態のヘッドカートリッジを示
す斜視図である。
【図26】本発明の実施形態の液体吐出装置を示す斜視
図である。
【図27】本発明の他の実施形態の液体吐出装置を示す
斜視図である。
【図28】本発明の実施形態の液体吐出装置の制御部の
模式的ブロック図である。
【図29】従来の液体吐出ヘッドにおける吐出動作を説
明する断面図である。
【図30】図29に示した液体吐出ヘッドの部分破断斜
視図である。
【符号の説明】
1 素子基板 2 発熱体 3 天板 4 オリフィスプレート 5 吐出口 6 可動部材 6a 接続部 6b 自由端 7 液流路 8 共通液室 9 流路壁 9a 押え部(変位規制部) 9b 間隙部 10 液室壁 11 インク供給口 12 上方変位規制部材(先端規制部) 13 接着剤 14 下地層 15 保護層 16 耐キャビテーション層 19 台座部 20 押え部材(変位規制部) 20a 間隙部 21,31 犠牲層 22,32 SiN膜 23,33 耐エチッング保護膜 24 SiN膜 34 感光性エポキシ樹脂 35 マスク 40 液体吐出ヘッド部 41 液体容器部 47 ヘッドカートリッジ 48 液体吐出ヘッド 50 被記録媒体 51 モータ 52,53 ギア 60 ホストコンピュータ 61 入出力インターフェイス 62 CPU 63 ROM 64 RAM 66 ヘッドドライバ 70 フルラインヘッド 80 被記録媒体 90 搬送ドラム 101,801 素子基板 101a 耐キャビテーション層 101b 保護層 101c 配線電極 101d 抵抗層 101e チッ化シリコン膜 101f 基体 102,802 天板 103,803 流路(液流路) 104,804 吐出口 105,805 オリフィスプレート 105a オリフィス面 106,806 共通液室 107 側壁(流路壁) 110,810 発熱体 111,811 可動部材 111a,811a 支点 111b,811b 自由端 112,812 ストッパ(規制部) 112a 先端規制部 112b 撓み規制部(変位規制部) 140,840 気泡 141 隆起気泡 166,866 吐出滴 712 低流路抵抗領域 a,a1,b,c,d クリアランス v1 気泡体積変化率 v2 可動部材変位体積変化率 Vd1 可動部材変位体積 Vd2 気泡体積
フロントページの続き (72)発明者 三隅 義範 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 石永 博之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 笠本 雅己 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 尾崎 照夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 三原 弘明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 井利 潤一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF65 AF93 AG12 AG29 AG30 AG46 AG76 AP02 AP25 AP32 AP33 AP34 AP47 AP52 AP53 AP57 AQ02 BA03 BA13

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を吐出する吐出口と、 該吐出口に連通し前記液体を供給する液流路と、 該液流路に充填された前記液体に気泡を発生させる発熱
    体が備えられた素子基板と、 前記素子基板上に支持固定された固定部と、前記吐出口
    側を自由端とし、前記素子基板上の前記発熱体に対向す
    る位置に前記素子基板との間に間隙を置いて配置されて
    いる可動部とを有する可動部材と、前記可動部材の変位
    量を規制する規制部とを有し、 前記気泡の発生によって生じる圧力によって前記液体を
    前記吐出口から吐出させ、その際、前記可動部材の前記
    可動部が変位する液体吐出ヘッドであって、 前記規制部が、前記可動部材の前記自由端と当接する先
    端規制部と、前記先端規制部から離間した少なくとも1
    つの変位規制部とからなることを特徴とする液体吐出ヘ
    ッド。
  2. 【請求項2】 前記可動部材は、前記固定部と、複数の
    前記可動部と、前記素子基板から離間するとともに前記
    可動部を分岐支持する共通支持部とが一体的に形成さ
    れ、前記液体の吐出時に前記可動部が前記共通支持部と
    の接続部を支点として変位するものであり、 前記変位規制部は、前記可動部材の少なくとも前記共通
    支持部に対向して設けられ、前記共通支持部の過剰な変
    位を抑制する補助部材である、請求項1に記載の液体吐
    出ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記補助部材が、少なくとも前記可動部
    材の上面に接合されている、請求項2に記載の液体吐出
    ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記補助部材が、分岐された複数の前記
    可動部間で前記素子基板上まで延びて接合されている、
    請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記補助部材が、前記可動部材の前記可
    動部と前記素子基板との間隙部にも形成されている、請
    求項4に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記補助部材が、分岐された前記可動部
    の並び方向に沿って、複数の前記可動部の付け根部にわ
    たって形成されている、請求項2〜5のいずれか1項に
    記載の液体吐出ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記補助部材が、前記液流路の側壁を形
    成する流路壁と一体的に形成されている、請求項2〜5
    のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記補助部材が感光性樹脂からなる、請
    求項2〜7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記感光性樹脂がエポキシ系樹脂であ
    る、請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
  10. 【請求項10】 請求項2〜9のいずれか1項に記載の
    液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記液流路の側壁
    を形成する流路壁と前記補助部材とを同一材料で同時に
    形成する工程を有する、液体吐出ヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記素子基板上に前記可動部材を形成
    する工程と、液状の光硬化性樹脂を、前記可動部材と前
    記素子基板との間隙部を埋め、かつ、前記可動部材を被
    覆するまで前記素子基板に塗布する工程と、前記光硬化
    性樹脂の、少なくとも前記液流路の側壁を形成する流路
    壁および前記補助部材を形成すべき領域に露光し硬化す
    る工程と、前記光硬化性樹脂の未露光部を除去する工程
    とを有する、請求項10に記載の液体吐出ヘッドの製造
    方法。
  12. 【請求項12】 請求項2〜9のいずれか1項に記載の
    液体吐出ヘッドの製造方法であって、 前記素子基板上に前記可動部材と、前記液流路の側壁を
    形成する流路壁とを形成する工程と、液状の光硬化性樹
    脂を、前記可動部材と前記素子基板との間隙を埋め、か
    つ、前記可動部材を被覆するまで前記素子基板に塗布す
    る工程と、前記光硬化性樹脂の少なくとも前記補助部材
    を形成すべき領域に露光し硬化する工程と、前記光硬化
    性樹脂の未露光部を除去する工程とを有する、液体吐出
    ヘッドの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記可動部材を透明な材料から形成す
    る、請求項11または12に記載の、液体吐出ヘッドの
    製造方法。
  14. 【請求項14】 前記変位規制部が、前記先端規制部か
    ら離間して前記発熱体よりも上流側に設けられて前記可
    動部材の中間部と当接可能な少なくとも1つの撓み規制
    部である、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  15. 【請求項15】 前記撓み規制部は、前記可動部材が過
    剰変位を生じた時にのみ前記可動部材の中間部と当接す
    る、請求項14に記載の液体吐出ヘッド。
  16. 【請求項16】 前記先端規制部と前記撓み規制部と
    は、前記素子基板に接合されている天板にそれぞれ独立
    して形成されている、請求項14または15に記載の液
    体吐出ヘッド。
  17. 【請求項17】 前記先端規制部の前記液流路内の液体
    の流れ方向に対して直角な方向の断面積が、前記撓み規
    制部の前記液流路内の液体の流れ方向に対して直角な方
    向の断面積よりも大きい、請求項14〜16のいずれか
    1項に記載の液体吐出ヘッド。
  18. 【請求項18】 前記先端規制部は、前記撓み規制部よ
    りも幅広である、請求項17に記載の液体吐出ヘッド。
  19. 【請求項19】 前記撓み規制部は複数設けられている
    請求項14〜18のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッ
    ド。
  20. 【請求項20】 請求項1〜19のいずれか1項に記載
    された液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドに供給する
    前記液体を貯溜する液体容器とを有するヘッドカートリ
    ッジ。
  21. 【請求項21】 請求項1〜19のいずれか1項に記載
    された液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから前記液
    体を吐出させるための駆動信号を供給する駆動信号供給
    手段とを有する液体吐出装置。
  22. 【請求項22】 前記液体吐出ヘッドから吐出された前
    記液体を受ける被記録媒体を搬送する搬送手段をさらに
    有する、請求項21に記載の液体吐出装置。
JP2001221824A 2000-07-31 2001-07-23 液体吐出ヘッド、その液体吐出ヘッドの製造方法、その液体吐出ヘッドが搭載されたヘッドカートリッジおよび液体吐出装置 Pending JP2002144578A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001221824A JP2002144578A (ja) 2000-07-31 2001-07-23 液体吐出ヘッド、その液体吐出ヘッドの製造方法、その液体吐出ヘッドが搭載されたヘッドカートリッジおよび液体吐出装置

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000-232413 2000-07-31
JP2000232413 2000-07-31
JP2000-267817 2000-09-04
JP2000267817 2000-09-04
JP2001221824A JP2002144578A (ja) 2000-07-31 2001-07-23 液体吐出ヘッド、その液体吐出ヘッドの製造方法、その液体吐出ヘッドが搭載されたヘッドカートリッジおよび液体吐出装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002144578A true JP2002144578A (ja) 2002-05-21

Family

ID=27344229

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001221824A Pending JP2002144578A (ja) 2000-07-31 2001-07-23 液体吐出ヘッド、その液体吐出ヘッドの製造方法、その液体吐出ヘッドが搭載されたヘッドカートリッジおよび液体吐出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002144578A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007069491A (ja) * 2005-09-07 2007-03-22 Canon Finetech Inc 記録ヘッドとその製造方法
JP2007230234A (ja) * 2006-02-02 2007-09-13 Canon Inc インクジェット記録ヘッドの製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007069491A (ja) * 2005-09-07 2007-03-22 Canon Finetech Inc 記録ヘッドとその製造方法
JP4722633B2 (ja) * 2005-09-07 2011-07-13 キヤノンファインテック株式会社 記録ヘッドとその製造方法
JP2007230234A (ja) * 2006-02-02 2007-09-13 Canon Inc インクジェット記録ヘッドの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3542460B2 (ja) 液体吐出方法及び液体吐出装置
JP3472030B2 (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法並びに液体吐出ヘッド、該液体吐出ヘッドを用いたヘッドカートリッジ、液体吐出装置及びヘッドキット
JPH1024582A (ja) 液体吐出ヘッド並びに該液体吐出ヘッドの回復方法及び製造方法、並びに該液体吐出ヘッドを用いた液体吐出装置
JP3403009B2 (ja) 可動部材の変位と気泡成長を伴う液体吐出方法、該吐出方法に用いられる液体吐出ヘッド、ヘッドカートリッジ及びこれらを用いた液体吐出装置
JP3423534B2 (ja) 液体吐出方法、該方法に用いられる液体吐出ヘッド、および該液体吐出ヘッドを用いたヘッドカートリッジ
JP3625357B2 (ja) 液体輸送方法および液体輸送装置
JP2001225475A (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び前記液体吐出ヘッドの製造方法
JPH1076654A (ja) 液体吐出方法、液供給方法、液体吐出ヘッド、該液体吐出ヘッドを用いた液体吐出ヘッドカートリッジ、及び液体吐出装置
JPH10337870A (ja) 液体吐出方法及び液体吐出ヘッド
JPH11235827A (ja) 液体吐出ヘッド、該液体吐出ヘッドの製造方法、前記液体吐出ヘッドが搭載されたヘッドカートリッジおよび液体吐出装置
JP3342279B2 (ja) 液体吐出方法、液体吐出ヘッドおよび該液体吐出ヘッドの製造方法
JP3548536B2 (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法
US6474792B2 (en) Liquid discharge head, method for manufacturing liquid discharge head, head cartridge on which liquid discharge head is mounted, and liquid discharge apparatus
JP2002144578A (ja) 液体吐出ヘッド、その液体吐出ヘッドの製造方法、その液体吐出ヘッドが搭載されたヘッドカートリッジおよび液体吐出装置
JPH1016243A (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法およびその製造方法により得られた液体吐出ヘッド
JPH1076682A (ja) 液体吐出方法及び液体吐出ヘッド
JP3592108B2 (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出装置および液体吐出方法
JP3584149B2 (ja) 液体吐出方法およびそれを実施するための記録装置
JP2000062180A (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出方法、および液体吐出装置
JP2004034653A (ja) 液体吐出ヘッドおよびその製造方法
JP3647150B2 (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法
JP3347590B2 (ja) 液体吐出ヘッド、ヘッドカートリッジ及び液体吐出装置
JP3706745B2 (ja) 液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置
JP3535817B2 (ja) 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、液体吐出装置
JP3710206B2 (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および記録方法