JP2004034653A - 液体吐出ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】吐出力を向上させるとともに、吐出液体の流れを安定化することができる液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】熱エネルギーを発生する発熱体と、液体を吐出する吐出口と、該吐出口に連通し、該熱エネルギーにより液体から気泡を発生させる気泡発生領域を有する液流路と、気泡の成長に伴い変位する可動部材と、可動部材の変位を所望の範囲に規制する規制部とを備え、かつ前記気泡発生時のエネルギーにより液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて、前記規制部が前記発熱体を有する基板側から前記可動部材の上方に、該可動部材から所望の間隔をもって積層される。
【選択図】 図1
【解決手段】熱エネルギーを発生する発熱体と、液体を吐出する吐出口と、該吐出口に連通し、該熱エネルギーにより液体から気泡を発生させる気泡発生領域を有する液流路と、気泡の成長に伴い変位する可動部材と、可動部材の変位を所望の範囲に規制する規制部とを備え、かつ前記気泡発生時のエネルギーにより液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて、前記規制部が前記発熱体を有する基板側から前記可動部材の上方に、該可動部材から所望の間隔をもって積層される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱エネルギーを液体に作用させることで起こる気泡の発生によって、その液体を吐出する液体吐出ヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱等のエネルギーをインクに与えることで、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわゆるバブルジェット記録方法が知られている。このバブルジェット記録方法を用いる記録装置は、米国特許第4,723,129号明細書等の公報に開示されているように、一般的にインクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通するインク流路と、インク流路内に配されたインクを吐出するためのエネルギー発生手段としての電気熱変換体とからなっている。
【0003】
この様な記録方法によれば、品位の高い画像を高速、低騒音で記録することができるとともに、この記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出口を高密度に配置することができるため、小型の装置で高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得ることができるという多くの優れた点を有している。このため、このバブルジェット記録方法は、近年、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムにまで利用されるようになってきている。
【0004】
このようにバブルジェット技術が多方面の製品に利用されるに従って、例えばエネルギー効率の向上、高画質な画像、高速記録といったような要望が近年さらにたかまっている。
【0005】
エネルギー効率の向上の要求に対しては、保護膜の厚さを調整するといった発熱体の最適化が挙げられている。この手法は、発生した熱の液体への伝搬効率を向上させる点で効果がある。
【0006】
また、高画質な画像を得るために、インクの吐出スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好なインク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆動条件が提案されている。
【0007】
さらに、高速記録の観点から、吐出された液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速い液体吐出ヘッドを得るために流路形状を改良したものも提案されている。
【0008】
この流路形状の内、特開昭63−199972号公報等に記載されている流路構造やヘッド製造方法は、気泡の発生に伴って発生するバック波(吐出口へ向かう方向とは逆の方向へ向かう圧力、即ち、液室へ向かう圧力)に着目した発明である。このバック波は、吐出方向へ向かうエネルギーでないため損失エネルギーとして知られている。
【0009】
特開昭63−199972号公報に開示されているヘッドは、発熱素子が形成する気泡の発生領域よりも離れ、かつ、発熱素子に関して吐出口とは反対側に位置する弁を有する。この弁は、板材等を利用する製造方法によって流路の天井に貼り付いたように初期位置を持ち、気泡の発生に伴って流路内に垂れ下がる。この発明は、上述したバック波の一部を弁によって制御することでエネルギー損失を制御するものとして開示されている。
【0010】
しかしながら、この構成において、吐出すべき液体を保持する流路内部に、気泡が発生した場合を考えると、弁によるバック波の一部を抑制することは、液体吐出にとっては実用的なものでないことがわかる。
【0011】
もともとバック波自体は、前述したように吐出に直接関係しないものである。従って、バック波、しかもその一部を抑制したからといっても、吐出に大きな影響を与えないことは明らかである。
【0012】
他方、バブルジェット記録方法においては、発熱体がインクに接した状態で加熱を繰り返すため、発熱体の表面にインクの焦げによる堆積物が発生する。インクの種類によってはこの堆積物が多く発生することで、気泡の発生を不安定にしてしまい、良好なインクの吐出を行うことが困難な場合があった。また、吐出すべき液体が熱によって劣化しやすい液体の場合や十分に発泡が得られにくい液体の場合においても、吐出すべき液体を変質させず、良好に吐出するための方法が望まれていた。
【0013】
このような観点から、熱により気泡を発生させる液体(発泡液)と吐出する液体(吐出液)とを別液体とし、発泡による圧力を吐出液に伝達することで吐出液を吐出する方法が、特開昭61−69467号公報、特開昭55−81172号公報、米国特許第4,480,259号明細書等の公報に開示されている。これらの公報では、吐出液であるインクと発泡液とをシリコンゴムなどの可撓性膜で完全分離し、発熱体に吐出液が直接接しないようにするとともに、発泡液の発泡による圧力を可撓性膜の変形によって吐出液に伝える構成をとっている。このような構成によって、発熱体表面の堆積物の生成の防止や、吐出液体の選択自由の向上等を達成している。
【0014】
しかしながら、前述のように吐出液と発泡液とを完全分離する構成のヘッドにおいては、発泡時の圧力を可撓性膜の伸縮変形によって吐出液に伝える構成であるため、発泡による圧力を可撓性膜がかなり吸収してしまう上に、可撓性膜の変形量もあまり大きくないため、吐出液と発泡液とを分離することによる効果を得ることはできるものの、エネルギー効率や吐出力が低下してしまうおそれがあった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、気泡(特に膜沸騰に伴う気泡)を液流路中に形成して液体を吐出する方法では、さらなる吐出特性の向上が望まれている。そこで、本発明者らは、液滴吐出の原理に立ち返り、気泡を利用した新規な液滴吐出方法及びそれに用いられるヘッド等を提供すべく、流路中の可動部材の機構の原理を解析すると言った液流路中の可動部材の動作を起点とする第1の技術解析、気泡による液滴吐出原理を起点とする第2の技術解析、および気泡形成用の発熱体の気泡形成領域を起点とする第3の技術解析を行った。その結果、気泡(特に膜沸騰に伴う気泡)を液流路中に形成して液体を吐出する方法での根本的な吐出特性を、従来では考えられなかった観点から、従来では予想できなかった水準に高めることを可能にした。
【0016】
すなわち、本発明者らは、上述した各解析によって、可動部材の支点と自由端の配置関係を吐出口側、つまり下流側に自由端が位置する関係にすること、また可動部材を発熱体もしくは気泡発生領域に面して配置することで積極的に気泡を制御する全く新規な技術を確立し、この新たに得られた技術に基づく発明を特許出願した。具体的には、気泡自体が吐出量に与えるエネルギーを考慮すると、気泡の下流側の成長成分を考慮することが吐出特性を格段に向上させることができる要因として最大であること、つまり、気泡の下流側の成長成分を吐出方向へ効率よく変換させることこそが吐出効率、吐出速度の向上をもたらすことが判明した。そうして、このことから、気泡の下流側の成長成分を積極的に可動部材の自由端側に移動させることによって、従来の液体吐出方法に比べて極めて高い技術水準の発明を完成させた。この発明では、気泡を形成するための発熱領域、例えば電気熱変換体の液体の流れ方向の面積中心を通る中心線から下流側、あるいは気泡形成を司る面における面積中心等の気泡下流側の成長にかかわる可動部材や液流路等の構造的要素を勘案することが好ましいことが明らかにされている。また、可動部材の配置と液供給路の構造を考慮することで、リフィル速度が大幅に向上することも示されている。
【0017】
さらに本発明者らは、前述した技術に加えて、液流路の構造や発熱体形状を考慮することで、吐出力を一層向上させつつ、バック波や、液体供給方向とは逆の方向への気泡の成長成分をさらに抑止し、吐出される液体の流れを一方向化させる画期的な技術を導き出すに至った。
【0018】
特に本発明では、上述した吐出原理をより有効に活用することを狙い、発熱体および可動部と規制部の相対位置関係に着目しそれを改善することによって、極めてシンプルな製造方法で安定した吐出性能をもった液体吐出ヘッドを得るという画期的な技術を導き出すに至った。
【0019】
すなわち、本発明の主たる目的は、発生した気泡を可動部材を有する液流路によって制御し、吐出力の向上を図るとともに、吐出される液体の流れを安定化することができる液体吐出ヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下に記載する本発明により達成することができる。
(1)液体を吐出する吐出口と、該吐出口に連通するとともに、熱エネルギーを発生する発熱体および液体に気泡を発生させる気泡発生領域を有する、基板上に設けられた液流路と、気泡の成長に伴い変位する可動部と、可動部の変位を所望の範囲に規制する規制部とを備え、前記気泡発生時のエネルギーにより液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、前記規制部が前記基板側から積層されて前記可動部の上方に、この可動部の変位に相当する間隔をもつように設けられていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【0021】
(2)前記規制部が高分子材料からなることを特徴とする上記(1)に記載の液体吐出ヘッド。
【0022】
(3)前記規制部が、光カチオン重合開始剤を含有する感光性樹脂であることを特徴とする上記(2)に記載の液体吐出ヘッド。
【0023】
(4)前記規制部が前記液流路の側壁と同一材料からなることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【0024】
(5)請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを製造するに当り、前記可動部を溶解可能な樹脂により被覆して前記規制部下の台座部分を前記基板上において形成する工程と、常温において固体状の被覆樹脂の溶液をもって前記溶解可能な樹脂層上に規制部となる被覆樹脂層を形成する工程と、前記溶解可能な樹脂層を除去する工程とを含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【0025】
(6)前記溶解可能な樹脂として紫外線感光性樹脂を用い、この感光性樹脂を紫外線に露光し、現像して前記台座部分を形成し、この台座部分の側方および上方を前記基板側からカチオン重合感光性樹脂をもって被覆し、液流路および規制部の形状に露光および現像を行い、ついで前記台座部分を形成する感光性樹脂を除去することを特徴とする上記(5)に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【0026】
本発明の液体吐出ヘッドは、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の被記録媒体に対し記録を行う、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる。
【0027】
なお、ここで「記録」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を付与することをも意味するものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0029】
図1は、本発明の液体吐出ヘッドの一実施例を示す模式的斜視図である。
【0030】
本実施例の液体吐出ヘッドは、発熱体の発熱面に垂直な面に吐出口が配された、いわゆるエッジシュータータイプのヘッドである。まず、この液体吐出ヘッドの主な構成について図1を用いて説明する。
【0031】
液体吐出ヘッドは、素子基板1、天板7、オリフィスプレート9等から構成されている。
【0032】
基板1上には、液体に膜沸騰を生じさせて気泡を発生させるために利用される熱エネルギーを発生するための発熱体2が複数個設けられている。また、発熱体2と等間隔に各々に対し液流路6を形成する目的で流路側壁5が設けられている。さらに、発熱体2を覆う様に平板片持梁形状の可動部3が設けられている。可動部3は、金属等の弾性を有する材料からなる。本実施例では、基板1上に成膜しパターニングした厚さ4.5ミクロンの窒化シリコンで形成されている。可動部3と発熱面とは、4.5ミクロン程度の間隔をもって配されている。可動部の幅は、液流路6の幅に実質的に等しいことが望ましい。符号4は、可動部3の上方への変位を規制する目的の規制部を示す。規制部4と可動部3とは、20ミクロン程度の間隔をもって離間している。好ましくは、規制部4と流路側壁5は感光性樹脂をパターニングすることで同時に一体として形成される。天板7は、シリコン基板を異方性エッチングにより液体供給口8を形成した後、基板1と接合される。接合には、接着剤による方法、押さえバネにより付着させる方法などがある。本実施例においては、エポキシ系の接着剤を用いて接合した。オリフィスプレート9には、液体を吐出する吐出口10が形成されている。本実施例では、オリフィスプレート9の材料として樹脂のシート状の成形体を用い、エキシマレーザーを照射することにより、吐出口10を穿孔加工して形成している。
【0033】
次に、図2を用いて上記液体吐出ヘッドにおける液体吐出の動作について説明する。図2は、本発明の液体吐出ヘッドの吐出動作を説明するための模式的要部断面図である。
【0034】
図2において、(a)は発熱体2に電気エネルギー等のエネルギーが印加される前の状態、すなわち発熱体2が熱を発生する前の初期状態を示している。可動部3の自由端3aは、基板1と所定間隔(例えば4.5ミクロン)をもって発熱体2上に位置している。
【0035】
(b)は発熱体2に電気エネルギー等が印加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によって膜沸騰に伴う気泡が発生し成長している状態を示している。この気泡の発生と成長に伴う圧力は、規制部4により可動部3が機械的変位を抑えられるため液流路6の上流側には伝播しない。また、発熱面と吐出口10との連通路が可動部3により密閉されるため、気泡の力を吐出口10の方へ集中させる。この様にして、気泡の成長に基づく圧力波は、吐出口10に向けて集中的に伝わる。この様な圧力波の直接的な伝搬により、吐出液が滴として吐出口から高速、高吐出力、高吐出効率で吐出される。
【0036】
(c)は気泡がその内部圧力の減少によって収縮し、消滅していく状態を示している。気泡の収縮による負圧により、可動部3が初期位置に戻るように変位する。このとき液流路6は可動部3の上流、下流で連通した状態になる。これに伴い、液流路6全域にわたり、吐出された液量に相当する量の液体が速やかに供給される。液流路6では、液体の供給が気泡によるバック波の影響を受けることなく、また上流から下流への液体流れの一方向性が強く、可動部3が閉じることと並行してなされるので、可動部3によって妨げられることも少ないためである。
なお、発熱体2上での気泡の消滅に伴い、吐出口10から上流側に向って液体のメニスカス11が後退するが、本発明の吐出ヘッドの場合、可動部3が開放する際の動きの影響が大きく、液滴の供給が急速に達成され、液体が吐出口10の位置でメニスカス11を形成し、定常状態に戻る。
【0037】
本実施例の基板1の表面は、発熱体2の発熱面と実質的に平坦につながっている(発熱体表面が大きく落ち込んでいない)。このような場合、領域Aへの液体の供給は、基板の表面に沿ってなされる。このため、発熱体2の発熱面上に液体が淀むことが抑制され、液体中に溶存していて析出した析出気泡や消泡できずに残ったいわゆる残留気泡が除去され易く、また液体への蓄熱が高くなり過ぎることもない。従って、より安定した気泡の発生を高速に繰り返し行うことができる。なお、本実施例では、基板1の表面が実質的に平坦な内壁をもつ例を説明したが、これにのみ限らず、発熱体表面となだらかにつながり、なだらかな内壁を有する液流路であればよく、発熱体上に液体の淀みを生じたり液体中に大きな乱流を生じたりしない形状であればどのようなものでもよい。
【0038】
このように、本実施例によると、可動部3によって気泡の圧力伝搬方向のみならず気泡自体の成長を制御することにより、吐出効率、吐出力及び吐出速度等の飛躍的な向上を達成することができる。これにより、高吐出力で高吐出効率の液体吐出ヘッドを得ることができる。本実施例においても、毎回の吐出量が安定し、吐出効率、吐出力および吐出速度も飛躍的に向上し、リフィル時間を短縮できる。
【0039】
次に、本発明による液体吐出ヘッドの製造方法について図3を参照して説明する。
【0040】
図3は、本発明の液体吐出ヘッドに用いられる基板の製造方法の一例を説明するための模式的工程図である。
【0041】
基板1上には、発熱体2に電気信号を供給するための配線電極の他に、発熱体を選択的に駆動するためのトランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ等の機能素子が一体的に作り込まれている。また、発熱体上には、発熱体を保護するための保護層(図示略)が設けられている。可動部3は、成膜、エッチング等の半導体プロセスにより形成される。本実施例においては、可動部3の材料として窒化シリコンをプラズマCVDにより成膜したのちフッ素系のガスによりドライエッチングを行い形成した。可動部3を構成する材料としては、吐出液体に対して耐溶剤性があり、可動部として良好に動作するための弾性を有し、微細なスリットが形成できるものであればよい。半導体製造プロセスにより精度良く加工できることが望ましいが、その他でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアリレート、ポリイミド、ポリサルフォン(PSF)、液晶ポリマー(LCP)等の近年のエンジニアリングプラスチックに代表される耐熱性、耐溶剤性、成型性、レーザー加工性の良好な樹脂、もしくは、二酸化珪素、チッ化珪素、ニッケル、金、ステンレス等の金属、合金、もしくは表面にチタンや金をコーティングしたもので形成することも可能である。
【0042】
また、可動部の厚さは、可動部としての強度を達成でき、可動部として良好に動作するという観点からその材質と形状等を考慮して決定すればよいが、0.5〜10ミクロン程度が望ましい。本実施例では、4.5ミクロンとした。
【0043】
次に図3を用いて、流路側壁5および規制部4の形成方法について説明する。前記可動部3を形成した後、次工程における感光性樹脂との密着性の向上を目的として基板1の表面に洗浄を施した。基板表面にシランカップリング剤(日本ユニカ製:A187)をエチルアルコールで1重量%に希釈した液をスピンコートすることでさらに密着性を向上させることができる。次に、表面洗浄を行い、密着性を向上した基板1上に、(a)に示すように、規制部の台座となる型材として紫外線感光性レジスト(ODUR)を20ミクロンの厚みに塗布した。次に、(b)に示すように、短波長紫外線露光装置(USHIO製)を用いフォトマスク(PM)を介しDEEP−UV光を照射することで規制部の台座部分の露光を行った。続いて、(c)に示すとおり現像を行い台座部分を形成した。現像液にはMIBKを用いた。次に、(d)に示すように、カチオン重合レジスト(マイクロリソグラフィケミカルコーポレーション製、SU−8)をスピンコートにより50ミクロンの厚みに塗布した。続けて90℃、5分間のプリベークを行った。次に、(e)に示すように、MPA露光側装置(ミラープロジェクションマスクアライナー、キヤノン製)を用いて、流路側壁および規制部の形状(例えば図1に示した形状)に露光し、90℃のホットプレート上で5分間PEBを行った。この場合の露光量は2J/cm2である。続いて、(f)に示すように、カチオン重合レジストの現像を行った。現像液としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(キシダ化学製)を用いた。その後、200℃のオーブンで1時間のベークを行い露光部分を完全に硬化させた。最後に、(g)に示すように、再度短波長紫外線で露光することで台座部分のODURを分解除去した。本実施例により、規制部4を半導体製造プロセスで用いられる装置により作製することで、発熱体2、可動部3との位置精度を格段に向上させることが可能となった。可動部3の変位のバラツキをなくすことで高周波駆動時の吐出安定性を格段に向上させることが可能となった。
【0044】
次に、図4を用いて、基板1を液体吐出ヘッドに組み立てる工程について説明する。図4は、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための模式図である。
【0045】
図4において、天板7は、基板1と同じくシリコンの基板を用いた。基板1との熱膨張係数差を極力小さくし熱による基板1の変形を防止する目的であり、基板1と熱膨張係数差が小さいものであればこの限りではなく、アルミナ等のセラミックス材料、ガラス材料等でも同様の効果が見られた。天板7には、液流路6へ液体を供給する目的の液体供給口8が設けられている。液体供給口8は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の22%溶液を83℃に加熱したエッチング液にて、シリコンを異方性エッチングして形成した。オリフィスプレート9には、液体を吐出するための吐出口10を設けている。吐出口10の加工にはエキシマレーザーを用いている。オリフィスプレート9の材料としては、本実施例においては厚さ50ミクロンのポリサルフォン(PSF)のシートを用いた。ポリサルフォン以外の材料、例えばポリイミド等の高分子材料、ニッケル等の金属材料であってもよい。
【0046】
次に、上記の3つの構成部材(基板1、天板7、オリフィスプレート9)を順次組み立てることで液体吐出ヘッドは形成される。画像処理を用いて位置決めした後、パルスヒートの熱圧着により接合面にあらかじめ塗布した接着剤を硬化させることで接合した。接着剤には、エポキシ系接着剤を用いた。
【0047】
本実施例によると、気泡発生時に液室と液流路を実質的に遮断することで、気泡および気泡発生時の圧力の液流路への伝播を防ぎ、吐出効率、吐出力および吐出速度を飛躍的に向上させ、リフィル時間を短縮できるため、液体吐出ヘッドの画質の向上や高速記録を実現することができる。
【0048】
本実施例の製造方法によれば、位置合わせ接合といった複雑な製造工程を経ることなく容易にかつ位置ズレのない精度の高い可動部および規制部を得ることができる。
【0049】
以上説明したヘッドの製造方法によれば、高精度に可動部および規制部を位置決めすることが可能となる。また、半導体製造プロセスによりウエハ単位で多数個同時に形成することができるので、多量にかつ低コストの液体吐出ヘッドを提供することができる。
【0050】
また、本例の製造方法によって製造された液体吐出ヘッドは、発熱体と可動部と規制部とが各々高精度に位置決めされているので、吐出さるべき液体は電気熱変換体の発熱による発泡の圧力を効率よく受けることができ、吐出効率において優れたものとなる。
【0051】
特に、規制部を半導体製造プロセスで一括して積層することで、発熱体、可動部、規制部、の相対位置精度を高めることができる。また高密度に形成することも可能である。そして、これらの高密度、高精度製造技術により、吐出安定化が図られ印字品位が向上した液体吐出ヘッドを得ることができる。また、基板および天板はウエハ上に、オリフィスプレートは高分子フィルム上に一括形成することが可能なため、ヘッドを多量に低コストで製造することが可能である。
【0052】
【発明の効果】
本発明の液体吐出ヘッドによると、気泡および気泡発生時の圧力の液流路への伝播が防止されるので、吐出力および吐出速度、ならびに吐出する液体のリフィル特性を向上させることができる。したがって、インクジェット記録に応用した場合には、高速かつ高品位の印字が可能となる。
【0053】
また、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法によると、上述のようなインクジェット記録ヘッドを高密度高精度に製造でき、また部品点数を少なく簡略な工程で、安価にしかも容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体吐出ヘッドの一実施例を示す模式的斜視図である。
【図2】本発明の液体吐出ヘッドの液体吐出動作を説明するための模式的要部断面図である。
【図3】本発明の液体吐出ヘッドに用いられる基板の製造方法の一例を説明するための模式的工程図である。
【図4】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 基板
2 発熱体
3 可動部
3a 自由端
4 規制部
5 流路側壁
6 液流路
7 天板
8 液体供給口
9 オリフィスプレート
10 吐出口
11 メニスカス
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱エネルギーを液体に作用させることで起こる気泡の発生によって、その液体を吐出する液体吐出ヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱等のエネルギーをインクに与えることで、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわゆるバブルジェット記録方法が知られている。このバブルジェット記録方法を用いる記録装置は、米国特許第4,723,129号明細書等の公報に開示されているように、一般的にインクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通するインク流路と、インク流路内に配されたインクを吐出するためのエネルギー発生手段としての電気熱変換体とからなっている。
【0003】
この様な記録方法によれば、品位の高い画像を高速、低騒音で記録することができるとともに、この記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出口を高密度に配置することができるため、小型の装置で高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得ることができるという多くの優れた点を有している。このため、このバブルジェット記録方法は、近年、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムにまで利用されるようになってきている。
【0004】
このようにバブルジェット技術が多方面の製品に利用されるに従って、例えばエネルギー効率の向上、高画質な画像、高速記録といったような要望が近年さらにたかまっている。
【0005】
エネルギー効率の向上の要求に対しては、保護膜の厚さを調整するといった発熱体の最適化が挙げられている。この手法は、発生した熱の液体への伝搬効率を向上させる点で効果がある。
【0006】
また、高画質な画像を得るために、インクの吐出スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好なインク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆動条件が提案されている。
【0007】
さらに、高速記録の観点から、吐出された液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速い液体吐出ヘッドを得るために流路形状を改良したものも提案されている。
【0008】
この流路形状の内、特開昭63−199972号公報等に記載されている流路構造やヘッド製造方法は、気泡の発生に伴って発生するバック波(吐出口へ向かう方向とは逆の方向へ向かう圧力、即ち、液室へ向かう圧力)に着目した発明である。このバック波は、吐出方向へ向かうエネルギーでないため損失エネルギーとして知られている。
【0009】
特開昭63−199972号公報に開示されているヘッドは、発熱素子が形成する気泡の発生領域よりも離れ、かつ、発熱素子に関して吐出口とは反対側に位置する弁を有する。この弁は、板材等を利用する製造方法によって流路の天井に貼り付いたように初期位置を持ち、気泡の発生に伴って流路内に垂れ下がる。この発明は、上述したバック波の一部を弁によって制御することでエネルギー損失を制御するものとして開示されている。
【0010】
しかしながら、この構成において、吐出すべき液体を保持する流路内部に、気泡が発生した場合を考えると、弁によるバック波の一部を抑制することは、液体吐出にとっては実用的なものでないことがわかる。
【0011】
もともとバック波自体は、前述したように吐出に直接関係しないものである。従って、バック波、しかもその一部を抑制したからといっても、吐出に大きな影響を与えないことは明らかである。
【0012】
他方、バブルジェット記録方法においては、発熱体がインクに接した状態で加熱を繰り返すため、発熱体の表面にインクの焦げによる堆積物が発生する。インクの種類によってはこの堆積物が多く発生することで、気泡の発生を不安定にしてしまい、良好なインクの吐出を行うことが困難な場合があった。また、吐出すべき液体が熱によって劣化しやすい液体の場合や十分に発泡が得られにくい液体の場合においても、吐出すべき液体を変質させず、良好に吐出するための方法が望まれていた。
【0013】
このような観点から、熱により気泡を発生させる液体(発泡液)と吐出する液体(吐出液)とを別液体とし、発泡による圧力を吐出液に伝達することで吐出液を吐出する方法が、特開昭61−69467号公報、特開昭55−81172号公報、米国特許第4,480,259号明細書等の公報に開示されている。これらの公報では、吐出液であるインクと発泡液とをシリコンゴムなどの可撓性膜で完全分離し、発熱体に吐出液が直接接しないようにするとともに、発泡液の発泡による圧力を可撓性膜の変形によって吐出液に伝える構成をとっている。このような構成によって、発熱体表面の堆積物の生成の防止や、吐出液体の選択自由の向上等を達成している。
【0014】
しかしながら、前述のように吐出液と発泡液とを完全分離する構成のヘッドにおいては、発泡時の圧力を可撓性膜の伸縮変形によって吐出液に伝える構成であるため、発泡による圧力を可撓性膜がかなり吸収してしまう上に、可撓性膜の変形量もあまり大きくないため、吐出液と発泡液とを分離することによる効果を得ることはできるものの、エネルギー効率や吐出力が低下してしまうおそれがあった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、気泡(特に膜沸騰に伴う気泡)を液流路中に形成して液体を吐出する方法では、さらなる吐出特性の向上が望まれている。そこで、本発明者らは、液滴吐出の原理に立ち返り、気泡を利用した新規な液滴吐出方法及びそれに用いられるヘッド等を提供すべく、流路中の可動部材の機構の原理を解析すると言った液流路中の可動部材の動作を起点とする第1の技術解析、気泡による液滴吐出原理を起点とする第2の技術解析、および気泡形成用の発熱体の気泡形成領域を起点とする第3の技術解析を行った。その結果、気泡(特に膜沸騰に伴う気泡)を液流路中に形成して液体を吐出する方法での根本的な吐出特性を、従来では考えられなかった観点から、従来では予想できなかった水準に高めることを可能にした。
【0016】
すなわち、本発明者らは、上述した各解析によって、可動部材の支点と自由端の配置関係を吐出口側、つまり下流側に自由端が位置する関係にすること、また可動部材を発熱体もしくは気泡発生領域に面して配置することで積極的に気泡を制御する全く新規な技術を確立し、この新たに得られた技術に基づく発明を特許出願した。具体的には、気泡自体が吐出量に与えるエネルギーを考慮すると、気泡の下流側の成長成分を考慮することが吐出特性を格段に向上させることができる要因として最大であること、つまり、気泡の下流側の成長成分を吐出方向へ効率よく変換させることこそが吐出効率、吐出速度の向上をもたらすことが判明した。そうして、このことから、気泡の下流側の成長成分を積極的に可動部材の自由端側に移動させることによって、従来の液体吐出方法に比べて極めて高い技術水準の発明を完成させた。この発明では、気泡を形成するための発熱領域、例えば電気熱変換体の液体の流れ方向の面積中心を通る中心線から下流側、あるいは気泡形成を司る面における面積中心等の気泡下流側の成長にかかわる可動部材や液流路等の構造的要素を勘案することが好ましいことが明らかにされている。また、可動部材の配置と液供給路の構造を考慮することで、リフィル速度が大幅に向上することも示されている。
【0017】
さらに本発明者らは、前述した技術に加えて、液流路の構造や発熱体形状を考慮することで、吐出力を一層向上させつつ、バック波や、液体供給方向とは逆の方向への気泡の成長成分をさらに抑止し、吐出される液体の流れを一方向化させる画期的な技術を導き出すに至った。
【0018】
特に本発明では、上述した吐出原理をより有効に活用することを狙い、発熱体および可動部と規制部の相対位置関係に着目しそれを改善することによって、極めてシンプルな製造方法で安定した吐出性能をもった液体吐出ヘッドを得るという画期的な技術を導き出すに至った。
【0019】
すなわち、本発明の主たる目的は、発生した気泡を可動部材を有する液流路によって制御し、吐出力の向上を図るとともに、吐出される液体の流れを安定化することができる液体吐出ヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下に記載する本発明により達成することができる。
(1)液体を吐出する吐出口と、該吐出口に連通するとともに、熱エネルギーを発生する発熱体および液体に気泡を発生させる気泡発生領域を有する、基板上に設けられた液流路と、気泡の成長に伴い変位する可動部と、可動部の変位を所望の範囲に規制する規制部とを備え、前記気泡発生時のエネルギーにより液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、前記規制部が前記基板側から積層されて前記可動部の上方に、この可動部の変位に相当する間隔をもつように設けられていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【0021】
(2)前記規制部が高分子材料からなることを特徴とする上記(1)に記載の液体吐出ヘッド。
【0022】
(3)前記規制部が、光カチオン重合開始剤を含有する感光性樹脂であることを特徴とする上記(2)に記載の液体吐出ヘッド。
【0023】
(4)前記規制部が前記液流路の側壁と同一材料からなることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【0024】
(5)請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを製造するに当り、前記可動部を溶解可能な樹脂により被覆して前記規制部下の台座部分を前記基板上において形成する工程と、常温において固体状の被覆樹脂の溶液をもって前記溶解可能な樹脂層上に規制部となる被覆樹脂層を形成する工程と、前記溶解可能な樹脂層を除去する工程とを含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【0025】
(6)前記溶解可能な樹脂として紫外線感光性樹脂を用い、この感光性樹脂を紫外線に露光し、現像して前記台座部分を形成し、この台座部分の側方および上方を前記基板側からカチオン重合感光性樹脂をもって被覆し、液流路および規制部の形状に露光および現像を行い、ついで前記台座部分を形成する感光性樹脂を除去することを特徴とする上記(5)に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【0026】
本発明の液体吐出ヘッドは、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の被記録媒体に対し記録を行う、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる。
【0027】
なお、ここで「記録」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を付与することをも意味するものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0029】
図1は、本発明の液体吐出ヘッドの一実施例を示す模式的斜視図である。
【0030】
本実施例の液体吐出ヘッドは、発熱体の発熱面に垂直な面に吐出口が配された、いわゆるエッジシュータータイプのヘッドである。まず、この液体吐出ヘッドの主な構成について図1を用いて説明する。
【0031】
液体吐出ヘッドは、素子基板1、天板7、オリフィスプレート9等から構成されている。
【0032】
基板1上には、液体に膜沸騰を生じさせて気泡を発生させるために利用される熱エネルギーを発生するための発熱体2が複数個設けられている。また、発熱体2と等間隔に各々に対し液流路6を形成する目的で流路側壁5が設けられている。さらに、発熱体2を覆う様に平板片持梁形状の可動部3が設けられている。可動部3は、金属等の弾性を有する材料からなる。本実施例では、基板1上に成膜しパターニングした厚さ4.5ミクロンの窒化シリコンで形成されている。可動部3と発熱面とは、4.5ミクロン程度の間隔をもって配されている。可動部の幅は、液流路6の幅に実質的に等しいことが望ましい。符号4は、可動部3の上方への変位を規制する目的の規制部を示す。規制部4と可動部3とは、20ミクロン程度の間隔をもって離間している。好ましくは、規制部4と流路側壁5は感光性樹脂をパターニングすることで同時に一体として形成される。天板7は、シリコン基板を異方性エッチングにより液体供給口8を形成した後、基板1と接合される。接合には、接着剤による方法、押さえバネにより付着させる方法などがある。本実施例においては、エポキシ系の接着剤を用いて接合した。オリフィスプレート9には、液体を吐出する吐出口10が形成されている。本実施例では、オリフィスプレート9の材料として樹脂のシート状の成形体を用い、エキシマレーザーを照射することにより、吐出口10を穿孔加工して形成している。
【0033】
次に、図2を用いて上記液体吐出ヘッドにおける液体吐出の動作について説明する。図2は、本発明の液体吐出ヘッドの吐出動作を説明するための模式的要部断面図である。
【0034】
図2において、(a)は発熱体2に電気エネルギー等のエネルギーが印加される前の状態、すなわち発熱体2が熱を発生する前の初期状態を示している。可動部3の自由端3aは、基板1と所定間隔(例えば4.5ミクロン)をもって発熱体2上に位置している。
【0035】
(b)は発熱体2に電気エネルギー等が印加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によって膜沸騰に伴う気泡が発生し成長している状態を示している。この気泡の発生と成長に伴う圧力は、規制部4により可動部3が機械的変位を抑えられるため液流路6の上流側には伝播しない。また、発熱面と吐出口10との連通路が可動部3により密閉されるため、気泡の力を吐出口10の方へ集中させる。この様にして、気泡の成長に基づく圧力波は、吐出口10に向けて集中的に伝わる。この様な圧力波の直接的な伝搬により、吐出液が滴として吐出口から高速、高吐出力、高吐出効率で吐出される。
【0036】
(c)は気泡がその内部圧力の減少によって収縮し、消滅していく状態を示している。気泡の収縮による負圧により、可動部3が初期位置に戻るように変位する。このとき液流路6は可動部3の上流、下流で連通した状態になる。これに伴い、液流路6全域にわたり、吐出された液量に相当する量の液体が速やかに供給される。液流路6では、液体の供給が気泡によるバック波の影響を受けることなく、また上流から下流への液体流れの一方向性が強く、可動部3が閉じることと並行してなされるので、可動部3によって妨げられることも少ないためである。
なお、発熱体2上での気泡の消滅に伴い、吐出口10から上流側に向って液体のメニスカス11が後退するが、本発明の吐出ヘッドの場合、可動部3が開放する際の動きの影響が大きく、液滴の供給が急速に達成され、液体が吐出口10の位置でメニスカス11を形成し、定常状態に戻る。
【0037】
本実施例の基板1の表面は、発熱体2の発熱面と実質的に平坦につながっている(発熱体表面が大きく落ち込んでいない)。このような場合、領域Aへの液体の供給は、基板の表面に沿ってなされる。このため、発熱体2の発熱面上に液体が淀むことが抑制され、液体中に溶存していて析出した析出気泡や消泡できずに残ったいわゆる残留気泡が除去され易く、また液体への蓄熱が高くなり過ぎることもない。従って、より安定した気泡の発生を高速に繰り返し行うことができる。なお、本実施例では、基板1の表面が実質的に平坦な内壁をもつ例を説明したが、これにのみ限らず、発熱体表面となだらかにつながり、なだらかな内壁を有する液流路であればよく、発熱体上に液体の淀みを生じたり液体中に大きな乱流を生じたりしない形状であればどのようなものでもよい。
【0038】
このように、本実施例によると、可動部3によって気泡の圧力伝搬方向のみならず気泡自体の成長を制御することにより、吐出効率、吐出力及び吐出速度等の飛躍的な向上を達成することができる。これにより、高吐出力で高吐出効率の液体吐出ヘッドを得ることができる。本実施例においても、毎回の吐出量が安定し、吐出効率、吐出力および吐出速度も飛躍的に向上し、リフィル時間を短縮できる。
【0039】
次に、本発明による液体吐出ヘッドの製造方法について図3を参照して説明する。
【0040】
図3は、本発明の液体吐出ヘッドに用いられる基板の製造方法の一例を説明するための模式的工程図である。
【0041】
基板1上には、発熱体2に電気信号を供給するための配線電極の他に、発熱体を選択的に駆動するためのトランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ等の機能素子が一体的に作り込まれている。また、発熱体上には、発熱体を保護するための保護層(図示略)が設けられている。可動部3は、成膜、エッチング等の半導体プロセスにより形成される。本実施例においては、可動部3の材料として窒化シリコンをプラズマCVDにより成膜したのちフッ素系のガスによりドライエッチングを行い形成した。可動部3を構成する材料としては、吐出液体に対して耐溶剤性があり、可動部として良好に動作するための弾性を有し、微細なスリットが形成できるものであればよい。半導体製造プロセスにより精度良く加工できることが望ましいが、その他でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアリレート、ポリイミド、ポリサルフォン(PSF)、液晶ポリマー(LCP)等の近年のエンジニアリングプラスチックに代表される耐熱性、耐溶剤性、成型性、レーザー加工性の良好な樹脂、もしくは、二酸化珪素、チッ化珪素、ニッケル、金、ステンレス等の金属、合金、もしくは表面にチタンや金をコーティングしたもので形成することも可能である。
【0042】
また、可動部の厚さは、可動部としての強度を達成でき、可動部として良好に動作するという観点からその材質と形状等を考慮して決定すればよいが、0.5〜10ミクロン程度が望ましい。本実施例では、4.5ミクロンとした。
【0043】
次に図3を用いて、流路側壁5および規制部4の形成方法について説明する。前記可動部3を形成した後、次工程における感光性樹脂との密着性の向上を目的として基板1の表面に洗浄を施した。基板表面にシランカップリング剤(日本ユニカ製:A187)をエチルアルコールで1重量%に希釈した液をスピンコートすることでさらに密着性を向上させることができる。次に、表面洗浄を行い、密着性を向上した基板1上に、(a)に示すように、規制部の台座となる型材として紫外線感光性レジスト(ODUR)を20ミクロンの厚みに塗布した。次に、(b)に示すように、短波長紫外線露光装置(USHIO製)を用いフォトマスク(PM)を介しDEEP−UV光を照射することで規制部の台座部分の露光を行った。続いて、(c)に示すとおり現像を行い台座部分を形成した。現像液にはMIBKを用いた。次に、(d)に示すように、カチオン重合レジスト(マイクロリソグラフィケミカルコーポレーション製、SU−8)をスピンコートにより50ミクロンの厚みに塗布した。続けて90℃、5分間のプリベークを行った。次に、(e)に示すように、MPA露光側装置(ミラープロジェクションマスクアライナー、キヤノン製)を用いて、流路側壁および規制部の形状(例えば図1に示した形状)に露光し、90℃のホットプレート上で5分間PEBを行った。この場合の露光量は2J/cm2である。続いて、(f)に示すように、カチオン重合レジストの現像を行った。現像液としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(キシダ化学製)を用いた。その後、200℃のオーブンで1時間のベークを行い露光部分を完全に硬化させた。最後に、(g)に示すように、再度短波長紫外線で露光することで台座部分のODURを分解除去した。本実施例により、規制部4を半導体製造プロセスで用いられる装置により作製することで、発熱体2、可動部3との位置精度を格段に向上させることが可能となった。可動部3の変位のバラツキをなくすことで高周波駆動時の吐出安定性を格段に向上させることが可能となった。
【0044】
次に、図4を用いて、基板1を液体吐出ヘッドに組み立てる工程について説明する。図4は、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための模式図である。
【0045】
図4において、天板7は、基板1と同じくシリコンの基板を用いた。基板1との熱膨張係数差を極力小さくし熱による基板1の変形を防止する目的であり、基板1と熱膨張係数差が小さいものであればこの限りではなく、アルミナ等のセラミックス材料、ガラス材料等でも同様の効果が見られた。天板7には、液流路6へ液体を供給する目的の液体供給口8が設けられている。液体供給口8は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の22%溶液を83℃に加熱したエッチング液にて、シリコンを異方性エッチングして形成した。オリフィスプレート9には、液体を吐出するための吐出口10を設けている。吐出口10の加工にはエキシマレーザーを用いている。オリフィスプレート9の材料としては、本実施例においては厚さ50ミクロンのポリサルフォン(PSF)のシートを用いた。ポリサルフォン以外の材料、例えばポリイミド等の高分子材料、ニッケル等の金属材料であってもよい。
【0046】
次に、上記の3つの構成部材(基板1、天板7、オリフィスプレート9)を順次組み立てることで液体吐出ヘッドは形成される。画像処理を用いて位置決めした後、パルスヒートの熱圧着により接合面にあらかじめ塗布した接着剤を硬化させることで接合した。接着剤には、エポキシ系接着剤を用いた。
【0047】
本実施例によると、気泡発生時に液室と液流路を実質的に遮断することで、気泡および気泡発生時の圧力の液流路への伝播を防ぎ、吐出効率、吐出力および吐出速度を飛躍的に向上させ、リフィル時間を短縮できるため、液体吐出ヘッドの画質の向上や高速記録を実現することができる。
【0048】
本実施例の製造方法によれば、位置合わせ接合といった複雑な製造工程を経ることなく容易にかつ位置ズレのない精度の高い可動部および規制部を得ることができる。
【0049】
以上説明したヘッドの製造方法によれば、高精度に可動部および規制部を位置決めすることが可能となる。また、半導体製造プロセスによりウエハ単位で多数個同時に形成することができるので、多量にかつ低コストの液体吐出ヘッドを提供することができる。
【0050】
また、本例の製造方法によって製造された液体吐出ヘッドは、発熱体と可動部と規制部とが各々高精度に位置決めされているので、吐出さるべき液体は電気熱変換体の発熱による発泡の圧力を効率よく受けることができ、吐出効率において優れたものとなる。
【0051】
特に、規制部を半導体製造プロセスで一括して積層することで、発熱体、可動部、規制部、の相対位置精度を高めることができる。また高密度に形成することも可能である。そして、これらの高密度、高精度製造技術により、吐出安定化が図られ印字品位が向上した液体吐出ヘッドを得ることができる。また、基板および天板はウエハ上に、オリフィスプレートは高分子フィルム上に一括形成することが可能なため、ヘッドを多量に低コストで製造することが可能である。
【0052】
【発明の効果】
本発明の液体吐出ヘッドによると、気泡および気泡発生時の圧力の液流路への伝播が防止されるので、吐出力および吐出速度、ならびに吐出する液体のリフィル特性を向上させることができる。したがって、インクジェット記録に応用した場合には、高速かつ高品位の印字が可能となる。
【0053】
また、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法によると、上述のようなインクジェット記録ヘッドを高密度高精度に製造でき、また部品点数を少なく簡略な工程で、安価にしかも容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体吐出ヘッドの一実施例を示す模式的斜視図である。
【図2】本発明の液体吐出ヘッドの液体吐出動作を説明するための模式的要部断面図である。
【図3】本発明の液体吐出ヘッドに用いられる基板の製造方法の一例を説明するための模式的工程図である。
【図4】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 基板
2 発熱体
3 可動部
3a 自由端
4 規制部
5 流路側壁
6 液流路
7 天板
8 液体供給口
9 オリフィスプレート
10 吐出口
11 メニスカス
Claims (6)
- 液体を吐出する吐出口と、該吐出口に連通するとともに、熱エネルギーを発生する発熱体および液体に気泡を発生させる気泡発生領域を有する、基板上に設けられた液流路と、気泡の成長に伴い変位する可動部と、可動部の変位を所望の範囲に規制する規制部とを備え、前記気泡発生時のエネルギーにより液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、前記規制部が前記基板側から積層されて前記可動部の上方に、この可動部の変位に相当する間隔をもつように設けられていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
- 前記規制部が高分子材料からなることを特徴とする請求項1記載の液体吐出ヘッド。
- 前記高分子材料が、光カチオン重合開始剤を含有する感光性樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記規制部が前記液流路側壁と同一材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを製造するに当り、前記可動部を溶解可能な樹脂により被覆して前記規制部下の台座部分を前記基板上において形成する工程と、常温において固体状の被覆樹脂の溶液をもって前記溶解可能な樹脂層上に規制部となる被覆樹脂層を形成する工程と、前記溶解可能な樹脂層を除去する工程とを含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
- 前記溶解可能な樹脂として紫外線感光性樹脂を用い、この感光性樹脂を紫外線に露光し、現像して前記台座部分を形成し、この台座部分の側方および上方を前記基板側からカチオン重合感光性樹脂をもって被覆し、液流路および規制部の形状に露光および現像を行い、ついで前記台座部分を形成する感光性樹脂を除去することを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
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JP2015044358A (ja) * | 2013-08-28 | 2015-03-12 | エスアイアイ・プリンテック株式会社 | 液体噴射装置 |
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-
2002
- 2002-07-08 JP JP2002198640A patent/JP2004034653A/ja active Pending
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