JPH1016243A - 液体吐出ヘッドの製造方法およびその製造方法により得られた液体吐出ヘッド - Google Patents

液体吐出ヘッドの製造方法およびその製造方法により得られた液体吐出ヘッド

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JPH1016243A
JPH1016243A JP17529296A JP17529296A JPH1016243A JP H1016243 A JPH1016243 A JP H1016243A JP 17529296 A JP17529296 A JP 17529296A JP 17529296 A JP17529296 A JP 17529296A JP H1016243 A JPH1016243 A JP H1016243A
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liquid
flow path
liquid flow
separation wall
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JP17529296A
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Inventor
Kazuaki Masuda
和明 益田
Shuji Koyama
修司 小山
Hiroyuki Sugiyama
裕之 杉山
Toshio Kashino
俊雄 樫野
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寸法安定性に優れ、吐出性能が安定し、製造
コスト的に有利な液体吐出ヘッド、その製造方法および
液体吐出ヘッドを用いる液体吐出装置を提供する。 【解決手段】 液体吐出ヘッドは、吐出口9に連通する
第1液流路3を有する第1部材と、可動部材6を有する
分離壁5と、可動部材6を可動するための液体を収納す
るための第2液流路4を有する第2部材と、該第2部材
に対応する位置に発熱抵抗素子2を備えた素子基板1を
含む。素子基板1上に金属製の支持部材14を配置し、
この部材14を介して金属製の分離壁5を固定する。固
定に際しては、所定の位置決め後、熱または超音波また
は両者を併用する。支持部材14を固定する領域には、
素子基板1と支持部材14との接合強度を高めるための
金属膜1080を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギー等に
よる気泡の発生によって所望の液体を吐出する液体吐出
ヘッドに関し、特に気泡の発生を利用して変位する可動
部材を用いる液体吐出ヘッドの製造方法およびその製造
方法により得られた液体吐出ヘッドに関する。
【0002】また、本発明は紙、糸、繊維、布帛、皮
革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス
等の被記録媒体に対し記録を行うプリンター、複写機、
通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有す
るワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と
複合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明
である。
【0003】なお、本発明における、「記録」とは、文
字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像
を付与することをも意味するものである。
【0004】
【背景技術】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわ
ゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。この
バブルジェット記録方法を用いる記録装置には、米国特
許明細書第4,723,129号等の公報に開示されて
いるように、インクを吐出するための吐出口と、この吐
出口に連通するインク流路と、インク流路内に配された
インクを吐出するためのエネルギー発生手段としての発
熱体(電気熱変換体)が一般的に配されている。
【0005】この様な記録方法によれば、品位の高い画
像を高速、低騒音で記録することができると共に、この
記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出
口を高密度に配置することができるため、小型の装置で
高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得る
ことができるという多くの優れた点を有している。この
ため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
【0006】このようなバブルジェット記録方法では従
来より吐出効率を向上させるべく弁等の可動部材を流路
内に設ける構成が提案されている。
【0007】例えば、特開昭63−199972号公報
には流路内に弁を設けたインクジェット記録ヘッドにお
ける弁素子の製造方法が記載されている。
【0008】この公報では感光性樹脂等をフォトリソグ
ラフィーにより弁のパターンを形成している。
【0009】また、特開昭63−197652号公報に
は、流路上流に逆止弁を設けたインクジェット記録ヘッ
ドにおける弁の製造方法が記載されている。
【0010】この公報において、弁はフォトリソグラフ
ィーによって基板の一部を利用し基板と一体形成されて
いる。
【0011】また、特開平6−31918号公報(米国
特許明細書第5,278,585号)には、一方向弁を
ヘッドに有するインクジェットヘッドの製造方法が開示
されている。これは、フォトリソグラフィーによりパタ
ーン化され、かつ、異方性エッチングにより処理された
シリコン基板と可動部材を有するインクジェットの製造
方法である。この公報では、可動部材をシリコン基板
に、二酸化珪素層で形成する方法や、ホウ素を打ち込み
又は拡散させることでシリコンウエハー表面部分中に形
成する方法や、ホウ素を打ち込むことで生じるパターン
化されたエッチング止めにより形成する方法等が、開示
されている。
【0012】本発明の背景技術としては基本的に従来の
気泡(特に膜沸騰に伴う気泡)を液流路中に形成して液
体を吐出する方式の、根本的な吐出特性を、従来では考
えられなかった観点から、従来では予想できない水準に
高めるという背景技術課題があった。
【0013】本発明者たちの一部は、この背景技術課題
に対して気泡自体が吐出量に与えるエネルギーを考慮す
ると気泡の下流側の成長成分を考慮することが吐出特性
を格段に向上できる要因として最大であるとの知見に至
った。つまり、気泡の下流側の成長成分を吐出方向へ効
率よく変換させることこそ吐出効率、吐出速度の向上を
もたらすことも判明した。このことから、発明者らは気
泡の下流側の成分を積極的に可動部材の自由端側に移動
させるという従来の技術水準に比べ極めて高い技術水準
に至った。
【0014】更に、気泡を形成するための発熱領域、例
えば電気熱変換体の液体の流れ方向の面積中心を通る中
心線から下流側、あるいは、発泡を司どる面における面
積中心等の気泡下流側の成長にかかわる可動部材や液流
路等の構造的要素を勘案することも好ましいということ
がわかった。
【0015】本発明者達の一部は、このような知見に基
づいて、全く新規な液体吐出原理による液体吐出ヘッド
を発明し、先に提案している。
【0016】(原理説明)以下、図面を参照して本発明
に適用可能な吐出原理について説明する。
【0017】図1(A)〜(D)は液体吐出ヘッドを液
流路方向で切断した断面模式図を示しており、図2はこ
の液体吐出ヘッドの部分破断斜視図を示している。
【0018】図1(A)〜(D)の液体吐出ヘッドは、
液体を吐出するための吐出エネルギー発生素子として、
液体に熱エネルギーを作用させる発熱体402(本例に
おいては40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が
素子基板401に設けられており、この素子基板401
上に発熱体402に対応して液流路410が配されてい
る。液流路410は吐出口18に連通していると共に、
複数の液流路410に液体を供給するための共通液室4
13に連通しており、吐出口から吐出された液体に見合
う量の液体をこの共通液室413から受け取る。
【0019】この液流路410の素子基板401上に
は、前述の発熱体402に対向するように面して、金属
等の弾性を有する材料で構成され、平面部を有する板状
の可動部材431が片持梁状に設けられている。この可
動部材の一端は液流路410の壁や素子基板上に感光性
樹脂などをパターニングして形成した土台(支持部材)
434等に固定されている。これによって、可動部材は
保持されると共に支点(支点部分)433を構成してい
る。
【0020】この可動部材431は、液体の吐出動作に
よって共通液室413から可動部材431を経て吐出口
418側へ流れる大きな流れの上流側に支点(支点部
分;固定端)433を持ち、この支点433に対して下
流側に自由端(自由端部分)432を持つように、発熱
体402に面した位置に発熱体402を覆うような状態
で発熱体から15μm程度の距離を隔てて配されてい
る。この発熱体と可動部材との間が気泡発生領域とな
る。なお発熱体、可動部材の種類や形状および配置はこ
れに限られることなく、後述するように気泡の成長や圧
力の伝搬を制御しうる形状および配置であればよい。な
お、上述した液流路410は、後に取り上げる液体の流
れの説明のため、可動部材431を境にして直接吐出口
418に連通している部分を第1液流路414とし、気
泡発生領域411や液体供給路412を有する第2液流
路416の2つの領域に分けて説明する。
【0021】発熱体402を発熱させることで可動部材
431と発熱体402との間の気泡発生領域411の液
体に熱を作用し、液体に米国特許明細書4,723,1
29号に記載されているような膜沸騰現象に基づく気泡
を発生させる。気泡の発生に基づく圧力と気泡は可動部
材に優先的に作用し、可動部材431は図1(A)もし
くは図2で示されるように支点433を中心に吐出口側
に大きく開くように変位する。可動部材431の変位若
しくは変位した状態によって気泡の発生に基づく圧力の
伝搬や気泡自身の成長が吐出口側に導かれる。
【0022】ここで、本発明に適用される基本的な吐出
原理の一つを説明する。本発明において最も重要な原理
の1つは、気泡に対面するように配された可動部材が気
泡の圧力あるいは気泡自体に基づいて、定常状態の第1
の位置から変位後の位置である第2の位置へ変位し、こ
の変位する可動部材431によって気泡の発生に伴う圧
力や気泡自身を吐出口418が配された下流側へ導くこ
とである。
【0023】この原理を可動部材を用いない従来の液流
路構造を模式的に示した図3と本発明に適用される液体
吐出原理による液流路構造を示す図4とを比較してさら
に詳しく説明する。なおここでは吐出口方向への圧力の
伝搬方向をVA、上流側への圧力の伝搬方向をVBとし
て示した。
【0024】図3で示されるような従来のヘッドにおい
ては、発生した気泡440による圧力の伝搬方向を規制
する構成はない。このため気泡440の圧力伝搬方向は
V1〜V8のように気泡表面の垂線方向となり様々な方
向を向いていた。このうち、特に液吐出に最も影響を及
ぼすVA方向に圧力伝搬方向の成分を持つものは、V1
〜V4即ち気泡のほぼ半分の位置より吐出口に近い部分
の圧力伝搬の方向成分であり、液吐出効率、液吐出力、
吐出速度等に直接寄与する重要な部分である。さらにV
1は吐出方向VAの方向に最も近いため効率よく働き、
逆にV4はVAに向かう方向成分は比較的少ない。
【0025】これに対して、図4で示される本発明に適
用される液体吐出原理による液体吐出ヘッドの場合に
は、可動部材431が図3の場合のように様々な方向を
向いていた気泡の圧力伝搬方向V1〜V4を下流側(吐
出口側)へ導き、VAの圧力伝搬方向に変換するもので
あり、これにより気泡440の圧力が直接的に効率よく
吐出に寄与することになる。そして、気泡の成長方向自
体も圧力伝搬方向V1〜V4と同様に下流方向に導か
れ、上流より下流で大きく成長する。このように、気泡
の成長方向自体を可動部材によって制御し、気泡の圧力
伝搬方向を制御することで、吐出効率や吐出力また吐出
速度等の根本的な向上を達成することができる。
【0026】次に、図1(A)〜(D)に戻って、上述
した液体吐出ヘッドの吐出動作について詳しく説明す
る。
【0027】図1(A)は、発熱体402に電気エネル
ギー等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱
体が熱を発生する前の状態である。ここで重要なこと
は、可動部材431が、発熱体の発熱によって発生した
気泡に対し、この気泡の少なくとも下流側部分に対面す
る位置に設けられていることである。つまり、気泡の下
流側が可動部材に作用するように、液流路構造上では少
なくとも発熱体の面積中心403より下流(発熱体の面
積中心403を通って流路の長さ方向に直交する線より
下流)の位置まで可動部材431が配されている。
【0028】図1(B)は、発熱体402に電気エネル
ギー等が印加されて発熱体402が発熱し、発生した熱
によって気泡発生領域411内を満たす液体の一部を加
熱し、膜沸騰に伴う気泡を発生させた状態である。
【0029】このとき可動部材431は気泡440の発
生に基づく圧力により、気泡440の圧力の伝搬方向を
吐出口方向に導くように第1位置から第2位置へ変位す
る。ここで重要なことは前述したように、可動部材43
1の自由端432を下流側(吐出口側)に配置し、支点
433を上流側(共通液室側)に位置するように配置し
て、可動部材の少なくとも一部を発熱体の下流部分すな
わち気泡の下流部分に対面させることである。
【0030】図1(C)は気泡440がさらに成長した
状態であるが、気泡440発生に伴う圧力に応じて可動
部材431はさらに変位している。発生した気泡は上流
より下流に大きく成長すると共に可動部材の第1の位置
(点線位置)を越えて大きく成長している。このように
気泡440の成長に応じて可動部材431が徐々に変位
して行くことで気泡440の圧力伝搬方向や堆積移動の
しやすい方向、すなわち自由端側への気泡の成長方向を
吐出口に均一的に向かわせることができることも吐出効
率を高めると考えられる。可動部材は気泡や発泡圧を吐
出口方向へ導く際もこの伝達の妨げになることはほとん
どなく、伝搬する圧力の大きさに応じて効率よく圧力の
伝搬方向や気泡の成長方向を制御することができる。
【0031】図1(D)は気泡440が、前述した膜沸
騰の後気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅する状
態を示している。
【0032】第2の位置まで変位していた可動部材43
1は、気泡の収縮による負圧と可動部材自身のばね性に
よる復元力によって図1(A)の初期位置(第1の位
置)に復帰する。また、消泡時には、気泡発生領域41
1での気泡の収縮体積を補うため、また、吐出された液
体の体積分を補うために上流側(B)、すなわち共通液
室側から流れのVD1、VD2のように、また、吐出口
側から流れのVcのように液体が流れ込んでくる。
【0033】以上、気泡の発生に伴う可動部材の動作と
液体の吐出動作について説明したが、以下に本発明の液
体吐出ヘッドにおける液体のリフィルについて詳しく説
明する。
【0034】図1(C)の後、気泡440が最大体積の
状態を経て消泡過程に入ったときには、消泡した体積を
補う体積の液体が気泡発生領域に、第1液流路414の
吐出口418側と第2液流路416の共通液室側13か
ら流れ込む。可動部材431を持たない従来の液流路構
造においては、消泡位置に吐出口側から流れ込む液体の
量と共通液室から流れ込む液体の量は、気泡発生領域よ
り吐出口に近い部分と共通液室に近い部分との流抵抗の
大きさに起因する(流路抵抗と液体の慣性に基づくもの
である。)。
【0035】このため、吐出口に近い側の流抵抗が小さ
い場合には、多くの液体が吐出口側から消泡位置に流れ
込みメニスカスの後退量が大きくなることになる。特
に、吐出効率を高めるために吐出口に近い側の流抵抗を
小さくして吐出効率を高めようとするほど、消泡時のメ
ニスカスMの後退が大きくなり、リフィル時間が長くな
って高速印字を妨げることとなっていた。
【0036】これに対して本構成は可動部材431を設
けたため、気泡の体積Wを可動部材431の第1位置を
境に上側をW1、気泡発生領域411側をW2とした場
合、消泡時に可動部材が元の位置に戻った時点でメニス
カスの後退は止まり、その後残ったW2の体積分の液体
供給は主に第2液流路416の流れVD2からの液供給
によって成される。これにより、従来、気泡Wの体積の
半分程度に対応した量がメニスカスの後退量になってい
たのに対して、それより少ないW1の半分程度のメニス
カス後退量に抑えることが可能になった。
【0037】さらに、W2の体積分の液体供給は消泡時
の圧力を利用して可動部材431の発熱体側の面に沿っ
て、主に第2液流路の上流側(VD2)から強制的に行
うことができるためより速いリフィルを実現できた。
【0038】ここで特徴的なことは、従来のヘッドで消
泡時の圧力を用いたリフィルを行った場合、メニスカス
の振動が大きくなってしまい画像品位の劣化につながっ
ていたが、本例の高速リフィルにおいては可動部材によ
って吐出口側の第1液流路414の領域と、気泡発生領
域411との吐出口側での液体の流通が抑制されるため
メニスカスの振動を極めて少なくすることができること
である。
【0039】このように本発明に適用される上述した構
成は、第2液流路416の液供給路412を介しての発
泡領域への強制リフィルと、上述したメニスカス後退や
振動の抑制によって高速リフィルを達成することで、吐
出の安定や高速繰り返し吐出、また記録の分野に用いた
場合、画質の向上や高速記録を実現することができる。
【0040】上述した構成においてはさらに次のような
有効な機能を兼ね備えている。それは、気泡の発生によ
る圧力の上流側への伝搬(バック波)を抑制することで
ある。発熱体402上で発生した気泡の内、共通液室4
13側(上流側)の気泡による圧力は、その多くが、上
流側に向かって液体を押し戻す力(バック波)になって
いた。このバック波は、上流側の圧力と、それによる液
移動量、そして液移動に伴う慣性力を引き起こし、これ
らは液体の液流路内へのリフィルを低下させ高速駆動の
妨げにもなっていた。本構成においては、まず可動部材
431によって上流側へのこれらの作用を抑えることで
もリフィル供給性の向上をさらに図っている。
【0041】次に、本構成の更なる特徴的な構造と効果
について、以下に説明する。
【0042】本例の第2液流路416は、発熱体402
の上流に発熱体402と実質的に平坦につながる(発熱
体表面が大きく落ち込んでいない)内壁を持つ液体供給
路412を有している。このような場合、気泡発生領域
411および発熱体402の表面への液体の供給は、可
動部材431の気泡発生領域411に近い側の面に沿っ
て、VD2のように行われる。このため、発熱体402
の表面上に液体が淀むことが抑制され、液体中に溶存し
ていた気体の析出や、消泡できずに残ったいわゆる残留
気泡が除去され易く、また、液体への蓄熱が高くなりす
ぎることもない。従って、より安定した気泡の発生を高
速に繰り返し行うことができる。なお、本例では実質的
に平坦な内壁を持つ液体供給路412を持つもので説明
したが、これに限らず、発熱体表面となだらかに繋が
り、なだらかな内壁を有する液供給路であればよく、発
熱体上に液体の淀みや、液体の供給に大きな乱流を生じ
ない形状であればよい。
【0043】また、気泡発生領域への液体の供給は、可
動部材の側部(スリット435)を介してVD1から行
われるものもある。しかし、気泡発生時の圧力をさらに
有効に吐出口に導くために図1で示すように気泡発生領
域の全体を覆う(発熱体面を覆う)ように大きな可動部
材を用い、可動部材431が第1の位置へ復帰すること
で、気泡発生領域411と第1液流路414の吐出口に
近い領域との液体の流抵抗が大きくなるような形態の場
合、前述のVD1から気泡発生領域411に向かっての
液体の流れが妨げられる。しかし、本発明のヘッド構造
においては、気泡発生領域に液体を供給するための流れ
VD1があるため、液体の供給性能が非常に高くなり、
可動部材431で気泡発生領域411を覆うような吐出
効率向上を求めた構造を取っても、液体の供給性能を落
とすことがない。
【0044】ところで、可動部材431の自由端432
と支点433の位置は、例えば図1で示されるように、
自由端が相対的に支点より下流側にある。このような構
成のため、前述した発泡の際に気泡の圧力伝搬方向や成
長方向を吐出口側に導く等の機能や効果を効率よく実現
できるのである。さらに、この位置関係は吐出に対する
機能や効果のみならず、液体の供給の際にも液流路41
0を流れる液体に対する流抵抗を小さくしでき高速にリ
フィルできるという効果を達成している。これは図1
(D)に示すように、吐出によって後退したメニスカス
Mが毛管力により吐出口418へ復帰する際や、消泡に
対しての液供給が行われる場合に、液流路410(第1
液流路414、第2液流路416を含む)内を流れる流
れB、VD1、VD2に対し、逆らわないように自由端
と支点433とを配置しているためである。
【0045】補足すれば、上述した構成においては、前
述のように可動部材431の自由端432が、発熱体4
02を上流側領域と下流側領域とに2分する面積中心4
03(発熱体の面積中心(中央)を通り液流路の長さ方
向に直交する線)より下流側の位置に対向するように発
熱体402に対して延在している。これによって発熱体
の面積中心位置3より下流側で発生する液体の吐出に大
きく寄与する圧力、または気泡を可動部材431が受
け、この圧力及び気泡を吐出口側に導くことができ、吐
出効率や吐出力を根本的に向上させることができる。
【0046】さらに、加えて上記気泡の上流側をも利用
して多くの効果を得ている。
【0047】また、上述した構成においては可動部材4
31の自由端が瞬間的な機械的変位を行っていること
も、液体の吐出に対して有効に寄与していると考えられ
る。
【0048】本発明に適用される液体吐出原理による液
体吐出ヘッドは、要するに、吐出口に連通する第1液流
路と電気熱変換素子が設けられた第2液流路と、第1液
流路と第2液流路との間に配され、かつ、第1液流路側
に変位する可動部材を有する分離壁とを備え、可動部材
の変位時に第1液流路と第2液流路とが連通している構
造のヘッドである。
【0049】そして、このヘッドは電気熱変換素子の駆
動によって液体中に気泡を発生させ、この気泡に応じて
可動部材を第1液流路側に変位させると共に変位した可
動部材によって圧力を吐出口方向に導くことで液体吐出
を行うものである。
【0050】このような構成によると、気泡の発生によ
る圧力の多くを可動部材によって直接吐出口側に効率よ
く伝達できるので、高吐出効率で、また高い吐出力で液
体を吐出することができる。
【0051】特に、気泡の発生が行われる第2の液流路
とインク等の液体の吐出が行われる第1の液流路とを別
に設ける構成では、第2の液流路で発生した圧力(圧力
波)を集中して可動部材側に向けることができる。そし
て、この圧力を吐出口方向に可動部材によって向けるこ
とができるため、さらに、吐出エネルギー効率、吐出圧
を高めることができる。また、この様な構成の場合、第
1の液流路に伝わる圧力波その多くが吐出方向に向かう
圧力であり第1の液流路内ではバック波そのものが始め
から非常に少ないのでリフィルも良好である。
【0052】また、吐出液と発泡液として異なる液体を
用いた場合には、発熱体上への堆積物が低減でき、発泡
が生じない液体や発泡が困難である液体、加熱に弱い液
体等をも良好に吐出することができる。
【0053】このような可動部材を有する分離壁と、該
可動部材を可動するための第2の液体を収納するための
第2液流路を有する新規な液体吐出ヘッドを製造する方
法としては、発熱体が設けられたヒータボード上にドラ
イフィルムなどの感光性樹脂を使用して第2液流路(以
下、発泡液流路という)の壁を形成してから、ヒータボ
ードに可動部材を有する分離壁を張り付ける方法と、可
動部材を有する分離壁の方にあらかじめ発泡液流路を形
成し、ヒータボードに張り付ける方法がある。
【0054】
【発明が解決しようとする課題】上記の新規な液体吐出
原理による液体吐出ヘッドは、可動部材を有しない従来
のヘッドと、部品構成がほぼ同一で製造できるため、従
来のインクジェットヘッド製造ラインと部品をほとんど
そのまま流用することが可能となり、吐出効率の高い液
体吐出ヘッドを低コストで多量に供給することが可能と
なる。
【0055】しかしながら、このような液体吐出ヘッド
を製造するため、可動部材を有する分離壁を組み込む工
程が必要となるが、分離壁をヒータボードと接合するに
は、まず、位置決め、そしてその次に固定の2つの工程
が必要となる。位置決めについては、画像処理を用いて
両者の位置を認識し、そのデータに基づいて位置を決め
る方法、あるいは突き当てる方法などがある。固定に関
しては、接着剤による固定が必要となるが、この接着剤
が2液混合タイプでは、効果時間も長く、ポットライフ
も短いため、量産化には、タクトタイム、安定塗布の両
面から問題が多い。また、紫外線硬化型のタイプでは、
未硬化状態の液状の接着剤が記録液と接触したり(接
液)、未硬化の接着剤が記録液に混入したりするおそれ
がある。また、両タイプに共通しているが、接着時の接
着剤の硬化収縮によって位置決めを終えたヒータボード
と分離壁がずれてしまうというおそれもある。
【0056】本発明の目的は、可動可能な状態の分離壁
を有した、吐出エネルギー効率が良く、発熱体上への堆
積物を低減させた新規な液体吐出ヘッドにおいて、従来
の製造ラインを有効に活用し、信頼性のある液体吐出ヘ
ッドおよびその製造方法を提供することにある。
【0057】本発明の別の目的は、そのような製造方法
により得られた液体吐出ヘッド、該液体吐出ヘッドを含
むヘッドカートリッジ、液体吐出装置、該液体吐出ヘッ
ドを使用した液体吐出方法、そのような液体吐出方法に
よるインクを受けた記録物を提供することにある。
【0058】
【課題を解決するための手段】上述のような目的を達成
するための本発明の代表的な要件は、次のようなもので
ある。
【0059】液体が吐出される吐出口と、前記液体に熱
エネルギを付与する発熱体と、前記吐出口に連通する第
1液流路と該第1液流路の下方であって底面に該発熱体
が配されている第2液流路とからなる液流路と、前記液
流路を前記第1液流路と第2液流路とに分ける金属製の
分離壁と、前記分離壁の前記発熱体上方部分に設けられ
前記熱エネルギによって液体中に発生する気泡に応じて
第1液流路側に変位可能な可動部材と、を有し、前記気
泡発生時に第1液流路と第2液流路とが連通されており
前記圧力は前記変位した可動部材にて前記吐出口側に向
けられることにより前記液滴を吐出する液体吐出ヘッド
の製造方法であって、前記発熱体を備える基板を用意す
る工程と、該基板上に前記第2液流路の側壁を形成する
工程と、前記基板上に少なくとも上面が金属である前記
分離壁固定用の支持部材を形成する工程と、前記分離壁
を前記第2液流路の側壁および前記支持部材上に載置す
るとともに前記分離壁と前記支持部材との接合個所に超
音波を付与して前記分離壁を前記支持部材を介して前記
基板に接合する工程と、を包含する液体吐出ヘッドの製
造方法。
【0060】前記分離壁は開口部を有しており、前記分
離壁を前記支持部材を介して前記基板に接合する工程
は、前記分離壁と前記支持部材とを接合した状態で該開
口部に分離壁固定用の金属部材を超音波を付与しながら
設けることにより行われる液体吐出ヘッドの製造方法。
【0061】前記分離壁と前記支持部材との接合個所に
超音波を付与する際に同時に熱を付与する液体吐出ヘッ
ドの製造方法。
【0062】前記支持部材は金属からなり、前記支持部
材と前記第2液流路の側壁とが同一材料で形成される液
体吐出ヘッドの製造方法。
【0063】前記支持部材と前記第2液流路の側壁とが
同一工程で形成される液体吐出ヘッドの製造方法。
【0064】前記支持部材および前記第2液流路の側壁
がめっきにより形成される液体吐出ヘッドの製造方法。
【0065】前記基板は前記液体吐出ヘッドが搭載され
る液体吐出装置と前記液体吐出ヘッドとを電気的に接続
するための外部配線パッドをさらに有する液体吐出ヘッ
ドの製造方法。
【0066】前記支持部材は金属からなり、前記外部配
線パッドと同時に形成される液体吐出ヘッドの製造方
法。
【0067】前記支持部材は樹脂の表面に金属膜を設け
たものである液体吐出ヘッドの製造方法。
【0068】前記基板は支持部材形成部に金属製の密着
層を有する液体吐出ヘッドの製造方法。
【0069】前記密着層がタンタルもしくはクロムから
なる液体吐出ヘッドの製造方法。
【0070】前記分離壁がニッケル、金もしくは金めっ
きを施したニッケルのいずれかからなる液体吐出ヘッド
の製造方法。
【0071】前記第2液流路の側壁が感光性樹脂もしく
は無機絶縁物で形成されている液体吐出ヘッドの製造方
法。
【0072】液体が吐出される吐出口と、前記液体に熱
エネルギを付与する発熱体と、前記吐出口に連通する第
1液流路と該第1液流路の下方であって底面に該発熱体
が配されている第2液流路とからなる液流路と、前記液
流路を前記第1液流路と第2液流路とに分ける金属製の
分離壁と、前記分離壁の前記発熱体上方部分に設けられ
前記熱エネルギによって液体中に発生する気泡に応じて
第1液流路側に変位可能な可動部材と、を有し、前記気
泡発生時に第1液流路と第2液流路とが連通されており
前記圧力は前記変位した可動部材にて前記吐出口側に向
けられることにより前記液滴を吐出する液体吐出ヘッド
の製造方法であって、 前記発熱体を備える基板を用意
する工程と、該基板上に前記第2液流路の側壁を形成す
る工程と、前記基板上に少なくとも上面が金属である前
記分離壁固定用の支持部材を形成する工程と、前記分離
壁を前記第2液流路の側壁および前記支持部材上に載置
するとともに前記分離壁と前記支持部材との接合個所に
熱を付与して前記分離壁を前記支持部材を介して前記基
板に接合する工程と、を包含する液体吐出ヘッドの製造
方法。
【0073】上記液体吐出ヘッドの製造方法により得ら
れた液体吐出ヘッド、である。
【0074】本発明の特徴的な構成によれば、一般的な
弁あるいは先行して出願されている新規なヘッドの吐出
原理に対して、有効、かつ、有用な気泡の成長を規制で
きる可動部材を、製品として実用化できるレベルに安価
なコスト、少ない部品点数で精度良く製造することが可
能となり、従来の吐出原理においてもより最大に出せる
ヘッドを提供することができた。
【0075】本発明によれば、可動可能な状態の分離壁
を有した吐出効率が良好な新規な吐出ヘッドにおいて、
分離壁固定用の支持部材、第2液流路を形成するための
部材、分離壁および外部配線部の材質について、前述の
ような構成をとることによって熱や超音波などにより非
常に短時間で、かつ、安定的な分離壁の固定が可能な
る。従って、従来の接着剤による固定での種々の問題、
例えば硬化収縮を伴う接着剤あるいは紫外線硬化樹脂の
ように未硬化部の回り込みを伴う接着剤を接合に用いる
必要がないため、かかる接着剤のインク中への溶解等を
回避することができることなどから、ラインのタクトタ
イムおよび歩留まりが向上し、結果的に非常に安価な分
離壁固定が可能となったため、製品のコストダウンにも
効果がある。
【0076】また、本発明によれば、素子基板側の支持
部材形成部の少なくとも表面に金属膜を形成することに
より、支持部材自体を金属材料から形成しなくても、金
属製の分離壁を素子基板上に強固に接合することが可能
となる。
【0077】さらに、本発明によれば、素子基板側の固
定部とその金属膜との間に密着層を設ける場合に、その
密着層と素子基板に形成される機能素子用の保護膜との
間で膜形成材料を共通化できるため、同一工程での膜形
成も可能となり、工程数の増加やコスト増大を回避する
ことができる。
【0078】さらに、分離壁とこの分離壁に対して所定
のスリット幅で分離した可動部とを電鋳で作成すること
により、スリット幅等を精密に加工できるので、電気熱
変換用素子からの熱を受けた液体の発泡による圧力に正
確に応答して可動部を変位させて吐出用液体を所望量だ
け正確に吐出させることが可能であるため、高画質への
対応が可能となる。
【0079】本発明のその他の効果については、各実施
例の記載から理解される。
【0080】なお、本発明の説明で用いる「上流」「下
流」とは、液体の供給源から液流路を経て、吐出口へ向
かう液体の流れ方向に関して、又はこの構成上の方向に
関しての表現として表されている。
【0081】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出
口側部分を代表する。より具体的には気泡の中心に対し
て、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、
又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気
泡を意味する。
【0082】また、本発明の説明で用いる「実質的に密
閉」とは、気泡が成長するとき、可動部材が変位する前
に可動部材の周囲の隙間(スリット)から気泡がすり抜
けない程度の状態を意味する。
【0083】また、本発明でいう「分離壁」とは、広義
では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域とを区分
するように介在する壁(可動部材を含んでもよい)を意
味し、狭義では気泡発生領域を含む流路を吐出口に直接
連通する液流路とを区分し、それぞれの領域にある液体
の混合を防止するものを意味する。
【0084】なお、以下の各実施形態で得られた分離壁
は本発明の液体吐出ヘッドに好適に組み込むことが可能
な部材である。
【0085】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を詳細に説明する。
【0086】図5は本発明の液体吐出ヘッドの一実施形
態における主要構成を説明するための模式的分解斜視図
である。尚、図5では吐出口を備えるオリフィスプレー
トが省略されている。また、図6は、図5の液体吐出ヘ
ッドの要部である吐出口及び液流液流路分を示す断面図
であり、図7は、図5の液体吐出ヘッドの要部を示す部
分模式図である。
【0087】図5〜図7において、1は液体に気泡を発
生させるための熱エネルギーを与える電気熱変換用素子
としての発熱体2が設けられた素子基板である。この素
子基板1はアルミニウム等からなる支持体70上に支持
されている。
【0088】素子基板1には、シリコン等の基体に絶縁
および蓄熱を目的としたSiO2 膜またはSiN膜が成
膜され、更にその上に発熱体2を構成するHfB2 、T
aN、TaAl等の電気抵抗層(0.01〜0.2μm
厚)とAl等の配線電極(0.2〜1.0μm厚)が形
成されている。この配線電極から抵抗層に電圧を印加す
ることにより発熱体2を発熱させる。
【0089】そして、配線電極間の抵抗層(発熱体2)
上には、SiO2 またはSiN等の保護層(0.1〜
2.0μm厚)が設けられ、さらにその上にはTa等の
耐キャビテーション層(0.1〜0.6μm厚)が成膜
されており、インク等の各種の液体から発熱体2を保護
している。
【0090】ここで、気泡の発生、消泡の際に発生する
圧力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい保護層の耐久
性を著しく低下させるため、耐キャビテーション層の材
料としてはTa等の金属材料が好ましく用いられる。
【0091】また、液体、液流路構成、抵抗層材料の組
み合わせにより発熱体2上に上述の保護層を必要としな
い構成でもよく、このような発熱体2上に保護層を必要
としない抵抗層の材料としてはIr−Ta−Al合金等
が挙げられる。
【0092】このように本実施形態例における発熱体の
構成としては、前述の電極間の抵抗層(発熱部)だけで
でもよく、また抵抗層を保護する保護層を含むものでも
よい。
【0093】本実施形態例においては、発熱体として電
気信号に応じて発熱する抵抗層で構成された発熱部を有
するものを用いたが、これに限られることなく、第1液
流路中の液体を吐出させるのに十分な気泡を第2液流路
中の液体に生じさせるものであればよい。例えば、発熱
部としてレーザ等の光を受けることで発熱するような光
熱変換体や高周波を受けることで発熱するような発熱部
を有する発熱体でもよい。
【0094】なお、素子基板1には、前述の抵抗層とこ
の抵抗層に電気信号を供給するための配線電極で構成さ
れる電気熱変換体(発熱抵抗素子)の他に、この電気熱
変換体を選択的に駆動するためのトランジスタ、ダイオ
ード、ラッチ、シフトレジスタ等の機能素子が一体的に
半導体製造工程によって作り込まれていてもよい。
【0095】発熱体2を備える素子基板1上には、この
発熱体2から発生された熱エネルギーを液体に作用させ
るために底面に発熱体2が形成された液流路の第2液流
路4があり、更に第2液流路4の上方には吐出口9に直
接連通した液流路の第1液流路3が配されている。そし
て、第2液流路4と第1液流路3の間には、金属、樹脂
等の弾性を有する材料で構成された分離壁5が配されて
おり、第2液流路と第1液流路とを区分している。
【0096】液流路における発熱体2の発熱体形成面に
対して直交する方向(上方)の投影空間(図6における
第1液流路中のAの領域と第2液流路中のBの領域)は
液体を吐出するための圧力が働く領域の吐出圧発生領域
であり、本発明の液体吐出ヘッドでは第2液流路中の液
体が発熱体によって加熱されることにより発泡し、この
気泡発生時の気泡成長に伴う圧力が吐出圧発生領域で作
用し液体が吐出される。
【0097】分離壁5のうち、この吐出圧発生領域に位
置する部分には、スリットによって片持梁形状の可動部
6が形成されており、この可動部6は、吐出口9側(流
体流れ方向の下流側であり、図6に向かって左側)に自
由端6aが配され、第1液流路3の共通液室10および
第2液流路4の共通液室11側に可動部6の支点6bが
位置するように形成されている。
【0098】本発明の液体吐出ヘッドは、第2液流路中
の吐出圧発生領域Bに面して分離壁5の可動部6が配さ
れているため、可動部6は後述するように第2液流路中
の液体の発泡による圧力によって第1液流路3側に開口
するように動作する(図5中の矢印方向)。
【0099】可動部6を有する分離壁5を構成する材質
は液流路中の液体に対して耐溶剤性があり、可動部とし
て良好に動作するに十分な弾性を有し、微細なスリット
を形成できるものであれば良い。これらの要求を満たす
材料としては、銀、ニッケル、金、鉄、チタン、白金、
タンタル、ステンレスアルミニウム、りん酸銅等の金
属、合金およびその化合物、もしくは表面にチタンや金
をコーティングしたものが望ましい。
【0100】また、分離壁5の厚さは、分離壁5に要求
される強度を達成でき、かつ、可動部6として良好に作
動するという観点からその材質と形状等を考慮して決定
すればよいが、大まかに0.5μm〜10μmが望まし
い。
【0101】また、スリットの形状としては図8(A)
に示すように長方形の形状であっても良いし、図8
(B)に示すように支点側が細くなっている形状や、図
8(C)に示すように支点側が広くなっている形状でも
良い。図8(B)の形状は可動部の動作が容易な形状で
あり、図8(C)の形状は可動部の耐久性が向上する形
状である。なお、本発明においてはスリットは上述の形
状に限らず、第2液流路内におさまるものであれば良
い。
【0102】また、分離壁5と可動部6との間のスリッ
トの幅は、第1液流路中の液体と第2液流路中の液体と
が異なる液体であり、両液体の混合を防止したい場合
は、スリット幅を両者の液体間でメニスカスを形成する
程度の間隔とし、それぞれの液体同士の流通を制御すれ
ばよい。例えば、発泡液として2cP(センチポアズ)
程度の液体を用い、吐出液として100cP以上の液体
を用いた場合には、5μm程度のスリットでも混液を防
止することができるが、3μm以下にすることが好まし
い。
【0103】スリットは電鋳によって作成することがで
きる。
【0104】電鋳またはレーザー照射によって作成され
たスリットの端部は図9(A)、(B)に示すようなR
テーパー形状もしくはストレートテーパー形状となって
いる。なお、図9(A)は電鋳により作成されたスリッ
ト部分の拡大断面図、図9(B)はレーザー照射により
作成されたスリット部分の拡大断面図である。ここで、
図9(A)のようにスリット端部が長時間にわたって変
位動作を続けた場合には、機械的へたりによって図9
(A)、(B)のように可動部材の動作領域が図中のX
軸方向にずれることがある。このように可動部材の動作
領域がずれた場合には、可動部材の耐久性が低下するお
それがある。しかしながら、スリット端部がテーパー形
状となっている場合には、仮に可動部材の動作領域がず
れた場合であっても、図9(C)、(D)に示すように
可動部材の変位動作時にテーパー形状がずれを修正する
ように働くため、可動部材の耐久性が向上する。スリッ
ト端部のテーパー角度については、製法条件によって変
わるものであるが、可動部材の厚み方向に対して2〜4
5°傾いていれば上述の効果を有することが分かってい
る。好ましくはスリット端部のテーパー角度が5〜15
°の範囲にあることが望ましい。
【0105】第2液流路4の形状としては、気泡に応じ
て生じる圧力が効果的に可動部側に伝えられる形状であ
れば良いが、第2液流路4が発熱体2の上流側(ここで
の上流側とは液室側から発熱体位置、可動部材、第1液
流路3を経て吐出口に向う大きな流れの中の上流側のこ
とである。)に狭窄部を持っており、発泡時の圧力が第
2液流路の上流側に容易に逃げることを抑制するような
室(発泡室)構造をとることにより、第2液流路4で発
生した発泡時の圧力が周囲に逃げることをさらに抑制で
き、圧力を集中して可動部側に向けることができるた
め、より高い吐出効率、吐出力を達成することができ
る。
【0106】また、第2液流路4の高さとしては、第2
液流路4で発生した気泡の一部が第1液流路まで延在す
るような高さにすることで、気泡が第1液流路3まで延
在しない場合に比べ更に吐出力を向上させることができ
る。この様に気泡が第1液流路3まで延在するようにす
るためには、第2液流路4の高さを最大気泡の高さより
低くすることが望ましく、この高さを数μm〜30μm
とすることが望ましい。
【0107】分離壁5上には吐出口9に連通する第1液
流路3が設けられており、この第1液流路3は第1液流
路となる第1凹部3aが設けられた溝付天板8を分離壁
5に接合することで形成されている。
【0108】この溝付天板8は、更に吐出口9を有する
オリフィスプレートと液流路に液体を供給するための第
1の共通液室となる凹部10を備えている。
【0109】本液体吐出ヘッドによれば、気泡を発生す
る部分である第2液流路が吐出口と連通する第1液流路
と分離壁によって区分されているため、第2液流路中の
液体と第1液流路中の液体とを異なるものとすることが
できる。本実施例ではこの第2液流路と第1液流路とを
別液体とできる2流路構成の液体吐出ヘッドを示してい
る。
【0110】第1の共通液室10に液体を供給するため
の第1の供給口10aと、第2の共通液室11に液体を
供給するための第2の供給口11aとを有している。第
1の供給口10aは、第2の共通液室11の外に配され
分離壁を貫通して第1の共通液室10に連通する連通路
に繋がっており、この連通路によって第2液流路4に供
給される液体と混合することなく第1液流路3に供給さ
れる液体を第1の共通液室10に供給することができ
る。
【0111】なお、発熱体2や可動部6の大きさ、形状
および配置は、これに限られることなく、発泡時の圧力
を吐出エネルギーとして有効に利用できる形状および配
置にすればよい。
【0112】次に、本発明の液体吐出ヘッドの要部の組
立方法の一例を説明する。
【0113】図10は、本発明の液体吐出ヘッドの要部
を示す分解斜視図である。本実施形態においては、ま
ず、基板1上の電気熱変換素子の位置をTVカメラ等に
よって計測し、そのデータに基づいて、可動部6を有す
る分離壁5を位置決めし、固定する。固定方法について
は、本発明のポイントであり、後で詳述する。ここで
は、ヘッド全体の組立方法を先に説明する。
【0114】次に、これを接合機を用いて、基板1上の
電気熱変換用素子の位置をTVカメラ等によって得られ
た画像上で計測すると共に所定の位置ステージに接着さ
れる天板8を移動させながらその位置を同様に画像上で
計測し、これにより、電気熱変換用素子と吐出口とを位
置合わせし、押さえばね107により天板8と基板1と
を圧着する。
【0115】一方、第1の液室および第2の液室につい
ては、封止剤で周囲に壁を作ることで気密性を保持す
る。
【0116】本実施形態においては、発熱体として電気
信号に応じて発熱するハフニウムボライドや窒化タンタ
ル等の発熱抵抗体を発熱部として有するものを用いた
が、これに限られるものでは無く、発泡液に対して吐出
液を吐出させるに充分な気泡の発生を生じさせるもので
あればよい。例えば、発熱部としてレーザ等の光を受け
ることで発熱するような光熱変換体を有する発熱体でも
よい。なお、発熱体は発熱部だけでなく発熱部を液体か
ら保護する保護膜を含んでも良い。
【0117】次に、本発明の液体吐出ヘッドのうち、特
に可動部材を有する分離壁の支持部材、分離壁固定用金
属部材、分離壁および流路を構成する第2の部材、およ
び外部への配線部のそれぞれの材質について、また、分
離壁と素子基板との固定方法について詳しく説明する。
【0118】
【実施例】
(実施例1)図11(A)〜(E)は本発明の液体吐出
ヘッドの製造方法の一実施例を示す概略斜視図であり、
図12(A)および(B)は液体吐出ヘッドの製造工程
中における支持部材の状態を示す断面図である。
【0119】図12(A)において符号1は発熱素子2
を設置した素子基板である。この素子基板1上に厚さ1
5μmのドライフィルムタイプのレジストをラミネート
した後、周知技術のフォトリソグラフィの手法により発
熱素子2の周囲の3辺を取り囲むような形でパターニン
グを行って、図11(B)に示すように第2液流路を構
成する第2の部材20を形成した。
【0120】次に、図11(C)に示すように、素子基
板1の概略後方部の2カ所に、分離壁を固定するための
支持部材14を設置した。この場合、分離壁固定用支持
部材としては、Auバンプ、いわゆるスタッドバンプを
打ち込んだ。素子基板1とAuバンプとの密着性を確保
するため、素子基板1の表面はAlを用いているが、本
実施例では図示しない。Auバンプを設けた素子基板1
の概略側面図を図12(A)に示した。
【0121】次に、図11(D)に示すように、可動部
をもつ分離壁5を素子基板1に対して位置決めを行っ
た。支持部材14により分離壁5と素子基板1とが接合
した状態を図12(B)に示す。分離壁としては、ここ
では、ニッケルの電鋳板を用いた。この電鋳板の形成方
法については、後に詳述する。位置決めは、素子基板1
の発熱素子2の位置をTVカメラで測定し、一方、別の
カメラで分離壁の可動部6の位置を測定し、両者のデー
タから分離壁5を素子基板上に移動させ、下降させる方
法で行った。
【0122】そして、そのままの位置を保持したまま、
分離壁5の上から支持部材14に対して加熱を行った。
条件は約450℃である。この加熱により支持部材14
のAuと分離壁5のNiとがその界面で合金層を形成
し、素子基板1と分離壁5との接合され、固定がなされ
る。これは半導体の実装などで広く行われているボンデ
ィングの技術を応用したものである。
【0123】本実施例の別の態様として、図13(A)
および(B)に示すように、分離壁5に設置された支持
部材14に相対する位置に分離壁固定用の開口部である
貫通穴16を設けておき、図14(A)に示すように支
持部材14を貫通穴16に位置決めした後、図14
(B)に示すように支持部材14を設けたのと全く同様
に分離壁固定用金属部材15を再度、打ち込んだ。この
方法においても、分離壁5を固定することが可能であ
る。
【0124】固定に関しては、熱だけでなく、超音波に
よっても行うことができ、熱と超音波との併用も有効で
ある。超音波であれば、支持部材14およびその近傍に
対する短時間の固定が可能となり、熱による場合に比べ
て素子基板1および分離壁5等の熱変形を最小限に抑制
でき、各部品間の位置決め精度の低下を防止することが
できる。
【0125】本実施例の方法によれば、例えば接着剤を
使って固定する際の種々の問題点、例えば硬化時間があ
るため、位置決めを行った後、そのままの状態で長時間
保持しないといけないこと、そのため、タクトタイムが
延びてしまうこと、あるいは接着剤の塗布量の安定性、
ポットライフなどの点を解決することが可能である。
【0126】本実施例における分離壁、第2液流路の側
壁、支持部材および配線部の材質は、材質対応表として
の表1のNo.1に示した。
【0127】本実施例に類似の形態として、分離壁をA
uメッキを行ったNi板とし、支持部材として本実施例
1に示したのと同様、Auバンプを用いても、同様に固
定が可能である。この類似形態は表1のNo.2であ
る。この場合、分離壁の表面はAuであるため、支持部
材のAuと同材質であり、固定の際の信頼性はより良好
である。
【0128】
【表1】
【0129】ここで、本実施例で用いられた分離壁の作
成工程の一例を図15(A)〜(C)を参照しながら説
明する。
【0130】図15(A)〜(C)は、電鋳を行うこと
により、分離壁に可動部を一体に作成する一例として、
分離壁作成工程の模式的断面図を示している。
【0131】まず、(A)に示すようにステンレス基板
であるSUS基板(本実施例では、SUS−316使
用)111に4μm厚のレジスト112aを設け、この
レジストをパターニングして可動部のスリット部分に対
応する部分を形成した。レジスト112aとしてはPM
ER P−AR900(商品名:東京応化社製)を使用
した。露光にはキヤノン製のMPA−600を使用し、
露光量を500mJ/cm2 とした。現像は現像液のP
−6G(商品名:東京応化社製)を使用して行った。
【0132】その後、(B)に示すように、電気メッキ
を行って基板111上に第1メッキ層113としてニッ
ケルを5μm成長させた。メッキ液としてはスルフォミ
ン酸ニッケルに応力減少剤 ゼロオール(商標名:ワー
ルドメタル社製)、ほう酸、ピット防止剤 NS−AP
S(商品名:ワールドメタル社製)、塩化ニッケルを使
用した。電着時の電界のかけ方は、アノード側に電極を
つけ、カソード側に先にパターニングしたSUS基板1
11を取り付け、メッキ液の温度を50℃、電流密度を
5A/dm2 とした。このような電気メッキにより基板
111上に形成された第1メッキ層113は、分離壁を
構成する板体113aと、この板体113aに対して所
定のスリットにより分離した片持ち梁状の可動部113
bとを構成している。
【0133】次に、このようなメッキを行った後、
(C)に示すように、レジスト112aを除去し、SU
S基板111から、第1メッキ層113からなるニッケ
ル板を超音波振動等の手段で剥がすことにより分離壁の
可動部が形成され、分離壁として使用できるニッケル板
115を得た。
【0134】本実施例では、分離壁115と可動部11
7との間のスリットを電鋳により作成するため、そのス
リット幅を所定の範囲で精密に制御でき、かつ、分離壁
115の厚さをも均一に制御できる。
【0135】(実施例2)本実施例では、先の表1中の
No.3〜No.6にそれぞれ示された材質からなる部
品を用いた液体吐出ヘッドの作成について説明する。
【0136】まず、No.3に示した材質の部品を用い
た液体吐出ヘッドの構成を説明する。図16(A)〜
(E)は本発明の液体吐出ヘッドの製造方法の他の実施
例を示す概略斜視図であり、図17は液体吐出ヘッドの
製造工程中における分離壁固定部分の状態を示す断面図
である。なお、先の実施例における構成要素と共通する
構成要素については同一符号を付し、その部分の説明を
省略する。
【0137】図16(A)は先の実施例における図11
(A)と同一であり、発熱素子2を備えた素子基板1を
示している。図16(B)に示すように、この素子基板
1上に発熱素子2を覆うような形状となるようにメッキ
レジスト212のパターニングを行う。その際に、分離
壁固定用の支持部材を同時に形成するため、前記レジス
トパターニングの際に支持部材形成部となるべき位置に
固定用パターン213を切っておく。次に、このレジス
トパターニングされた素子基板1に対してNiメッキを
約10μmの厚さまで行ったが、このメッキ層について
は図示しない。このメッキ後にレジストを剥離した状態
の素子基板を示したのが図16(C)である。Niメッ
キ層が形成された部分が第2の部材20および分離壁支
持部材14となり、素子基板1上に設置される。この分
離壁支持部材14により素子基板1と分離壁5との接合
状態を図17に示す。次に、図16(D)に示すよう
に、分離壁5を素子基板1に対して、先の実施例1と同
様に位置決めし、そのままの位置を保持しつつ、図16
(E)に示すように、先の実施例1と同様に固定を行っ
た。この場合、分離壁としてはAuの電鋳板を用いた。
このAu板は化学的に非常に安定であるため、使用イン
クのpHを考慮に入れる必要がなく、このため記録イン
クの設計の自由度が広がるという利点を有する。ただし
先に示したNiとは物性が異なるため、分離壁の形状、
厚さについては設計面で考慮する必要がある。
【0138】また、本実施例2は、第2の部材と支持部
材とを同時に作り込むことができるという点で、工程
上、およびコスト上の効果がある。
【0139】本実施例の変形例を図18(A)および
(B)、図19(A)および(B)を参照しつつ説明す
る。この変形例では、先の実施例1の変形例で説明した
ように、分離壁5の一部に支持部材14と相対応する位
置に貫通穴16を図18(A)に示すように設けてお
く。そして、図18(B)および図19(A)に示すよ
うに、支持部材14に分離壁5の貫通穴16を位置決め
した後、図19(B)に示すように、分離壁固定用金属
部材15を貫通穴16を介して支持部材14に超音波を
付与しながら打ち込んで分離壁5と素子基板1とを固定
した。また、この時さらに熱を付与しながら金属部材1
5を打ち込むことにより分離壁を一層強固に固定するこ
とができる。
【0140】上述では、表1のNo.3に示した材質の
部品を用いて液体吐出ヘッドの作成を説明したが、これ
と同様に、表1のNo.4〜No.6に示した材質の部
品を用いても支持部材を介して分離壁と素子基板とを強
固に固定できることを確認した。
【0141】(実施例3)本実施例では、先の表1中の
No.7、No.8にそれぞれ示された材質からなる部
品を用いた液体吐出ヘッドの作成について説明する。
【0142】図20(A)〜(E)は本発明の液体吐出
ヘッドの製造方法のさらに他の実施例を示す概略斜視図
であり、図21(A)および(B)は液体吐出ヘッドの
製造工程中における分離壁固定部分の状態を示す断面図
である。なお、先の実施例における構成要素と共通する
構成要素については同一符号を付し、その部分の説明を
省略する。
【0143】図20(A)および(B)は先の実施例1
における図11(A)および(B)とほぼ同一である
が、図20(A)には素子基板1上の端縁部に外部配線
用のパッド17が示されている点で異なる。なお、図2
0では該パッド17は2ケ所のみ示されているが、当然
のことながら2ケ所のパッド間に多数のパッドがあって
もよい。このパッド17上には、図20(C)に示すよ
うに、分離壁固定用の支持部材としてのAuバンプ14
を形成する際に同時に、Auバンプ18を形成する。
【0144】これ以外の工程、すなわち、分離壁5と素
子基板1とを支持部材14により接合、固定する工程に
関しては、図20(D)および(E)、図21(A)お
よび(B)に記載されており、これらの内容は先の実施
例1における図11(D)および(E)、図12(A)
および(B)に記載された内容とほぼ同一である。
【0145】本実施例における利点は、以下の通りであ
る。素子基板11の外部配線用パッドは半導体の多くの
製品と同様、材質的にはアルミニウム(Al)が主体で
ある。このため、素子基板1から外部へ電気的に接続す
る方法としては、AuまたはAlのワイヤーボンディン
グがあるが、他方で、リードフレームやTABテープと
接続するには、Al上にどうしてもAu等のバンプ形成
が必要となる。この形態によれば、支持部材のAuスタ
ッドバンプを作る際、同時に配線用のバンプを形成する
ことができるため、工程的にもコスト的にもメリットが
出てくる。
【0146】図22(A)および(B)は本実施例に係
る液体吐出ヘッドの製造方法の変形例を示す概略斜視図
であり、図23(A)および(B)はそれぞれ図22
(A)および(B)における支持部材の状態を示す断面
図である。この変形例では、これらの図に示すように、
分離壁5の所定位置に設けた貫通穴16を介して分離壁
固定用金属部材15を素子基板1上の支持部材14に超
音波を付与しながら打ち込んで分離壁5と素子基板1と
を固定した。この分離壁固定用金属部材15の打ち込み
と同時に外部配線用のパッド(図示略)に電気的に接続
する別のAuバンプ18を打ち込むことができる。
【0147】(実施例4)本実施例では、先の表1中の
No.9〜No.11にそれぞれ示された材質からなる
部品を用いた液体吐出ヘッドの作成について説明する。
【0148】図24(A)〜(E)は本発明の液体吐出
ヘッドの製造方法の他の実施例を示す概略斜視図であ
り、図25は液体吐出ヘッドの製造工程中における分離
壁固定部分の状態を示す断面図である。なお、先の実施
例における構成要素と共通する構成要素については同一
符号を付し、その部分の説明を省略する。
【0149】図24(A)は先の実施例1における図1
1(A)とほぼ同一であり、図24(B)〜(E)は先
の実施例2における図16(B)〜(E)と、メッキレ
ジスト212に外部配線パッド用のパターンとして開口
部214を設けた点を除き、ほぼ共通している。すなわ
ち、図24(B)に示すように、素子基板1の外部配線
用のパッドに対応するレジスト部分を除去するよう、外
部配線パッド用パターン214を設ける。図ではパター
ン214が2ケ所しか示されてないが、当然のことなが
ら必要に応じて多数のパターンを作ることになる。その
後、先の実施例2と同様に、Niメッキ(表1中のN
o.9)またはAuメッキ(表1中のNo.10および
No.11)を行うことにより、図24(C)に示すよ
うに第2の部材20、分離壁支持部材14および外部配
線用メッキバンプ19を同時に形成することができる。
このときの支持部材14による素子基板1と分離壁5と
の接合状態を図25に示す。
【0150】本実施例では、上述のように第2の部材2
0、分離壁支持部材14および外部配線用メッキバンプ
19を同一工程で同時に形成することができるので、各
部材を個別の工程で作成する場合に比べてコストの面で
非常に有利である。
【0151】なお、表1中のNo.9では分離壁をAu
めっきのNiで形成した以外はNiで形成し、No.1
0では分離壁をNiで形成した以外はAuで形成し、N
o.11では各部品をすべてAuで形成したが、いずれ
も大きな問題もなく、良好な固定状態を得ることができ
た。
【0152】図26(A)および(B)は本実施例に係
る液体吐出ヘッドの製造方法の変形例を示す概略斜視図
であり、図27(A)および(B)はそれぞれ図26
(A)および(B)における支持部材および分離壁固定
用金属部材の状態を示す断面図である。この変形例で
は、これらの図に示すように、分離壁5の所定位置に設
けた貫通穴16を介して分離壁固定用金属部材15を素
子基板1上の支持部材14に超音波を付与しながら打ち
込んで分離壁5と素子基板1とを固定した。この分離壁
固定用金属部材15の打ち込みと同時に外部配線用のパ
ッド19に電気的に接続する別のAuバンプを打ち込む
ことができる。
【0153】以上、実施例1〜4の説明において、材料
的にはAuまたはNiが多かったが、本発明はそれに限
定されるものではなく、熱や超音波によるエネルギで互
いに合金層を作るような材料の組み合わせであれば、基
本的には、すべて採用可能である。ただ、本発明におい
ては、一般的な材料で、かつ、扱い易いということで、
AuやNiを用いた。
【0154】上記実施例1〜4で製作した記録ヘッドを
用いて、図10の形態のヘッドを組み立て、発泡液とし
て上述のエタノールと水の混合液を用い、吐出液として
染料インク(2cP)、顔料インク(15cP)、ポリ
エチレングリコール200(55cP)、ポリエチレン
グリコール600(150cP)を用い、電圧25V、
周波数2.5kHzで駆動したところ良好な吐出が得ら
れ、これらのインクの付与によって良好な画質の記録物
を得ることができる。
【0155】上記各実施例では、分離壁5をニッケル等
の金属材料から形成し、この分離壁5と固定する支持部
材14をニッケル等の金属材料から形成しているが、支
持部材14の少なくとも表面に金属材料からなる膜を形
成することにより、この金属膜と金属製の分離壁5と
を、支持部材14全体を金属材料から形成した場合とほ
ぼ同様に高い接合強度で接合することが可能となる。こ
の場合、支持部材14の表面層より下側の部分を形成す
る材料としては、その金属膜を形成する金属材料以外の
金属材料または非金属材料で形成することが可能とな
る。
【0156】以下、図面を参照しながら、支持部材の表
面に金属膜を形成した場合の本発明の液体吐出ヘッドの
他の実施例を説明する。
【0157】(実施例5)図28(A)〜(D)は、本
発明の液体吐出ヘッドの製造方法の他の実施例を示す概
略斜視図であり、図29は図28(B)のB−B線に沿
う断面図であり、図30は図28(B)のA−A線に沿
う断面図であり、図31は図28(B)のC−C線に沿
う断面図であり、図32は図28(C)のD−D線に沿
う断面図であり、図33は図28(D)のE−E線に沿
う断面図である。
【0158】本実施例では、可動部材を有する分離壁5
を素子基板1に支持部材を介して固定する際に、素子基
板1の固定部をポリイミド等の樹脂材料で形成し、その
上にこの樹脂材料との密着性を向上させるための密着層
を介して金属材料からなる金属膜を形成した点に特徴が
ある。
【0159】まず、素子基板の製造方法の一例を説明す
る。例えば図29に示すように、シリコン基板1010
上に二酸化シリコンからなる熱酸化膜1020を熱酸化
法で形成し、次いでハフニウムボライドからなる発熱素
子層1030とアルミニウムからなる発熱素子用配線層
1040を順次スパッタリングや蒸着などで成膜する。
次に、フォトリソグラフィ技術を使用して、発熱素子1
030と発熱素子用配線層1040とをパターニング
し、液体を吐出するのに利用される熱エネルギを発生す
るヒータとその配線層を形成する。そして、フォトリソ
グラフィ技術を使用して、二酸化シリコンや窒化シリコ
ンなどからなる絶縁保護膜1050をパターニングし、
コンタクトホールを形成することにより、図28(A)
に示す素子基板1を得ることができる。
【0160】次に、第2流路の製造方法の一例を説明す
る。この例は素子基板の上に第2流路を感光性樹脂を利
用して作製する点に特徴がある。感光性樹脂としては、
例えば東レのポリイミド(登録商標フォトニース:UR
−3140)を使用することができる。このポリイミド
を用いる場合には、例えば次のような条件でパターニン
グすることができる。
【0161】すなわち、上記ポリイミドをシリコンウエ
ハ上に1000rpmの回転数でスピンコーティング
し、その後、100℃、5分間プレベークし、700m
Jの光で露光し、現像に2分かけ、ポストベークに1分
30秒、350℃の熱キュアに1時間30分かけた。
【0162】なお、本実施例では、第2流路の形成材料
に感光性樹脂を用いたが、無機物である二酸化シリコン
膜や窒化シリコン膜をスパッタリングにより成膜し、パ
ターニングしてもよい。また、素子基板と後から接続す
るTABのリードとのショート防止を行うために、第2
流路のパターンを電気接続部とチップ切断面の間に設け
てよい。
【0163】次に、20の第2液流路を形成するための
側壁が形成された素子基板1010上の所定の固定部上
にタンタルからなる密着層を形成した後、その密着層上
に分離壁5を固定するためのニッケルからなる金属膜1
100を成膜する。次に、フォトリソグラフィ技術を使
用して、金属膜1100と密着層1060とをパターニ
ングすることにより、複数の第2流路付きの素子基板1
の集合体であるウエハを得ることができる。このような
ウエハの複数の素子基板のヒータ部の膜構成を図30に
示し、固定部の膜構成を図29に示し、電気接続部の膜
構成を図31に示した。
【0164】次に、上記ウエハをダイシングし、チップ
(素子基板)とする。なお、説明の容易化のため、図2
8(A)および(B)にダイシング後のチップを示した
が、実際の製造工程においては、ダイシングにより個々
の単独の素子基板となる。
【0165】次に、このようにして得られた素子基板
と、例えば図15(A)〜(C)に示した方法により製
造した可動部材付きの分離壁とを画像処理により図28
(C)に示すように位置決めする。このときの素子基板
側の支持部材と分離壁との固定状態を図32に示した。
図32から、金属製の分離壁5の貫通穴16の周辺部分
と素子基板側の支持部材の金属膜1100とが接触して
いるのがわかる。この状態で、図28(D)に示すよう
に固定部材としての分離壁固定用金属部材15を貫通穴
16を介して素子基板側の金属膜1100上にボンディ
ングした。このボンディングには九州松下製のボールボ
ンディング装置を用いた。このボンディングの条件はス
テージ温度を50℃とし、US(超音波)パワーを65
とし、Bond Fを50とし、US−Timeを30
秒とした。
【0166】次に、図34に示すように、本実施例にお
いて得られた分離壁5を固定した素子基板1をTABフ
ィルム124が張り付けられたアルミベースプレート1
01にボンディングした。次に、アルミベースプレート
101に張り付けられたTABフィルム124のリード
126と素子基板1とをTABによって電気接続し、そ
の後は図10と同様に、天板8を貼り、天板部を押さえ
ばね107で押さえることにより所望の液体吐出ヘッド
を得ることができる。
【0167】本実施例における分離壁の形成材料、素子
基板側の固定部の膜構成、支持部材の形成材料および電
気接続部の構成については、表2中のNo.12に示し
た。
【0168】本実施例における形成材料や膜構成を変え
た他の実施例を表2中のNo.13〜19に示した。支
持部材の表面に金属膜を設けた各実施例においても、先
の実施例1〜4とほぼ同様に、分離壁と素子基板とを高
い接合強度で接合することが可能となる。
【0169】
【表2】
【0170】<吐出液体、発泡液体>先の実施例で説明
したように本発明においては、前述のような可動部材を
有する構成によって、従来の液体吐出ヘッドよりも高い
吐出力や吐出効率でしかも高速に液体を吐出することが
できる。本実施例の内、第1液流路中の液体と第2液流
路中の液体に同じ液体を用いる場合には、発熱体から加
えられる熱によって劣化せずに、また加熱によって発熱
体上に堆積物を生じにくく、熱によって気化、凝縮の可
逆的状態変化を行うことが可能であり、さらに液流路や
可動部材や分離壁等を劣化させない液体であれば種々の
液体を用いることができる。
【0171】このような液体の内、記録を行う上で用い
る液体(記録液体)としては従来のバブルジェット装置
で用いられていた組成のインクを用いることができる。
【0172】上述の実施例の方法によって製造され得ら
れた液体吐出ヘッドは、第1液流路中の液体と第2液流
路中の液体とを別液体とし、第2液流路中の液体の発泡
で生じた圧力によって第1液流路中の液体を吐出するこ
とができる。このため従来、熱を加えても発泡が十分に
行われにくく吐出力が不十分であったポリエチレングリ
コール等の高粘度の液体であっても、この液体を第1の
液流路に供給し、第2液流路中の液体に発泡が良好に行
われる液体(エタノール:水=4:6の混合液1〜2c
P程度等)を第2液流路に供給することで良好に吐出さ
せることができる。さらに、本発明の液体吐出ヘッドの
構造においては先の実施例で説明したような効果をも生
じさせるため、さらに高吐出効率、高吐出圧で高粘性液
体を吐出することができる。
【0173】また、加熱に弱い液体の場合においてもこ
の液体を第1の液流路に第1液流路中の液体として供給
し、第2液流路で熱的に変質しにくく良好に発泡を生じ
る液体を供給すれば、加熱に弱い液体に熱的な害を与え
ることなく、しかも上述のように高吐出効率、高吐出圧
で吐出することができる。
【0174】本発明の2流路構成のヘッドを用い、第1
液流路中の液体と第2液流路中の液体を別液体とした場
合には、第2液流路中の液体として前述のような性質の
液体を用いればよく、具体的には、メタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ヘキ
サン、n−ヘプタン、n−オクタン、トルエン、キシレ
ン、二塩化メチレン、トリクレン、フレオンTF、フレ
オンBF、エチルエーテル、ジオキサン、シクロヘキサ
ン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチル
ケトン、水等およびこれらの混合物が挙げられる。
【0175】第1液流路中の液体としては、発泡性の有
無、熱的性質に関係なく様々な液体を用いることができ
る。また、従来吐出が困難であった発泡性が低い液体、
熱によって変質、劣化しやすい液体や高粘度液体等であ
っても利用できる。
【0176】ただし、第1液流路中の液体の性質として
第1液流路中の液体自身、又は第2液流路中の液体との
反応によって、吐出や発泡また可動部材の動作等を妨げ
るような液体でないことが望まれる。
【0177】記録用の第1液流路中の液体としては、高
粘度インク等をも利用することができる。その他の第1
液流路中の液体としては、熱に弱い医薬品や香水等の液
体を利用することもできる。
【0178】本発明においては、第1液流路中の液体と
第2液流路中の液体の両方に用いることができる記録液
体として以下のような組成のインクを用いて記録を行っ
たが、吐出力の向上によってインクの吐出速度が高くな
ったため、液滴の着弾精度が向上し非常に良好な記録画
像を得ることができた。
【0179】 染料インク(粘度2cP)の組成 (C.I.フードブラック2)染料 3重量% ジエチレングリコール 10重量% チオジグリコール 5重量% エタノール 5重量% 水 77重量% また、第2液流路中の液体と第1液流路中の液体に以下
で示すような組成の液体を組み合わせて吐出させて記録
を行った。その結果、従来のヘッドでは吐出が困難であ
った十数cPの粘度の液体はもちろん150cPという
非常に高い粘度の液体でさえも良好に吐出でき、高画質
な記録物を得ることができた。
【0180】 発泡液1の組成 エタノール 40重量% 水 60重量% 発泡液2の組成 水 100重量% 発泡液3の組成 イソプロピルアルコール 10重量% 水 90重量% 吐出液1顔料インク(粘度15cP)の組成 カーボンブラック 5重量% スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体 1重量% (酸価140、重量平均分子量8000) モノエタノールアミン 0.25重量% グリセリン 69重量% チオジグリコール 5重量% エタノール 3重量% 水 16.75重量% 吐出液2(粘度55cP)の組成 ポリエチレングリコール200 100重量% 吐出液3(粘度150cP)の組成 ポリエチレングリコール600 100重量% ところで、前述したような従来吐出されにくいとされて
いた液体の場合には、吐出速度が低いために、吐出方向
性のバラツキが助長され記録紙上のドットの着弾精度が
悪く、また吐出不安定による吐出量のバラツキが生じこ
れらのことで、高品位画像が得にくかった。しかし、上
述の実施例の構成においては、気泡の発生を第2液流路
中の液体を用いることで充分に、しかも安定して行うこ
とができる。このことで、液滴の着弾精度向上とインク
吐出量の安定化を図ることができ記録画像品位を著しく
向上することができた。
【0181】<液体吐出ヘッドカートリッジ>次に、上
記実施形態例に係る液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出
ヘッドカートリッジを概略説明する。
【0182】図35は、前述した液体吐出ヘッドを含む
液体吐出ヘッドカートリッジの模式的分解斜視図であ
り、液体吐出ヘッドカートリッジは、主に液体吐出ヘッ
ド部200と液体容器80とから概略構成されている。
【0183】液体吐出ヘッド部200は、素子基板1、
分離壁30、溝付部材50、押さえばね78、液体供給
部材90、支持体70等から成っている。素子基板1に
は、前述のように第2液流路中の液体(以下、「発泡用
の液体」とも称す。)に熱を与えるための発熱抵抗体
が、複数個、列状に設けられており、また、この発熱抵
抗体を選択的に駆動するための機能素子が複数設けられ
ている。この素子基板1と可動壁を持つ前述の分離壁3
0との間に第2液流路が形成され発泡用の液体が流通す
る。この分離壁30と溝付天板50との接合によって、
吐出用の液体が流通する第1液流路(不図示)が形成さ
れる。
【0184】押さえばね78は、溝付部材50に素子基
板1方向への付勢力を作用させる部材であり、この付勢
力により素子基板1、分離壁30、溝付部材50と、後
述する支持体70とを良好に一体化させている。
【0185】支持体70は、素子基板1等を支持するた
めのものであり、この支持体70上にはさらに素子基板
1に接続し電気信号を供給するための回路基板71や、
装置側と接続することで装置側と電気信号のやりとりを
行うためのコンタクトパッド72が配置されている。
【0186】液体容器90は、液体吐出ヘッドに供給さ
れる、インク等の吐出用の液体たる第1液流路中の液体
と気泡を発生させるための発泡用の液体たる第2液流路
中の液体とを内部に区分収容している。液体容器90の
外側には、液体吐出ヘッドと液体容器との接続を行う接
続部材を配置するための位置決め部94と接続部を固定
するための固定軸95が設けられている。吐出用の液体
の供給は、液体容器の吐出用の液体供給路92から接続
部材の供給路84を介して液体供給部材80の吐出用の
液体供給路81に供給され、各部材の吐出用の液体供給
路83,71,21を介して第1の共通液室に供給され
る。発泡用の液体も同様に、液体容器の供給路93から
接続部材の供給路を介して液体供給部材80の発泡用の
液体供給路82に供給され、各部材の発泡用の液体供給
路84,71,22を介して第2液室に供給される。
【0187】以上の液体吐出ヘッドカートリッジにおい
ては、発泡用の液体と吐出用の液体が異なる液体である
場合も、供給を行いうる供給形態および液体容器で説明
したが、吐出用の液体と発泡用の液体とが同じである場
合には、発泡用の液体と吐出用の液体の供給経路および
容器を分けなくてもよい。
【0188】なお、この液体容器には、各液体の消費後
に液体を再充填して使用してもよい。このためには液体
容器に液体注入口を設けておくことが望ましい。又、液
体吐出ヘッドと液体容器とは一体であってもよく、分離
可能としてもよい。
【0189】<液体吐出装置>図36は、前述の液体吐
出ヘッドを搭載した液体吐出装置の概略構成を示してい
る。本実施例では特に吐出用の液体としてインクを用い
たインク吐出記録装置を用いて説明する液体吐出装置の
キャリッジHCは、リードスクリュー85に沿って往復
移動可能であり、インクを収容する液体タンク部90と
液体吐出ヘッド部200とが着脱可能なヘッドカートリ
ッジを搭載しており、被記録媒体搬送手段で搬送される
記録紙等の被記録媒体150の幅方向に往復移動する。
【0190】不図示の駆動信号供給手段からキャリッジ
上の液体吐出手段に駆動信号が供給されると、この信号
に応じて液体吐出ヘッドから被記録媒体に対して記録液
体が吐出される。図36において符号86は液体吐出ヘ
ッドの前面をキャップするキャップ部材であり、87は
このキャップ86内を吸引する吸引手段である。液体吐
出ヘッドは、これらの手段により吸引回復処理を受ける
ことで、目詰まり等が防止される。
【0191】また、本実施例の液体吐出装置において
は、被記録媒体搬送手段とキャリッジを駆動するための
駆動源としてのモータ111、駆動源からの動力をキャ
リッジに伝えるためのギア112、113、キャリッジ
軸115等を有している。この記録装置及びこの記録装
置で行う液体吐出方法によって、各種の被記録媒体に対
して液体を吐出することで良好な画像の記録物を得るこ
とができた。
【0192】図37は、本発明の液体吐出方法および液
体吐出ヘッドを適用したインク吐出記録を動作させるた
めの装置全体のブロック図である。
【0193】記録装置は、ホストコンピュータ300よ
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装
置内部の入力インタフェイス301に一時保存されると
同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、ヘ
ッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU302に入力され
る。CPU302はROM303に保存されている制御
プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデ
ータをRAM304等の周辺ユニットを用いて処理し、
印字するデータ(画像データ)に変換する。
【0194】またCPU302は前記画像データを記録
用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに同
期して記録用紙および記録ヘッドを移動する駆動用モー
タを駆動するための駆動データを作る。画像データおよ
びモータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307と、
モータドライバ305を介し、ヘッド200および駆動
モータ306に伝達され、それぞれ制御されたタイミン
グで駆動され画像を形成する。
【0195】上述のような記録装置に適用でき、インク
等の液体の付与が行われる被記録媒体としては、各種の
紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用
いられるプラスチック材、布帛、アルミニュウムや銅等
の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板
等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ
等の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0196】また上述の記録装置として、各種の紙やO
HPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパ
クトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチ
ック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、
皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木
材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミック
ス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して
記録を行う記録装置、又布帛に記録を行う捺染装置等を
も含むものである。
【0197】またこれらの液体吐出装置に用いる吐出用
の液体としては、夫々の被記録媒体や記録条件に合わせ
た液体を用いればよい。
【0198】<記録システム>次に、本発明の液体吐出
ヘッドを記録ヘッドとして用い被記録媒体に対して記録
を行う、インクジェット記録システムの一例を説明す
る。
【0199】図38は、前述した本発明の液体吐出ヘッ
ド201を用いたインクジェット記録システムの構成を
説明するための模式図である。本実施例における液体吐
出ヘッドは、被記録媒体150の記録可能幅に対応した
長さに360dpiの間隔で吐出口を複数配したフルラ
イン型のヘッドであり、イエロー(Y),マゼンタ
(M),シアン(C),ブラック(Bk)の4色に対応
した4つのヘッドをホルダ202によりX方向に所定の
間隔を持って互いに平行に固定支持されている。
【0200】これらのヘッドに対してそれぞれ駆動信号
供給手段を構成するヘッドドライバ307から信号が供
給され、この信号に基づいて各ヘッドの駆動が成され
る。
【0201】各ヘッドには、吐出用の液体としてY,
M,C,Bkの4色のインクがそれぞれ204a〜20
4dのインク容器から供給されている。なお、符号20
4eは発泡用の液体が蓄えられた発泡用の液体容器であ
り、この容器から各ヘッドに発泡用の液体が供給される
構成になっている。
【0202】また、各ヘッドの下方には、内部にスポン
ジ等のインク吸収部材が配されたヘッドキャップ203
a〜203dが設けられており、非記録時に各ヘッドの
吐出口を覆うことでヘッドの保守を成すことができる。
【0203】符号206は、先の各実施例で説明したよ
うな各種、非記録媒体を搬送するための搬送手段を構成
する搬送ベルトである。搬送ベルト206は、各種ロー
ラにより所定の経路に引き回されており、モータドライ
バ305に接続された駆動用ローラにより駆動される。
【0204】本実施例のインクジェット記録システムに
おいては、記録を行う前後に被記録媒体に対して各種の
処理を行う前処理装置251および後処理装置252を
それぞれ被記録媒体搬送経路の上流と下流に設けてい
る。
【0205】前処理と後処理は、記録を行う被記録媒体
の種類やインクの種類に応じて、その処理内容が異なる
が、例えば、金属、プラスチック、セラミックス等の被
記録媒体に対しては、前処理として、紫外線とオゾンの
照射を行い、その表面を活性化することでインクの付着
性の向上を図ることができる。また、プラスチック等の
静電気を生じやすい被記録媒体においては、静電気によ
ってその表面にゴミが付着しやすく、このゴミによって
良好な記録が妨げられる場合がある。このため、前処理
としてイオナイザ装置を用い被記録媒体の静電気を除去
することで、被記録媒体からごみの除去を行うとよい。
また、被記録媒体として布帛を用いる場合には、滲み防
止、先着率の向上等の観点から布帛にアルカリ性物質、
水溶性物質、合成高分子、水溶性金属塩、尿素およびチ
オ尿素から選択される物質を付与する処理を前処理とし
て行えばよい。前処理としては、これらに限らず、被記
録媒体の温度を記録に適切な温度にする処理等であって
もよい。
【0206】一方、後処理は、インクが付与された被記
録媒体に対して熱処理、紫外線照射等によるインクの定
着を促進する定着処理や、前処理で付与し未反応で残っ
た処理剤を洗浄する処理等を行うものである。
【0207】なお、本実施例では、ヘッドとしてフルラ
インヘッドを用いて説明したが、これに限らず、前述し
たような小型のヘッドを被記録媒体の幅方向に搬送して
記録を行う形態のものであってもよい。
【0208】本発明は、上述の説明において示された液
体吐出ヘッドは、図6に示したような発熱体2の面に沿
う方向に液流路の一端に吐出口を有する、いわゆるエッ
ジシュータタイプのヘッドに限定されることなく、例え
ば図30に示す発熱体2の面に対向する側に吐出口を有
する、いわゆるサイドシュータタイプのヘッドにも適用
可能である。すなわち、サイドシュータタイプの液体吐
出ヘッドも、例えば本実施形態に示した製造工程を経て
作製することができる。
【0209】図39に示したサイドシュータタイプの液
体吐出ヘッドは、各吐出口ごとに、液体に気泡を発生さ
せるための熱エネルギを与える発熱体2が設けられた基
板1上に、発熱体が底面に配された第2液流路4が形成
され、その上方に吐出口9に直接連通した第1液流路3
が形成され、第1液流路3と第2液流路4とは、金属等
の弾性を有する材料で構成された分離壁5が設けられ、
第1液流路3内の液体と第2液流路4内の液体とが区分
されている点で、上述のエッジシュータタイプの液体吐
出ヘッドと同様である。
【0210】サイドシュータタイプの液体吐出ヘッド
は、上記第1液流路3上に配されたオリフィスプレート
14のうち、発熱体2の直上の部分に吐出口9が設けら
れている点に特徴がある。この吐出口9と発熱体2との
間の分離壁5には、観音開きに開口する一対の可動部6
が設けられている。すなわち、両可動部6は片持梁形状
のもので、両方の自由端同士は、非吐出時においては、
吐出口9の中央部分の直下に位置するスリットSにより
僅かに離間して対向している。吐出時においては、両可
動部6は、図27中の矢印で示すように、気泡発生する
領域Bにおける液体の発泡によって第1液流路3側に開
口し、前記液体の収縮によって閉口する。この領域Aに
は、後述の吐出用の液体タンクから吐出される液体がリ
フィルされて吐出可能状態となり、次の液体の発泡に備
えることができる。
【0211】第1液流路3は、他の吐出口9の第2液流
路と共に、第2の共通液室11を介して吐出用の液体を
貯留するタンク(図示略)に連絡しており、第2液流路
4も、他の吐出口9の第1液流路と共に、第1の共通液
室10を介して発泡するための液体を貯留するタンク
(図示略)に連絡している。
【0212】このような構成を有するサイドシュータタ
イプの液体吐出ヘッドにおいても、エッジシュータタイ
プのヘッドとほぼ同様に、吐出される液体のリフィルを
向上させつつ、高吐出エネルギー効率、高吐出圧で液体
を吐出することができるという優れた効果を得ることが
できる。
【0213】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
可動可能な状態の分離壁を有した吐出効率が良好な新規
な吐出ヘッドにおいて、分離壁固定用の支持部材、第2
液流路を形成するための部材、分離壁および外部配線部
の材質について、前述のような構成をとることによって
熱や超音波などにより非常に短時間で、かつ、安定的な
分離壁の固定が可能なる。従って、従来の接着剤による
固定での種々の問題、例えば硬化収縮を伴う接着剤ある
いは紫外線硬化樹脂のように未硬化部の回り込みを伴う
接着剤を接合に用いる必要がないため、かかる接着剤の
インク中への溶解等を回避することができることなどか
ら、ラインのタクトタイムおよび歩留まりが向上し、結
果的に非常に安価な分離壁固定が可能となったため、製
品のコストダウンにも効果がある。
【0214】また、本発明によれば、素子基板側の支持
部材形成部の少なくとも表面に金属膜を形成することに
より、支持部材自体を金属材料から形成しなくても、金
属製の分離壁を素子基板上に強固に接合することが可能
となる。
【0215】さらに、本発明によれば、素子基板側の固
定部とその金属膜との間に密着層を設ける場合に、その
密着層と素子基板に形成される機能素子用の保護膜との
間で膜形成材料を共通化できるため、同一工程での膜形
成も可能となり、工程数の増加やコスト増大を回避する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(D)は本発明に適用可能な新規な吐
出原理を達成する液体吐出ヘッドの一例を示す模式図で
ある。
【図2】図1(A)〜(D)の液体吐出ヘッドの部分破
断断面図である。
【図3】従来の吐出原理における気泡からの圧力伝搬の
様子を示す模式図である。
【図4】本発明に適用可能な新規な吐出原理における気
泡からの圧力伝搬の様子を示す模式図である。
【図5】本発明の液体吐出ヘッドの一実施形態における
主要部の構成を説明するための模式的分解図である。
【図6】図5に示した液体吐出ヘッドの主要部である吐
出口及び液流液流路分を示す断面図である。
【図7】図5に示した液体吐出ヘッドの要部を示す分解
模式図である。
【図8】(A)〜(C)は分離壁のスリットの形状を示
す模式的平面図である。
【図9】(A)〜(D)は電鋳もしくはレーザー照射に
より作製された可動部材のスリット部分の拡大断面図で
ある。
【図10】本発明の液体吐出ヘッドの要部を示す分解斜
視図である。
【図11】(A)〜(E)は本発明の液体吐出ヘッドの
製造方法の第1の実施形態を説明するための模式的斜視
図である。
【図12】(A)および(B)は図11に示した液体吐
出ヘッドの製造工程中における支持部材の状態を示す断
面図である。
【図13】(A)および(B)は図11に示した液体吐
出ヘッドの製造方法の別の形態を説明するための模式的
斜視図である。
【図14】(A)および(B)は図13に示した液体吐
出ヘッドの製造工程中における支持部材の状態を示す断
面図である。
【図15】(A)〜(C)は、電鋳を行うことにより、
分離壁に可動部を一体に作成する一例として、分離壁作
成工程の模式的断面図である。
【図16】(A)〜(E)は本発明の液体吐出ヘッドの
製造方法の第2の実施形態を説明するための模式的斜視
図である。
【図17】図16に示した液体吐出ヘッドの製造工程中
における支持部材の状態を示す断面図である。
【図18】(A)および(B)は図16に示した液体吐
出ヘッドの製造方法の別の形態を説明するための模式的
斜視図である。
【図19】(A)および(B)は図18に示した液体吐
出ヘッドの製造工程中における支持部材の状態を示す断
面図である。
【図20】(A)〜(E)は本発明の液体吐出ヘッドの
製造方法の第3の実施形態を説明するための模式的斜視
図である。
【図21】(A)および(B)は図14に示した液体吐
出ヘッドの製造工程中における支持部材の状態を示す断
面図である。
【図22】(A)および(B)は図14に示した液体吐
出ヘッドの製造方法の別の形態を説明するための模式的
斜視図である。
【図23】(A)および(B)は図22に示した液体吐
出ヘッドの製造工程中における支持部材の状態を示す断
面図である。
【図24】(A)〜(E)は本発明の液体吐出ヘッドの
製造方法の第4の実施形態を説明するための模式的斜視
図である。
【図25】図24に示した液体吐出ヘッドの製造工程中
における支持部材の状態を示す断面図である。
【図26】(A)および(B)は図24に示した液体吐
出ヘッドの製造方法の別の形態を説明するための模式的
斜視図である。
【図27】(A)および(B)は図26に示した液体吐
出ヘッドの製造工程中における支持部材の状態を示す断
面図である。
【図28】(A)〜(D)は本発明の液体吐出ヘッドの
製造方法の第5の実施形態を説明するための模式的斜視
図である。
【図29】図28(B)のB−B線に沿う断面図であ
る。
【図30】図28(B)のA−A線に沿う断面図であ
る。
【図31】図28(B)のC−C線に沿う断面図であ
る。
【図32】図28(C)のD−D線に沿う断面図であ
る。
【図33】図28(D)のE−E線に沿う断面図であ
る。
【図34】図10に示した液体吐出ヘッドと構成の異な
る液体吐出ヘッドの要部を示す分解斜視図である。
【図35】本発明の液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出
ヘッドカートリッジの模式的分解斜視図である。
【図36】本発明の液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出
装置の模式図である。
【図37】本発明に適用可能な液体吐出方法及び液体吐
出ヘッドを適用したインク吐出記録を動作させるための
装置全体のブロック図である。
【図38】本発明の液体吐出ヘッドを用いたインクジェ
ット記録システムの構成を説明するための模式的斜視図
である。
【図39】本発明の液体吐出ヘッドのうち、サイドシュ
ータタイプのヘッドの主要構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 素子基板 2 電気熱変換用素子 3 第1液流路 4 第2液流路 5 分離壁 6 可動部 8 オリフィスプレート 9 吐出口 10 第1の共通液室 11 第2の共通液室 12 溝付き天板 13 流路壁 14 支持部材 15 分離壁固定用金属部材 16 分離壁の貫通穴 17 外部配線パッド 18 外部配線パッド上のAuバンプ 19 外部配線パッド上のメッキバンプ 20 第2液流路を形成するための第2の部材 101 アルミベースプレート 102 ヒータボード 103 アルミワイヤー 104 PCBプリント基板 105 天板(吐出口、溝付) 107 押さえばね 111 SUS基板 112 レジスト 113 ニッケルメッキ1層目(第1の金属層) 115 ニッケル板(分離壁) 117 可動部 212 レジストパターン 213 固定用パターン 214 開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樫野 俊雄 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体が吐出される吐出口と、前記液体に
    熱エネルギを付与する発熱体と、前記吐出口に連通する
    第1液流路と該第1液流路の下方であって底面に該発熱
    体が配されている第2液流路とからなる液流路と、前記
    液流路を前記第1液流路と第2液流路とに分ける金属製
    の分離壁と、前記分離壁の前記発熱体上方部分に設けら
    れ前記熱エネルギによって液体中に発生する気泡に応じ
    て第1液流路側に変位可能な可動部材と、を有し、前記
    気泡発生時に第1液流路と第2液流路とが連通されてお
    り前記圧力は前記変位した可動部材にて前記吐出口側に
    向けられることにより前記液滴を吐出する液体吐出ヘッ
    ドの製造方法であって、 前記発熱体を備える基板を用意する工程と、 該基板上に前記第2液流路の側壁を形成する工程と、 前記基板上に少なくとも上面が金属である前記分離壁固
    定用の支持部材を形成する工程と、 前記分離壁を前記第2液流路の側壁および前記支持部材
    上に載置するとともに前記分離壁と前記支持部材との接
    合個所に超音波を付与して前記分離壁を前記支持部材を
    介して前記基板に接合する工程と、を包含することを特
    徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記分離壁は開口部を有しており、前記
    分離壁を前記支持部材を介して前記基板に接合する工程
    は、前記分離壁と前記支持部材とを接合した状態で該開
    口部に分離壁固定用の金属部材を超音波を付与しながら
    設けることにより行われることを特徴とする請求項1記
    載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記分離壁と前記支持部材との接合個所
    に超音波を付与する際に同時に熱を付与することを特徴
    とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッドの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記支持部材は金属からなり、前記支持
    部材と前記第2液流路の側壁とが同一材料で形成される
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの項に記
    載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記支持部材と前記第2液流路の側壁と
    が同一工程で形成されることを特徴とする請求項4記載
    の液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記支持部材および前記第2液流路の側
    壁がめっきにより形成されることを特徴とする請求項5
    記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記基板は前記液体吐出ヘッドが搭載さ
    れる液体吐出装置と前記液体吐出ヘッドとを電気的に接
    続するための外部配線パッドをさらに有することを特徴
    とする請求項1記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記支持部材は金属からなり、前記外部
    配線パッドと同時に形成されることを特徴とする請求項
    7記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記支持部材は樹脂の表面に金属膜を設
    けたものであることを特徴とする請求項1記載の液体吐
    出ヘッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記基板は支持部材形成部に金属製の
    密着層を有することを特徴とする請求項1記載の液体吐
    出ヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記密着層がタンタルもしくはクロム
    からなることを特徴とする請求項10記載の液体吐出ヘ
    ッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記分離壁がニッケル、金もしくは金
    めっきを施したニッケルのいずれかからなることを特徴
    とする請求項1〜11のいずれかの項に記載の液体吐出
    ヘッドの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記第2液流路の側壁が感光性樹脂も
    しくは無機絶縁物で形成されていることを特徴とする請
    求項1〜12のいずれかの項に記載の液体吐出ヘッドの
    製造方法。
  14. 【請求項14】 液体が吐出される吐出口と、前記液体
    に熱エネルギを付与する発熱体と、前記吐出口に連通す
    る第1液流路と該第1液流路の下方であって底面に該発
    熱体が配されている第2液流路とからなる液流路と、前
    記液流路を前記第1液流路と第2液流路とに分ける金属
    製の分離壁と、前記分離壁の前記発熱体上方部分に設け
    られ前記熱エネルギによって液体中に発生する気泡に応
    じて第1液流路側に変位可能な可動部材と、を有し、前
    記気泡発生時に第1液流路と第2液流路とが連通されて
    おり前記圧力は前記変位した可動部材にて前記吐出口側
    に向けられることにより前記液滴を吐出する液体吐出ヘ
    ッドの製造方法であって、 前記発熱体を備える基板を
    用意する工程と、 該基板上に前記第2液流路の側壁を形成する工程と、 前記基板上に少なくとも上面が金属である前記分離壁固
    定用の支持部材を形成する工程と、 前記分離壁を前記第2液流路の側壁および前記支持部材
    上に載置するとともに前記分離壁と前記支持部材との接
    合個所に熱を付与して前記分離壁を前記支持部材を介し
    て前記基板に接合する工程と、を包含することを特徴と
    する液体吐出ヘッドの製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかの項に記載
    の液体吐出ヘッドの製造方法により得られたことを特徴
    とする液体吐出ヘッド。
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