JP2002143263A - 入浴介護用ベッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 介護者が高齢者であっても、被介護者の入浴
介護を比較的簡単に行うことができる。 【解決手段】 ベッド本体１は上部の両側長手方向に沿
って第１および第２の一対の回転可能な回転軸３および
４を有し、内側に浴槽１３を配置し得る。第１および第
２の回転軸３および４に床用網状体７の両側部を繰り出
し可能に巻き取る。可逆モータ８、９により第１および
第２の回転軸３および４を所望の方向に回転させること
により、床用網状体７を第１、第２の回転軸３、４間で
緊張させ、若しくは第１の回転軸３側と第２の回転軸４
側のいずれかの方向へ移動させ、若しくは第１、第２の
回転軸３、４間で下方へ弛ませて浴槽１３の湯中に浸漬
することができる。床用網状体７上に被介護者が就寝し
得るエアマット１１と敷き布団１２とを抜き止り可能に
載せる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、被介護者を就寝状
態から別の場所へ移すことなく入浴介護することができ
るようにした入浴介護用ベッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、被介護者を入浴介護するには、介
護者が被介護者をベッドからこのベッドに隣接する浴槽
に移している。そして、被介護者を入浴介護した後、介
護者が被介護者をベッドに移している。

【０００３】従来、浴槽付き介護用ベッドも提供されて
いる。この浴槽付き介護用ベッドについて概略説明する
と、床板の下側に浴槽が設けられ、床板における背側が
傾斜され、足側がほぼ水平に下降して浴槽内に沈められ
るように構成されている。そして、被介護者が床板上に
敷いたマット上で就寝することができ、入浴に際し、介
護者が被介護者を左右に寝返りさせることにより、マッ
トを抜き取り、床板を前記のように作動させて被介護者
を入浴介護することができる。入浴後、床板を水平に復
帰させ、介護者が被介護者を寝返りさせ、床板と被介護
者との間にマットを挿入するようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来例のうち、前者の方式では、被介護者の場所的移動を
必要とするため、複数の介護者を必要とするばかりでな
く、介護者の体力的負担が大きく、特に、高齢者による
介護には不向きである。一方、後者の浴槽付き介護用ベ
ッドでは、被介護者の場所的移動を必要としないため、
前記方式ほど介護者の体力的負担は要求されないが、被
介護者を寝返りさせてマットを抜き取ったり、挿入した
りする作業については依然として相当な体力的負担が要
求され、特に、高齢者による介護には限界がある。

【０００５】本発明の目的は、前記のような従来の問題
を解決しようとするものであって、被介護者が身体を横
たえている状態から場所的移動を要することなく入浴介
護することができ、しかも、比較的簡単に被介護者を寝
返りさせることができてクッション性敷材を抜き取った
り、挿入したりする作業を比較的簡単に行うことがで
き、したがって、特に、高齢者であっても入浴介護する
ことができるようにした入浴介護用ベッドを提供しよう
とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明の入浴介護用ベッドは、上部の両側長手方向に
沿って第１および第２の一対の回転可能な回転軸を有
し、これら回転軸間の下部に浴槽を配置し得るベッド本
体と、前記第１および第２の回転軸に両側部が繰り出し
可能に巻き取られた床用網状体と、前記第１および第２
の回転軸を所望の方向に回転させることにより、前記床
用網状体を前記第１および第２の回転軸間で緊張させ、
若しくは前記第１の回転軸側と前記第２の回転軸側のい
ずれかの方向へ移動させ、若しくは前記第１と第２の回
転軸間で前記浴槽の湯中に浸漬する状態まで弛ませるこ
とができる駆動手段と、前記床用網状体上に取外し可能
に載せられ、被介護者が就寝し得るクッション性敷材と
を備えたものである。

【０００７】前記構成において、前記駆動手段が、前記
第１および第２の回転軸をそれぞれ任意の方向に回転し
得る減速機付きの可逆モータと、これらの可逆モータの
駆動を制御する制御部とを備えることができ、また、前
記クッション性敷材が、少なくとも前記床用網状体の上
に載せられる給排気可能なエアマットを備えることがで
きる。

【０００８】前記のように構成された本発明によれば、
駆動手段により第１および第２の回転軸を互いに逆方向
に回転させて、床用網状体を第１、第２の回転軸間で緊
張させた状態に保持することにより就寝用のベッドとし
て使用することができ、第１および第２の回転軸を前記
とは逆方向で互いに逆方向に回転させ、床用網状体を第
１、第２の回転軸間で少し弛めた状態で第１および第２
の回転軸を同方向へ回転させて、床用網状体およびその
上のクッション性敷材および被介護者を移動させること
により、被介護者を比較的簡単に支えるだけで寝返りす
るように起こしてクッション性敷材を床用網状体と被介
護者との間から抜き取ることができ、抜き取り後、第１
および第２の回転軸を前記とは逆で同方向へ回転させて
床用網状体および被介護者を逆方向へ移動させることに
より、被介護者を比較的簡単に支えるだけで元に戻すこ
とができ、この状態から第１および第２の回転軸を互い
に逆方向に回転させて、床用網状体を第１、第２の回転
軸間で更に弛めることにより、被介護者の体重により床
用網状体の中間部および被介護者を下降させ、その下方
の浴槽内の湯中に降ろし、被介護者の身体を洗うことが
できる。入浴後、前記とは逆の動作により被介護者をク
ッション性敷材上に横たえることができる。このよう
に、被介護者が身体を横たえている状態から場所的移動
を要することなく入浴介護することができ、しかも、比
較的簡単に被介護者を寝返りさせるように起こすことが
できてクッション性敷材を抜き取ったり、挿入したりす
る作業を比較的簡単に行うことができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図面を参照しながら説明する。図１、図２、図３はそ
れぞれ本発明の一実施形態における入浴介護用ベッドを
示す平面図、正面図、側面図、図４（ａ）〜（ｆ）は同
入浴介護用ベッドにおいて被介護者を入浴介護するため
にクッション性敷材を抜き止る動作の説明図、図５
（ａ）〜（ｆ）は同入浴介護用ベッドにおいて被介護者
を入浴介護して元の状態に戻す動作の説明図である。

【００１０】図１ないし図３に示すように、べッド本体
１は、その一例として、一対の支持台２と一対の回転軸
３、４等から構成される。各支持台２は一対の脚部５の
上端部間に梁６が連結されて門型に形成され、軽量化が
図られている。これら支持台２が対向して配置され、そ
の上端両側部間にベッド本体１の両側長手方向となるよ
うに一対の円筒状の回転軸３、４が配置され、支持台２
に回転可能となるように連結されている。このベッド本
体１は必要に応じて補強することができる。両回転軸
３、４には合成繊維等から成る床用網状体７の両側部が
繰り出し可能に巻き取られ、床用網状体７が回転軸３、
４間に展張されている。各回転軸３、４は一方の支持台
２に支持された減速機付きの可逆モータ８、９により任
意の方向に回転され、可逆モータ８、９は制御部１０か
ら無線送信され、若しくはケーブル（図示省略）を介し
て送信される制御信号により駆動制御されるようになっ
ている。

【００１１】そして、可逆モータ８、９の駆動により回
転軸３、４を互いに逆方向へ回転させることにより、床
用網状体７を回転軸３、４間で緊張状態に展張させ（図
４（ａ）、（ｂ）、図５（ｅ）、（ｆ）参照）、若しく
は回転軸３、４を同方向に回転させることにより、床用
網状体７を回転軸４側と回転軸３側のいずれかの方向へ
移動（走行）させ（図４（ｄ）、（ｆ）、図５（ｅ）参
照）、若しくは回転軸３、４を前記とは逆で互いに逆方
向に回転させることにより、床用網状体７を回転軸３、
４間で弛めることができるようになっている（図４
（ｃ）〜（ｆ）、図５（ａ）〜（ｄ）参照）。

【００１２】床用網状体７上にはクッション性敷材とし
てエアマット１１および敷き布団１２が順次載せられて
いる。エアマット１１は空気を給排し得るように構成さ
れている。ベッド本体１の内部には床用網状体７の下側
において浴槽１３が収められるようになっている。この
浴槽１３はその下部の四隅部に車輪１４を備え、ベッド
本体１に対して容易に出し入れ可能とすることにより、
浴槽１３内に湯１５（図５（ａ）〜（ｃ）参照）を張る
作業を容易に行うことができる。

【００１３】以上の構成において、以下、その動作につ
いて説明する。今、図４（ａ）に示すように、被介護者
１６が布団１２上で仰向きに横たわった状態で入浴介護
するものとする。まず、同図（ｂ）に示すように、エア
マット１１から空気を抜く。次に、同図（ｃ）に示すよ
うに、可逆モータ８、９の駆動により回転軸３を時計方
向に、回転軸４を逆の反時計方向にそれぞれ少しずつ回
転させ、床用網状体７に回転軸３、４間で少し撓みを持
たせて被介護者１６が寝返りしやすく（起こしやすく）
する。

【００１４】次に、同図（ｄ）に示すように、例えば、
回転軸３を時計方向に回転させるとともに、回転軸４を
同じ時計方向に回転させることにより、床用網状体７を
回転軸３側から少し繰り出すとともに、回転軸４側に少
し巻き取り、床用網状体７を回転軸３側から回転軸４側
へ少し移動（走行）させる。これに伴い、エアマット１
１および敷き布団１２も回転軸３側から回転軸４側へ少
し移動してそれらの側部が回転軸４および床用網状体７
から側方へ突出する。これとともに、被介護者１６も回
転軸４側へ移動して来るので、介護者（図示省略）が被
介護者１６を回転軸４側で支えることにより、被介護者
１６をその移動を利用して比較的簡単に寝返りするよう
に起こし、エアマット１１、敷き布団１２から外すよう
にすることができる。このとき、被介護者１６が回転軸
３側へ倒れてうつ伏せ状態にならないように、被介護者
１６の胸側に枕等のクッション性を有する補助具１７を
当てる。次に、同図（ｅ）に示すように、回転軸３、４
の回転を停止させ、エアマット１１および敷き布団１２
を床用網状体７と被介護者１６との間から抜き取る。こ
のとき、被介護者１６を寝返り状態に起こしているの
で、エアマット１１および敷き布団１２を床用網状体７
と被介護者１６との間から比較的簡単に抜き取ることが
できる。

【００１５】次に、同図（ｆ）に示すように、回転軸３
を反時計方向に、回転軸４を同じ反時計方向にそれぞれ
少しずつ回転させ、床用網状体７を回転軸４側から少し
繰り出すとともに、回転軸３側に少し巻き取り、床用網
状体７を元の状態に戻し、被介護者１６を仰向きの状態
に戻すとともに、補助具１７を除去する。このとき、必
要に応じ、被介護者１６を回転軸３側から少し押すこと
により、簡単に仰向きの状態に戻すことができる。これ
らのうちのいずれかの段階で介護者が被介護者１６が着
用しているパジャマ等を脱がす。

【００１６】次に、図５（ａ）に示すように、回転軸３
を時計方向へ回転させ、回転軸４を逆の反時計方向に回
転させることにより、回転軸３、４から床用網状体７を
繰り出し、被介護者１６をその体重により下降させ、浴
槽１３の湯１５中に降ろし、更に、図５（ｂ）に示すよ
うに、床用網状体７を繰り出して緩める。このとき、被
介護者１６の頭部においては、その下側にクッション性
と防水性を有する枕等の当て具（図示省略）を当てて、
湯１５の上方に出るようにする。この状態で介護者が被
介護者１６を洗うなどにより入浴介護する。次に、同図
（ｃ）に示すように、回転軸３を反時計方向に、回転軸
４を逆の時計方向にそれぞれ回転させて床用網状体７を
巻き取ることにより、床用網状体７を回転軸３、４間で
少し弛んだ状態に展張させ、被介護者１６を浴槽１３の
湯１５から出すことができる。この状態で介護者が被介
護者１６の身体を拭き、パジャマ等を着せる。このと
き、必要に応じて床用網状体７を乾燥させる。

【００１７】次に、同図（ｄ）に示すように、介護者が
被介護者１６を少し起こし、エアマット１１と敷き布団
１２の側端部を床用網状体７と被介護者１６との間に挿
入し、被介護者１６が回転軸４側へ倒れてうつ伏せにな
らないように、被介護者１６の側部に前記と同様の補助
具１７を当てる。次に、同図（ｅ）に示すように、回転
軸３を反時計方向に、回転軸４を同じ反時計方向にそれ
ぞれ少しずつ回転させ、床用網状体７を回転軸４側から
回転軸３側へ少し移動（走行）させる。これに伴い、エ
アマット１１および敷き布団１２を回転軸３、４間で床
用網状体７に位置するように移動させる。これととも
に、被介護者１６も回転軸３側へ移動してくるので、介
護者が被介護者１６を回転軸３側で支えるとともに、補
助具１７により被介護者１６がうつ伏せにならないよう
に支えることにより、被介護者１６をその移動を利用し
て比較的簡単に寝返りするように起こし、エアマット１
１および敷き布団１２を被介護者１６の下側に滑り込ま
せて挿入することができる。次に、同図（ｆ）に示すよ
うに、介護者が被介護者１６を仰向けに倒すとともに、
補助具１７を除去し、エアマット１１に空気を供給す
る。更に、介護者が被介護者１６に掛け布団（図示省
略）を掛けることにより、入浴介護を終了する。

【００１８】前記のような回転軸３、４の回転、停止に
ついては制御部１０の制御により行うが、この制御部１
０を足で操作することができ、しかも、任意の場所に配
置することができるようにしておくことにより、一人の
介護者で被介護者１６の入浴介護を行うこともできる。

【００１９】なお、前記実施形態においては、回転軸
３、４の駆動手段として、減速機付き可逆モータ８、９
を用いているが、このほか、種々の構成、例えば、歯車
機構等を用い、手動により操作することもできる。ま
た、床用網状体７は回転軸３、４に対して取外し可能と
して洗浄を容易に行うようにすることができる。更に、
クッション性敷材は前記実施形態に限定されるものでは
なく、就寝に適し、抜き取り、挿入作業に適するもので
あればよい。このほか、本発明は、その基本的技術思想
を逸脱しない範囲で種々設計変更することができる。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、駆
動手段により第１および第２の回転軸を互いに逆方向に
回転させて、床用網状体を第１、第２の回転軸間で緊張
させた状態に保持することにより就寝用のベッドとして
使用することができ、第１および第２の回転軸を前記と
は逆の方向で互いに逆向きに回転させ、床用網状体を第
１、第２の回転軸間で少し弛めた状態で第１および第２
の回転軸を同方向へ回転させて、床用網状体およびその
上のクッション性敷材および被介護者を移動させること
により、被介護者を比較的簡単に支えるだけで寝返りす
るように起こしてクッション性敷材を床用網状体と被介
護者との間から抜き取ることができ、抜き取り後、第１
および第２の回転軸を前記とは逆で同方向へ回転させて
床用網状体および被介護者を逆方向へ移動させることに
より、被介護者を比較的簡単に支えるだけで元に戻すこ
とができ、この状態から第１および第２の回転軸を互い
に逆方向に回転させて、床用網状体を第１、第２の回転
軸間で更に弛めることにより、被介護者の体重により床
用網状体の中間部および被介護者を下降させ、その下方
の浴槽内の湯中に降ろし、被介護者の身体を洗うことが
できる。入浴後、前記とは逆の動作により被介護者をク
ッション性敷材上に横たえることができる。このよう
に、被介護者が身体を横たえている状態から場所的移動
を要することなく入浴介護することができ、しかも、比
較的簡単に被介護者を寝返りさせるように起こすことが
できてクッション性敷材を抜き取ったり、挿入したりす
る作業を比較的簡単に行うことができる。したがって、
特に、高齢者であっても入浴介護することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る入浴介護用ベッドを
示す平面図である。

【図２】同入浴介護用ベッドを示す正面図である。

【図３】同入浴介護用ベッドを示す側面図である。

【図４】（ａ）〜（ｆ）は同入浴介護用ベッドにおいて
被介護者の入浴に際し、被介護者の下側のエアマットお
よび敷き布団を除去する順序を示す説明図である。

【図５】（ａ）〜（ｆ）は同入浴介護用ベッドにおいて
被介護者を入浴させて元の仰向け状態に戻すまでの順序
を示す説明図である。

【符号の説明】

１ ベッド本体 ２ 支持台 ３ 回転軸 ４ 回転軸 ７ 床用網状体 ８ 可逆モータ ９ 可逆モータ １１ エアマット １２ 敷き布団 １３ 浴槽

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部の両側長手方向に沿って第１および
   第２の一対の回転可能な回転軸を有し、これらの回転軸
   間の下部に浴槽を配置し得るベッド本体と、前記第１お
   よび第２の回転軸に両側部が繰り出し可能に巻き取られ
   た床用網状体と、前記第１および第２の回転軸を所望の
   方向に回転させることにより、前記床用網状体を前記第
   １および第２の回転軸間で緊張させ、若しくは前記第１
   の回転軸側と前記第２の回転軸側のいずれかの方向へ移
   動させ、若しくは前記第１と第２の回転軸間で前記浴槽
   の湯中に浸漬する状態まで弛ませることができる駆動手
   段と、前記床用網状体上に取外し可能に載せられ、被介
   護者が就寝し得るクッション性敷材とを備えた入浴介護
   用ベッド。
2. 【請求項２】 駆動手段が、第１および第２の回転軸を
   それぞれ任意の方向に回転し得る減速機付きの可逆モー
   タと、これらの可逆モータの駆動を制御する制御部とを
   備えた請求項１記載の入浴介護用ベッド。
3. 【請求項３】 クッション性敷材が、少なくとも床用網
   状体の上に載せられる給排気可能なエアマットを備えた
   請求項１または２記載の入浴介護用ベッド。