JP2002141194A - プラズマ中の電子エネルギー分布の測定方法及びその装置 - Google Patents

プラズマ中の電子エネルギー分布の測定方法及びその装置

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JP2002141194A JP2001253611A JP2001253611A JP2002141194A JP 2002141194 A JP2002141194 A JP 2002141194A JP 2001253611 A JP2001253611 A JP 2001253611A JP 2001253611 A JP2001253611 A JP 2001253611A JP 2002141194 A JP2002141194 A JP 2002141194A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波プラズマ中の電子エネルギー分布を求
めることができる電子エネルギー分布の測定方法を提供
する。 【解決手段】 高周波電力で生成されたプラズマ中の電
子エネルギー分布の測定方法において、前記プラズマP
中に通電によって加熱される加熱プローブ4を挿入し、
前記加熱プローブの熱時定数より十分に短い周期を持つ
パルス電圧を加えて熱電子を放出する程度に加熱してこ
の放出電子の数が十分で前記放出電子の有するプラズマ
振動数が前記高周波電力の周波数よりも十分に高い状態
にすれば、前記プラズマ中に存在する高周波電位振動の
前記加熱プローブへの影響を除去できるという性質を利
用し、前記パルス電圧の有電圧期と無電圧期における浮
動電位差を、前記パルス電圧の電位を種々変更しつつ検
出し、この検出値に基づいて前記プラズマ中の電子エネ
ルギー分布を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波電力で生成
されるプラズマ中の電子エネルギー分布の測定方法及び
その装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、プラズマCVD法やプラズマス
パッタリング法による半導体デバイスの酸化膜の形成な
ど、プラズマを利用した反応生成物の成膜装置において
は、安定で再現性の良いプラズマの発生が不可欠であ
り、そのためにはプラズマ中の電子エネルギー分布の測
定及び制御が極めて重要である。特に、これらのプラズ
マはほとんどの場合、高周波電力で生成されるが、この
高周波プラズマ中での電子エネルギー分布の測定及び制
御がとりわけ重要である。そこで、従来からプラズマの
発生雰囲気中にプローブ或いは加熱プローブを挿入し、
これによって捕集された電子電流がプローブのバイアス
電圧及びプラズマエネルギーの1つであるプラズマ電子
温度と一定の関係を有することを利用してプラズマ電子
温度を測定する方法が広く採用されている。
【0003】しかしながら、これらの方法には、プラズ
マ中に常に存在する高周波電位振動のプローブへの影響
を除去するために複雑な防御回路を設置する必要がある
などの欠点がある。すなわち、プローブによりプラズマ
から電子電流を捕集することにより電子温度を決定する
従来法においては、プローブの電圧−電流特性が、本来
非線形であるために、電源電圧の高周波振動にともなっ
てプラズマ電位が振動すると、整流電流が同時にプロー
ブに捕集されてしまう。このため、プローブにより捕集
される電流は、電子温度を正しく反映している電子電流
とは大きく相違したものとなり、これによる電子温度の
測定は原理的に不可能となる。
【0004】そのため、従来方法ではこの整流電流を除
去するために、プローブ回路に新たに高周波電流除去回
路を付け、プラズマ中の振動電圧と同じ大きさで逆位相
の高周波電圧をプローブに印加することにより、整流電
流の流れることを防止している。しかしながら、この方
法では、プローブに印加すべき逆位相の電圧値がプロー
ブとプラズマ間に存在するシースの容量に依存するた
め、正確に求めることは難しく、広いプラズマ領域にお
いてプラズマ電位と正確に同値で逆位相の電圧をプロー
ブ回路に印加することは不可能に近い。そこで、本発明
者は、先の出願(特開平2−30098号公報)におい
て、プローブから熱電子を放出し得るような状態に維持
し、これに交流の半波電圧を印加して、有電圧期と無電
圧期のよう浮動電位差を求め、これに基づいてプラズマ
電子温度を測定する方法を提案した。
【0005】しかしながら、この方法によれば、マック
スウェル分布において平均エネルギーに相当する電子温
度しか測ることができず、それ以外の一般的な電子エネ
ルギー分布に関しては測定することができない、といっ
た問題があった。本発明は、以上のような問題点に着目
し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本
発明の目的は、高周波プラズマ中の電子エネルギー分布
を求めることができる電子エネルギー分布の測定方法及
びその装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
高周波電力で生成されたプラズマ中の電子エネルギー分
布の測定方法において、前記プラズマ中に通電によって
加熱される加熱プローブを挿入し、前記加熱プローブの
熱時定数より十分に短い周期を持つパルス電圧を加えて
熱電子を放出する程度に加熱してこの放出電子の数が十
分で前記放出電子の有するプラズマ振動数が前記高周波
電力の周波数よりも十分に高い状態にすれば、前記プラ
ズマ中に存在する高周波電位振動の前記加熱プローブへ
の影響を除去できるという性質を利用し、前記パルス電
圧の有電圧期と無電圧期における浮動電位差を、前記パ
ルス電圧の電位を種々変更しつつ検出し、この検出値に
基づいて前記プラズマ中の電子エネルギー分布を求める
ようにしたことを特徴とするプラズマ中の電子エネルギ
ー分布の測定方法である。請求項2に係る発明は、上記
方法発明を実施するための装置発明であり、高周波電力
によって生成されるプラズマ中の電子エネルギー分布の
測定装置において、前記プラズマ中に挿入される加熱プ
ローブと、前記加熱プローブにパルス高さが可変になさ
れたパルス電圧を印加して熱電子を放出する程度に前記
加熱プローブを加熱するパルス電源と、前記パルス電圧
の有電圧期と無電圧期における浮動電位差を検出する検
出手段と、前記検出手段の検出値に基づいて前記プラズ
マ中の電子エネルギー分布を求める演算手段とを備えた
ことを特徴とするプラズマ中の電子エネルギー分布の測
定装置である。請求項3に規定する発明は、高周波電力
によって生成されるプラズマ領域中の電子エネルギー分
布を測定する測定装置において、前記プラズマ領域中に
挿入され、パルス電圧の印加により加熱されるプローブ
部を有する加熱プローブと、前記加熱プローブにバッテ
リーを電源とするパルス電圧を印加して、前記プローブ
部を熱電子が放出可能な状態まで加熱するパルス電源
と、1つの基板上に集積化された回路素子により構成さ
れ、高速処理により前記パルス電圧の有電圧期(Hレベ
ル)と無電圧期(Lレベル)における浮遊電位差を検出
する検出部と、前記検出部に一体的若しくは別体の基板
上に構成され、前記検出部で求められた測定データをデ
ジタル化するA/D変換部と、電気信号と光信号の相互
変換機能と通信機能を有し、前記A/D変換部からの測
定データを光信号に変更して送信する、若しくは、受信
した光信号の制御信号を電気信号に変換する第1の光信
号変換部と、電気信号と光信号の相互変換機能と通信機
能を有し、前記第1の光信号変換部より送信された測定
データを電気信号に変換する、若しくは、制御信号を光
信号に変換する第2の光信号変換部と、前記第2の光信
号変換部により与えられた測定データに基づいて、前記
プラズマ領域中の電子エネルギー分布を求める演算部
と、前記演算部により求められた電子エネルギー分布を
3示する表示部とを備えた事を特徴とするプラズマ中の
電子温度測定装置である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係るプラズマ中
の電子エネルギー分布の測定方法及びその装置の一実施
例を添付図面に基づいて詳述する。図1は本発明方法で
用いるエミッシブプローブ法を説明するための原理図、
図2はプラズマを生成する高周波電力の電圧が正位相の
時と逆位相の時のプローブ電流を示すグラフ、図3は加
熱プローブにパルス電圧を印加した時のプローブ電流の
変化を示すグラフ、図4は本発明の電子エネルギー分布
の測定装置を示すブロック構成図、図5は加熱プローブ
にパルス電圧が印加された時の状態を示す図、図6は本
発明方法の原理を説明するための説明図である。
【0008】まず、本発明の特徴とするところは次の点
にある。すなわち、図1に示すように真空引き可能にな
された高周波プラズマ発生容器2内にて発生したプラズ
マP中に円弧状に露出された加熱プローブ(フィラメン
ト)4を浮動状態で差し込む。ここで先の特開平2−3
0098号公報の技術では、この加熱プローブ4に交流
半波電圧を印加していたが、本発明では上記交流半波電
圧に代えてパルス電圧VPPを印加し、更に、このパルス
高さVH を種々変更して、その都度、データを取るよう
にしている。この場合、例えばパルス幅W1及びパルス
間幅W2はそれぞれ10〜15μsec及び20〜35
μsecに設定され、その周波数は20〜30kHz程
度になっている。すなわち、本発明では、上記加熱プロ
ーブ4に有電圧期と無電圧期とを有する上記パルス電圧
PP(周期はフィラメント熱時定数より充分短いもの)
を加えて加熱し、加熱プローブ4から熱電子放出させ、
この放出電子数が充分で加熱プローブ4の浮動電位がプ
ラズマP中に存在する高周波電位振動に追随できる条件
下で、被測定量はこの放出電子電流の影響を受けないよ
うに上記パルス電圧VPPの有電圧期と無電圧期における
加熱プローブ4の浮動電位の差ΔVF とすることによ
り、前記従来法の各種の欠点の一掃を図ったものであ
る。次に、本発明の測定原理について説明する。
【0009】図1に示すように、プラズマ発生容器2内
に各周波数ωS の高周波電力で生成されたプラズマPが
あり、その中に加熱プローブ4を挿入し、パルス高さが
Hのパルス電圧VPPで加熱する。この時、放出電子飽
和電流IESが以下に示す数1の式の条件を満足していれ
ば、加熱プローブ4の浮動電位はプラズマ中の高周波電
位振動に追随できる。
【0010】
【数1】
【0011】ここでωPEは放出電子が持つプラズマ振動
数(電子密度nE )、εO は真空中の誘電率、e及びm
は電子電荷及び質量、AP はプローブ表面積、TW はプ
ローブ温度、kはボルツマン定数である。上記数1の関
係は放出電子のプラズマ振動数が、プラズマ中の電位振
動数よりも充分大きいことを意味するが、この条件下で
はプラズマ中の振動電位に放出電子はすみやかに追随
し、加熱プローブ4とプラズマP間には高周波の電位振
動が存在しなくなる。この様子を図2に示した。図2
(A)、(B)はそれぞれ高周波電源電圧が正位相及び
逆位相の時の放出電子電流IE 及び捕集電子電流IC
特性を示したものである。ここで放出電子電流とはフィ
ラメントから放出される熱電子の作る電流であり、捕集
電子電流とはプラズマ電子がフィラメントプローブに到
達して形成される電流であり、これらの両電流の方向は
互いに逆向きである。プラズマ電位がそれぞれの位相に
応じてVP1からVP2に変化しても数1の条件下では放出
電子がすみやかにプラズマ電位の振動に追随し、放出電
子電流及び捕集電子電流特性は横幅に沿って平行移動し
た形となる。尚、図2中において、いずれか一方の電
流、例えば放出電子電流IE の正負は、本発明の理解を
容易にするために逆に記載されている。
【0012】従って、プローブが浮動状態にある場合に
は、プラズマ電位がVP1からVP2間で振動するとその浮
動電位はVF1とVF2 間で振動する。それ故に、プロー
ブとプラズマ間には高周波の振動電位差は存在しなくな
り、プラズマから捕集される電子は振動電位を見ずに常
に同一の電位差VP1−VF1(=VP2−VF2)を見ること
から捕集電子電流は高周波振動電圧の影響を受けなくな
るので、この捕集電流は正しく電子温度(電子エネルギ
ー)を反映していることになる。このような条件下でパ
ルス電圧V の有電圧期と無電圧期におけるプローブの
浮動電位差ΔVF の値は図3に示すようにIES<I
CS(ICSは捕集電子飽和電流)の領域では捕集電子電流
−電圧特性の勾配に依存する。この勾配は、電子温度が
e であれば1/k・Te の値であるので結局、図3の
ようにVH に対する浮動電位差ΔVF を測定することに
より電子温度は次の数2の式より求めることができる。
【0013】
【数2】
【0014】尚、数2を用いて電子温度を測定する方法
については、特願昭62−218373号にて既に出願
済である。また、浮動電位を測定する場合には、パルス
電圧VH による変化以外にプラズマ電位の振動に呼応し
た電位振動が浮動電位に含まれるので、この振動成分を
フィルター等で除去しなければならない。通常、高周波
電源の各周波数ωS とパルス電圧VH の周波数は、極端
に相違するのでこのフィルターリングは容易である。上
記説明は、先の出願(特開平2−30098号公報)に
おいても説明されたように、電子温度を測定するための
方法であるが、本発明では電子のエネルギー分布を測定
するために前述したように、パルス電圧VPPのパルス高
さVH を種々変更させる。この測定装置を図4に示す。
【0015】図4中において、2は真空引き可能になさ
れた高周波プラズマ発生容器(以下、チャンバーとも称
す)であり、この容器2内に例えば13.56MHzや
27MHzの高周波電源6に接続された平行平板電極8
が設置されている。そして、この容器2内にプラズマガ
スとして例えばArガスを導入し、両電極8、8間にプ
ラズマPが立てられる。そして、この発生容器2の側壁
に、先に図2を参照して説明した加熱プローブ4が絶縁
体10を介して浮動的に取り付けられ、このタングステ
ンフィラメントよりなる加熱プローブ4は、プラズマP
内に挿入される。そして、この加熱プローブ4にパルス
電源14が接続され、上記加熱プローブ4に図1にて説
明したようなパルス電圧Vを印加して加熱するようにな
っている。
【0016】一方、加熱プローブ4の浮動電位がどの程
度の高周波振動に追随できるかは外部回路にも依存し、
これは加熱プローブ4の回路全体がアースに対して持つ
浮遊容量によって決まる。従って、加熱プローブ4の浮
動電位ができる限り高い周波数でも振動し得るようにす
るためには、この浮遊容量による影響を極力除去する必
要がある。その一つの方策として図4に示す回路例で
は、上記パルス電源14に接続されたダミープローブ1
8を設置している。そして、上記加熱プローブ4の浮動
電位の測定は差動電圧増幅器19を通して、ダミープロ
ーブ18との差電位を、浮動電位差を検出するための検
出手段であるシンクロスコープ20で測定する方法を用
いている。このように、ダミープローブ18との差電位
を取ることにより、加熱プローブ4がアースに対して持
つ浮遊容量の影響を除去することができる。尚、フィル
ター22は加熱プローブ4に現れる高周波振動を除去
し、またプラズマ自体が発するノイズを除去するための
ものである。このようにして、シンクロスコープ20に
加熱プローブ4の加熱電圧による浮動電圧の変化の波形
が得られ、この浮動電位差やパルス電圧やプローブ浮動
電位などから、後述するように電子のエネルギー分布を
求める。
【0017】この時の電子のエネルギー分布を求める演
算は、例えばマイクロコンピュータ等よりなる演算部2
4で行なわれ、その結果は、例えば液晶パネル等よりな
る表示部26に表示される。さて、このような測定装置
を用いて行なわれる電子エネルギー分布の測定方法につ
いて説明する。図5は上記加熱プローブ4とこれに印加
されるパルス電圧VPPを模式的に示す模式図であり、こ
れは図1に対応するものである。図6はパルス電圧VH
とプローブ電流iとの関係を示すグラフであり、これは
図3に対応するものである。まず、図5に基づいてエミ
ッシブプローブ法の原理からプローブ捕集電流(電流密
度)−電圧特性i(V)を求める方法について説明す
る。ここで、VH はパルス電圧のパルス高さ、VF はプ
ローブ浮動電位、ΔVF は浮動電位差である。まず、加
熱プローブ4の長さをL、プローブフィラメントの直径
を2rとすると、プローブの電位は常に浮遊状態にあ
る。このため、パルス電圧VPPの有電圧期(Hレベル)
と無電圧期(Lレベル)におけるプローブ全捕集電流は
どちらの場合とも、プローブ放出電流と同じ値にならな
ければならない。プローブの電位がプラズマ電位VP
り低い領域では、この放出電流は、プローブの電位に無
関係に一定値iES(放出電子飽和電流)となるため、両
捕集電流の間の関係は、下記の数3の式のように表すこ
とができる。
【0018】
【数3】
【0019】i(V)は、図1から図3において説明に
用いているプローブ捕集電流IC と同義であるが、ここ
での原理説明をできる限り明確にするためにi(V)を
用いている。また、同様な理由により、放出電流にはi
ESを用いている。数3の左辺はパルス電圧VPPがVH
時(有電圧期)のプローブ全捕集電流を示し、右辺はパ
ルス電圧が0ボルトの時(無電圧期)のプローブ全捕集
電流を示す。また、rは加熱プローブ4の半径を示す。
上記数3の左辺を変形すると以下の数4の式のようにな
る。
【0020】
【数4】
【0021】従って、数3の右辺と数4との関係より、
下記の数5の式が求まる。
【0022】
【数5】
【0023】そして、上記数5を変形すると、下記の数
6の式が求まる。
【0024】
【数6】
【0025】ここで、図6を用いてエミッシブプローブ
法の解析を行なう。まず、点Aの電流I(VF ,VH
は以下の数7の式のように定まる。
【0026】
【数7】
【0027】更に、点Bの電流I(VF +ΔVF ,V
H )は以下の数8の式のように定まる。
【0028】
【数8】
【0029】従って、上記数7及び数8との関係より以
下の数9の式が定まる。
【0030】
【数9】
【0031】そして、以上のようにして求められた上記
数6或いは数9にて求められた一般式を変形して微分形
式にすると以下の数10の式が求まる。
【0032】
【数10】
【0033】この数10よりVH に対するΔVF 、VF
の各測定値を用いてi(V)の形を求めることができ
る。ここで前述のように、パルス電圧VPPのパルス高さ
H は例えば5〜50ボルトの範囲で適宜種々の値に変
更され、その都度、ΔVF 、VF を測定する。この場
合、パルス高さVH は、例えば50ミリボルト単位で少
しずつ増加、或いは減少させてその都度、ΔVF やVF
の測定を行なう。このようにして、i(V)が求まる
と、電子のエネルギー分布の関数F(E)は次の数11
の式により求まる。
【0034】
【数11】
【0035】尚、k1は比例定数である。以上の各数式
の演算は前述のように演算部24(図4参照)で行なわ
れ、また、求められた関数F(E)は、例えば表示部2
6にて表示することができる。以上のようにして電子の
エネルギー分布の関数F(E)を求めると、例えば図7
に示すように表される。図7中において、横軸はエネル
ギー(E)、縦軸は電子数(n)をそれぞれとってい
る。図7に示すように、電子温度の分布はマックスウェ
ル分布に従っているが、本発明方法で求めた電子のエネ
ルギー分布はマックスウェル分布とは大きくずれてお
り、電子のより正確なエネルギー分布を反映している。
【0036】尚、前述した実施形態では、測定装置は、
CVD装置やスパッタリング装置等の成膜装置に搭載す
ることを想定して説明を行っていたが、勿論、これに限
定されるものではなく、エッチング装置やアニール装置
など高周波電力を印加することによりプラズマを発生さ
せて種々のプラズマ処理を行う装置に搭載して、同等の
効果が容易に得られることは勿論である。これらの処理
装置のチャンバー(プラズマ領域を生成するチャンバ
ー)の電位に対して、絶縁された状態で加熱プローブと
取り付けられて、電位的には浮動状態となっている。以
上説明したように、本発明のプラズマ中の電子エネルギ
ー分布の測定方法及びその装置によれば、加熱プローブ
に印加するパルス電圧のパルス高さを適宜変更しつつ浮
動電位差を求めることにより、高周波プラズマ中の電子
のエネルギー分布を適正に求めることができる。
【0037】次に、図8を参照して、前述した実施形態
における第1の変形例について説明する。ここで、図8
に示す構成部位で前述した図4に示した構成部位と同等
のものには、同じ参照符号を付して、その説明を省略す
る。この第1の変形例は、電子エネルギー分布を求める
ための浮動電位差やパルス電圧やプローブ浮動電位等を
測定データとして求める測定部40と、この測定部40
による測定データをワイヤレスで通信するための光通信
ボード34と、着信した光通信ボード34からの測定デ
ータを演算して電子エネルギー分布を求めるためのマイ
クロコンピュータ等よりなる演算部24と、表示部26
とで構成される。
【0038】前述した図4に示した測定部は、パルス電
源14、ダミープローブ18、フィルター22及びシン
クロスコープ20(検出部)等てせ構成していた。これ
に対して、測定部40、パルス電源14、高性能バッテ
リー31、検出部22、A/D変換ボード32及び光通
信ボード33で構成している。高性能バッテリー31
は、パルス電源14に電源を供給する。また検出部22
は、1つの基板上に集積化された回路素子により構成さ
れ、高速処理によりパルス電圧の有電圧期と無電圧期に
おける浮動電位差を検出する。A/D変換ボードは、検
出部22に一体若しくは別体の基板上に構成され、検出
部22で求められた測定データをデジタル化する。
【0039】光通信ボード33は、A/D変換ボード3
2によりデジタル化された測定データを電気信号から光
信号に変更して送信する。また、光通信ボード34から
受信した光信号からなる制御信号を電気信号に変更し
て、検出部22の動作を制御することもできる。これは
演算部24をパソコン等により構築することにより、演
算処理だけでなく、各測定用部位の制御もすることによ
り、測定の遠隔化が実現でき、装置の小型化、配置の自
由度など種々のメリットが生まれる。
【0040】特に、この測定部40の幾何学的寸法が極
力小さくなるように構成して、測定部40が有するアー
ス電位に対する浮遊容量を極限まで小さくする。また、
光通信ボード33と光通信ボード34との間で光通信に
より測定データを伝搬して、演算部24へ入力する。演
算部24では測定データから電子エネルギー分布が求め
られ、適宜、その電子エネルギー分布が数値表やグラフ
として表示部26に表示される。このように測定データ
の伝搬に光通信を用いたことで、測定部40と演算部2
4とが有線接続されていないため、測定部40のアース
電位に対する浮遊容量をさらに小さく(極小化)するこ
とができる。このような浮遊容量の極小化は、プラズマ
発生用電源の周波数の測定上限を大きくするものであ
り、現行に使用する周波数である13.56MHz及び
27MHzは、勿論こと、60MHzやそれ以上の周波
数で生成されるプラズマにおける電子エネルギー分布も
測定可能となる。さらに、測定部40と演算部24との
ワイヤレス化は、装置構成上で構成部位の配置の分散化
や遠隔化ができる他、種々のメリットを得ることがで
き、高性能、高機能な測定装置を提供する。
【0041】次に、図9を参照して、前述した実施形態
における第2の変形例について説明する。ここで、図9
に示す構成部位で前述した図8に示した構成部位と同等
のものには、同じ参照符号を付して、その説明を省略す
る。この測定装置では、チャンバー2が絶縁物2aで形
成されている例である。本発明が提案する電子エネルギ
ー分布の測定方法は、プローブの電位が恒に浮遊状態で
あり、原理的にプラズマからのプローブ電流を供給して
測定する必要が無く、プラズマを発生させるためのチャ
ンバー2が絶縁性の部材により形成されていても測定す
ることができる。例えば、プラズマエッチング装置にお
けるプラズマを発生させるためのチャンバーは、アルミ
ナ等の絶縁性の部材により形成されている。このような
場合でも電子エネルギー分布を測定することもできる。
これは、本発明の電子エネルギー分布の測定がアース電
位に対して浮遊状態にある電位のプローブを用いて測定
を行っているために実現するものである。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のプラズマ
中の電子エネルギー分布の測定方法及びその装置によれ
ば、次のように優れた作用効果を発揮することができ
る。加熱プローブに印加するパルス電圧のパルス高さを
適宜変更しつつ浮動電位差を求めることにより、高周波
プラズマ中の電子のエネルギー分布を適正に求めること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法で用いるエミッシブプローブ法を説
明するための原理図である。
【図2】プラズマを生成する高周波電力の電圧が正位相
の時と逆位相の時のプローブ電流を示すグラフである。
【図3】加熱プローブにパルス電圧を印加した時のプロ
ーブ電流の変化を示すグラフである。
【図4】本発明の電子エネルギー分布の測定装置を示す
ブロック構成図である。
【図5】加熱プローブにパルス電圧が印加された時の状
態を示す図である。
【図6】本発明方法の原理を説明するための説明図であ
る。
【図7】電子のエネルギー(E)と電子数(n)との関
係の一例を示すグラフである。
【図8】本発明による第1の変形例の構成を示す図であ
る。
【図9】本発明による第2の変形例の構成を示す図であ
る。
【符号の説明】
2 プラズマ発生器 4 加熱プローブ 6 高周波電源 8 平行平板電極 14 パルス電源 18 ダミープローブ 20 シンクロスコープ(検出手段) 24 演算部 P プラズマ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K030 FA01 KA30 KA39 5F045 AA08 BB02 EH14 EH19 GB08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波電力で生成されたプラズマ中の電
    子エネルギー分布の測定方法において、前記プラズマ中
    に通電によって加熱される加熱プローブを挿入し、前記
    加熱プローブの熱時定数より十分に短い周期を持つパル
    ス電圧を加えて熱電子を放出する程度に加熱してこの放
    出電子の数が十分で前記放出電子の有するプラズマ振動
    数が前記高周波電力の周波数よりも十分に高い状態にす
    れば、前記プラズマ中に存在する高周波電位振動の前記
    加熱プローブへの影響を除去できるという性質を利用
    し、前記パルス電圧の有電圧期と無電圧期における浮動
    電位差を、前記パルス電圧の電位を種々変更しつつ検出
    し、この検出値に基づいて前記プラズマ中の電子エネル
    ギー分布を求めるようにしたことを特徴とするプラズマ
    中の電子エネルギー分布の測定方法。
  2. 【請求項2】 高周波電力によって生成されるプラズマ
    中の電子エネルギー分布の測定装置において、前記プラ
    ズマ中に挿入される加熱プローブと、前記加熱プローブ
    にパルス高さが可変になされたパルス電圧を印加して熱
    電子を放出する程度に前記加熱プローブを加熱するパル
    ス電源と、前記パルス電圧の有電圧期と無電圧期におけ
    る浮動電位差を検出する検出手段と、前記検出手段の検
    出値に基づいて前記プラズマ中の電子エネルギー分布を
    求める演算手段とを備えたことを特徴とするプラズマ中
    の電子エネルギー分布の測定装置。
  3. 【請求項3】 高周波電力によって生成されるプラズマ
    領域中の電子エネルギー分布を測定する測定装置におい
    て、 前記プラズマ領域中に挿入され、パルス電圧の印加によ
    り加熱されるプローブ部を有する加熱プローブと、 前記加熱プローブにバッテリーを電源とするパルス電圧
    を印加して、前記プローブ部を熱電子が放出可能な状態
    まで加熱するパルス電源と、 1つの基板上に集積化された回路素子により構成され、
    高速処理により前記パルス電圧の有電圧期(Hレベル)
    と無電圧期(Lレベル)における浮遊電位差を検出する
    検出部と、 前記検出部に一体的若しくは別体の基板上に構成され、
    前記検出部で求められた測定データをデジタル化するA
    /D変換部と、 電気信号と光信号の相互変換機能と通信機能を有し、前
    記A/D変換部からの測定データを光信号に変更して送
    信する、若しくは、受信した光信号の制御信号を電気信
    号に変換する第1の光信号変換部と、 電気信号と光信号の相互変換機能と通信機能を有し、前
    記第1の光信号変換部より送信された測定データを電気
    信号に変換する、若しくは、制御信号を光信号に変換す
    る第2の光信号変換部と、 前記第2の光信号変換部により与えられた測定データに
    基づいて、前記プラズマ領域中の電子エネルギー分布を
    求める演算部と、 前記演算部により求められた電子エネルギー分布を表示
    する表示部とを備えた事を特徴とするプラズマ中の電子
    温度測定装置。
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