JP2015032463A - 質量分析装置、質量分析方法および画像化システム - Google Patents

質量分析装置、質量分析方法および画像化システム Download PDF

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Abstract

【課題】 大気圧環境下で試料表面の微小領域の成分分布を高感度で計測できるイオン化装置を提供する。
【解決手段】 試料を保持するための保持台と、前記試料のイオン化する部分を決めるためのプローブと、前記試料がイオン化したイオンを引き出す引出電極と、前記試料と前記プローブとの間に液架橋を形成するための液体を供給する液体供給手段と、前記プローブまたは前記保持台を振動させる手段と、前記プローブと前記引出電極との間で電界を発生させる電界発生手段と、前記引出電極によって引き出されたイオンを質量分析する質量分析部と、前記部分のイオンが発生する時間と、前記質量分析部が前記イオンを計測する時間とを同期させるための同期手段と、を有することを特徴とする質量分析装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、試料をイオン化して質量分析を行う質量分析装置に関する。
固体試料の表面の成分分析のために固体を大気圧環境下でイオン化させる技術がある。
非特許文献1では、固体試料表面の微小領域に微量体積の溶媒を提供し、試料の成分を溶媒に溶解させた後で、エレクトロスプレーイオン化法により成分をイオン化する方法が提案されている。発生したイオンを質量分析装置に導入し、イオンの質量電荷比を計測し、成分の分析を行うことができる。固体試料表面の微小領域に溶媒を付与するために、針状のキャピラリーで構成されたプローブが用いられている。プローブには連続的に溶媒が導入され、プローブが固体試料表面と近接した状態で、両者の間に液架橋が形成され、液架橋に固体試料表面の成分が溶解する。成分が溶解した溶液は印可された電圧によってイオン化される。プローブが振動し、固体試料表面に断続的に溶媒が付与される状態でイオン化を行う方法をTapping−mode Scanning Probe Electrospray Ionization(Tapping−mode SPESI)、プローブが固体試料表面と近接し続けている状態でイオン化を行う方法をContact−mode Scanning Probe Electrospray Ionization(Contact−mode SPESI)と呼んでいる。
Yoichi Otsuka et al., "Scanning probe electrospray ionization for ambient mass spectrometry"Rapid Communications in mass spectrometry,26,2725(2012).
非特許文献1に開示されているTapping−mode SPESI法では、液架橋の形成と消失が交互に生じている。当該方法では、液架橋への成分の溶解とイオン化が交互に連続的に実施され、液架橋の形成およびイオン化の発生の周波数は、プローブの振動周波数によって決定されている。また、質量分析装置はイオン化の装置と電気的に分離されており、質量分析装置とイオン化装置は個別に駆動され、事前に設定された計測時間の期間内に、質量分析装置へ取り込まれたイオンの計測が行われる。
この方法では、イオン化が発生していない間、すなわち液架橋が形成されている間や、液架橋が形成されたのちにイオン化が発生するまでの間も質量分析の計測が実施される。
その結果、イオン化が発生していない間のノイズ信号が計測データに混入し、質量スペクトのデータの解釈を困難にするという課題があった。
また、イオンの計測が行われている時間内の、イオン化が実施された回数を厳密に制御することができないために、計測の定量性が低く、計測ごとの計測値を比較する場合の定量性が低いという課題もあった。
次に、Contact−mode SPESIでは、固体試料が載せられた基板を定常的に振動させる方法が開示されている。本方法において、基板の振動がイオン化を安定化させることが開示されているが、基板が振動している期間のすべての時間でイオンの計測が実施されるため、実際にイオン化が発生していない間のノイズ信号が計測データに混入するという課題があった。また、振動を定常的に長時間にわたって実施する場合、振動を発生させる装置自体が加熱され、振動の振幅や周波数が変動してしまうという課題もあった。
本発明は、大気圧環境下で試料表面の微小領域の成分分布を高感度で計測できるイオン化装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る質量分析装置は、試料を保持するための保持台と、前記試料のイオン化する部分を決めるためのプローブと、前記試料がイオン化したイオンを引き出す引出電極と、前記試料と前記プローブとの間に液架橋を形成するための液体を供給する液体供給手段と、前記プローブまたは前記保持台を振動させる手段と、前記プローブと前記引出電極との間で電界を発生させる電界発生手段と、前記引出電極によって引き出されたイオンを質量分析する質量分析部と、前記部分のイオンが発生する時間と、前記質量分析部が前記イオンを計測する時間とを同期させるための同期手段と、を有することを特徴とする。
本発明により、大気圧環境下で試料表面の微小領域の成分分布を高感度で計測できるイオン化装置、それを有する質量分析装置あるいはそれを有する画像化システムを提供する。
第一の実施の形態に係るイオン化装置を有する画像化システムを示す模式図である。 第一の実施の形態に係るイオン化装置の第一の駆動モードの、各装置の動作タイミングを示すチャート図である。 第一の実施の形態に係るイオン化装置の第二の駆動モードの、各装置の動作タイミングを示すチャート図である。 第一の実施の形態に係るイオン化装置の第三の駆動モードの、各装置の動作タイミングを示すチャート図である。 第二の実施の形態に係るイオン化装置の第三の駆動モードの、同期回路および同期回路により制御される装置を示す模式図である。
(第一の実施の形態)
図1は本発明の第一の実施の形態に係るイオン化装置を有する画像化システムを示す模式図である。1は液体が通過する流路を内部に有する導電性のプローブ、2はプローブ1を振動させる振動提供手段、3は固体試料、4はプローブ1と固体試料3との間に形成された液架橋、5はテイラーコーン、6は帯電した微小液滴、7は質量分析部にイオンを取り込むためのイオン引出電極を有するイオン取込部、8は固体試料3を保持する保持台としてのXYステージ、9は固体試料3をZ方向(図1の上下方向)に移動させるためのZステージ、10および11は試料ステージ制御装置、12は電圧印加装置、13はプローブ1に液体を供給する液体供給手段、14は電圧印加装置、15および19は光源、16および20は変位を計測する計測手段である変位センサ、17は質量分析部、18は電圧印加装置、21はイオン数計測器、22は画像形成部、23は変位演算装置、24は表示装置である。
ここで、イオン数計測器21は質量分析部17に内蔵されている装置を使用する場合と、内蔵されている装置を利用せず、外部からイオン数計測器21を質量分析部17に接続して使用する場合がある。いずれの場合も、質量分析部17に導入されたイオン数の計測を実施することができる。また、イオン数計測器21にはゲート信号の入力端子を内蔵しており、ここに適切な信号を入力することにより、イオン数計測器21の駆動を制御することができる。
イオン数計測器21としては、イオン検出器(例えばマイクロチャンネルプレート検出器)、および電気信号の計測器(例えばADC(Analog−to−digital Converter)やTDC(Time−to−digital Converter))を用いることができる。また、イオン検出器と電気信号の計測器の間には電気信号の波形を調節するための装置(例えばディスクリミネータや増幅回路)を設けることもできる。前記のゲート信号の入力端子は電気信号の計測器に内蔵されている。
液体供給手段13は、固体試料3に含まれる被分析物を溶解するための溶媒又は被分析物と溶媒との混合溶液(以下、これらの溶媒と混同溶液とをあわせて単に液体と記す)を供給する。液体供給手段13から供給された液体は、プローブ1内部の流路へと導かれ、その際に、電圧印加装置14から液体に電圧が印加される。液体には直流電圧、交流電圧、パルス電圧又はゼロボルトのいずれかが印加される。
本形態においては、液体供給手段13から供給された液体は固体試料3とプローブ1との間で液架橋4を形成する。ここで、固体試料3は金属・絶縁体・半導体のいずれかの基板上に計測対象物が担持された物体であると良く、計測対象物は微小領域の成分分布を計測する必要のある物体であると良い。この物体は例えば、生物組織、体液であるが、これ以外の物体にも適用できる。
さらに、液架橋4に寄与した液体が、プローブ1の振動と電圧印加装置14及び電圧印加装置18による電界とによって帯電した微小液滴6になることにより、測定対象の成分をイオンとしてイオン取込部7に取り込むことが可能となる。すなわち、本形態においては、プローブが基板上への液体の付与手段であり、物質の取得手段であり、イオン化のための好適な位置への液体の移送手段であり、イオン化のためのテイラーコーンの形成手段となっている。
なお、本実施形態において、導電性のプローブとは、プローブ1の内部の流路や接続用配管に導電性が付与されており、プローブが保持する液体に電圧を印加できる構成のことを言う。このためには、流路の液体が接触する全部又は一部分に導電性の部材が配置されていることが好ましい。
ただし、プローブ1の内部の流路や接続用配管に導電性の部材が配置されることは必ずしも必須ではなく、プローブ先端に保持される液体が、先端に供給されるまでに帯電させることができる構成として、導電性を有する部分がその途中に存在していれば良い。
導電性のプローブの好適な形態は、プローブを形成する素材の少なくとも一部分が導電性を有する構成である。導電性を有する材料には、金属・半導体などが挙げられるが、電圧印加装置から電圧が印加された場合に、再現性のある一定の電圧値を示す性質を有するものであればいかなるものでもよい。つまり、本実施形態において、プローブの導電性部位に電圧を印加することで、液体に電圧を印加している。
本実施形態でプローブに電圧を印加するとは、後述のイオン引出電極の電位とは異なる電位を、プローブの少なくとも一部分を形成する導電性部位に付与し、プローブの少なくとも一部分を形成する導電性部位と後述のイオン引出電極の間で、電界を形成することを意味する。この電界が達成される限りにおいて、ここで印加される電圧がゼロボルトであってもよい。プローブ1の少なくとも一部分の材料は導電性の物質であれば良く、例えばステンレス・金・白金などを用いることができる。
プローブ1、及び該プローブを液体供給手段13に接続する接続用配管としては、例えば、シリカキャピラリやメタルキャピラリ等の細管などの、微小体積の液体を供給する細管を利用することができる。その電気伝導性は絶縁体・導電体・半導体のいずれであってもよい。なお、導電性の流路は、液体供給手段13から供給された液体がプローブ1内部を通り、液体供給手段13とは反対側のプローブ1の先端まで導かれる流路の一部分を構成すればよく、その位置は特に限定されない。例えば、プローブ1の内部の流路や接続用配管に導電性の流路の全部又は一部分が包摂されていても良い。
プローブ1そのものが導電体の場合、電圧印可装置14で印加された電圧がプローブ1に伝播し、プローブ1内部の流路の液体に電圧が印加される。一方、プローブ1が絶縁体の場合、導電性の流路に印加された電圧はプローブ1に伝播することができないが、導電性の流路を流れる液体に電圧が印加され、その液体がプローブ1に導入されるため、プローブ1に電圧が伝播されていない場合にも、液体に電圧を印加し、液体を帯電させることになる。
液体供給手段13から供給された液体は、プローブ1の先端から固体試料3上へと提供される。これにより、大気圧環境下で固体試料3に含まれる微小な量の物質を液体に溶解し、イオン化することが可能となる。
本実施形態では、上記構成において、プローブ1が振動することもできる。なお、本発明でプローブ1が振動するとは、プローブ1の基板3側の先端の位置が空間的に変位するようにプローブ1が運動することをいう。特に、プローブの軸方向と交差する方向にプローブを屈曲振動させることが好ましい。振動提供手段2からの機械的な振動を与えることでプローブ1を振動させる。また、振動提供手段2からの振動を停止することにより、プローブ1を停止することもできる。
一般に、片持ち梁型の物体の1次モードの固有振動周波数は、梁の長さ、密度、断面積、ヤング率、断面二次モーメントにより表現できることが知られている。本実施形態における針形状のプローブも片持梁型のプローブに類似しているため、プローブの材質、サイズ、プローブに供給する液体の種類と体積、およびプローブとイオン取込部との間の電界の大きさを調整することで、プローブの固有振動周波数を制御することができる。材質としては、シリカ、シリコン、ポリマー材料、金属材料を使用することができるが、これに限らず他の材質を使用することができる。また、密度・ヤング率の異なる2種以上の材料が接合されたプローブを利用しても良い。振動供給手段2は振動を発生させる物体であればよく、例えばピエゾ素子・振動モータなどを用いる事ができる。プローブ1の振動は、連続的振動・断続的振動のいずれであってもよい。液体への電圧を印加するタイミング及び、プローブ1に振動を供給するタイミングは、任意に決定することができる。
また、液体供給手段13からの溶媒は、プローブの表面に設けられた流路を用いてもよい。例えばプローブ表面に微小な溝を形成し、毛細管現象を利用して、液体供給手段13から導入された溶媒が、プローブ1の表面を伝い、プローブ1の先端部分まで流れるようにしてもよい。
さらに、液体供給手段13がプローブ1と物理的に接続されている構成を図1では示しているが、これらは空間的に離間していてもよい。例えばインクジェット法により、プローブ1から空間的に離れた液体供給手段13からプローブ1に溶媒を吐出して飛翔させ、プローブ1に付着することもできる。
プローブ1の振動の周波数や振幅は、任意の値に設定することが可能であり、一定値に保持しても良いし、変調をかけても良い。例えば、振動提供手段2に電気的に接続した電圧印加装置12から出力される電圧値または電流値を変更することにより、振動の周波数や振幅を任意に調整することができる。
次に、Zステージ9はXYステージ8および固体試料3と物理的に接続され、固体試料3を垂直方向に振動させるために用いられる。Zステージ9に接続された試料ステージ制御装置11からの制御信号に基づいて、試料を振動させることができる。振動の周波数や振幅は、任意の値に設定することが可能であり、一定値に保持しても良いし、変調をかけても良い。この場合、電圧印加装置11から出力される電圧値または電流値を変更することにより、振動の周波数や振幅を任意に調整することができる。
ここでZステージ9の上にXYステージ8が固定されていても、XYステージ8の上にZステージ9が固定されていてもよい。
光源15および変位センサ16はプローブ1の振動を計測する手段として用いられる。光源15からの集光されたスポット光がプローブ1で反射し、変位センサ16へと導かれるように配置されている。反射されたスポット光の位置を変位センサで読み取ることで、プローブ1の振動周波数および振幅を計測することができる。ここで光源15の一例として、レーザ光源、ハロゲン光源、LED光源などが挙げられる。また光源の後に、光を集光させるためのレンズやピンホール、または光をライン状に集光させるためのシリンドリカルレンズやスリットを設けてもよい。光源15および変位センサ16と同様に、光源19および変位センサ20はXYステージ8およびZステージ9の振動を計測するために用いられる。
ここでプローブ1、XYステージ8、およびZステージ9の振動を計測するために、光源と変位センサを用いる例が示されているが、これに限ったものではなく、他の変位センサを用いてもよい。他の変位センサの一例として静電容量式、渦電流式、レーザドップラ式、圧電素子式のセンサを用いることができる。静電容量式の場合にはプローブ1、XYステージ8、およびZステージ9の一部に電気伝導性を有する部位を設け、この部位とセンサの間の静電容量の変化から振動を計測できる。渦電流式の場合には、センサ内のコイルから発生した交流磁界により、プローブ1、XYステージ8、およびZステージ9の一部の金属内に発生した渦電流を、コイルのインダクタンスの変化から計測する。インダクタンスの変化はセンサと金属の距離に依存するため、振動を計測できる。レーザドップラ式の場合には、プローブ1、XYステージ8、およびZステージにレーザ光を照射した際の反射光の周波数を検出することで振動を計測できる。圧電素子式の場合には、プローブ1、XYステージ8、およびZステージに接触した圧電素子へかかる圧力を電圧信号として検出することで、振動を計測できる。
変位センサ16および変位センサ20から出力された電気信号は、変位演算装置23へ入力される。各々の電気信号からプローブおよびステージの振動の周波数、振幅、位相が計測される。
本実施形態においては、プローブを振動させる振動手段と、試料を振動させる振動手段をそれぞれ独立して有しているので、それらの駆動モードとして、以下の3種類の振動モードを有することができる。すなわち、(A)プローブを振動させるモード、(B)固体試料を振動させるモード、(C)プローブと固体試料の両方をそれぞれ独立して振動させるモード、の各駆動モードのいずれかを実施することができる。
図1に示されているのは、(A)および(C)の駆動モードを実施する場合の概要を示しており、(B)の駆動モードの場合には電圧印可装置12から振動提供手段2への信号が停止し、プローブは固体試料に近接もしくは接触した状態になっている。
(A)のプローブを振動させるモードの場合には、振動提供手段2への信号が入力され、試料ステージ制御装置への信号が停止する。その結果、プローブ1が振動し、Zステージ9の振動が停止した状態となっている。
(B)の固体試料を振動させるモードの場合には、振動提供手段2への信号が停止され、試料ステージ制御装置への信号が入力される。その結果、プローブ1が停止し、Zステージ9が振動する。プローブ1が固体試料3の表面と接触している場合には、Zステージ9の振動がプローブ1に伝わることで、プローブ1を振動させることもできるが、この場合も、この駆動モード(B)に含める。
(C)プローブと固体試料の両方が独立して振動する場合には、振動提供手段2への信号と、試料ステージ制御装置への信号の両方が入力される。その結果、プローブ1とZステージ9の両方が独立して振動する。
図2に第一の実施の形態に係るイオン化装置の(A)の駆動モード時の、各装置の動作タイミングを示すチャート図を示す。(a)は質量分析部に接続された、イオン数計測器の計測のトリガ信号の電圧値を、(b)はプローブ1の加振用信号の電圧値を、(c)はイオン数計測器へのゲート電圧値を示す。イオン数計測器は通常、質量分析部のトリガ信号を断続的に受信し、トリガ信号受信後にイオン数を計測するように動作させている。ここでトリガ信号は、質量分析部のイオン分離部の構成により異なる。本実施形態においては、質量分析部として、四重極型質量分析計、飛行時間型質量分析計、磁場偏向型質量分析計、イオントラップ型質量分析計などを用いることができ、質量分析ごとに特定のタイミングをトリガ信号として用いることができる。
例えば、四重極型質量分析計では四重極電極への高周波電圧の印加を開始する時のタイミングを示す信号を、飛行時間型質量分析計では、イオンの飛行時間を計測する装置のイオンを加速するためのパルス電圧を印加する時のタイミングを示す信号を、磁場偏向型質量分析計では、セクタ型電極への磁場の印加を開始するタイミングを示す信号を、イオントラップ型質量分析計では、イオントラップへイオンを導入するタイミングを示す信号を、それぞれトリガ信号として用いることができる。一般的には、飛行時間型質量分析計のパルス電圧の周波数はおよそ数キロ〜数十キロヘルツ程度、イオントラップ型質量分析計のイオン取込みの周波数は数十から数キロヘルツ程度であり、プローブの振動周波数よりも高いことが多い。
プローブ1が振動し、液架橋の形成とイオン化が交互に行われる。プローブ1の振動周波数は百〜数十キロヘルツである。図2では、質量分析部のトリガ信号の周波数が、プローブの振動周波数の20倍の場合が示されている。時間1においてプローブ1は固体試料3に近接または接触し、固体試料3の表面との間で液架橋が形成される。また、時間2においてはプローブ1が固体試料3から離れ、イオン取込部に近接し、イオン化が実施される。イオン数計測器へのゲート電圧値(c)は、プローブ1の加振用信号の電圧値(b)と同期しており、(b)の時間2の前後の期間で、(c)の出力がONになるように設定される。この時、時間幅3をイオンが発生している時間であると規定し、任意の値に設定することができる。(c)の出力はイオン数計測器のゲート信号の入力端子と接続されており、(c)の信号が出力されている間のみ、イオン数計測器を動作するように設定されている。この結果、時間幅3で示されている、プローブからイオンが発生している時間のみイオン数計測器を動作することができるため、液架橋が形成されている間、および液架橋が形成されてからイオン化が発生するまでの間のノイズ信号を計測することが無くなる。これにより、計測データの信号に含まれるノイズ信号を減少することができるようになる。
上記では、時間幅3を設定する際には、(b)のプローブ1の加振用信号の電圧値をエレクトロスプレーイオン化の発生時間を規定するための基準信号とし、これに同期する信号(c)を用いている。ただし、プローブの先端部の変位の信号が、プローブ加振用信号と同期している場合には、加振用信号(b)の替わりに変位センサ16の信号を基準信号として使用しても良い。また、プローブ1の加振用の信号と、プローブ先端の変位の信号の間に位相差が生じる場合には、加振用の信号または変位の信号のいずれかを基準信号とし、これに同期する(c)の立ち上がり及び立ち下りの時間を調整することで、位相差分を補償できるように設定するとよい。
図3に第一の実施の形態に係るイオン化装置の(B)の駆動モード時の、各装置の動作タイミングを示すチャート図を示す。(a)は質量分析部に接続された、イオン数計測器の計測のトリガ信号を、(b)はZステージの加振用信号を、(c)はイオン数計測器へのゲート電圧信号を示す。ここでZステージへの加振用信号は変調がかけられており、一定期間に信号のONとOFFが交互に発生するように設定されている。Zステージが振動していない時間1の間に比べて時間2の間にイオンが安定的に発生する。このように、Zステージの振動を変調することは、Zステージを高速(1キロヘルツ以上)で振動させる場合の発熱を抑制する効果がある。連続的に振動させた場合にはZステージが過熱し、振動振幅が減少する場合や故障する場合があるので、変調動作を行い、振動時間を短くし、Zステージが冷却される時間を設けることが望ましい。連続的に振動させる場合にはZステージの冷却を行う仕組みを別に設けることが望ましい。なお、変調がかけられていない信号が使用される場合には、時間1の部分が無い場合に等しく、Zステージが振動し、イオンが安定的に発生する時間幅3を、イオンが発生している時間であると規定し、設定すればよい。
(c)は(b)の信号が発生している時間2と同期して出力されるように設定され、(c)がイオン数計測器のゲート信号の入力端子に接続されている。この結果、プローブからイオンが安定的に発生している期間のみイオン数計測器が動作するため、イオン化が発生するまでの間の計測器からのノイズ信号を計測することが無くなり、計測データの信号に含まれるノイズ信号を減少することができるようになる。
図3では時間2を一定時間継続する場合が示されているが、これを(b)の信号と同期して変調をかけてもよい。すなわち、(b)の信号の正または負のピークのタイミングと同期する、時間幅2よりも小さいパルス幅の信号を用いてもよい。
また、時間幅2を設定する際には、(b)のZステージの加振用信号の電圧値をエレクトロスプレーイオン化の発生時間を既定するための基準信号として、これに同期する信号(c)を用いている。ただし、加振用信号(b)の替わりに変位センサ20の信号を基準信号として用いても良い。
図4に第一の実施の形態に係るイオン化装置の(C)の駆動モード時の、各装置の動作タイミングを示すチャート図を示す。(a)は質量分析部に接続された、イオン数計測器の計測のトリガ信号を、(b)はプローブ1の加振用信号を、(c)はZステージの加振用信号を、(d)はイオン数計測器へのゲート電圧信号を示す。プローブ1の振動周波数に対して、Zステージの振動周波数が5分の1となるように設定されている。このように、いずれかの振動周波数がもう一つの振動周波数の整数倍であり、それぞれの振動の位相差が0または180度になることが望ましい。時間1においてプローブ1は固体試料3に近接または接触し、固体試料3の表面との間で液架橋が形成される。時間2では、プローブ1は固体試料3と最も離れた位置関係となる。時間1において液架橋が形成されたあと、次に液架橋が形成されるまでの間にイオン化が実施される。(d)は(b)または(c)と同期した信号であり、時間1の直前から、ある一定の期間内に出力がONにされるように設定される。この時間3をイオンが発生している時間であると規定し、任意の値に設定できる。この結果、プローブからイオンが安定的に発生している期間のみイオン数計測器が動作するため、目的の成分のイオン化が行われていない期間のノイズ信号を計測することが無くなり、計測データの信号に含まれるノイズ信号を減少することができるようになる。
この実施形態は、先に述べた駆動モード(A)および(B)と同様の効果に加え、プローブ1とZステージの両方が振動することにより、プローブ1とZステージの間の距離の絶対値を大きくするという効果も得られる。この実施形態は、固体試料3の表面形状の凹凸が大きく、液架橋の形成とイオン化を安定して実施するために、プローブ1の振動振幅を大きくする場合に適用する事が望ましい。また試料ステージ制御装置11、電圧印加装置12への制御信号が三角波、サイン波、方形波の場合を示したが、これに限るものではない。例えば、のこぎり波、図2に示したような三角波、サイン波、方形波、のこぎり波の合成により形成された波形を用いることもできる。
また、時間幅3を設定する際には、(b)のプローブ1の加振用信号またはZステージの加振用信号を、エレクトロスプレーイオン化の発生時間を既定するための基準信号として、これに同期する信号(c)を用いている。ただし、加振用信号(b)の替わりに、変位センサ16や変位センサ20の信号を基準信号として使用することもできる。
(A)、(B)、および(C)の各駆動モードにおいて、振動の状態は変位演算装置23を用いることにより計測し、所望の振動状態になるように、変位演算装置23から試料ステージ制御装置11、電圧印加装置12へ制御信号を出力する。振動の状態はエレクトロスプレーイオン化の発生・非発生時間と対応付けられるので、変位演算装置23はエレクトロスプレーイオン化の発生時間を計測するための手段としても使用される。
例えば、変位センサ16および変位センサ20からの信号である、交流信号の電圧値が、閾値電圧よりも大きくなっている時間を、イオン化がよく発生している時間として計測する。これは、センサからの信号をオシロスコープで計測したり、後述するゲート信号生成回路に内蔵された、プローブの振動制御信号を生成する回路および固体試料の振動制御信号を生成する回路を用いることなどで実施できる。
ここで閾値電圧とは、任意の値に設定することができ、プローブ1がイオン取込部7に近接している時間や、XYステージおよびZステージの振動が発生している時間を検出するために設定される。イオン化がよく発生している時間と同期するように、波形発生器や、後述するゲート信号生成回路から電圧パルスが出力され、これがイオン数計測器21のゲート信号の入力端子へ入力される。
変位演算装置23にはフィードバック回路を設けることで安定な振動状態を自動的に維持できるように調整することもできる。プローブ1が固体試料3を走査する際には、微小な周波数や振幅の変動が生じる場合がある。この時、変位センサ16、変位センサ20からの信号と、変位演算装置23で設定できる基準信号とのずれを計測し、そのずれを補正するための信号を生成し、試料ステージ制御装置11、電圧印可装置12へ信号を出力することで、安定的に走査を実施することもできる。ここで基準信号とは、プローブ1およびZステージの振動の周波数および振幅を決定するために用いられる、任意の波形信号である。
また、図1の各部品間の電気配線や部品の電気容量等により、プローブ1、Zステージの振動のタイミングに微小時間のずれが生じることがある。この場合には、変位演算装置23にタイミングを制御するために遅延回路を設け、制御信号と実際のプローブ1およびZステージの振動のタイミングのずれを補償することもできる。
本実施形態においては(i)プローブから固体試料上に液体を供給し、該プローブと該固体試料との間に液架橋を形成する工程と、(ii)前記液体が接する前記プローブの導電性部位とイオン引出電極の間でイオンを発生させるための電界を形成する工程とが、(A)、(B)または(C)の駆動モードを利用することにより、交互に変更して達成されている。すなわち、振動によるプローブの一端の位置を異ならせることで、(i)工程と(ii)工程をそれぞれ実施する好適な配置関係に設定することができる。
プローブ1から連続的または断続的に液体が供給されることで、液架橋4が形成される。液架橋4が形成される際には、プローブ1は基板3に接してもよいし、接しなくてもよい。プローブ1が基板3に接する場合には、液架橋4をより安定して形成することができる。液架橋4はプローブ1と固体試料3とを架橋する状態の液体のことである。これは表面張力等を利用している。液架橋4には固体試料3が有する物質が溶解する。液架橋4は大気圧環境下で形成される。液架橋4の体積は微量で1×10−12mL程度である。液架橋4は、固体試料3の表面の一部領域に配置され、この液架橋4の、固体試料3の表面における面積は1×10−8程度の面積である。
振動によりプローブ1が基板3から離れた状態において、液架橋4を形成していた液体は、電圧印加装置18と電気的に接続されたイオン引出電極を有するイオン取込部7に近づく。この際に、液体は、電圧が印加された液体自身の電位と電圧印加装置18により電圧が印加されるイオン引出電極による電位との間の電位差(好ましくは0.1kV以上10kV以下、より好ましくは3kV以上5kV以下)により、プローブ1のイオン取込部7側の側面に移動し、テイラーコーン5を形成する。ここで側面とは、エレクトロスプレーが発生する箇所を意味している。図1にはプローブの長軸方向を形成する連続面にテイラーコーン5が形成されているが、この位置はイオン取り込み部7と液体の間の電界、およびプローブ1の液体との濡れ性等により影響を受けるため、これ以外の面を含む位置にテイラーコーン5が形成されても良い。
テイラーコーン5の先端部分では電界が大きくなり、混合溶液からエレクトロスプレーが発生し、微小な帯電液滴6が発生する。電界の大きさを適当に設定することで、帯電液滴がレイリー分裂を生じ、特定の成分のイオンを発生させることができる。帯電液滴やイオンは気流の流れと電界に従ってイオン取込部7へと導かれる。このとき、テイラーコーンを形成する溶液の周囲の電界が大きくなるように、プローブの振動はイオン取込部7に近接する方向への運動を含むことが好ましい。
ここで、レイリー分裂とは帯電液滴6がレイリー極限に達し、帯電液滴中の過剰な電荷が、二次液滴として放出される現象のことをいう。液体がテイラーコーンを形成し、テイラーコーンの先端部分から帯電液滴が含まれるエレクトロスプレーが発生し、レイリー分裂が生じている間に、帯電液滴に含まれる成分が気相イオンとして発生することが知られている。また、エレクトロスプレーが発生するしきい電圧VcはVc=0.863(γd/ε0)0.5(γ:液体の表面張力、d:液体とイオン引出電極間の距離、rc:プローブの流路の開口部の半径、ε0:真空の誘電率)であることが知られている。(J.Mass Spectrom.Soc.Jpn.Vol.58、139−154、2010)
イオン取込部7は、エレクトロスプレーによる帯電した液滴から、溶媒を蒸発させ、イオンを発生させるために室温から数百度の間の特定の温度に加熱され、さらに電圧が印加されている。このとき、イオンが発生するように適切な電界が生じるように、電界発生手段である電圧印加装置18から液体に印加される電圧と電圧印加装置18によりイオン引出電極に印加される電圧とを調整する必要がある。電圧印加装置12からの電圧としては、直流電圧、交流電圧、パルス電圧若しくはゼロボルトのいずれか又はそれらの任意の組み合わせを用いることができる。なお、イオンを発生させるための電界は、プローブ1の導電性部位に印加した電位と、イオン取込部7の電位と、液体とイオン取込部7との距離により規定される。そのため、イオン化したい物質や溶媒の種類に従って、適切な電界が生じるように、これらを設定する必要がある。
その後、イオンはイオン取込部7と接続されている質量分析部17へ差動排気系を通じて導入され、そこでイオンの質量電荷比が計測される。質量分析部17としては、四重極型質量分析計、飛行時間型質量分析計、磁場偏向型質量分析計、イオントラップ型質量分析計、イオンサイクロトロン型質量分析計など任意のものを利用することができる。また、イオンの質量電荷比(質量数/電荷数、以下m/zと記す)とイオンの発生量の相関を計測することで、質量スペクトルを得ることもできる。
また、基板上に試料を固定してイオン化する場合、試料ステージ制御装置10によりXYステージ8の位置を変化させることにより、試料のうちイオン化される位置の座標を制御することができる。さらにイオン化した位置の座標(位置の情報)と、得られた質量スペクトルとを対応付けることで、質量スペクトルの二次元分布を得ることができる。この方法で得られるデータは、イオン化された位置の座標(X座標およびY座標)及び質量スペクトルにより構成される3次元データとなる。異なる位置でイオン化及び質量スペクトルの取得を行った後に、任意の質量電荷比のイオン量を選択し、その分布を表示することで、成分ごとの質量イメージを得ることができ、試料表面の特定の成分の分布を捉えることもできる。試料の移動方法は、プローブ1により形成される液架橋4が、固体試料3の測定したい任意の平面内を走査するように設定すればよい。
画像形成部22は、固体試料3の表面におけるイオン化すべき部分を特定し、言い換えれば、質量分析部が分析すべき部分を特定し、その部分にある物質が液架橋4を介してテイラーコーン5に含まれるようにXYステージ8およびZステージ9によって固体試料3を移動させることができる。
画像形成部22および変位演算装置23は、例えばコンピューターである。
画像形成部22は少なくとも、イオン数計測器21からの信号が入力されており、試料ステージ制御装置10、11への信号が出力される。
変位演算装置23は少なくとも変位センサからの信号が入力されており、電圧印加装置12、試料ステージ制御装置10、11への信号が出力される。
プローブ1が固体試料3の表面を走査する場合には、プローブ1の移動と、イオン化とイオン数の計測の工程が交互に実施される。このときに、画像形成部22、および変位演算装置23の設定を行うことで、事前に設定された特定の回数のイオン化およびイオン数の計測が実施された後に、プローブの走査が実施されるようにすることができる。この方法により、3次元データの定量性を向上し、質量イメージの各座標におけるイオン量を定量的に比較できるようになる。プローブが試料表面を走査する走査手段は、プローブと試料表面とを相対的に走査できる走査手段であれば良い。上述のようにプローブ位置を固定した状態で試料ステージを移動させる手段であっても、試料を固定した状態でプローブを移動させる手段であっても良い。
本実施形態に係る質量分析部が有する画像形成部22は、画像形成部22内部の固体試料3の分析位置(固体試料3のうちの分析される部分)の情報と、前述した本実施形態に係るイオン数計測器21から得られる質量の情報(質量スペクトル)と、から固体試料3に含まれる物質の分布を画像表示するための画像情報を形成する。
本実施形態に係る画像化システムは、前述した本実施形態に係る質量分析部と、画像表示部と、を有する。
画像形成部22の出力部から出力された画像情報は、画像形成部22と接続する出力部(フラットパネルディスプレイなどの表示装置24)に入力され、画像が表示される。画像情報は、二次元画像でも三次元画像でも良い。出力部は、プリンターなどの画像を形成する手段でも良い。
このように、固体試料3の特定の位置の質量分析結果に基づき、固体試料3の特定の位置から溶解し液架橋4に含まれる物質を知ることができる。この特定の位置を固体試料3の表面の面内で変え、各々の位置で質量分析を行うことで得られる質量スペクトルのデータと、特定の位置の情報を組み合わせることで、固体試料3の物質の分布(多くの場合、試固体試料3の表面における物質の分布)がマッピングされ、画像として表示される(重畳表示される)。
表示される物質は位置だけでなくその量も表示され、量の違いは色あるいは明るさで表示される。また、固体試料3中に分析される物質が複数存在する場合は、物質の各々を異なる色で表示し、各物質の量の違いを明るさで表示した画像とすることもできる。また、試料2の予め取得した顕微鏡画像と、取得した試料2の質量に関する画像とを重ね合わせて表示することもできる。
(第二の実施形態)
以下に、同期回路を用いた実施形態を説明する。
プローブ3の振動、およびステージの振動のタイミングと、ゲート信号を同期させるには、プローブおよびステージの振動制御用信号、または変位センサ16および変位センサ20の出力信号との同期信号を生成するための回路を利用することが望ましい。
そのような調整を行うことができる同期回路、および同期回路の出力信号により制御される装置、同期回路への入力信号を生成する装置の一例を図5に示す。
図5に示す同期回路は、基準クロック発生装置101、変位演算装置23、信号選択用スイッチ102、ゲート信号生成回路103から構成される。変位演算装置23は、プローブの振動制御信号を生成する回路と固体試料の振動制御信号を生成する回路とを有している。
また、同期回路の出力信号により制御される装置は、電圧印可装置12、振動提供手段2、プローブ1、試料ステージ制御装置11、Zステージ9、データ取得装置108で構成される。データ取得装置108は、イオン数計測器104、一次メモリ105、データフィルタ106、ストレージ107から構成される。
また、同期回路への入力信号を生成する装置は、変位センサ16、変位センサ20から構成される。
ここで示す同期回路を実装する場合には、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(application specific integrated circuit)を使用した例を示した。これらを用いることで、複数の制御回路(23、101、102、103)を集積回路上に実装し、それらの制御タイミングを高速かつ正確に調整することが可能になる。
変位演算装置23では、変位センサ16および変位センサ20から出力された電気信号からプローブおよびステージの振動の周波数、振幅、位相が計測される。また、プローブ1およびZステージの振動を制御するための信号を、電圧印可装置12および試料ステージ制御装置へ出力する。この電圧信号は三角波、矩形波、サイン波、コサイン波のいずれかである。プローブの振動用の変位演算装置には、プローブの振動を制御する信号を生成する回路が、Zステージ用の変位演算装置には、Zステージの振動を制御する信号を生成する回路が内蔵されている。変位演算装置23はプローブおよびZステージの各々に対して独立した回路として設けることも、同一の回路基板に実装することもできる。
変位演算装置23には、プローブおよびZステージの実際の振動に対応する、変位センサ16および変位センサ20から出力された信号と、基準クロック発生回路101から発生する基準クロックに基づいて生成される電圧信号との間の位相差をゼロにするために、フィードバック回路が内蔵されており、この回路が駆動することで、一定の周波数および位相差でプローブおよびZステージを振動させる。このような駆動機構は、一般的にPLL(Phase Locked Loop)として知られている。さらに、PLL用の回路内部に遅延補償回路を設けることによって、基準信号に対して任意の遅延時間をもつ電圧信号を生成することもできる。
変位センサ16および変位センサ20、変位演算装置23からの出力信号は、信号選択用スイッチ102へも入力される。ここで変位センサまたは変位演算装置の出力信号のいずれかの信号が選択され、ゲート信号生成回路103へ入力される。
ゲート信号生成回路103では、入力信号を基準信号として、基準信号の電圧値が任意の閾値を超える時間に、特定の電圧信号が出力されるように設定することができる。また、任意の遅延時間を設け、閾値を超える時間の前後に電圧の出力が延長されるように設定することもできる。ここでは、基準信号が閾値よりも大きくなる時間に、イオン化が発生する場合について述べたが、変位センサおよび変位演算装置23の出力信号の極性が反転している場合には、基準信号の電圧値が閾値よりも小さくなる時間に、電圧信号が出力するように設定することもできる。電圧信号は正電圧・負電圧・0ボルトのいずれかである。
ゲート信号生成回路103で生成される出力信号は、イオン数計測器104のゲート電圧信号として入力される。ゲート信号が出力されている期間に対応して、イオン数計測器104が動作するように設定される。
次に、イオン数計測器104からの電圧信号をデジタルデータとして収録する方法を述べる。イオン数計測器104からの信号はアナログ/デジタル変換を経て、一次メモリ105に一定時間保存される。計測すべきイオン種に対応した計測データを選別し、HDDやSSDなどのストレージ107に保存される。このデータを選別する工程はデータフィルタ106内でプログラム的に処理された後に、新しいデータがメモリに上書きまたは別の領域に保存される。データを選別した後にストレージに保存することで、データの総量を削減することができ、事前に計測対象のイオンが決まっている場合には適用することができる。一方、未知のイオンの検出を行う場合には、イオン数計測器106で得られた全データをストレージ107に保存することもできる。
また、上記の同期方法は、プローブおよびZステージの両方が振動している場合の同期方法を説明するものであるが、プローブまたはZステージのいずれかが振動している場合には、プローブまたはZステージの振動に関する変位演算装置23、および後段の制御装置停止し、駆動している変位演算装置および変位センサからの出力信号を信号選択用スイッチ102に入力し、ゲート信号を生成すればよい。
1 プローブ
2 振動提供手段
3 固体試料
4 液架橋
5 テイラーコーン
6 帯電した液滴
7 イオン取込部
8 XYステージ
9 Zステージ
10 試料ステージ制御装置
11 試料ステージ制御装置
12 電圧印加装置
13 液体供給手段
14 電圧印加装置
15 光源
16 変位センサ
17 質量分析部
18 電圧印加装置
19 光源
20 変位センサ
21 イオン数計測器
22 画像形成部
23 変位演算装置
24 表示装置

Claims (13)

  1. 試料を保持するための保持台と、
    前記試料のイオン化する部分を決めるためのプローブと、
    前記試料がイオン化したイオンを引き出す引出電極と、
    前記試料と前記プローブとの間に液架橋を形成するための液体を供給する液体供給手段と、
    前記プローブまたは前記保持台を振動させる手段と、
    前記プローブと前記引出電極との間で電界を発生させる電界発生手段と、
    前記引出電極によって引き出されたイオンを質量分析する質量分析部と、
    前記部分のイオンが発生する時間と、前記質量分析部が前記イオンを計測する時間とを同期させるための同期手段と、
    を有することを特徴とする質量分析装置。
  2. 前記プローブまたは前記保持台を振動させる手段を有しており、
    前記同期手段が、前記振動手段による振動と、前記質量分析部が前記イオンを計測する時間とを同期する手段である請求項1に記載の質量分析装置。
  3. 前記振動手段が、プローブを振動させる手段および前記保持台を振動させる手段を有しており、前記同期手段が、前記プローブを振動させる手段、前記保持台を振動させる手段、および前記質量分析部が前記イオンを計測する時間とを同期させる手段である請求項1または2に記載の質量分析装置。
  4. 前記振動手段によって、前記試料のイオン化する部分において前記液架橋を形成する時間と、前記部分のイオンが発生する時間と、を交互に生ぜしめる請求項2または3に記載の質量分析装置。
  5. 前記同期手段が、前記イオンが発生する時間と、前記振動するプローブの一端が前記引出電極に近接する時間とを同期させる手段である請求項2から4のいずれかに記載の質量分析装置。
  6. 前記同期手段が、前記イオンが発生する時間と、前記保持台が振動している時間とを同期させる手段である請求項2から4のいずれかに記載の質量分析装置。
  7. 前記同期手段が、前記イオンが発生する時間と、前記保持台が前記引出電極に近接する時間とを同期させる手段である請求項2から4のいずれかに記載の質量分析装置。
  8. 前記プローブと前記保持台の少なくとも一つの振動の振幅および振動周波数を計測するための計測手段を有する請求項2から7のいずれかに記載の質量分析装置。
  9. 前記同期手段が、前記計測手段の信号と同期するように、質量分析部のイオンの計測を制御するためのゲート信号を発生する手段である請求項8に記載の質量分析装置。
  10. 前記プローブと前記試料の表面とを相対的に走査する走査手段を有する請求項1から9のいずれかに記載の質量分析装置。
  11. 請求項1から10に記載の質量分析装置と、
    前記質量分析装置によって分析された質量の情報と、
    前記試料における位置の情報とから、
    試料に含まれる物質の成分の分布を画像化するための画像情報を形成する画像形成部と、前記画像情報を出力する出力部と、
    を有する画像化システム。
  12. 試料をイオン化して質量分析を行う質量分析方法であって、
    試料のイオン化する部分にプローブを近接または接触させ、前記試料と前記プローブとの間に液架橋を形成する工程と、前記プローブに付着する液体からイオンを発生させ、質量分析を行う質量分析部に導く工程と、前記イオンを質量分析する工程と、
    を有し、前記プローブによって決められた部分のイオンが発生する時間と、前記質量分析部が前記イオンを計測する時間とを同期させることを特徴とする質量分析方法。
  13. 前記プローブまたは前記保持台を振動させることで、前記イオンが発生する時間と、前記液架橋を形成する時間とを生ぜしめる請求項12に記載の質量分析方法。
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