JP5955033B2 - イオン化方法、質量分析方法、抽出方法及び精製方法 - Google Patents

イオン化方法、質量分析方法、抽出方法及び精製方法 Download PDF

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Description

本発明は、物質のイオン化方法およびこれを用いた質量分析方法に関する。また、本発明は、物質の抽出方法、精製方法に関する。
成分分析法の一つである質量分析法は、試料中の成分をイオン化し、その質量電荷比(質量数/電荷数)を計測、分析する方法である。
近年、固体試料表面に存在する成分の分布を画像化する技術が開発されている。特定の成分の分布を質量画像として可視化することで、試料の状況を判断することができる。このような技術の一例として、ガン組織を有する病理検体の質量画像を元に、病理診断の根拠となるデータを示す方法が開発されている。質量画像は、通常、複数の測定点で試料をイオン化し、発生したイオンの質量電荷比をそれぞれの測定点ごとに求め、試料表面の位置とイオンの情報を対応づけることにより取得する。そのため、得られる分析結果の空間分解能を向上するために、試料表面の微小領域をイオン化する技術が求められている。
固体試料表面の微小領域に溶媒を付与して当該微小領域に存在する成分を溶解し、溶解した成分を大気圧環境下でイオン化する方法が提案されている(非特許文献1)。この方法では、固体試料中の成分を溶解するための溶媒を試料の表面に提供するための第一のキャピラリと、成分が溶媒に溶解した混合溶液をイオン化部分まで移動させるための第二のキャピラリとが用いられている。固体試料の表面に二本のキャピラリが近接した状態で、第一のキャピラリから溶媒が提供されることで、二本のキャピラリの先端部と試料表面との間に液架橋が形成される。この液架橋において固体試料の接触部分のみが溶解された後に、第二のキャピラリに導入される。溶媒には高電圧が印可されており、第二のキャピラリの先端部でイオン化される。この方法を用いることで、微小領域のイオン化が可能となる。また、大気圧環境下でイオン化をすることにより、計測時間の短縮化および装置の小型化が可能となり、数多くの試料の分析を行う際に有利である。
また、試料が溶解した混合溶液に表面弾性波を照射することにより、含有する成分を大気圧環境下でイオン化する方法が提案されている(特許文献1)。この方法では、溶媒に試料が溶解している混合溶液を基板上に配置し、そこに表面弾性波を照射することで液体が霧化され、その後試料がイオン化される。さらに、特許文献1によれば、混合溶液に対して電圧を印可することで、イオン化効率を向上できると述べられている。
なお、生体組織などの生物由来の材料の質量分析において、生体成分を多価イオンとして検出する技術も求められている。検出対象となる成分の分子量が比較的大きい場合、多くの電荷を付与することで質量電荷比を小さくすることで、検出可能な質量電荷比が小さい検出器でも成分の検出が容易になる。
国際公開第2011/060369号
非特許文献1に開示されている方法では、液架橋と固体試料の接触面積が、質量分析が実施される領域になるので、この面積を小さくするためには、液架橋を小さくする必要がある。しかしながら、この方法では、二本のキャピラリの先端部の最近接距離よりも小さなサイズの液架橋を作ることが困難であり、イオン化する領域を小さくすることによる空間分解能の向上が困難であるという課題がある。さらに、二本のキャピラリを物理的に近接させるためには、これらを精度良く合わせるための仕組みが別途必要になり、装置を構成する部品点数が増加し、装置自体も複雑なものになるという課題がある。
特許文献1に開示されている方法は、被測定成分が事前に溶媒に溶解した混合溶液を測定対象としており、固体試料の一部をイオン化することは困難である。また、この方法では多価イオンの価数が従来のエレクトロスプレー法と比較して小さいという問題もある。
以上述べたように、大気圧環境下で固体の特定の領域から生体分子などの有機成分を多価イオンとして効率よく検出する方法はいずれの文献にも開示されていない。
本発明のイオン化方法は、液体に含まれる物質のイオン化方法であって、(i)プローブから基板上に液体を供給し、該プローブと該基板との間に該物質を含む液体による液架橋を形成する工程と、(ii)前記基板を振動させる工程と、(iii)前記液体が接する前記プローブの導電性部位とイオン引き出し電極の間で電界を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、液体に含まれる微小な量の物質を大気圧環境下で容易にイオン化することができるようになる。
本発明の第一の実施形態を説明する図。 本発明の第二の実施形態を説明する図。 本発明の第三の実施形態を説明する図。 本発明の第四の実施形態を説明する図。 本発明の第五の実施形態を説明する図。 本発明の第一の実施例で、液架橋の近傍を観察した結果を表す図。 本発明の第二の実施例で得られた結果を表す図。 本発明の第三の実施例で得られた結果を表す図。 本発明の第四の実施例で得られた結果を表す図。 本発明の第五の実施例で得られた結果を表す図。 本発明の第六の実施例で、液架橋の近傍を観察した結果を表す図。
以下、本発明の方法について図面を示して説明する。本発明を実施する形態の一例を図1に示す。図1において、1は基板、2は液体が通過する流路を内部に有するプローブ、3は基板1とプローブ2の間に形成された液架橋、4は質量分析装置にイオンを取り込むためのイオン引き出し電極を有するイオン取込部、5は基板3を振動させる振動提供手段、6は振動提供手段5およびプローブ2を支持する試料ステージを示す。7は電流・電圧増幅器、8は信号発生器、9はプローブ2に液体を提供する液体供給装置、10は電圧印加装置、11は導電性の流路、12は試料ステージ制御器、13は質量分析装置、14は電圧印加装置、15はテイラーコーン、16は帯電した微小液滴である。
本発明においては、まず、液体供給装置9から供給された液体が基板1とプローブ2との間で液架橋3を形成する。さらに、液架橋3が、振動提供手段5による基板1の振動と電圧印加装置10及び電圧印加装置14による電位勾配とによって、帯電した微小液滴16となることにより、測定対象の成分をイオンとしてイオン取込部4に取り込むことが可能となる。
すなわち、本形態においては、プローブが基板上への液体の付与手段であり、基板上の物質の取得手段であり、イオン化のための好適な位置への液体の移送手段であり、イオン化のためのテイラーコーンの形成手段となっている。
液体供給装置9は、基板3上に固定された試料に含まれる被分析物を溶解するための溶媒又は被分析物と被分析物を溶解している溶媒との混合溶液(以下、これらの溶媒と混同溶液とをあわせて単に液体と記す)を供給する。液体供給装置9から供給された液体は、導電性の流路11を経由してプローブ2内部の流路へと導かれ、その際に、導電性の流路11を介して電圧印加装置10から液体に電圧が印加される。液体には直流電圧、交流電圧、パルス電圧又はゼロボルトのいずれかが印加される。
なお、本実施形態において、プローブとは、プローブ2の内部の流路や接続用配管に導電性の流路11の全部又は一部分が包摂されている場合は、これらの総称を意味する。また、プローブ2の内部の流路や接続用配管に導電性の流路11が包摂されていない場合にも、本実施形態におけるプローブは、広義には、これらの総称を意味する。すなわち、プローブを形成する素材の少なくとも一部分が導電性であればよい。導電性を有する材料には、金属・半導体などが挙げられるが、電圧印加装置から電圧が印加された場合に、再現性のある一定の電圧値を示す性質を有するものであればいかなるものでもよい。つまり、本実施形態において、プローブの導電性部位に電圧を印加することで、液体に電圧を印加している。
本実施形態でプローブに電圧を印加するとは、後述のイオン引き出し電極の電位とは異なる電位を、プローブの少なくとも一部分を形成する導電性部位に付与し、プローブの少なくとも一部分を形成する導電性部位と後述のイオン引き出し電極の間で、電界を形成することを意味する。この電界が達成される限りにおいて、ここで印加される電圧がゼロボルトであってもよい。流路11の材料は導電性の物質であれば良く、例えばステンレス・金・白金などを用いることができる。
プローブ2、導電性の流路11及び液体供給装置9を接続する接続用配管としては、例えば、シリカキャピラリやメタルキャピラリ等の細管などの、微小体積の液体を供給する細管を利用することでき、その電気伝導性は絶縁体・導電体・半導体のいずれであってもよい。なお、導電性の流路11は、液体供給装置9から供給された液体がプローブ2内部を通り、液体供給装置9とは反対側のプローブ2の先端まで導かれる流路の一部分を構成すればよく、その位置は特に限定されない。例えば、プローブ2の内部の流路や接続用配管に導電性の流路11の全部又は一部分が包摂されていても良く、このような構成として、ステンレス線、タングステン線、白金線などの導電性物体がシリカキャピラリに挿入されたプローブなどを用いることができる。
プローブ2そのものが導電体の場合、導電性の流路11に印加された電圧がプローブ2に伝播し、プローブ2内部の流路の液体に電圧が印加される。このような実施形態の詳細は、本明細書の第二の実施形態に記載されている。一方、プローブ2が絶縁体の場合、導電性の流路11に印加された電圧はプローブ2に伝播することができないが、流路11に流れる液体に電圧が印加され、その液体がプローブ2に導入されるため、プローブ2に電圧が伝播されていない場合にも、液体に電圧を印加し、液体を帯電させることになる。
液体供給装置9から供給された液体は、プローブ2の先端から基板1上へと提供される。このとき、試料を基板上にあらかじめ固定化しておき、基板1上の試料に含まれる被分析物としての特定の成分をプローブ2から提供された溶媒に溶解させてもよいし、あらかじめ被分析物が溶媒と混合された混合溶液を基板1上に提供してもよい。また、複数の種類の液体を用いてもよい。
本発明は、プローブ2と基板1とが液体を介してつながった状態で基板1に振動を付与し、さらにプローブ2とイオン引き出し電極との間で電界を形成して、物質をイオン化させる工程を有する。2つの物体が液体を介してつながった状態は、一般に液架橋と呼ばれる。本実施形態において、液架橋3とは、プローブ2から提供された液体が、少なくとも、プローブ2及び基盤1の両方に物理的に接触している状態のことをいう。なお、本発明の液架橋は基板1及びプローブ2のみに接触している状態に限られるものではなく、液架橋に基板1及びプローブ2以外の物体が接触していても構わない。プローブ2から提供される液体は、連続的または断続的に基板1上に提供される。プローブ2は必ずしも基板1に接触する必要はないが、液架橋3を安定して形成するためには接触していても構わない。
すなわち、(i)プローブから基板上に液体を供給し、該プローブと該基板との間に該物質を含む液体による液架橋を形成する工程と、(ii)前記基板を振動させる工程と、
(iii)前記液体が接する前記プローブの導電性部位とイオン引き出し電極の間で電界を形成する工程と、を有する。
そして、(i)工程、(ii)工程および(iii)工程を、簡便な構成で同時に行うことができる。
図1では、基板1は振動提供手段5に支持されており、振動提供手段5から基板1に振動が提供される。図1には、基板1が振動提供手段5に固定化されている状態が示されているが、基板1が振動可能であり、振動することで液架橋4に振動を提供することができれば、基板1と振動提供手段5が離れていてもよい。
基板1の振動は、連続的振動・断続的振動のいずれであってもよい。流路11を通じて電圧を印加された液体が液架橋3を形成しているときに基板1が振動するよう、液体に電圧を印加するタイミングと基板1を振動させるタイミングを調整することが望ましい。振動提供装置は電流・電圧増幅器7及び信号発生装置8と電気的に接続されており、信号発生装置8で生成した任意の波形の信号を電流・電圧増幅器7に入力することで、高電圧の信号を生成することができる。その際、電流・電圧増幅器7から出力される電圧値を変更することにより、振動の振幅を任意の値にすることができる。
また、振動は、常に提供してもよいし、振動状態及び非振動状態が交互に生じてもよい。振動状態および非振動状態が交互に生じる場合は、それぞれの状態の長さを任意に変更することができる。ただし、プローブ2から基板1上に断続的に液体を提供する場合は、液架橋を形成した液体に振動が伝わるように振動状態及び非振動状態の長さを変更することが望ましい。
液架橋3を形成する液体は、振動され、さらに、電圧が印可されたプローブと電圧印加装置14により電圧が印加されるイオン引き出し電極との間の電位勾配により、プローブ2のイオン取込部4側の側面に移動し、テイラーコーン15を形成する。テイラーコーン15の先端部分では電位勾配が大きくなり、混合溶液から微小な帯電液滴16が発生する。電位勾配の大きさを適当に設定することで、レイリー分裂が生じ、帯電液滴16から特定の成分のイオンが発生し、気流の流れと電位勾配に従ってイオン取込部4へと導かれる。イオン取込部4は室温から数百度の間の特定の温度に加熱され、電圧が印加され、さらに排気用ポンプと接続されている。このとき、レイリー分裂が生じイオンが発生するように適切な電位勾配が生じるように、電圧印加装置10からプローブに印加される電圧と電圧印加装置14によりイオン引き出し電極に印加される電圧を調整する必要がある。電圧印加装置14からの電圧としては、直流電圧・交流電圧・パルス電圧・ゼロボルトのいずれかもしくはそれらの組み合わせを用いることができる。なお、レイリー分裂が生じるための電位勾配は、プローブに印加した電位と、イオン取込部4の電位と、液体とイオン取込部4との距離により規定される。そのため、イオン化したい物質や溶媒の種類に従って、適切な電位勾配が生じるように、これらを設定する必要がある。ここで、レイリー分裂とは帯電液滴6がレイリー極限に達し、帯電液滴中の過剰な電荷が、二次液滴として放出される現象のことをいう。レイリー分裂が生じている間に、帯電液滴6に含まれる成分が気相イオンとして発生することが知られている。(J.Mass Spectrom. Soc. Jpn.Vol.58、139−154、2010)
イオン取込部4とプローブ2、イオン取込部4と基板1の距離はそれぞれ任意に変更することができるが、テイラーコーンを安定に形成することができるための条件を満たすことが好ましい。また、プローブ2の基板1に対する角度は0度以上90度以下、イオン取込部4の基板1に対する角度は0度以上90度以下であることが望ましい。ここでプローブ2の基板1に対する角度とは、プローブ2の線分を含む平面が基板1に対して直交する場合に、この平面と基板1の交線とプローブ2の線分がなす角の大きさのことをいい、イオン取込部4の基板1に対する角度とは、イオン取込部4の線分を含む平面が基板1に対して直交する場合に、この平面と基板1の交線とイオン取込部4の線分がなす角の大きさのことをいう。キャピラリの線分とはキャピラリの長軸に並行な線分であり、イオン取込部4の線分とはイオン取込部4がイオンを取り込む方向の軸に並行な線分である。プローブ2およびイオン取込部4は必ずしも直線である必要ななく、曲線の形状を有しても構わないが、この場合の線分はプローブ2が基板に近接している先端部分、イオン取込部4が基板に近接している先端部分の、直線であると近似できる部分を線分とすることとする。本発明者の検討によれば、プローブ2の角度は20度から40度、イオン取込部4の角度は30度から50度が適切であったが、この大きさに限定されるものではなく、テイラーコーンがキャピラリ先端部分で安定して形成される条件であれば、イオンは安定して発生すると考えられる。
その後、イオンはイオン取込部4と接続されている質量分析手段へ差動排気系を通じて導入され、イオンの質量電荷比が計測される。質量分析装置には四重極型質量分析計、飛行時間型質量分析計、磁場偏向型質量分析計、イオントラップ型質量分析計、イオンサイクロトロン型質量分析計などを利用することができる。また、イオンの質量電荷比(質量数/電荷数、以下m/zと記す)とイオンの発生量の相関を計測することで、質量スペクトルを得ることもできる。
テイラーコーン15のサイズは液体の流量、液体の組成、プローブ2の形状、基板1の振動、電位勾配の大きさなどにより変化する。テイラーコーン15が非常に小さい場合、その形態は顕微鏡などで確認されない場合があるが、イオンが安定的に発生していればよい。
本実施形態においては、液体の流量や基板1の振動を制御して液架橋3の形成時間を調整することで、液架橋4を構成する液体の容量を容易に制御することができる。そのため、あらかじめ被分析物が溶媒と混合された混合溶液をプローブから提供する際は、イオン化する被分析物の量を微細に調節することができる。また、基盤1上に試料を固定してプローブから提供する溶媒に溶解するときも、液架橋3の形成時間を調整することで、液架橋3が接する領域を小さくして、微小領域の成分のみをイオン化することが可能になるので、細胞等の生体物質の解像度の高い質量分析イメージングが可能となる。
また、基板上に試料を固定してイオン化する場合、試料ステージ制御装置12により基板ステージ6の位置を変化させることにより、試料のうちイオン化される位置の座標を制御することができる。イオン化された位置の座標と、得られた質量スペクトルとを対応付けることで、質量スペクトルの二次元分布を得ることができる。この方法で得られるデータは、イオン化された位置の座標(X座標およびY座標)及び質量スペクトルにより構成される3次元データとなる。異なる位置でイオン化及び質量スペクトルの取得を行った後に、任意の質量電荷比のイオン量を選択し、その分布を表示することで、成分ごとの質量イメージを得ることができ、試料表面の特定の成分の分布を捉えることもできる。試料の移動方法は、プローブ2により形成される液架橋3が測定したい任意の平面内を走査するように設定すればよい。
本発明の第二の実施形態において、図2に示すように、液体が通過する流路を内部に有するプローブを介して液架橋に電圧を印加しても良い。このとき、プローブ21は電圧印加装置10と電気的に接続されており、液体供給装置9から供給される液体にプローブ21を介して電圧が印加される。なお、上述の実施形態と同様に、プローブに電圧を印加するとは、イオン引き出し電極による電位とは異なる電位をプローブの少なくとも一部分を形成する導電性部位に付与して、レイリー分裂によるイオンの発生が可能な電界を、イオン引き出し電極とプローブの間に形成することを意味し、この電界が達成される限りにおいて、ここでプローブの少なくとも一部分を形成する導電性部位に印加される電圧がゼロボルトであってもよい。プローブ21の材料は導電性の物質であれば良く、例えばステンレス・金・白金などの金属、または金属が一部分を被覆しているガラスなどの誘電体を用いることができる。
また、本発明の第三の実施形態において、図3に示すように、プローブは液体が通過する流路を内部に有する必要はなく、液体供給手段9からの液体をプローブ表面に提供し、プローブ表面の一部分でイオンを発生させても良い。この形態において、液体供給手段9からは、インクジェット法、エレクトロスプレー法、エアジェット式スプレー法、滴下法などによりプローブ31の一部分に液体を提供し、液架橋3及びテイラーコーン15を形成することができる。なお、図3に示すようにプローブを電極としてプローブから液体電圧を印加してもよいし、図1のようにプローブに液体を提供する前に液体に電圧を印加してもよい。
また、本発明の第四の実施形態において、図4に示すように、複数の種類の液体を供給することができるプローブを用いても良い。図4において、プローブ41は、液体を供給する第一の流路42及び液体を供給する第二の流路43を有する。第一の流路42と基板1との間には液架橋3が形成される。一方で、第二の流路43の先端部は試料と接触しないように振動の振幅やプローブの角度を調整することで、第二の流路43から出た液体は液架橋を形成しないようにできる。なお、この時、流路42を流れる第一の液体及び流路43を流れる第二の液体には、それぞれ異なる導電性の流路を通じて、異なる電位を独立して与えることもできる。
液体を供給する第一の流路42及び液体を供給する第二の流路43には、別種類の液体を流してもよいし、同一種類の液体を流してもよい。例えば、別種類の液体を用いる場合、試料表面の成分を溶解する溶媒を第一の流路42に導入し、特定の成分と反応する分子種を含む溶媒を第二の流路43に導入することで、特定の成分を選択的にイオン化させることができる。
また、同一の液体を用いる場合、例えば、試料表面と接触し、液架橋を形成するための液体を第一の流路42及び第二の流路43に導入する。このとき、プローブ41の側面が第二の流路43から出た液体で常に洗浄されることにより、プローブ先端部分の側面の汚染を防ぎ、質量イメージの空間分解能の低下を防ぐことができる。
なお、ここで示したのは一例であり、上記流路の空間的な位置関係が異なっていても、3種類以上の流路を内包するプローブを用いても良い。
また、上記実施形態において、成分のイオン化に必要な電位勾配は、プローブに印加した電位と、イオン取込部4の電位と、液体とイオン取込部4の距離により調節しているが、本発明はこれに限られるものではない。本発明の第五の実施形態において、図5に示すように、液体の周囲に電位勾配を形成するための機構51を設けることもできる。本実施形態では、液架橋3に印加された電圧及び電極51に印加された電圧並びに液架橋3と電極51の距離により規定されるを、液体に含まれる成分のイオン化に用いる。電極51の形状はリング状、メッシュ状、ドット状・ロッド状などを用いることができる。
本実施形態においてイオン化の対象となる試料は、特に限定されることはない。脂質・糖・蛋白質などの高分子からなる有機化合物をイオン化の対象とする際には、本実施形態の方法によれば、これらの物質を容易にソフトイオン化することが可能となる。
また、本発明によれば、特に有機物を含有する試料中の成分を多価イオンに変換することができる。大きな分子量を有する生体成分に対して、価数の大きな多価イオンを形成することができると、計測可能な質量電荷比が小さい質量分析装置でも、生体成分を検出することができるようになるため、計測に関わるコストを削減できる。
また、イオンはそれぞれ固有の質量電荷比を有しているので、外部の電位勾配の強度を調整すれば、特定のイオンのみを分離することができる。すなわち、混合物中の特定の成分を抽出・精製することができる。例えば、培養細胞の破砕抽出物に含まれる複数の成分のうち、生体の特定の部位に親和性を有するタンパク質などのみを分離することができ、分離された特定の成分をある物質の表面に付与すれば、その成分の機能をその物質に付加することも可能になる。また、特定の疾患部位に特異的に反応する成分を薬剤表面に付与すれば、薬効を向上する効果が期待される。また、本発明の方法で分離・精製したタンパク質などの物質を、人工臓器などの生体内で使用される物体の表面に付与すれば、生体内での拒絶反応を抑制する効果も期待される。
特定の成分のみを分離する方法の一例として、複数のイオン種を真空チャンバ内に導入し、電位勾配による分離を行った後に、特定のイオン成分のみを真空チャンバ内の基板に集積する方法が挙げられる。この方法を用いれば、前記成分が集積された基板を真空チャンバから取り出し、適切な溶媒を用いて基板から当該成分を分離することができる。また、真空チャンバ内に人工臓器などの物体を設置し、分離されたイオンを直接付与する方法もある。
また、プローブ(液体供給手段)の一部分に突起物を設けることで、突起物に沿ってテイラーコーンが形成され、より安定してイオンを発生させることが可能になる。
また、振動の周波数を100Hz以上1MHz以下にすれば、さらに多くの電荷を成分に付与し、イオン化できるようになり、タンパク質などの大きな分子量の成分に多くの電荷を与えることで、低い電荷質量比でも成分を検出することができるようになる。さらに、振動を液架橋に付与することで、液架橋の体積を任意の状態に変更することができるようになり、液架橋の大きさを制御できるようになる。
以下、本発明の評価方法の実施例について、図を参照しながら詳細に説明する
(実施例1)イオン化装置の高速カメラによる観察
本発明の方法を用いて、液架橋が形成された状態、及びイオンが発生している状態を高速カメラで観察した結果を示す。図1の図表に記載されているプローブ、基板及びイオン取込部(MS Tube)を図6に示す。
図6(a)、(b)はそれぞれ低倍率および高倍率で液架橋の近傍を観察した結果である。ここでは混合溶液を提供する手段であるプローブとして外径は150マイクロメートル、内径は50マイクロメートルのシリカキャピラリがシリンジの金属針と接続された状態で用いられており、金属針に接続された電圧印可装置を通じて電圧が印可される。シリンジはシリンジポンプに固定されており、一定流量の液体をシリンジからプローブ先端部分に送出することができる。振動提供手段には共振周波数28kHzの圧電素子(PZT)を、基板にはポリテトラフルオロエチレン膜を、混合溶液には水・メタノール・蟻酸の混合物(水:メタノール:蟻酸=498:498:2)を利用した。質量分析装置は四重極型質量分析計である、TSQ7000(サーモフィッシャーサイエンティフィック)を用いた。図6(a)に示されるように、プローブの先端部とMS Tubeとの間の距離は約0.5ミリ、MS Tubeと基板の距離は約0.5ミリであった。図6(a)のプローブと基板のなす角は約50度、図6(b)のプローブと基板のなす角は約25度であった。混合溶液の流速は0.2マイクロリットル/分であった。MS TubeはTSQ7000と接続されており、接続部分に37.5Vの電位が印加され、温度が250度に設定された。
図6(b)において、キャピラリの下部と基板との間に形成された液架橋が明瞭に観察された。また、キャピラリ先端部の上部には混合溶液が三角形の形状を形成しており、その延長上に明るいコントラストの領域が存在していることが観察された。この部分がそれぞれテイラーコーンと微小液滴が発生している領域であり、混合溶液に提供された電位と、MS Tubeの電位との間の電位勾配により、混合溶液が静電的に力を受け、変形したものであると考えられる。テイラーコーンの先端部では電位勾配が集中し、帯電した微小液滴が放出されることが既に知られている(エレクトロスプレー法)。本検討においてはプローブに3kV以上の電圧を印加した場合にテイラーコーンの形成が認められた。図6(a)においても同様のテイラーコーンおよび微小液滴が発生していることを確認した。
この状況において、質量分析計による計測の結果、溶媒に由来するイオンが検出された。一方、キャピラリ先端部にテイラーコーンが形成されていない場合には、イオンはほとんど検出されず、検出されたとしてもイオンの発生は不安定であった。したがって、テイラーコーンの先端部分から帯電した微小液滴が放出され、液滴内部の成分がイオン化したと考えられる。このように、テイラーコーンが形成されると安定してイオン化が達成されることが分かった。
(実施例2)インスリン混合溶液の安定的イオン化法の検証
本発明の方法を用いて、生体成分をイオン化した場合の結果を示す。ヒトインスリン混合溶液(50nM、溶媒の体積比率は、水:メタノール:蟻酸=498:498:2)を、実施例1と同様のプローブを通じて基板に提供した。混合溶液の流速は0.2マイクロリットル/分、計測時間を5分に設定した。プローブに3kV以上の電圧を印加したところ、ヒトインスリンのイオンが検出された。そのほかの実験条件は実施例1の図6(b)に提示の内容と同様であった。
図7(a)には基板に振動を提供した場合、図7(b)には振動を提供しなかった場合のイオンの質量スペクトルをそれぞれ示す。各スペクトルは5分間の積算データであり、横軸は質量電荷比(質量数/電荷数)、縦軸がイオンのカウント数である。それぞれの質量スペクトルにおいて、1937、1453、1163m/zにピークが認められた。これらはそれぞれ3価、4価、5価の多価イオンに対応しており、ヒトインスリンに3個、4個、5個の水素イオンが付与したものと考えられる。基板に振動を提供した場合には、5価のイオン強度が最も高く、続いて4価、3価のピークの順にピーク強度が減少した。一方、振動を提供しなかった場合には4価のイオン強度が最も高く、続いて5価、3価の順にピーク強度が減少した。このことは、振動を提供することにより、ヒトインスリンイオンが有する水素イオンの量を増加することができることを示している。
さらに、本方法を用いてヒトインスリンのイオンを生成させたときの、イオン強度の時間変化を検討した結果を示す。図7(c)は基板に振動を付与した場合のイオン強度の時間変化を、図7(d)は振動を停止した場合のイオン強度の時間変化をそれぞれ示す。同図において、横軸は時間、縦軸は質量電荷比を示し、イオン量は濃淡で示している。すなわち、図7(c)と図7(d)中では、白く表示されているところほどイオン量が多いことを示している。振動を付与した場合には、質量電荷比が1937、1453、1163に対応する場所でイオン量が多くなっている。また、同じ質量電荷比でも横軸方向の濃淡の差が小さいことから、時間経過にかかわらず一定の量のイオンが検出されていることがわかる。一方で、振動を付与しなかった場合には、質量電荷比が1937、1453、1163に対応するイオン量は少ない。また、同じ質量電荷比の横軸方向の濃淡の差が大きく、検出されるイオン量の時間変動も大きくなっていることがわかる。このことから、振動を付与することにより、ヒトインスリンのイオンが安定的に生成することがわかった。さらに、得られたイオン量の総量を計測したところ、振動が無い場合と比較して、振動が付与された場合に約15%の増加が認められた。これは、液架橋への振動を付与することで、テイラーコーン先端部からのイオンの生成を促進する効果が発生したためと考えられる。このメカニズムとして、振動が帯電した液架橋を物理的に切断する作用および液架橋を構成する溶液と基板の界面で摩擦が発生し、帯電量が増加する作用が考えられる。
(実施例3)ESIとの比較
本方法と、生体成分のソフトイオン化法として知られているエレクトロスプレーイオン化法(Electro Spray Ionization;ESI)とを比較した結果を次に示す。サンプルには、ヒトインスリン混合溶液(50nM、溶媒の体積比率は、水:メタノール:蟻酸=498:498:2)およびウシ血清アルブミン混合溶液(BSA、500nM、溶媒の体積比率は、水:メタノール:蟻酸=498:498:2)を用いた。各々の混合溶液の流速を0.2マイクロリットル/分とし、本方法およびESI法の計測を行った。各々の方式の計測時間はそれぞれ3分間とし、積算したスペクトルの比較を行った。ESI法の計測には、質量分析装置(TSQ7000、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)に付属のイオン源と、窒素ガス(圧力0.8MPa)を利用した。本方法の実験条件は実施例1の図6(b)に提示の内容と同様である。
図8(a)と(b)にヒトインスリン混合溶液のマススペクトルを示す。(a)が本方法の、(b)がESI法の結果を示す。それぞれのスペクトルにおいて、1163m/zのピーク強度が最も大きく、5価の多価イオンが最も多く生成されていることがわかる。このピークの強度を比較すると、本発明のイオン化方法を用いることで、ESI法よりも48倍以上のイオンが検出されることが分かった。これは、イオン発生箇所から、イオン取り込み口までの距離が短く、より多くのイオンが質量分析装置へと導かれる作用および、振動により液架橋から脱離するイオン量を増加させる作用の両方の効果によると考えている。ESI法では発生したイオンのうち、質量分析装置へと導かれないイオンが相当量存在していると考えられる。すなわち、本イオン化方法を用いることで、質量分析装置に導かれないイオンの量を減少させることができ、結果的にイオンの検出感度を向上できたと考えられる。また、図7の結果のとおり、振動の付与によりイオンの発生量が増加したと考えられる。
次に、図8(c)から(h)にBSA混合溶液のマススペクトルを示す。(c)が本方法の、(d)がESI法の結果を示す。それぞれのスペクトルにおいて、BSAの多価イオンが検出された。多価イオンのピーク強度の分布はそれぞれの方法で異なり、本方法では40価イオンが、ESI法では48価イオンの強度が最も大きくなった。それぞれのイオン強度を比較すると、本方法の40価イオン強度がESI法の48価イオンより1.6倍程度大きいことがわかった。これはヒトインスリンの測定結果と同様に、イオン発生箇所からイオン取り込み口までの距離が短く、より多くのイオンが質量分析装置へと導かれた結果であると考えている。また、ESI法では、1000〜1300m/zの領域で明瞭なピークが検出されている。一方で、本方法では、800〜1000m/zの領域でいくつかのピークが検出され、そのうちひとつは76価イオンに対応していた。このことから本方法を用いることで、ESI法よりも多くの水素イオンをBSA分子に付与できると考えられる。
次に、本方法のイオン化効率に対する、プローブへの印加電圧の影響を検討した結果を示す。BSA混合溶液を使用し、プローブに3kV、4kV、5kVの電圧を印加した場合のマススペクトルを(e)(f)(g)にそれぞれ示す。そのほかの実験条件は実施例1の図6(b)に提示の内容と同様である。500〜800m/zの領域において複数のピークが検出され、ピーク強度は印加電圧を上げると大きくなった。5kVを印加した場合のスペクトルデータに対して、スムージング処理(隣接した10点の移動平均)をした結果を(h)に示す。(g)のスペクトルと比較して、ピークが明瞭に認められた。これらのピークは、BSAの多価イオンに対応していると考えられる。このようにESIよりも多くの電荷を付与できるメカニズムとしては、振動により液架橋中にキャビテーションが発生し、それに付随してBSAにより多くの水素イオンが付与された為であると考えられる。液体中にキャビテーションが発生すると、高温・高圧の気泡が形成されることが知られている。また、タンパク質が溶解した混合溶液中に振動を与えると、タンパク質の高次構造がほぐれることが知られている。このことから、本方法により、液架橋中に存在しているBSAの高次構造がほぐれ、多くの水素イオンがBSAに付与されると考えられる。このように、本方法は、従来のESIでは検出が困難な多価イオン、例えば、100価以上のイオンを検出できる可能性もある。
(実施例4)固体インスリンのイオン化法の検証
基板上の固体サンプルの成分分布を計測する方法について検討した結果を示す。試料は、ポリテトラフルオロエチレン基板上にヒトインスリン水溶液(1μM)を滴下、風乾することで作製した。基板上に、白色の固体微結晶が基板上を覆っていることを確認した。そのほかの実験条件は実施例1の図6(b)に提示の内容と同様である。キャピラリの先端部分と基板との間で溶媒の液架橋が形成されていること、テイラーコーンが形成されていることを、顕微鏡で確認しながら、基板を一軸方向に移動させ、発生したイオンのマススペクトルの時間変化を計測した。基板裏面に固定された振動子の周波数は約28kHzで、振動を14000回発生させた後に、同じ時間で振動を停止する動作を交互に行うように設定した。高速度カメラの観察とマススペクトルの計測から、振動が停止している際には液架橋が安定的に形成されること、また振動が発生している際にはイオンが安定的に発生することを確認した。
図9(a)にマススペクトルを示す。同図では、1937、1453、1163m/zにピークが認められた。これらはそれぞれ3価、4価、5価の多価イオンに対応しており、ヒトインスリンに3個、4個、5個の水素イオンが付与したものと考えられる。この結果から、基板上の固体試料がキャピラリから導入された溶媒に溶解し、その後テイラーコーンを経由してイオン化したと考えられる。スペクトルにおける各イオン強度の分布は、実施例3および実施例4におけるピーク強度の分布とは異なっており、4価、3価、5価の順にピーク強度が減少した。これは、事前に試料が溶媒に溶解した混合溶媒を用いた場合と比較して、本検討では固体試料が溶媒に溶解しイオン化するまでの時間が短く、ヒトインスリンに付与される水素イオン量が少なくなったためであると考えられる。
ここで検出された各々の多価イオンの強度の時間変化を図9(b)に示す。上から順に5価、4価、3価のイオン強度の時間変化を示している。用いた試料は基板表面の全面にヒトインスリン固体微結晶が存在しているにもかかわらず、0.5分から2.6分の時間においてのみイオンが検出された。これは、振動子の振動が発生している領域に対応しており、基板に対して振動を提供することで、固体試料が安定的にイオン化することを示す結果である。
(実施例5)固体BSAのイオン化法の検証
基板上の固体サンプルの成分分布を計測する方法について検討した結果を示す。試料は、ポリテトラフルオロエチレン基板上にBSA水溶液(1μM)を4箇所に滴下し、1分後に各々の余剰の水溶液を吸いとり、風乾することで作製した。基板上に円形の極薄膜が形成されていることを確認した。次に、溶媒(溶媒の体積比率は、水:メタノール:蟻酸=498:498:2)をキャピラリを通じて試料表面に導入した。溶媒の流速は0.3マイクロリットル/分で、プローブに3〜5kVの電圧を印加した。キャピラリの先端部分と基板との間で溶媒の液架橋が形成されていること、テイラーコーンが形成されていることを、顕微鏡で確認しながら、基板を一軸方向に移動させた。この際に、基板上の4つの極薄膜をすべて通過するように調整した。そのほかの実験条件は実施例1の図6(b)に提示の内容と同様である。
図10(a)に実験で用いた試料と基板の移動方向を示す図を示す。101は基板、102はBSAの極薄膜、103がキャピラリ、104が液架橋、105が基板の移動方向を示す矢印、106がイオンを質量分析装置に導入するための菅である。基板の振動を14000回発生させた後に、同じ時間で振動を停止する動作を交互に行うように設定された。発生したイオンの質量スペクトルを時間変化と共に計測した。質量スペクトルの計測範囲は1650から1680に設定した。これは40価のイオンのスペクトルが存在する領域に対応している。図10(b)に質量スペクトルを示す。1164に最大強度のピークが認められた。この1660から1680の領域で得られたイオンの時間変化を図10(c)に示す。4箇所のBSA薄膜を液架橋が通過する毎に、40価イオンが発生していることが分かった。このことから本方法を用いることで、固体試料の成分の分布を可視化することが出来ることがわかる。以上の実施例は、振動の周波数が28kHzの時の結果を示したが、周波数はこれに限られるものではなく、100Hz以上1MHz以下の周波数であればより良くイオン効率が向上される。
(実施例6)振動振幅による液架橋の大きさの制御
基板上の液架橋に与える振動の振幅と、液架橋の大きさの相関を検討した結果を示す。試料は、ポリテトラフルオロエチレン基板上に溶媒(溶媒の体積比率は、水:メタノール:蟻酸=498:498:2)をキャピラリを通じて試料表面に導入した。溶媒の流速は0.3マイクロリットル/分で、プローブに5kVの電圧を印加した。基板裏面に固定された振動子の周波数は約28kHzで、振動子に入力した電圧は0V、20V、30V(実効値)であった。そのほかの実験条件は実施例1の図6(b)に提示の内容と同様である。入力電圧に対して振動の振幅が増加し、実際の振幅はおよそ0.7、1.5マイクロメートル程度であることをレーザー変位計を用いて確認した。図11に液架橋近傍の高速カメラによる観察結果を示す。プローブの先端部分と基板の間に駅架橋が形成されている、図11(a)、(b)、(c)はそれぞれ入力電圧が0V、20V、30Vに対応している。スケールバーは100マイクロメートルである。それぞれの図中の矢印部分に液架橋が形成されていることが認められる。また、キャピラリ上部には薄いコントラストのスプレーも認められ、ここからイオンが発生していると考えられ、スプレーの開始点近傍にテイラーコーンが形成されていることが認められた。この観察結果は図6に示す実施例1の結果とは異なり、テイラーコーンの大きさが小さかった。この原因は、キャピラリ先端部分の形状が異なるためであると考えられる。キャピラリの切断方法には、ダイアモンドナイフが組み込まれたキャピラリカッターや、キャピラリにスクライバーで切断する方法が挙げられる。図11はスクレイバーで切断したキャピラリを用いた場合の結果であるが、図6ではキャピラリカッターを用いて切断したキャピラリを用いた場合の実施例を示しており、何れの場合においても、液架橋とテイラーコーンが形成されることを確認した。
(a)〜(c)を比較した結果、振幅の増加に伴い、液架橋の大きさが減少することが見出された。振動の振幅は、振動のエネルギーと対応していることから、振動エネルギーが液架橋に付与されることで、イオン化の発生量が増加し、液架橋を形成する溶液の体積が減少したためであると考えられる。このように、液架橋に付与する振動エネルギーを制御することで、イオン化を促進する効果に加えて、液架橋の大きさを制御し、イオン化する領域を調整できることが分かった。
1 基板
2 プローブ
3 液架橋
4 イオン取込部
5 振動提供手段
6 試料ステージ
7 電流・電圧増幅器
8 信号発生装置
9 液体供給装置
10 電圧印加装置
11 導電性の流路
12 試料ステージ制御装置
13 質量分析装置
14 電圧印加装置

Claims (16)

  1. 質のイオン化方法であって、
    (i)プローブの端部を基板の表面に近接させた状態で該プローブの端部から基板の表面に液体を供給し、該プローブの端部と該基板の表面との間に前記物質を含む液体による液架橋を形成する工程と、
    (ii)前記液架橋が形成された状態で前記基板振動を与える工程と、
    (iii)前記プローブと前記基板から離隔し該基板の表面に対向して配置されたイオン引き出し電極の間圧を印加して、前記プローブの端部で前記液体から前記物質に由来するイオンを放出させる工程と、
    を有することを特徴とするイオン化方法。
  2. 前記工程(ii)における振動の付与と前記工程(iii)における電圧の印加を同時に行請求項1に記載のイオン化方法。
  3. 前記液体前記プローブの端部でテイラーコーンを形成する請求項1または2に記載のイオン化方法。
  4. 前記液架橋が前記基板と前記端部の前記基板側の側面との間に形成され、前記テイラーコーンが前記端部の前記イオン引出電極側の側面に形成される請求項3に記載のイオン化方法。
  5. 前記工程(iii)において、前記液体の一部前記プローブの端部から帯電液滴として脱離する請求項1からのいずれか1項に記載のイオン化方法。
  6. 前記工程(iii)において、前記液体の一部前記プローブの端部に形成されたテイラーコーンから帯電液滴として脱離する請求項3または4に記載のイオン化方法。
  7. 前記帯電液滴はレイリー分裂を生じる請求項またはに記載のイオン化方法。
  8. 前記プローブは液体が通過する流路を内部に有する請求項1からのいずれか1項に記載のイオン化方法。
  9. 前記プローブは複数の前記流路を有する請求項に記載のイオン化方法。
  10. 前記プローブの表面を通して前記基板に液体を供給する請求項1からのいずれか1項に記載のイオン化方法。
  11. 前記物質は前記基板上に固定されており、前記液体は前記液架橋と該基板とが接触する領域で該物質を溶解ることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のイオン化方法。
  12. 前記プローブ前記基板を走査する請求項1から11のいずれか1項に記載のイオン化方法。
  13. 前記振動の周波数100Hz以上1MHz以下である請求項1から12のいずれか1項に記載のイオン化方法。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載のイオン化方法によってイオン化させた前記物質を質量分析手段に供給することを特徴とする質量分析方法。
  15. 請求項1から13のいずれか1項に記載のイオン化方法によってイオン化させた前記物質を電位勾配によって前記液体から分離することを特徴とする物質の抽出または精製方法。
  16. 基板振動を与えることが可能な基板保持手段と、
    該基板の表面に近接させて該基板の表面に液体を供給するための端部を有するプローブと、
    該基板から離隔し該基板の表面に対向して配置されたイオン引き出し電極と、
    記プローブと前記イオン引き出し電極の間印加するための電圧印加手段を含み
    前記プローブの端部と前記基板保持手段に保持された基板の表面との間にイオン化したい物質を含む液体による液架橋を形成した状態で、該基板保持手段が該基板に振動を与えるとともに、前記電圧印加手段が前記プローブと前記イオン引き出し電極との間に電圧を印加して、該液体に含まれる物質をイオン化するように構成されたことを特徴とする物質のイオン化装置。
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