JP3639906B2 - キャビティーとそのキャビティーを使用した共鳴超音波スペクトロスコピー装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャビティーとそのキャビティーを使用した共鳴超音波スペクトロスコピー装置に係り、特に、新素材を開発及び評価する際に試料の弾性率を測定するために使用するキャビティーとそのキャビティーを使用した共鳴超音波スペクトロスコピー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の共鳴超音波スペクトロスコピー装置には、試料を2個の圧電トランスデューサーで挟むタイプ(以下P型と略す)がある(例えば、特許文献1参照)。他に、従来の共鳴超音波スペクトロスコピー装置には、誘導渦電流に働くローレンツ力を励振に用い、渦電流の誘導起電力を振動の検出に用いる電磁超音波法(以下EM型と略す)もある。
【0003】
【特許文献1】
特許公表平10−505408号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
物体の弾性定数をより高確度で測定するには測定試料の温度安定度を良くすることが不可欠である。しかし、P型では試料が空間にオープンな状態で設置されていて温度制御が難しく、EM型では渦電流によるジュール発熱が絶えず試料を加熱して温度の不均一を生じさせるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、試料温度を安定に保ち高精度の弾性率測定が可能なキャビティーとそのキャビティーを使用した共鳴超音波スペクトロスコピー装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の共鳴超音波スペクトロスコピー装置は、少なくとも表面が導体である試料の性質を検出するための共鳴超音波スペクトロスコピー装置において、試料を振動させると共に、試料と組み合わせてLC回路と等価になるキャビティーと、試料とキャビティーの間に配置されて、試料とキャビティーを電気的に絶縁状態にする絶縁手段と、試料と組み合わせたキャビティーをLC回路の等価回路として作用させる周波数を有する第1周波数信号をキャビティーに出力する第1出力手段と、試料を振動させる周波数を有する第2周波数信号を試料及びキャビティーに出力する第2出力手段と、第2周波数信号に基づいて、キャビティーから出力される第1周波数信号の反射信号の振幅を検出する振幅検出手段を備えている。
【0007】
また、本発明のキャビティーは、少なくとも表面が導体である試料に絶縁物質を介して接するように配置されていて、所定の周波数信号を入力するキャビティーにおいて、試料との間で容量結合する第1突部と、試料との間で容量結合する第2突部と、第1突部と第2突部とを当該キャビティー内に空洞ができるように接続している接続部を備え、第1突部と第2突部はそれぞれの一端同士が電気的に接続されていて、それぞれの他端は互いに電気的に絶縁状態であり、第1突部の他端と第2突部の他端との結合容量は、試料と第1突部との結合容量及び試料と第2突部との結合容量のいずれよりも小さく、周波数信号を入力すると接続部が等価回路としてコイルになる。
【0008】
さらに、本発明のキャビティーは、少なくとも表面が導体であり第2周波数信号が入力される試料に絶縁物質を介して接するように配置されているキャビティーにおいて、第1周波数信号を入力する第1入力手段と、第2周波数信号を入力する第2入力手段と、当該キャビティー内に空洞ができるように形成され、導体から構成されていて、第1入力手段及び第2入力手段と接続している接続部を備え、第2周波数信号に基づいて試料を振動させ、第1周波数信号に基づいて試料との組合せでLC回路の等価回路として作用する。
【0009】
以上の構成によれば、発熱のほとんどない静電気力によって試料を励振することができ、さらに従来の装置と比べて測定部を小型にすることができるため、試料温度を非常に安定に保つことが可能になる。
また、本発明は、試料表面の振動状態を検出する場合に、試料表面とそれに対向させた電極(コンデンサーに等価)との間の電気容量変化の検出によって実行する。このようにコンデンサーによる電気容量の変化は高周波の共振回路を利用することにより、高感度で検出することが可能になる。
その結果、試料に大きな温度変化を生じさせることなく、試料の弾性率を高精度で測定することが可能になる。
【0010】
また、本発明の装置は、従来の装置と比べ測定時の試料にかかる応力が少ない、測定データーの解析にあたり共振モードの特定がしやすい等の長所がある。本発明は、現在製品化されて使用されている共鳴超音波スペストロスコピー測定装置に対し超音波の発生方法及び検出法が異なる新しい方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態に係るキャビティーとそのキャビティーを使用した共鳴超音波スペクトロスコピー装置を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る共鳴超音波スペクトロスコピー装置のブロック図である。
発振器11は、所定の周波数f0の周波数信号を発振する。試料14を測定している間、周波数f0は一定値に保たれている。試料14を測定する前に、周波数f0が設定される。さらに、発振器11は、発振した周波数信号を方向性ブリッジ12を介してキャビティー13に出力する。
方向性ブリッジ12は、キャビティー13に周波数f0の周波数信号を出力すると共にキャビティー13からの反射信号を検波器17に出力する。
【0012】
一方、発振器16は周波数f/2の周波数信号を発振する。この周波数fはコンピュータ19の指示により決定される。また、周波数fはコンピュータ19の指示により所定の周波数帯を掃引される。発振器16は、発振した周波数信号を電力増幅器15及びロックインアンプ18に出力する。ロックインアンプ18は、発振器16から出力された周波数信号を参照して検波を行う。
【0013】
電力増幅器15は、発振器16の出力である周波数信号の電力を増幅する。そして、電力増幅器15は、増幅された周波数信号を試料14及びキャビティー13に出力する。周波数信号の電力の増幅率は、スペーサー21が絶縁破壊しない程度に設定する。この周波数信号の電力が大きいほど、試料14が振動する振幅が大きくなり、ロックインアンプ18が振幅を検出しやすくなる。
【0014】
キャビティー13は、金属で構成されており、発振器11からの周波数信号により試料14も含めてLC回路になるような構造をしている。キャビティー13がLC回路として作用するためには、キャビティー13の大きさ、キャビティー13の材質によって発振器11が出力する信号の周波数を調整する必要がある。さらに、キャビティー13は、増幅された周波数信号を入力して、同様に増幅された周波数信号を入力した試料14との間で等価回路としてコンデンサーを形成する。コンデンサーは、電極間に電圧が印可されると、その電極間で引力が発生する。本実施形態では試料14とキャビティー13とに周波数f/2の交流電圧が印可されるので、試料14はコンデンサーの対向電極の方向に向かって面に垂直に働く電気力によって振動する。本実施形態では、図1に示されている試料14とキャビティー13の配置において、試料14は上下に振動する。したがって、試料14の内部に生じる主な共振モードは縦波である。
【0015】
試料14は、上記の記載からもわかるように、金属を含むように構成される。測定したい物質が金属でない場合は、試料14の表面に金属を付着させておく。例えば、測定前に試料14の表面に金蒸着膜を形成させておく。試料14は、通常固体であるが、液体や気体でも測定可能である。試料14が液体や気体の場合は、試料14を容器に封入してキャビティー13の上に配置する。
【0016】
検波器17は、キャビティー13からの出力である反射信号をモニターしている。ロックインアンプ18は、発振器16からの周波数f/2を参照して周波数fの信号を基準として、検波器17の出力信号から周波数fの信号成分を抽出する。すなわち、ロックインアンプ18と発振器16の基準クロックは同期している。そして、ロックインアンプ18は、抽出した信号成分の振幅値をコンピュータ19に出力する。ロックインアンプ18は、入力した検波器17の出力信号のSN比を改善する。
【0017】
コンピュータ19は、発振器16にある周波数帯を掃引する周波数、すなわち周波数fを指定して、その周波数に基づいて発振するように発振器16に指示信号を出力する。さらに、コンピュータ19は、ロックインアンプ18から出力される振幅値を入力して記憶してゆく。ロックインアンプ18からの出力データーは、コンピュータ19が発振器16に指示した周波数f/2の2倍の周波数の成分である。コンピュータ19は発振器16とロックインアンプ18を制御し、周波数掃引の自動測定を行う。
【0018】
発振器11、方向性ブリッジ12、キャビティー13、試料14、検波器17、ロックインアンプ18、電力増幅器15、発振器16の接続は、同軸ケーブルが使用されている。ただし、検波器17とロックインアンプ18の間、試料14及びキャビティー13と電力増幅器15の間、電力増幅器15と発振器16の間、発振器16とロックインアンプ18の間は、通常の2芯ケーブルを使用してもよい。
【0019】
また、コンピュータ19と発振器16及びロックインアンプ18はGPIB(general purpose interface bus)で接続されている。もちろん、これらの接続は、GPIBに限定されない。コンピュータ19が発振器16及びロックインアンプ18をコントロールすることができるようにそれぞれが接続されていればよい。例えば、RS−232C、USB(universal serial bus)等でそれぞれが接続されていてもよい。
【0020】
図2(A)は、図1のキャビティー13及び試料14の断面図である。図2(B)は、図1のキャビティー13の斜視図である。図2(C)は、図2(A)の点線Aで囲まれた部分の拡大図である。
キャビティー13の上部にスペーサー21が配置される。スペーサー21は、絶縁体から構成されている。スペーサー21は電気的に絶縁することができればどんなものでも構わない。試料14はキャビティー13の上にスペーサー21を介して積載されている。
【0021】
図2(A)及び図2(B)に示すようにキャビティー13は、円柱状の形状を有し、その内部はドーナツ状に空洞部分が設けてある。また、キャビティー13には、唯一上部に環状帯の孔が形成されている。この環状帯の孔はドーナツ状の空洞部分と繋がっている。スペーサー21は、この環状帯の孔を塞ぎつつ試料14を積載するために十分な面積を有していて、キャビティー13の上に配置されている。本実施形態では、スペーサー21は、キャビティー13の上部を被う円盤状の形状である。
【0022】
発振器16及び電力増幅器15と接続している同軸ケーブルは内側中心の導線と外側の金属管からの導線の一方が試料14に接続して、他方がキャビティー13に接続している。図2(A)及び図2(B)では、内側中心の導線が試料14に接続し、金属管からの導線がキャビティー13に接続している。
【0023】
発振器11及び方向性ブリッジ12と接続している同軸ケーブルは内側中心の導線と外側の金属管からの導線の一方がキャビティー13内の空洞中に面積を形成するように設置し、他方がキャビティー13に接続している。図2(A)及び図2(B)では、内側中心の導線がキャビティー13内の空洞中に面積を形成し、金属管からの導線がキャビティー13に接続している。図2(A)及び図2(B)では、内側中心の導線は、キャビティー13内の空洞中に半円形に配置されている。
【0024】
環状帯の孔131の内側キャビティー部分と試料14、環状帯の孔131の外側キャビティー部分と試料14それぞれでコンデンサーを形成する。発振器16が出力する周波数信号が試料14とキャビティー13に印加されて、これらのコンデンサーが作動する。
【0025】
コンデンサーの構造は、試料表面と、内側及び外側キャビティー部分とを電極とする平行平板コンデンサーと同等である。電極間物質の誘電率がεで電極面積S、電極間隔dである平行平板コンデンサーの両極間に電位差Vをかけた時、電極はお互いにF=εS(V/d)2/2の電気力で引き合う。本実施形態では、発振器16が周波数f/2の交流電圧を印加電圧として両電極間に印可するので、電極間には周波数fの割合で引力が働く。その結果、試料表面に働く電気力は対向電極の方向に向かって面に垂直に働き、試料14は振動する。試料14が直方体である場合、その内部に生じる主な共振モードは縦波である。
【0026】
また、環状帯の孔131を挟んで外側キャビティー部分と内側キャビティー部分でもそれぞれが容量結合してコンデンサーが形成され得る。しかし、図2(C)に示すように、スペーサー21の厚さd1に比較してキャビティー13の上部に形成されている環状帯の孔の幅d2は大きく設定されて、さらに環状帯の孔131の内側又は外側キャビティー部分のうちのコンデンサーの電気容量を決める面積も小さく設定されているので、環状帯の孔131を挟んで外側キャビティー部分と内側キャビティー部分で形成されるコンデンサーの作用は、環状帯の孔131の内側又は外側キャビティー部分と試料14で形成されるコンデンサーの作用に比較して小さくなり、その作用は無視できる程度になる。
【0027】
逆に述べれば、環状帯の孔131を挟んで外側キャビティー部分と内側キャビティー部分で形成されるコンデンサーの作用が環状帯の孔131の内側又は外側キャビティー部分と試料14で形成されるコンデンサーの作用に比較して小さくなる程度にスペーサー21の厚さd1及び環状帯の孔の幅d2、環状帯の孔131の内側又は外側キャビティー部分のうちのコンデンサーの電気容量を決める面積を設定する。
換言すれば、環状帯の孔131を挟んで外側キャビティー部分と内側キャビティー部分との結合容量が環状帯の孔131の内側又は外側キャビティー部分と試料14との結合容量よりも無視できる程度に小さくなるようにキャビティーの形状を設定する。
【0028】
図3(A)は、図1のキャビティー13に流れる電流とキャビティー13内の空洞に生じる磁場の向きを示す図である。図3(B)は、図1の発振器11からの周波数信号での図1のキャビティーの等価回路図である。
発振器11から周波数信号がキャビティー13に入力されると、図3(A)の矢印に示すようにキャビティー13の内部では電流がその向きを周期的に変化して流れる。電流の向きが変化する周期は、発振器11から出力される周波数信号の周波数f0に対応する。このようにキャビティー13内に電流が流れると図3(A)に示すように磁場が発生し、その磁場の向きも周波数f0に対応して変化する。この磁場は、キャビティー13内の空洞中に同心円状に形成され、その向きが時間1/f0ごとに変化する。
【0029】
すなわち、キャビティー13、スペーサー21、及び試料14は、図3(B)に示すようなLC回路に等価である。LC回路は、周波数fr=(2π)−1(LC)−0.5で共振する特徴がある。ここでLは図3(B)に示した等価回路のコイルのインダクタンスであり、Cは図3(B)に示した等価回路の2つのコンデンサーの合成電気容量である。このようなリエントラント型キャビティーの例としては例えば、C. T. Van. Degrift, Rev. Sci. Instrum., Vol. 45 (1974)
1171に記載されているものがある。
【0030】
図4は、図1の発振器11からの周波数信号の周波数に対する図1のキャビティー13からの反射波の振幅を示すグラフである。
図4に示すように、キャビティー13からの反射波は、共振周波数frで最小となり共振周波数から離れるほどその強度はローレンツ型曲線にしたがって増加する。また、本実施形態では、試料14が振動するため、コンデンサーの電気容量が周波数fで変動する。したがって、共振周波数frは、frより小さい値であるfr−とfrより大きい値であるfr+との間で変動する。共振周波数が変動するに伴い、周波数に対する反射波の振幅値も変動する。すなわち、共振周波数がfr+である場合は反射波の特性は図4の右側の点線の曲線のようになり、共振周波数がfr−である場合は反射波の特性は図4の左側の点線の曲線のようになる。反射波の特性曲線は、共振周波数がfr−である場合の曲線と共振周波数がfr+である場合の曲線の間を変動する。
【0031】
共振周波数が変動することに伴う反射特性の変動は周波数fで変動するため、試料14の表面の振幅に比例した振幅をもつ周波数fの信号を取り出すことができる。この振幅の比例程度が大きいほど振幅を検出する感度が大きくなるので、可能な限り、表面の振幅に比例した振幅の値は大きい方が好ましい。そのために、図4に示した反射波の特性曲線で最も傾きが大きくなる周波数にキャビティー13から反射される周波数を設定する。すなわち、図4に示すように反射波の特性曲線で最も傾きが大きくなる周波数に発振器11の出力信号の周波数f0を設定する。
試料14の表面が振動し、電気容量Cが増えると共振周波数が減少してキャビティーからの反射波振幅は図4の点Aの値に増加し、電気容量Cが減ると共振周波数が増加して図4の点Bの値に減少する。よって試料表面が周波数fで振動している場合、キャビティーから反射された周波数f0の波は周波数fでAM変調される。検波器17はこの信号を検波し試料14の表面に発生した振幅に比例した振幅をもつ周波数fの信号を取り出すことができる。
【0032】
図4に示すように反射波の特性曲線で最も傾きが大きくなる周波数f0を探すためには、加振器(図示せず)によってキャビティー13を直接振動させて試料14を振動させることにより共振周波数をずらし、反射波の振幅が最も変動する周波数を探し出し、その探し出された周波数を周波数f0として発振器11の発振周波数に設定するとよい。
【0033】
図5は、図1の検波器17からの出力信号の時間に対する振幅を示すグラフである。
検波器17は、周波数f0での図4に示したAとBの間で振動する振幅値を検出する。
【0034】
図6は、図1のロックインアンプ18の出力信号の周波数に対する振幅を示すグラフである。横軸の周波数は、発振器16が出力する周波数であり、コンピュータ19が発振器16に指示したものである。
コンピュータ19は、周波数fを変化させ、ある周波数帯を掃引する。コンピュータ19が指示した周波数が試料14に縦波の基本モードに対応する周波数f1に一致した場合、共鳴現象が発生して図6に示すようなピークが現れる。そのピークが現れた周波数が基本モードに対応する周波数f1である。この基本モードの周波数f1から試料14の弾性定数を求めることができることが知られており、弾性定数C11とするとC11=ρ(λf1)2と求まる。ここでρは試料14の密度、λは試料14中に伝わる超音波の波長である。
【0035】
図6に示したグラフでは、f1 =425.6kHzに鋭いスペクトルがある。図6に対応する実験では、ρ=6.02g/cm3、λ=16.18mmである。したがって、C11=2.857×1011N/m2となり、文献値(2.75×1011N/m2、浜口智尋著「固体物理」丸善)とよく一致する。
【0036】
また、実験では、試料として一辺4.045±0.001mmの立方体型のBaTiO3単結晶(Germany、Matech社製)を用いた。本試料には導電性がないので表面に導電性をもたせるため、全表面に金蒸着膜を付けた。試料表面への通電のため表面隅に直径46μmのリード線を少量の銀ペーストで取り付けた。
キャビティー13の直径は10mm、シリコン樹脂でできたスペーサー21の厚さは約10μmである。
試料14の表面は0.1〜3MHzの周波数で振動している。キャビティー13の共振周波数frは約2.6GHzである。このように、本実験では発振器11の発振周波数f0は発振器16の発振周波数fの約1万倍である。試料14とキャビティー13で形成されるコンデンサーに印加される印加電圧は140Vppである。
【0037】
発振器11はネットワークアナライザ(型番:HP8753C)、方向性ブリッジ12は型番HP86205A、検波器17は型番HP8472B、ロックインアンプ18はネットワークアナライザ(型番HP8753E(時定数10s))、発振器16は型番HP33120A、電力増幅器15は型番NF4005、コンピュータ19はNECのPC9801を使用した。
【0038】
この実験で試料表面に働いている電気力のオーダーは0.01Nである。観測されたスペクトルの振動振幅のオーダーは本キャビティーの特性(Q値は約300)から推定すると1Aである。よって本装置の振幅検出限界は約0.1pmと推定できる。
【0039】
本実施形態では試料の励振を発熱のほとんどない静電気力によって行い、試料表面の振動状態の検出を試料表面とそれに対向させた電極との間の電気容量変化の検出によって行う。従来用いられているブリッジ回路による測定に代えて高周波の共振を利用することにより、電気容量変化を高感度で検出することができる。
これらの結果、容積100mm3以下の小型の装置で、測定中の試料に大きな発熱を生じさせることなく、高感度で測定することが可能になる。
【0040】
また、キャビティー13が小型であるので、高精度の温度コントロールができる。試料14とキャビティー13の小型化について原理上の制約はない。よってマイクロ加工技術の発達によって小型キャビティーの製作が可能となればマイクロメートルサイズの試料についての測定が可能である。さらに、熱流センサーを取り付けることにより熱分析との同時測定が可能である。高温での使用はキャビティーの材質を選ぶことにより可能である。
【0041】
本実施形態の共鳴超音波スペクトロスコピー装置は、試料14の表面に直接電気力が働くため、試料14はキャビティーの上に置くだけでよく、圧電トランスデューサーを用いるP型のように機械的に試料を挟んだり接着剤等を用いて固定する必要がない。このため本実施形態の共鳴超音波スペクトロスコピー装置は、試料は外部からの静的な応力を受け歪むということがなく、高精度な弾性率測定が可能になる。
【0042】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る共鳴超音波スペクトロスコピー装置のブロック図である。
本実施形態は、第1の実施形態の構成とは温度コントローラ22が追加されていることのみ異なる。温度コントローラ22は、試料14とキャビティー13の温度を所望の温度に保つためのものである。温度コントローラ22は、試料14とキャビティー13を囲うように配置される。
【0043】
温度コントローラ22は、A. Kojima, C. Ishii, K. Tozaki, S. Matsuda, T. Nakayama, N. Tsuda, Y. Yoshimura, H. Iwasaki, Rev. Sci. Instrum. Vol. 68 (1997) 2301に記載されている温度スタビライザー(恒温容器ともいう)を使用する。
【0044】
第1の実施形態で説明した試料14とキャビティー13を温度コントローラ22内に設置することによって1mKの温度安定度が得られ、安定したスペクトル特性が得られる。
【0045】
その結果、共鳴超音波スペクトル波形の高感度かつ高SN比測定が試料の温度安定度±1mKの条件下で実現することができる。その他の効果は、第1の実施形態と同様である。
【0046】
(第3の実施形態)
図8は、本発明の第3の実施形態に係る共鳴超音波スペクトロスコピー装置のブロック図である。
本実施形態は、第1の実施形態の構成とは、支持台23が加えられ、キャビティー13がキャビティー13よりも大きな試料14に横向きで振動を加える点が異なる。
【0047】
試料14は、キャビティー13が振動することによりずれないように設置する。例えば、試料14の底面は接着剤等で固定する。試料14がずれにくいために、キャビティー13はその上方部分を振動させるように支持台23の上に配置する。試料14が固定されている状態が維持されるならば、特に試料14の上方部分を振動させるようにする必要はない。
【0048】
本実施形態のように試料14の横方向からキャビティー13により振動を加えることで、試料14の横波による弾性定数を求めることが可能になる。その他の効果は、第1の実施形態と同様である。
【0049】
上述した実施形態で用いた機器に代えてより一般的な物を使用するとすれば、発振器11(型番:HP8753C)は通常の高周波発振器に、またロックインアンプ18(型番:HP8753E)は高周波帯域のロックイン増幅器に置き換えてもよい。
【0050】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、試料温度を安定に保ち高精度の弾性率測定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る共鳴超音波スペクトロスコピー装置のブロック図。
【図2】(A) 図1のキャビティー及び試料の断面図。
(B) 図1のキャビティーの斜視図。
(C) 図2(A)の点線Aで囲まれた部分の拡大図。
【図3】(A) 図1のキャビティーに流れる電流とキャビティー内の空洞に生じる磁場の向きを示す図。
(B) 図1の発振器からの周波数f0の周波数信号での図1のキャビティーの等価回路図。
【図4】 図1の発振器からの周波数f0の周波数信号の周波数に対する図1のキャビティーからの反射波の振幅を示すグラフ。
【図5】 図1の検波器からの出力信号の時間に対する振幅を示すグラフ。
【図6】 図1のロックインアンプの出力信号の周波数に対する振幅を示すグラフ。
【図7】 本発明の第2の実施形態に係る共鳴超音波スペクトロスコピー装置のブロック図。
【図8】 本発明の第3の実施形態に係る共鳴超音波スペクトロスコピー装置のブロック図。
【符号の説明】
11・・・発振器、12・・・方向性ブリッジ、13・・・キャビティー、14・・・試料、15・・・電力増幅器、16・・・発振器、17・・・検波器、18・・・ロックインアンプ、19・・・コンピュータ、21・・・スペーサー、22・・・温度コントローラ、23・・・支持台、131・・・環状帯の孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャビティーとそのキャビティーを使用した共鳴超音波スペクトロスコピー装置に係り、特に、新素材を開発及び評価する際に試料の弾性率を測定するために使用するキャビティーとそのキャビティーを使用した共鳴超音波スペクトロスコピー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の共鳴超音波スペクトロスコピー装置には、試料を2個の圧電トランスデューサーで挟むタイプ(以下P型と略す)がある(例えば、特許文献1参照)。他に、従来の共鳴超音波スペクトロスコピー装置には、誘導渦電流に働くローレンツ力を励振に用い、渦電流の誘導起電力を振動の検出に用いる電磁超音波法(以下EM型と略す)もある。
【0003】
【特許文献1】
特許公表平10−505408号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
物体の弾性定数をより高確度で測定するには測定試料の温度安定度を良くすることが不可欠である。しかし、P型では試料が空間にオープンな状態で設置されていて温度制御が難しく、EM型では渦電流によるジュール発熱が絶えず試料を加熱して温度の不均一を生じさせるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、試料温度を安定に保ち高精度の弾性率測定が可能なキャビティーとそのキャビティーを使用した共鳴超音波スペクトロスコピー装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の共鳴超音波スペクトロスコピー装置は、少なくとも表面が導体である試料の性質を検出するための共鳴超音波スペクトロスコピー装置において、試料を振動させると共に、試料と組み合わせてLC回路と等価になるキャビティーと、試料とキャビティーの間に配置されて、試料とキャビティーを電気的に絶縁状態にする絶縁手段と、試料と組み合わせたキャビティーをLC回路の等価回路として作用させる周波数を有する第1周波数信号をキャビティーに出力する第1出力手段と、試料を振動させる周波数を有する第2周波数信号を試料及びキャビティーに出力する第2出力手段と、第2周波数信号に基づいて、キャビティーから出力される第1周波数信号の反射信号の振幅を検出する振幅検出手段を備えている。
【0007】
また、本発明のキャビティーは、少なくとも表面が導体である試料に絶縁物質を介して接するように配置されていて、所定の周波数信号を入力するキャビティーにおいて、試料との間で容量結合する第1突部と、試料との間で容量結合する第2突部と、第1突部と第2突部とを当該キャビティー内に空洞ができるように接続している接続部を備え、第1突部と第2突部はそれぞれの一端同士が電気的に接続されていて、それぞれの他端は互いに電気的に絶縁状態であり、第1突部の他端と第2突部の他端との結合容量は、試料と第1突部との結合容量及び試料と第2突部との結合容量のいずれよりも小さく、周波数信号を入力すると接続部が等価回路としてコイルになる。
【0008】
さらに、本発明のキャビティーは、少なくとも表面が導体であり第2周波数信号が入力される試料に絶縁物質を介して接するように配置されているキャビティーにおいて、第1周波数信号を入力する第1入力手段と、第2周波数信号を入力する第2入力手段と、当該キャビティー内に空洞ができるように形成され、導体から構成されていて、第1入力手段及び第2入力手段と接続している接続部を備え、第2周波数信号に基づいて試料を振動させ、第1周波数信号に基づいて試料との組合せでLC回路の等価回路として作用する。
【0009】
以上の構成によれば、発熱のほとんどない静電気力によって試料を励振することができ、さらに従来の装置と比べて測定部を小型にすることができるため、試料温度を非常に安定に保つことが可能になる。
また、本発明は、試料表面の振動状態を検出する場合に、試料表面とそれに対向させた電極(コンデンサーに等価)との間の電気容量変化の検出によって実行する。このようにコンデンサーによる電気容量の変化は高周波の共振回路を利用することにより、高感度で検出することが可能になる。
その結果、試料に大きな温度変化を生じさせることなく、試料の弾性率を高精度で測定することが可能になる。
【0010】
また、本発明の装置は、従来の装置と比べ測定時の試料にかかる応力が少ない、測定データーの解析にあたり共振モードの特定がしやすい等の長所がある。本発明は、現在製品化されて使用されている共鳴超音波スペストロスコピー測定装置に対し超音波の発生方法及び検出法が異なる新しい方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態に係るキャビティーとそのキャビティーを使用した共鳴超音波スペクトロスコピー装置を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る共鳴超音波スペクトロスコピー装置のブロック図である。
発振器11は、所定の周波数f0の周波数信号を発振する。試料14を測定している間、周波数f0は一定値に保たれている。試料14を測定する前に、周波数f0が設定される。さらに、発振器11は、発振した周波数信号を方向性ブリッジ12を介してキャビティー13に出力する。
方向性ブリッジ12は、キャビティー13に周波数f0の周波数信号を出力すると共にキャビティー13からの反射信号を検波器17に出力する。
【0012】
一方、発振器16は周波数f/2の周波数信号を発振する。この周波数fはコンピュータ19の指示により決定される。また、周波数fはコンピュータ19の指示により所定の周波数帯を掃引される。発振器16は、発振した周波数信号を電力増幅器15及びロックインアンプ18に出力する。ロックインアンプ18は、発振器16から出力された周波数信号を参照して検波を行う。
【0013】
電力増幅器15は、発振器16の出力である周波数信号の電力を増幅する。そして、電力増幅器15は、増幅された周波数信号を試料14及びキャビティー13に出力する。周波数信号の電力の増幅率は、スペーサー21が絶縁破壊しない程度に設定する。この周波数信号の電力が大きいほど、試料14が振動する振幅が大きくなり、ロックインアンプ18が振幅を検出しやすくなる。
【0014】
キャビティー13は、金属で構成されており、発振器11からの周波数信号により試料14も含めてLC回路になるような構造をしている。キャビティー13がLC回路として作用するためには、キャビティー13の大きさ、キャビティー13の材質によって発振器11が出力する信号の周波数を調整する必要がある。さらに、キャビティー13は、増幅された周波数信号を入力して、同様に増幅された周波数信号を入力した試料14との間で等価回路としてコンデンサーを形成する。コンデンサーは、電極間に電圧が印可されると、その電極間で引力が発生する。本実施形態では試料14とキャビティー13とに周波数f/2の交流電圧が印可されるので、試料14はコンデンサーの対向電極の方向に向かって面に垂直に働く電気力によって振動する。本実施形態では、図1に示されている試料14とキャビティー13の配置において、試料14は上下に振動する。したがって、試料14の内部に生じる主な共振モードは縦波である。
【0015】
試料14は、上記の記載からもわかるように、金属を含むように構成される。測定したい物質が金属でない場合は、試料14の表面に金属を付着させておく。例えば、測定前に試料14の表面に金蒸着膜を形成させておく。試料14は、通常固体であるが、液体や気体でも測定可能である。試料14が液体や気体の場合は、試料14を容器に封入してキャビティー13の上に配置する。
【0016】
検波器17は、キャビティー13からの出力である反射信号をモニターしている。ロックインアンプ18は、発振器16からの周波数f/2を参照して周波数fの信号を基準として、検波器17の出力信号から周波数fの信号成分を抽出する。すなわち、ロックインアンプ18と発振器16の基準クロックは同期している。そして、ロックインアンプ18は、抽出した信号成分の振幅値をコンピュータ19に出力する。ロックインアンプ18は、入力した検波器17の出力信号のSN比を改善する。
【0017】
コンピュータ19は、発振器16にある周波数帯を掃引する周波数、すなわち周波数fを指定して、その周波数に基づいて発振するように発振器16に指示信号を出力する。さらに、コンピュータ19は、ロックインアンプ18から出力される振幅値を入力して記憶してゆく。ロックインアンプ18からの出力データーは、コンピュータ19が発振器16に指示した周波数f/2の2倍の周波数の成分である。コンピュータ19は発振器16とロックインアンプ18を制御し、周波数掃引の自動測定を行う。
【0018】
発振器11、方向性ブリッジ12、キャビティー13、試料14、検波器17、ロックインアンプ18、電力増幅器15、発振器16の接続は、同軸ケーブルが使用されている。ただし、検波器17とロックインアンプ18の間、試料14及びキャビティー13と電力増幅器15の間、電力増幅器15と発振器16の間、発振器16とロックインアンプ18の間は、通常の2芯ケーブルを使用してもよい。
【0019】
また、コンピュータ19と発振器16及びロックインアンプ18はGPIB(general purpose interface bus)で接続されている。もちろん、これらの接続は、GPIBに限定されない。コンピュータ19が発振器16及びロックインアンプ18をコントロールすることができるようにそれぞれが接続されていればよい。例えば、RS−232C、USB(universal serial bus)等でそれぞれが接続されていてもよい。
【0020】
図2(A)は、図1のキャビティー13及び試料14の断面図である。図2(B)は、図1のキャビティー13の斜視図である。図2(C)は、図2(A)の点線Aで囲まれた部分の拡大図である。
キャビティー13の上部にスペーサー21が配置される。スペーサー21は、絶縁体から構成されている。スペーサー21は電気的に絶縁することができればどんなものでも構わない。試料14はキャビティー13の上にスペーサー21を介して積載されている。
【0021】
図2(A)及び図2(B)に示すようにキャビティー13は、円柱状の形状を有し、その内部はドーナツ状に空洞部分が設けてある。また、キャビティー13には、唯一上部に環状帯の孔が形成されている。この環状帯の孔はドーナツ状の空洞部分と繋がっている。スペーサー21は、この環状帯の孔を塞ぎつつ試料14を積載するために十分な面積を有していて、キャビティー13の上に配置されている。本実施形態では、スペーサー21は、キャビティー13の上部を被う円盤状の形状である。
【0022】
発振器16及び電力増幅器15と接続している同軸ケーブルは内側中心の導線と外側の金属管からの導線の一方が試料14に接続して、他方がキャビティー13に接続している。図2(A)及び図2(B)では、内側中心の導線が試料14に接続し、金属管からの導線がキャビティー13に接続している。
【0023】
発振器11及び方向性ブリッジ12と接続している同軸ケーブルは内側中心の導線と外側の金属管からの導線の一方がキャビティー13内の空洞中に面積を形成するように設置し、他方がキャビティー13に接続している。図2(A)及び図2(B)では、内側中心の導線がキャビティー13内の空洞中に面積を形成し、金属管からの導線がキャビティー13に接続している。図2(A)及び図2(B)では、内側中心の導線は、キャビティー13内の空洞中に半円形に配置されている。
【0024】
環状帯の孔131の内側キャビティー部分と試料14、環状帯の孔131の外側キャビティー部分と試料14それぞれでコンデンサーを形成する。発振器16が出力する周波数信号が試料14とキャビティー13に印加されて、これらのコンデンサーが作動する。
【0025】
コンデンサーの構造は、試料表面と、内側及び外側キャビティー部分とを電極とする平行平板コンデンサーと同等である。電極間物質の誘電率がεで電極面積S、電極間隔dである平行平板コンデンサーの両極間に電位差Vをかけた時、電極はお互いにF=εS(V/d)2/2の電気力で引き合う。本実施形態では、発振器16が周波数f/2の交流電圧を印加電圧として両電極間に印可するので、電極間には周波数fの割合で引力が働く。その結果、試料表面に働く電気力は対向電極の方向に向かって面に垂直に働き、試料14は振動する。試料14が直方体である場合、その内部に生じる主な共振モードは縦波である。
【0026】
また、環状帯の孔131を挟んで外側キャビティー部分と内側キャビティー部分でもそれぞれが容量結合してコンデンサーが形成され得る。しかし、図2(C)に示すように、スペーサー21の厚さd1に比較してキャビティー13の上部に形成されている環状帯の孔の幅d2は大きく設定されて、さらに環状帯の孔131の内側又は外側キャビティー部分のうちのコンデンサーの電気容量を決める面積も小さく設定されているので、環状帯の孔131を挟んで外側キャビティー部分と内側キャビティー部分で形成されるコンデンサーの作用は、環状帯の孔131の内側又は外側キャビティー部分と試料14で形成されるコンデンサーの作用に比較して小さくなり、その作用は無視できる程度になる。
【0027】
逆に述べれば、環状帯の孔131を挟んで外側キャビティー部分と内側キャビティー部分で形成されるコンデンサーの作用が環状帯の孔131の内側又は外側キャビティー部分と試料14で形成されるコンデンサーの作用に比較して小さくなる程度にスペーサー21の厚さd1及び環状帯の孔の幅d2、環状帯の孔131の内側又は外側キャビティー部分のうちのコンデンサーの電気容量を決める面積を設定する。
換言すれば、環状帯の孔131を挟んで外側キャビティー部分と内側キャビティー部分との結合容量が環状帯の孔131の内側又は外側キャビティー部分と試料14との結合容量よりも無視できる程度に小さくなるようにキャビティーの形状を設定する。
【0028】
図3(A)は、図1のキャビティー13に流れる電流とキャビティー13内の空洞に生じる磁場の向きを示す図である。図3(B)は、図1の発振器11からの周波数信号での図1のキャビティーの等価回路図である。
発振器11から周波数信号がキャビティー13に入力されると、図3(A)の矢印に示すようにキャビティー13の内部では電流がその向きを周期的に変化して流れる。電流の向きが変化する周期は、発振器11から出力される周波数信号の周波数f0に対応する。このようにキャビティー13内に電流が流れると図3(A)に示すように磁場が発生し、その磁場の向きも周波数f0に対応して変化する。この磁場は、キャビティー13内の空洞中に同心円状に形成され、その向きが時間1/f0ごとに変化する。
【0029】
すなわち、キャビティー13、スペーサー21、及び試料14は、図3(B)に示すようなLC回路に等価である。LC回路は、周波数fr=(2π)−1(LC)−0.5で共振する特徴がある。ここでLは図3(B)に示した等価回路のコイルのインダクタンスであり、Cは図3(B)に示した等価回路の2つのコンデンサーの合成電気容量である。このようなリエントラント型キャビティーの例としては例えば、C. T. Van. Degrift, Rev. Sci. Instrum., Vol. 45 (1974)
1171に記載されているものがある。
【0030】
図4は、図1の発振器11からの周波数信号の周波数に対する図1のキャビティー13からの反射波の振幅を示すグラフである。
図4に示すように、キャビティー13からの反射波は、共振周波数frで最小となり共振周波数から離れるほどその強度はローレンツ型曲線にしたがって増加する。また、本実施形態では、試料14が振動するため、コンデンサーの電気容量が周波数fで変動する。したがって、共振周波数frは、frより小さい値であるfr−とfrより大きい値であるfr+との間で変動する。共振周波数が変動するに伴い、周波数に対する反射波の振幅値も変動する。すなわち、共振周波数がfr+である場合は反射波の特性は図4の右側の点線の曲線のようになり、共振周波数がfr−である場合は反射波の特性は図4の左側の点線の曲線のようになる。反射波の特性曲線は、共振周波数がfr−である場合の曲線と共振周波数がfr+である場合の曲線の間を変動する。
【0031】
共振周波数が変動することに伴う反射特性の変動は周波数fで変動するため、試料14の表面の振幅に比例した振幅をもつ周波数fの信号を取り出すことができる。この振幅の比例程度が大きいほど振幅を検出する感度が大きくなるので、可能な限り、表面の振幅に比例した振幅の値は大きい方が好ましい。そのために、図4に示した反射波の特性曲線で最も傾きが大きくなる周波数にキャビティー13から反射される周波数を設定する。すなわち、図4に示すように反射波の特性曲線で最も傾きが大きくなる周波数に発振器11の出力信号の周波数f0を設定する。
試料14の表面が振動し、電気容量Cが増えると共振周波数が減少してキャビティーからの反射波振幅は図4の点Aの値に増加し、電気容量Cが減ると共振周波数が増加して図4の点Bの値に減少する。よって試料表面が周波数fで振動している場合、キャビティーから反射された周波数f0の波は周波数fでAM変調される。検波器17はこの信号を検波し試料14の表面に発生した振幅に比例した振幅をもつ周波数fの信号を取り出すことができる。
【0032】
図4に示すように反射波の特性曲線で最も傾きが大きくなる周波数f0を探すためには、加振器(図示せず)によってキャビティー13を直接振動させて試料14を振動させることにより共振周波数をずらし、反射波の振幅が最も変動する周波数を探し出し、その探し出された周波数を周波数f0として発振器11の発振周波数に設定するとよい。
【0033】
図5は、図1の検波器17からの出力信号の時間に対する振幅を示すグラフである。
検波器17は、周波数f0での図4に示したAとBの間で振動する振幅値を検出する。
【0034】
図6は、図1のロックインアンプ18の出力信号の周波数に対する振幅を示すグラフである。横軸の周波数は、発振器16が出力する周波数であり、コンピュータ19が発振器16に指示したものである。
コンピュータ19は、周波数fを変化させ、ある周波数帯を掃引する。コンピュータ19が指示した周波数が試料14に縦波の基本モードに対応する周波数f1に一致した場合、共鳴現象が発生して図6に示すようなピークが現れる。そのピークが現れた周波数が基本モードに対応する周波数f1である。この基本モードの周波数f1から試料14の弾性定数を求めることができることが知られており、弾性定数C11とするとC11=ρ(λf1)2と求まる。ここでρは試料14の密度、λは試料14中に伝わる超音波の波長である。
【0035】
図6に示したグラフでは、f1 =425.6kHzに鋭いスペクトルがある。図6に対応する実験では、ρ=6.02g/cm3、λ=16.18mmである。したがって、C11=2.857×1011N/m2となり、文献値(2.75×1011N/m2、浜口智尋著「固体物理」丸善)とよく一致する。
【0036】
また、実験では、試料として一辺4.045±0.001mmの立方体型のBaTiO3単結晶(Germany、Matech社製)を用いた。本試料には導電性がないので表面に導電性をもたせるため、全表面に金蒸着膜を付けた。試料表面への通電のため表面隅に直径46μmのリード線を少量の銀ペーストで取り付けた。
キャビティー13の直径は10mm、シリコン樹脂でできたスペーサー21の厚さは約10μmである。
試料14の表面は0.1〜3MHzの周波数で振動している。キャビティー13の共振周波数frは約2.6GHzである。このように、本実験では発振器11の発振周波数f0は発振器16の発振周波数fの約1万倍である。試料14とキャビティー13で形成されるコンデンサーに印加される印加電圧は140Vppである。
【0037】
発振器11はネットワークアナライザ(型番:HP8753C)、方向性ブリッジ12は型番HP86205A、検波器17は型番HP8472B、ロックインアンプ18はネットワークアナライザ(型番HP8753E(時定数10s))、発振器16は型番HP33120A、電力増幅器15は型番NF4005、コンピュータ19はNECのPC9801を使用した。
【0038】
この実験で試料表面に働いている電気力のオーダーは0.01Nである。観測されたスペクトルの振動振幅のオーダーは本キャビティーの特性(Q値は約300)から推定すると1Aである。よって本装置の振幅検出限界は約0.1pmと推定できる。
【0039】
本実施形態では試料の励振を発熱のほとんどない静電気力によって行い、試料表面の振動状態の検出を試料表面とそれに対向させた電極との間の電気容量変化の検出によって行う。従来用いられているブリッジ回路による測定に代えて高周波の共振を利用することにより、電気容量変化を高感度で検出することができる。
これらの結果、容積100mm3以下の小型の装置で、測定中の試料に大きな発熱を生じさせることなく、高感度で測定することが可能になる。
【0040】
また、キャビティー13が小型であるので、高精度の温度コントロールができる。試料14とキャビティー13の小型化について原理上の制約はない。よってマイクロ加工技術の発達によって小型キャビティーの製作が可能となればマイクロメートルサイズの試料についての測定が可能である。さらに、熱流センサーを取り付けることにより熱分析との同時測定が可能である。高温での使用はキャビティーの材質を選ぶことにより可能である。
【0041】
本実施形態の共鳴超音波スペクトロスコピー装置は、試料14の表面に直接電気力が働くため、試料14はキャビティーの上に置くだけでよく、圧電トランスデューサーを用いるP型のように機械的に試料を挟んだり接着剤等を用いて固定する必要がない。このため本実施形態の共鳴超音波スペクトロスコピー装置は、試料は外部からの静的な応力を受け歪むということがなく、高精度な弾性率測定が可能になる。
【0042】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る共鳴超音波スペクトロスコピー装置のブロック図である。
本実施形態は、第1の実施形態の構成とは温度コントローラ22が追加されていることのみ異なる。温度コントローラ22は、試料14とキャビティー13の温度を所望の温度に保つためのものである。温度コントローラ22は、試料14とキャビティー13を囲うように配置される。
【0043】
温度コントローラ22は、A. Kojima, C. Ishii, K. Tozaki, S. Matsuda, T. Nakayama, N. Tsuda, Y. Yoshimura, H. Iwasaki, Rev. Sci. Instrum. Vol. 68 (1997) 2301に記載されている温度スタビライザー(恒温容器ともいう)を使用する。
【0044】
第1の実施形態で説明した試料14とキャビティー13を温度コントローラ22内に設置することによって1mKの温度安定度が得られ、安定したスペクトル特性が得られる。
【0045】
その結果、共鳴超音波スペクトル波形の高感度かつ高SN比測定が試料の温度安定度±1mKの条件下で実現することができる。その他の効果は、第1の実施形態と同様である。
【0046】
(第3の実施形態)
図8は、本発明の第3の実施形態に係る共鳴超音波スペクトロスコピー装置のブロック図である。
本実施形態は、第1の実施形態の構成とは、支持台23が加えられ、キャビティー13がキャビティー13よりも大きな試料14に横向きで振動を加える点が異なる。
【0047】
試料14は、キャビティー13が振動することによりずれないように設置する。例えば、試料14の底面は接着剤等で固定する。試料14がずれにくいために、キャビティー13はその上方部分を振動させるように支持台23の上に配置する。試料14が固定されている状態が維持されるならば、特に試料14の上方部分を振動させるようにする必要はない。
【0048】
本実施形態のように試料14の横方向からキャビティー13により振動を加えることで、試料14の横波による弾性定数を求めることが可能になる。その他の効果は、第1の実施形態と同様である。
【0049】
上述した実施形態で用いた機器に代えてより一般的な物を使用するとすれば、発振器11(型番:HP8753C)は通常の高周波発振器に、またロックインアンプ18(型番:HP8753E)は高周波帯域のロックイン増幅器に置き換えてもよい。
【0050】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、試料温度を安定に保ち高精度の弾性率測定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る共鳴超音波スペクトロスコピー装置のブロック図。
【図2】(A) 図1のキャビティー及び試料の断面図。
(B) 図1のキャビティーの斜視図。
(C) 図2(A)の点線Aで囲まれた部分の拡大図。
【図3】(A) 図1のキャビティーに流れる電流とキャビティー内の空洞に生じる磁場の向きを示す図。
(B) 図1の発振器からの周波数f0の周波数信号での図1のキャビティーの等価回路図。
【図4】 図1の発振器からの周波数f0の周波数信号の周波数に対する図1のキャビティーからの反射波の振幅を示すグラフ。
【図5】 図1の検波器からの出力信号の時間に対する振幅を示すグラフ。
【図6】 図1のロックインアンプの出力信号の周波数に対する振幅を示すグラフ。
【図7】 本発明の第2の実施形態に係る共鳴超音波スペクトロスコピー装置のブロック図。
【図8】 本発明の第3の実施形態に係る共鳴超音波スペクトロスコピー装置のブロック図。
【符号の説明】
11・・・発振器、12・・・方向性ブリッジ、13・・・キャビティー、14・・・試料、15・・・電力増幅器、16・・・発振器、17・・・検波器、18・・・ロックインアンプ、19・・・コンピュータ、21・・・スペーサー、22・・・温度コントローラ、23・・・支持台、131・・・環状帯の孔
Claims (15)
- 少なくとも表面が導体である試料の性質を検出するための共鳴超音波スペクトロスコピー装置において、
前記試料を振動させると共に、前記試料と組み合わせてLC回路と等価になるキャビティーと、
前記試料と前記キャビティーの間に配置されて、前記試料と前記キャビティーを電気的に絶縁状態にする絶縁手段と、
前記試料と組み合わせた前記キャビティーをLC回路の等価回路として作用させる周波数を有する第1周波数信号を前記キャビティーに出力する第1出力手段と、
前記試料を振動させる周波数を有する第2周波数信号を前記試料及び前記キャビティーに出力する第2出力手段と、
前記第2周波数信号に基づいて、前記キャビティーから出力される前記第1周波数信号の反射信号の振幅を検出する振幅検出手段を具備する共鳴超音波スペクトロスコピー装置。 - 前記試料の導体部分と前記キャビティーの導体部分とがコンデンサーの等価回路を形成し、この導体部分間で作用する電気力により前記試料は振動する請求項1に記載の共鳴超音波スペクトロスコピー装置。
- 前記キャビティーは、前記試料との間で形成される等価回路としてのコンデンサーと、当該キャビティー内に発生する等価回路としてのコイルとにより、LC回路を形成する請求項1又は請求項2に記載の共鳴超音波スペクトロスコピー装置。
- 前記試料の温度を安定化するための温度安定器をさらに具備し、
前記試料及び前記キャビティーは当該温度安定器内に設置される請求項1から請求項3のいずれかに記載の共鳴超音波スペクトロスコピー装置。 - 前記第1周波数信号が有する周波数と、前記第2周波数信号が有する周波数とは異なる周波数帯域に属する請求項1から請求項4のいずれかに記載の共鳴超音波スペクトロスコピー装置。
- 前記キャビティーは、リエントラント型の共振器である請求項1から請求項5のいずれかに記載の共鳴超音波スペクトロスコピー装置。
- 前記キャビティーは前記試料の下方から前記試料を振動する位置に配置される請求項1から請求項6のいずれかに記載の共鳴超音波スペクトロスコピー装置。
- 前記キャビティーは前記試料の側方から前記試料を振動する位置に配置される請求項1から請求項6のいずれかに記載の共鳴超音波スペクトロスコピー装置。
- 少なくとも表面が導体である試料に絶縁物質を介して接するように配置されていて、所定の周波数信号を入力するキャビティーにおいて、
前記試料との間で容量結合する第1突部と、
前記試料との間で容量結合する第2突部と、
前記第1突部と前記第2突部とを当該キャビティー内に空洞ができるように接続している接続部を具備し、
前記第1突部と前記第2突部はそれぞれの一端同士が電気的に接続されていて、それぞれの他端は互いに電気的に絶縁状態であり、前記第1突部の他端と前記第2突部の他端との結合容量は、前記試料と第1突部との結合容量及び前記試料と第2突部との結合容量のいずれよりも小さく、
前記周波数信号を入力すると前記接続部が等価回路としてコイルになるキャビティー。 - 前記試料の導体部分との間でコンデンサーの等価回路を形成し、この導体部分間で作用する電気力により前記試料は振動する請求項9に記載のキャビティー。
- 前記試料との間で形成される等価回路としてのコンデンサーと、当該キャビティー内に発生する等価回路としてのコイルとにより、LC回路を形成する請求項9又は請求項10に記載のキャビティー。
- 少なくとも表面が導体であり第2周波数信号が入力される試料に絶縁物質を介して接するように配置されているキャビティーにおいて、
第1周波数信号を入力する第1入力手段と、
前記第2周波数信号を入力する第2入力手段と、
当該キャビティー内に空洞ができるように形成され、導体から構成されていて、前記第1入力手段及び前記第2入力手段と接続している接続部を具備し、
前記第2周波数信号に基づいて前記試料を振動させ、前記第1周波数信号に基づいて前記試料との組合せでLC回路の等価回路として作用するキャビティー。 - 前記試料の下方から前記試料を振動する位置に配置される請求項9から請求項12のいずれかに記載のキャビティー。
- 前記試料の側方から前記試料を振動する位置に配置される請求項9から請求項12のいずれかに記載のキャビティー。
- 前記第1周波数信号が有する周波数と、前記第2周波数信号が有する周波数とは異なる周波数帯域に属する請求項12に記載のキャビティー。
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