JP2002139641A - 光導波路部材、その製造方法及び光モジュール - Google Patents
光導波路部材、その製造方法及び光モジュールInfo
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Abstract
な光結合が得られるファイバアライメントV溝付ポリマ
導波路基板を提供するものである。 【解決手段】 本願発明の代表的な形態は、シリコン基
板上の一部に光導波路が形成され、該導波路のコアまた
はクラッドがポリマから構成され、該導波路に光ファイ
バを位置決め固定するためのV形状の溝を該シリコン基
板に有し、該V溝と該導波路の境界に該V溝と垂直な方
向に伸びる矩形状の溝を該シリコン基板に有し、該導波
路を構成するコアまたはクラッドの膜厚が該境界近傍で
他の部分よりも薄くなっており、該V溝にファイバを実
装した時に、該ファイバのコアの中心の高さが該境界か
ら十分に離れた位置の該導波路のコアの高さよりも低く
かつファイバと導波路の間で高効率な光結合が得られる
高さになるように、該V溝の形状が設定されていること
を特徴とする光導波路部材である。
Description
られる光導波路に関するものである。更に本願発明は、
特に光ファイバを導波路に実装する時に用いるアライメ
ント用V溝構造を有するポリマ光導波路基板の製造方法
に関するものである。
び小型化を目的に、石英光導波路を用いた光モジュール
が検討されている。既に、石英光導波路を用いた光スプ
リッタやアレイ回折格子型波長合分波器などが実用化さ
れている。また、石英導波路を有する基板に、レーザダ
イオードやフォトダイオードなどの半導体素子をハイブ
リッド実装することによって、小型で低コストな光送受
信モジュールも実現化されている。一方、光導波路を構
成する材料としては、石英の他に高分子樹脂、すなわ
ち、ポリマも検討されている。ポリマ導波路は、スピン
塗布によって成膜できるので、石英導波路に比べて生産
性が高く、低コストで導波路基板を作製できる。このた
め、石英導波路の代わりにポリマ導波路を用いること
で、上記モジュールの抜本的な低コスト化が期待でき
る。これらの光モジュールでは導波路と光ファイバを低
損失で光結合する必要がある。通常、光通信で用いられ
るシングルモードファイバを使用した場合、導波路とフ
ァイバを低損失で結合するためには導波路とファイバの
位置をサブミクロンの精度で位置決めして固定する必要
がある。これを短時間かつ低コスト行うために、光導波
路を形成するシリコン基板に、光ファイバをアライメン
トするためのV形状の溝を集積することが検討されてい
る。石英光導波路を有するシリコン基板にアライメント
V溝を形成した例としては、例えば、特開平8−217
72、特開平8−29638、電子情報通信学会199
6年総合大会講演論文集エレクトロニクス1分冊、44
4頁、講演番号(SC−2−8)などがある。
に、ポリマ導波路を形成した例としては、日本国、公開
公報、特開平10−288717号が挙げられる。又、
ポリマ導波路とV溝構造をそれぞれ別に作製して位置合
わせして張り合わせる方法が日本国、公開公報、特開平
11−202158号、あるいは特開2000−470
55号に見られる。
は、低コストで製造の容易な光導波路部材を提供するも
のである。
の容易な光導波路部材の製造方法を提供するものであ
る。
路基板を有し、樹脂の膜厚不均一によるファイバと導波
路間の損失増加を最小限に押さえて良好な光結合が得ら
れる光導波路部材の構造を提供せんとするにある。
1の形態は、V字型溝部と、当該V字型溝部の延在方向
に、このV字型溝部と第2の溝部を挟んで対向した平坦
な領域とを有するシリコン基板と、前記V字型溝部に設
けた光導波路と、前記平坦な領域の上部に、当該光導波
路のコア層を構成する第1の樹脂層、及び当該光導波路
のクラッド層を構成する第2の樹脂層と、を少なくとも
有し、前記第1、及び第2の各樹脂層は前記平坦な領域
の第1の溝部と対向する端面の近傍でその厚さが減少し
ており、且つ前記V形状のV溝に光ファイバを実装した
時に、前記光ファイバのコアの中心の高さが前記境界か
ら前記V形状の溝よりも離れた膜厚がおよそ平坦な個所
での光導波路のコアの中心の高さよりも低くい高さにな
るように、前記V形状の溝の形状が設定されていること
を特徴とする光導波路部材である。尚、V字型溝部と第
2の溝部を挟んで対向した平坦な領域とは、当該V字型
溝部よりみれば、凸部状に上がっている部分となる。以
下、同様である。
型溝部と、当該V字型溝部の延在方向に、このV字型溝
部と第2の溝部を挟んで対向した平坦な領域とを有する
シリコン基板と、前記V字型溝部に添い且つ前記第2の
溝部の所定壁面に対向して設けた光導波路と、前記平坦
な領域の上部に、接着材の層、当該光導波路の第1のク
ラッド層を構成する第3の樹脂層、当該光導波路のコア
層を構成する第1の樹脂層、及び当該光導波路の第2の
クラッド層を構成する第2の樹脂層と、を少なくとも有
し、前記第1、第2、及び第3の各樹脂層は前記平坦な
領域の第1の溝部と対向する端面の近傍でその厚さが減
少しており、且つ前記光導波路のコア領域の端面は前記
第1の樹脂層が構成するコア層の端面に対向しているこ
とを特徴とする光導波路部材である。
コン基板上の一部に光導波路が形成され、前記光導波路
のコアまたはクラッドが高分子樹脂から構成され、前記
光導波路に対して光ファイバを位置決め固定するための
V形状の溝と、前記光導波路の境界に前記V形状の溝と
垂直な方向に伸びる溝とを前記シリコン基板に有し、前
記光導波路を構成するコアまたはクラッドの膜厚が前記
境界近傍で他の部分よりも薄くなっており、前記V形状
のV溝に光ファイバを実装した時に、前記光ファイバの
コアの中心の高さが前記境界から所望位置での光導波路
のコアの高さよりも低い高さになされていることを特徴
とする光導波路部材である。この場合、光ファイバと光
導波路の間で高効率な光結合が得られる高さになるよう
に、前記V形状の溝の形状が設計されている。
下記の通りである。
に、コアまたはクラッドがポリマから構成された光導波
路と前記光導波路に対する光ファイバを位置決め固定す
るためのV形状の溝とを少なくとも有する光導波路部材
の製造方法であって、前記シリコン基板に前記光ファイ
バの長手方向に向う所望のV形状の溝を形成し、この
後、前記光導波路用のポリマを塗布して当該光導波路を
形成し、前記光ファイバの搭載する領域の前記ポリマに
よる高分子樹脂膜を除去する、ことを特徴とする光導波
路部材の製造方法である。
形成した後、前記光導波路と前記光ファイバの搭載する
領域との間にこの両者を分ける溝を形成し、次いで、前
記光ファイバの搭載する領域の前記ポリマによる高分子
樹脂膜を除去することを特徴とする前記に記載の光導波
路部材の製造方法である。
板に前記光ファイバの長手方向に向う所望のV形状の溝
を形成した後、前記シリコン基板のポリマ層を残す領域
に前記シリコン基板とポリマの密着性を高める接着層を
設け、次いで、前記光導波路を形成することを特徴とす
る前記に記載の光導波路部材の製造方法である。
V字型溝部を形成する工程、前記V字型溝部を構成する
平坦な領域であって且つ当該光導波路の光の進行方向に
存在する領域の上面に接着材の層を形成する工程、こう
して準備されたシリコン基板の少なくともV字型溝部及
び当該V字型溝部を構成する平坦な領域の上面を覆って
当該光導波路のコア層を構成する第1の樹脂層、及び当
該光導波路のクラッド層を構成する第2の樹脂層を形成
する工程、光導波路の端面に対向する壁面を有する第2
の溝部を形成する工程、当該光導波路の光の進行方向に
添って存在する前記V字型溝部を構成する平坦な領域上
に存在する少なくとも前記第1、及び第2の各樹脂層を
除く工程を有することを特徴とするものである。
に説明されるであろう。
を説明するに先立って、本願発明の更なる諸技術並びに
本願発明の優位性等について説明する。
くまで石英導波路にアライメントV溝を集積したもので
あり、シリコン基板上に石英導波路を作製した後に基板
一部の石英層を除去してシリコン基板を露出し、シリコ
ン基板をKOH等の強アルカリ性の液によってウエット
エッチングすることでV溝を形成している。しかしなが
ら、同プロセスをポリマ導波路に適用すると一般にポリ
マは強アルカリに対して耐性が無く、ポリマ導波路が溶
解したり基板から剥離したりするという問題が生じる。
この問題は、シリコン基板にV溝を形成した後にポリマ
を塗布して導波路を形成することにより回避できる。本
願発明はこの方法を用いるものである。
従ってアライメントV溝付ポリマ導波路基板を作製する
ことである。(1)シリコン基板に異方性のウエットエ
ッチングを用いてアライメントV溝を形成する。(2)
必要に応じて基板表面に熱酸化シリコン膜などの無機膜
を設ける。(3)シリコン(基板表面に無機膜を設けた
場合は無機膜)とポリマの接着力を強める接着層を導波
路部(ポリマ導波路を残す部分に)に設ける。(3)基
板全面にワニスを塗布・ベークしてポリマ層からなる下
部クラッド層、コア層を設ける。(4)フォトリソグラ
フィとドライエッチングによりコア層を導波路パターン
に加工する。(5)基板全面にワニスを塗布・ベークし
てポリマ層からなる上部クラッド層を設ける。(6)V
溝領域とポリマ導波路領域の間に、ダイシングソーによ
ってシリコン基板に溝を形成する。(7)V溝領域のポ
リマ層を剥離・除去する。
通りである。
が形成され、前記導波路のコアまたはクラッドがポリマ
から構成され、前記導波路に光ファイバを位置決め固定
するためのV形状の溝を前記シリコン基板に有し、前記
V溝と前記導波路の境界に前記V溝と垂直な方向に伸び
る矩形状の溝を前記シリコン基板に有する光導波路基板
の製造方法であって、前記基板に前記V溝を形成した後
に、前記基板全面にポリマを塗布して前記導波路を作製
する。
矩形状の溝を形成する際にポリマ層を切断し、引き続き
V溝上のポリマ層のみを基板から剥離することである。
層を残す導波路部分にのみに基板とポリマの密着性を高
める接着層を設けた後に、前記導波路を作製することで
ある。
との密着性が悪いフッ素を含有する樹脂を用いたほうが
良い。又、接着層には、ポリイミドシリコン樹脂、フッ
素を含有しないポリイミド、有機アルミニウム化合物、
有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物のいずれか
またはその組合せからなる複合膜などを用いることがで
きる。特に、フッ素化したポリイミドを導波路材料に用
いれば、剥離は極めて容易にできる。フッ素化ポリイミ
ドを導波路材料に用いた場合には、接着層としてポリイ
ミドシリコーン、有機金属酸化膜、フッ素を含まないポ
リイミド、あるいはそれらの複合膜などが好ましい。
塗布したポリマはベーク中にV溝内に流れ込み、V溝の
近傍でクラッド層やコア層が薄くなるために導波路特性
やファイバとの結合特性が劣化すると言う第1の難点
は、十分回避されている。
導波路作成後にV溝内のポリマ層を除去する際に、V溝
内のポリマ層は流れ込みによって極めて厚くなってお
り、ドライエッチング等の手法で除去するのが困難とな
る第2の難点は十分回避されている。即ち、本発明の第
2の難点はV溝を作製した後にポリマを塗布して作製し
たV溝付ポリマ導波路基板において、実装するファイバ
のコアの中心の高さがV溝から十分に離れた平坦な領域
の導波路のコアの中心の高さよりも低くなるようにV溝
の幅(形状)を設定する。境界にダイシングを用いて溝
を形成する際には、ポリマ層の膜厚がV溝近傍で急激に
変化している領域を削除するように、溝の幅と位置を設
定する。特に前記境界の溝の幅を100μm 〜220
μmに設定する。特に結合損失を小さくするには基板表
面から図ったコア層中心の高さを15μm以下に設定す
る。特に発生する損失を最小に抑えるためには接着層と
シリコン基板の間に熱酸化膜等の無機膜を設けて、同無
機膜もシリコン基板への光の漏洩を防止するクラッド層
として作用させる。光結合損失を劣化させないように下
部クラッド層の厚さは2μm以上確保し、接着層の厚さ
は0.5μm以下に設定する。上述した本願発明に係わ
る諸事項は、本願発明の諸形態、諸実施の諸形態に適用
できるものであることは言うまでもない。
17号では、基板にあらかじめV溝を作製した後に、ポ
リマ導波路を形成しているが、前述の難点は回避してい
ない。更に、実施の際には基板上に極めて厚いメタル膜
を形成する必要があることからコスト高である。又、前
述した別のアプローチとしてポリマ導波路とV溝構造を
それぞれ別に作製して位置合わせして張り合わせる方
法、例えば、特開平11−202158号、特開200
0−47055号も、両者をサブミクロンの精度で位置
あわせして固定する作業は、現実に極めてコスト高であ
る。これらに比較し、本願発明によれば、極めて安価
に、高性能の光導波路部材を提供することが出来る。
光導波路基板を図1に、前記光導波路基板の作製プロセ
スを図2、図3に示す。図1の(a)はその主要部の斜
視図であり、図1の(b)は光の進行方向に平行な面で
の断面図である。図2はその製造プロセスを順次示した
斜視図であり、図3はその製造プロセスを順次示した断
面図である。これらの断面図は光の進行方向に平行な面
での断面図であり、(a)、(b)等の各図は図2のそ
れと対応した状態を示している。これらの図を用いて、
本願発明に係る導波路基板の作製方法の概要と、当該導
波路基板においてファイバと低損失な光結合を実現する
ための構造について説明する。尚、図1の(a)は図2
の(g)に相当する光導波路部材の斜視図で、図1の
(b)はこれに光ファイバが搭載された状態を示した断
面図である。符号9は光ファイバのコア領域、符号8は
そのクラッド領域である。これらの図の詳細は以下に詳
細に説明されるので、ここでは仔細を省略する。
る。シリコン基板1に、通例の異方性ウエットエッチン
グを用いてアライメントV溝2を形成する(図2
(a)、図3(a))。
するための接着層3を、スピン塗布などの方法で設け
る。フォトレジ工程とエッチングを用いて、シリコン基
板1のV溝領域31の接着層を除去する(図2(b)、
図3(b))。ここで接着層3としては、アルミニウ
ム、ジルコニウム、チタンなどの有機金属キレートやエ
ステル溶液を塗布・ベークして得られる有機金属化合物
や、シリコンを含有したシリコン樹脂やフッ素を含有し
ない樹脂、あるいは両者の複合膜などを用いることがで
きる。前記有機金属化合物自体は例えば特開平7−17
4930などに見られるもので十分である。また、前記
シリコン樹脂やフッ素を含有しない樹脂自体は、例えば
国際公表公報WO98/37445号に見られるもので
十分である。尚、フッ素を含有しない樹脂には、ポリイ
ミド、ポリアミド、ポリカーボネイト、アクリル樹脂な
どを、更に挙げることが出来る。
の場合は0.1μm以下、樹脂の場合は0.5μm以下
と比較的薄くしても実用上十分な接着強度が得られる。
従って、前記V溝内の密着層に形成される厚さは、V溝
に液が流れ込むことによって増加したとしても高々数μ
m以下で十分である。この為、ウエットエッチングやド
ライエッチングによってV溝内の接着層を除去すること
は支障ない。
布及びベークして、下部クラッド層4、コア層5を設け
る(図2(c)、図3(c))。これらの層は塗布・ベ
ークの際にV溝内部に流れ込むためにV溝内では厚く、
V溝近傍では薄くなる。更に、通例のフォトレジ工程と
ドライエッチングを用いて、前記コア層5を所望形状に
エッチングして、導波路パターン5を形成する(図2
(d)、図3(d))。
ラッド層6を設ける(図2(e)、図3(e))。尚、
ここで、光導波路を構成する為の高分子樹脂としては、
フッ素化ポリイミド、フッ素化ポリカーボネイト、フッ
素化アクリル樹脂、重水素化シロキサン、重水素化アク
リル樹脂などを用いることが出来る。
と導波路領域の境界に矩形状の溝7を設ける(図2
(f)、図3(f))。これによってV溝領域と導波路
領域のポリマ層が分離される。V溝領域31のポリマ層
は接着層3が無いために基板から剥離することができ、
これによってV溝付導波路基板が完成する(図2
(g)、図3(g))。
の不要なポリマ層を除去するので、V溝2内のポリマ層
が極めて厚くても支障がない。これに対して、例えばド
ライエッチングを用いてV溝領域のポリマ層を除去しよ
うとすると、ポリマ層の厚さは平坦部でも20μm 〜
30μm、V溝内部ではその倍程度になるためにエッチ
ング時間が極めて長くなったり、溝が深いために溝内に
エッチングの残留物ができるという問題がある。また、
ウエットエッチングを用いた場合も膜厚が極めて厚いた
めに大きなサイドエッチングを生じるという問題があ
り、いずれも実施困難である。
マ層の剥離を容易にするために下部クラッド層に基板表
面と密着性の悪いポリマ材料を選択する必要がある。一
般にフッ素を含むポリマ(フッ素化ポリマ)は、C(炭
素)−F(フッ素)結合が化学的に安定なために界面で
の化学的結合が起こりにくく、シリコンや酸化シリコン
などの無機物との密着性が極めて弱いことが知られてい
る。従って、下部クラッド層にフッ素を含む樹脂を用い
れば、上記剥離工程を容易に実施できる。また、ポリマ
材料としてポリイミドを用いれば、ポリイミドは塗布・
ベークする際にイミド化と呼ばれる脱水反応が起こり、
大きな体積収縮が起こるために大きな引張り応力を膜内
に生じ、剥離が生じやすい。従って、下部クラッドにフ
ッ素化ポリイミドを用いれば上記剥離を極めて容易に実
施できる。こうした、ポリマ材料を具体的に列挙すれ
ば、例えば、フッ素化ポリイミド、フッ素化ポリカーボ
ネイト、フッ素化アクリル樹脂、テトラフルオロエチレ
ン樹脂などを挙げることが出来る。
板にポリマを塗布して作製したV溝付ポリマ導波路基板
において、ファイバとポリマ導波路間で低損失な光結合
が得られるための構造上の条件について述べる。
導波路を作製すると、V溝近傍で下部クラッド層、コア
層、クラッド層が薄くなり、導波路の伝播特性やファイ
バとの結合特性が劣化することが懸念される。しかし、
本願発明の実施に際して、ダイシング溝7の幅や位置、
V溝の幅(W1)(すなわち実装される光ファイバのコ
アの高さ)、あるいは導波路のコアの高さを所定の範囲
内に設定することによって、この劣化を極めて小さく
(例えば<0.1dB)押さえることが出来る。V溝近
傍の塗布膜厚の変化を考慮した数値計算の結果を図6に
示す。
のV溝近傍の膜厚変化を示す。本グラフは、V溝基板に
フッ素ポリイミドワニスを塗布して得られた実験データ
であり、これに基づいて前記の計算を行った。図4の横
軸は当該導波路構造の光の進行方向に添った位置を、縦
軸は塗布された有機樹脂層の厚さを相対値で示したもの
である。図4に示されるように、V溝に近づくに従って
膜厚が薄くなるように、膜厚が変化していると、この光
導波路を伝播する光の強度分布のピークはV溝に近づく
に従って下側にシフトする。図5はこの状態を説明する
図である。接着層3の上に、第1のクラッド層4、コア
層5及び第2のクラッド層6が搭載されるが、前記した
ようにV溝7の近傍71で、当該光導波路を構成する諸
層の厚さが相対的に薄くなる。この位置のシフトによる
光結合損失の増加を防ぐためには、導波路端の光強度の
ピーク71と光ファイバのコアの中心72が一致するよ
うに光ファイバの位置を下げる。このことは具体的に
は、シリコン基板1のV溝2の幅W1を広げることであ
る。V溝2に光ファイバを搭載した場合、V溝2の幅が
広いと、光ファイバの位置は下がる。図5には、光ファ
イバの高さシフト量がΔと示される。尚、V溝の幅は、
例えば、図1にW1として例示される。ここで注意すべ
きは、端面付近で導波路は下側に曲がっているので、端
面での光強度のピークは端面でのコアの中心よりもやや
上になることである。従って結合損失を最小にするに
は、光ファイバのコアの中心が、平坦部の導波路のコア
の中心よりも低くかつ端面の導波路のコアの中心より上
になるようにW1を設定する。
シフト量Δと、ファイバ−導波路間の結合損失の増加の
関係の計算例を図6の(a)、(b)に示す。図6にお
いて、V溝によるポリマの膜厚変化が無い場合を0dB
としている。図6の横軸はダイシング溝7を形成する時
に削除する導波路領域の幅を示し、hは平坦部での導波
路のコア中心の基板からの高さ(図1(b))を示す。
図6の(a)は損失が最小となる光ファイバの高さシフ
ト量Δ、図6の(b)は結合損失の増加を例示する。こ
の計算例ではポリマの屈折率を1.52、コアクラッド
の屈折率差を0.4%、コアの大きさを平坦部で6x6
μmとした。光ファイバの高さを調整しても損失増加が
残る主原因は、導波路が湾曲しているために導波路から
出る光の出射方向が傾きθを有するためである。この傾
きは図5にθとして例示した。
グで削除する導波路領域の幅を大きくしてやれば良い。
また、V溝付近のポリマ層の膜厚は塗布するプロセス条
件等によって極めて敏感に変化するので、安定性の観点
からもV溝近傍の膜厚が急激に変化している領域をでき
るだけ多く削除したほうが良い。しかし、一方、ダイシ
ング溝の幅を大きくするとファイバのアライメントをす
るV溝と導波路端面の距離が大きくなるために、ファイ
バの曲がり等による導波路端面でコア位置のブレが大き
くなって、結合損失のばらつきが大きくなるという問題
が生じる。両者を考えると、削除する導波路領域の幅
(W2)は50μmないし170μm程度が良い。V溝
領域でのV溝が浅くなっている部分を削除するために
は、V溝領域をおよそ50μm削除しなければならない
ことも考えると、ダイシングで形成する溝の幅としては
100μm 〜220μm程度が良い。また、図6の
(a)から分かるように、hが小さいほうが導波路の湾
曲が小さくなり損失増加を小さく押さえることができ
る。たとえば、削除する導波路領域の幅を100μmと
した場合に、損失増加を0.05dB以下と極めて小さ
くに押さえるにはhを15μm以下に設定すれば良い。
ところが、通常シングルモードの導波路ではファイバと
の結合効率などを考慮してコアとクラッドの屈折率差は
0.3%〜0.6%に設定されており、このためシリコ
ン基板に光が漏洩して導波路特性が劣化しないようにす
るためにはすくなくとも15μmの下部クラッド層が必
要である。従ってhを15μm以下とすることは困難で
ある。
ある。この方策は、ポリマ導波路を下部クラッド層より
も低い屈折率を有する無機膜10の上に形成して、無機
膜8も下部クラッド層の一部として光を閉じ込める構造
を用いることで解決できる。尚、図7において、無機層
10以外はこらまで説明したものと同様である。例え
ば、下部クラッド層に屈折率が1.5程度のポリマを用
いた場合には、無機膜10として酸化シリコン膜(屈折
率1.46)を用いれば、酸化膜とポリマの屈折率差が
大きいために酸化膜の膜厚が1μm〜2μmと薄くても
シリコン基板への光の漏洩を防止できる。また、この際
に下部クラッド層の厚さが2μm以上あれば、導波路を
伝播する光のスポット形状は従来構造とほとんど変らず
に良好な光結合が得られる。また、この場合は接着層3
にも導波路を伝播する光が及んでいることになるが、接
着層の厚さをコア層に比べて1桁以上薄く(例えば0.
5μm以下)に設定すれば、接着層による導波路の光学
特性の劣化も十分に小さくすることができる。
べる。 <実施例1>実施例1に係るV溝付導波路基板の構造を
図1に、その作製方法を図2、図3に示す。本基板は以
下のプロセスで作製した。これらの各図の基本構成は前
述した通りである。
ウエハ1に熱酸化シリコン膜1μmを形成する。フォト
レジ工程とドライエッチングによってV溝2を形成する
領域の酸化シリコン膜を除去する。KOH水溶液を用い
た通例のシリコン結晶に対する異方性エッチングによ
り、2つの(1、1、1)面からなるV溝2を形成す
る。エッチングマスクとして用いた酸化シリコン膜はフ
ッ酸水溶液によって除去する(図2(a)、図3
(a))。
樹脂のワニス(例えば、日立化成工業(株)製、商品名
PIXシリーズ)をスピン塗布及びベークして接着層3
(厚さ0.5μm)を基板全面に形成する。通例のホト
レジ工程と酸素ガスを用いたドライエッチングによりV
溝領域の接着層を除去する(図2(b)、図3
(b))。
ドのワニス(フッ素化ポリイミドの前駆体であるポリア
ミック酸のN、N−ジメチルアセトアミド溶液、例えば
日立化成工業(株)製、商品名OPIシリーズ)を順次
塗布及びベークして、下部クラッド層4(n(屈折率)
=1.520、t(平坦部の膜厚)=15μm)、コア
層5(n=1.526、t=6.0μm)を形成する
(図2(c)、図3(c))。この時、V溝にワニスが
流れ込むために下部クラッド層4、コア層5の膜厚はV
溝近傍で薄くなった。この状態は図4に例示した通りで
ある。
によって、コア層5の不用部分を除去して導波路パター
ンを形成する(図2(d)、図3(d))。この時、V
溝内は塗布膜厚が厚いためにコア層5が残ることも有り
得る。再びフッ素化ポリイミドワニスを塗布、ベークし
て上部クラッド層6(n=1.520、t=20μm)
を設ける(図2(e)、図3(e))。次にダイシング
装置を用いて、V溝領域と導波路領域の境界に溝7を設
ける。ここで、溝7の幅(W2)は150μmとし、V
溝領域が50μm、導波路領域が100μm削除される
ように溝の位置を設定した(図2(f)、図3
(f))。ウエハをダイシングより素子に切り出すと、
V溝領域のポリマ層は基板との接着強度が弱いためにダ
イシング直後に自然に剥離してV溝が露出した(図2
(g)、図3(g))。
125μmのシングルモードファイバを実装、接着して
導波路―ファイバ間の結合損失を評価した。様々なV溝
幅(W1)に対して結合損失を比較した結果、ファイバ
のコア中心の高さが基板表面から17.5μm(すなわ
ちΔ=h−17.5=1.0μm)となるV溝幅(W1
=128.4μm)の時に損失が最小になり、この時の
結合損失の増加はV溝を集積しない場合に比較して0.
1dBに押さえることができた。 <実施例2>実施例2に係るV溝付導波路基板の構造を
図7に示す。本基板は接着層3とシリコン基板1の間に
熱酸化シリコン膜10が設けられていることが実施例1
と異なる主な点である。
ず、実施例1と同様に(1、0、0)面を有するシリコ
ンウエハ1に熱酸化シリコン膜10(t=2μm)を形
成する。フォトレジ工程とドライエッチングによってV
溝を形成する領域の酸化膜を除去する。KOH水溶液を
用いた異方性ウエットエッチングにより2つの(1、
1、1)面から構成されるアライメントV溝2を作製す
る。実施例1と異なり、エッチングマスクとして用いた
酸化シリコン膜10は基板表面にそのまま残した。基板
全面にポリイミドシリコン樹脂のワニスをスピン塗布・
ベークして接着層3(厚さ0.5μm)を基板全面に設
ける。レジスト工程と酸素ガスを用いたドライエッチン
グによって、V溝領域の接着層を除去する。屈折率の異
なる2種類のフッ素化ポリイミドワニスを順次塗布・ベ
ークして、下部クラッド層4(n=1.520、t=
3.5μm)、コア層5(n=1.526、t=6.0
μm)を形成する。フォトレジ工程と酸素のドライエッ
チングによってコア層5の不要部分を除去して光導波路
パターンを形成する。再度、フッ素化ポリイミドワニス
を塗布・ベークして上部クラッド層6(n=1.52
0、t=20μm)を設ける。ダイシング装置を用い
て、V溝領域と導波路領域の境界に溝7を設ける。ここ
で、溝7の幅(W2)は150μmとし、V溝領域が5
0μm、導波路領域が100μm削除されるように溝の
位置を設定した。ウエハをダイシング装置で素子に切り
出すと、V溝領域は基板との接着強度が弱いためにダイ
シング後に自然に剥離してV溝が露出した。
ア径125μmのシングルモードファイバを実装、接着
して導波路とファイバ間の結合損失を評価した。様々な
V溝幅に対して結合損失を比較した結果、光ファイバの
高さが酸化シリコン表面から約6.6μm(すなわちΔ
=h―6.7=0.4μm)となるV溝幅(W1=14
1.0μm)の時に損失が最小となり、V溝を集積しな
い場合に対する損失増加は0.05dBと極めて小さく
することができた。また、導波路は波長1.3μmで
0.3dB/cmの良好な導波路特性を示した。
リコンや酸化シリコンとの密着性が高いポリイミドシリ
コン樹脂を特に用いたが、接着層としてはアルミニウ
ム、チタン、ジルコニウムなどの有機金属化合物を用い
ても良い。有機金属化合物の膜の形成方法としては、各
種金属のキレート溶液やエステル溶液をスピン塗布する
方法などが適用できる。また、これらの有機金属化合物
とフッ素を含まないポリマ(通常のポリイミド、ポリイ
ミドシリコン樹脂など)の複合層を接着層に用いれば、
光導波路部ではさらに強く信頼性の高い接着強度を実現
できる。これらの接着層をエッチングする手段として
は、酸素ガスを用いたドライエッチングの他にアルカリ
溶液やフッ酸溶液を用いたウエットエッチングが使用で
きる。また、上記実施例ではポリマ導波路、ファイバが
シングルモードの場合にたいして特に実施したが、導波
路、ファイバがマルチモードの場合に対しても同様に実
施可能なことは言うまでもない。
を有する埋込み型の導波路に対して実施したが、図8に
示すようなポリマからなる下部クラッドを有さず、無機
膜10を下部クラッドとして用いた光導波路に対しても
同様に実施可能なことは言うまでもない。また、V溝の
形状としては必ずしも溝の底が尖るまでエッチングを行
う必要はなく、セットする光ファイバが底にあたらない
程度にエッチングされていれば、図8に示すような形状
であっても支障ないことも言うまでもない。こうしたV
溝2の形状は本実施例に限ることなく、設計上必要に応
じて本願発明に用いることが出来ることは言うまでもな
い。 <実施例3>本願発明の第3の実施例は1×2スプリッ
タモジュールの例である。この例の斜視図を図9に示
す。これまでの実施例と同様の部分は同じ符号で示し
た。
順で作製した。実施例1と同様な方法によって、シリコ
ン基板1にV溝2−1〜2−3を形成する。ここで各V
溝の幅は128.4μmとして、実装する光ファイバの
コアの中心の高さが基板表面から17.5μmになるよ
うに設定した。
ニウムキレート溶液(例えば、日立化成工業(株)製、
商品名PIQ−Coupler)をスピン塗布及びベー
クし、さらにフッ素を含まない通常のポリイミド(例え
ば、日立化成工業(株)製、商品名PIQ)を塗布して
有機アルミニウム酸化膜(約30nm)とポリイミド
(0.5μm)からなる接着層3を基板全面に設ける。
通例のフォトレジ工程とドライエッチング、フッ酸系の
ウエットエッチングによりV溝領域31の接着層を除去
する。屈折率の異なる2種類のフッ素化ポリイミドワニ
スを順次塗布、ベークして、下部クラッド層4(n=
1.520、t=15μm)、コア層5(n=1.52
6、t=6.0μm)を形成する。通例のフォトレジ工
程と酸素のドライエッチングによって、コア層の不用部
分を除去して、所望形状のY分岐パターンを形成する。
ークして上部クラッド層6(n=1.520、t=20
μm)を設ける。ダイシング装置を用いて、V溝領域と
導波路領域の境界に溝7−1〜7−2を設ける。ここ
で、溝の幅は150μmとし、V溝領域が50μm、導
波路領域が100μm削除されるように溝の位置を設定
した。ウエハをダイシングより素子に切り出すと、V溝
領域は基板との接着強度が弱いためにダイシング後に自
然に剥離してV溝が露出した。作製したV溝付光導波路
のV溝部に3本のコア径125μmのシングルモードフ
ァイバ8−1〜8−3を実装し、UV接着剤にて固定し
て光スプリッタモジュールを完成した。
−1と8−2の間または8−1と8−3の間の損失)は
4.0dB以下と良好な特性が得られた。 <実施例4>本例は、別な1×2光スイッチの例であ
る。本願発明の光導波路部材はこうした用途にも当然用
いることが出来る。本発明に係る1×2光スイッチ構造
の斜視図を図10に示す。本光スイッチの基本構成は、
実施例3で作製した1×2光スプリッタのポリマ導波路
表面に一対の薄膜ヒータ11−1、11−2を設けた例
である。前記の一対の加熱手段は分岐した光導波路の各
々に対応して設けられる。薄膜ヒータとしては、例えば
Cr(厚さt=0.3μm)を用いることが出来る。
の各々の光学特性を制御し、各光導波路の光強度を制御
するものである。例えば、INから光を入射した状態で
ヒータ11−1に電流を流すと、ヒータ直下の導波路の
屈折率が低下するために、OUT2の光出力が増加し、
ON、OUT1の光出力が減少しOFFとなる。また、
ヒータ11−2に電流を流すとOUT1の光出力が増加
しON、OUT2の光出力が減少しOFFとなる。ヒー
タ電力を150mWで動作させた時の消光比は25dB
以上、ON側の損失は1.5dBであり良好なスイッチ
特性が得られた。 <実施例5>本例は、光送信(または光受信)モジュー
ルの例である。本願発明の光導波路部材はこうした用途
にも当然用いることが出来る。本願発明に係る光送信
(または光受信)モジュールの構造の斜視図を図11に
示す。
た。前実施例と同様な方法でシリコンウエハ1にV溝2
を形成する。さらに基板表面に光導波路の下部クラッド
層並びに電極の絶縁膜として作用する熱酸化シリコン膜
10(t=1.0μm)を設ける。ここで、V溝の幅は
140.2μmとして実装するファイバのコア中心の高
さが酸化シリコン膜表面から8.1μmになるように設
定した。更に、酸化シリコン膜10上に半導体素子を実
装する時に用いるTi/Pt/Au電極12を設ける。
リイミドシリコン樹脂のワニスをスピン塗布及びベーク
して接着層3(厚さ0.5μm)を基板全面に形成す
る。次いで、通例のフォトレジ工程とドライエッチング
によって、V溝領域31の接着層を除去する。屈折率の
異なる2種類のフッ素化ポリイミドワニスを順次塗布及
びベークして、下部クラッド層4(n=1.520、t
=5.0μm)、コア層5(n=1.526、t=6.
0μm)を形成する。フォトレジ工程と酸素のドライエ
ッチングによって、コア層5の不要部分を除去する。再
びフッ素化ポリイミドワニスを塗布及びベークして上部
クラッド層6(n=1.520、t=20μm)を設け
る。ドライエッチングを用いて、光学部材を搭載する搭
載部32のポリマ導波路を完全に除去して電極12を露
出する。ダイシング装置を用いて、V溝領域と導波路領
域の境界に溝7を設ける。ここで、溝7の幅は150μ
mとし、V溝領域が50μm、導波路領域が100μm
削除されるように溝の位置を設定した。ウエハをダイシ
ングより導波路素子に切り出すと、V溝領域のポリマ層
は基板との接着強度が弱いために剥離してV溝が露出し
た。
用いて半導体レーザ13を実装し、V溝2にシングルモ
ードファイバを実装・接着して光送信モジュールを作製
した。
W以上の良好な光出力を示した。また、作製した基板の
電極12にAuSn半田を用いて導波路型のフォトダイ
オード13を実装し、V溝にシングルモードファイバを
実装・接着して光受信モジュールを作製した。本受信モ
ジュールは0.8A/W以上の良好な受信感度を示し
た。 <実施例6>本例は、更に多数の光ファイバを搭載した
モジュールの例である。本発明に係る光送信(または光
受信)モジュール用導波路基板の構造の斜視図を図12
に示す。本基板の、例えばV溝2−1〜2−4に4本の
光ファイバアレイを実装することで、並列光伝送(4c
h)を使用する光インタコネクション用送信(または受
信)モジュールを実現できる。更に、本願発明が多数の
チャネルを有する光モジュ−ルに適用できることは言う
までもない。本導波路基板及びモジュールは実施例5と
同様な方法で作製できるので、その詳細説明は省略する
図12では、他の実施例におけるものと同様の部品は同
じ符号で示した。 <実施例7>本例は、波長多重を用いた双方向光トラン
シーバモジュールの例である。本願発明に係る波長多重
を用いた双方向光トランシーバモジュールの例の斜視図
を図13に示す。
めの波長1.3μmの半導体レーザ15、光出力をモニ
タするためのモニタ用導波路型フォトダイオード16、
波長1.5μmの信号を受信するための導波路型フォト
ダイオード17を有する。更に、ポリマの光導波路端面
には波長1.3μmと1.5μmの光を合分波するため
の多層膜フィルタ14が蒸着されている。光ファイバ8
より入射した波長1.5μmの光信号は多層膜フィルタ
14を透過し、フォトダイオード17によって受信され
る。一方、半導体レーザ15が発する波長1.3μmの
光信号は多層膜フィルタ14で反射されて光ファイバ8
から出力される。
前実施例と同様に、シリコン基板1にV溝2を形成し、
基板表面に熱酸化シリコン膜10(1.5μm厚)を設
ける。ここで各V溝の幅は141.8μmとして、実装
するファイバのコア中心の高さが酸化膜表面から6.5
μmになるように設定した。更に、半導体素子を実装す
る際に用いるCr/Au電極12−1〜−3を設ける。
前実施例と同様にポリイミドシリコン樹脂からなる接着
層3(厚さ0.5μm)を導波路領域に設ける。屈折率
の異なる2種類のフッ素化ポリイミドワニスを順次塗布
・ベークして、下部クラッド層4(n=1.520、t
=3.3μm)、コア層5(n=1.526、t=6.
0μm)を形成する。通例のフォトレジ工程と酸素のド
ライエッチングによって、コア層5の不要部分を除去し
て、V字形状の導波路パターンを形成する。再びフッ素
化ポリイミドワニスを塗布・ベークして上部クラッド層
6(n=1.520、t=15μm)を設ける。ドライ
エッチングを用いて、素子を搭載する部分のポリマ導波
路を完全に除去し、電極12−1〜12−3を露出す
る。ダイシング装置を用いてV溝領域と導波路領域の境
界に溝7を設ける。ここで、溝7の幅は150μmと
し、V溝領域が50μm、導波路領域が100μm削除
されるように溝の位置を設定した。ウエハをダイシング
より導波路素子に切り出すと、V溝領域のポリマ層は基
板との接着強度が弱いために剥離してV溝が露出した。
導波路端面に真空蒸着によって多層膜フィルタ14を蒸
着し、電極12−1に波長1.3μmの半導体レーザ1
5、電極12−2にモニタ用導波路型フォトダイオード
16、電極12−3に受光波長1.5μmの導波路型フ
ォトダイオード17をそれぞれAuSn半田を用いて実
装し、V溝2に光ファイバ8を接着した。
/受信波長1.5μm)の光出力はレーザ電流30mA
で2mWであり、受光感度は0.7A/Wと良好な特性
が得られた。半導体レーザ15の発光波長を1.5μ
m、フォトダイオード17の受光波長を1.3μmとし
て、多層膜フィルタ14に1.5μmを反射し1.3μ
mを透過するものを用いることで同様に送信波長1.5
μm/受信波長1.3μmの光トランシーバモジュール
も作製した。試作したモジュールの光出力はレーザ電流
30mAで1.5mWであり、受光感度は0.6A/W
と良好な特性が得られた。
を用いて構成した光通信装置の例を図14に示す。図1
4において、符号18は本願発明に係る1.3μm波長
帯域の送信及び1.5μm波長帯域の受信が可能なる波
長多重双方向光送受信モジュールであり、電気信号18
2に基づき、送受信回路181によって制御される。符
号19は本願発明に係る1.5μm波長帯域の送信及び
1.3μm受信が可能なる波長帯域波長多重双方向光送
受信モジュールであり、電気信号192に基づき、送受
信回路191によって制御される。両波長多重双方向光
送受信モジュール18、19は光ファイバ20でつなが
れている。本装置は600Mbit/sの信号をファイ
バ長15km以上まで双方向にエラフリーで伝送するこ
とが出来た。 <実施例8>本例は、波長多重光送信モジュールの例で
ある。本願発明に係る波長多重光送信モジュールの例の
斜視図を図15に示す。本モジュールは、波長が異なる
4つのDFBレーザ21−1〜21−4を有し、各レー
ザから出る4波の光信号がポリマ導波路から成る1×4
合波器によって合波されて、V溝2に固定される光ファ
イバから出力される。
実施例と同様な方法でシリコン基板にV溝2を形成し、
基板表面に熱酸化シリコン膜10(1.0μm厚)を設
ける。ここで各V溝の幅は141.1μmとして、実装
するファイバのコア中心の高さが酸化膜表面から7.5
μmになるように設定した。更に、DFBレーザを実装
する際に用いるTi/Pt/Au電極を熱酸化膜状に設
ける。基板全面にジルコニアキレートの溶液とフッ素を
含まないポリイミドをそれぞれスピン塗布・ベークして
有機ジルコニア酸化物とポリイミドからなる接着層3
(厚さ0.5μm)を基板全面に設ける。ホトレジ工程
とドライエッチングによってV溝領域31の接着層を除
去する。屈折率の異なる2種類のフッ素化ポリイミドワ
ニスを順次塗布・ベークして、下部クラッド層4(n=
1.520、t=4.3μm)、コア層5(n=1.5
26、t=6.0μm)を形成する。フォトレジ工程と
酸素のドライエッチングによってコア層の不要部分を除
去して、1×4合分波器のパターンを形成する。再びフ
ッ素化ポリイミドワニスを塗布・ベークして上部クラッ
ド層6(n=1.520、t=20μm)を設ける。ド
ライエッチングを用いて、素子を搭載する部分のポリマ
導波路を完全に除去して搭載部の電極を露出する。ダイ
シング装置を用いて、V溝領域と導波路領域の境界に溝
7を設ける。ここで、溝7の幅は150μmとし、V溝
領域が50μm、導波路領域が100μm削除されるよ
うに溝の位置を設定した。ウエハをダイシングより導波
路素子に切り出すと、V溝領域のポリマ層は基板との接
着強度が弱いために剥離してV溝が露出した。
FBレーザ21−1〜21−4(波長:1280nm
、1300nm 、1320nm 、1340nm)を
実装し、V溝2に光ファイバをUV接着剤で固定した。
作製した光モジュールを用いて通信装置を作製した。図
16はこの状態を示す図である。本発明に係る異なる4
つの波長の発信が可能な波長多重光送信モジュール22
は、電気信号222に基づく駆動回路221によって制
御される。例えば、2.5Gbit/s×4chの信号
は、本発明に係る波長多重光送信モジュール22にて4
波長の波長多重信号に変換され、光ファイバ20を伝送
する。この波長多重光送信モジュール22からの信号は
波長分波器23によって4波長に分波され、各波長の光
信号を受信モジュール24−1、24−2、24−3、
及び24−4で電気信号に変換する。電気信号系は、受
信回路241にて所望回路に電気信号242として伝達
される。本通信システムはファイバ長10km以上まで
エラフリーで動作した。
本願発明によって、光ファイバと低損失な光結合が得ら
れるファイバアライメントV溝付ポリマ導波路基板が提
供できる。本導波路基板を用いることで光モジュールの
低コスト化並びに高性能化が達成できる。
易な光導波路部材を提供することが出来る。
の容易な光導波路部材の製造方法を提供することが出来
る。
を示す図であり、その(a)は斜視図、その(b)は断
面図である。
を説明する図である。
図である。
時のポリマの膜厚分布を示す図である。
において、光導波路の光の伝播の状態(光強度分布)を
説明する図である。
板において、ファイバと光導波路の結合損失を最小にす
るシフト量と得られる結合損失の関係例を示す図であ
る。
の例を示す斜視図である。
の別な例を示す斜視図である。
の例を説明する斜視図である。
ルの例を説明する斜視図である。
信)モジュールの例を説明する斜視図である。
信)モジュールの別な例を説明する斜視図である。
ランシーバモジュールの例を説明する斜視図である。
ランシーバモジュールを用いた光通信装置の例を示す図
である。
ュールの例を説明する斜視図である。
ュールを用いた光通信装置の例を示す図である。
3…接着層、4…下部クラッド層、5…コア層、6…上
部クラッド層、7…ダイシング溝、8…ファイバ、9…
ファイバのコア、10…無機膜(熱酸化シリコン膜)、
11…薄膜ヒータ、12…電極、13…半導体レーザま
たは導波路型フォトダイオード、14…多層膜波長フィ
ルタ、15…半導体レーザ、16…モニタ用導波路型フ
ォトダイオード、17…導波路型フォトダイオード、1
8…本発明に係る波長多重双方向光送受信モジュール、
19…本発明に係る波長多重双方向光送受信モジュー
ル、20…光ファイバ、、21…DFBレーザ、22…
本発明に係る波長多重光送信モジュール、23…波長分
波器、24…受信モジュール。
Claims (10)
- 【請求項1】 シリコン基板上の一部に光導波路が形成
され、前記光導波路のコアまたはクラッドが高分子樹脂
から構成され、前記光導波路に対して光ファイバを位置
決め固定するためのV形状の溝と、前記光導波路の境界
に前記V形状の溝と垂直な方向に伸びる溝とを前記シリ
コン基板に有し、前記光導波路を構成するコアまたはク
ラッドの膜厚が前記境界近傍で他の部分よりも薄くなっ
ており、前記V形状のV溝に光ファイバを実装した時
に、前記光ファイバのコアの中心の高さが前記境界から
前記V形状の溝よりも離れた膜厚がおよそ平坦な個所で
の光導波路のコアの中心の高さよりも低くい高さになる
ように、前記V形状の溝の形状が設定されていることを
特徴とする光導波路部材。 - 【請求項2】 V字型溝部と、当該V字型溝部の延在方
向に、このV字型溝部と第2の溝部を挟んで対向した平
坦な領域とを有するシリコン基板と、前記V字型溝部に
添い且つ前記第2の溝部の所定壁面に対向して設けた光
導波路と、前記平坦な領域の上部に、当該光導波路のコ
ア層を構成する第1の樹脂層、及び当該光導波路のクラ
ッド層を構成する第2の樹脂層と、を少なくとも有し、
前記第1、及び第2の各樹脂層は前記平坦な領域の第1
の溝部と対向する端面の近傍でその厚さが減少してお
り、且つ前記光導波路のコア領域の端面は前記第1の樹
脂層が構成するコア層の端面に対向していることを特徴
とする光導波路部材。 - 【請求項3】 前記シリコン基板表面に無機材料からな
る膜が設けられ、前記無機膜の上に前記導波路が形成さ
れており、前記無機材料からなる膜がクラッド層として
作用していることを特徴とする請求項1又は請求項2に
記載の光導波路部材。 - 【請求項4】 前記シリコン基板と前記光導波路の間、
または前記無機材料からなる膜と前記光導波路の間に、
当該光導波路を構成する高分子樹脂と前記シリコン基板
との密着性を向上する接着層を有することを特徴とする
請求項1又は請求項3のいずれかに記載の光導波路部
材。 - 【請求項5】 請求項1より請求項4のいずれかに記載
の光導波路部材のV形状の溝に光導波路部材が装着され
たことを特徴とする光モジュール。 - 【請求項6】 請求項1より請求項5のいずれかに記載
の光導波路部材のV形状の溝に光導波路部材が装着さ
れ、且つ当該光導波路部材の有する光導波路の前記導波
路部材が装着されざる他の端部に光部材が装着されたこ
とを特徴とする光モジュール。 - 【請求項7】 シリコン基板上に、コアまたはクラッド
がポリマから構成された光導波路と前記光導波路に対す
る光ファイバを位置決め固定するためのV形状の溝とを
少なくとも有する光導波路部材の製造方法であって、前
記シリコン基板に前記光ファイバの長手方向に向う所望
のV形状の溝を形成し、この後、前記光導波路用のポリ
マを塗布して当該光導波路を形成し、前記光ファイバの
搭載する領域の前記ポリマによる高分子樹脂膜を除去す
る、ことを特徴とする光導波路部材の製造方法。 - 【請求項8】 前記光導波路を形成した後、前記光導波
路と前記光ファイバの搭載する領域との間にこの両者を
分ける溝を形成し、次いで、前記光ファイバの搭載する
領域の前記ポリマによる高分子樹脂膜を除去することを
特徴とする請求項7に記載の光導波路部材の製造方法。 - 【請求項9】 前記シリコン基板に前記光ファイバの長
手方向に向う所望のV形状の溝を形成した後、前記シリ
コン基板のポリマ層を残す領域に前記シリコン基板とポ
リマの密着性を高める接着層を設け、次いで、前記光導
波路を形成することを特徴とする請求項7又は請求項8
に記載の光導波路部材の製造方法。 - 【請求項10】 シリコン基板にV字型溝部を形成する
工程、前記V字型溝部を構成する平坦な領域であって且
つ当該光導波路の光の進行方向に存在する領域の上面に
接着材の層を形成する工程、こうして準備されたシリコ
ン基板の少なくともV字型溝部及び当該V字型溝部を構
成する平坦な領域の上面を覆って当該光導波路のコア層
を構成する第1の樹脂層、及び当該光導波路のクラッド
層を構成する第2の樹脂層を形成する工程、光導波路の
端面に対向する壁面を有する第2の溝部を形成する工
程、当該光導波路の光の進行方向に添って存在する前記
V字型溝部を構成する平坦な領域上に存在する少なくと
も前記第1、及び第2の各樹脂層を除去する工程、を有
することを特徴とする光導波路部材の製造方法。
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