JP2002139079A - ローラクラッチ用プラスチック保持器 - Google Patents

ローラクラッチ用プラスチック保持器

Info

Publication number
JP2002139079A
JP2002139079A JP2000334740A JP2000334740A JP2002139079A JP 2002139079 A JP2002139079 A JP 2002139079A JP 2000334740 A JP2000334740 A JP 2000334740A JP 2000334740 A JP2000334740 A JP 2000334740A JP 2002139079 A JP2002139079 A JP 2002139079A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
plastic
roller clutch
roller
retainer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000334740A
Other languages
English (en)
Inventor
Magozo Hamamoto
孫三 濱本
Toshimi Takagi
敏己 高城
Toshiyuki Yamamoto
敏之 山本
Makoto Watanabe
真 渡邉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2000334740A priority Critical patent/JP2002139079A/ja
Publication of JP2002139079A publication Critical patent/JP2002139079A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸水による寸法変化が少なく、柔軟性を有
し、高温クリープ性も良好で、更には耐熱性及び耐油性
を向上させた安価なローラクラッチ用プラスチック保持
器を提供する。 【解決手段】 重合度60〜120のポリアミド9T樹
脂を主成分とし、かつローラを押圧するためのバネを一
体に形成してなることを特徴とするローラクラッチ用プ
ラスチック保持器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はローラクラッチ用プ
ラスチック保持器に関し、詳しくは耐熱性、耐油性、耐
薬品性、寸法安定性、耐クリープ性、靱性等に優れるロ
ーラクラッチ用プラスチック保持器に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばファクシミリや複写機の紙送り機
構のように、特定方向の回転運動のみを伝達するローラ
クラッチが各種機械装置に組み込まれている。図1は、
一般に知られているローラクラッチの一部分を示す断面
図である。このローラクラッチ1は、軸受の外輪相当部
材である外輪2と、複数本のローラ3,3と、各ローラ
3,3を円周方向に沿って略等間隔で保持する保持器
4,4と、保持器4と一体または別体に形成されたバネ
5と、軸受の内輪相当部材である軸6とから概略構成さ
れる。
【0003】外輪2は、使用時に紙送りローラの中心部
に設けた軸受ハウジング等に、内周面を円筒面とした図
示しない保持部材の内側に内嵌固定される。また、外輪
2の内周面は、円周方向に亙る凹凸からなるカム面7が
形成されている。即ち、外輪2の内周面の複数箇所に、
ランプ部と呼ばれ、円周方向一端側(図1の時計回り方
向側)に向かうほど深くなる複数の凹部8,8が、それ
ぞれ外輪2の軸方向に亙って、かつ円周方向に亙り、互
いに等間隔で形成されている。また、複数本のローラ
3,3、保持器4、バネ5及び軸6は、外輪2の内側に
設けられている。
【0004】保持器4の形状は通常、籠型で、ローラ3
の長手方向に延びる円筒状に形成されている。また、こ
の保持器4は外輪2の内側に、この外輪2に対する相対
回転を不能に装着している。このために、保持器4の外
周面複数箇所には、外輪2の各凹部8,8に対して円周
方向に亙る変位に係合する凸部9が設けられている。ロ
ーラ3は、保持器4に形成されたポケット10,10の
内側に、転動自在に、かつ円周方向に亙って若干変位可
能に保持されている。また、保持器4を構成する柱部1
1,11と各ローラ3,3との間にローラ3と同数のバ
ネ5を設け、各ローラ3,3を外輪2の各凹部8,8が
浅くなる方向に円周に沿って、即ち図中、反時計回り方
向に弾性的に押圧している。
【0005】上述のように構成されるローラクラッチ1
は、外輪2を内嵌固定した保持部材と軸6との所定方向
の相対回転のみを伝達する。例えば、図1において、外
輪2が固定で軸6のみが回転すると仮定すれば、この軸
6が時計回り方向に回転する場合には、ローラ3,3が
この軸6の外周面から受ける力に基づき、各バネ5,5
の弾力に抗して各凹部8,8の深くなった側に変位す
る。そして、この凹部5の深くなった円筒状隙間12で
は、ローラ3,3が転動可能な状態となって、外輪2と
軸6との間で回転力の伝達が行われなくなる、所謂オー
バラン状態となる。反対に、この軸6が図1の反時計回
り方向に回転する場合には、各ローラ3,3が軸6の外
周面から受ける力と各バネ5,5の弾性力とに基づき、
各凹部8,8の浅くなった側に楔状に食い込み、外輪2
と軸6とを一体型に結合して外輪2と軸6との間で回転
力の伝達を自在とする、所謂ロック状態となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のローラクラッチ
1において、保持器4は、生産性や軽量化等を考慮して
合成樹脂を射出成形して得られるプラスチック保持器が
一般的となっている。それに伴い、バネ5も合成樹脂に
より保持器4と一体に成形されている。合成樹脂として
は、従来より、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリア
セタール等が使用されている。
【0007】しかし、ポリアミドは、その分子構造中に
アミド結合を有しているために水の影響を受け易く、高
温・多湿雰囲気では吸水により膨潤し、乾燥雰囲気では
脱水により収縮し、寸法変化及び靱性の変化が大きい。
そのため、寸法精度を要求されるローラクラッチ用途に
は適用できないという問題がある。また、120℃以上
での連続使用条件下や、極圧添加剤添加油等の油類と常
時或いは間歇的に接触する条件下では経時劣化を起こ
し、市場で要求される性能を満たしているとはいえな
い。更に、吸水時の弾性力低下から、バネ5のコーラ押
圧力が低下するという問題がある。
【0008】一方、ポリアセタールは吸水の影響が少な
いため寸法変化が小さく、また耐クリープ特性も良好で
あることから、一般用途のローラクラッチに多用されて
いる。しかし、ポリアセタールは100℃以上の連続使
用条件下や、極圧添加剤添加油等の油類と常時或いは間
歇的に接触する条件下では経時劣化を起こし、市場で要
求される性能を満たしているとはいえない。また、近
年、複写機の高温部位で使用可能なローラクラッチが求
められており、そのためには120℃以上の高温におい
ても上述のローラクラッチ機能を有する必要があるが、
ポリアセタールは耐熱性が十分ではなく、80℃以上の
高温領域ではバネ5がへたり、ローラ3を常時押圧する
ことができなくなる。
【0009】本発明は、このような従来のローラクラッ
チ用プラスチック保持器の問題点を解決するためになさ
れたものであり、吸水による寸法変化が少なく、柔軟性
を有し、高温クリープ性も良好で、更には耐熱性及び耐
油性を向上させた安価なローラクラッチ用プラスチック
保持器を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、重合度60〜120のポリアミド9T樹
脂を主成分とし、かつローラを押圧するためのバネを一
体に形成してなることを特徴とするローラクラッチ用プ
ラスチック保持器(以下、単に「プラスチック保持器」
と呼ぶ)を提供する。
【0011】本発明のプラスチック保持器は、重合度6
0〜120のポリアミド9T樹脂組成物から製造される
ものであり、優れた耐熱性、耐クリープ性、耐油性を示
すと同時に、高い機械的特性を有している。また、適度
な柔軟性があり、高温でもバネがへたることが無く、耐
へたり性も高い。更に、吸水性も低く、優れた寸法安定
性を有する。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て詳説する。
【0013】本発明のプラスチック保持器はその形状や
構造は制限されるものではなく、例えば図1に示した形
状とすることができ、バネ5と一体に成形される。この
プラスチック保持器に使用される樹脂組成物のマトリッ
クスは、重合度60〜120のポリアミド9T樹脂であ
る。このポリアミド9T樹脂は、テレフタル酸とノナン
ジアミンとの重合ポリマーであり、芳香環と高級脂肪族
鎖とからなる半芳香族ポリアミドである。このようなポ
リアミド9T樹脂は、例えば(株)クラレより「ジェネ
スター」(登録商標)として入手できる。また、ポリア
ミド9T樹脂は、その重合度が低い場合は耐熱性に劣
り、一方高すぎる場合は成形性が困難になることから、
本発明においては重合度が60〜120のものを使用す
る。
【0014】また、ポリアミド9T樹脂には、使用目的
により、繊維状充填材を含有させることができる。繊維
状充填材は、プラスチック保持器のバネのローラ押圧力
を増加させるとともに、寸法精度を向上させるため必要
に応じて適宜添加される。用いる繊維状充填材は、特に
限定されないが、例えばガラス繊維、炭素繊維、金属繊
維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウィスカー等を例
示できる。中でもガラス繊維、炭素繊維は補強性が良好
であり、好ましい。
【0015】繊維状充填材の量は、ポリアミド9T樹脂
組成物の全重量に対して0〜30重量%、好ましくはロ
ーラクラッチの必要トルクに応じて、0〜10重量%ま
たは10〜20、20〜30重量%である。30重量%
を超えて添加しても、樹脂組成物の溶融流動性が著しく
低下して成形性が悪くなるばかりでなく、材料の変形能
が極めて小さくなるため成形時の無理抜きが困難にな
り、またローラ組込時にバネが破損するおそれがある。
【0016】更に、繊維状充填材には、ポリアミド9T
樹脂との親和性を持たせるために、シラン系カップリン
グ剤やチタネートカップリング剤等のカップリング剤に
より表面処理を施してもよい。これにより、ポリアミド
9T樹脂と繊維状充填材との密着性並びに繊維状充填材
の分散性を向上させることができ、機械的特性に優れた
プラスチック保持器が得られる。また、その他にも目的
に応じた表面処理剤で処理することができる。
【0017】また、ポリアミド9T樹脂には、本発明の
目的を損なわない範囲において、熱安定剤、固体潤滑
剤、潤滑剤、着色剤、帯電防止剤、離型剤、流動性改良
剤、結晶化促進剤等を適宜添加しても良い。
【0018】上記の如く構成されるポリアミド9T樹脂
組成物は、通常の樹脂成形方法に従って、バネと一体化
されたプラスチック保持器に成形される。
【0019】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を
更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるもの
ではない。
【0020】(1)試験用プラスチック保持器の製作 この実施例及び比較例に使用したプラスチック保持器の
原材料をまとめて示すと以下の通りである。 PA9T樹脂{(株)クラレ製「ジェネスター」、重
合度80の未強化グレード} PA9T樹脂{(株)クラレ製「ジェネスター」、重
合度120の未強化グレード} PA9T樹脂{(株)クラレ製「ジェネスター」、重
合度120のガラス繊維30%入り} PA9T樹脂{(株)クラレ製「ジェネスター」、重
合度120のガラス繊維15%入り(とのブレン
ド)} PA66樹脂{宇部興産(株)製「宇部ナイロン20
20U」} POM樹脂{デュポン(株)製「デルリン507」}
【0021】そして、これらの材料を用いて、インライ
ンスクリュー式射出成型機にて成形して、バネ一体型プ
ラスチック保持器(外径φ10mm、内径φ8mm:保
持器部分)を得た。尚、保持器の形状は図1に示すよう
な籠型保持器とした。実施例と比較例の各プラスチック
保持器をそれぞれ作製し、下記の試験を実施した。
【0022】(2)寸法安定性試験 本発明のプラスチック保持器の寸法安定性を確認するた
めに、(1)で得られた各プラスチック保持器について
先ず絶乾状態にて外径寸法を工具顕微鏡を用いて測定
し、次いで60℃、相対湿度70%の恒温恒湿槽内に入
れて120時間吸水処理を施した後に同様に外径寸法を
測定し、外径の寸法変化率を求めた。結果を表1に示
す。
【0023】
【表1】
【0024】表1から明らかなように、PA9T樹脂を
用いた実施例1〜4のプラスチック保持器は何れも、従
来より寸法安定性に優れ、一般用途に多様されている比
較例2のポリアセタールを用いたプラスチック保持器と
ほぼ同等の寸法安定性を示しており、ローラクラッチ用
として使用するのに充分であるといえる。特にガラス繊
維を30重量%配合した実施例2の保持器は、より寸法
安定性が向上している。一方、比較例1のポリアミド6
6(PA66)を用いたプラスチック保持器は、吸水に
よる寸法変化が大きく、ローラクラッチ用として使用す
るのに充分な寸法安定性を有しているとはいえない。
【0025】(3)保持器円環引張試験 本発明のプラスチック保持器における繊維状充填剤の含
有量が保持器に及ぼす影響を確認するために、実施例
2、3、4及び比較例1、2のプラスチック保持器を用
いて円環引張試験を実施した。円環引張試験は図2に示
す円環引張治具に試験用保持器4を、そのウエルド20
が水平位置になるようにセットし、島津製作所製の引張
試験機(オートグラフAG−10KNG)を用いて、1
0mm/min.の引張速度で行った。結果を図3に示すが、
PA9T樹脂を用いた各実施例のプラスチック保持器
は、ガラス繊維配合量0〜30重量%の範囲で良好な強
度を示しているのがわかる。
【0026】(4)耐熱性試験 本発明のプラスチック保持器の環境耐久性を評価するた
めに、実施例1〜4、比較例1、2のプラスチック保持
器を用いて熱劣化試験を実施した。熱劣化試験は、プラ
スチック保持器を150℃の熱風循環式恒温槽中に放置
し、所定時間経過後に取り出して前記(3)円環引張試
験と同じ装置で同様な方法にて、円環引張破断荷重測定
した。そして、各プラスチック保持器について、加熱前
の測定値を100%として強度保持率を求めた。結果を
図4に示す。
【0027】同時に伸び(内径基準)も測定し、同様に
加熱前の測定値を100%として伸び保持率を求めた。
結果を図5に示す。
【0028】図4から明らかなように、実施例1の重合
度80のPA9T樹脂からなるプラスチック保持器は1
000時間経過後に初期強度に対し15%の僅かな強度
低下を示しているが、実用上機能に影響を及ぼさないレ
ベルである。実施例2、3、4の重合度120のPA9
T樹脂からなるプラスチック保持器の熱劣化はより少な
く、1000時間経過後においても約90%の強度を保
持している。一方、比較例1のPA66樹脂からなるプ
ラスチック保持器は35%、比較例2のPOM樹脂から
なるプラスチック保持器は60%の強度低下をそれぞれ
示した。POM樹脂の使用限度は約100℃であり、耐
熱性能に劣ることからこのような低下となっている。
【0029】また、図5から明らかなように、伸びにつ
いても強度保持率と同様な傾向を示しており、特に実施
例2、3、4の重合度120のPA9T樹脂からなるプ
ラスチック保持器の伸びの熱劣化は少なく良好である。
一方、比較例1のPA66樹脂からなるプラスチック保
持器は37%の低下を示し、比較例2のPOM樹脂から
なるプラスチック保持器は熱劣化が進行して59%と大
きく伸びが低下した。
【0030】これらの結果から、重合度60〜120の
PA9T樹脂からなるプラスチック保持器は十分な耐熱
性を示すことがわかる。
【0031】(5)静的評価試験 プラスチック保持器のバネのへたりを評価するために、
図1のように、外輪2、保持器5、ローラ3、軸6及び
表2に示す樹脂からなる試験プラスチック保持器をセッ
トして試験ローラクラッチを作製した。尚、軸6につい
ては、バネ4を大きく撓ませるために、通常よりも太い
軸を挿入した。そして、試験ローラクラッチを130℃
設定の熱風循環式恒温糟に500時間放置し、放置後に
軸6を外してバネ4がローラ3を押圧しているか否かを
目視により観察した。バネ4がローラ3を押圧していれ
ばバネ4のへたり無しとし、バネ4がローラ3と非接触
の場合はへたり有りと評価した。結果を表2に示す。
尚、表中、へたり無しを「○」、へたり有りを「×」、
一部非接触個所有りを「△」としてある。
【0032】
【表2】
【0033】表2から明らかなように、実施例5、6、
7、8のPA9T樹脂からなるプラスチック保持器は、
何れも耐へたり性が良好である。これに対し、比較例3
のPA66樹脂からなるプラスチック保持器は一部のバ
ネにへたりが生じており、また比較例4のPOM樹脂か
らなるプラスチック保持器はバネのへたりが明確であっ
た。
【0034】(6)動的評価試験 プラスチック保持器のバネのへたりを評価するために、
図1のように、外輪2、保持器5、ローラ3、軸6及び
表3に示す樹脂からなる試験プラスチック保持器をセッ
トして試験ローラクラッチを作製した。そして、図6
(a)に示す日本精工製小型汎用ボックス試験機40に
試験ローラクラッチ30を装着し、負荷荷重34を懸垂
した状態で、サーボモータ41からの回転をリール42
a,42bを介してベルト43により伝達し、オーバラ
ン方向の回転と停止のサイクルを繰り返した。尚、試験
ローラクラッチ30の装着に際して、同図(b)に示す
ように、樹脂ハウジング31を外嵌し、その外側に固定
用治具32を取付け、更にその外側に外径溝付玉軸受3
3を取付けた。また、雰囲気温度は130℃とした。そ
して、所定時間のサイクルを終了した後、試験ローラク
ラッチ30の軸6を外し、上記(5)静的評価試験と同
様にしてバネ4のへたり状況を調査した。バネ4のへた
りに対する判定基準も静的評価試験と同様である。15
0時間及び250時間サイクル経過後の評価結果を表3
に示す。
【0035】
【表3】
【0036】表3から明らかなように、実施例9、1
0、11、12のPA9T樹脂からなるプラスチック保
持器は、何れも250時間経過後もバネのへたりが無く
良好である。これに対し、比較例5のPA66樹脂から
なるプラスチック保持器は150時間で一部のバネにへ
たりが生じ、250時間では全てのバネにへたりが発生
していた。また、比較例6のPOM樹脂からなるプラス
チック保持器は150時間でバネのへたりが明確であっ
た。
【0037】上記の各試験から、重合度60〜120の
PA9T樹脂からなるプラスチック保持器は十分な性能
を示すことが明らかである。即ち、本発明のプラスチッ
ク保持器は耐熱性、寸法安定性、耐クリープ性(耐へた
り性)が良好であり、特に高温領域まで使用できるロー
ラクラッチに適用できる。
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように本発明は、マトリッ
クス樹脂として、150℃の高温に耐え得る優れた耐熱
性、耐油性、耐薬品性、寸法安定性、耐クリープ性、靱
性を示すと同時に高い機械的性質を有しているポリアミ
ド9T樹脂を使用したため、苛酷な環境条件(高温雰囲
気油やグリースと接触する条件、高負荷条件、多湿環境
等)で長時間の使用に耐え、安定したローラクラッチ機
能を発現し得るプラスチック保持器を提供できる。ま
た、本発明のプラスチック保持器は寸法安定性が高く、
組込み性も良好であることから、精度の要求される用途
のローラクラッチにも十分に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ローラクラッチの構造を示す要部断面図であ
る。
【図2】円環引張試験治具を用いた保持器引張強度試験
の説明図である
【図3】実施例で得られた、プラスチック保持器の繊維
状充填材含有量と保持器強度との関係を示すグラフであ
る。
【図4】実施例で得られた、円環引張強度保持率の測定
結果を示すグラフである。
【図5】実施例で得られた、円環引張伸び保持率の測定
結果を示すグラフである。
【図6】(a)動的評価試験に使用した日本精工製小型
汎用ボックス試験機を示す構成概略図及び(b)A矢視
図である。
【符号の説明】
1、ローラクラッチ 2、外輪 3、ローラ 4、保持器 5、バネ 6、軸 7、カム面 8、外輪内径面の凹部 9、保持器の凸部 10、ポケット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 敏之 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 渡邉 真 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合度60〜120のポリアミド9T樹
    脂を主成分とし、かつローラを押圧するためのバネを一
    体に形成してなることを特徴とするローラクラッチ用プ
    ラスチック保持器。
JP2000334740A 2000-11-01 2000-11-01 ローラクラッチ用プラスチック保持器 Pending JP2002139079A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000334740A JP2002139079A (ja) 2000-11-01 2000-11-01 ローラクラッチ用プラスチック保持器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000334740A JP2002139079A (ja) 2000-11-01 2000-11-01 ローラクラッチ用プラスチック保持器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002139079A true JP2002139079A (ja) 2002-05-17

Family

ID=18810598

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000334740A Pending JP2002139079A (ja) 2000-11-01 2000-11-01 ローラクラッチ用プラスチック保持器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002139079A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008095912A (ja) * 2006-10-16 2008-04-24 Ntn Corp オルタネータ用軸受
JP2008144777A (ja) * 2006-12-06 2008-06-26 Ntn Corp オルタネータ用転がり軸受

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10338746A (ja) * 1997-04-11 1998-12-22 Kuraray Co Ltd ポリアミドの製造方法
JPH11349806A (ja) * 1998-05-14 1999-12-21 Ems Chem Ag ポリアミド成形組成物、該組成物を調製するための方法および該組成物の用途
JP2000186205A (ja) * 1998-12-22 2000-07-04 Kuraray Co Ltd ポリアミド樹脂組成物
JP2000191905A (ja) * 1998-12-24 2000-07-11 Kuraray Co Ltd ポリアミド樹脂組成物
JP2000212437A (ja) * 1999-01-28 2000-08-02 Kuraray Co Ltd ポリアミド組成物およびそれからなる成形品
JP2000256553A (ja) * 1999-01-08 2000-09-19 Kuraray Co Ltd ポリアミド樹脂組成物
JP2000283267A (ja) * 1999-03-30 2000-10-13 Nsk Ltd オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10338746A (ja) * 1997-04-11 1998-12-22 Kuraray Co Ltd ポリアミドの製造方法
JPH11349806A (ja) * 1998-05-14 1999-12-21 Ems Chem Ag ポリアミド成形組成物、該組成物を調製するための方法および該組成物の用途
JP2000186205A (ja) * 1998-12-22 2000-07-04 Kuraray Co Ltd ポリアミド樹脂組成物
JP2000191905A (ja) * 1998-12-24 2000-07-11 Kuraray Co Ltd ポリアミド樹脂組成物
JP2000256553A (ja) * 1999-01-08 2000-09-19 Kuraray Co Ltd ポリアミド樹脂組成物
JP2000212437A (ja) * 1999-01-28 2000-08-02 Kuraray Co Ltd ポリアミド組成物およびそれからなる成形品
JP2000283267A (ja) * 1999-03-30 2000-10-13 Nsk Ltd オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008095912A (ja) * 2006-10-16 2008-04-24 Ntn Corp オルタネータ用軸受
JP2008144777A (ja) * 2006-12-06 2008-06-26 Ntn Corp オルタネータ用転がり軸受

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7537392B2 (en) Rolling bearing
JP5508618B2 (ja) 転がり軸受
CN107107410B (zh) 滚动轴承用保持器和滚动轴承
JP2009115128A (ja) 転がり軸受用保持器及び転がり軸受
JP2008138835A (ja) オルタネータ用軸受
JP2019074098A (ja) 転がり軸受
JP2002139079A (ja) ローラクラッチ用プラスチック保持器
JP4025975B2 (ja) 玉軸受用保持器及び玉軸受
US6406189B1 (en) Method of manufacturing a cage for a rolling bearing
JP2004324854A (ja) 転がり軸受
JP6697235B2 (ja) 転がり軸受
JP2020056417A (ja) 転がり軸受用保持器、および転がり軸受
JP2001317554A (ja) 転がり軸受用保持器
JP7022673B2 (ja) 樹脂製プーリ
JP2002130295A (ja) 転がり軸受用プラスチック保持器の製造方法及び該保持器を備えた転がり軸受
JP2000227120A (ja) 転がり軸受
JP3791439B2 (ja) 生分解性樹脂組成物及び機械部品
JP2019052706A (ja) 円すいころ軸受用保持器および円すいころ軸受
JP2005147358A (ja) ローラクラッチ用プラスチック保持器及びその製造方法
JP2019060448A (ja) 転がり軸受および転がり軸受の潤滑構造
JP2019074097A (ja) 円筒ころ軸受用保持器および円筒ころ軸受
WO2023182252A1 (ja) 転がり軸受用保持器および転がり軸受
JP2018169021A (ja) 樹脂プーリ付き軸受
JP2007057011A (ja) 転がり軸受
JP2008095912A (ja) オルタネータ用軸受

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040402

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060324

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060927

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061121

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070829