JP2005147358A - ローラクラッチ用プラスチック保持器及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 吸水による寸法変化が少なく、柔軟性を有し、高温クリープ性も良好で、更に耐熱性及び耐油性を向上させた安価なローラクラッチ用プラスチック保持器を提供する。【解決手段】 架橋助剤を0.3〜5質量%含有するポリアミド樹脂組成物を、ローラを押圧するためのバネと一体に成形してなり、かつ電子線照射架橋されていることを特徴とするローラクラッチ用プラスチック保持器。
【選択図】 図1

Description

本発明は高機能を必要とされるローラクラッチ用プラスチック保持器に関し、詳しくは耐熱性、耐油性、耐薬品性、寸法安定性、耐クリープ性、靭性等に優れるローラクラッチ用プラスチック保持器に関する。また、本発明は前記ローラクラッチ用プラスチック保持器の製造方法に関する。
例えばファクシミリや複写機の紙送り機構のように、特定方向の回転運動のみを伝達するローラクラッチが各種機械装置に組み込まれている。図1は、一般に知られているローラクラッチの一部分を示す断面図である。このローラックラッチ1は、外輪相当部材である外輪2と、複数本のローラ3,3とこれら各ローラ3,3と、各ローラ3,3を円周方向に沿って略等間隔で保持する保持器4,4と保持器4と一体また別体に形成されたバネ5と、軸受の内輪相当部材である軸6とから概略構成される。
外輪2は、使用時に紙送りローラの中心部に設けた軸受ハウジング等に、内周面を円筒面とした図示しない保持部材の内側に内嵌固定される。また、外輪2の内周面は、円周方向に亙る凹凸からなるカム面7が形成されている。即ち、外輪2の内周面の複数箇所に、ランプ部と呼ばれ、円周方向一端側(図1の時計回り方向側)に向かうほど深くなる複数の凹部8,8が、それぞれ外輪2の軸方向に亙って、かつ円周方向に亙り、互いに等間隔で形成されている。また複数本のローラ3、3、保持器4、バネ5及び軸6は、外輪2の内側に設けられている。
保持器4の形状は通常、籠型で、ローラ3の長手方向に延びる円筒状に形成されている。また、この保持器4は外輪2の内側に、この外輪2に対する相対回転を不能に装着している。このために、保持器4の外周面複数箇所には、外輪2の各凹部8,8に対して円周方向に亙る変位に係合する凸部9が設けられている。ローラ3は、保持器4に形成されたポケット10,10の内側に、転動自在に、かつ円周方向に亙って若干変位可能に保持されている。また、保持器4を構成する柱部11,11と各ローラ3,3との間に、ローラ3と同数のバネ5を設け、各ローラ3,3を外輪2の各凹部8,8が浅くなる方向に円周方向に沿って、即ち図中、反時計回り方向に弾性的に押圧している。
上述のように構成するローラクラッチ1は、外輪2を内嵌固定した保持部材と軸6との所定方向の相対回転のみを伝達する。例えば、図1において、外輪2が固定で軸のみが回転すると仮定すれば、この軸6が時計回り方向に回転する場合には、ローラ3,3がこの軸6の外周面から受ける力に基づき、各バネ5,5の弾力に抗して、各凹部8,8の深くなった側に変位する。そして、この凹部8の深くなった円筒状隙間12では、ローラ3,3が転動可能な状態となって、外輪2と軸6との間で回転力の伝達が行われなくなる、所謂オーバラン状態となる。反対に、この軸6が図1の反時計回り方向に回転する場合には、各ローラ3,3が上記軸6の外周面から受ける力と各バネ5,5の弾性力とに基づき、各凹部8,8が浅くなった側に楔状に食い込み、外輪2と軸6とを一体型に結合して、外輪2と軸6との間で回転力の伝達を自在とする、所謂ロック状態となる。
上記のローラクラッチ1において、保持器4は、生産性や軽量化等を考慮して合成樹脂を射出成形して得られるプラスチック保持器が一般的となっている。それに伴い、バネ5も合成樹脂により保持器4と一体に成形されている。合成樹脂としては、従来より、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアセタール等が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−139079号公報
しかし、ポリアミドは、その分子構造中にアミド結合を有しているために、水の影響を受け易く、高温多湿雰囲気では吸水により膨潤し、乾燥雰囲気では脱水により収縮し、寸法変化及び靭性の変化が大きい。そのため、寸法精度を要求されるローラクラッチ用途には適用できないという問題がある。また、120℃以上の連続使用条件下や、極圧添加剤添加油等の油類と常時或いは間歇的に接触する条件下では経時劣化を起こし、市場で要求される性能を満たしているとはいえない。更に、吸水時の弾性力低下からバネ5のローラ押圧力を低下させる問題がある。他方、高温連続使用でバネ5がへたり、ローラ押圧力を低下させる問題がある。
一方、ポリアセタールは吸水の影響が少ないため寸法変化も小さく、また耐クリープ特性も良好であることから一般用途のローラクラッチに多用されている。しかし、ポリアセタールは100℃以上の連続使用条件下や、極圧添加剤添加油等の油類と常時或いは間歇的に接触する条件下では経時劣化を起こし、市場で要求される性能を満たしているとはいえない。また、近年、複写機の高温部位で使用可能なローラクラッチが求められており、そのためには120℃以上の高温においても、上述のローラクラッチ機能を有する必要があるが、ポリアセタールは耐熱性が十分でなく、80℃以上の高温領域ではバネ5がへたり、ローラ3を常時押圧することができなくなる。
本発明は、このような従来のローラクラッチ用プラスチック保持器の問題点を解決するためになされたものであり、吸水による寸法変化が少なく、柔軟性を有し、高温クリープ性も良好で、更には耐熱性及び耐油性を向上させた安価なローラクラッチ用プラスチック保持器を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、
(1)架橋助剤を0.3〜5質量%含有するポリアミド樹脂組成物を、ローラを押圧するためのバネと一体に成形してなり、かつ電子線照射架橋されていることを特徴とするローラクラッチ用プラスチック保持器、
(2)架橋助剤を0.3〜5質量%含有するポリアミド樹脂組成物を、ローラを押圧するためのバネと一体に成形した後、20〜200KGyの電子線を照射して架橋することを特徴とするローラクラッチ用プラスチック保持器の製造方法、
を提供する。尚、以降の説明において、ローラクラッチ用プラスチック保持器を単に「プラスチック保持器」と呼ぶ。
本発明のプラスチック保持器は、優れた耐熱性、耐油性、耐薬品性,寸法安定性、耐クリープ性、靭性を示すと同時に苛酷な環境条件(高温雰囲気油やグリースと接触する条件,高負荷条件,多湿環境等)で長時間の使用に耐え、安定したローラクラッチ機能を発現することができる。また、本発明のプラスチック保持器は寸法安定性並びにバネの耐クリープ性(耐へたり性)が大きく向上し、且つ、組込み性も良好であることから、精度の要求される用途のローラクラッチにも十分適用できる。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
本発明のプラスチック保持器はその形状や構造は制限されるものでなく、例えば図1に示した形状とすることができ、バネ5と一体に成形される。このプラスチック保持器に使用される樹脂組成物のマトリックスはポリアミド6、ポリアミド66(ナイロン66)、ポリアミド46(ナイロン46)等のポリアミド樹脂である。
上記ポリアミド樹脂には、架橋助剤が添加される。架橋助剤の種類は、ポリアミド樹脂を電子線架橋する際に架橋助剤として作用するものであれば制限されるものではないが、取扱い性や架橋性能を考慮すると、トリアリルイソシアヌレート、トリメチルプロパン、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレートが好ましい。架橋助剤の添加量はプラスチック保持器として十分な強度を得るために、0.2〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%とすることが望ましい。架橋助剤が0.2質量%未満では増強効果が不十分であり、5質量%を超えると架橋密度が高すぎて靭性に劣るようになる。
上記ポリアミド樹脂には、使用目的により、繊維状充填材を含有させることができる。繊維状充填材は、プラスチック保持器のバネ5のローラ押圧力を増加させるとともに、寸法精度を向上させるために必要に応じて適宣添加される。用いる繊維状充填材は特に限定されないが、例えばガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウィスカー等を例示できる。中でも、ガラス繊維、炭素繊維は補強性が良好であり、好ましい。
繊維状充填材の量はポリアミド樹脂組成物の全質量に対して0〜30質量%、好ましくはローラクラッチの必要トルクに応じて、0〜10質量%または10〜20、20〜30質量%である。30質量%を超えて添加しても、樹脂組成物の溶融流動性が著しく低下して成形性が悪くなるばかりでなく、材料の変形能が極めて小さくなるため成形時の無理抜きが困難になり、またローラ組込時にバネが破損するおそれがある。
更に、繊維状充填材には、ポリアミド樹脂との親和性を持たせるために、シラン系カップリング剤やチタネートカップリング剤等のカップリング剤により表面処理を施してもよい。これにより、ポリアミド樹脂と繊維状充填材との密着性並びに繊維状充填材の分散性を向上させることができ、機械的特性に優れたプラスチック保持器が得られる。また、その他にも目的に応じた表面処理剤で処理することができる。
また、ポリアミド樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲において、熱安定剤、固体潤滑剤、潤滑油、着色剤、帯電防止剤、離型剤、流動性改良材剤、結晶化促進剤等を適宣添加しても良い。
上記の如く構成されるポリアミド樹脂組成物は、通常の樹脂成形方法によって、バネと一体化されたプラスチック保持器に成形される。
本発明では、上記で得られた成形体を、次いで、電子線照射により架橋させる。この電子線照射は、大気中で行うこともできるが、樹脂の劣化を考慮してアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で行うと更に好適である。また、真空下で行うことも可能である。通常、ポリアミド樹脂は、数平均分子量100,000前後を境にして剛性に大きな差が出てくる。そこで本発明においても、電子線照射後のポリアミド樹脂の数平均分子量が100,000以上、好ましくは300,000以上、更に好ましくは500,000以上になるように電子線を照射して架橋する。このような数平均分子量とするためには、電子線の総照射量は20〜200KGyが適当であり、好ましくは20〜100KGyの範囲である。電子線の総照射量が20KGy未満の場合は、架橋効率が悪く実用性が低い。これに対して電子線の照射量が200KGyを超える場合は、架橋とともに崩壊も進み、靭性に劣るようになり、更には成形体の内部組織が分解を起こすようになる。
このようにして得られる本発明のプラスチック保持器は、母材であるポリアミド樹脂が架橋されて高分子量化(100,000以上)しており、従来よりも優れた剛性や耐クリープ性及び耐久性を有する。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)試験用プラスチック保持器の製作
実施例及び比較例に使用した保持器の原材料をまとめて示すと以下の通りである。
・PA66樹脂A{宇部興産(株)製:宇部ナイロン2020U}
・PA66樹脂B{宇部興産(株)製:宇部ナイロン2020Uガラス繊維30%入り}
・PA66樹脂C{宇部興産(株)製:宇部ナイロン2020Uガラス繊維15%入り,PA66樹脂AとPA66樹脂Bのブレンド}
・PA46樹脂A{DSM社製:スタニールTW341}
・PA46樹脂B{DSM社製:スタニールTW241F6(ガラス繊維30%入り)}
・PA46樹脂C{DSM社製:スタニールTW241F6(ガラス繊維15%入り、PA46樹脂AとPA46樹脂Bのブレンド)}
・PA9T樹脂{(株)クラレ製:ジェネスターN1000A}
・P0M樹脂{デュポン(株)製:デルリン507}
・架橋助剤{日本化成(株)製:タイク}
これらの材料を表1に示す配合にて混合し、インラインスクリュー式射出成形機にて成形して図1に示すようなバネ一体型の籠型プラスチック保持器(外径φ10、内径φ8:保持器部分)とした。その後、成形品を電子線照射装置内に置き、真空下で電子線を照射した。電子線の照射量は表1に示す通りである。
(2)寸法安定性試験
最初に、本発明のプラスチック保持器の寸法安定性を確認するために、(1)で得られた絶乾状態の保持器の外径寸法を光学顕微鏡にて測定し、つぎに、その保持器を50℃、相対湿度60%の恒温恒湿槽内に入れて48時間吸水処理を実施した。所定時間吸水処理をした保持器の外径寸法を光学顕微鏡にて測定し、外径の寸法変化率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2005147358
表1に示すように、同一のポリアミド樹脂を用いても、架橋助剤を0.5〜5.0質量%添加し電子線架橋することにより、寸法変化が少なくなることがわかる。また、ガラス繊維を含有することにより、より寸法安定性が高まることがわかる。更に、含水量の特に少ないPOM(ポリアセタール)樹脂からなる比較例5の保持器には及ばないものの、PA9Tを用いた比較例6の保持器と比べても、ガラス繊維を含有したポリアミド樹脂に架橋助剤を添加し電子線架橋することにより、優れた寸法安定性が得られることがわかる。
(3)保持器円環引張試験
本発明のプラスチック保持器における繊維状充填材の含有量と電子線架橋が保持器に及ぼす影響を確認するために、実施例2、4、5、7、9、10と比較例1、2、3、4の組成及び電子線照射条件で作製した保持器(未処理、絶乾品)を用いて円環引張試験を実施した。円環引張試験は、図2に示す円環引張治具に作製した試験用保持器4を、そのウエルドが水平位置になるようにセットし、島津製作所製の引張試験機(オートグラフAG−50KND)を用いて10mm/min.の引張速度で行った。結果を図3に示す。
この図から明らかなように、ガラス繊維の配合量が多くなるほど引張強度が増すが、電子線架橋を施した保持器は、電子線架橋しない保持器に比べて強度改善効果が大きく、30質量%の配合で約10%の強度向上が見られる。また、PA9T樹脂及びPOM樹脂からなる保持器は、上記のように吸水による寸法変化が少ないものの、引張強度が低いことがわかる。
(4)耐熱性試験
次に,本発明のプラスチック保持器の環境耐久性を評価するために、表2に示す試験サンプル(未処理、絶乾品)を用いて熱劣化試験を実施した。
Figure 2005147358
熱劣化試験はプラスチック保持器を150℃の熱風循環式恒温槽中に放置し、所定時間経過後に取り出して前記(3)円環引張試験と同じ装置で同様な方法にて、円環引張破断荷重を測定した。そして、各プラスチック保持器について、加熱前(未処理、絶乾品)の測定値を100%として強度保持率を求めた。結果を表3(但し、加熱1000時間後の値)及び図4に示す。
同時に伸び(内径基準)も測定し、同様に加熱前(未処理、絶乾品)の測定値を100%として伸び保持率を求めた。結果を表3(但し、加熱1000時間後の値)及び図5に示す。
図4から明らかなように、電子線架橋を施したポリアミド樹脂製保持器は良好な耐熱・耐久性を示しており、特にPA46ガラス繊維入り保持器が優れている。実施例11のPA66製保持器は1000時間経過後、初期強度に対し24%の強度低下を示しているが、実用上機能に影響を及ぼさないレベルである。一方、比較例9の電子線照射無しの未架橋のPA66製保持器は初期強度に対し、35%の低下である。また、比較例12のPOM樹脂からなる保持器は初期強度に対し60%と大きく低下しており、これはPOM樹脂は耐熱性が低く、使用限度が略100℃であるためである。
また、図5から明らかなように、伸びについても強度保持率と同様な傾向を示し、電子線架橋を施したポリアミド樹脂製保持器は伸びの低下も少ない。
これらの結果から本発明のプラスチック保持器は電子線架橋を施さない従来のポリアミド樹脂からなる保持器よりも耐熱性・耐久性が向上していることがわかる。
(5)ローラクラッチ用プラスチック保持器の静的評価試験
保持器のバネのへたりを評価するために、図1のように、外輪2、保持器5、ローラ3、軸6及び表3に示す配合からなり、電子線照射したバネ一体型の試験保持器(未処理、絶乾品)をセットして試験ローラクラッチを作製した。尚、軸6については、バネ4を大きく撓ませるために、通常よりも太い軸を挿入した。そして、試験ローラクラッチを130℃設定の熱風循環式恒温槽に500時間放置し、放置後に、軸6を外してバネ4がローラ3を押圧しているか否かを目視により観察した。バネ4がローラ3を押圧していればバネ4のへたり無し、バネ4がローラ3と非接触の場合はへたり有り、と評価した。結果を表3に示す。尚、表中、へたり無しを「○」、へたり有りを「×」、一部非接触個所有りを「△」としてある。
Figure 2005147358
表3から明らかなように、実施例17〜26の電子線架橋された試験保持器は、耐へたり性も良好である。これに対し、比較例14〜17の電子線照射していない未架橋の試験保持器は一部のバネにへたりが生じていた。また、架橋助剤の添加量が0.2質量%と少ない比較例20、21の試験保持器も一部のバネにへたりが生じていた。一方、比較例18のPOM樹脂からなる試験保持器はバネのへたりが明確であつた。尚、比較例19のPA9T樹脂からなる試験保持器はバネのへたりは無かった。
(6)ローラクラッチ用プラスチック保持器の動的評価試験
保持器のバネのへたりを更に評価するために、図1のように、外輪2、保持器5、ローラ3、軸6及び表4に示す配合からなり、電子線照射した試験保持器(未処理、絶乾品)をセットしてローラクラッチを作製した。そして、図6(a)に示す、日本精工(株)製小型汎用ボックス試験機40に作製した試験ローラクラッチ30を装着し、負荷荷重34を懸垂した状態で、サーボモータ41からの回転をリール42a,42bを介してベルト43により伝達し、オーバラン方向の回転と停止のサイクル繰り返した。尚、試験ローラクラッチ30の装着に際して、同図(b)に示すように、樹脂ハウジング31を外嵌し、その外側に固定用治具32を取付け、更にその外側に外径溝付玉軸受33を取付けた。また、雰囲気温度は130℃とした。そして、所定時間のサイクルを終了した後、試験ローラクラッチ30の軸6を外し、上記(5)静的評価試験と同様にしてバネ4のへたり状況を調査した。バネ4のへたりに対する判定基準も静的評価試験の場合と同様である。150時間及び250時間サイクル経過後の評価結果を表4に示す。
Figure 2005147358
表4から明らかなように、実施例27〜32の電子線架橋を施した試験保持器は何れも250時間経過後もバネのへたりは無く良好である。これに対し、比較例25の架橋助剤添加量の少ないPA66製保持器は一部のバネにへたりが生じていた。また、比較例22、23の未架橋の試験保持器は150時間で一部のバネにへたりが生じ、250時間では全てのバネにへたりが発生していた。尚、比較例24のPOM樹脂製保持器は150時間でバネのへたりが明確であつた。
上記の各試験から、ポリアミド樹脂に架橋助剤を添加し、バネを一体に成形した後、電子線を照射して架橋させた本発明のプラスチック保持器は耐熱性、寸法安定性、耐クリープ(耐へたり性)が良好であることが確認された。
ローラクラッチの構造を示す要部断面図である。 円環引張試験治具を用いた保持器引張強度試験の説明図である。 実施例で得られた、保持器のガラス繊維含有量と円環引張強度との関係を示すグラフである。 実施例で得られた、円環引張強度保持率の測定結果を示すグラフである。 実施例で得られた、円環引張伸び保持率の測定結果を示すグラフである。 動的評価試験に使用した日本精工製小型汎用ボックス試験機を示す構成概略図(a)及びA矢視図(b)である。
符号の説明
1、ローラクラッチ
2、外輪
3、ローラ
4、保持器
5、保持器と一体形成された合成樹脂バネ
6、軸
7、カム面
8、外輪内径面の凹部
9、保持器の突部
10、ポケット
11、柱

Claims (2)

  1. 架橋助剤を0.3〜5質量%含有するポリアミド樹脂組成物を、ローラを押圧するためのバネと一体に成形してなり、かつ電子線照射架橋されていることを特徴とするローラクラッチ用プラスチック保持器。
  2. 架橋助剤を0.3〜5質量%含有するポリアミド樹脂組成物を、ローラを押圧するためのバネと一体に成形した後、20〜200KGyの電子線を照射して架橋することを特徴とするローラクラッチ用プラスチック保持器の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110657173A (zh) * 2019-08-21 2020-01-07 洛阳轴承研究所有限公司 一种内星轮超越离合器

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