JP2006097873A - 樹脂製プーリ用転がり軸受 - Google Patents

樹脂製プーリ用転がり軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】回転時の温度上昇に起因する回転精度の悪化や損傷が生じにくく長寿命な樹脂製プーリ用転がり軸受を提供する。
【解決手段】深溝玉軸受は、内輪1と、外輪2と、内輪1及び外輪2の間に転動自在に配された複数の転動体3と、を備えており、内輪1及び外輪2は高炭素クロム軸受鋼で構成されている。また、内輪1の軌道面1a及び外輪2の軌道面2aには、浸炭処理又は浸炭窒化処理が施されていて、硬化層が形成されている。この硬化層中の残留オーステナイト量は4体積%以上15体積%以下であり、硬化層の内側の芯部の残留オーステナイト量は3体積%以下であり、内輪1全体及び外輪2全体の平均残留オーステナイト量はそれぞれ4体積%以下である。また、内輪1及び外輪2の表面硬さHRCは56以上64以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂製プーリに用いられる転がり軸受に関する。
従来、自動車のエンジン補機類を駆動するベルトの案内用プーリとして、転がり軸受の外周に樹脂を一体成形してなる樹脂製プーリが採用されている。この種の樹脂製プーリに組み込まれる転がり軸受の軸受材料としては、JISに規定された高炭素クロム軸受鋼、特にSUJ2が一般的に使用される。このSUJ2は、830〜850℃で焼入れを施した後に、160〜200℃で焼戻しを施し、表面硬さをHRC60〜63、平均残留オーステナイト量を7〜12体積%として使用されている。
一方、樹脂材料は一般に熱伝導性が低いため、従来の樹脂製プーリを回転させると、内蔵されている転がり軸受の回転による発熱や、樹脂部とベルトとの間に生じる摩擦熱が、十分に放熱されずに徐々に蓄熱される傾向がある。その結果、内蔵されている転がり軸受の回転時の温度は、樹脂部を有していない軸受単体の場合よりも高くなる。転がり軸受の温度が上昇すると内輪が膨張するため、軸と内輪との間の締め代が減少して、内輪にクリープが発生する原因の一つとなる。このクリープ現象が激しくなると、転がり軸受は発熱から焼付きに至り、樹脂製プーリが関係する機械全体に重大な損傷を招くおそれがある。また、内輪にクリープが発生しない場合でも、転がり軸受の回転精度が悪くなるため、摩擦,磨耗が生じやすく、転がり軸受の寿命が低下するおそれがある。
このようなことから、放熱部を設けた挿入金具を転がり軸受に接触させることにより転がり軸受の温度上昇を抑える技術が提案されている(特許文献1を参照)。
特開2001−227620号公報
しかしながら、特許文献1の技術は、特別な部品を設ける必要があるため、樹脂製プーリのコストアップにつながる。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、回転時の温度上昇に起因する回転精度の悪化や損傷が生じにくく長寿命な樹脂製プーリ用転がり軸受を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の樹脂製プーリ用転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、を備え、前記外輪の周囲に樹脂部を一体的に形成して樹脂製プーリとして使用される樹脂製プーリ用転がり軸受において、前記内輪及び前記外輪の少なくとも一方が下記の3つの条件を満足することを特徴とする。
条件A:高炭素クロム軸受鋼で構成されている。
条件B:表面硬さHRCが56以上64以下である。
条件C:平均残留オーステナイト量が4体積%以下である。
このような構成であれば、回転時に温度が上昇したとしても膨張が生じにくいので、回転精度の悪化,摩擦,磨耗,内輪のクリープ,焼付きが生じにくく、長寿命である。
また、本発明に係る請求項2の樹脂製プーリ用転がり軸受は、請求項1に記載の樹脂製プーリ用転がり軸受において、前記転動体を玉とした玉軸受であるとともに、前記転動体の半径r(mm)、前記内輪の溝半径ri (mm)、前記外輪の溝半径ro (mm)、前記転動体の転動面の平均粗さRac (μm)、前記内輪の軌道面の平均粗さRai (μm)、前記外輪の軌道面の平均粗さRao (μm)が、下記の2つの条件を満足することを特徴とする。
条件D:r/ri <1且つ10×Rac +Rai <0.5−1/3×(r/ri
条件E:r/ro <1且つ10×Rac +Rao <0.5−1/3×(r/ro
このような構成であれば、回転時の温度上昇が抑制されるので、回転精度の悪化,摩擦,磨耗,内輪のクリープ,焼付きが生じにくく、長寿命である。
以下に、本発明の転がり軸受について、前述の各数値(硬さ、平均残留オーステナイト量等)の臨界的意義を中心に説明する。
〔条件Aについて〕
本発明の転がり軸受は、内輪及び外輪の少なくとも一方が高炭素クロム軸受鋼(例えばJIS G4805に規定されたSUJ2,SUJ3)で構成されており、浸炭処理又は浸炭窒化処理が施されていることが好ましい。高炭素クロム軸受鋼は、清浄度等の品質が極めて安定しているため、介在物等を起点とした内部起点型フレーキングが発生しにくく、十分な転がり寿命が確保できる。なお、高炭素クロム軸受鋼は、JIS G4805に規定された清浄度規制を満足する清浄度(ベアリング クオリティー)を有していることが好ましい。
〔条件Bについて〕
樹脂製プーリ用転がり軸受の軸受材料としては、JISに規定された高炭素クロム軸受鋼、特にSUJ2が一般的に使用され、830〜850℃で焼入れが施された後に、160〜200℃で焼戻しが施されている。このような熱処理後の軸受鋼の標準的な組織は、マルテンサイト,球状炭化物,及び残留オーステナイトからなる。残留オーステナイトはMf点(マルテンサイト変態が完了する温度)が常温以下にあること及び冷却過程でオーステナイトの安定化が起こることから残留し、その量は通常は10体積%程度である。
転がり軸受の膨張は、この残留オーステナイトの熱分解現象によって生じるため、残留オーステナイトが10体積%程度存在する材料を高温にさらされる樹脂製プーリ用転がり軸受に用いると、転がり軸受が膨張し、内輪のクリープや摩擦,磨耗が生じて、軸受寿命も低下する。したがって、残留オーステナイト量を低減することによって、転がり軸受の膨張を抑制し、内輪のクリープや軸受寿命の低下を抑制することができる。残留オーステナイト量を低減する方法としては、オーステンパー処理によって残留オーステナイトの大部分をベイナイト組織とする方法や、230〜250℃の高温で焼戻しすることによって残留オーステナイトの大部分を焼戻しマルテンサイト組織とする方法が考えられる。
高温環境下における転がり軸受の寸法変化は、残留オーステナイトの分解による膨張量とマルテンサイトの収縮量との和であるが、残留オーステナイトの分解に伴う膨張量がマルテンサイトの収縮量よりも圧倒的に大きいため、残留オーステナイト量が非常に多い場合には残留オーステナイトの膨張量のみを考慮すれば十分である。
しかしながら、残留オーステナイトのほぼ全てが分解すると、その後はマルテンサイトの収縮が大きくなって、若干の収縮傾向を示す。したがって、830〜850℃での通常の焼入れを施した後に、オーステンパー処理や230〜250℃の高温での焼戻しを施した場合には、残留オーステナイトがほぼ0体積%であるため、マルテンサイトの収縮のみが生じ、わずかであるが収縮方向の寸法変化が生じる。
すなわち、残留オーステナイトの膨張量とマルテンサイトの収縮量とを釣り合わせることによって、寸法変化が全く生じないようにすることが可能である。具体的には、浸炭窒化処理を施した後に高温で焼戻し処理を施すか、又は、オーステンパー処理を施すことにより、例えば表面から深さ50μmの位置までの表層部の残留オーステナイト量を4体積%以上15体積%以下とし、表層部の内側の芯部の残留オーステナイト量を3体積%以下とし、平均残留オーステナイト量を4体積%以下とする。そうすれば、残留オーステナイトの膨張量とマルテンサイトの収縮量とのバランスが改善され、良好な寸法安定性が得られる。なお、本発明においては、「平均残留オーステナイト量」とは、部材全体における残留オーステナイト量の平均値を意味し、例えば、表面から中心部までの残留オーステナイト量の分布を測定し、その平均値を算出することにより得ることができる。
〔条件Cについて〕
表面硬さHRCが56未満であると、異物が混入した場合に大きな圧痕が形成されやすいので、寿命が不十分となるおそれがある。一方、64超過であると、硬質の異物が混入した際に表面層の靱性が低下して寿命が不十分となる場合がある。
〔条件D,Eについて〕
転がり軸受の膨張を十分に抑制するためには、材料面からだけでなく構造面からのアプローチが重要である。発熱に関係する転がり軸受の構造的因子としては、軸受すき間,表面粗さ,溝半径等が考えられるが、本発明者らが鋭意研究を行った結果、軌道面,転動面の表面粗さ、及び、転動体の半径と軌道輪の溝半径との比を規定することにより、発熱を抑制できることが分かった。
二つの物体間の接触による発熱は、両物体の接触面積が大きいほど大きくなる。したがって、転動体の半径に対する軌道輪の溝半径が小さい場合には接触面積が大きくなり、発熱が大きくなる。また、接触面の粗さが大きい場合には、潤滑油の油膜厚さより粗さの山が大きくなる場合があるため、金属接触が起こって発熱が生じやすくなる。
条件D,Eを満足する転がり軸受は、転動体と軌道輪との接触面積の大きさと、軌道面,転動面の表面粗さとのバランスが良好であるため、回転時に発熱が生じにくく、転がり軸受の温度上昇が十分に抑制される。
本発明の樹脂製プーリ用転がり軸受は、回転時の温度上昇に起因する回転精度の悪化や損傷が生じにくく長寿命である。
本発明に係る樹脂製プーリ用転がり軸受の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1の深溝玉軸受は、内輪1と、外輪2と、内輪1及び外輪2の間に転動自在に配された複数の転動体3と、を備えており、内輪1及び外輪2は高炭素クロム軸受鋼で構成されている。また、内輪1の軌道面1a及び外輪2の軌道面2aには、浸炭処理又は浸炭窒化処理が施されていて、表層部に図示しない硬化層(浸炭層又は浸炭窒化層)が形成されている。この硬化層中の残留オーステナイト量は4体積%以上15体積%以下であり、硬化層の内側の芯部の残留オーステナイト量は3体積%以下であり、内輪1全体及び外輪2全体の平均残留オーステナイト量はそれぞれ4体積%以下である。また、内輪1及び外輪2の表面硬さHRCは56以上64以下である。
さらに、転動体3の半径をr(mm)、内輪1の溝半径をri (mm)、外輪2の溝半径をro (mm)、転動体3の転動面3aの平均粗さをRac (μm)、内輪1の軌道面1aの平均粗さをRai (μm)、外輪2の軌道面2aの平均粗さをRao (μm)としたとき、下記の4つの式を全て満足している。
r/ri <1
r/ro <1
10×Rac +Rai <0.5−1/3×(r/ri
10×Rac +Rao <0.5−1/3×(r/ro
このような深溝玉軸受は、回転時の温度上昇が抑制される上、回転時に温度が上昇したとしても膨張が生じにくいので、回転精度の悪化,摩擦,磨耗,内輪のクリープ,焼付きが生じにくく、長寿命である。よって、外輪2の周囲に樹脂部を一体的に形成して、樹脂製プーリとして好適に使用することができる。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、樹脂製プーリ用転がり軸受として深溝玉軸受を例示して説明したが、本発明の転がり軸受は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
〔実施例〕
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。種々の深溝玉軸受を用意して、その外輪の周囲に樹脂部を一体的に形成して樹脂製プーリを製造し、耐久試験を行った。
まず、試験に用いた深溝玉軸受(以降は試験軸受と記す)について説明する。試験軸受の内輪及び外輪は、高炭素クロム軸受鋼で構成されており、下記の熱処理条件1〜3のうちいずれか一つの熱処理が施されている。また、転動体には一般的な鋼球が使用されている。
(熱処理条件1)RXガス雰囲気中に840〜860℃で1時間保持した後に、油冷して焼入れを施した。そして、160〜180℃で1.5時間保持した後に空冷して、焼戻しを施した。
(熱処理条件2)焼戻しの温度が230〜250℃である点以外は、熱処理条件1と同様である。
(熱処理条件3)840〜860℃で1〜3時間保持(雰囲気はRXガスとエンリッチガスとアンモニアである)した後に油冷して、焼入れを施した。そして、230〜250℃で1.5時間保持した後に空冷して、焼戻しを施した。
内輪及び外輪について、施した熱処理の条件,表面硬さHRC,軌道面の表層部の残留オーステナイト量(表層γR ),芯部の残留オーステナイト量(芯部γR ),平均残留オーステナイト量(平均γR ),内輪の溝半径ri に対する転動体の半径rの比(r/ri ),外輪の溝半径ro に対する転動体の半径rの比(r/ro ),転動体の転動面の平均粗さRac ,内輪の軌道面の平均粗さRai ,外輪の軌道面の平均粗さRao は、表1に示す通りである。また、前述のr/ri ,r/ro と10×Rac +Rai ,10×Rac +Rao との関係を、図2のグラフに示す。
Figure 2006097873
なお、残留オーステナイト量は、軌道面中央部断面をX線回折装置で測定することにより得た。表1に示した軌道面の表層部の残留オーステナイト量は、表面から深さ50μmの位置における残留オーステナイト量である。また、平均残留オーステナイト量とは、部材全体における残留オーステナイト量の平均値であり、内輪の場合は軌道面中央から内径部まで、外輪の場合は軌道面中央から外径部まで残留オーステナイト量の分布を測定し、その平均値を算出することにより得た。
さらに、硬さは、ビッカース硬度計を用いて試験荷重9.8Nで測定し、HRC硬さに換算したものである。表1に示した表面硬さは、表面直下から深さ100μm程度までの部分の硬さである。
さらに、本発明における平均粗さとは、JIS B0601に規定された算術平均粗さを意味する。
このような試験軸受の外輪の周囲に樹脂部を一体的に形成して、樹脂製プーリを製造した。この樹脂部は、ポリフェニレンサルファイド樹脂に充填材としてガラス繊維及びアルミナを配合した樹脂組成物で形成した。樹脂製プーリの製造方法は以下の通りである。
所定量のポリフェニレンサルファイド樹脂及び充填材をヘンシェルミキサーで混合した後、二軸押出し機に投入し、樹脂温度290〜300℃で押出して、成形原料であるペレットを得た。このペレットを、前述の各試験軸受がセットしてある金型を装着した射出成形機に投入し、樹脂温度305〜320℃,金型温度130〜150℃,充填時間1〜2.5秒,圧力100〜150MPaの成形条件でインサート成形して、樹脂製プーリの各供試体を得た。
得られた供試体について、図3に示す試験機を用いて耐久試験を行った。試験機は、鉄製の駆動輪と従動輪とを備え、両者の間にはタイミングベルトが掛け渡されている。そのタイミングベルトに供試体の樹脂部を係合させ、内蔵されている転がり軸受にラジアル方向の荷重(1000N)が負荷されるように押し付ける。この試験機を120℃に設定した恒温槽中に収納し、図示しない駆動用モータにより駆動輪を回転駆動させて、供試体を8000min-1の回転速度で200時間回転させる。そして、回転終了時の転がり軸受の内輪温度を計測した。さらに、試験後の転がり軸受を供試体から取り外し、外輪の膨張率(膨張量/試験前の外輪の外径)を測定した。
結果を表2に示す。なお、条件D,Eの欄には、条件を満足する場合は○印を記し、満足しない場合は×印を記してある。
Figure 2006097873
実施例1は、浸炭窒化処理後の高温テンパー処理によって、芯部の残留オーステナイト量は0体積%になっているが、表層部の残留オーステナイト量は8体積%となっている。そのため、軸受が高温にさらされても残留オーステナイトの分解による膨張量とマルテンサイトの収縮量とが釣り合って、外輪の膨張率は0%であった。また、軌道面の平均粗さRai ,Rao 及び転動面の平均粗さRac が小さく、内輪の溝半径ri に対する転動体の半径rの比(r/ri ),外輪の溝半径ro に対する転動体の半径rの比(r/ro )も小さいため、内輪の温度はほとんど上昇しなかった。
また、実施例2〜6は、ずぶ焼入れの後の高温テンパー処理によって、芯部,表層部ともに残留オーステナイト量は4体積%以下であった。残留オーステナイトの膨張はほとんど無く、マルテンサイトの収縮のみ生じているため、外輪の膨張率はマイナスであった。しかし、収縮量は非常に僅かであることと、軌道面の平均粗さRai ,Rao 及び転動面の平均粗さRac が小さく、内輪の溝半径ri に対する転動体の半径rの比(r/ri ),外輪の溝半径ro に対する転動体の半径rの比(r/ro )も小さいことにより、内輪温度の上昇は僅かであった。
一方、比較例1は、ずぶ焼入れの後に低温でテンパー処理しているため、芯部,表層部ともに残留オーステナイト量は10体積%以上であった。そのため、軸受が高温にさらされると残留オーステナイトが分解し膨張するため、軸受すき間が小さくなり発熱が大きくなった。
また、比較例2〜7は、芯部,表層部ともに残留オーステナイト量は10体積%以上であった。さらに、軌道面の平均粗さRai ,Rao 及び転動面の平均粗さRac の少なくとも一つが大きく、しかも、前述の条件D,Eの少なくとも一方を満足しないので、内輪温度が大きく上昇した。
以上の結果から、回転精度の悪化,摩擦,磨耗,内輪のクリープ,焼付きを招く軸受の温度上昇を抑えるためには、軸受材料の残留オーステナイトを低減するとともに、軌道面,転動面の平均粗さを小さくし、且つ、内外輪の溝半径に対する転動体の半径を小さくすることが重要であることが分かる。
本発明の樹脂製プーリ用転がり軸受は、自動車に搭載されるエンジン補機類の駆動用ベルトやその他のベルトのテンショナ、及びアイドラプーリに好適に使用可能である。
本発明に係る樹脂製プーリ用転がり軸受の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。 内輪の溝半径ri に対する転動体の半径rの比(r/ri ),外輪の溝半径ro に対する転動体の半径rの比(r/ro )と、転動体の転動面の平均粗さRac ,内輪の軌道面の平均粗さRai ,外輪の軌道面の平均粗さRao との関係を示すグラフである。 樹脂製プーリの耐久試験を行う試験機の図である。
符号の説明
1 内輪
1a 軌道面
2 外輪
2a 軌道面
3 転動体
3a 転動面

Claims (2)

  1. 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、を備え、前記外輪の周囲に樹脂部を一体的に形成して樹脂製プーリとして使用される樹脂製プーリ用転がり軸受において、前記内輪及び前記外輪の少なくとも一方が下記の3つの条件を満足することを特徴とする樹脂製プーリ用転がり軸受。
    条件A:高炭素クロム軸受鋼で構成されている。
    条件B:表面硬さHRCが56以上64以下である。
    条件C:平均残留オーステナイト量が4体積%以下である。
  2. 前記転動体を玉とした玉軸受であるとともに、前記転動体の半径r(mm)、前記内輪の溝半径ri (mm)、前記外輪の溝半径ro (mm)、前記転動体の転動面の平均粗さRac (μm)、前記内輪の軌道面の平均粗さRai (μm)、前記外輪の軌道面の平均粗さRao (μm)が、下記の2つの条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の樹脂製プーリ用転がり軸受。
    条件D:r/ri <1且つ10×Rac +Rai <0.5−1/3×(r/ri
    条件E:r/ro <1且つ10×Rac +Rao <0.5−1/3×(r/ro
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