JP2008202781A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリフェニレンサルファイド樹脂特有の耐熱性や耐薬品性を維持しつつ、高温での耐油性を向上させ、靭性を改善した保持器を備え、信頼性を高めた転がり軸受を提供する。
【解決手段】少なくとも内輪、外輪、保持器及び転動体を備える転がり軸受において、前記保持器が、グリシジルメタクリレートを分子構造中に3〜20モル%含有するエチレン系共重合体からなるタフ化剤を全量の5〜20質量%、強化繊維材を全量の10〜40質量%の割合で含有するポリフェニレンサルファイド樹脂組成物からなることを特徴とする転がり軸受。
【選択図】図1
【解決手段】少なくとも内輪、外輪、保持器及び転動体を備える転がり軸受において、前記保持器が、グリシジルメタクリレートを分子構造中に3〜20モル%含有するエチレン系共重合体からなるタフ化剤を全量の5〜20質量%、強化繊維材を全量の10〜40質量%の割合で含有するポリフェニレンサルファイド樹脂組成物からなることを特徴とする転がり軸受。
【選択図】図1
Description
本発明は、合成樹脂製保持器を備える転がり軸受に関する。
転がり軸受では、軽量化や低トルク化、低摩耗化等のために、合成樹脂製の保持器を用いることがある。この合成樹脂製保持器は、耐熱性に優れるポリアミド樹脂(ポリアミド66やポリアミド66等)に、補強材としてガラス繊維を配合した樹脂組成物を成形したものが多く使用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
また、ポリアミド樹脂よりも耐熱性に優れ、更に耐薬品性にも優れるポリフェニレンサルファイド樹脂を樹脂成分とする保持器も使用されてきている(例えば、特許文献1〜3参照)。
ポリフェニレンサルファイド樹脂は、ポリアミド樹脂に比べて耐熱性や耐薬品性に優れるものの、衝撃強度等の靭性に劣る。そのため、このポリフェニレンサルファイド樹脂製の保持器は、乱雑な取り扱いを受けたり、軸受使用中に大きな衝撃を受けたりすると、亀裂等の破損が発生するおそれがある。また、軸受として一般的な深溝玉軸受に用いられる冠型保持器に使用した場合、玉の圧入時にポケットに割れが発生する可能性が高いことから、ポケット径を大きくする対策が採られており、保持性能に難がある。更には、ポリフェニレンサルファイド樹脂はポリアミド樹脂に比べて耐油性にも優れるものの、極圧添加剤を多量に含有するギアオイルに高温で浸漬されると、極圧添加剤の酸化劣化により発生する酸性物質によって徐々に劣化が進行することも想定される。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ポリフェニレンサルファイド樹脂特有の耐熱性や耐薬品性を維持しつつ、高温での耐油性を向上させ、靭性を改善した保持器を備え、信頼性を高めた転がり軸受を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は下記の転がり軸受を提供する。
(1)少なくとも内輪、外輪、保持器及び転動体を備える転がり軸受において、
前記保持器が、グリシジルメタクリレートを分子構造中に3〜20モル%含有するエチレン系共重合体からなるタフ化剤を全量の5〜20質量%、強化繊維材を全量の10〜40質量%の割合で含有するポリフェニレンサルファイド樹脂組成物からなることを特徴とする転がり軸受。
(2)前記強化繊維材が、丸型断面を有するガラス繊維、異形断面を有するガラス繊維及び炭素繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)記載の転がり軸受。
(3)前記ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物が、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種を全量の0.1〜2.0質量%の割合で含有することを特徴とする上記(1)または(2)記載の転がり軸受。
(1)少なくとも内輪、外輪、保持器及び転動体を備える転がり軸受において、
前記保持器が、グリシジルメタクリレートを分子構造中に3〜20モル%含有するエチレン系共重合体からなるタフ化剤を全量の5〜20質量%、強化繊維材を全量の10〜40質量%の割合で含有するポリフェニレンサルファイド樹脂組成物からなることを特徴とする転がり軸受。
(2)前記強化繊維材が、丸型断面を有するガラス繊維、異形断面を有するガラス繊維及び炭素繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)記載の転がり軸受。
(3)前記ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物が、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種を全量の0.1〜2.0質量%の割合で含有することを特徴とする上記(1)または(2)記載の転がり軸受。
本発明の転がり軸受に用いる保持器は、タフ化剤を配合したポリフェニレンサルファイド樹脂に強化繊維材を配合した樹脂組成物の成形品としたため、ポリフェニレンサルファイド樹脂特有の耐熱性や耐薬品性が維持され、靭性が向上している。そのため、この保持器は取り扱いが容易であり、ポケット径を大きくする必要がなく保持性能に優れる。また、特定の酸化防止剤を添加することにより、高温での耐油性にも優れるようになる。また、更に酸化防止剤を含有させることにより、ポリフェニレンサルファイド樹脂及びタフ化剤の劣化を効果的に防止し、極圧添加剤等を多量に含有するギアオイル中での信頼性が向上する。従って、本発明の転がり軸受は、信頼性の高いものとなる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明において、転がり軸受は、その構造には制限がなく、例えば図1に示す玉軸受10を例示することができる。図示される玉軸受10は、外周面に内輪軌道12aを有する内輪12と、内周面に外輪軌道11aを有する外輪11と、複数個の転動体である玉13と、玉13を等配で分割して配置するための保持器14と、軸受内への異物の侵入を防止するシール15とを備える。シール15は、冷延鋼板に亜鉛メッキを施したもの等からなる金属製の内輪非接触タイプや、同種の鋼板を芯金とし、周辺部に弾性材を配設してなるゴムシールタイプ(内輪非接触、内輪接触)であってもよい。また、保持器14は、図2に斜視図で示すように「冠型保持器」と呼ばれるものであり、円環状の主部20と、主部20の片面に設けられ周方向に等間隔で配置された複数の弾性片21とを備えており、互いに間隔をあけて配置された一対の弾性片21の間には、玉13を転動自在に保持する複数のポケット22が形成されている。また、本発明では、保持器14を下記に示す樹脂組成物製とする。
樹脂組成物の樹脂成分には、耐熱性及び耐薬品性に優れるポリフェニレンサルファイド樹脂をベース樹脂に用いる。また、ポリフェニレンサルファイド樹脂は吸水性も低く、吸水による膨潤が少なく寸法安定性にも優れる。ポリフェニレンサルファイド樹脂には直鎖状のものと分岐状のものとがあるが、靭性に優れることから直鎖状のポリフェニレンサルファイド樹脂を用いることが好ましい。また、ポリフェニレンサルファイド樹脂は、生産性を考慮して、強化繊維材を含有した状態で射出成形が可能となる分子量とすることが好ましい。具体的には数平均分子量で13000〜30000が好ましく、成形性に加えて衝撃強度等の機械的強度を考慮すると18000〜26000がより好ましい。数平均分子量が13000未満では、分子量が低すぎて機械的強度が低く、実用性が低い。これに対して数平均分子量が30000を越える場合は、強化繊維材を規定量含有した状態での溶融粘度が高すぎ、保持器を精度よく射出成形で製造することが困難になる。
本発明では、ポリフェニレンサルファイド樹脂の靭性を高めるために、グリシジルメタクリレートを分子構造中に3〜20モル%含有するエチレン系共重合体からなるタフ化剤を、樹脂組成物全量の5〜20質量%の割合で配合する。このようなタフ化剤としては、それぞれグリシジルメタクリレート量が前記範囲にあるエチレンとグリシジルメタクリレートとの二元共重合体、エチレンとグリシジルメタクリレートと酢酸ビニルとからなる三元共重合体、エチレンとグリシジルメタクリレートとアクリル酸メチルとからなる三元共重合体、あるいはエチレンとグリシジルメタクリレートとの二元共重合体に他のポリマー鎖をグラフトしたもの等が挙げられる。尚、グラフト化するポリマー鎖としてはポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリルとスチレンとの共重合体等が挙げられ、その比率は全体の20〜40モル%である。また、タフ化剤におけるグリシジルメタクリレート量が3モル%未満ではポリフェニレンサルファイド樹脂への反応性が低すぎ、ポリフェニレンサルファイド樹脂との接合度合があまり向上せず、タフ化剤添加による柔軟性や延性等の改善が十分ではく、実用性が低い。これに対しグリシジルメタクリレート量が20モル%を超えると、ポリフェニレンサルファイド樹脂との反応性が高すぎ、更にタフ化剤同士の反応を起こすため、ポリフェニレンサルファイド樹脂と混練した際に溶融粘度の急激な上昇を起こし、均一な樹脂ペレットを得るのが困難になり、好ましくない。
タフ化剤としてEPDMやポリエチレン等が多用されているが、これらに比べて、本発明で用いるグリシジルメタクリレートを分子構造中に含有するエチレン系共重合体は、ポリフェニレンサツファイド樹脂分子との強い反応性を有するため、保持器の強度低下を抑制し、靱性の改良効果がより大きくなる。
そのため、上記のタフ化剤の配合量が5質量%未満では靭性の向上効果が十分ではなく、20質量%を超えると靭性は向上するものの、引張強度等の他の機械的強度や、ポリフェニレンサルファイド樹脂特有の耐熱性や耐薬品性が低下するようになる。
上記の樹脂成分には、機械的強度を高めるために強化繊維材が配合される。強化繊維材としては、ガラス繊維及び炭素繊維が好ましい。炭素繊維は、従来から樹脂製保持器に使用されるものを使用でき、例えばピッチ系またはPAN系の炭素繊維を用いることができる。
ガラス繊維も従来から樹脂製保持器に使用されるものを使用できるが、平均繊維径が6〜8μmの丸型断面のガラス繊維や、断面が円形ではない異型断面のガラス繊維を用いることが好ましい。従来のガラス繊維は、平均繊維径が10〜13μmで、丸型断面を有するが、これに比べて、平均繊維径が6〜8μmの小径の丸型断面のガラス繊維は、同一量でも繊維数が多くなり、補強効果か高まる。一方、異形断面を有するガラス繊維は、ぞの断面形状がまゆ形や楕円、長円等であり、円形断面のガラス繊維に比べて折れ難く、樹脂と混練し、射出成形した時に円形断面のガラス繊維に比べて長い状態で樹脂中に分散する。そのため、同一含有量で比較すると、円形断面のガラス繊維に比べて補強効果が高くなる。更に、異形断面を有するガラス繊維は、成形時に保持器表面と平行に面をなすように配向するため、面で荷重を受けることができ、耐荷重性に優れるようになり、更には径方向にも若干の補強効果が現われて補強効果がより高まるとともに、寸法変化の差異が小さくなるためヒケが発生し難くなる。
尚、異形断面を有するガラス繊維の異形比(長径部と短径部との比率)は1.5〜5であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。異形比が1.5未満では機械的強度の向上等の効果が少なく、異形比が5を越えると扁平すぎて安定して製造するのが難しくなる。また、短径部は5〜12μmであることが好ましい。短径部が5μm未満では細すぎて製造時に破断、破損するため、低コストで安定した品質を保つのが難しく、実用性が低い。一方、短径部が12μmを越える場合は、異形比を考慮すると繊維が太すぎ、樹脂中での分散性に劣るようになり、樹脂部に強度ムラが発生するおそれがある。
また、異形断面を有するガラス繊維は、得られる樹脂製保持器において、300〜900μmの繊維長を有することが好ましく、350〜600μmの繊維長であることがより好ましい。繊維長が300μm未満では、補強効果及び寸法安定効果が少なく、好ましくない。一方、樹脂との混練、射出成形を行う過程で900μmを越えるような長い繊維状態を維持するのは困難であり、繊維長の上限は製造工程に由来して設定した値である。このような繊維長とするには、混練条件や成形条件を調整すればよい。
上記のガラス繊維は、樹脂成分との接着性を考慮して、片末端にエポキシ基やアミノ基等を有するシランカプッリング剤、あるいはエポキシ系、ウレタン系、アクリル系等のサイジング剤で表面処理したものを用いることが好ましい。
上記強化繊維材の含有量は、樹脂組成物全量の10〜40質量%であり、好ましくは15〜30質量%である。含有量が10質量%未満では補強効果が少なく、40質量%を越える場合は、射出成形に適した流動性が得られなくなり、好ましくない。
また、強化繊維材の一部を、チタン酸カリウムウィスカーやホウ酸アルミニウムウィスカー等のウィスカー状補強材で代替してもよい。更に、樹脂組成物には着色剤等を添加してもよい。
樹脂組成物には、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種を全量の0.1〜2.0質量%の割合で配合することが好ましい。これらの酸化防止剤により、ギアオイル中の極圧添加剤の酸化劣化に伴う保持器の劣化を抑えることができるが、含有量が0.1質量%未満では十分な効果が得られない。また、2質量%を超えて配合しても劣化防止効果が飽和するだけでなく、樹脂量や強化繊維量が相対的に減少して機械的強度低下が低下する。
アミン系酸化防止剤としては、4,4´−(α、α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4´−ジオクチルジフェニルアミン等のジフェニルアミン系化合物、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N´−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N´−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N´−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N´−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N´−フェニル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系化合物を挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、トリエチレングルコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、テトラキス−〔メチレン−3−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N´−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド等のヒンダートフェノール系化合物、4,4´−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)等のチオビスフェノール系化合物を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤としては、ビス〔2−メチル−4−{3−n−アルキル(C12またはC14)チオプロピオニルオキシ}−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド、ジラウリル・チオジプロピオネート等の硫黄系化合物を挙げることができる。
亜リン酸エステル系酸化防止剤としては、トリス(ノニル・フェニル)ホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイト、環状ネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)等の亜リン酸エステル化合物を挙げることができる。
また、上記の酸化防止剤以外にも、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン等のヒドロキノン誘導体、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノン等のキノリン系酸化防止剤を使用できる。
上記の酸化防止剤の中では、芳香族のアミン系酸化防止剤が、ギアオイル中でのポリフェニレンサルファイド樹脂及びグリシジルメタクリレートを分子構造中に含有するエチレン系共重合体の劣化防止に最も有効に働き、最も好適である。
上記の樹脂組成物を用いて保持器を製造する方法としては、生産性から、射出成形が好ましい。
本発明は上記の玉軸受以外にも種々の転がり軸受に適用でき、例えば図3に示すアンギュラ玉軸受にも適用できる。図示されるアンギュラ玉軸受は、内輪12と外輪11との間に、玉13が、上記の樹脂組成物製の保持器14により保持されている。尚、保持器14の具体例として、図4及び図5等を例示できる。
また、円錐ころ軸受や円筒ころ軸受、針状ころ軸受にも適用でき、例えば図6(円錐ころ軸受用)、図7(円筒ころ軸受用)、図8(針状ころ軸受用)に示す形状を有し、上記の樹脂組成物製の保持器14が組み込まれる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
(実施例1〜6、比較例1)
表1に示す如く、ポリフェニレンサルファイド樹脂(L−PPS樹脂)、タフ化剤及び強化繊維材を用いて樹脂組成物を調製した。尚、ポリフェニレンサルファイド樹脂は直鎖状で、ポリプラスチック(株)製「フォートロン0220A9」である。また、タフ化剤は住友化学(株)製「ボンドファーストE(エチレン−グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体、GMA含有量12%)」である。また、強化繊維材として実施例1、4、5、6で用いた長円断面ガラス繊維は日東紡績(株)製「CSG3PA-820(異形比4、短径7μm、ウレタン系サイジング剤処理)」、実施例2で用いた平均直径6.5μmの円形断面ガラス繊維は日本電気硝子(株)製「T-532DE(直径5.5〜7.5μmの範囲、エポキシ系サイジング剤処理)」、実施例3及び比較例1で用いた平均直径13μmの円形断面ガラス繊維は旭ファイバーグラス(株)製「CS03DEFT2A」であり、何れもシランカップリング剤で処理している。また、酸化防止剤IはN,N´−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(大内新興化学工業(株)製ノクラックDP)であり、酸化防止剤IIはトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ製Irganox245)である。
表1に示す如く、ポリフェニレンサルファイド樹脂(L−PPS樹脂)、タフ化剤及び強化繊維材を用いて樹脂組成物を調製した。尚、ポリフェニレンサルファイド樹脂は直鎖状で、ポリプラスチック(株)製「フォートロン0220A9」である。また、タフ化剤は住友化学(株)製「ボンドファーストE(エチレン−グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体、GMA含有量12%)」である。また、強化繊維材として実施例1、4、5、6で用いた長円断面ガラス繊維は日東紡績(株)製「CSG3PA-820(異形比4、短径7μm、ウレタン系サイジング剤処理)」、実施例2で用いた平均直径6.5μmの円形断面ガラス繊維は日本電気硝子(株)製「T-532DE(直径5.5〜7.5μmの範囲、エポキシ系サイジング剤処理)」、実施例3及び比較例1で用いた平均直径13μmの円形断面ガラス繊維は旭ファイバーグラス(株)製「CS03DEFT2A」であり、何れもシランカップリング剤で処理している。また、酸化防止剤IはN,N´−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(大内新興化学工業(株)製ノクラックDP)であり、酸化防止剤IIはトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ製Irganox245)である。
そして、各樹脂組成物から引張試験用及びアイゾット衝撃試験用の各試験片を作製し、引張強度及びアイゾット衝撃強度を測定した。また、円筒ころ軸受(日本精工(株)製「NU308ET(内径40mm、外形90mm、幅23mm)」用の保持器を射出成形した。得られた保持器を1個ずつ箱に入れ、3箱同時に80cmの高さから落下させた。それぞれの結果を表1に示すが、落下試験結果については3個とも亀裂等が発生しない場合を「○」、1個でも保持器に亀裂等が発生した場合を「×」とした。
また、引張試験片を、180℃のトヨタ自動車製ハイポイドギアオイルSX 85W−9中に200時間浸漬した後、同様の引張試験を行った。そして、浸漬しないで行った上記の引張試験前の結果との相対値を求めた。結果を表1に併記する。
表1に示すように、タフ化剤を配合することにより、耐衝撃強度が向上することがわかる。また、強化繊維材の中でも、異形断面を有するガラス繊維及び小径のガラス繊維を用いる方が好ましく、異形断面を有するガラス繊維が最も好ましいといえる。
また、実施例4〜6のように、酸化防止剤を配合することにより高温のギアオイルと接触して劣化が少なく、耐久性が向上することがわかる。中でも、アミン系酸化防止剤の効果が大きい。
10 転がり軸受
11 外輪
12 内輪
13 玉
14 保持器
15 シール
11 外輪
12 内輪
13 玉
14 保持器
15 シール
Claims (3)
- 少なくとも内輪、外輪、保持器及び転動体を備える転がり軸受において、
前記保持器が、グリシジルメタクリレートを分子構造中に3〜20モル%含有するエチレン系共重合体からなるタフ化剤を全量の5〜20質量%、強化繊維材を全量の10〜40質量%の割合で含有するポリフェニレンサルファイド樹脂組成物からなることを特徴とする転がり軸受。 - 前記強化繊維材が、丸型断面を有するガラス繊維、異形断面を有するガラス繊維及び炭素繊維から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
- 前記ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物が、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種を全量の0.1〜2.0質量%の割合で含有することを特徴とする請求項1または2記載の転がり軸受。
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