JP2007002973A - スラストころ軸受及びスラストころ軸受用保持器の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温・高速回転条件、高負荷条件等の過酷な使用条件下であったとしても、長期間の使用することができるスラストころ軸受、および、離型時に生じる保持器の変形を最小限にすることができるスラストころ軸受用保持器の製造方法を提供する。
【解決手段】 転動体である複数のころ2と、ころ2を円周方向に転動自在に保持する保持器3と、を備えるスラストころ軸受1であって、保持器3は、150℃で2300MPa以上の曲げ弾性率を有するプラスチック材料からなり、射出成形する際の金型温度を50〜150℃とし、成形後、アニール処理を施す。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高温、且つ高速での回転を必要とされるオートマチックトランスミッション、トランスアクスル、カークーラコンプレッサ等の回転支持部に用いるのに好適なスラストころ軸受及びスラストころ軸受に組み込まれる保持器の製造方法に関する。
一般的に、スラストころ軸受は、FGタイプのものが多く使用されている。このスラストころ軸受は、円環板状に形成される保持器を備えており、従来、この保持器として、鉄等の金属製のものが多く使用されてきたが、近年では、プラスチック製の保持器の使用が増加してきている。
従来、プラスチック製の保持器の材料としては、例えば、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66)、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート等の所謂エンジニアリングプラスチック単体や、これらのプラスチック材料にガラス繊維等の強化繊維を含有させた強化プラスチック材料(複合材料)が使用されている。
そのプラスチック材料の中でもナイロン66は、材料コストと性能のバランスが良好なことから、プラスチック製保持器の材料として多用され、中程度の環境条件では卓越した性能が確認されている。
その他、従来のスラストころ軸受の保持器としては、保持器の成形工程での型抜き時の抵抗を少なくして、型抜き時に保持器のころ止め部が変形することを防止することができるプラスチック製の保持器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−79269号公報(第3頁、第1図)
しかしながら、従来のプラスチック材料からなる保持器は、120℃以上での連続使用や、極圧添加剤添加油等の油類と常時又は間歇的に接触する等の使用条件下では、経時的に材料が劣化してしまう可能性がある。また、高温・高速回転(例えば、20000min−1)での使用条件下では、耐熱性が不十分であると共に、高温での強度及び剛性が不足し、回転時に保持器が変形して、ころの姿勢を正常に維持できなくなり、保持器の摩耗や軸受の焼付きの原因となる可能性がある。
また、強化プラスチック材料の強化繊維の含有率を多くし、プラスチック材料の剛性を向上させることによって、高速回転に耐えるようにできるが、剛性を高くするのみでは、ポケットの周方向の最大幅よりも入口部の周方向の幅が小さい所謂パチン代を有する保持器の場合、射出成形工程での離型時にアンダーカット部が無理抜きとなり、樹脂が押しつぶされたり、のされたりして、保持器が変形してしまい、パチン代がなくなってしまうという問題がある。
さらに、上記特許文献1に記載のプラスチック製の保持器では、高温・高速回転での使用の際の必要なプラスチック材料の剛性の関係が開示されておらず、また、ころ止め部の形状が冠形保持器の爪部の発想と同様であり、爪部間に肉盗みを設けたものとなっていることから、ポケット数が多く、保持器幅の薄いスラストころ軸受用保持器の場合、全ての柱部に肉盗みを設けるのは金型作成上困難であり、さらに、保持器の柱強度が低下するため、軸受寿命が短くなるという問題がある。
本発明は、このような不都合を解消するためになされたものであり、その目的は、高温・高速回転条件、高負荷条件等の過酷な使用条件下であったとしても、長期間の使用することができるスラストころ軸受、および、離型時に生じる保持器の変形を最小限にすることができるスラストころ軸受用保持器の製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 転動体である複数のころと、ころを円周方向に転動自在に保持する保持器と、を備えるスラストころ軸受であって、保持器は、150℃で2300MPa以上の曲げ弾性率を有するプラスチック材料からなることを特徴とするスラストころ軸受。
(2) 保持器は、ころを保持するポケットの周方向の最大幅をPとし、ポケットの入口部の周方向の幅をBとすると、B/P=0.86〜0.94の関係が成立し、且つ入口部にパチン代を有することを特徴とする(1)に記載のスラストころ軸受。
(3) (1)又は(2)に記載のスラストころ軸受に組み込まれる保持器の製造方法であって、射出成形する際の金型温度を50〜150℃とし、成形後、アニール処理を施すことを特徴とするスラストころ軸受用保持器の製造方法。
なお、ポケットの周方向の最大幅P及び入口部の周方向の幅Bは、直線距離を表す。
本発明のスラストころ軸受によれば、保持器は、150℃で2300MPa以上の曲げ弾性率を有するプラスチック材料からなるため、保持器の耐熱性及び耐薬品性を向上することができる。また、保持器の強度及び剛性を十分に確保できるので、回転時の変形を防止することができる。さらに、保持器の靭性を適度なものにできるので、保持器の組込み性を向上することができる。これらにより、高温・高速回転条件、高負荷条件等の過酷な使用条件下であったとしても、スラストころ軸受を長期間に亘って使用することができる。
また、本発明のスラストころ軸受によれば、保持器は、ころを保持するポケットの周方向の最大幅をPとし、ポケットの入口部の周方向の幅をBとすると、B/P=0.86〜0.94の関係が成立し、且つ入口部にパチン代を有するため、ころをポケット内に確実に保持することができる。
さらに、本発明のスラストころ軸受用保持器の製造方法によれば、射出成形する際の金型温度を50〜150℃とするため、成形品の収縮を小さくし、保持器を所定寸法より若干大きめに成形することができる。これにより、離型時の無理抜きが緩和されるので、離型時に生じる保持器の変形を最小限にすることができる。また、成形後、アニール処理を施すことにより、結晶化を進行させるので、完成品として所定寸法の保持器を得ることができる。
以下、本発明に係るスラストころ軸受及びスラストころ軸受用保持器の製造方法の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るスラストころ軸受を説明するための縦断面図、図2は図1に示すスラストころ軸受に組み込まれる保持器の平面図、図3は図2のA−A線矢視断面図、図4は図3に示すポケットの変形例を説明するための断面図である。
まず、図1及び図2を参照して、本発明に係るスラストころ軸受について説明する。
本実施形態のスラストころ軸受1は、図1に示すように、転動体である複数のころ2と、複数のころ2を円周方向に転動自在に保持するプラスチック製の保持器3と、複数のころ2と転接する外輪軌道面5と保持器3の外周面と摺接する保持器案内面4aとを有する外輪4と、を備えている。
スラストころ軸受1に組み込まれる保持器3は、図2に示すように、円環板状に形成されており、複数のころ2を転動自在に保持するポケット6が円周方向に等間隔で複数箇所形成されている。
また、保持器3は、図3に示すように、ポケット6の入口部7にパチン代Zを有している。具体的には、ポケット6の上側部の周方向両側にころ保持部8,8を形成することによって、パチン代Zを形成している。ころ保持部8は、保持部3の上面に開口を形成する段部9と、ころ2を保持する斜面部10と、から構成される。また、ポケット6の下側部の周方向両端部には、ころ保持部11,11が形成されている(以下、図3のポケット形状を通常型と称する。)。なお、このポケット形状は、150℃で2300〜3500Mpa未満の曲げ弾性率のプラスチック材料からなる保持器に採用すると特に好ましい。
また、保持器3は、図3に示すように、ころ2を保持するポケット6の周方向の最大幅をPとし、ポケット6の入口部7の周方向の幅をBとすると、B/P=0.86〜0.94の関係が成立するように形成される。
また、本実施形態の変形例として、図4に示すように、保持器3は、ポケット6の入口部7に射出成形の離型時に弾性変形可能な形状の弾性片12を設けてもよい。具体的には、ころ保持部8の段部9に、ポケット6の長手方向に沿って凹溝13を形成することによって、弾性片8を弾性変形可能にしている(以下、図4のポケット形状を可変型と称する。)。なお、このポケット形状は、150℃で3500Mpa以上の曲げ弾性率のプラスチック材料からなる保持器に採用すると特に好ましい。
この場合、保持器3は、図4に示すように、ころ2を保持するポケット6の周方向の最大幅をPとし、ポケット6の入口部7の周方向の幅をBとすると、B/P=0.86〜0.94の関係が成立するように形成され、また、ポケット6の段部9の径方向の幅をAすると、A/P=1〜1.2の関係が成立するように形成され、さらに、保持器3の板厚をHとし、保持器3の上面から凹溝13の下端までの深さをhとすると、h/H=0.12〜0.2の関係が成立するように形成される。
そして、保持器3に使用されるプラスチック材料は、150℃以上の耐熱性を有する必要から、ナイロン46(PA46)、ナイロン66(PA66)、ポリフェニレンサルファィド(PPS)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の結晶性樹脂としている。また、150℃で2300MPa以上の曲げ弾性率を有する必要、および、保持器3の組込み性を向上する必要から、樹脂組成物として、上記したプラスチック材料にガラス繊維又は炭素繊維を30%含有させた強化プラスチック材料を使用している。
また、保持器3のプラスチック材料として、上記したプラスチック材料の他に、150℃以上の耐熱性を有するポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)等の所謂スーパーエンジニアリングプラスチックを使用することができるが、保持器3の組込み性を重視し、保持器3に靭性が必要な場合は、スーパーエンジニアリングプラスチック以外のプラスチック材料を使用する方が好ましい。
また、上記したプラスチック材料(結晶性樹脂)は、射出成形時の溶融樹脂温度から金型に充填される際の金型温度により冷却速度が異なり、金型温度が低いと溶融樹脂は急冷されることになり、結晶化度が低くなる。反対に金型温度が高いと溶融樹脂は徐冷されることになり、結晶化度が高くなる。そして、結晶化度が低いと射出成形時の成形収縮が小さく、成形品の寸法が大きくなる。反対に結晶化度が高いと射出成形時の成形収縮が大きく、成形品の寸法が小さくなるという特性を有している。
このことから、スラストころ軸受1に組み込まれる保持器3の製造方法は、離型時の無理抜きを緩和し、離型時に生じる成形品の変形を最小限にする必要から、射出成形する際の金型温度を50〜150℃とし、成形品の収縮を小さくして、保持器3を所定寸法より若干大きめに成形する。そして、成形後、アニール処理、即ち、結晶化を促進させる温度で所定時間保持することによって、成形品の結晶化度を進行させて、保持器3を完成品としての所定寸法に成形する。
従って、本実施形態のスラストころ軸受1によれば、保持器3は、150℃で2300MPa以上の曲げ弾性率を有するプラスチック材料からなるため、保持器3の耐熱性及び耐薬品性を向上することができる。また、保持器3の強度及び剛性を十分に確保できるので、回転時の変形を防止することができる。さらに、保持器3の靭性を適度なものにできるので、保持器の組込み性を向上することができる。これらにより、高温・高速回転条件、高負荷条件等の過酷な使用条件下であったとしても、スラストころ軸受1を長期間に亘って使用することができる。
また、本実施形態のスラストころ軸受1によれば、保持器3は、ころ2を保持するポケット6の周方向の最大幅をPとし、ポケット6の入口部7の周方向の幅をBとすると、B/P=0.86〜0.94の関係が成立し、且つ入口部にパチン代を有するため、ころ2をポケット6内に確実に保持することができる。
さらに、本実施形態のスラストころ軸受用保持器の製造方法によれば、射出成形する際の金型温度を50〜150℃とするため、成形品の収縮を小さくし、保持器3を所定寸法より若干大きめに成形することができる。これにより、離型時の無理抜きが緩和されるので、離型時に生じる保持器3の変形を最小限にすることができる。また、成形後、アニール処理を施すことにより、結晶化を進行させるので、完成品として所定寸法の保持器3を得ることができる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。
例えば、本実施形態では、転がり軸受として、高温(150℃以上)・高回転(10000〜20000min−1)の使用条件下で使用されるオートマチックトランスミッション、トランスアクスル、カークーラコンプレッサ用のスラストころ軸受を例示したが、その他の高温・高速回転用軸受に本発明を適用してもよい。
以下に、本発明例である実施例の作用効果を確認するために行った各試験について説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
各試験に使用する実施例及び比較例であるスラストころ軸受1は、図1に示すように、転動体である複数のころ2と、複数のころ2を円周方向に転動自在に保持するプラスチック製の保持器3と、複数のころ2と転接する外輪軌道面5と保持器3の外周面と摺接する保持器案内面4aとを有する外輪4と、を備え、保持器3は、複数のころ2を転動自在に保持するポケット6が円周方向に等間隔に複数箇所形成されている。なお、保持器3は、下記のプラスチック材料を用いてインラインスクリュー式射出成形機にて成形し、具体的には、外径φ68mm,内径φ55mm,幅1.9mmとし、形状は図1及び図2に示す保持器と同一とした。
実施例及び比較例に組み込まれる保持器のプラスチック材料は、以下の通りである。
(1)PA46樹脂(DSM社製:スタニールTW241F6(登録商標))
(2)PPS樹脂(ポリプラスチック(株)製:フォートロン2130A1(登録商標))
(3)PPS樹脂(呉羽化学工業(株)製:フォートロンKPS(登録商標),GF20%)
(4)PPS樹脂(呉羽化学工業(株)製:フォートロンKPS(登録商標),GF30%)
(5)PA66樹脂(BASF(株)製:ウルトラミッド(登録商標),A3HG3)
(6)PA66樹脂(BASF(株)製:ウルトラミッド(登録商標),A3HG6)
(7)PEEK樹脂(VICTREX(株)製:450GL30(登録商標))
(8)PEEK樹脂(VICTREX(株)製:450CA30(登録商標))
[保持器製作試験]
本試験では、まず、射出成形で成形した保持器のポケット形状、特に、ポケットのパチン代について調査した。結果を表1に示す。なお、パチン代が所定寸法(Z=0.05以上)あるものについては○、パチン代が微小寸法(Z=0.02〜0.05mm未満)あるものについては△、パチン代が無いものについては×とした。また、表1〜表4中のGFはガラス繊維、CFは炭素繊維である。
Figure 2007002973
表1から明らかなように、実施例1〜7の保持器は、いずれも射出成形工程での離型時に生じる塑性変形が少なく、所定寸法のパチン代を得ることができた。また、実施例1,2,5,6の保持器は、曲げ弾性率が高いプラスチック材料で製作したものであるが、ポケット形状を可変型にしているため、離型時の無理抜きが緩和され、所定寸法のパチン代を得ることができた。これに対して、比較例1,2の保持器は、ポケット形状を通常型にしているため、パチン代を得ることはできなかった。これらのことから、本発明のスラストころ軸受の保持器が、所定寸法のパチン代を有することがわかった。
本試験では、次に、通常の適正温度よりも低い金型温度(50〜150°C)で射出成形した保持器のポケットのパチン代について調査した。結果を表2に示す。
Figure 2007002973
表2から明らかなように、実施例9〜12の保持器は、ポケット形状が通常型、且つ曲げ弾性率が高いプラスチック材料で製作した保持器であるにもかかわらず、ポケットにパチン代を得ることができた。また、成形後、アニール処理を施すことによって、パチン代の増加が確認され、完成品としての所定寸法の保持器を得ることができた。これらのことから、本発明のスラストころ軸受用保持器の製造方法によって、離型時の無理抜きが緩和され、離型時に生じる保持器の変形を最小限にできることがわかった。
[保持器組込み性試験]
本試験では、上記した実施例1〜8の保持器のポケットにころを手組みにて挿入し、その際の押圧力を確認した。具体的には、保持器を平板上に置き、ころをポケットの上に載せ、指にてころを押圧してポケットに挿入した。結果を表3に示す。なお、スムースに挿入できる場合を○、押圧力を要する場合を△とした。パチン代の無いものは−とした。
Figure 2007002973
表3から明らかなように、実施例1〜4及び実施例7,8の保持器は、ころをポケットにスムースに挿入することができた。実施例5,6の保持器は、曲げ弾性率が高いプラスチック材料で製作したものであるため、ころの挿入に約3Nの押圧力を要したが、挿入によるポケットの入口部の破損又は白化は生じなかった。これに対して、比較例1,2の保持器は、パチン代がないため、ころがポケットから脱落した。これらのことから、本発明のスラストころ軸受の保持器が、適度な靭性を有していることがわかった。
[回転試験]
本試験では、上記した実施例1〜5及び実施例7の保持器と、比較例3,4の保持器とを組み込んだスラストころ軸受(外径φ70mm,内径φ50mm,幅3mm)を1個ずつ用意し、それぞれの回転試験後の保持器の変形量e(図5参照)と、保持器の摩耗、破損等を測定して、保持器の耐久性及び耐摩耗性を評価した。結果を表4に示す。なお、耐久性については、保持器の変形量eが約0.03mm程度のものを○、それ以上の変形をしたものを×とし、耐摩耗性については、特に摩耗していないものを○、やや摩耗(約0.02mm)しているものを△とした。また、保持器の変形量eは工具顕微鏡、保持器の摩耗は実体顕微鏡にて測定した。
Figure 2007002973
試験条件は、次の通りである。
試験機:高温・高速回転用試験機(日本精工(株)製)
雰囲気温度:150°C
回転速度:20000min−1
試験荷重:アキシアル荷重500N
試験時間:50時間
表4から明らかなように、実施例1〜5及び実施例7の保持器は、いずれも変形量eが0.02mm以下で、摩耗も殆ど確認されなかったことから、良好な回転耐久性及び耐摩耗性を有することがわかった。これに対して、曲げ弾性率が低いプラスチック材料で製作した比較例21,22の保持器は、変形量が大きいことから、回転耐久性が低いものであることがわかった。このことから、本発明のスラストころ軸受が、高温・高速回転の使用条件下であっても、良好な回転耐久性及び耐摩耗性を有することがわかった。
また、本試験結果と曲げ弾性率と変形量との関係から、高温・高速回転の使用条件下で使用されるスラストころ軸受では、保持器の組込み性、耐熱性、高温剛性が重要であり、特に、曲げ弾性率が150℃で2300Mpa以上必要であることがわかった。
[耐熱性試験]
本試験では、まず、上記した実施例1,4,5と、比較例3の保持器を4セット(計16個)用意し、それぞれを150°Cの熱風循環式恒温槽中に250時間、500時間、750時間、1000時間放置して、保持器の環境耐久性を評価するための熱劣化試験を実施し、次に、その熱劣化試験後の保持器を試料として、円環引張試験を実施した。
円環引張試験は、図6に示す円環引張治具20,20に熱劣化試験後の保持器をセットし、(株)島津製作所製の引張試験機(オートグラフAG−10KNG(登録商標))を用いて10mm/minの引張速度で円環引張治具20,20を矢印方向(図6参照)に引っ張ることにより実施して、それぞれの保持器の円環引張破断荷重を測定した。そして、熱劣化試験をしていない保持器を100%として円環引張強度保持率を計算した。結果を図7に示す。
図7から明らかなように、実施例1,4,5の保持器は、熱劣化が少なく、1000時間経後においても80%以上の円環引張強度保持率を示していることから、耐熱性が非常に高いことがわかった。これに対して、比較例3の保持器は、熱劣化が進行しており、1000時間経過後において65%以下の円環引張強度保持率を示していることから、耐熱性が低いことがわかった。これらから、150°C以上の耐熱性を有するためには、本実施例で使用した150℃で2300MPa以上の曲げ弾性率を有するプラスチック材料が必要であることがわかった。
本発明に係るスラストころ軸受を説明するための縦断面図である。 図1に示すスラストころ軸受に組み込まれる保持器の平面図である。 図2のA−A線矢視断面図である。 図3に示すポケットの変形例を説明するための断面図である。 保持器の変形量を説明するための説明図である。 円環引張治具を用いた円環引張試験の説明図である。 保持器の耐熱性試験で強度の経時変化を円環引張強度保持率で示したグラフ図である。
符号の説明
1 スラストころ軸受
2 ころ
3 保持器
4 外輪
4a 保持器案内面
5 外輪軌道面
6 ポケット
7 入口部
8,11 ころ保持部
9 段部
10 斜面部
12 弾性片12
13 凹溝
20 円環引張治具

Claims (3)

  1. 転動体である複数のころと、前記ころを円周方向に転動自在に保持する保持器と、を備えるスラストころ軸受であって、
    前記保持器は、150℃で2300MPa以上の曲げ弾性率を有するプラスチック材料からなることを特徴とするスラストころ軸受。
  2. 前記保持器は、前記ころを保持するポケットの周方向の最大幅をPとし、前記ポケットの入口部の周方向の幅をBとすると、B/P=0.86〜0.94の関係が成立し、且つ前記入口部にパチン代を有することを特徴とする請求項1記載のスラストころ軸受。
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載のスラストころ軸受に組み込まれる保持器の製造方法であって、射出成形する際の金型温度を50〜150℃とし、成形後、アニール処理を施すことを特徴とするスラストころ軸受用保持器の製造方法。
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