JPH07332370A - 合成樹脂製保持器 - Google Patents

合成樹脂製保持器

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JPH07332370A
JPH07332370A JP12646094A JP12646094A JPH07332370A JP H07332370 A JPH07332370 A JP H07332370A JP 12646094 A JP12646094 A JP 12646094A JP 12646094 A JP12646094 A JP 12646094A JP H07332370 A JPH07332370 A JP H07332370A
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JP
Japan
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pps
molding
cage
resin
synthetic resin
Prior art date
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Pending
Application number
JP12646094A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadahiro Terada
忠弘 寺田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Koyo Seiko Co Ltd
Original Assignee
Koyo Seiko Co Ltd
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Publication date
Application filed by Koyo Seiko Co Ltd filed Critical Koyo Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の架橋型PPSからなる保持器より柔軟
性にすぐれ、直鎖型や部分架橋型PPSからなる保持器
より耐熱性に優れた転がり軸受用保持器を提供する。 【構成】 直鎖型あるいは部分架橋型PPSの結晶化度
が47%以上となるように、成形後にアニール処理し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、転がり軸受等に使用
される合成樹脂製の保持器に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、耐
熱性、耐薬品性等が要求される過酷な条件下で使用され
る合成樹脂製保持器には、主としてナイロン66、ナイ
ロン46等のポリアミド系樹脂が使用されている。しか
し近時、より一層苛酷な条件で使用できる保持器が求め
られており、ポリアミド系樹脂ではこの要求に十分に対
応できなくなりつつある。
【0003】そこでポリアミド系樹脂よりも耐熱性、耐
薬品性にすぐれたポリフェニレンサルファイド(PP
S)を保持器に使用する試みがなされている。PPS
は、下記一般式に示すようにベンゼン環と硫黄原子とが
交互に結合した直鎖状の熱可塑性樹脂であり、そのまま
で使用する場合(直鎖型PPS)と、熱処理等により架
橋させて使用する場合(架橋型PPS)と、部分的に架
橋させて使用する場合(部分架橋型PPS)とがある。
【0004】
【化1】
【0005】架橋型PPSは、分子量数千〜2万程度の
比較的分子量の小さい直鎖状のPPSを、250℃程度
の温度で1〜24時間程度熱処理して、架橋の度合いを
示す架橋率が30〜40%程度、見掛けの分子量が10
数万〜数10万程度になるように架橋させることで製造
される。この架橋型のPPSを原料として保持器を製造
すると、成形時等の加熱によって架橋がさらに進行し
て、架橋率が50〜60%程度まで上昇し、極めて高い
耐熱性、耐薬品性を示すようになる。
【0006】ところが上記のように架橋率の高い架橋型
PPSは柔軟性、靱性に欠け、脆くかつ壊れやすいとい
う問題がある。架橋型PPSは、ガラス繊維等の繊維状
充填材で強化すれば靭性を向上できるが、保持器に要求
される靭性を達成するには多量の繊維状充填材を配合し
なければならない。
【0007】しかも繊維状充填材で強化された架橋型P
PSは、靱性は改善されるものの柔軟性に欠けており、
とくにアンダーカットになった形状の保持器の場合、成
形後、成形品を金型から抜き取る際に、当該アンダーカ
ットの部分に割れやクラックが発生するおそれがある。
このため従来の架橋型PPSは、アンダーカットを有す
る保持器等の複雑な形状に成形できないという問題もあ
る。
【0008】一方、直鎖型PPSや部分架橋型PPS
は、架橋型PPSに比べて柔軟性があるので、アンダー
カットを有する保持器を成形できる。ここでいう部分架
橋型PPSとは、分子量7万〜60万程度の直鎖型PP
Sを熱処理して、架橋の度合いを示す架橋率が5〜25
%程度になるように架橋させることで製造されるもの
で、この部分架橋型PPSを原料として保持器を製造す
ると、成形時等の加熱によって架橋がさらに進行して、
架橋率が25〜45%程度まで上昇する。
【0009】ところが、直鎖型や部分架橋型のPPS
は、架橋型PPSに比べてとくに耐熱性が不十分であ
り、高温下で荷重を受けた際にクリープ変形しやすいと
いう問題がある。たとえばスラスト針状ころ軸受用の保
持器の場合、高温下で使用すると、回転時の遠心力によ
って、針状ころが、円板状の保持器のポケット部を外方
に押し広げる結果、保持器が花びら状に変形してしま
う。
【0010】以上のように従来の技術では、架橋型PP
Sを用いると成形が困難であり、直鎖型PPSや部分架
橋型PPSを用いると高耐熱性を達成できないので、樹
脂としてPPSを用いた、より過酷な条件下での使用が
可能な合成樹脂製保持器は、未だ実用化されていないの
が現状である。この発明の目的は、樹脂としてPPSを
用いた、より過酷な条件下での使用が可能な合成樹脂製
保持器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するためのこの発明の合成樹脂製保持器は、直鎖型ま
たは部分架橋型のPPSを含有する成形材料からなり、
PPSの結晶化度が47%以上となるように、成形後に
アニール処理されたことを特徴とする。上記構成からな
るこの発明の合成樹脂製保持器は、直鎖型PPSまたは
部分架橋型PPSを樹脂成分として含有する柔軟な成形
材料から成形されるため、架橋型PPSでは成形不可能
であった、アンダーカットを有する複雑な形状の保持器
を製造できる。
【0012】またこの発明の合成樹脂製保持器は、PP
Sの結晶化度が47%以上となるように、成形後にアニ
ール処理されているため、通常の直鎖型または部分架橋
型のPPSでは得られなかった高耐熱性を有し、より過
酷な条件下での使用が可能である。アニール処理後のP
PSの結晶化度が47%未満では、耐熱性が不十分で、
未処理のPPS(結晶化度約45%)と同様に、高温下
で荷重を受けた際にクリープ変形しやすい。したがって
アニール処理後のPPSの結晶化度は47%以上に限定
される。
【0013】結晶化度の上限は、この発明ではとくに限
定されず、PPSに固有の最大結晶化度(65%)まで
の任意の結晶化度が選択できる。アニール処理の条件に
ついても、この発明ではとくに限定されないが、処理温
度は、あまりに高すぎてもエネルキーのむだになるだけ
なので、通常のアニール処理と同様の温度範囲、すなわ
ち保持器の実使用温度+20℃程度から、それ以下の範
囲でよい。
【0014】処理の時間は、上記処理の温度や、あるい
は処理前のPPSの結晶化度等の条件に応じて、適宜、
設定することができる。たとえば後述する実施例のよう
に、処理の温度が150℃、処理前のPPSの結晶化度
が約45%の場合は、PPSの結晶化度を47%以上に
するために、15分以上のアニール処理が必要である。
【0015】アニール処理は、空気中で行ってもよく、
また窒素ガス等の不活性ガス中で行ってもよい。この発
明に使用される直鎖型または部分架橋型のPPSとして
は、保持器用材料として使用可能な種々のグレードのも
のが、いずれも使用可能であるが、直鎖型PPSとして
は、耐熱性、耐薬品性等を維持すべく比較的高分子量
(分子量8万〜数10万程度)のものが好適に使用され
る。
【0016】一方、部分架橋型PPSとしては、成形前
の架橋率が25%以下のものを使用するのが好ましい。
成形前の架橋率が25%を超えるものは、成形後の架橋
率が高くなりすぎて、柔軟性、靱性に欠け、脆くかつ壊
れやすくなって、とくにアンダーカットになった形状の
保持器の場合に、成形後、成形品を金型から抜き取る際
に、当該アンダーカットの部分に割れやクラックが発生
する等、従来の架橋型PPSと同様の問題を生じるおそ
れがある。
【0017】部分架橋型PPSの成形前の架橋率を上記
範囲内に調整するには、直鎖型PPSを熱処理して部分
架橋させる際の熱処理時間を短くしたり、あるいは処理
温度を低くしたりすればよいが、直鎖型PPSの架橋は
酸素によって促進されるので、熱処理雰囲気中の酸素含
有量を少なくしても、部分架橋型PPSの架橋率を調整
することができる。実際の製造に際しては上記3つの方
法を適宜組み合わせて、部分架橋型PPSの成形前の架
橋率を調整すればよい。
【0018】この発明の合成樹脂製保持器は、上記直鎖
型または部分架橋型PPSの他に、繊維状充填材や各種
の添加剤を含有しても良い。繊維状充填材の含有割合は
特に限定されないが、全成分中50重量%以下であるこ
とが好ましい。繊維状充填材の含有割合が50重量%を
超えると、加熱溶融時の流動性が低下して、成形性が悪
化するおそれがある上、当該繊維状充填材による強化効
果が飽和してしまう。
【0019】繊維状充填材としては、ガラス繊維、炭素
繊維、繊維状の珪灰石(ウォラストナイト)、炭化ケイ
素繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、Si−Ti−C−O繊
維、金属繊維(銅、鋼、ステンレス鋼等)、芳香族ポリ
アミド(アラミド)繊維、チタン酸カリウムウイスカ
ー、グラファイトウイスカー、炭化ケイ素ウイスカー、
窒化ケイ素ウイスカー、アルミナウイスカー等が例示さ
れる。
【0020】またこの発明においては、上記繊維状充填
材の一部を、従来公知の充填剤に置き換えることもでき
る。充填剤としては、フェノール樹脂、シリコーン樹
脂、フッ素樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹
脂、芳香族ポリアミド樹脂等の耐熱性樹脂の粉末、グラ
ファイト、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ
素、カーボンブラック、二硫化モリブデン、タルク、珪
藻土、石綿、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ガラ
スビーズ、シリカバルーン等の無機物の粉末等が例示さ
れる。
【0021】この発明の保持器は、上記の各成分を溶融
混練し、ペレット状、粉末状等の、成形材料として使用
可能な形状にした後、従来と同様に、射出成形機等を用
いて成形することで製造される。この発明の構成は、玉
軸受、針状ころ軸受、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受等の
種々の転がり軸受用の、あらゆる形状の保持器に適用す
ることができる。
【0022】
【実施例】以下にこの発明を、実施例ならびに比較例に
もとづいて説明する。 実施例1〜6、比較例1 平均分子量50万の直鎖型PPSとガラス繊維とを、ガ
ラス繊維の含有率が30重量%となるように溶融混練
し、ペレット化した。そして上記ペレットを、射出成形
機を用いて成形して、外径62mm、内径45mm、厚み2
mm、ポケット数50の、スラスト針状ころ軸受用の保持
器の形状に成形した。
【0023】そしてこの保持器を、150℃で表1に示
す時間、空気中にてアニール処理して、実施例1〜6の
合成樹脂製保持器とした。また熱処理しなかったもの
を、比較例1の合成樹脂製保持器とした。上記各実施
例、比較例の合成樹脂製保持器について、以下の試験を
行った。 結晶化度測定 実施例、比較例の合成樹脂製保持器と同材料からなり、
同条件でアニール処理したサンプルの融解熱を測定し
て、結晶化度を求めた。 熱変形率測定 実施例、比較例の合成樹脂製保持器1を、図1に示すよ
うに紐R1によって加熱炉中に吊り下げるとともに、こ
の保持器1の、円の中心を挟んで反対側に、紐R2によ
って重さ500gのウエイトWを吊り下げた。そして上
記保持器を、加熱炉内で150℃、120時間加熱した
後、径d1 とd2 を測定し、下記式によって保持器1の
熱変形率(%)を求めた。
【0024】
【数1】 保持器1は、加熱下、ウエイトWによって下方に引っ張
られると上下方向に伸びて、径d1 が径d2 より大きく
なる。したがって熱変形率は、全く変形のない状態(d
1 =d2 )が0%で、変形が大きくなるほど高い値を示
す。以上の結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】上記表1の結果より、PPSの結晶化度が
47%以上となるように、成形後にアニール処理された
実施例1〜6の保持器はいずれも、結晶化度が45%で
ある比較例1の保持器に比べて熱変形率が小さいことか
ら、クリープ変形しにくく、より過酷な条件下での使用
が可能であることがわかった。
【0027】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、直鎖型
または部分架橋型PPSを樹脂成分として使用すること
により、従来の架橋型PPSでは成形不可能であった、
複雑な形状を有し、しかも高い寸法精度が要求される保
持器を成形することができる上、成形された保持器は、
PPSの結晶化度が47%以上となるように、成形後に
アニール処理されているため、通常の、直鎖型または部
分架橋型PPSを用いたものに比べて耐熱性にすぐれた
ものとなる。したがってこの発明によれば、従来は実現
不可能であった、より過酷な条件下での使用が可能な合
成樹脂製保持器を実用化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例、比較例で製造した合成樹脂製保持器
の、熱変形率測定方法を説明する図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直鎖型または部分架橋型のポリフェニレン
    サルファイドを含有する成形材料からなり、ポリフェニ
    レンサルファイドの結晶化度が47%以上となるよう
    に、成形後にアニール処理されたことを特徴とする合成
    樹脂製保持器。
JP12646094A 1994-06-08 1994-06-08 合成樹脂製保持器 Pending JPH07332370A (ja)

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Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12646094A JPH07332370A (ja) 1994-06-08 1994-06-08 合成樹脂製保持器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12646094A JPH07332370A (ja) 1994-06-08 1994-06-08 合成樹脂製保持器

Publications (1)

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JPH07332370A true JPH07332370A (ja) 1995-12-22

Family

ID=14935774

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12646094A Pending JPH07332370A (ja) 1994-06-08 1994-06-08 合成樹脂製保持器

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JP (1) JPH07332370A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6770224B2 (en) * 2000-06-15 2004-08-03 Triquint Technology Holding Co. Optical component package
JP2007002973A (ja) * 2005-06-27 2007-01-11 Nsk Ltd スラストころ軸受及びスラストころ軸受用保持器の製造方法
JP2018523859A (ja) * 2015-08-21 2018-08-23 コーニング オプティカル コミュニケイションズ リミテッド ライアビリティ カンパニー 光ファイバコネクタサブアセンブリ及び関連の方法

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