様々な実施形態を以下の説明における実施例によって更に明らかにする。一般的に、この説明は、光ファイバコネクタサブアセンブリ及びその製造方法に関する。サブアセンブリ及び方法は、光ファイバケーブルのためのケーブル組立工程を容易にすることができる。すなわち、サブアセンブリ及び本方法は、光ファイバケーブルの1又は2以上の光ファイバを光ファイバコネクタで終端してケーブルアセンブリを形成することを容易にする初期段階とすることができる。そのようなケーブルアセンブリのための光ファイバコネクタ(「光コネクタ10」又は単に「コネクタ10」とも呼ばれる)の一例が図1に示されている。コネクタ10は、SC−タイプコネクタの形態に示されているが、以下に説明する方法は、異なる光ファイバコネクタ設計を伴う工程に適用可能とすることができる。これは、例えば、ST、LC、FC、MU、及びMPO−タイプコネクタ、及び他の単一ファイバ又は多重ファイバコネクタ設計を含む。コネクタ10の一般的な概要は、単に議論を容易にするために以下に与えられる。
図1及び図2に示すように、コネクタ10は、前端14(「嵌合端部」)及び後端16(「挿入端部」)を有するフェルール12と、対向する第1及び第2の末端部分20、22を有するフェルールホルダ18と、ハウジング24(「内側ハウジング24」又は「コネクタ本体24」とも呼ばれる)とを含む。フェルール12の後端14は、フェルールホルダ18の第1の末端部分20に受け入れられ、一方で前端14は、フェルールホルダ18の外側に残る。フェルールホルダ18の第2の末端部分22は、ハウジング24に受け入れられる。バネ26が、第2の末端部分22の周りに配置され、かつハウジング24の壁と相互作用してフェルールホルダ18(及びフェルール12)を付勢するように構成することができる。これに加えて、引き込みチューブ28が、ハウジング24の後端からフェルールホルダ18の第2の末端部分22内まで延び、フェルール12内への光ファイバ(図1及び図2では図示せず)の挿入を案内するのを助けることができる。外側シュラウド32(「外側ハウジング32」とも呼ばれる)が、組み立てられたフェルール12、フェルールホルダ18、及びハウジング24の上に位置決めされ、その全体的な構成は、フェルール12の前端16が、嵌合構成要素(例えば、別の光ファイバコネクタ、図示せず)に接触するように構成された端面を提示するようなものである。
本明細書に示していない方式では、光ファイバを与える光ファイバケーブルはまた、ハウジング24の後端部分30上に圧着することができる材料の1又は2以上の層(例えば、アラミド糸の強度層)を含み、こういう理由で、ハウジング24は、「圧着体」又は「保持体」と呼ぶこともできる。圧着バンド(又は「圧着リング」)をこの目的のために与えることができる。これに加えて、歪み緩和ブーツが、圧着領域の上に置かれ、かつ後方に延びて光ファイバケーブルの一部分を覆うことができる。これらの態様の変形は、光ファイバケーブルアセンブリの設計に精通した当業者によって認められるであろう。例えば、光ファイバケーブルをハウジング24に固定する他の方法も公知であり、かつ一部の実施形態に使用することができる。ここでもまた、図1及び図2に示す実施形態は、本発明の開示に与える光ファイバコネクタサブアセンブリ及び方法が関連する場合がある光ファイバコネクタの単なる例である。
図3は、コネクタ10をより詳細に示し、図4は、隔離したフェルール12の拡大図である。フェルール12は、米国特許第8、702、322号明細書(「’322特許」)に説明されたものと同じとすることができ、これは、フェルールの幾何学的形状、フェルールのボア内の結合剤の場所、及び結合剤の可能な組成に関連する多くの詳細を説明しており、この情報は、引用によって本明細書に組み込まれている。一般的に、フェルール12は、長手軸A1に沿って前端及び後端14、16間を延びるフェルールボア102を含む。より具体的には、フェルールボア102は、フェルール12の後端16から内方に延びる第1のセクション104と、フェルール12の前端14から内方に延びる第2のセクション108(「マイクロ孔」又は「マイクロ孔セクション」とも呼ばれる)と、第1のセクション104と第2のセクション108の間に配置された移行セクション112とを有する。第1、第2、及び移行セクション104、108、112は、長手軸A1に沿って又は平行に測定されたそれぞれの長さL1、L2、及びL3を有する。前端及び後端14、16は、互いに平行又は実質的に平行であるが長手軸A1に実質的に垂直な平面内を延びるフェルール12のそれぞれの前端面及び後端面を定める。一部の実施形態では、前端面は、例えば斜め物理接触(APC)端面を与えるために長手軸A1に対して僅かに傾斜することができる。
図3及び図4を更に参照すると、フェルールボア102の第1のセクション104は、第1の幅を有し、第2のセクション108は、移行セクション112が第1のセクション104と第2のセクション108の間で幅の減少を与えるような第1の幅未満の第2の幅を有する。より具体的には、図示の実施形態では、フェルールボア102の第1のセクション104は、第1の幅が第1の直径D1であるようなフェルール12の後端16から移行セクション112に延びる円筒形ボアである。フェルールボア102の第2のセクション108は、第2の幅が第2の直径D2であるようなフェルール12の前端14から移行セクション112に延びる円筒形ボアである。従って、移行セクション112は、直径の減少を第1のセクション104と第2のセクション108の間に与える。
図3及び図4に示すように、結合剤120は、フェルールボア102の移行セクション112内に少なくとも部分的に配置される。結合剤120は、光ファイバをフェルールボア102に挿入する前に有意な時間量(例えば、少なくとも1時間、1日、1年など)にわたってフェルール100内に事前装填又は格納することができる。例えば、上述のように、結合剤120は、フェルール100の製造業者によってフェルールボア102に事前装填することができる。フェルール12とそこに事前装填された結合剤120との組合せは、光ファイバコネクタサブアセンブリ130を表している。
’322特許は、結合剤120が、圧縮を通じてフェルールボア102の移行セクション112内に結合された自由流動粉末材料であることができる方法を説明している。以下でより詳細に説明するように、いくつかの追加又は代替段階を行って更に有利な方式で光ファイバコネクタサブアセンブリを生成することができる。しかし、最初に、これらの追加/代替段階の背景を更に与えるために例示的結合剤を以下に要約する。
例示的結合剤
’322特許の可能な結合剤の議論は、引用によって本明細書に組み込んでいるが、そのような結合剤に関連する追加の詳細は、米国特許第8、696、215号明細書(「’215特許」)及び米国特許出願公開第2015/0098679号明細書(「’679公報」)に見ることができ、そのような詳細も引用によって本明細書に組み込まれている。’322特許及び/又は’215特許、及び’679公報からの一部の情報は、簡易参照のために以下に要約している。
’322特許、’215特許、及び’679公報における結合剤は、光ファイバケーブルの終端工程を容易にするために比較的迅速に加熱かつ冷却されるように構成されるが、光ファイバケーブルの光ファイバとフェルールボアの間の十分な結合を与えるようにも構成される。結合剤の1つの特定の例は、部分架橋ポリマー樹脂と、ポリマー樹脂と光ファイバとの、フェルール12との、又は両方との化学的結合を与えるカプリング物質とを含むものである。カプリング物質の存在は、ポリマー樹脂を接着特性よりも主に加熱及び冷却特性が得られるように選択することを可能にする。結合剤は、ポリマー樹脂の加熱及び冷却特性によってほぼ特徴付けられるようにポリマー樹脂の殆どを更に含むことができる。例えば、結合剤は、部分架橋ポリマー樹脂100重量部当たりカプリング物質約0.1から約10重量部を含むことができる。
本明細書に使用する時に「架橋された」又は「架橋している」は、ポリマー鎖を隣接ポリマー鎖に接続する化学結合を指し、「部分架橋された」は、全ての隣接鎖が結合されるわけではない場合であり、「部分架橋可能」は、十分な熱が印加された時に部分架橋状態になる化学種を記述するものである。用語「部分架橋された」及び「部分架橋可能」は、部分架橋する前又は後で同じポリマー樹脂を記述することを理解しなければならない。例えば、ポリマー樹脂は、それがフェルール内に装填され、かつ部分的又は完全に架橋するポリマー樹脂をもたらす温度までまだ加熱されていない時に部分架橋可能であると記述することができる。
望ましい加熱及び冷却特性を有する部分架橋可能ポリマー樹脂の一例は、ポリ(硫化フェニレン)である。望ましい接着特性を有するカプリング物質の一例は、アルコキシシラン、オキシムシラン、アセトキシシラン、ジルコン酸、チタン酸塩、エポキシリングを一端にかつトリメトキシ官能基を他端に有するシラン、又はその組合せのうちの1又は2以上のようなシラン官能基を有するカプリング物質である。部分架橋可能ポリマー、カプリング物質、及び結合剤の他の例は、’322特許及び’215特許に説明されている。
上述のように、結合剤は、1又は2以上の光ファイバをフェルール内に固定するために架橋温度を超えて加熱される前では自由流動粉末材料とすることができる。この粉末は、最初は固体である結合剤(例えば、部分架橋可能な樹脂)の様々な成分をそれぞれの粉末に研磨し、次に、粉末を互いに完全に混合した結果を有することができる。結合剤(例えば、カプリング物質)の一部の成分は、液体とすることができるが、配合物中のそのような成分の画分は、比較的小さい場合があり(例えば、全体配合物の10重量部未満)、そのために得られる配合物は、依然として自由流動粉末と見なされる。例えば、一実施形態では、カプリング物質は、還流条件下で有機溶剤中で熱可塑性粉末と事前反応させることができる。溶媒の除去後に、処置された粉末は残る。還流溶媒条件の下では、カプリング物質の一部は、ポリマーに永久結合された状態になる場合がある。
結合剤の部分架橋可能なポリマー樹脂材料は、架橋温度未満の溶融温度を有する。例えば、上述の部分架橋可能ポリマー樹脂の各々は、250℃未満、270°、又は290℃の温度の融点を有することができ、依然として各々は、少なくとも300℃、325℃、又は更に350℃の架橋温度(すなわち、空気の存在下で樹脂材料が架橋する温度)有する。
結合剤の固定
例示的結合剤を説明したので、追加/代替段階を含む光ファイバコネクタサブアセンブリ130(図4)を製造する方法をここで図5〜図11を参照して以下に説明する。結合剤120は、装填デバイス140を使用してフェルールボア102に最初に配置(すなわち、装填)することができる。図示の実施形態では、装填デバイス140は、中空チューブ142(「外側ロッド」)と、チューブ142に摺動可能に受け入れられる内側ロッド144とを含む。装填デバイス140は、予め決められた量の結合剤120を収集するように構成される。特に図5を参照すると、内側ロッド144は、内側ロッド144がチューブ142に密接に受け入れられるように、チューブ142の内径と実質的に同じ(すなわち、等しいか又は5%以内)である外径を有する。内側ロッド144は、内側ロッド144の前端146がチューブ142の前端148に対して引っ込むように、チューブ142に対して後退した位置に最初に設定される。この引っ込みによって定められた空洞150は、収集する結合剤120の予め決められた量に対応する。
図6に示すように、装填デバイス140は、空洞150が結合剤120で詰められるか又は他に満たされるように、次に結合剤120のサプライの中に押し下げることができる。次に、装填デバイス140は、空洞150がフェルールボア102に位置合わせされた状態でフェルール12(図7)の横に位置決めすることができる。フェルール12の後端16をチューブ142の前端148と接触させた後に(図8)、内側ロッド144をチューブ142に対してかつフェルールボア102内に前進/移動させ(図9)、結合剤120をフェルールボア102内の望ましい場所の中に移動することができる。上述のように、フェルールボア102内の結合剤120の望ましい位置の例は、’322特許に議論されており、かつ引用によって本明細書に組み込まれている。
装填デバイス140をフェルール12から除去する前又は後に、フェルール12の少なくとも一部分は、結合剤120の溶融温度よりも高く加熱することができる。図10は、第1及び第2の加熱源160、162によって第1及び第2の場所で加熱されているフェルール12を概略的に示している。第1の場所は、フェルールボアのマイクロ孔セクション108の開始点及び/又は結合剤120の第1の端部164にほぼ対応することができる(すなわち、第1の場所は、マイクロ孔セクション108の開始点及び/又は結合剤120の第1の端部164からと実質的に同じ前端14からの距離であるフェルール12の外面170上の場所とすることができる)。第2の場所は、結合剤120の第2の端部166にほぼ対応することができる(すなわち、第2の場所は、結合剤120の第2の端部166からと実質的に同じ前端14からの距離であるフェルール12の外面170上の場所とすることができる)。これに代えて又はこれに加えて、第2の場所は、第1のセクション104の端部/移行セクション112の開始点にほぼ対応することができる。
他の実施形態では、フェルール12は、単一場所でのみ又は2よりも多い場所で加熱することができ、単一加熱源のみ又は2よりも多い加熱源がある場合がある。フェルール12は、これに代えて又はこれに加えて、フェルール12の長さの一部分をより連続方式で加熱するために、1又は2以上の加熱源に対して移動することができ、又は逆も同じである。上述の可能性に関連する具体的な例を以下でより詳細に説明する。
どのようにフェルール12が1又は2以上の加熱源で加熱されるかとは無関係に、結合剤120の一部は、加熱工程の結果として溶融する。特に、結合剤120の少なくとも第1及び第2の端部164、166が溶融する。次に、溶融した結合剤は、自然に冷えて(受動的又は能動的に)固化する。図11は、溶融かつ固化しなかった結合剤の部分174の周りに溶融して固化した結合剤120の部分が固体外皮172(「外皮部分」)を形成することができる方法を示している。結合剤120の外皮部分172は、もはや粉末形態ではない。何らかの結晶性が外皮部分にある(例えば、外皮部分は、約20〜60%の球状結晶性を有する場合がある)。
他方で、結合剤120の他の部分174は、この実施形態では粉末形態のままである(従って、結合剤の「粉末部分」又は「粉末材料」と呼ぶことができる)。例えば、粉末部分174は、8と100ミクロンの間の平均サイズ(例えば、最大直径又は幅)を有する結合剤120材料の粒子を依然として含むことができる。粉末部分174は、結晶質ではなく(かつ急冷されておらず)、その代わりに非晶形である。
固体領域と粉末領域の間の差以外に外皮部分172と粉末部分174の間の差を特徴付ける様々な方法がある。例えば、外皮部分172は、約1.0グラム/立方センチメートル(g/cc)と1.5g/ccの間(具体的には、一部の実施形態では約1.3g/ccと1.4g/ccの間)の密度を有することができ、粉末部分174は、約0.4と0.6g/ccの間のようなより小さいかさ密度又は未利用密度を有することができる。換言すると、外皮部分172は、粉末部分174のかさ/未利用密度の少なくとも1.5、2、又は更に3倍である密度を有することができる。
外皮部分172の範囲を特徴付ける様々な方法もある。例えば、結合剤120は、第1及び第2の端部164、166間に長手軸A1に沿って測定された軸方向長さl0を有する。第1及び第2の端部164、166は、結合剤120の軸方向全長l0の約1%と約33%の間を各々が表す結合剤120のそれぞれ第1及び第2の領域の一部とすることができる。換言すると、図11に示すように、第1及び第2の領域は、軸方向全長l0の約1%と約33%の間であるそれぞれの軸方向長さl1及びl2を有することができる。第1及び第2の領域は、これに代えて、フェルールボア102の第1のセクション104の直径D1(図4)に関して特徴付けることができる。例えば、第1及び第2の領域は、各々が外径D1の約1%と約50%の間であるそれぞれの軸方向長さl1及びl2を有する。一部の実施形態(上述したもののいずれかを含む)では、第1の領域内の結合剤120の少なくとも90%は、溶融して固化したものである(すなわち、外皮部分172の形態にある)。これら又は他の実施形態では、第2の領域内の結合剤120の少なくとも90%は、溶融して固化したものである(すなわち、外皮部分172の形態にある)。
図11に示すように、外皮部分172は、第1及び第2の端部164、166の間にあってフェルールボア102の面と接触している結合剤120の周囲領域においてさえも形成することさえすることができる。粉末部分174は、次に、周囲領域によって取り囲まれた結合剤120の中心領域を含む。一部の実施形態では、外皮部分172は、外径D1の約1%と約30%の間の厚みTを有することができる(図4;厚みTは、結合剤120がフェルールボア102の面と接触する場所から外皮部分172の最も近い場所まで測定される)。図11は、外皮部分172が結合剤120の周囲全体の周りに形成されることを示すが、一部の実施形態では、結合剤120の第1及び第2の端部164、166のみが外皮部分を形成することができる。
認めることができるように、結合剤120の少なくとも第1及び第2の端部164、166に外皮部分172を形成することにより、結合剤120は、結合剤120のいかなる量も溶融かつ固化されなかった状況と比較してより確実にフェルールボア102に結合される。これは、光ファイバコネクタサブアセンブリ130を形成する時間と光ファイバコネクタサブアセンブリ130がケーブル組立/終端工程中に使用される時間との間に予め決められた量の結合剤120をフェルールボア102に保存することを助ける。各時間の間の期間は、少なくとも1日、1週間、1ヵ月、又は更に1年のように有意である場合がある。同じくこの期間中に、光ファイバコネクタサブアセンブリ130は搬送され、かつそうでなければ様々な方式で取り扱われる場合がある。結合剤120がこの期間中にフェルール12から出て移動する可能性は、光ファイバコネクタサブアセンブリ130を上述の方式で形成することによって低減又は排除することができる。
結合剤120の予め決められた量をフェルールボア102に保存するのを助けることことに加えて、外皮部分172を形成することはまた、結合剤120が最初にフェルールボア102に配置された場所に結合剤120を保存することを助ける。一貫性の改善は、光ファイバコネクタサブアセンブリ130が関わる終端工程を簡素化する又は他に容易にする。
更に、結合剤120が部分架橋可能ポリマー樹脂を含む時に、結合剤120の加熱は、外皮部分172が、ポリマー樹脂の隣接ポリマー鎖間の不可逆的化学結合なしで溶融して固化するように綿密に制御することができる。これは、フェルール12(及び最終的には結合剤120の各部分)を結合剤の溶融温度よりも高いが結合剤の架橋温度よりも低く加熱することによって達成することができる。そのような工程の利点の1つは、得られる光ファイバコネクタサブアセンブリ130が、フェルールボア102により確実に結合された結合剤120を有するだけでなく、更により大きい接着特性をその後の時点で形成する結合剤120の機能も保存することである。特に、結合剤120の不可逆的架橋特性及び最も大きい接着特性は、光ファイバコネクタサブアセンブリ130が最終的に使用されるケーブル組立/終端工程のために保持することができる。
光ファイバコネクタサブアセンブリ130を形成する方法を紹介したので、加熱工程に関連する一部のより具体的な例を以下に説明する。図10の第1及び第2の加熱源160、162は、フェルール12を加熱するのにあらゆる適切な加熱源を使用することができるので、一般方式で示されている。例えば、加熱工程に関連付けられた加熱源は、1又は2以上のレーザ、オーブン、又はフェルールに巻かれた抵抗ワイヤなどを含むことができる。
図12〜図14に示す実施形態では、単一加熱源は、第1の場所でフェルール12を照射するのに最初に使用されるレーザ180を表している。必要に応じて、フェルール12は、フェルール12の円周の全て又は部分を第1の場所で照射するためにレーザ180に対して回転させることができ、又は逆も同じである。レーザ180のビームを第2の場所に位置合わせするために、相対軸方向移動を次にフェルール12とレーザ180の間で開始することができる(すなわち、長手軸A1に沿った又は平行な方向にフェルール12をレーザ180に対して移動することができ、又は逆も同じである)。この時点でかつ図13に概略的に示すように、レーザ180は、次に、フェルール12を第2の場所で照射するように作動させることができる。ここでもまた、必要に応じて、フェルール12の円周の全て又は部分を照射するために、フェルール12をレーザ180に対して回転させることができ、又は逆も同じである。
フェルール12を2又は3以上の軸方向場所で照射する利点の1つは、結合剤120をより戦略的に溶融させることができることである。例えば、2つの場所間の長さを張るレーザビームの形成を試行することは、上述の利益を与えるために溶融が最も必要とされる場所、すなわち、結合剤120の第1及び第2の端部164、166での結合剤120の均一な(あるいは、少なくともほぼ均一な)溶融に至らない場合がある。これは、次に、外皮部分172内の空隙又は他の望ましくない属性をもたらす場合がある。それにも関わらず、本発明の開示は、結合剤120の軸方向長さl0(図11)のより大きい部分又は全てに対応するフェルール12の長さを張るレーザビームを形成することを除外しない。
図15〜図17は、1又は2以上のレーザ180をフェルール12に対して配置することができる様々な方法を概略的に示している。図15では、レーザビーム184をフェルール12に向けるのに反射器182が使用され、それによってレーザ180を最適化された方式で位置決めすることができる。図16では、第1及び第2のレーザ180a、180bは、フェルール12の両側に入射するそれぞれの第1及び第2のビーム184a、184bを放出するのに使用される。そのような配置は、フェルール12と1又は2以上のレーザとの間の相対的回転なしにフェルール12を加熱して結合剤120の一部を溶融する有効な方法であると考えられるが、そのような相対的回転は、必要に応じて依然として開始することができる。図17は、単一レーザ180のみを用いてフェルール12の両側を照射することを除き、図16と類似の配置を示している。レーザ180は、ビームスプリッタ192によって2つのビーム部分190a、190b(又は「脚」)に分割されるレーザビーム190を放出し、各ビーム部分190a、190bは、1又は2以上の反射器182によってフェルール12の両側に入射するように向けられる。必要に応じてビーム部分190a、190bを特定の方法で成形するか又はそうでなければフォーカスさせるために、レンズのような光学要素をビーム部分190a、190bの経路内のどこにでも位置決めすることができる。
図15〜図17の配置又はその変形の各々を使用して、図12〜図14を参照して議論した実施形態における単一レーザ180と同様にフェルール12を第1及び第2の場所の両方で加熱することができる。これに代えて、フェルール12を第1及び第2の場所で加熱するための1又は2以上のレーザの個別かつ明確に異なる設定又は配置あると考えられる。例えば、フェルール12は、1又は2以上のレーザの第1の配置に対して位置決めされ、第1の場所で加熱され、1又は2以上のレーザの第2の配置に移動されてそれに対して位置決めされ、次に、第2の場所で加熱することができる。第1及び第2の配置は、同じか又は異なる配置である場合がある。
フェルールボアのマイクロ孔の充填
一部の事例では、光ファイバコネクタサブアセンブリ130を形成する時にフェルールボア102の第2のセクション108を結合剤120で充填することが望ましい場合がある。例えば、一部の実施形態では、フェルール12の前端14は、光ファイバ上に設置する前に研磨するか又は他に再成形されて特定の幾何学的形状(例えば、斜め物理接触(APC)端面)を有する端面を形成することができる。そのような追加の工程は、第2のセクション108にデブリを堆積させる可能性を有し、これは、その後の終端工程中に光ファイバを挿入することを困難にする(一部の事例では更に不可能にする)可能性がある。たとえ追加の工程がないとしても、フェルール12は、通常の取り扱い及び搬送中に、同じく第2のセクション108内に移動してそれを塞ぐ可能性を有するデブリに露出される場合がある。フェルールボア102の第2のセクション108を充填することはまた、フェルール12を用いて終端される光ファイバが終端工程の後に第2のセクション108内の結合剤120によって取り囲まれることを保証するのを助けることができる。これは、次に、接着強度及び信頼性を改善することができる。
フェルールボア102の第2のセクション108を結合剤120で充填する際の課題の1つは、フェルールボア120の比較的小さいサイズに関連する。結合剤120を上述の方式でフェルールボア102内に単に装填することは、第2のセクション108を占有する十分な量の結合剤120をもたらさない場合がある。これは、結合剤120が粉末形態でフェルールボア102に最初に配置される時に特に当て嵌まると考えられ、その理由は、そのような材料内の粒子の固形性質及びサイズが、フェルールボア102の第2のセクション108に結合剤120を配置することを困難にする場合があるからである。更に、たとえ代替実施形態で第2のセクション108に最初に配置された結合剤120の実質的な量がある可能性があるとしても、上述の理由で結合剤120の少なくとも一部を溶融かつ固化することが依然として望ましい。
より多くの結合剤がフェルールボア102の第2のセクション108に配置される光ファイバコネクタサブアセンブリ130を製造する方法の一例を図18〜図23に示している。結合剤120は、図5〜図9を参照して上述した方式で(例えば、装填デバイス140を使用して)又はいずれかの他の方式でフェルールボア102に最初に配置することができる。結合剤120は、最初にフェルールボア102の移行セクション112に配置されるが、図18に示すように、一部の実施形態では、一部の量は、第1及び第2のセクション104、108にも配置される場合もある。そのような実施形態で第2のセクション108に最初に配置された結合剤120の量は、比較的少ないと考えられる。例えば、フェルールボア102に最初に配置される結合剤120は、一部の実施形態では第2のセクション108の体積の50%未満、25%未満、又は更に10%未満を占有することができる。
フェルール12の加熱前又は加熱中に結合剤120のより多くをフェルールボア102の第2のセクション108に移動するのを補助するために、ノズル200をフェルール12の後端16に結合することができる。図19は、この点でフェルールボア102と連通する出口202を含むノズル200を概略的に示している。加圧空気又は他のガスが、ノズル200を通してフェルールボア102の中に供給され、圧力を結合剤120に印加することができる。圧力は、特に、結合剤120の少なくとも一部を加熱して溶融させた後に、結合剤120の少なくとも一部を移行セクション112から第2のセクション108の中に押し込むのを助けることができる。
この目的のために、図20〜図22は、加熱源160によって第1及び第2の場所で加熱されているフェルール12を概略的に示している。加熱は、上述の原理のいずれかを使用して達成することができる。例えば、図10の実施形態のようにこれに代えて第1及び第2の加熱源がある場合がある。図10及び図12〜図17を参照して議論した加熱源の異なるタイプ、配置、及び作動を含む加熱の様々な方法は、可能性として残っている。例えば、加熱源160は、1又は2以上のレーザを表すことができる。そのような実施形態では、レーザビームは、フェルール12のより長い長さにわたって入射するようにレンズ又は他の光学要素を使用してフォーカスさせることさえできる。これは、フェルール12を第1の場所で加熱する時に移行セクション112の一部分及び第2のセクション108の一部分の両方を加熱することが、溶融した結合剤120の第2のセクション108内への流れを促進するのを助けることができるので、加熱源160にとって特に有利であると考えられる。
図20及び図21に見ることができるように、結合剤120の少なくとも一部は、熱源160を用いてフェルールを第1の場所で加熱した後に溶融し、溶融した結合剤120は、フェルールボア102の第2のセクション108において最終的に固化する(例えば、受動的又は能動的冷却を通して)。図示の実施形態では、移行セクション112に最初に配置された結合剤120の少なくとも一部は、溶融して第2のセクション108内に流れたものである。その結果、第2のセクション108内で結合剤120の量の増大がある。実際に、一部の実施形態では、結合剤120は、加熱及び固化の後に第2のセクション108の体積の少なくとも90%を占有することができる。
結合剤120の流れは、上述のように、ノズル200によって供給される加圧空気によって補助することができる。ノズル200は、空気カプリングとして作用し、フェルールボア102とのシールを形成する。ノズル200への空気又は他のガスの供給(図示せず)は、加熱前に圧力を印加するために加熱源160の前にオンにされ、加熱源160が起動される直前又はその時にオフにすることができる。これに代えて、供給は、加熱源160が作動している間の期間にわたってオンに保つことができる。加熱段階前又は中に結合剤120に圧力を印加する他の方法が認められるであろう。これに加えて、ノズルを用いて加圧空気を供給するのではなく、一部の実施形態では、真空(図示せず)をフェルールボア102の開口部にわたってフェルール12の前端14に結合することができる。真空は、移行セクション112内で溶融した結合剤120の少なくとも一部がフェルールボア102の第2のセクション108内に流れることを補助するように作動させることができる。
一部の実施形態では、加熱源160は、フェルールボア102の第2のセクション108内への結合剤120の流れに基づいて制御することができる。例えば、結合剤102の一部がフェルールボア102の端部に到達する又は出る時をモニタする機器を使用することができる。加熱源160は、次に、結合剤120の検出に応答して起動停止することができる。これは、結合剤120がフェルールボア102の第2のセクション108を実質的に又は完全に占有するほど十分に長く加熱工程が実施されたことを保証するのを助けることができる。
図21及び図22から認めることができるように、最終的に、フェルール12は、図10に関して上述した実施形態と同様に第2の場所で加熱されて結合剤120の追加の量を溶融する。図10の実施形態と同様に、この段で加熱された結合剤120の追加の量は、フェルールボア102に最初に配置したものである。図示しない代替実施形態では、結合剤120の少量のみがフェルールボア102に最初に配置される場合がある。フェルール12の第1の場所を加熱してこの少量の一部又は全てを溶融させた後にかつ溶融した結合剤120をフェルールボア102の第2のセクション108内で自然に固化させた後に(図20及び図21と同様に)、結合剤120の追加の量は、フェルールボア108の第1のセクション104及び移行セクション112のいずれか又は両方の中に装填することができる。フェルール12は、次に、第2の場所で加熱されてこの追加の量の少なくとも一部を溶融することができる。いずれにせよ、第2の場所でフェルール12を加熱する時に溶融する結合剤120の追加の量は、フェルールボア102の第1のセクション104及び移行セクション112のいずれか又は両方において最終的に冷却かつ固化される。
図23は、図18〜図22に示してそれを参照して説明した工程からもたらされる光ファイバコネクタサブアセンブリ130を示している。認めることができるように、溶融して固化された結合剤は、溶融かつ固化されなかった結合剤の部分174の周りに外皮部分174を依然として形成することができる。この点に関して、光ファイバコネクタサブアセンブリは、結合剤120の増大した量がフェルールボア102の第2のセクション108を占有することを除き、図11を参照して上述したものと類似したままである。ここでもまた、結合剤120は、図18〜図22に示してそれを参照して説明した工程の結果として、第2のセクション108を実質的又は全体的に占有することができる。第2のセクション108内の結合剤120の殆ど又は全ては、外皮部分172の一部とすることができる。例えば、フェルールボア102の第2のセクション108内に配置された結合剤120の少なくとも90%は、溶融して固化されたものと考えられる。
溶融かつ固化されなかった部分174は、上述のように、結合剤120が粉末形態でフェルールボア102に最初に配置された時の粉末部分174とすることができる。従って、上述の外皮部分172と粉末部分174の差(例えば、結晶性及び/又は密度の差)を特徴付ける様々な方法は適用可能なままである。
光学接続性の当業者は、本明細書に開示する要素の追加の変形及び修正を認めるであろう。そのような当業者はまた、本明細書に開示する要素に関わる方法の変形及び修正を認めるであろう。例えば、光ファイバコネクタサブアセンブリを形成する時に結合材料の全てよりも少ないものが加熱かつ固化される実施形態を上述したが、代替実施形態では、結合剤の全て又は実質的に全てが加熱かつ固化される場合がある。そのような実施形態では、加熱は、結合剤が不可逆的に架橋せず、及び/又は高度な結晶性(例えば、60%を超える球状結晶性)を有して終わらないように依然として制御することができる。例えば、結合剤が本明細書に開示するもののような部分架橋可能ポリマー樹脂を含む時に、結合剤は、250℃よりも高く加熱されるが、350℃よりも低く又は更に300℃に保つことができる。
これら及び他の変形を認めることに加えて、当業者は、上述の段階の一部が異なる順番で実行される代替を認めるであろう。この目的のために、以下の方法請求項が、その段階によって従うべき順番を列挙しておらず、又は段階が特定の順番に限定されることが以下の特許請求の範囲又は上述の説明に他に特記されていない場合に、いずれかの特定の順番が示唆されることは決して意図していない。