JP2002135077A - 弾性表面波装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
るリップルを低減し得る構造を備えたSHタイプの表面
波を利用した弾性表面波装置を提供する。 【解決手段】 水晶基板12上に、Alに比べて質量負
荷効果の大きな電極からなる少なくとも1つのIDT1
3,14が形成されており、IDTのメタライゼイショ
ンレシオをd、電極膜厚をhとしたときに、横モードに
よるリップルが0.5dB以下となるようにメタライゼ
イションレシオd及びIDTの規格化膜厚h/λが制御
されている、SHタイプの表面波を利用した弾性表面波
装置。
Description
共振子や弾性表面波フィルタなどの弾性表面波装置及び
その製造方法に関し、より詳細には、SHタイプの表面
波を用いており、かつ横モードスプリアスを低減する構
造が備えられた弾性表面波装置及びその製造方法に関す
る。
ジタルトランスデューサ(IDT)等の電極材料として
AlまたはAlを主成分とする合金が広く用いられてい
る。また、少なくとも1つのIDTが圧電基板上に設け
られており、IDTが設けられている領域の両側に反射
器あるいは反射端面が配置されており、それによって共
振子または縦結合型共振子フィルタ等が構成されてい
る。
波路となって、横モードが生じ、該横モードに起因する
リップルが通過帯域内に生じることがある。横モードに
よるリップルを低減するために、従来種々の方法が試み
られている。例えば、IDTの交差幅を小さくする方
法、あるいは、重み付けを施す方法等が試みられてい
る。
lに比べて大きな質量を有するTaを主体とする金属ま
たは合金により、IDTを構成してなる、SHタイプの
表面波を利用した表面波装置が提案されている(特開平
11−298290号公報)。ここでは、質量の大きな
Taを主体とする金属または合金によりIDTを構成す
ることにより、IDTの電極指の対数が10〜20対程
度と非常に少なくされており、それによって表面波装置
の小型化が図られている。
極のように、質量負荷効果が大きな電極材料を用いる
と、IDTが設けられている領域の音速が周囲の音速よ
り極端に遅くなる。そのため、IDT部分における導波
路効果が非常に大きくなる。
子フィルタを構成した場合、矢印Xで示す、横モードに
よるリップルが複雑化し、かつ非常に大きくなる。前述
したように、横モードによるリップルをフィルタの通過
帯域内や共振子の共振点近傍から除去する方法として、
従来、交差幅を小さくし、基本モードと横モードとの
周波数間隔を大きくする方法、あるいはIDTの交差
幅にcos 2 関数等による重み付けを行なうことによ
り、横モードを打ち消す方法等が試みられている。
波の波長)以下にする必要がある。他方、水晶基板を用
い、電極指の対数が10〜20程度のIDTを用いて表
面波装置を構成した場合、入出力インピーダンスは2k
Ωを超え、非常に高くなり、実際の製品に用いることが
できなくなる。従って、電極指の対数を増加させてイン
ピーダンスを低下させる必要がある。
置では質量の大きなTaを主成分とする電極を形成し
て、IDTの対数を低減することが可能とされているに
も関わらず、交差幅を小さくする方法を採用すると逆
に、入出力インピーダンスを低下させるために電極指の
対数を増加させねばならず、表面波装置の小型化を進め
ることができなくなる。
増大するという問題があった。加えて、重み付けにより
交差幅領域の面積が減少することになるため、の方法
の場合と同様に、表面波装置のインピーダンスが非常に
高くなる。従って、インピーダンスを低減しようとした
場合、交差幅を必要な長さの2倍以上にしなければなら
ない。その結果、やはり表面波装置の小型化を進めるこ
とができなくなる。
た場合にも、横モードによりリップルを低減しようとし
た場合、上記先行技術に記載の方法の利点である小型化
が損なわれてしまうことになる。
が大きな材料を用いて構成されている電極構造を有し、
小型化を図ることができるとともに、横モードによるリ
ップルを効果的に抑圧し得る構造を備えた、SHタイプ
の表面波を利用した弾性表面波装置及びその製造方法を
提供することにある。
ば、水晶基板と、水晶基板上に形成されており、Alに
比べて質量負荷効果の大きな電極からなる少なくとも1
つのIDTとを備え、前記IDTのメタライゼイション
レシオをd、表面波の波長をλ、IDTの電極膜厚をh
としたときに、横モードによるリップルが0.5dB以
下となるように、メタライゼイションレシオd及びID
Tの規格化膜厚h/λが所定の範囲に制御されている、
SHタイプの弾性表面波装置が提供される。
局面では、IDTがAlよりも質量の大きな金属からな
る少なくとも1層の電極層を含む。また、第1の発明の
別の特定の局面では、IDTがAlよりも質量の大きな
単一の金属で構成されている。
前記水晶基板上に形成されており、Taからなる少なく
とも1つのIDTとを備え、前記IDTのメタライゼイ
ションレシオをd、表面波の波長をλ、IDTの膜厚を
hとしたときに、IDTの規格化膜厚h/λが、0.6
d+1.65〜0.6d+1.81の範囲にある、弾性
表面波装置が提供される。
前記水晶基板上に形成されており、Wからなる少なくと
も1つのインターデジタルトランスデューサとを備える
SHタイプの表面波を利用した弾性表面波装置であっ
て、前記インターデジタルトランスデューサのメタライ
ゼイションレシオをd、表面波の波長をλ、インターデ
ジタルトランスデューサの膜厚をhとしたときに、イン
ターデジタルトランスデューサの規格化膜厚h/λが、
0.6d+0.85〜0.6d+1.30の範囲にある
ことを特徴とする、弾性表面波装置が提供される。
モードによるリップルが1.5dB以下とされる。ま
た、第3の発明の特定の局面では、上記規格化膜厚h/
λは、0.6d+1.00〜0.6d+1.23の範囲
とされ、それによって横モードリップルが0.5dB以
下とされる。
合共振子フィルタを構成するように上記IDTが複数個
構成されている。また、第1,第2の発明のさらに限定
された局面では、少なくとも2段の上記縦結合共振子フ
ィルタが縦続接続されている。
1ポート型弾性表面波共振子を構成するように上記ID
Tが水晶基板上に配置されている。第1〜第3の発明の
さらに他の局面では、上記水晶基板上に、IDTが複数
個形成されており、各IDTが1ポート型弾性表面波共
振子を構成しており、かつ水晶基板上においてラダー型
フィルタを構成するように接続されている。
では、水晶基板上に上記IDTが複数個形成されてお
り、各IDTが1ポート型弾性表面波共振子を構成して
おり、かつ水晶基板上において、ラチス型フィルタを構
成するように接続されている。
は、弾性表面波共振子や弾性表面波フィルタ等に広く用
いられるが、本発明の特定の局面では、第1〜第3の発
明に係る弾性表面波装置を用いた通信装置が提供され
る。
利用した弾性表面波装置の製造方法であって、水晶基板
を用意する工程と、前記水晶基板上にAlよりも質量負
荷効果が大きい金属膜を形成する工程と、弾性表面波装
置のIDTのメタライゼイションレシオをd、膜厚を
h、表面波の波長をλとしたときに、横モードスプリア
スが1.5dB以下となるメタライゼイションレシオd
及びIDTの規格化膜厚h/λを満たすように前記金属
膜を反応性イオンエッチングまたはリフトオフプロセス
によりパターニングして少なくとも1個のIDTを形成
する工程とを備えることを特徴とする。
がTaからなり、上記規格化膜厚h/λが0.6d+
1.50〜0.6d+1.87、好ましくは、0.6d
+1.65〜0.6d+1.81となるように、Ta膜
が反応性イオンエッチングまたはリフトオフプロセスに
よりパターニングされて、少なくとも1個のインターデ
ジタルトランスデューサが形成される。
金属膜がWからなり、h/λが0.6d+0.85〜
0.6d+1.30の範囲、好ましくは0.6d+1.
00〜0.6d+1.23の範囲となるように、Wが反
応性イオンエッチングまたはリフトオフプロセスにより
パターニングされて、少なくとも1個のインターデジタ
ルトランスデューサが形成される。
の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明ら
かにする。
表面波装置としての縦結合共振子型フィルタを示す模式
的平面図である。縦結合共振子型フィルタ11では、矩
形板上の水晶基板12が用いられている。水晶基板12
上に、IDT13,14が形成されている。IDT1
3,14はそれぞれ、互いに間挿し合う電極指を有する
1対のくし歯電極13a,13b,14a,14bを有
する。各くし歯電極13a,13b,14a,14bの
電極指の延びる方向は、表面波伝搬方向と直交する方向
である。
方向に沿って配置されている。IDT13,14の設け
られている領域の表面波伝搬方向両側に、グレーティン
グ反射器15,16が配置されている。反射器15,1
6は、複数本の電極指を両端で短絡した構造を有し、反
射器15,16の電極指は、表面波伝搬方向と直交する
方向に延ばされている。
は、IDT13,14及び反射器15,16は、Alよ
りも質量が大きい電極材料であるTaにより構成されて
いる。また、IDT13,14においては、メタライゼ
イションレシオをd,電極の膜厚をh、表面波の波長を
λとしたときに、IDT13,14の表面波の波長で規
格化された規格化膜厚h/λが0.6d+1.65〜
0.6d+1.81の範囲とされている。
IDT13,14において、電極指間ギャップの表面波
伝搬方向に沿う幅寸法と電極指の幅寸法すなわち表面波
伝搬方向に沿う寸法との和に対する電極指の幅寸法の割
合をいうものとする。
大きなTaにより構成されているので、IDT13,1
4の電極指の対数を十数対以下と少なくすることがで
き、小型化を進めることができる。
aからなる質量の大きな電極材料を構成して、IDTの
電極指の対数を少なくした場合であっても、規格化膜厚
h/λとメタライゼイションレシオを上記特定の範囲と
すれば、横モードのリップルを効果的に抑圧することを
見いだし、本発明をなすに至った。
る。上記水晶基板12として、オイラー角(0°,12
7°,90°)で表わされる結晶方位の水晶基板状に、
Taを電極材料として用い、IDT13,14及び反射
器15,16を形成した。この場合、IDT13,14
の電極指の対数は、13対とし、反射器15,16の電
極指の本数は10本とした。また、IDT13,14の
メタライゼイションレシオdが、0.5〜0.90の範
囲において、規格化膜厚h/λが0.017〜0.02
5の範囲で異なるように、SH波を利用した種々の縦結
合共振子型弾性表面波フィルタ11を作製した。図2及
び図3にこのようにして作製された弾性表面波装置内の
一部の構造の減衰量周波数特性を示す。図2(a)に示
す特性は、メタライゼイションレシオd=0.75、h
/λ=0.018の場合の結果を示す。図2(b)に示
す特性は、メタライゼイションレシオd=0.75、h
/λ=0.02の場合の特性を示す。図3(a)は、メ
タライゼイションレシオd=0.75、h/λ=0.0
22の場合の特性を示す。図3(b)は、メタライゼイ
ションレシオd=0.75、h/λ=0.024の場合
の特性を示す。
破線は、縦軸の減衰量を右側のスケールで拡大した特性
を示す。図2(a)に示す特性では、通過帯域の中央に
矢印A1で示すリップルが現れており、かつ通過帯域よ
りも低域側においても多数のリップルY1〜Y3が現れ
ていることがわかる。また、図2(b)に示す特性にお
いても、矢印A2で示すように、通過帯域内に大きなリ
ップルが現れ、通過帯域の低域側においても矢印Y4〜
Y6で示すリップルの現れていることがわかる。
域内において、矢印A3,A4で示す大きなリップルが
現れており、かつ通過帯域よりも高域側において、リッ
プルY7,Y8の現れていることがわかる。
は、通過帯域内にさほど大きなリップルは現れておら
ず、かつ通過帯域よりも低域側及び高域側においても、
通過帯域近傍にリップルがほとんど現れていないことが
わかる。
規格化膜厚h/λを調整することにより、電極指の対数
を少なくして小型化を図った場合でも、横モードに起因
するリップルを効果的に抑圧し得ることがわかる。
に、Alよりも質量の大きな金属材料を用いてIDTを
形成し、電極指の対数を低減して小型化を図った場合に
おいても、横モードに起因するリップルが抑圧されるよ
うに、IDTのメタライゼイションレシオd及び規格膜
厚h/λの値を選択したことに特徴を有するものであ
る。
IDTを構成した場合、IDT13,14内の音速が周
囲よりも非常に遅くなり、導波路効果が強くなる。従っ
て、先行技術において見られたように、横モードによる
リップルが大きくなる。しかしながら、図2及び図3か
ら明らかなように、ある特定の範囲の膜厚hにおいて、
横モードによるリップルがほとんど生じないことがわか
った。この膜厚よりも薄い場合には、図2(a)及び
(b)に示したように、通過帯域の低周波数側に横モー
ドによるリップルが現れ、上記特定の膜厚よりも厚い場
合には、図3(b)に示したように、通過帯域よりも高
周波側に横モードによるリップルが発生している。
る周波数が、低周波数側から高周波数側へシフトする現
象は、Alを主成分とする材料によりIDTを構成した
弾性表面波装置ではみられない。ところが、Taのよう
にAlよりも大きな質量の金属材料を用いてIDT1
3,14を構成した場合、リップル発生周波数が上記の
ようにシフトする現象がみられる。これは、以下の理由
によると考えられる。
つとして、導波路モデルを用いた解析方法が存在するの
で、この解析方法に基づいて説明を行なう。IDT1
3,14の電極指に直交する方向を基準0(rad)と
し、そこから角度θ(rad)だけずれた方向に伝搬す
る表面波の音速をVsaw(θ)とする。さらに、V
saw(θ)をθに関し、二次関数Vsaw(θ)=V0{1
+(γ/2)θ2 }で近似する。γは、一般に、基板音
速の異方性指数と呼ばれているものであり、各種文献に
記載されているものである。例えば、STカット水晶基
板の場合、γ=0.378であることが知られている。
横モードの周波数を計算すると、γの値が−1よりも大
きい場合には、基本モードよりも高周波数側に横モード
が現れ、γが−1よりも小さい場合には、低周波数側に
横モードが現れることがわかる。
基本モードよりも高周波数側に横モードが発生すること
になる。実際に、Alからなる電極を有し、レイリー波
を用いた表面波装置では、横モードでは基本モードより
も高周波側に発生することが知られている。
るが、実際には基板上に電極が形成されている場合に
は、電極の質量等も考慮して音速異方性を検討しなけれ
ばならない。従って、以下においては、電極の質量をも
含めた音速異方性指数をγxとする。
ように考えられることを見いだした。すなわち、現在表
面波装置の電極材料として広く用いられている、Alを
主成分とする電極材料を用いた場合、電極の膜厚やメタ
ライゼイションレシオの影響によるγxの変化は軽微
で、基板自体のγから大きく変動することはなかった。
しかしながら、電極材料として、Taのような質量の大
きな材料を用いた場合には、電極の質量負荷作用によ
り、すなわち電極膜厚によっても、γxが大きく変動す
る。電極膜厚が薄い場合には、γx<−1であり、通過
帯域よりも低周波側に横モードが発生し、膜厚を厚くす
ると、γxは次第に大きくなり、γx>−1となり、通
過帯域よりも高周波側に横モードが発生すると考えられ
る。そして、γxが、γx<−1からγx>−1へ移行
するγx=−1近傍で横モードが発生し難くなるため、
3(a)に示したように、横モードによるリップルを低
減または完全に除去し得ると考えられる。
より、γxを評価した。すなわち、メタライゼイション
レシオd=0.75の場合に、規格化膜厚h/λを変化
させ、異方性指数γxを求めた。結果を図4に示す。
%近傍を境界にして、γxは、γx<−1の領域からγ
x>−1の領域に移ることが明らかとなった。そこで、
上記実験結果を考慮し、横モードにおきるリップルが事
実上除去されていると考えられる範囲すなわちリップル
が0.5dB以下となる範囲を求めた。その結果、メタ
ライゼイションレシオ=0.75の場合、規格化膜厚h
/λを、2.10%〜2.25%(γxで−1.10以
上、−0.96以下)とすればよいことがわかった。
メタライゼイションレシオdを種々異ならせ、メタライ
ゼイションレシオdが他の値の場合においても、同様に
有限要素法を用いて計算し、かつリップルが1.5dB
以下または0.5dB以下に低減し得る範囲を求めた。
結果を図5に示す。
帯域内リップルを1.5dB以下とするには0.6d+
1.50〜0.6d+1.87、また0.5dB以下に
するには、0.6d+1.65≦h/λ≦0.6d+
1.81の範囲とすればよいことがわかる。上記のよう
に、縦結合共振子型弾性表面波フィルタ11において
は、交差幅重み付け等を行なわずとも、メタライゼイシ
ョンレシオd及び規格化膜厚h/λを制御することによ
り、横モードに起因するリップルを効果的に抑圧し得る
ことがわかる。すなわち、縦結合共振子型弾性表面波フ
ィルタ11の小型化を妨げることなく、横モードに起因
するリップルを効果的に抑圧し得ることがわかる。
差幅の変化が、横モードリップルにどのように影響する
かを調べた。図6(a),(b)は、上記縦結合共振子
型弾性表面波フィルタ11において、上記実験例と同様
に、IDT13,14をTaで形成し、メタライゼイシ
ョンレシオd=0.75、h/λ=2.15%とし、電
極指交差幅を10λ、25λ、40λ、60λ、80λ
及び100λと変化させた場合の各減衰量周波数特性を
示す。なお、図6(a)及び(b)において、破線は、
右側の拡大されたスケールで示す減衰量周波数特性の要
部を示す。
交差幅を大きく変更しても横モードによるリップルが生
じていないことがわかる。図4及び図5では、IDTを
Taで形成したが、本発明においては、IDTを構成す
る電極材料はTaに限定されない。
DT13,14を形成し、図4及び図5と同様に、規格
化膜厚h/λを変化させ、異方性指数γxの変化を調べ
るとともに、メタライゼイションレシオdを種々異なら
せ、帯域内リップルを1.5dB以下または0.5dB
以下に低減し得る範囲を求めた。結果を図7及び図8に
示す。
ョンレシオd=0.75の場合、規格化膜厚h/λを、
1.3%〜1.75%とすれば、リップルを1.5dB
以下とすることができ、1.45%〜1.68%の範囲
とすれば、0.5dB以下とし得ることがわかった。ま
た、図8から明らかなように、メタライゼイションレシ
オdを変化させた場合の結果から、横モードリップルを
1.5dB以下とするには0.6d+0.85〜0.6
d+1.30の範囲とすればよく、0.5dB以下とす
るには0.6d+1.00〜0.6d+1.23の範囲
とすればよいことがわかった。
子型弾性表面波フィルタにつき説明したが、図9に示す
弾性表面波装置21のように縦結合共振子型弾性表面波
フィルタを2段縦続接続した構成であってもよい。ここ
では、1段目の縦結合共振子型弾性表面波フィルタが、
IDT23,24及び反射器25,26を有し、2段目
の縦結合共振子型弾性表面波フィルタが、IDT27,
28及び反射器29,30を有する。1段目及び2段目
の各縦結合共振子型弾性表面波フィルタは、図1に示し
た縦結合共振子型弾性表面波フィルタと同様に構成され
ており、IDT23のくし歯電極23a,23bのう
ち、一方のくし歯電極23bが、2段目の縦結合共振子
型弾性表面波フィルタのIDT28のくし歯電極28
a,28bのうちの一方のくし歯電極28aに電気的に
接続されている。
3,24,27,28を、上記実施例と同様に構成する
ことにより、横モードによるリップルを効果的に抑圧す
ることができる。
記のような縦結合共振子型弾性表面波フィルタに限定さ
れるものではない。すなわち、図10に示す1ポート型
弾性表面波共振子31においても、水晶基板32上に形
成されているIDT33を、上記実施例のIDT13,
14と同様に構成することにより、横モードによるリッ
プルを抑圧し得ることがわかる。なお、図10におい
て、33a,33bはくし歯電極を、34,35は反射
器を示す。
ポート型弾性表面波共振子が複数配置されており、複数
の弾性表面波共振子が電気的に接続されてフィルタ回路
を構成している様々な弾性表面波フィルタにも適用する
ことができる。例えば、図11に示すように、複数の直
列腕共振子S1〜S3と、並列腕共振子P1〜P4とを
有するラダー型フィルタを構成するように、複数の1ポ
ート型SAW共振子が水晶基板上において接続されてい
る構造であってもよい。同様に、複数の1ポート型弾性
表面波共振子がラチス型回路を構成するように接続され
ていてもよい。
は、Taにより形成されていたが、本発明においては、
IDTは、Alよりも質量の大きな適宜の金属を用いて
構成され得る。また、IDTは、単一の金属材料により
構成される必要は必ずしもなく、IDT全体がAlから
なるIDTに比べて質量が大きい限り、複数の電極層を
積層した構造であってもよい。その場合には、少なくと
も1個の電極層が、Alよりも質量の大きな金属または
合金からなる。
性表面波共振子や弾性表面波フィルタ等の様々な弾性表
面波装置に適用し得るものであるが、例えば弾性表面波
フィルタを構成した場合、移動体通信機の帯域フィルタ
として好適に用いることができる。
プレクサ162が接続されている。ディプレクサ162
と受信側ミキサ163との間に、RF段を構成する弾性
表面波フィルタ164及び増幅器165が接続されてい
る。さらにミキサ163にIF段の表面波フィルタ16
9が接続されている。また、ディプレクサ162と送信
側のミキサ166との間には、RF段を構成する増幅器
167及び弾性表面波フィルタ168が接続されてい
る。
フィルタ169として本発明に従って構成された弾性表
面波装置を好適に用いることができる。本発明に係る弾
性表面波装置では、上記のように、水晶基板上に、Al
よりも質量効果の大きな電極構造からなる少なくとも1
つのIDTを備えている構成において、横モードにおけ
るリップルが0.5dB以下となるように、IDTメタ
ライゼイションレシオd及び規格化膜厚h/λが所定の
範囲に制御されている。この場合、このような規格化膜
厚h/λを満たすIDTを形成しようとする場合、水晶
基板上に金属膜を形成した後、反応性イオンエッチング
またはリフトオフプロセスによりパターニングして少な
くとも1個のIDTを形成する方法が好適に用いられ
る。すなわち、Alを主体とする材料からなるIDTを
構成する場合、従来、ウエットエッチングによるパター
ニングが広く用いられていたが、ウエットエッチングは
超微細加工に不向きであり、上記特定の規格化膜厚h/
λを満たす線幅のIDTを形成することは不可能であ
り、反応性イオンエッチングまたはリフトオフプロセス
によるパターニング法を用いることにより、上記規格化
膜厚h/λを満たす線幅の電極指を高精度に形成するこ
とができる。
て、水晶基板を研磨することにより周波数調整を行なう
必要がある場合には、あるいはTa等の質量の大きな金
属からなる電極層の下地に他の電極層を形成する場合等
においては、Alよりも質量の大きな電極層による質量
負荷に対する水晶基板の研磨による影響あるいは下地の
電極層の質量負荷作用を総合的に考慮し、上記規格化膜
厚h/λと等価な膜厚にIDTの膜厚を設定すればよ
く、それによって上記実施例と同様に横モードによるリ
ップルを効果的に抑圧することができる。
横モードによるリップルが0.5dB以下となるよう
に、IDTのメタライゼイションレシオd及び規格化膜
厚h/λが所定の範囲に制御されている。従って、Al
に比べて質量負荷効果の大きな電極からなるIDTを用
い、電極指の対数を少なくして小型化を図った場合にお
いても、横モードに起因するリップルを効果的に抑圧す
ることができる。よって、小型であり、周波数特性に優
れた、SHタイプを利用した弾性表面波装置を提供する
ことができる。
晶基板上にTaからなる少なくとも1つのIDTが形成
されており、IDTの規格化膜厚h/λが、メタライゼ
イションレシオをdとしたときに、0.6d+1.65
〜0.6d+1.81の範囲とされているので、横モー
ドによるリップルを効果的に抑圧することができる。従
って、Taからなる少なくとも1つのIDTを形成し
て、該IDTの電極指の対数を少なくして小型化を図っ
た場合においても、横モードによるリップルを抑圧する
ことができるので、小型であり、かつ周波数特性に優れ
た、SHタイプの表面波を利用した弾性表面波装置を提
供することが可能となる。
晶基板上にWからなく少なくとも1つのIDTが形成さ
れており、IDTの規格化膜厚h/λが0.6d+0.
85〜0.6d+1.30の範囲とされているので、I
DTの電極指の対数を少なくして小型化を図った場合に
も、横モードによるリップルを低減することができ、小
型であり、周波数特性に優れた、SHタイプの周波数を
利用した弾性表面波装置を提供することができる。特
に、h/λを0.6d+1.00〜0.6d+1.23
の範囲としたときには、横モードによるリップルをより
効果的に抑圧することができる。
結合共振子フィルタを構成するように複数個形成した場
合には、小型であり、周波数特性に優れた縦結合共振子
フィルタを提供することができ、この場合、少なくとも
2段の縦結合共振子型フィルタが縦続接続されていても
よい。
型弾性表面波共振子を構成するように水晶基板上に配置
した場合には、本発明に従って小型であり、かつ周波数
特性に優れた1ポート型弾性表面波共振子を提供するこ
とができる。
成した構造において、各IDTが1ポート型弾性表面波
共振子を構成し、かつ水晶基板上においてラダー型フィ
ルタまたはラチス型フィルタ等を構成するように複数の
1ポート型弾性表面波共振子を電気的に接続した場合に
は、本発明に従って、小型であり、かつ周波数特性に優
れたラダー型フィルタやラチス型フィルタ等を提供する
ことができる。
によれば、水晶基板上にAlよりも質量負荷効果が大き
い金属膜を形成し、横モードにはリップルが1.0dB
以下となるメタライゼイションレシオd及び規格化膜厚
h/λを満たすように上記金属膜を反応性イオンエッチ
ングまたはリフトオフプロセスにより、パターニングす
ることにより少なくとも1個のIDTが形成される。従
って、本発明に従って、電極指の対数を少なくして、小
型化を図った場合でも、横モードリップルが抑圧された
弾性表面波装置を提供することができ、しかも、上記反
応性イオンエッチングまたはリフトオフプロセスにより
パターニングが行なわれるので、上記規格化膜厚h/λ
を満たすIDTを確実に形成することができる。
模式的平面図。
d=0.75とし、h/λが1.8%及び2.0%の場
合の弾性表面波装置の減衰量周波数特性を示す。
d=0.75とし、h/λが2.2%及び2.4%の場
合の弾性表面波装置の減衰量周波数特性を示す。
造における規格化膜厚h/λと異方性指数との関係を示
す。
し得る範囲を示す図であり、メタライゼイションレシオ
と規格化膜厚h/λとの関係を示す図。
5、h/λ=2.15%の場合に、電極指交差幅を10
λ、25λ及び40λとした場合の各減衰量周波数特性
を示す図であり、(b)は、メタライゼイションレシオ
=0.75、h/λ=2.15%の場合に、電極指交差
幅を60λ、80λ及び100λとした場合の各減衰量
周波数特性を示す図。
における規格化膜厚h/λと異方性指数との関係を示
す。
し得る範囲を示す図であり、メタライゼイションレシオ
と規格化膜厚h/λとの関係を示す図。
平面図。
フィルタ回路としての一例としてのラダー型回路を示す
回路図。
る通信機を説明するための概略ブロック図。
る通信機の他の例を説明するための概略ブロック図。
めの減衰量周波数特性を示す図。
Claims (17)
- 【請求項1】 水晶基板と、水晶基板上に形成されてお
り、Alに比べて質量負荷効果の大きな電極からなる少
なくとも1つのインターデジタルトランスデューサとを
備えるSHタイプの表面波を利用した弾性表面波装置で
あって、 前記インターデジタルトランスデューサのメタライゼイ
ションレシオをd、表面波の波長をλ、インターデジタ
ルトランスデューサの電極膜厚をhとしたときに、横モ
ードによるリップルが0.5dB以下となるように、メ
タライゼイションレシオd及びインターデジタルトラン
スデューサの規格化膜厚h/λが所定の範囲に制御され
ている、弾性表面波装置。 - 【請求項2】 前記インターデジタルトランスデューサ
が、Alよりも質量の大きな金属からなる少なくとも1
層の電極層を含む、請求項1に記載の弾性表面波装置。 - 【請求項3】 前記インターデジタルトランスデューサ
が、Alよりも質量の大きな単一の金属により構成され
ている、請求項1に記載の弾性表面波装置。 - 【請求項4】 水晶基板と、 前記水晶基板上に形成されており、Taからなる少なく
とも1つのインターデジタルトランスデューサとを備え
るSHタイプの表面波を利用した弾性表面波装置であっ
て、 前記インターデジタルトランスデューサのメタライゼイ
ションレシオをd、表面波の波長をλ、インターデジタ
ルトランスデューサの膜厚をhとしたときに、インター
デジタルトランスデューサの規格化膜厚h/λが、0.
6d+1.65〜0.6d+1.81の範囲にあること
を特徴とする、弾性表面波装置。 - 【請求項5】 水晶基板と、 前記水晶基板上に形成されており、Wからなる少なくと
も1つのインターデジタルトランスデューサとを備える
SHタイプの表面波を利用した弾性表面波装置であっ
て、 前記インターデジタルトランスデューサのメタライゼイ
ションレシオをd、表面波の波長をλ、インターデジタ
ルトランスデューサの膜厚をhとしたときに、インター
デジタルトランスデューサの規格化膜厚h/λが、 0.6d+0.85〜0.6d+1.30の範囲にある
ことを特徴とする、弾性表面波装置。 - 【請求項6】 前記h/λが、0.6d+1.00〜
0.6d+1.23の範囲にある、請求項5に記載の弾
性表面波装置。 - 【請求項7】 縦結合共振子フィルタを構成するよう
に、前記インターデジタルトランスデューサが複数個形
成されている、請求項1〜6のいずれかに記載の弾性表
面波装置。 - 【請求項8】 少なくとも2段の前記縦結合共振子フィ
ルタが縦続接続されている、請求項7に記載の弾性表面
波装置。 - 【請求項9】 1ポート型弾性表面波共振子を構成する
ように前記インターデジタルトランスデューサが前記水
晶基板上に配置されている、請求項1〜6のいずれかに
記載の弾性表面波装置。 - 【請求項10】 前記水晶基板上に、前記インターデジ
タルトランスデューサが複数個形成されており、各イン
ターデジタルトランスデューサが1ポート型弾性表面波
共振子を構成しており、かつ前記水晶基板上においてラ
ダー型フィルタを構成するように接続されている、請求
項1〜6のいずれかに記載の弾性表面波装置。 - 【請求項11】 前記水晶基板上に、前記インターデジ
タルトランスデューサが複数個形成されており、各イン
ターデジタルトランスデューサが1ポート型弾性表面波
共振子を構成しており、かつ前記水晶基板上においてラ
チス型フィルタを構成するように接続されている、請求
項1〜6のいずれかに記載の弾性表面波装置。 - 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかに記載の弾
性表面波装置を用いた通信装置。 - 【請求項13】 水晶基板を用意する工程と、 前記水晶基板上にAlよりも質量負荷効果が大きい金属
膜を形成する工程と、 弾性表面波装置のインターデジタルトランスデューサの
メタライゼイションレシオをd、膜厚をh、表面波の波
長をλとしたときに、横モードスプリアスが1.5dB
以下となるメタライゼイションレシオd及びインターデ
ジタルトランスデューサの規格化膜厚h/λを満たすよ
うに前記金属膜を反応性イオンエッチングまたはリフト
オフプロセスによりパターニングして少なくとも1個の
インターデジタルトランスデューサを形成する工程とを
備えることを特徴とする、SHタイプの表面波を利用し
た弾性表面波装置の製造方法。 - 【請求項14】 前記金属膜がTaからなり、かつ前記
規格化膜厚h/λが0.6d+1.50〜0.65d+
1.87の範囲となるように前記反応性イオンエッチン
グまたはリフトオフプロセスによりパターニングが行な
われて、少なくとも1個のインターデジタルトランスデ
ューサが形成される、請求項13に記載の弾性表面波装
置の製造方法。 - 【請求項15】 前記規格化膜厚h/λが0.6d+
1.65〜0.6d+1.81の範囲となるように前記
反応性イオンエッチングまたはリフトオフプロセスによ
る、パターニングが行なわれる、請求項14に記載の弾
性表面波装置の製造方法。 - 【請求項16】 前記金属膜がWからなり、前記規格化
膜厚h/λが0.6d+0.85〜0.6d+1.30
を満たすように、反応性イオンエッチングまたはリフト
オフプロセスによりパターニングが行なわれて、少なく
とも1個のインターデジタルトランスデューサが形成さ
れる、請求項13に記載の弾性表面波装置の製造方法。 - 【請求項17】 前記規格化膜厚h/λが0.6d+
1.00〜0.6d+1.23の範囲となるように前記
反応性イオンエッチングまたはリフトオフプロセスによ
るパターニングが行なわれる、請求項16に記載の弾性
表面波装置の製造方法。
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