JP2002134358A - 薄膜コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

薄膜コンデンサ及びその製造方法

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JP2002134358A
JP2002134358A JP2000328403A JP2000328403A JP2002134358A JP 2002134358 A JP2002134358 A JP 2002134358A JP 2000328403 A JP2000328403 A JP 2000328403A JP 2000328403 A JP2000328403 A JP 2000328403A JP 2002134358 A JP2002134358 A JP 2002134358A
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metal thin
capacitor
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JP2000328403A
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Naoki Matsushima
直樹 松嶋
Yasunori Narizuka
康則 成塚
Tetsuya Yamazaki
哲也 山▲崎▼
秋広 ▲劔▼持
Akihiro Kenmochi
Toshirou Teronai
俊郎 手呂内
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属薄膜を形成し、これを陽極酸化することに
より誘電体を形成する薄膜コンデンサにおいて、金属薄
膜とその下地絶縁層との密着性を確保し、かつコンデン
サ特性の良好な薄膜コンデンサ及びその製造方法の提
供。 【解決手段】絶縁層1上に第一の金属からなる第一金属
薄膜層2を形成し、その上層に陽極酸化可能な第二の金
属からなる第二金属薄膜層3を形成し、この第二金属薄
膜層の最表面を酸化し、その上層に第二の金属からなる
第三金属薄膜層4を形成し、これを陽極酸化することに
より薄膜コンデンサを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜コンデンサ及
びその製造方法に係わる。特に、高品質・高信頼性を有
する薄膜コンデンサ及びその製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】近年の電子回路においては、伝送する信
号の高速化、高集積回路の採用、あるいは機器の小型化
等により、年々高密度化が要求されている。このこと
は、電子回路を構成する電子部品に関しても同様であ
り、たとえばコンデンサについても、所定の静電容量を
維持しつつ小型化するという技術が要請されている。コ
ンデンサの静電容量は、周知の通り誘電体の誘電率及び
電極の面積に比例し、また誘電体の厚さに反比例する。
従って、コンデンサを小型化し、かつ所望の静電容量を
得る手段としては、誘電率の高い材料を選択すること
や、誘電体を薄膜化する、すなわち薄膜コンデンサとす
ること等が考えられる。薄膜コンデンサは、上記条件を
満たすことに加えて、電子回路基板等に内装した場合コ
ンデンサの占める面積が実質的に0となるため、電子回
路基板の高密度化に多大に寄与するという特徴も有す
る。
【0003】実際これまでに、薄膜コンデンサに関して
は、良好な特性を有する製品を作り出すために多岐に亘
ってその開発が行われてきた。その解の一つとして挙げ
られるのが、金属タンタル薄膜を陽極酸化により五酸化
タンタルとし、これを誘電体とする薄膜タンタル(T
a)コンデンサである。五酸化タンタルを誘電体として
用いたコンデンサは、誘電率が比較的高い、漏れ電流が
小さい、耐熱性が高いなど、高信頼性・品質安定性を有
するものである。薄膜Taコンデンサの開発に関する報
告例は多数あり、例えば特開平2−302016号公報
や特開平3−38809号公報等が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上に述べたように薄膜
コンデンサは、その利用方法の一つとして電子回路基板
内に内装される場合がある。電子回路基板は、主として
金属配線層と絶縁層により構成されるが、高周波の信号
を高速に伝送することが要求される電子回路基板では、
良好な電子回路特性を得るために、絶縁層材料として比
誘電率の低いポリイミド等の有機化合物を適用すること
が一般的となっている。すなわち、電子回路内にコンデ
ンサを搭載し、かつ高密度配線を有し、なおかつ良好な
回路特性を有する電子回路が要求された場合、絶縁層を
ポリイミドとし、コンデンサを薄膜Taコンデンサと
し、これを基板に内蔵する電子回路基板という形態とす
ることが一つの解となる。従って、このような高性能な
電子回路基板を得るためには、ポリイミド膜上に薄膜T
aコンデンサを形成可能なことが前提条件となる。
【0005】ところで、酸化タンタル誘電体の形成方式
には、主としてCVD等により酸化タンタルを直接成膜
する方法と、スパッタリング等により金属Ta薄膜を成
膜し、これの一部を陽極酸化することにより酸化タンタ
ル膜を形成する方法の二つに大別される。前者の場合、
酸化膜形成後の未処理の状態では漏れ電流が大きいた
め、これを低減するために高温(800℃以上)の熱処
理が必要となる。このような温度領域では、ポリイミド
は完全に熱分解してしまうので、このような形成方法は
適用することができない。従って、ポリイミド膜上に薄
膜Taコンデンサを形成する場合には、高温処理を経る
ことのない陽極酸化法を必然的に選択することになる。
【0006】しかしながら、陽極酸化による薄膜Taコ
ンデンサをポリイミド膜の上に形成する場合、すなわち
図5に示されるような薄膜コンデンサを形成する場合、
以下のような問題点が発生する。
【0007】上記構成では、ポリイミド膜上に金属Ta
薄膜が形成されることになるが、まず、ポリイミド膜と
Ta金属薄膜の接着性が極端に弱いことが欠点として挙
げられる。これは、Taが基本的に安定な元素であり、
有機物と化学的なボンディングを形成しにくいことに起
因する。ポリイミド膜表面に酸素プラズマ処理等を行
い、表面に官能基を形成することによってある程度は密
着性は確保されるが、それでも充分なものとは言えな
い。
【0008】密着性を確保する最も有効な手段として
は、ポリイミドにもTaにも良好な接着性を示す金属薄
膜を、接着層としてポリイミド膜/Ta薄膜界面に形成
することが考えられる。しかしながら、接着層として用
いられる、例えばCrやTiのような金属の上に、Ta
薄膜をそのまま形成すると、成膜条件によらず結晶構造
が体心立方格子薄膜、いわゆるα−Taと呼ばれる薄膜
が形成されてしまう。α−Taは、約20μΩcmと、
比抵抗が比較的低いという特徴を有するが、これを陽極
酸化した場合、漏れ電流が大きく、また耐熱性の低い、
信頼性に欠ける誘電体膜しか形成することができない。
一方、酸化物や有機物等の上に形成するとできるβ−T
aに関しては、その結晶構造は正方晶系(Tetrag
onalSystem)であり、比抵抗は約170μΩ
cmとやや高いが、これを陽極酸化することにより得ら
れる酸化膜は良好なコンデンサ特性を示す。
【0009】つまり、ポリイミド/Ta間密着性を確保
すると良好なコンデンサ特性が得られず、コンデンサの
特性を優先すると、ポリイミドとTaとの密着力が低く
なり、結果的に非常に信頼性の乏しい薄膜コンデンサが
得られるのみとなる。
【0010】上記問題に鑑み、本発明の目的は、金属薄
膜、特にTa薄膜を形成しこれを陽極酸化することによ
り誘電体を形成する薄膜コンデンサにおいて、該金属薄
膜とポリイミドを代表とする下地絶縁層との密着性を確
保し、なおかつ良好な特性を有する薄膜コンデンサ及び
その製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、陽極酸化可能な金属薄膜を形成し、該陽
極酸化可能な金属薄膜を陽極酸化することにより形成さ
れる酸化膜を誘電体とする薄膜コンデンサにおいて、表
面の少なくとも一部に絶縁体が露出する基板の表面上に
第一の金属からなる第一金属薄膜層を形成し、その上層
に陽極酸化可能な第二の金属からなる第二金属薄膜層を
形成し、該第二金属薄膜層の最表面を酸化し、その上層
に該第二の金属からなる第三金属薄膜層を形成し、該第
三金属薄膜層を陽極酸化することを特徴とする薄膜コン
デンサである。
【0012】また本発明は、前記陽極酸化可能な第二の
金属をTaとしたことを特徴とする薄膜コンデンサであ
る。
【0013】また本発明は、前記第一の金属をCr、T
i、Mo、W、Niのいずれかとしたことを特徴とする
薄膜コンデンサである。
【0014】また本発明は、前記絶縁体をポリイミド、
エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン、ならびにこれらの
類似体のいずれかとしたことを特徴とする薄膜コンデン
サである。
【0015】また本発明は、陽極酸化可能な金属薄膜を
形成し、該陽極酸化可能な金属薄膜を陽極酸化すること
により形成される酸化膜を誘電体とする薄膜コンデンサ
において、表面の少なくとも一部に絶縁体が露出する基
板の表面上に第一の金属からなる第一金属薄膜層を形成
し、その上層に陽極酸化可能な第二の金属からなる第二
金属薄膜層を形成し、該第二金属薄膜層の表面を酸化
し、その上層に該第二の金属からなる第三金属薄膜層を
形成し、該第三金属薄膜層を陽極酸化することを特徴と
する薄膜コンデンサの製造方法である。
【0016】また本発明は、前記陽極酸化可能な第二の
金属をTaとしたことを特徴とする薄膜コンデンサの製
造方法である。
【0017】また本発明は、前記第一の金属をCr、T
i、Mo、W、Niのいずれかとしたことを特徴とする
薄膜コンデンサの製造方法である。
【0018】また本発明は、前記絶縁体をポリイミド、
エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン、ならびにこれらの
類似体のいずれかとしたことを特徴とする薄膜コンデン
サの製造方法である。
【0019】また本発明は、前記第二金属薄膜層の最表
面を酸化する方法として、酸素プラズマ処理、UVオゾ
ン処理ならびに加熱処理のいずれかを用いたことを特徴
とする薄膜コンデンサの製造方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】(第1例)本発明の実施の形態の
第1例として、図1を用いて、本発明に係わる薄膜コン
デンサの製造工程を説明する。
【0021】まず、薄膜コンデンサの下地としての絶縁
層1を用意する(図1(a))。本実施例では、絶縁層
1としてポリイミド薄膜を用いた。その形成方法を以下
に記す。まず、セラミック等のリジッドな基板上にワニ
ス状のポリイミド前駆体をスピン塗布機により塗布す
る。この基板は、例えば、セラミック等からなる絶縁体
と、Cu等からなる導体により構成される配線導体を内
装する基板でも構わないし、また、導体の存在しない、
絶縁体のみの基板でも構わない。次に、基板を350℃
で1時間加熱処理をすることにより、ポリイミド前駆体
をイミド化し、ポリイミドとする。加熱条件としては、
急激に温度を上昇すると、ワニス中の溶媒の蒸発が不十
分なうちに硬化が始まり、その結果膨れ等の不良が発生
するため、これを回避するために、350℃に至るまで
の昇温過程における温度上昇速度を4℃/分とした。
【0022】本実施例では、絶縁層1としてポリイミド
を用いたが、エポキシ樹脂や、ベンゾシクロブデン、あ
るいはこれらの類似体でも構わない。また、本例では、
ポリイミドの形成方法としてワニス状の前駆体を熱硬化
する手法を用いたが、その以外の、例えばフィルム状の
ポリイミド膜を接着フィルム等を用いて基板に貼り付
け、圧着・加熱により形成するという方法を用いても構
わない。さらには、絶縁層の形成段階で、フォトリソグ
ラフィやレーザーアブレーション等を用いて、下層の基
板と電気的な接続をとるためのスルーホール等を形成し
ても構わない。
【0023】次に、絶縁層1の上に、第一金属薄膜層2
及び第二金属薄膜層3を形成する(図1(b))。本実
施例では、第一金属薄膜層2の材料にはCr薄膜を用
い、また第二金属薄膜層の材料にはTaを用いた。第一
金属薄膜層及び第二金属薄膜層の形成には、ともにプレ
ーナマグネトロン方式のスパッタリング装置を用い、こ
れら膜を同一バッチにて連続して成膜した。その条件を
以下に示す。まず、基板をスパッタリング装置に装着
し、真空引きを行った後、200℃で1時間保持し、ポ
リイミド膜に吸着した水分等を除去する。その後、Ar
ガス圧力0.2Pa、スパッタ電力1kW、膜厚10n
mの条件にてCr薄膜を成膜した。第一金属薄膜層2
は、ポリイミド膜とその後成膜するTa薄膜との密着性
を確保することが目的であり、電気的な特性等は要求さ
れない。従って、ポリイミド及びTaとの密着力を向上
することができれば、ピンホールや断切れ等の膜欠陥が
あっても構わない。従って、その膜厚は、作業効率等も
考慮に入れると可能なかぎり薄い方が良く、5〜50n
mの範囲が望ましい。Cr薄膜を成膜した後に、第二金
属薄膜層3としてのTa薄膜を成膜する。その条件は、
Arガス圧力0.2Pa、スパッタ電力3kW、膜厚3
00nmとした。このときのTa薄膜は、Cr薄膜が下
地であるために、成膜条件によらずα−Ta、すなわち
結晶構造が体心立方格子である薄膜となる。このα−T
a膜は、前にも述べた通り、その陽極酸化膜の誘電特性
は良好でないものの、比抵抗が約20μΩcmと比較的
低いという特徴を持つ。従って、α−Ta膜を下部電極
とする本発明による薄膜コンデンサは、その下部電極の
電気抵抗が小さくなるというメリットを持つことにな
る。なお、第一金属薄膜層2の材料は、Cr以外の、T
i、Mo、W、Ni等の金属でも構わない。また、第一
金属薄膜層2及び第二金属薄膜層3形成方法について
も、スパッタ以外の、例えば蒸着等の方法を用いても構
わない。
【0024】次に、この第二金属薄膜層3の表面に酸化
処理を施し、表面に酸化タンタル膜を形成する(図1
(c))。本実施例では、酸化処理法として、酸素プラ
ズマ処理を用いた。その条件としては、RF電力800
W、酸素ガス圧力100Pa、処理時間1分とした。本
処理により、第二金属薄膜層3の表面には、極薄の金属
酸化膜11が形成される。この工程は、α−Ta膜から
なる第二金属薄膜層3の最表面を酸化させることによ
り、その上層に形成される第三金属薄膜層4としてのT
a薄膜をβ−Ta膜とすることが目的である。従って、
この工程に要求される仕様は第二金属薄膜層3表面上に
金属酸化膜11がわずかにでも形成されているというこ
とのみで、膜厚・膜質が均一性を有することや、金属酸
化膜中の酸素欠損等の欠陥を回避すること等は一切要求
されない。なお、酸化処理方法としては、酸素プラズマ
処理以外の、例えばUVオゾン処理や、熱酸化処理を用
いても構わない。
【0025】しかる後に、酸化処理を施した第二金属薄
膜層3の上層に再びTa薄膜を成膜し、第三金属薄膜層
4を形成する(図1(d))。成膜装置としては、第一
・第二金属薄膜層の形成工程と同一のスパッタリング装
置を用いた。その成膜条件は以外の通りである。まず、
スパッタリング装置の真空室に基板を投入し、真空引き
を実施した後、第一・第二金属薄膜層形成工程と同様
に、200℃、1時間の加熱処理を施すことにより吸着
ガスを放出する。次に、Arガス圧力0.2Pa、スパ
ッタ電力3kWの条件によりTa膜を堆積する。Taの
膜厚は、薄膜コンデンサに要求される静電容量によって
決まるが、これが確実にショートを起こさない膜厚であ
ることが必要条件となる。本実施例では、静電容量値と
して0.5nF/mm2という値を目標にした。酸化タ
ンタルの比誘電率は約22であり、これらから換算する
と、酸化膜の膜厚は約400nmとなる。400nmの
酸化膜を得るためには、およそ200nmの金属Taを
必要とする。また、酸化膜の膜厚は200nm以上であ
れば、ショートを起こす確率がかなり低くなる。以上の
ことから、第三金属薄膜層4としてのTa薄膜全てが確
実に酸化されることも考慮に入れて、第三金属薄膜層4
の膜厚は200nmに設定した。
【0026】第三金属薄膜層4として形成されるTa膜
は、下地としての第二金属薄膜層3の表面上に極薄の酸
化膜11が存在することにより、その結晶構造は正方晶
系、いわゆるβ−Taとなる。但し、スパッタリング装
置の真空室内に不純物ガスが多量存在したり、あるい
は、成膜温度を200℃程度の高温にすると、膜中にα
−Taが混在することがあり、コンデンサ特性が劣化す
る。従って、本実施例では、α−Ta膜が形成されるこ
とを回避するために、第三金属薄膜層4としてのTa薄
膜を成膜する際には、その条件として成膜前到達真空度
1×10~4Pa以下、成膜開始温度50℃以下という項
目も付け加えた。
【0027】このようにして形成された金属薄膜積層膜
に対し、陽極酸化処理を施し、五酸化タンタル膜5を形
成する(図1(e))。陽極酸化の条件としては以下の
通りである。まず、電解液には0.1vol%リン酸水
溶液を用い、対向陰極はPtとした。試料に流す電流の
電流密度は0.5mA/cm2とし、電圧は240V、
定電圧での保持時間は1時間とした。この条件により、
膜厚400nmの陽極酸化膜が形成される。
【0028】陽極酸化工程が完了した後に、上部電極層
6を形成する(図1(f))。上部電極の材料には、N
i−Cr膜とAuの積層膜を用い、またその形成方法に
は真空蒸着を使用した。Ni−Cr膜は、陽極酸化膜と
Auとの接着性を確保するための接着層の役割を担って
おり、その膜厚は10nmとした。また、上部電極とし
てAuを選択したのは、陽極酸化膜5の酸素が上部電極
に移動することを回避するためである。Auの膜厚は5
00nmとした。なお、上部電極6に関しては、その材
料として上記以外の、例えばTiやCr、あるいはCr
/Cu/Cr等の積層膜としても構わない。また、形成
方法についても、蒸着以外の、例えばスパッタリング等
を用いても構わない。但し、陽極酸化膜5中の酸素の移
動の回避、陽極酸化膜5の物理的なダメージの低減等を
考慮に入れると、本実施例における形成方式が最も望ま
しい。
【0029】最後に、以上の通り形成した積層膜に対
し、上部電極のパターニング、陽極酸化膜のパターニン
グ、下部電極としての金属Ta薄膜及び第一金属層のパ
ターニングを連続して行う。加工方法はそれぞれ以下の
通りである。Ni−Cr/Auは王水をエッチング液と
したウェットエッチング、陽極酸化膜はClをエッチン
グガスとしたドライエッチング、下部電極としてのCr
/Ta膜は、フッ硝酸水溶液をエッチング液としたウェ
ットエッチングで、いずれの工程においても、マスク材
としてレジストを用いた。
【0030】以上の工程を経ることにより、図1(g)
に示すような、薄膜コンデンサ素子が完成する。このよ
うにして完成した薄膜コンデンサは、ポリイミド膜に対
して高密着性を有し、かつ低電気抵抗の下部電極を有
し、なおかつコンデンサとしての特性が良好な誘電体を
有するものである。
【0031】(第2例)本発明の実施の形態を第2例と
して、図2を用いて、本発明に係わる電子回路基板の製
造工程を説明する。
【0032】本実施例の工程は、第1例における図1
(d)までは第1例と同一のものである。
【0033】本実施例の特徴は、陽極酸化膜5を部分的
に形成することにある。第三金属薄膜層4を形成した
後、まず、その上層に、レジストパターン12を形成す
る(図2(e))。レジスト12は、コンデンサの誘電
体としての陽極酸化膜の不要な部分に形成する。本実施
例では、レジスト材として、環化ゴム系のネガ型レジス
トを用いたが、所望のコンデンサパターンに加工できる
解像度と陽極酸化に用いる電解液に対する耐性を有して
いれば、これ以外のレジスト材でも構わない。
【0034】しかる後に、陽極酸化処理によりレジスト
が形成された以外の部分に陽極酸化膜5を形成する(図
2(f))。陽極酸化の条件は、基板表面にレジスト1
2が形成されている以外は、実施例1と同一である。陽
極酸化工程が完了した後レジスト12を除去すれば、図
2(g)の形状となる。
【0035】この後は、上部電極層6を形成し、上部電
極パターニング、下部電極パターニングと続き、実施例
1と同様の完成形である図2(h)に至る。
【0036】このようにして完成した薄膜コンデンサ
は、第1例と同様、下地ポリイミド膜に対して高密着性
を有し、かつ良好なコンデンサ特性を有するものであ
る。
【0037】(第3例)本発明の実施の形態の第4例と
して、本発明よる薄膜コンデンサにおける下地ポリイミ
ド/Ta薄膜界面の密着性と、従来発明によるそれとの
比較評価を行った結果を以下に示す。
【0038】密着性の評価方式としては、薄膜の表面に
対して垂直方向に引っ張ることによって界面密着強度を
測定する、いわゆる引張試験法を用いた。図3に本測定
の模式図を示す。基板21上にポリイミド22/金属薄
膜23積層膜を形成し、その上部に接着剤24を介して
プルスタッド25を取り付ける。このプルスタッドを引
っ張り、そのとき破壊を起こした箇所及び破壊強度値に
よって、薄膜の密着力を評価する。
【0039】評価対象とした試料は、(a)ポリイミド
/Ta(ポリイミド表面:無処理)(b)ポリイミド/
Ta(ポリイミド表面:酸素プラズマ処理)(c)ポリ
イミド/Cr/Taの3通りとした。(a)及び(b)
は従来技術、(c)は本発明にそれぞれ相当する。各薄
膜の形成条件は、第1例に記載のものと同一である。ま
た、(b)の酸素プラズマ処理は、RF電力800W、
酸素ガス圧力100Pa、処理時間4分という条件で実
施した。このポリイミド表面への酸素プラズマ処理は、
ポリイミド表面に官能基を生成させることによりポリイ
ミド/Ta間の密着性を向上させることを目的としてい
る。
【0040】それぞれの密着強度分布を表したヒストグ
ラムを図4に示す。まず、従来技術による試料(a)
は、全数がポリイミド/Ta間で剥離を起こしており、
その強度は他の試料に比べて非常に小さい値を示してい
る。また、酸素プラズマ処理を施した試料(b)につい
ても、若干密着強度は向上したものの、やはり全数薄膜
剥離を起こしている。これに対し、本発明による試料
(c)は、従来技術による試料と比較して非常に高い値
を示しており、また破壊箇所が全て接着剤となった。こ
れはすなわち、Crの存在により、ポリイミド/Ta界
面の密着力は飛躍的に向上し、その密着強度は、測定に
より得られたものよりも大きい値であることを意味して
いる。
【0041】
【発明の効果】本発明は、ポリイミドからなる絶縁層上
に接着性の良好な金属薄膜を形成し、その上層にTaか
らなる金属薄膜層を形成し、その表面を酸化処理した上
に、さらにTaからなる金属薄膜層を形成し、これを陽
極酸化することによって誘電体を形成することにより、
ポリイミドと下部電極としてのTa膜との界面の密着性
を確保し、かつ良好な漏れ電流が小さく、また耐熱性の
高い誘電体からなり、かつ低抵抗の下部電極を有する、
高品質な薄膜コンデンサを形成できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる薄膜コンデンサの第一の実施の
形態例及びその製造工程を示す図である。
【図2】本発明に係わる薄膜コンデンサの第二の実施の
形態例及びその製造工程を示す図である。
【図3】ポリイミド/Ta界面の密着強度試験の模式図
を表す図である。
【図4】ポリイミド/Ta界面の密着強度の界面処理依
存性を表す図である。
【図5】従来技術による薄膜コンデンサの形態例を示す
図である。
【符号の説明】
1…絶縁層(ポリイミド)、2…第一金属薄膜層、3…
第二金属薄膜層(Ta)、4…第三金属薄膜層(T
a)、5…陽極酸化膜(五酸化タンタル)、6…上部電
極、7…従来技術による下部電極層(Ta)、11…第
二金属薄膜層表面上の金属酸化膜、12…レジスト、2
1…基板、22…ポリイミド、23…金属薄膜(Taあ
るいはCr/Ta)、24…接着剤、25…プルスタッ
ド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山▲崎▼ 哲也 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 ▲劔▼持 秋広 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社日 立製作所エンタープライズサーバー事業部 内 (72)発明者 手呂内 俊郎 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社日 立製作所エンタープライズサーバー事業部 内 Fターム(参考) 5E082 AB03 BC39 EE05 EE11 EE23 EE37 FF05 FG03 FG27 FG42 FG56

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極酸化可能な金属薄膜を形成し、該陽
    極酸化可能な金属薄膜を陽極酸化することにより形成さ
    れる酸化膜を誘電体する薄膜コンデンサにおいて、表面
    の少なくとも一部に絶縁体が露出する基板の表面上に第
    一の金属からなる第一金属薄膜層を形成し、その上層に
    陽極酸化可能な第二の金属からなる第二金属薄膜層を形
    成し、該第二金属薄膜層の最表面を酸化し、その上層に
    該第二の金属からなる第三金属薄膜層を形成し、該第三
    金属薄膜層を陽極酸化することを特徴とする薄膜コンデ
    ンサ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の薄膜コンデンサにおい
    て、陽極酸化可能な第二の金属をTaとしたことを特徴
    とする薄膜コンデンサ。
  3. 【請求項3】 請求項1及び2に記載の薄膜コンデンサ
    において、第一の金属をCr、Ti、Mo、W、Niの
    いずれかとしたことを特徴とする薄膜コンデンサ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3に記載の薄膜コンデンサに
    おいて、該絶縁体をポリイミド、エポキシ樹脂、ベンゾ
    シクロブテン、ならびにこれらの類似体のいずれかとし
    たことを特徴とする薄膜コンデンサ。
  5. 【請求項5】 陽極酸化可能な金属薄膜を形成し、該陽
    極酸化可能な金属薄膜を陽極酸化することにより形成さ
    れる酸化膜を誘電体とする薄膜コンデンサにおいて、表
    面の少なくとも一部に絶縁体が露出する基板の表面上に
    第一の金属からなる第一金属薄膜層を形成し、その上層
    に陽極酸化可能な第二の金属からなる第二金属薄膜層を
    形成し、該第二金属薄膜層の表面を酸化し、その上層に
    該第二の金属からなる第三金属薄膜層を形成し、該第三
    金属薄膜層を陽極酸化することを特徴とする薄膜コンデ
    ンサの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の薄膜コンデンサの製造
    方法において、陽極酸化可能な第二の金属をTaとした
    ことを特徴とする薄膜コンデンサの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5及び6に記載の薄膜コンデンサ
    の製造方法において、第一の金属をCr、Ti、Mo、
    W、Niのいずれかとしたことを特徴とする薄膜コンデ
    ンサの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5〜7に記載の薄膜コンデンサの
    製造方法において、該絶縁体をポリイミド、エポキシ樹
    脂、ベンゾシクロブテン、ならびにこれらの類似体のい
    ずれかとしたことを特徴とする薄膜コンデンサの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項5〜8に記載の薄膜コンデンサの
    製造方法において、第二金属薄膜層の最表面を酸化する
    方法として、酸素プラズマ処理、UVオゾン処理ならび
    に加熱処理のいずれかを用いたことを特徴とする薄膜コ
    ンデンサの製造方法。
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