JP2002134312A - 磁性材料とその磁性材料を用いたコイル部品 - Google Patents

磁性材料とその磁性材料を用いたコイル部品

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度によるインダクタンス変化や物理的強度
変化、および、圧縮応力に対するインダクタンス変化が
従来の磁性材料に比べて遜色なく、かつ、高周波領域に
おいて品質係数であるQ値が充分に高い磁性材料と、高
周波用のコイル部品を提供する。 【解決手段】 主成分として酸化鉄をFe23換算で4
5.0〜51.0モル%の範囲、酸化銅をCuO換算で
0.5〜15.0モル%の範囲、酸化亜鉛をZnO換算
で0〜33.0モル%の範囲、酸化マグネシウムをMg
O換算で0.1〜5.0モル%、および、残部酸化ニッ
ケルを含有し、この主成分に対して副成分として酸化コ
バルトをCo34換算で0.05〜1.0重量%の範
囲、酸化ビスマスをBi23換算で0.5〜7.0重量
%の範囲、酸化ケイ素をSiO2換算で0〜5.0重量
%の範囲で含有する磁性材料とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁性材料、特にNi
CuZnMg系フェライト材料に係り、また、この磁性
材料を用いたコイル部品、特に高周波用コイル部品に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種電子機器の小型化、軽量化に
伴い、それらを構成する電子部品についても小型化、軽
量化が進んでおり、コイル部品、トランス等も例外では
ない。また、電子機器の高周波化も進んでおり、特に移
動体通信機器においては、10MHz以上の周波数帯で
コイル部品等が使用されており、このため、小型で高周
波領域まで動作し、高いQ値をもつコイル部品が望まれ
ている。
【0003】高周波用コイル部品としては、磁性材料か
らなるコイル用のコアにワイヤを巻き付けたコイル部品
が主に使用される。使用するコアは、磁性材料にバイン
ダーを加えて造粒した後に所定の形状に形成、加工し、
これを空気中で850〜1300℃程度で焼成したもの
(焼成後に加工する場合もある)であり、これにAu,
Ag,Cu,Fe,Pt,Sn,Ni,Pb,Al,C
o、または、これらの合金等からなるワイヤを巻き付け
てコイル部品が作製される。
【0004】高周波用コイル部品においては、磁性体層
(コア)の比抵抗が高いことが要求される。すなわち、
コアにワイヤを用いて巻線を施す際に、比抵抗が低けれ
ばボビン等の絶縁物が必要となり、コイル部品の小型化
の障害となる。また、めっきによりコアに電極を形成す
る場合に、コアの比抵抗が低いと、めっきの信頼性が低
下し、さらに、コアの素地までめっきされるおそれがあ
り、コイル部品としての信頼性も著しく低下する。
【0005】そこで、高周波用コイル部品に用いるコア
を構成するための磁性材料として、NiCuZn系フェ
ライトが一般に用いられる。その理由は、このNiCu
Zn系フェライトが立方晶の結晶構造であり、比抵抗が
高く、一般に透磁率を有しており、非磁性体をコアとし
て用いたコイル部品や空芯コイル部品と同等のインダク
タンスを得るのであれば、これらに比べて巻線数を減ら
すことができるので、素子の小型化に有利であり、ま
た、高周波領域まで高いQ値を得ることができるという
特徴を有している。
【0006】また、インダクタンスについては、一般に
磁性材料は温度特性(温度変動によりインダクタンスが
変化する)を有する。このことから、磁性材料を用いた
コイル部品は、使用環境によりインダクタンスの値が影
響されることになり、温度に対するインダクタンスの変
化が小さいことがコイル部品として望まれている。
【0007】また、磁性材料を用いたコイル部品におい
ては、磁性材料に加わる外部からの応力に対し、インダ
クタンスの変化が少ないことが望ましい。近年、フェラ
イトからなるコアにワイヤにより巻線を施し、耐熱性樹
脂によりモールド処理したコイル部品が実用化されてい
る。この耐熱性樹脂は、その硬化時において収縮を生
じ、それによって応力がコアに加わる。このようにコア
に応力が加わることで、インダクタンスが減少し、コイ
ル部品としての信頼性が低下する。
【0008】樹脂モールドタイプのコイル部品を構成す
るフェライトコアが、樹脂からの圧縮応力の影響を受け
ないことを目的として、特許第2679716号公報に
は、Fe23:46.5〜49.5モル%、CuO:5
〜10モル%、ZnO:2〜30モル%、および、残部
酸化ニッケルからなるNi−Zn−Cu系フェライト材
料に、Co34:0.05〜2.0重量%、Bi23
3〜5重量%、SiO 2:0.1〜2.0重量%添加し
たフェライトコア焼成用材料が開示されている。また、
特開平4−323806号公報には、結晶組織の平均粒
径が20〜60μmである耐熱衝撃フェライト材料が開
示されている。さらに、特開平9−263443号公報
には、Fe23:38〜44モル%、NiO:47〜5
3モル%、CuO:0.1〜2モル%、MgO:5〜9
モル%からなる主成分100重量部に、Bi23:5〜
9重量部、SiO2:5〜9重量部、ZrO2:0.5〜
1.5重量部を添加したフェライト材料が開示されてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】一般に、磁性材料を用
いたコイル部品の品質を量る因子として、品質係数:Q
値が挙げられる。コイル部品のリアクタンス成分と交流
抵抗成分の位相角をθ(deg)とすると、90(de
g)−θ(deg)で表される損失角δ(deg)を用
いて表される損失:tanδの逆数であり、Q=1/t
anδで表される。したがって、コイル部品としての信
頼性および性能の向上には、損失を低下させること、す
なわち、Q値の向上が望まれる。
【0010】しかし、上記の特許第2679716号公
報には、10MHz以下のQ値に関する記載と、樹脂モ
ールド前後におけるQの変化率が小さい旨の記載はある
が、10MHzを超える高周波領域におけるQ値に関す
る記載はなく、10MHzを超える高周波領域でのQ値
は小さく、高周波用コイル部材に用いるフェライト材料
としては、不充分なものであった。
【0011】また、特開平4−323806号公報に開
示された耐熱衝撃フェライト材料は、結晶組織の平均粒
径が20〜60μmと大きいため、温度変動に伴う透磁
率変化が大きなものであった。さらに、特開平9−26
3443号公報に開示されたフェライト材料は、高周波
領域におけるQ値が大きいものの、温度変動に伴う透磁
率変化が大きなものであった。
【0012】本発明は、上記のような実情に鑑みてなさ
れたものであり、温度によるインダクタンス変化や物理
的強度変化、および、圧縮応力に対するインダクタンス
変化が従来の磁性材料に比べて遜色なく、かつ、高周波
領域において品質係数であるQ値が充分に高い磁性材料
と、高周波用のコイル部品を提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の磁性材料は、酸化鉄の含有量がFe
23換算で45.0〜51.0モル%の範囲、酸化銅の
含有量がCuO換算で0.5〜15.0モル%の範囲、
酸化亜鉛の含有量がZnO換算で0〜33.0モル%の
範囲、酸化マグネシウムの含有量がMgO換算で0.1
〜5.0モル%、および、残部酸化ニッケルからなる主
成分を含有し、さらに、該主成分に対して副成分として
酸化コバルトをCo34換算で0.05〜1.0重量%
の範囲、酸化ビスマスをBi23換算で0.5〜7.0
重量%の範囲、酸化ケイ素をSiO2換算で0〜5.0
重量%の範囲で含有するような構成とした。また、本発
明のコイル部材は、上記の磁性材料からなるコアを備え
るような構成とした。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明は、主成分として磁性材料に含有さ
せる酸化マグネシウムの含有量を検討した結果、所定の
範囲の酸化マグネシウム含有量において高周波領域のQ
値が高く、かつ、温度によるインダクタンス変化や物理
的強度変化、および、圧縮応力に対するインダクタンス
変化が従来の磁性材料に比べて遜色ない磁性材料が得ら
れることを見出してなされたものである。
【0015】すなわち、本発明のフェライト材料は、主
成分に占める酸化鉄の含有量がFe 23換算で45.0
〜51.0モル%、好ましくは46.0〜49.5モル
%の範囲、酸化銅の含有量がCuO換算で0.5〜1
5.0モル%、好ましくは1.0〜14.0モル%の範
囲、酸化亜鉛の含有量がZnO換算で0〜33.0モル
%、好ましくは1.0〜31.0モル%の範囲、酸化マ
グネシウムの含有量がMgO換算で0.1〜5.0モル
%、好ましくは1.0〜4.0モル%の範囲であり、残
部は酸化ニッケル(好ましくはNiO換算で10.0〜
51.0モル%の範囲)である。さらに、この主成分に
対して副成分として酸化コバルトをCo34換算で0.
05〜1.0重量%、好ましくは0.1〜0.8重量%
の範囲、酸化ビスマスをBi23換算で0.5〜7.0
重量%、好ましくは0.8〜6.0重量%の範囲、酸化
ケイ素をSiO2換算で0〜5.0重量%、好ましくは
0.2〜3.0重量%の範囲で含有するものである。そ
して、本発明のコイル部材は、上記の本発明の磁性材料
からなるコアを備えるものである。
【0016】尚、本発明の磁性材料は、透磁率、見かけ
密度、Q値、温度によるインダクタンス変化、圧縮応力
に対するインダクタンス変化等の特性に影響を及ぼさな
い程度であれば、不純物として、P,Al,B,Mn,
Ba,Sr,Pb,W,V,Mo等を含有してもよい。
【0017】次に、本発明の磁性材料の組成の各成分範
囲の限定理由を説明する。 (酸化鉄の含有量)Fe23が45.0モル%未満であ
ると、見かけ密度に低下がみられる。一方、Fe23
化学量論組成を超えた範囲から、空気中の焼成ではFe
34の析出によって見かけ密度の低下およびコアとして
の比抵抗の低下が始まる。このFe 34の析出が顕著に
なるのは、分析機器の精度にもよるが、Fe23が51
モル%を超えた範囲からである。
【0018】(酸化銅の含有量)見かけ密度は、コアの
物理的強度に大きく影響する。そこで、実用上問題がな
い値以上の物理的強度を得る必要があるが、一般にMg
−Ni−Cu−Zn系のフェライトにおいては、見かけ
密度5.0g/cm3以上が物理的強度においても問題
がないとされる。この見かけ密度を管理する上で、主成
分において最も大きな要因となるのがCuO量である。
このCuO量が増加することにより、低温焼成での見か
け密度を向上させることができ、CuOが0.5モル%
未満であると、充分な低温焼結性が得られない。また、
CuOが15.0モル%を超えると、コアの比抵抗が低
くなり好ましくない。
【0019】(酸化亜鉛)初透磁率は、使用する周波数
により適宜決定すればよいが、初透磁率を管理する上で
最も大きな要因となるのがZnO量である。所望の初透
磁率が低い場合はZnO量を0とし、より高い初透磁率
を得たい場合は漸次ZnO量を増加させることができ
る。但し、ZnO量が33.0モル%を超えると、10
MHzを超える高周波領域においてQ値の低下が起こ
り、さらに、キュリー点が低くなることから、ZnOの
含有量は実用上33.0モル%が上限である。
【0020】(酸化マグネシウム)高周波領域でのQ値
の制御を行う上で要因となるのがMgO量である。主成
分におけるMgO量を0.1モル%以上で増加させるこ
とにより、徐々にであるが初透磁率が低下し、高周波領
域においてのQ特性が向上する。但し、MgOが0.1
モル%未満であると、Q値が向上せず、また、 MgO
が5.0モル%を超えると、温度変化による透磁率変化
が大きくなり好ましくない。
【0021】(酸化ニッケル)本発明の磁性材料では、
主成分の残部としてNiOを含有するものとするが、こ
れは諸特性を他の成分により調整し、その結果、残部と
するものである。NiOを含有していない場合、コアの
比抵抗が低下を来たし好ましくない。
【0022】(副成分である酸化コバルト)MgOとと
もにQ値の向上の要因となるのがCo34であるが、主
成分に対する含有量が0.05重量%未満であると、Q
値が低くなり、1.0重量%を超えると、温度変動によ
るインダクタンス変化が著しく大きくなり好ましくな
い。
【0023】(副成分である酸化ビスマス)Bi23
含有量が増加することにより、低温での焼成において焼
結体密度が向上する。これは、主成分として用いるCu
Oと同様であるが、CuO量の増加により初透磁率やQ
値の低下が生じる場合、適宜Bi23量を調整すること
により、5g/cm3以上の見かけ密度を得ることが可
能となる。Bi23が0.5重量%未満であると、低温
焼結性が悪く、7.0重量%を超えると、仮焼において
粒成長が進みすぎ、次工程での粉砕が困難となり、本焼
成での緻密化に支障を来たす。
【0024】(副成分である酸化ケイ素)物理的強度を
向上させ、温度変動によるインダクタンス変化を減少さ
せる大きな要因となるのがSiO2量であり、5.0重
量%を超えると、低温焼結性が悪くなり好ましくない。
【0025】上述のような本発明の磁性材料は、以下の
ようにして製造することができる。まず、焼成後の組成
が上記の範囲となるように秤量した酸化鉄、酸化銅、酸
化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化コバル
ト、酸化ビスマス、酸化ケイ素を含有した原材料を、ボ
ールミル、サンドミル、振動ミル、湿式メディア攪拌型
ミル等を用いて混合粉砕した後、湿式の場合は乾燥し、
仮焼きを行う。その後、ボールミル、サンドミル、振動
ミル、湿式メディア攪拌型ミル等を用いて粉砕し、湿式
の場合は更に乾燥して、磁性材料を得ることができる。
【0026】また、本発明のコイル部品は、本発明の磁
性材料の粉体にバインダーを加え、造粒した後に所望の
形状に成形加工し、空気中で焼成(例えば、850〜1
300℃)して作製したコアに、Au,Ag,Cu,P
t,Sn,Ni,Pb,Al,Co等の金属、あるい
は、これらの合金等からなるワイヤを巻き付けて製造す
ることができる。尚、コアの加工は焼成後に行ってもよ
い。
【0027】
【実施例】次に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に
詳細に説明する。
【0028】[実施例1]磁性材料の作製 まず、主成分としてFe23、CuO、ZnO、MgO
およびNiOを下記の表1に示される量比(モル%)と
なるように秤量し、この主成分組成に対して、Co
34、Bi23、SiO2を下記の表1に示す量比(重
量%)となるように秤量した。尚、MgOは水酸化マグ
ネシウム(MgOH)として添加した。
【0029】次に、これらの原料をボールミルで5時間
湿式混合した。その後、得られた原料混合粉末を空気中
750〜900℃で2時間仮焼し、この仮焼成粉をボー
ルミルにて比表面積が3m2/gとなるように混合粉砕
し、磁性材料(試料1〜17、比較試料1〜5)を得
た。尚、比表面積は、(株)島津製作所製流動式比表面
積自動測定装置 フローソーブ2300型でBET一点
法により測定した。
【0030】試料1〜6については、Mg−Ni−Cu
−Zn系のフェライト材料に、副成分としてCo34
Bi23を含有する磁性材料とした。また、試料7〜1
5については、Mg−Ni−Cu−Zn系のフェライト
材料に、副成分としてCo34とBi23およびSiO
2を含有する磁性材料とした。さらに、試料16,17
については、特許第2679716号公報に開示されて
いる実施例において、本発明のMgOの含有範囲内とな
るようにNiOと置換する形でMgOを主成分に含有さ
せた磁性材料とした。
【0031】一方、比較試料については、Ni−Cu−
Zn系のフェライト材料に、副成分としてCo34とB
23およびSiO2を含有する磁性材料とした。特
に、比較試料1については試料7、比較試料2について
は試料10、比較試料3については試料13のそれぞれ
から、MgOをNiOで置換して、MgOを主成分に含
有しない磁性材料とした。また、比較試料4、5は、特
許第2679716号公報に開示されている実施例と同
様とした。
【0032】
【表1】
【0033】評価用試料の作製 得られた各磁性材料(試料1〜17、比較試料1〜5)
100重量部に、バインダーとして、鹸化度98.5、
重合度2400のポリビニルアルコール(クラレ(株)
製PVA124)の3重量%水溶液を10重量部添加し
て造粒した。こうして得られた顆粒を用いて、後述の測
定条件等に合わせて所定の形状に成形し、空気中で86
0〜1020℃で焼成してコアを作製した。
【0034】磁性材料の評価 上記の各磁性材料(試料1〜17、比較試料1〜5)の
コアについて、下記の測定方法により、見かけ密度、初
透磁率、品質係数であるQ値、温度変動によるインダク
タンス変化、抗折強度、および、外部応力に対するイン
ダクタンス変化を測定して、下記の表2〜6に示した。
【0035】(見かけ密度の測定)空気中で所定の温度
(860℃、900℃、940℃、980℃、1000
℃、1020℃の6種)で焼成し、得られた焼結体の寸
法から体積を求め、その質量を体積で除して見かけ密度
を求め、下記の表2に示した。ここで、見かけ密度は、
焼結体の焼結性の良し悪しを判断するためのものであ
る。見かけ密度が低いことにより焼結体内部の空孔が多
くなり、素子化した場合において、高い温湿度での使用
で、上記空孔が原因となりショート不良等を発生して信
頼性に影響を及ぼしたり、物理的強度が脆弱となり問題
となる。このような問題を生じない程度の見かけ密度
は、一般に5g/cm3以上である。
【0036】(初透磁率の測定)表2に示した見かけ密
度が使用上問題ないと考えられる5g/cm3であるコ
アを用いて測定を行った。測定は、まず、外径18m
m、内径10mm、高さ3.1mmのトロイダル型コア
となるように成形し、空気中で所定温度(各試料におい
て、見かけ密度が5g/cm3となる温度)にて焼成し
て得たコアに、ワイヤを20回巻線してコイル部品を作
製した。このコイル部品について、インピーダンスアナ
ライザー(ヒューレットパッカード社製4291A)に
より、磁界を0.4A/m印加し、100kHzのイン
ダクタンスを測定し形状から得られた定数から算出し
た。測定結果は下記の表3に示した。
【0037】(品質係数であるQ値の測定)初透磁率を
測定するために使用したトロイダル型コアを用い、ワイ
ヤを3回巻線してコイル部品を作製した。次に、このコ
イル部品について、インピーダンスアナライザー(ヒュ
ーレットパッカード社製4291A)により、磁界を
0.4A/m印加し、1、2、4、8、10、20、4
0、60、80、100、150、200、280、3
30MHzの各周波数において測定した。結果は下記の
表4に示した。
【0038】(温度変動によるインダクタンス変化の測
定)初透磁率を測定するために使用したトロイダル型コ
アを用い、ワイヤを20回巻線してコイル部品を作製し
た。次に、このコイル部品について、インピーダンスア
ナライザー(ヒューレットパッカード社製4291A)
により、磁界を0.4A/m印加し、コイル部品を20
℃に設定した恒温槽に載置し、100kHzでのインダ
クタンスを測定して基準値とした。次に、恒温槽内を−
20℃、および、80℃の各温度に設定し、それぞれの
温度における100kHzでのインダクタンスを測定
し、上記の基準値に対する変化率を求めた。インダクタ
ンスの変化はコイル部品の信頼性に大きく影響を及ぼ
す。一般に、コイル部品として、この変化率が小さいこ
とが望ましく、上記の温度範囲(20℃⇒−20℃、2
0℃⇒80℃)では、その変化率が±5%以内であるこ
とが望ましい。
【0039】(抗折強度の測定)JIS規格に定められ
ているファインセラミックスの曲げ強度試験方法(R1
601)に準じて求めた。すなわち、JIS規格に定め
られている寸法(長さ38mm、幅4mm、厚さ3mm
程度)に成形し、空気中で見かけ密度が5g/cm3
なるように焼成した試料を用いて、荷重(強度)試験器
(AIKOH ENGINEERING社製Model 1311,1012)により、
クロスヘッドの速度を0.5mm/分として荷重を加
え、破壊荷重を測定することで求めた。抗折強度もコイ
ル部品の信頼性に大きく影響し、一般に98MPa以上
の抗折強度があれば問題ないとされる。
【0040】(外部応力に対するインダクタンス変化の
測定)幅と厚さがともに10mm、高さ50mm程度の
角棒型となるように成形し、その後、空気中で見かけ密
度が5g/cm3となるように焼成し、ワイヤを14回
巻線した試料を作製し、これに電流を0.5mA印加し
て、荷重(強度)試験器(AIKOH ENGINEERING社製Mode
l 1311,1012)により、高さ方向に、幅×厚さの断面積
に対し、5段階(9.8、19.6、29.4、39.
2、49.0MPa)の強度で加重し、無加重のインダ
クタンスを基準にインダクタンスの変化率を求めた。こ
の特性は、耐熱性樹脂によりモールド処理したコイル部
品の信頼性に大きく影響する。一般に、このインダクタ
ンスの変化率は小さいことが望ましく、使用する耐熱性
樹脂にもよるが、上記の5段階で加重した全ての段階で
±5%以内となることが望ましい。
【0041】評価結果 (見かけ密度について)見かけ密度は、上述したよう
に、焼結体の焼結性の良し悪しを判断するためのもので
ある。見かけ密度が低いことにより焼結体内部の空孔が
多くなり、素子化した場合において、高い温湿度での使
用により上記空孔が原因となりショート不良等を発生し
て信頼性に影響を及ぼしたり、物理的強度が脆弱となり
問題となる。このような問題を生じない程度の見かけ密
度は、一般に5g/cm3以上であるが、この見かけ密
度が得られる温度は各試料により異なり、下記の表2に
示されるように、試料1〜6においては、MgOの含有
量による差はなく、CuOの含有量に依存するものであ
った。
【0042】また、試料7〜9の比較、試料10〜12
の比較、試料13〜15の比較をすると、Fe23の一
部、およびNiOの一部をMgOで置換し、さらに、M
gO含有量を増加することにより、低温での焼結性が向
上した。
【0043】また、試料1と試料7、試料2と試料1
0、試料3と試料13とを、それぞれ比較すると、Si
2を含有することにより、5g/cm3以上の見かけ密
度が得られる焼成温度が高温側に移行した。
【0044】さらに、試料7と比較試料1、試料10と
比較試料2、試料13と比較試料3とを、それぞれ比較
すると、NiOの一部をMgOで置換することにより、
低温での焼結性が向上した。また、特許第267971
6号公報に開示されている実施例に相当する比較試料4
および比較試料5と、これらのNiOの一部をMgOで
置換した試料16および試料17とをそれぞれ比較する
と、比較試料4に対して試料16は低温焼結性が向上し
ており、比較試料5に対して試料17は同等の焼結性を
有するものであった。
【0045】
【表2】
【0046】(初透磁率について)初透磁率は、使用す
る周波数に合わせて、適宜組成を設定することにより、
変更可能であるが、同等の見かけ密度(5g/cm3
では、下記の表3に示されるように、試料1〜17、比
較試料1〜5において有意的な差はない。
【0047】また、特許第2679716号公報に開示
されている実施例に相当する比較試料4および比較試料
5と、これらのNiOの一部をMgOで置換した試料1
6および試料17とをそれぞれ比較すると、比較試料4
に対して試料16、および、比較試料5に対して試料1
7は、同等の初透磁率を有するものであった。
【0048】
【表3】
【0049】(Q値について)スピネル型フェライトの
透磁率と周波数にはスヌーク(Snoek)の限界線が
成り立ち、コイル形状および巻線数とそのパターンを同
等とした場合、透磁率の異なる材料をコイルに使用する
ことにより、適用する周波数を変えることが可能とな
る。上記のスヌークの限界線からも分かる通り、周波数
が高周波になることにより透磁率が減少する。この透磁
率の減少が生じる周波数は、透磁率の大小により異なる
が、一般にはスヌークの周波数限界線に沿って透磁率が
減少する。そして、この透磁率の減少が生じる周波数よ
り更に低い周波数でQ値の減少が生じる。すなわち、Q
値の大小を比較するうえでは、同等の透磁率において比
較する必要がある。そこで、後述するQ値については、
上述したように、ほぼ同等の透磁率が得られたサンプル
で比較している。
【0050】下記の表4に示すように、試料7と比較試
料1、試料10と比較試料2、試料13と比較試料3と
を、それぞれ比較すると、これらは初透磁率には有意的
な差は見られなかったが、Q値に関しては、NiOの一
部をMgOで置換することによる効果が確認された。す
なわち、2MHzまではそれぞれ同等のQ値を有するも
のの、それ以上の周波数において差が顕著に現われ、1
00MHzにおいて、各試料7,10,13は、対応す
る各比較試料1,2,3の3〜5倍程度のQ値を示し
た。
【0051】また、試料7〜9の比較、試料10〜12
の比較、試料13〜15の比較をすると、Fe23の一
部、およびNiOの一部をMgOで置換し、さらに、M
gO含有量を増加させても、CuO含有量が同一のグル
ープ内では、略同等のQ値が得られることが明らかとな
った。上記の3グループのなかで、試料10〜12のグ
ループが、150MHzおよび200MHzの高周波領
域でのQ値が最も高いものであった。
【0052】また、試料1,2と試料7、試料3,4と
試料10、試料5,6と試料13とを、それぞれ比較す
ると、SiO2を含有した試料7,10,13において
Q値がより高いものであった。
【0053】但し、比較試料1と試料1,2、比較試料
2と試料3,4、比較試料3と試料5,6とを、それぞ
れ比較すると、SiO2を含有せずとも、主成分にMg
Oを含有することによりQ値が向上することが明らかと
なった。
【0054】さらに、特許第2679716号公報に開
示されている実施例に相当する比較試料4および比較試
料5と、これらのNiOの一部をMgOで置換した試料
16および試料17とを比較すると、20MHzまでは
同等のQ値を有するが、40MHzを超える周波数にお
いて顕著な差が現れた。すなわち、初透磁率が比較的低
い比較試料4と試料16との比較では、100MHzに
おいて、試料16は約2倍のQ値を示した。また、比較
試料5と試料17との比較では、40〜100MHzに
おいて、試料17は2倍以上のQ値を示した。
【0055】
【表4】
【0056】(温度変動によるインダクタンス変化につ
いて)下記の表5に示されるように、同等の見かけ密度
(5g/cm3)において、試料7と比較試料1、試料
10と比較試料2、試料13と比較試料3とを、それぞ
れ比較すると、NiOの一部をMgOで置換しても初透
磁率には有意的な差は見られず、温度変動によるインダ
クタンスの変化率も同等であり、その変化率は±5%以
内であった。
【0057】また、試料7〜9の比較、試料10〜12
の比較、試料13〜15の比較をすると、Fe23の一
部、およびNiOの一部をMgOで置換し、さらに、M
gO含有量を増加することにより、インダクタンスの変
化率が増加するものの、いずれも±5%以内の変化率で
あった。
【0058】また、試料1,2と試料7、試料3,4と
試料10、試料5,6と試料13とを、それぞれ比較す
ると、SiO2を含有した試料7,10,13において
インダクタンスの変化率が小さく良好であった。
【0059】さらに、特許第2679716号公報に開
示されている実施例に相当する比較試料4および比較試
料5と、これらのNiOの一部をMgOで置換した試料
16および試料17とをそれぞれ比較すると、MgOの
含有によって、試料16,17では、ぞれそれ僅かなが
ら変化率が増大するが、いずれも±1%を切る良好な値
であった。
【0060】
【表5】
【0061】(抗折強度について)下記の表6に示され
るように、同等の見かけ密度(5g/cm3)におい
て、試料7と比較試料1、試料10と比較試料2、試料
13と比較試料3とを、それぞれ比較すると、NiOの
一部をMgOで置換しても初透磁率には有意的な差は見
られず、抗折強度も同等であった。
【0062】また、試料7〜9間の比較、試料10〜1
2間の比較、試料13〜15間の比較をすると、Fe2
3の一部、およびNiOの一部をMgOで置換し、さ
らに、MgO含有量を増加することにより、抗折強度が
減少するものの、使用上問題ないとされる98MPaを
超える抗折強度が得られた。
【0063】また、試料1,2と試料7、試料3,4と
試料10、試料5,6と試料13とを、それぞれ比較す
ると、SiO2を含有した試料7,10,13において
より良好な抗折強度が得られた。
【0064】さらに、特許第2679716号公報に開
示されている実施例に相当する比較試料4および比較試
料5と、これらのNiOの一部をMgOで置換した試料
16および試料17とをそれぞれ比較すると、MgOの
含有によっても、同等の抗折強度が得られることが明ら
かとなった。
【0065】
【表6】
【0066】(外部応力に対するインダクタンス変化に
ついて)下記の表7に示されるように、同等の見かけ密
度(5g/cm3)において、試料7と比較試料1、試
料10と比較試料2、試料13と比較試料3とを、それ
ぞれ比較すると、NiOの一部をMgOで置換しても初
透磁率には有意的な差は見られず、外部応力によるイン
ダクタンスの変化率も同等であり、その変化率は±5%
以内であった。
【0067】また、試料7〜9の比較、試料10〜12
の比較、試料13〜15の比較をすると、Fe23の一
部、およびNiOの一部をMgOで置換し、さらに、M
gO含有量を増加することにより、外部応力によるイン
ダクタンスの変化率が増加するものの、いずれも±2%
以内の変化率であった。
【0068】また、試料1,2と試料7、試料3,4と
試料10、試料5,6と試料13とを、それぞれ比較す
ると、SiO2を含有した試料7,10,13は、外部
応力によるインダクタンスの変化率が小さく良好であっ
た。
【0069】さらに、特許第2679716号公報に開
示されている実施例に相当する比較試料4および比較試
料5と、これらのNiOの一部をMgOで置換した試料
16および試料17とを比較すると、外部応力によるイ
ンダクタンスの変化率は、MgOの含有によってもほぼ
同等のものであった。
【0070】
【表7】
【0071】[実施例2]磁性材料の作製 まず、主成分としてFe23、CuO、ZnO、MgO
およびNiOを下記の表8に示される量比(モル%)と
なるように秤量し、この主成分組成に対して、Co
34、Bi23、SiO2を下記の表8に示す量比(重
量%)となるように秤量した。尚、MgOは水酸化マグ
ネシウム(MgOH)として添加した。
【0072】次に、これらの原料をボールミルで5時間
湿式混合した。その後、得られた原料混合粉末を空気中
750〜900℃で2時間仮焼し、この仮焼成粉をボー
ルミルにて比表面積が3m2/gとなるように混合粉砕
し、磁性材料(試料1〜23、比較試料1〜11)を得
た。尚、比表面積は、(株)島津製作所製流動式比表面
積自動測定装置 フローソーブ2300型でBET一点
法により測定した。
【0073】
【表8】
【0074】評価用試料の作製 得られた各磁性材料(試料1〜23、比較試料1〜1
1)100重量部に、バインダーとして、鹸化度98.
5、重合度2400のポリビニルアルコール(クラレ
(株)製PVA124)の3重量%水溶液を10重量部
添加して造粒した。こうして得られた顆粒を用いて、後
述の測定条件等に合わせて所定の形状に成形し、空気中
で860〜1020℃で焼成してコアを作製した。
【0075】磁性材料の評価 上記の各磁性材料(試料1〜23、比較試料1〜11)
のコアについて、実施例1と同様の測定方法により、見
かけ密度、初透磁率、品質係数であるQ値、温度変動に
よるインダクタンス変化、抗折強度、および、外部応力
に対するインダクタンス変化を測定した。
【0076】評価結果 試料1〜5は、Fe23 含有量を本発明の規定範囲内
で変化させ、比較試料1,2はFe23 含有量が本発
明から外れるものとした。見かけ密度が5g/cm3
ある試料1〜5は、初透磁率が15、15、17、1
8、16であり、10〜150MHzにおいて充分なQ
値をもち、また、温度変動によるインダクタンスの変化
率が±5%を切り、抗折強度が使用上問題ないとされる
98MPaを超え、外部応力に対するインダクタンスの
変化率が±5%を切るものであった。一方、比較試料
1,2は、低温焼結性が悪く、見かけ密度5g/cm3
となる焼成温度として比較試料1は1060℃、比較試
料2は1150℃が必要であった。
【0077】試料6〜8はCuO 含有量を本発明の規
定範囲内で変化させ、比較試料3,4はCuO 含有量
が本発明から外れるものとした。見かけ密度が5g/c
3である試料6〜8は、初透磁率が15、16、16
であり、10〜150MHzにおいて充分なQ値をも
ち、また、温度変動によるインダクタンスの変化率が±
5%を切り、抗折強度として使用上問題ないとされる9
8MPaを超える値が得られ、外部応力に対するインダ
クタンスの変化率が±2%を切るものであった。一方、
比較試料3は、低温焼結性が悪く、見かけ密度5g/c
3となる焼成温度として1100℃が必要であった。
また、比較試料4は、温度変動によるインダクタンスの
変化率が6%を超えるものであった。
【0078】試料9〜12はZnO 含有量を本発明の
規定範囲内で変化させ、比較試料5はZnO 含有量が
本発明から外れるものとした。見かけ密度が5g/cm
3である試料9〜12は、初透磁率が8、10、40、
60であり、試料9,10においては10〜150MH
zにおいて充分なQ値をもち、試料11,12において
は1〜20MHzにおいて充分なQ値が得られた。ま
た、温度変動によるインダクタンスの変化率が±5%を
切り、抗折強度が使用上問題ないとされる98MPaを
超える値であり、外部応力に対するインダクタンスの変
化率が±2%を切るものであった。一方、比較試料5
は、20MHz以上の高周波領域においてQ値が10以
下となった。
【0079】また、試料13〜16はMgO 含有量を
本発明の規定範囲内で変化させ、比較試料6はMgO
含有量が本発明から外れるものとした。見かけ密度が5
g/cm3である試料13〜16は、初透磁率が17、
17、17、16であり、10〜150MHzにおいて
充分なQ値をもち、また、温度変動によるインダクタン
スの変化率が±5%を切り、抗折強度が使用上問題ない
とされる98MPaを超える値であり、外部応力に対す
るインダクタンスの変化率が±5%を切るものであっ
た。一方、比較試料6は、温度変動によるインダクタン
スの変化率が7%を超え、さらに、外部応力に対するイ
ンダクタンスの変化率も7%を超えるものであった。
【0080】また、試料17,18は副成分としてのC
34 含有量を本発明の規定範囲内で変化させ、比較
試料7,8はCo34 含有量が本発明から外れるもの
とした。見かけ密度が5g/cm3である試料17,1
8は、初透磁率が20、15であり、試料17は10〜
100MHzにおいて充分なQ値をもち、試料18は1
0〜200MHzにおいて充分なQ値が得られた。ま
た、温度変動によるインダクタンスの変化率が±5%を
切り、抗折強度として使用上問題ないとされる98MP
aを超える値が得られ、外部応力に対するインダクタン
スの変化率が±5%を切るものであった。一方、比較試
料7は、100MHz以上の高周波領域においてQ値が
10以下であり、比較試料8は、温度変動によるインダ
クタンスの変化率が8%を超えるものであった。さら
に、外部応力に対するインダクタンスの変化率も7%を
超えるものであった。
【0081】また、試料19〜21は副成分としてのB
23 含有量を本発明の規定範囲内で変化させ、比較
試料9,10はBi23 含有量が本発明から外れるも
のとした。見かけ密度が5g/cm3である試料19〜
21は、初透磁率が18、17、15であり、10〜1
50MHzにおいて充分なQ値をもち、また、温度変動
によるインダクタンスの変化率が±5%を切り、抗折強
度として使用上問題ないとされる98MPaを超える値
が得られ、外部応力に対するインダクタンスの変化率が
±5%を切るものであった。一方、比較試料9は、低温
焼結性が悪く、見かけ密度5g/cm3となる焼成温度
として、1060℃が必要であった。また、比較試料1
0は、仮焼において粒成長が急激に進み、ボールミルの
粉砕においては、1cm程度の粗粒が残り、次工程以降
の成形が困難であった。
【0082】さらに、試料22,23は副成分としての
SiO2 含有量を本発明の規定範囲内で変化させ、比較
試料11はSiO2 含有量が本発明から外れるものとし
た。見かけ密度が5g/cm3である試料22,23
は、初透磁率が12、9であり、10〜150MHzに
おいて充分なQ値をもち、また、温度変動によるインダ
クタンスの変化率が±5%を切り、抗折強度として使用
上問題ないとされる98MPaを超える値が得られ、外
部応力に対するインダクタンスの変化率が±5%を切る
ものであった。一方、比較試料11は、低温焼結性が悪
く、見かけ密度5g/cm3となる焼成温度として、1
060℃が必要であった。
【0083】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
主成分である酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化マグネシ
ウムおよび酸化ニッケルの含有量、ならびに、副成分で
ある酸化コバルト、酸化ビスマスおよび酸化ケイ素の含
有量を所定の範囲とすることにより、高周波領域におい
て品質係数であるQ値が充分に高く、かつ、温度変動に
よるインダクタンス変化や物理的強度変化が少なく、ま
た、圧縮応力に対するインダクタンス変化が少ない磁性
材料が得られ、本発明の磁性材料からなるコアは抗折強
度が高く、このコアを備えるコイル部品は、高周波領域
において高い信頼性と優れた性能を発現する。
フロントページの続き (72)発明者 桜井 文吾 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 高橋 幸雄 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 4G002 AA06 AA10 AA12 AE02 4G018 AA01 AA07 AA22 AA23 AA24 AA25 AA31 AA37 5E041 AB01 CA02 NN01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化鉄の含有量がFe23換算で45.
    0〜51.0モル%の範囲、酸化銅の含有量がCuO換
    算で0.5〜15.0モル%の範囲、酸化亜鉛の含有量
    がZnO換算で0〜33.0モル%の範囲、酸化マグネ
    シウムの含有量がMgO換算で0.1〜5.0モル%、
    および、残部酸化ニッケルからなる主成分を含有し、さ
    らに、該主成分に対して副成分として酸化コバルトをC
    34換算で0.05〜1.0重量%の範囲、酸化ビス
    マスをBi23換算で0.5〜7.0重量%の範囲、酸
    化ケイ素をSiO2換算で0〜5.0重量%の範囲で含
    有することを特徴とする磁性材料。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の磁性材料からなるコア
    を備えることを特徴とするコイル部品。
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