JP2002129094A - 塗料用樹脂組成物 - Google Patents

塗料用樹脂組成物

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JP2002129094A
JP2002129094A JP2000329080A JP2000329080A JP2002129094A JP 2002129094 A JP2002129094 A JP 2002129094A JP 2000329080 A JP2000329080 A JP 2000329080A JP 2000329080 A JP2000329080 A JP 2000329080A JP 2002129094 A JP2002129094 A JP 2002129094A
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vinyl
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Abstract

(57)【要約】 【目的】広い範囲の顔料について分散安定性に優れ、塗
料製造時においても分散ペーストの発色性、透明性を維
持し、高仕上がり性の塗膜を有することが可能な塗料用
樹脂組成物を提供する。 【解決手段】セルロースアセテートブチレート(i)と
一分子中にイソシアネート基とビニル基を有する化合物
(ii)を反応させて得られるビニル基含有セルロースア
セテートブチレート(a)50〜90重量%、4級アン
モニウム塩基含有ビニルモノマー(b)0.05〜5.
0重量%、その他の重合性ビニルモノマー(c)45〜
9.95重量%を含む混合体を共重合せしめてなる4級
アンモニウム塩基含有変性ビニル系共重合体(A)を含
む塗料用樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、仕上がり外観、乾
燥性、硬度に優れた塗膜を形成しうる、特にベースコー
ト用として有用な塗料用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来、自動車の補修や、産
業機械、建造物、構築物、家具(鋼製も含む)等の塗
装、補修に際し、アクリルラッカ−、アクリルウレタン
塗料、及びアミノアクリル樹脂塗料などが用いられてお
り、特に自動車補修用塗料の分野では、常温乾燥性の点
から、アクリルラッカ−、アクリルウレタン塗料が主に
用いられている。この分野においては、ソリッド仕上げ
やメタリック仕上げ塗装があるが、近年、光輝顔料を含
むメタリックベ−ス塗料、及びクリヤ−塗料を塗り重ね
るメタリック仕上げが主流になっており、そのベ−スコ
−トとしてラッカ−タイプの塗料が用いられる場合に
は、該ベ−スコ−トの乾燥性の点からポリエステル樹脂
とセルロ−スアセテ−トブチレ−ト(CAB)をブレン
ドしたもの、アクリル樹脂にポリエステル樹脂とCAB
をブレンドしたもの等をビヒクル主成分とした塗料が採
用されてきた。しかしながら、各成分の相溶性が不十分
であるためにソリッド原色塗料の分散性が低下し、透明
性などの仕上り性に悪影響を及ぼしたり、またメタリッ
クベ−スにおいてはフキムラ、モドリムラが生じてやは
り仕上り性が低下するなどの不具合があった。
【0003】そうした問題の方策として例えば、特開平
12−178500号公報にCABのグラフト共重合
体、ポリエステル樹脂、及びアクリル樹脂を特定割合で
使用してなる組成物が開示されている。この方法では、
各成分の相溶性が向上し、メタリックベ−スにおいても
フキムラ、モドリムラが生じることなく、良好な仕上り
性を有するが、ソリッド原色において、顔料分散ペース
トの発色性、及び透明性が良好であってもCABのグラ
フト共重合体の組成によっては、塗料製造時に透明性、
発色性が損なわれる(色安定性不良)という問題点があ
った。特に顔料としてカーボンブラック等の黒色顔料を
使用した場合、その傾向が顕著であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決すべく鋭意検討した結果、CABのグラフト共重
合体に極性基として4級アンモニウム塩基、及びウレタ
ン結合を導入することにより上記した課題を解決するこ
とを見出し、本発明に至った。
【0005】即ち本発明は、 1、 セルロースアセテートブチレート(i)と一分子
中にイソシアネート基とビニル基を有する化合物(ii)
を反応させて得られるビニル基含有セルロースアセテー
トブチレート(a)50〜90重量%、4級アンモニウ
ム塩基含有ビニルモノマー(b)0.05〜5.0重量
%、その他の重合性ビニルモノマー(c)45〜9.9
5重量%を含む混合体を共重合せしめてなる4級アンモ
ニウム塩基含有変性ビニル系共重合体(A)を含む塗料
用樹脂組成物、 2、 セルロースアセテートブチレート(i)の数平均
分子量が20,000〜100,000である1項に記
載の塗料用樹脂組成物、 3、 ビニル基含有セルロースアセテートブチレート
(a)がセルロースアセテートブチレート(i)量に対
して一分子中にイソシアネート基と重合性不飽和基を有
する化合物(ii)を1〜6重量%反応させて得られるも
のである1項または2項に記載の塗料用樹脂組成物、 4、 その他の重合性ビニルモノマー(c)が、メチル
(メタ)アクリレート及び/またはエチル(メタ)アク
リレートを該重合性ビニルモノマー(c)全量中に75
〜100重量%含む1項ないし3項のいずれか1項に記
載の塗料用樹脂組成物、 5、 その他の重合性ビニルモノマー(c)が、炭素数
が1〜4のアルキル基を有するヒドロキシ(メタ)アク
リレートを該重合性ビニルモノマー(c)全量中に0〜
25重量%含む1項ないし4項のいずれか1項に記載の
塗料用樹脂組成物、 6、 4級アンモニウム塩基含有変性ビニル系共重合体
(A)が下記式(1)で表される4級アンモニウム塩基
を該変性ビニル系共重合体(A)固形分に対して0.0
01〜0.05mol/Kg含有する1項ないし5項の
いずれか1項に記載の塗料用樹脂組成物、
【0006】
【化2】
【0007】(式中、Xはハロゲン原子を示し、Rはア
ルキル基を示す。) 7、 4級アンモニウム塩基含有変性ビニル共重合体
(A)の1級水酸基価が、該共重合体固形分に対し0.
1〜25mgKOH/gである1項ないし6項のいずれ
か1項に記載の塗料用樹脂組成物、 8、 4級アンモニウム塩基含有変性ビニル共重合体
(A)が、活性水素を有しない有機溶剤にセルロースア
セテートブチレート(i)を溶解し、該セルロースアセ
テートブチレート(i)の水酸基と一分子中にイソシア
ネート基と重合性不飽和基を有する化合物(ii)のイソ
シアネート基を反応させて得られるビニル基含有セルロ
ースアセテートブチレート(a)溶液に、4級アンモニ
ウム塩基含有ビニルモノマー(b)、その他の重合性ビ
ニルモノマー(c)を含むビニルモノマー混合体を重合
開始剤と共に滴下して共重合することにより製造される
ものである1項に記載の塗料用樹脂組成物、に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において4級アンモニウム
塩基含有変性ビニル系共重合体(A)は、セルロースア
セテートブチレート(i)と一分子中にイソシアネート
基とビニル基を有する化合物(ii)を反応させて得られ
るビニル基含有セルロースアセテートブチレート(a)
50〜90重量%、4級アンモニウム塩基含有ビニルモ
ノマー(b)0.05〜5.0重量%、及びその他の重
合性ビニルモノマー(c)9.95〜45重量%を含む
混合体を共重合せしめてなるものである。
【0009】セルロ−スアセテ−トブチレ−ト(i)
は、セルロ−スの部分アセチル化物をさらにブチルエス
テル化して得られるセルロ−ス誘導体であり、好ましく
はアセチル基含有量が一般に1〜30重量%で、ブチル
基含有量が一般に16〜60重量%である。具体的に
は、例えば「CAB−381−0.5」、「CAB−3
81−0.1」、「CAB−381−2.0」、「CA
B−551−0.2」(いずれも米国イ−ストマン・コ
ダック社製、商品名)などが例示できる。
【0010】本発明において、該セルロースアセテート
ブチレート(i)の数平均分子量は20,000〜10
0,000の範囲が好ましい。20,000未満では塗
料製造時における色安定性が低下し、一方、100,0
00を超えると後述の他の樹脂との相溶性が不良となり
好ましくない。
【0011】一分子中にイソシアネート基とビニル基を
有する化合物(ii)は、例えば、イソシアナトエチルア
クリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベ
ンジルイソシアネート等のイソシアネート基含有ビニル
モノマー、あるいはイソシアネート基を2個有する化合
物とヒドロキシル基含有ビニルモノマーを等モルで付加
反応して得られた生成物等が使用できる。
【0012】イソシアネート基を2個有する化合物とし
ては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリ
メチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジ
イソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、
1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレ
ンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソ
シアネートなどの脂肪族系ジイソシアネート化合物、イ
ソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス
(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキ
サン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、
1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シ
クロヘキサンジイソシアネート等の脂環式系ジイソシア
ネート化合物、キシリレンジイソシアネート、メタキシ
リレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイ
ソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4′−
ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシ
アネート化合物が挙げられる。
【0013】ヒドロキシル基含有ビニルモノマーとして
は、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シブチル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸または
メタクリル酸のC2〜C8 ヒドロキシアルキルエステル
が挙げられる。
【0014】ジイソシアネート化合物とヒドロキシル基
含有ビニルモノマーの反応は、必要に応じて、溶剤、ウ
レタン化触媒の存在下で反応温度80〜95℃で行うこ
とができる。
【0015】ビニル基含有セルロースアセテートブチレ
ート(a)は、セルロースアセテートブチレート(i)
量に対し、上記一分子中にイソシアネート基とビニル基
を有する化合物(ii)を1〜6重量%反応させて得られ
るものが好適である。該化合物(ii)の量が1重量%未
満では、成分(A)中に導入されるウレタン結合が減少
するために塗料製造時に色安定性が低下し、一方、6重
量%を超えると分子量が大きくなるために合成時、ゲル
化するために好ましくない。
【0016】4級アンモニウム塩基含有ビニルモノマー
(b)は、例えば、2−(メタクリロイルオキシ)エチ
ルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタクリ
ロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムブロマイ
ド、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニ
ウムクロライド、メタクリロイルアミノプロピルトリメ
チルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウ
ム(メタ)アクリレート、テトラメチルアンモニウム
(メタ)アクリレート、トリメチルベンジルアンモニウ
ム(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキシエチル
トリメチルアンモニウムジメチルホスフェートなどが挙
げられる。
【0017】その他の重合性ビニルモノマー(c)は、
従来公知のビニルモノマ−類から1種又は2種以上選択
されてなるものであり、例えばメチル(メタ)アクリレ
−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、ブチル(メタ)ア
クリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル
(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレ
−トなどのアクリル酸、もしくはメタクリル酸のアルキ
ルエステル、もしくはシクロアルキルエステル;2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレ−トなどの水酸基含有ビニルモノ
マ−;(メタ)アクリル酸、スチレン、ビニルトルエ
ン、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)
アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレ−ト、ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレ−トなどが挙げら
れる。
【0018】これらのうち、その他の重合性ビニルモノ
マー(c)として、メチル(メタ)アクリレート及び/
またはエチル(メタ)アクリレートが該重合性ビニルモ
ノマー(c)全量中に75〜100重量%含まれること
がセルロ−スアセテ−トブチレ−ト(i)との相溶性や
塗膜の硬度の点から好適である。メチルメタクリレ−ト
及び/又はエチルメタクリレ−トの使用比率が75重量
%未満では、該セルロ−スアセテ−トブチレ−ト(i)
との相溶性が低下し、ビニル変性が困難になり、ワニス
の濁りを生じる恐れがあるので望ましくない。
【0019】また、上記その他の重合性ビニルモノマー
(c)として、炭素数が1〜4のアルキル基を有するヒ
ドロキシ(メタ)アクリレートを該重合性ビニルモノマ
ー(c)全量中に0〜25重量%含むことが好適であ
る。炭素数が1〜4のアルキル基を有するヒドロキシ
(メタ)アクリレートが25重量%を超えるとセルロー
スアセテートブチレート(i)との相溶性が低下し、ビ
ニル変性が困難になり、ワニスの濁りを生じる恐れがあ
るので好ましくない。
【0020】上記ビニル基含有セルロースアセテートブ
チレート(a)、4級アンモニウム塩基含有ビニルモノ
マー(b)、及びその他の重合性ビニルモノマー(c)
の共重合の比率は、ビニル基含有セルロースアセテート
ブチレート(a)が50〜90重量%、好ましくは60
〜85重量%、4級アンモニウム塩基含有ビニルモノマ
ー(b)が0.05〜5.0重量%、好ましくは0.1
〜2.5重量%、及びその他の重合性ビニルモノマー
(c)が9.95〜45重量%、好ましくは12.5〜
39.9重量%の範囲が好適である。該(a)成分が5
0重量%未満であると、セルロースアセテートブチレー
ト成分が減少するために乾燥性が低下し、一方、90重
量%を越えると、塗料製造時における色安定性が低下す
るために好ましくない。該(b)成分が0.05重量%
未満では、塗料製造時における色安定性が低下し、一
方、5.0重量%を超えると該(a)成分、該(b)成
分、及び該(c)成分同士の相溶性が低下し、ビニル変
性が困難となり、ワニスの濁りを生じる恐れがあるので
好ましくない。該(c)成分が9.95重量%未満で
は、該(a)成分、該(b)成分、及び該(c)成分同
士の相溶性が低下し、ビニル変性が困難となり、また、
後述の他の併用樹脂との相溶性低下により仕上がり性が
低下するために好ましくない。一方、45重量%を超え
ると、セルロースアセテートブチレート成分が減少する
ために乾燥性が低下するために好ましくない。
【0021】上記4級アンモニウム塩基含有変性ビニル
系共重合体(A)は、下記式(1)で表される4級アン
モニウム塩を該変性ビニル系共重合体(A)固形分に対
して0.001〜0.05mol/Kg含有することが
好適である。
【0022】
【化3】
【0023】(式中、Xはハロゲン原子を示し、Rはア
ルキル基を示す。) 上記4級アンモニウム塩量が0.001mol/Kg未
満では、塗料製造時における色安定性が低下し、一方、
0.05mol/Kgを超えると後述の他の併用樹脂と
の相溶性が低下するために好ましくない。また、該4級
アンモニウム塩基含有変性ビニル系共重合体(A)の1
級水酸基価は、該共重合体固形分に対し0.1〜25m
gKOH/gであることが好適である。0.1mgKO
H/g未満では架橋官能基が減少するために硬化性が低
下し、一方、25mgKOH/gを超えると後述の他の
併用樹脂との相溶性が低下するために好ましくない。
【0024】本発明において4級アンモニウム塩基含有
変性ビニル系共重合体(A)の製造方法は、例えば活性
水素を有しない有機溶剤にセルロースアセテートブチレ
ート(i)を溶解し、該セルロースアセテートブチレー
ト(i)の水酸基と一分子中にイソシアネート基と重合
性不飽和基を有する化合物(ii)のイソシアネート基を
反応させて得られるビニル基含有セルロースアセテート
ブチレート(a)溶液に、4級アンモニウム塩基含有ビ
ニルモノマー(b)、その他の重合性ビニルモノマー
(c)を含むビニルモノマー混合体を重合開始剤と共に
滴下して共重合する方法が挙げられる。
【0025】ビニル基含有セルロースアセテートブチレ
ート(a)製造時における好ましい有機溶剤としては、
セルロースアセテートブチレートを溶解し、且つイソシ
アネート基に対して不活性なものが好適であり、例えば
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、
酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、3−メトキシブチルア
セテート、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、プロピ
オン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチ
ル、アジピン酸ジオクチル、シュウ酸エチル、酒石酸ジ
ブチル、クエン酸トリブチル、セバシン酸エステル、フ
タル酸エステル、エチレングリコールモノアセテート、
酢酸セロソルブ、酢酸カルビトール等のエステル系溶
剤、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、
2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、イソホロ
ン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤が挙げられ、こ
れらの中から単独で、もしくは2種以上適宜選択して使
用できる。
【0026】上記ビニル基含有セルロースアセテートブ
チレート(a)、4級アンモニウム塩基含有ビニルモノ
マー(b)、及びその他の重合性ビニルモノマー(c)
の共重合は、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルハイド
ロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイ
ド、クミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサ
イド、ジイソプロピルベンザンハイドロパーオキサイ
ド、t−ブチルパーオキシベンゾエ−ト、ラウリルパー
オキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパー
オキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物、α,
α´−アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスジメチル
バレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリ
ル等のアゾ化合物等のラジカル重合開始剤の存在下に、
溶液重合法によって行なうことができる。
【0027】このときの共重合の溶剤は、前述のエステ
ル系溶剤、及びケトン系溶剤で列記した中から適宜選択
して使用できるが、4級アンモニウム塩基含有ビニルモ
ノマー(b)の溶解性を高め、また残存のイソシアネー
ト基を反応させる目的でさらにアルコール系溶剤を適宜
加えても良い。
【0028】このように形成された4級アンモニウム塩
基含有変性ビニル系共重合体(A)は、有機溶剤に対す
る溶解性や他の樹脂との相溶性が著しく優れている。さ
らには、分子中に極性基として4級アンモニウム塩基、
及びウレタン結合を含むため、顔料分散樹脂として使用
した場合に分散安定性に優れている。また、既存の顔料
分散ペーストを使用した場合では、該樹脂(A)を塗膜
形成成分として併用した際、顔料分散ペースト独自の透
明性、発色性を維持することができる。尚、本発明にお
いては、配合したセルロ−スアセテ−トブチレ−トの実
質的に全てがビニルモノマ−混合物と共重合しているこ
とが望ましいが、少量のセルロ−スアセテ−トブチレ−
ト、及びビニルモノマ−混合物が未反応のまま、該共重
合体中に残存していても支障はない。
【0029】本発明の樹脂組成物は、上記4級アンモニ
ウム塩基含有変性ビニル系共重合体(A)を顔料分散用
樹脂か、もしくは塗膜形成樹脂として含有するものであ
り、さらに、必要に応じて従来公知の塗料用樹脂や架橋
剤を含有することができる。また、本発明の樹脂組成物
を1液形として、あるいはポリイソシアネ−ト化合物等
の架橋剤を併用して2液形塗料用として用いてもよい。
【0030】上記本発明の樹脂組成物を用いて塗料を製
造するにあたっては、必要に応じて着色顔料、体質顔
料、金属粉顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止
剤、表面調整剤、顔料分散剤、硬化触媒などの塗料用添
加剤等、それぞれの目的に応じて適宜選択し組み合わせ
て配合することができる。
【0031】上記顔料を用いた顔料分散ペーストの作成
には、上記樹脂(A)を分散樹脂として用いてもよい
し、従来公知の顔料分散樹脂、例えばアミノ基や酸基を
含有せしめてなるアクリル樹脂等を用いてもよい。
【0032】このようにして得られた塗料は、基材面に
ベ−スコ−ト塗料を塗装し、次いでトップクリヤ−塗料
を塗装する塗装仕上げ方法において、該ベ−スコ−ト塗
料用として使用することが好適である。
【0033】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。ここで「部」及び「%」はそれぞれ「重量
部」及び「重量%」を意味する。
【0034】4級アンモニウム塩基含有変性ビニル系共
重合体(A)の製造 実施例1 温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下ロートを備えた反
応器に下記成分を仕込み、窒素ガス雰囲気下で加熱し、
約4時間かけて110℃まで昇温した。 酢酸ブチル 600部 「CAB−381−0.5」(注1) 200部 110℃に昇温後、「CAB−381−0.5」が完全
に溶解したことを確認した後、加熱を停止し、減圧下で
酢酸ブチルを133部を留去させた。反応器内の温度は
87℃であった。この温度を維持しながらイソホロンジ
イソシアネートと2ヒドロキシエチルアクリレートとの
等mol付加反応物の90%酢酸ブチル溶液を11.1
部、重合禁止剤としてp-t-ブチルカテコール0.02
部、およびウレタン化触媒としてジブチルスズジラウレ
ート0.02部を反応器に投入し、87℃で7時間、乾
燥空気下で熟成させて、不飽和基含有セルロースアセテ
ートブチレート溶液を得た。次いで、反応器内にn−ブ
タノールを15部を加え、反応温度を115℃に昇温
し、下記のビニルモノマーと重合開始剤の混合溶液を2
時間にわたって滴下した。 n−ブタノール 50部 酢酸ブチル 65部 2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムブロマイド 1.8部 メチルメタクリレート 58.2部 t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート 2部 滴下終了後、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノ
エートを0.5部、酢酸ブチル20部の混合溶液を1時
間かけて滴下し、窒素雰囲気下で115℃で1時間熟成
した。不揮発分30%、4級アンモニウム塩基含有量
0.032mol/Kgの4級アンモニウム塩基含有変
性ビニル系共重合体溶液(A1)を得た。 (注1)「CAB−381−0.5」:商品名、イース
トマン・コダック社製、セルロースアセテートブチレー
ト、数平均分子量30,000。
【0035】実施例2、比較例1、2 実施例1において配合組成を下記表1に示す通りとする
以外は実施例1と同様にして変性ビニル系共重合体溶液
(A2)、(A4)及び(A5)を得た。
【0036】実施例3、及び比較例3 実施例1において配合組成を下記表1に示すようにセル
ロースアセテートブチレートとして「CAB−381−
2.0」を使用し、それを酢酸ブチル734.5部で溶
解せしめる以外は実施例1と同様にして変性ビニル系共
重合体溶液(A3)及び(A6)を得た。
【0037】
【表1】
【0038】(注2)「CAB−381−2.0」:商
品名、イーストマン・コダック社製、セルロースアセテ
ートブチレート、数平均分子量40,000。
【0039】顔料分散用アクリル樹脂(B)の製造 温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下用ポンプを備えた
反応器に、酢酸ブチル25部、キシレン43部を仕込
み、攪拌しながら110℃まで昇温し、下記モノマ−混
合物と重合開始剤の混合液を、110℃で約3時間かけ
て一定速度で滴下した。 イソブチルメタクリレート 59.75部 メチルメタクリレート 10部 n−ブチルアクリレート 10部 ジメチルアミノエチルメタクリレート 1部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 19部 メタクリル酸 0.25部 t-ブチルパ−オキシ-2-エチルヘキサノエ−ト 2.5部 滴下終了後1時間110℃に保ち、攪拌を続けた。その
後、追加触媒としてアゾビスジメチルバレロニトリル
0.5部をキシレン14部に溶解させたものを1時間か
けて一定速度で滴下した。そして、滴下終了後1時間1
10℃に保ち、反応を終了した。得られたアクリル共重
合体溶液(B)は、不揮発分55.2%、ガ−ドナ−粘
度XYの均一で透明な溶液であり、該共重合体の重量平
均分子量は18,000、水酸基価は82mgKOH/
g、ガラス転移温度は56℃であった。
【0040】顔料分散ペーストの製造 上記製造例で得たアクリル樹脂溶液(B)を下記表2に
示す配合量で配合し、さらに「R5000U−3 」(商
品名、チバ・スペシャル・ケミカルズ社製、カーボンブ
ラック)、「BYK−160」(商品名、BYK−che
mie社製、顔料分散剤)、キシレン、酢酸ブチルを表
2に示す配合で加え、ディスパーで約20分間攪拌した
後、サンドミルで分散し、顔料分散ペースト(P1)、
(P2)を得た。
【0041】
【表2】
【0042】性能評価 実施例1〜3、及び比較例1〜3で得た各樹脂(A1)
〜(A6)について下記評価基準に従って、試験を行っ
た。結果を表3に示す。
【0043】1)顔料沈降性 450ccの分散容器に「イルガジンイエロー5GCF」
(商品名、チバ・スペシャル・ケミカルズ社製、顔料)
を12部、上記実施例、及び比較例で得た樹脂溶液(A
1)〜(A6)を100部、及びキシレン/酢酸ブチル
を重量比で40/60に混合した溶剤を46.5部仕込
んで十分混合した。次にさらに直径1mmのガラスビー
ズを300部加え、2時間ペイントシェーカーを用いて
分散した後、酢酸ブチルで5%に希釈し、各試験用分散
液を得た。各分散液をガラス製試験管に入れ、20℃で
48時間放置した後、下記基準により、顔料沈降性を評
価した。 ○:試験管の底に顔料沈降が全くないか、又は僅かに沈
降があっても試験管を10回上下に振ると再分散可能 △:試験管の底に顔料が沈降しており、試験管を10回
上下に振っても再分散が困難 ×:試験管の底に顔料が著しく沈降しており、試験管を
10回上下に振っても再分散不可能。
【0044】2)色安定性評価 上記実施例、及び比較例で得た各樹脂溶液(A1)〜
(A6)48.9部に対して分散ペースト(P1)を4
1.9部配合し、そこにキシレンを5.5部、酢酸ブチ
ルを3.7部加え、ディスパーで約20分間攪拌し、黒
色の塗料を作成した。分散ペースト(P2)についても
同様に操作を行った。各塗料について、塗装膜厚50μ
mとなるようにドクタ−ブレ−ドにてガラス板に塗装
し、下記評価基準にて漆黒性を評価した。
【0045】表中におけるBI値とはBLACKNES
S INDEXの略で、下記式で表されるものである。 BI値=(1−L*/3.5)×100 L*はJIS Z−8105に示される明度指数であ
り、BI値が高いほど漆黒性が良好である。 BI値100:完全な黒 BI値0:人の目で判断されるぎりぎりの黒さ BI値0未満:灰色。
【0046】目視評価 メタルハライドランプ光源下にて評価した。(○:漆黒
性良好、×:漆黒性不良)
【0047】
【表3】
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、セルロースアセテート
ブチレートの変性ビニル系共重合体に特定の4級アンモ
ニウム塩基、及びウレタン結合を導入することにより、
顔料分散安定性が向上する。また、該組成物を既存の顔
料分散ペーストに併用しても、分散ペーストの発色性や
透明性を損なうことなく良好な仕上り性を有する塗膜を
形成することができる。特に、カーボンブラック等の黒
色の顔料において顕著な効果が得られるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J027 AH03 AJ01 BA04 BA05 BA06 BA07 BA08 BA09 BA10 BA12 BA13 BA14 CB03 CB09 CC02 CD08 4J038 BA061 CR071 GA01 GA08 GA11 KA06 MA07 MA14 NA01 NA11 NA23 PA12 PB05 PB06 PB07 PB12 PC02 PC08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロースアセテートブチレート(i)
    と一分子中にイソシアネート基とビニル基を有する化合
    物(ii)を反応させて得られるビニル基含有セルロース
    アセテートブチレート(a)50〜90重量%、4級ア
    ンモニウム塩基含有ビニルモノマー(b)0.05〜
    5.0重量%、その他の重合性ビニルモノマー(c)4
    5〜9.95重量%を含む混合体を共重合せしめてなる
    4級アンモニウム塩基含有変性ビニル系共重合体(A)
    を含む塗料用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 セルロースアセテートブチレート(i)
    の数平均分子量が20,000〜100,000である
    請求項1に記載の塗料用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ビニル基含有セルロースアセテートブチ
    レート(a)がセルロースアセテートブチレート(i)
    量に対して一分子中にイソシアネート基と重合性不飽和
    基を有する化合物(ii)を1〜6重量%反応させて得ら
    れるものである請求項1または2に記載の塗料用樹脂組
    成物。
  4. 【請求項4】 その他の重合性ビニルモノマー(c)
    が、メチル(メタ)アクリレート及び/またはエチル
    (メタ)アクリレートを該重合性ビニルモノマー(c)
    全量中に75〜100重量%含む請求項1ないし3のい
    ずれか1項に記載の塗料用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 その他の重合性ビニルモノマー(c)
    が、炭素数が1〜4のアルキル基を有するヒドロキシ
    (メタ)アクリレートを該重合性ビニルモノマー(c)
    全量中に0〜25重量%含む請求項1ないし4のいずれ
    か1項に記載の塗料用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 4級アンモニウム塩基含有変性ビニル系
    共重合体(A)が下記式(1)で表される4級アンモニ
    ウム塩基を該変性ビニル系共重合体(A)固形分に対し
    て0.001〜0.05mol/Kg含有する請求項1
    ないし5のいずれか1項に記載の塗料用樹脂組成物。 【化1】 (式中、Xはハロゲン原子を示し、Rはアルキル基を示
    す。)
  7. 【請求項7】 4級アンモニウム塩基含有変性ビニル共
    重合体(A)の1級水酸基価が、該共重合体固形分に対
    し0.1〜25mgKOH/gである請求項1ないし6
    のいずれか1項に記載の塗料用樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 4級アンモニウム塩基含有変性ビニル共
    重合体(A)が、活性水素を有しない有機溶剤にセルロ
    ースアセテートブチレート(i)を溶解し、該セルロー
    スアセテートブチレート(i)の水酸基と一分子中にイ
    ソシアネート基と重合性不飽和基を有する化合物(ii)
    のイソシアネート基を反応させて得られるビニル基含有
    セルロースアセテートブチレート(a)溶液に、4級ア
    ンモニウム塩基含有ビニルモノマー(b)、その他の重
    合性ビニルモノマー(c)を含むビニルモノマー混合体
    を重合開始剤と共に滴下して共重合することにより製造
    されるものである請求項1記載の塗料用樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005087822A1 (ja) * 2004-03-11 2005-09-22 Nisshinbo Industries, Inc. 無溶剤型液状組成物
WO2020156740A1 (en) * 2019-01-29 2020-08-06 Tarkett Gdl Cellulose ester compositions for surface coverings

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