JP4125863B2 - 塗料用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、仕上がり外観、乾燥性、硬度に優れた塗膜を形成しうる、特にベースコート用として有用な塗料用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
従来、自動車の補修や、産業機械、建造物、構築物、家具(鋼製も含む)等の塗装、補修に際し、アクリルラッカ−、アクリルウレタン塗料、及びアミノアクリル樹脂塗料などが用いられており、特に自動車補修用塗料の分野では、常温乾燥性の点から、アクリルラッカ−、アクリルウレタン塗料が主に用いられている。この分野においては、ソリッド仕上げやメタリック仕上げ塗装があるが、近年、光輝顔料を含むメタリックベ−ス塗料、及びクリヤ−塗料を塗り重ねるメタリック仕上げが主流になっており、そのベ−スコ−トとしてラッカ−タイプの塗料が用いられる場合には、該ベ−スコ−トの乾燥性の点からポリエステル樹脂とセルロ−スアセテ−トブチレ−ト(CAB)をブレンドしたもの、アクリル樹脂にポリエステル樹脂とCABをブレンドしたもの等をビヒクル主成分とした塗料が採用されてきた。しかしながら、各成分の相溶性が不十分であるためにソリッド原色塗料の分散性が低下し、透明性などの仕上り性に悪影響を及ぼしたり、またメタリックベ−スにおいてはフキムラ、モドリムラが生じてやはり仕上り性が低下するなどの不具合があった。
【0003】
そうした問題の方策として例えば、特開平12−178500号公報にCABのグラフト共重合体、ポリエステル樹脂、及びアクリル樹脂を特定割合で使用してなる組成物が開示されている。この方法では、各成分の相溶性が向上し、メタリックベ−スにおいてもフキムラ、モドリムラが生じることなく、良好な仕上り性を有するが、ソリッド原色において、顔料分散ペーストの発色性、及び透明性が良好であってもCABのグラフト共重合体の組成によっては、塗料製造時に透明性、発色性が損なわれる(色安定性不良)という問題点があった。特に顔料としてカーボンブラック等の黒色顔料を使用した場合、その傾向が顕著であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、CABのグラフト共重合体に極性基として4級アンモニウム塩基、及びウレタン結合を導入することにより上記した課題を解決することを見出し、本発明に至った。
【0005】
即ち本発明は、
1、 セルロースアセテートブチレート(i)と一分子中にイソシアネート基とビニル基を有する化合物(ii)を反応させて得られるビニル基含有セルロースアセテートブチレート(a)50〜90重量%、4級アンモニウム塩基含有ビニルモノマー(b)0.05〜5.0重量%、その他の重合性ビニルモノマー(c)45〜9.95重量%を含む混合体を共重合せしめてなる4級アンモニウム塩基含有変性ビニル系共重合体(A)を含む塗料用樹脂組成物、
2、 セルロースアセテートブチレート(i)の数平均分子量が20,000〜100,000である1項に記載の塗料用樹脂組成物、
3、 ビニル基含有セルロースアセテートブチレート(a)がセルロースアセテートブチレート(i)量に対して一分子中にイソシアネート基と重合性不飽和基を有する化合物(ii)を1〜6重量%反応させて得られるものである1項または2項に記載の塗料用樹脂組成物、
4、 その他の重合性ビニルモノマー(c)が、メチル(メタ)アクリレート及び/またはエチル(メタ)アクリレートを該重合性ビニルモノマー(c)全量中に75〜100重量%含む1項ないし3項のいずれか1項に記載の塗料用樹脂組成物、
5、 その他の重合性ビニルモノマー(c)が、炭素数が1〜4のアルキル基を有するヒドロキシ(メタ)アクリレートを該重合性ビニルモノマー(c)全量中に0〜25重量%含む1項ないし4項のいずれか1項に記載の塗料用樹脂組成物、
6、 4級アンモニウム塩基含有変性ビニル系共重合体(A)が下記式(1)で表される4級アンモニウム塩基を該変性ビニル系共重合体(A)固形分に対して0.001〜0.05mol/Kg含有する1項ないし5項のいずれか1項に記載の塗料用樹脂組成物、
【0006】
【化2】
Figure 0004125863
【0007】
(式中、Xはハロゲン原子を示し、Rはアルキル基を示す。)
7、 4級アンモニウム塩基含有変性ビニル共重合体(A)の1級水酸基価が、該共重合体固形分に対し0.1〜25mgKOH/gである1項ないし6項のいずれか1項に記載の塗料用樹脂組成物、
8、 4級アンモニウム塩基含有変性ビニル共重合体(A)が、活性水素を有しない有機溶剤にセルロースアセテートブチレート(i)を溶解し、該セルロースアセテートブチレート(i)の水酸基と一分子中にイソシアネート基と重合性不飽和基を有する化合物(ii)のイソシアネート基を反応させて得られるビニル基含有セルロースアセテートブチレート(a)溶液に、4級アンモニウム塩基含有ビニルモノマー(b)、その他の重合性ビニルモノマー(c)を含むビニルモノマー混合体を重合開始剤と共に滴下して共重合することにより製造されるものである1項に記載の塗料用樹脂組成物、
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において4級アンモニウム塩基含有変性ビニル系共重合体(A)は、セルロースアセテートブチレート(i)と一分子中にイソシアネート基とビニル基を有する化合物(ii)を反応させて得られるビニル基含有セルロースアセテートブチレート(a)50〜90重量%、4級アンモニウム塩基含有ビニルモノマー(b)0.05〜5.0重量%、及びその他の重合性ビニルモノマー(c)9.95〜45重量%を含む混合体を共重合せしめてなるものである。
【0009】
セルロ−スアセテ−トブチレ−ト(i)は、セルロ−スの部分アセチル化物をさらにブチルエステル化して得られるセルロ−ス誘導体であり、好ましくはアセチル基含有量が一般に1〜30重量%で、ブチル基含有量が一般に16〜60重量%である。具体的には、例えば「CAB−381−0.5」、「CAB−381−0.1」、「CAB−381−2.0」、「CAB−551−0.2」(いずれも米国イ−ストマン・コダック社製、商品名)などが例示できる。
【0010】
本発明において、該セルロースアセテートブチレート(i)の数平均分子量は20,000〜100,000の範囲が好ましい。20,000未満では塗料製造時における色安定性が低下し、一方、100,000を超えると後述の他の樹脂との相溶性が不良となり好ましくない。
【0011】
一分子中にイソシアネート基とビニル基を有する化合物(ii)は、例えば、イソシアナトエチルアクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等のイソシアネート基含有ビニルモノマー、あるいはイソシアネート基を2個有する化合物とヒドロキシル基含有ビニルモノマーを等モルで付加反応して得られた生成物等が使用できる。
【0012】
イソシアネート基を2個有する化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環式系ジイソシアネート化合物、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物が挙げられる。
【0013】
ヒドロキシル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸のC2〜C8 ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。
【0014】
ジイソシアネート化合物とヒドロキシル基含有ビニルモノマーの反応は、必要に応じて、溶剤、ウレタン化触媒の存在下で反応温度80〜95℃で行うことができる。
【0015】
ビニル基含有セルロースアセテートブチレート(a)は、セルロースアセテートブチレート(i)量に対し、上記一分子中にイソシアネート基とビニル基を有する化合物(ii)を1〜6重量%反応させて得られるものが好適である。該化合物(ii)の量が1重量%未満では、成分(A)中に導入されるウレタン結合が減少するために塗料製造時に色安定性が低下し、一方、6重量%を超えると分子量が大きくなるために合成時、ゲル化するために好ましくない。
【0016】
4級アンモニウム塩基含有ビニルモノマー(b)は、例えば、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムブロマイド、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム(メタ)アクリレート、テトラメチルアンモニウム(メタ)アクリレート、トリメチルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムジメチルホスフェートなどが挙げられる。
【0017】
その他の重合性ビニルモノマー(c)は、従来公知のビニルモノマ−類から1種又は2種以上選択されてなるものであり、例えばメチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、ブチル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレ−トなどのアクリル酸、もしくはメタクリル酸のアルキルエステル、もしくはシクロアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−トなどの水酸基含有ビニルモノマ−;(メタ)アクリル酸、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレ−ト、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ−トなどが挙げられる。
【0018】
これらのうち、その他の重合性ビニルモノマー(c)として、メチル(メタ)アクリレート及び/またはエチル(メタ)アクリレートが該重合性ビニルモノマー(c)全量中に75〜100重量%含まれることがセルロ−スアセテ−トブチレ−ト(i)との相溶性や塗膜の硬度の点から好適である。メチルメタクリレ−ト及び/又はエチルメタクリレ−トの使用比率が75重量%未満では、該セルロ−スアセテ−トブチレ−ト(i)との相溶性が低下し、ビニル変性が困難になり、ワニスの濁りを生じる恐れがあるので望ましくない。
【0019】
また、上記その他の重合性ビニルモノマー(c)として、炭素数が1〜4のアルキル基を有するヒドロキシ(メタ)アクリレートを該重合性ビニルモノマー(c)全量中に0〜25重量%含むことが好適である。炭素数が1〜4のアルキル基を有するヒドロキシ(メタ)アクリレートが25重量%を超えるとセルロースアセテートブチレート(i)との相溶性が低下し、ビニル変性が困難になり、ワニスの濁りを生じる恐れがあるので好ましくない。
【0020】
上記ビニル基含有セルロースアセテートブチレート(a)、4級アンモニウム塩基含有ビニルモノマー(b)、及びその他の重合性ビニルモノマー(c)の共重合の比率は、ビニル基含有セルロースアセテートブチレート(a)が50〜90重量%、好ましくは60〜85重量%、4級アンモニウム塩基含有ビニルモノマー(b)が0.05〜5.0重量%、好ましくは0.1〜2.5重量%、及びその他の重合性ビニルモノマー(c)が9.95〜45重量%、好ましくは12.5〜39.9重量%の範囲が好適である。該(a)成分が50重量%未満であると、セルロースアセテートブチレート成分が減少するために乾燥性が低下し、一方、90重量%を越えると、塗料製造時における色安定性が低下するために好ましくない。該(b)成分が0.05重量%未満では、塗料製造時における色安定性が低下し、一方、5.0重量%を超えると該(a)成分、該(b)成分、及び該(c)成分同士の相溶性が低下し、ビニル変性が困難となり、ワニスの濁りを生じる恐れがあるので好ましくない。該(c)成分が9.95重量%未満では、該(a)成分、該(b)成分、及び該(c)成分同士の相溶性が低下し、ビニル変性が困難となり、また、後述の他の併用樹脂との相溶性低下により仕上がり性が低下するために好ましくない。一方、45重量%を超えると、セルロースアセテートブチレート成分が減少するために乾燥性が低下するために好ましくない。
【0021】
上記4級アンモニウム塩基含有変性ビニル系共重合体(A)は、下記式(1)で表される4級アンモニウム塩を該変性ビニル系共重合体(A)固形分に対して0.001〜0.05mol/Kg含有することが好適である。
【0022】
【化3】
Figure 0004125863
【0023】
(式中、Xはハロゲン原子を示し、Rはアルキル基を示す。)
上記4級アンモニウム塩量が0.001mol/Kg未満では、塗料製造時における色安定性が低下し、一方、0.05mol/Kgを超えると後述の他の併用樹脂との相溶性が低下するために好ましくない。また、該4級アンモニウム塩基含有変性ビニル系共重合体(A)の1級水酸基価は、該共重合体固形分に対し0.1〜25mgKOH/gであることが好適である。0.1mgKOH/g未満では架橋官能基が減少するために硬化性が低下し、一方、25mgKOH/gを超えると後述の他の併用樹脂との相溶性が低下するために好ましくない。
【0024】
本発明において4級アンモニウム塩基含有変性ビニル系共重合体(A)の製造方法は、例えば活性水素を有しない有機溶剤にセルロースアセテートブチレート(i)を溶解し、該セルロースアセテートブチレート(i)の水酸基と一分子中にイソシアネート基と重合性不飽和基を有する化合物(ii)のイソシアネート基を反応させて得られるビニル基含有セルロースアセテートブチレート(a)溶液に、4級アンモニウム塩基含有ビニルモノマー(b)、その他の重合性ビニルモノマー(c)を含むビニルモノマー混合体を重合開始剤と共に滴下して共重合する方法が挙げられる。
【0025】
ビニル基含有セルロースアセテートブチレート(a)製造時における好ましい有機溶剤としては、セルロースアセテートブチレートを溶解し、且つイソシアネート基に対して不活性なものが好適であり、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、3−メトキシブチルアセテート、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、アジピン酸ジオクチル、シュウ酸エチル、酒石酸ジブチル、クエン酸トリブチル、セバシン酸エステル、フタル酸エステル、エチレングリコールモノアセテート、酢酸セロソルブ、酢酸カルビトール等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤が挙げられ、これらの中から単独で、もしくは2種以上適宜選択して使用できる。
【0026】
上記ビニル基含有セルロースアセテートブチレート(a)、4級アンモニウム塩基含有ビニルモノマー(b)、及びその他の重合性ビニルモノマー(c)の共重合は、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンザンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエ−ト、ラウリルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物、α,α´−アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ化合物等のラジカル重合開始剤の存在下に、溶液重合法によって行なうことができる。
【0027】
このときの共重合の溶剤は、前述のエステル系溶剤、及びケトン系溶剤で列記した中から適宜選択して使用できるが、4級アンモニウム塩基含有ビニルモノマー(b)の溶解性を高め、また残存のイソシアネート基を反応させる目的でさらにアルコール系溶剤を適宜加えても良い。
【0028】
このように形成された4級アンモニウム塩基含有変性ビニル系共重合体(A)は、有機溶剤に対する溶解性や他の樹脂との相溶性が著しく優れている。さらには、分子中に極性基として4級アンモニウム塩基、及びウレタン結合を含むため、顔料分散樹脂として使用した場合に分散安定性に優れている。また、既存の顔料分散ペーストを使用した場合では、該樹脂(A)を塗膜形成成分として併用した際、顔料分散ペースト独自の透明性、発色性を維持することができる。尚、本発明においては、配合したセルロ−スアセテ−トブチレ−トの実質的に全てがビニルモノマ−混合物と共重合していることが望ましいが、少量のセルロ−スアセテ−トブチレ−ト、及びビニルモノマ−混合物が未反応のまま、該共重合体中に残存していても支障はない。
【0029】
本発明の樹脂組成物は、上記4級アンモニウム塩基含有変性ビニル系共重合体(A)を顔料分散用樹脂か、もしくは塗膜形成樹脂として含有するものであり、さらに、必要に応じて従来公知の塗料用樹脂や架橋剤を含有することができる。また、本発明の樹脂組成物を1液形として、あるいはポリイソシアネ−ト化合物等の架橋剤を併用して2液形塗料用として用いてもよい。
【0030】
上記本発明の樹脂組成物を用いて塗料を製造するにあたっては、必要に応じて着色顔料、体質顔料、金属粉顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、表面調整剤、顔料分散剤、硬化触媒などの塗料用添加剤等、それぞれの目的に応じて適宜選択し組み合わせて配合することができる。
【0031】
上記顔料を用いた顔料分散ペーストの作成には、上記樹脂(A)を分散樹脂として用いてもよいし、従来公知の顔料分散樹脂、例えばアミノ基や酸基を含有せしめてなるアクリル樹脂等を用いてもよい。
【0032】
このようにして得られた塗料は、基材面にベ−スコ−ト塗料を塗装し、次いでトップクリヤ−塗料を塗装する塗装仕上げ方法において、該ベ−スコ−ト塗料用として使用することが好適である。
【0033】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ここで「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。
【0034】
4級アンモニウム塩基含有変性ビニル系共重合体(A)の製造
実施例1
温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下ロートを備えた反応器に下記成分を仕込み、窒素ガス雰囲気下で加熱し、約4時間かけて110℃まで昇温した。
酢酸ブチル 600部
「CAB−381−0.5」(注1) 200部
110℃に昇温後、「CAB−381−0.5」が完全に溶解したことを確認した後、加熱を停止し、減圧下で酢酸ブチルを133部を留去させた。反応器内の温度は87℃であった。この温度を維持しながらイソホロンジイソシアネートと2ヒドロキシエチルアクリレートとの等mol付加反応物の90%酢酸ブチル溶液を11.1部、重合禁止剤としてp-t-ブチルカテコール0.02部、およびウレタン化触媒としてジブチルスズジラウレート0.02部を反応器に投入し、87℃で7時間、乾燥空気下で熟成させて、不飽和基含有セルロースアセテートブチレート溶液を得た。次いで、反応器内にn−ブタノールを15部を加え、反応温度を115℃に昇温し、下記のビニルモノマーと重合開始剤の混合溶液を2時間にわたって滴下した。
Figure 0004125863
滴下終了後、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートを0.5部、酢酸ブチル20部の混合溶液を1時間かけて滴下し、窒素雰囲気下で115℃で1時間熟成した。不揮発分30%、4級アンモニウム塩基含有量0.032mol/Kgの4級アンモニウム塩基含有変性ビニル系共重合体溶液(A1)を得た。
(注1)「CAB−381−0.5」:商品名、イーストマン・コダック社製、セルロースアセテートブチレート、数平均分子量30,000。
【0035】
実施例2、比較例1、2
実施例1において配合組成を下記表1に示す通りとする以外は実施例1と同様にして変性ビニル系共重合体溶液(A2)、(A4)及び(A5)を得た。
【0036】
実施例3、及び比較例3
実施例1において配合組成を下記表1に示すようにセルロースアセテートブチレートとして「CAB−381−2.0」を使用し、それを酢酸ブチル734.5部で溶解せしめる以外は実施例1と同様にして変性ビニル系共重合体溶液(A3)及び(A6)を得た。
【0037】
【表1】
Figure 0004125863
【0038】
(注2)「CAB−381−2.0」:商品名、イーストマン・コダック社製、セルロースアセテートブチレート、数平均分子量40,000。
【0039】
顔料分散用アクリル樹脂(B)の製造
温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下用ポンプを備えた反応器に、酢酸ブチル25部、キシレン43部を仕込み、攪拌しながら110℃まで昇温し、下記モノマ−混合物と重合開始剤の混合液を、110℃で約3時間かけて一定速度で滴下した。
イソブチルメタクリレート 59.75部
メチルメタクリレート 10部
n−ブチルアクリレート 10部
ジメチルアミノエチルメタクリレート 1部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 19部
メタクリル酸 0.25部
t-ブチルパ−オキシ-2-エチルヘキサノエ−ト 2.5部
滴下終了後1時間110℃に保ち、攪拌を続けた。その後、追加触媒としてアゾビスジメチルバレロニトリル0.5部をキシレン14部に溶解させたものを1時間かけて一定速度で滴下した。そして、滴下終了後1時間110℃に保ち、反応を終了した。得られたアクリル共重合体溶液(B)は、不揮発分55.2%、ガ−ドナ−粘度XYの均一で透明な溶液であり、該共重合体の重量平均分子量は18,000、水酸基価は82mgKOH/g、ガラス転移温度は56℃であった。
【0040】
顔料分散ペーストの製造
上記製造例で得たアクリル樹脂溶液(B)を下記表2に示す配合量で配合し、さらに「R5000U−3 」(商品名、チバ・スペシャル・ケミカルズ社製、カーボンブラック)、「BYK−160」(商品名、BYK−chemie社製、顔料分散剤)、キシレン、酢酸ブチルを表2に示す配合で加え、ディスパーで約20分間攪拌した後、サンドミルで分散し、顔料分散ペースト(P1)、(P2)を得た。
【0041】
【表2】
Figure 0004125863
【0042】
性能評価
実施例1〜3、及び比較例1〜3で得た各樹脂(A1)〜(A6)について下記評価基準に従って、試験を行った。結果を表3に示す。
【0043】
1)顔料沈降性
450ccの分散容器に「イルガジンイエロー5GCF」(商品名、チバ・スペシャル・ケミカルズ社製、顔料)を12部、上記実施例、及び比較例で得た樹脂溶液(A1)〜(A6)を100部、及びキシレン/酢酸ブチルを重量比で40/60に混合した溶剤を46.5部仕込んで十分混合した。次にさらに直径1mmのガラスビーズを300部加え、2時間ペイントシェーカーを用いて分散した後、酢酸ブチルで5%に希釈し、各試験用分散液を得た。各分散液をガラス製試験管に入れ、20℃で48時間放置した後、下記基準により、顔料沈降性を評価した。
○:試験管の底に顔料沈降が全くないか、又は僅かに沈降があっても試験管を10回上下に振ると再分散可能
△:試験管の底に顔料が沈降しており、試験管を10回上下に振っても再分散が困難
×:試験管の底に顔料が著しく沈降しており、試験管を10回上下に振っても再分散不可能。
【0044】
2)色安定性評価
上記実施例、及び比較例で得た各樹脂溶液(A1)〜(A6)48.9部に対して分散ペースト(P1)を41.9部配合し、そこにキシレンを5.5部、酢酸ブチルを3.7部加え、ディスパーで約20分間攪拌し、黒色の塗料を作成した。分散ペースト(P2)についても同様に操作を行った。各塗料について、塗装膜厚50μmとなるようにドクタ−ブレ−ドにてガラス板に塗装し、下記評価基準にて漆黒性を評価した。
【0045】
表中におけるBI値とはBLACKNESS INDEXの略で、下記式で表されるものである。
BI値=(1−L*/3.5)×100
*はJIS Z−8105に示される明度指数であり、BI値が高いほど漆黒性が良好である。
BI値100:完全な黒
BI値0:人の目で判断されるぎりぎりの黒さ
BI値0未満:灰色。
【0046】
目視評価
メタルハライドランプ光源下にて評価した。(○:漆黒性良好、×:漆黒性不良)
【0047】
【表3】
Figure 0004125863
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、セルロースアセテートブチレートの変性ビニル系共重合体に特定の4級アンモニウム塩基、及びウレタン結合を導入することにより、顔料分散安定性が向上する。また、該組成物を既存の顔料分散ペーストに併用しても、分散ペーストの発色性や透明性を損なうことなく良好な仕上り性を有する塗膜を形成することができる。特に、カーボンブラック等の黒色の顔料において顕著な効果が得られるものである。

Claims (8)

  1. セルロースアセテートブチレート(i)と一分子中にイソシアネート基とビニル基を有する化合物(ii)を反応させて得られるビニル基含有セルロースアセテートブチレート(a)50〜90重量%、4級アンモニウム塩基含有ビニルモノマー(b)0.05〜5.0重量%、その他の重合性ビニルモノマー(c)45〜9.95重量%を含む混合体を共重合せしめてなる4級アンモニウム塩基含有変性ビニル系共重合体(A)を含む塗料用樹脂組成物。
  2. セルロースアセテートブチレート(i)の数平均分子量が20,000〜100,000である請求項1に記載の塗料用樹脂組成物。
  3. ビニル基含有セルロースアセテートブチレート(a)がセルロースアセテートブチレート(i)量に対して一分子中にイソシアネート基と重合性不飽和基を有する化合物(ii)を1〜6重量%反応させて得られるものである請求項1または2に記載の塗料用樹脂組成物。
  4. その他の重合性ビニルモノマー(c)が、メチル(メタ)アクリレート及び/またはエチル(メタ)アクリレートを該重合性ビニルモノマー(c)全量中に75〜100重量%含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の塗料用樹脂組成物。
  5. その他の重合性ビニルモノマー(c)が、炭素数が1〜4のアルキル基を有するヒドロキシ(メタ)アクリレートを該重合性ビニルモノマー(c)全量中に0〜25重量%含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の塗料用樹脂組成物。
  6. 4級アンモニウム塩基含有変性ビニル系共重合体(A)が下記式(1)で表される4級アンモニウム塩基を該変性ビニル系共重合体(A)固形分に対して0.001〜0.05mol/Kg含有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の塗料用樹脂組成物。
    Figure 0004125863
    (式中、Xはハロゲン原子を示し、Rはアルキル基を示す。)
  7. 4級アンモニウム塩基含有変性ビニル共重合体(A)の1級水酸基価が、該共重合体固形分に対し0.1〜25mgKOH/gである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の塗料用樹脂組成物。
  8. 4級アンモニウム塩基含有変性ビニル共重合体(A)が、活性水素を有しない有機溶剤にセルロースアセテートブチレート(i)を溶解し、該セルロースアセテートブチレート(i)の水酸基と一分子中にイソシアネート基と重合性不飽和基を有する化合物(ii)のイソシアネート基を反応させて得られるビニル基含有セルロースアセテートブチレート(a)溶液に、4級アンモニウム塩基含有ビニルモノマー(b)、その他の重合性ビニルモノマー(c)を含むビニルモノマー混合体を重合開始剤と共に滴下して共重合することにより製造されるものである請求項1記載の塗料用樹脂組成物。
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