JP4106250B2 - 調色用顔料分散ペースト組成物およびその用途 - Google Patents

調色用顔料分散ペースト組成物およびその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、各種コーティング用途において各種塗料の調色に共用しうる調色用顔料分散ペースト組成物、およびこれを用いた着色塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種塗料の調色に共用する調色用顔料分散ペースト組成物を用いて調色する際には、対象塗料成分との親和性の問題から、着色顔料濃度のできるだけ高いペースト組成物を添加して、目的とする色調を出すようにすればよいことが知られている。しかし、現実には、着色顔料濃度の高いペースト組成物を用いると、ペースト組成物の初期粘度が高くなり、調色時の作業性を悪化させると同時に、ペースト組成物の貯蔵安定性を悪化させ、経時的に、分離やさらなる増粘や顔料凝集を生じるといった問題があった。さらに、着色顔料濃度の高いペースト組成物を用いて着色塗料を調色する場合、ペースト組成物中の顔料分散状態が不安定なため、耐凝集性に劣り、結果として鮮明な色調、高透明性、高光沢、高着色力、高平滑性などの塗料性能や塗膜性能が得られないことがあった。
【0003】
このように、従来の各種塗料の調色に共用する調色用顔料分散ペースト組成物では、顔料濃度に限界があり、その向上を図ることが要望されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、高い着色顔料濃度であっても、初期粘度を低く保持することができ、しかも良好な貯蔵安定性を備え、調色の際の耐凝集性にも優れた調色用顔料分散ペースト組成物、およびこれを用いた着色塗料組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、特定のSP値を有する顔料分散用アクリルポリオールと、変性前のアクリル樹脂成分のSP値が前記アクリルポリオールのSP値と特定の関係を満足する特定範囲である硝化綿変性アクリル樹脂と、顔料分散剤とを必須とし、かつ、前記各成分の含有量を特定範囲とすることにより、前記課題を一挙に解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明にかかる調色用顔料分散ペースト組成物は、着色顔料(A)とともに、顔料分散用アクリルポリオール(B)、硝化綿変性アクリル樹脂(C)および顔料分散剤(D)を含む組成物であって、前記顔料分散用アクリルポリオール(B)のSP値(SP−b)が10.20〜10.80であり、前記硝化綿変性アクリル樹脂(C)の変性前のアクリル樹脂成分のSP値(SP−c)が10.00〜10.50であり、かつ該(SP−b)と(SP−c)とが下記式(1)を満足するとともに、
0≦(SP−b)−(SP−c)≦0.52 (1)
前記顔料分散用アクリルポリオール(B)、硝化綿変性アクリル樹脂(C)および顔料分散剤(D)の固形分総量を100重量部としたときに、顔料分散用アクリルポリオール(B)の固形分量が75〜99重量部、硝化綿変性アクリル樹脂(C)の固形分量が0.5〜25重量部、顔料分散剤(D)の固形分量が0.5〜15重量部となっている、ことを特徴とする。
【0006】
本発明にかかる着色塗料組成物は、前記本発明の調色用顔料分散ペースト組成物を含有する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の調色用顔料分散ペースト組成物は、着色顔料(A)とともに、顔料分散用アクリルポリオール(B)、硝化綿変性アクリル樹脂(C)および顔料分散剤(D)を含むものである。
本発明において用いることのできる着色顔料(A)としては、特に制限はなく、従来公知のあらゆる有機顔料および無機顔料を用いることができる。例えば、有機顔料としては、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ポリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体系顔料等が挙げられ、無機顔料としては、酸化チタン系顔料、カーボンブラック系顔料、酸化鉄系顔料、黄鉛系顔料等が挙げられる。
【0008】
本発明において、前記顔料分散用アクリルポリオール(B)は、そのSP値(SP−b)が10.20〜10.80であることが重要である。顔料分散用アクリルポリオール(B)のSP値(SP−b)が前記範囲を外れると、初期粘度が高くなったり、貯蔵中に分離、増粘、顔料凝集を生じるなど貯蔵安定性が悪化したりすることとなる。なお、該(SP−b)は、前記範囲であることと同時に、後述するように、(SP−c)と式(1)を満足する関係になっていることが重要である。
なお、本発明におけるSP値(Solubility Parameter)とは、いわゆる溶解性パラメータと呼ばれるものであって、樹脂の親水性または疎水性の度合いを示す尺度であり、また、樹脂間の相溶性を判断するうえでも重要となる尺度のことである。本発明においては、アクリルポリオールもしくはアクリル樹脂成分を構成する各モノマーのホモポリマーのSP値を測定し、得られた値を各モノマーのSP値とし、該各モノマーのSP値に各モノマーの構成比率(重量比)を乗じた値を合算して算出される値であると定義する。なお、各モノマーのホモポリマーSP値の測定は、Suh and Clarke,J.Polym.Sci.,A-1,第1671−1681頁,1967年に記載の濁点滴定法に準じて行うものとする。
【0009】
本発明において用いることのできる顔料分散用アクリルポリオール(B)としては、そのSP値が前記範囲であるものであれば特に制限はなく、例えば、ヒドロキシル基含有アクリルモノマーと必要に応じて他のエチレン性不飽和モノマーとをアゾ系やパーオキサイド系等の重合開始剤を用いて常法にて共重合することにより得られるものを用いることができる。ヒドロキシル基含有アクリルモノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、他のエチレン性不飽和モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等のアルキル(メタ)アクリレート類;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。前記顔料分散用アクリルポリオール(B)は、好ましくは低粘度であることが望ましい。なお、顔料分散用アクリルポリオール(B)は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
【0010】
本発明において、前記硝化綿変性アクリル樹脂(C)は、該樹脂の変性前のアクリル樹脂成分のSP値(SP−c)が10.00〜10.50であるものであることが重要である。変性前のアクリル樹脂成分のSP値(SP−c)が前記範囲を外れると、初期粘度が高くなったり、貯蔵安定性が悪化し、貯蔵中に分離、増粘、顔料凝集を生じたりすることとなる。なお、該(SP−c)は、前記範囲であることと同時に、後述するように、(SP−b)と式(1)を満足する関係になっていることが重要である。
本発明において用いることのできる硝化綿変性アクリル樹脂(C)としては、その変性前のアクリル樹脂成分のSP値が前記範囲であるものであれば特に制限はなく、例えば、イソシアネートを反応させた硝化綿による変性など、常法にてアクリル樹脂を硝化綿変性することにより得られるものを用いることができる。なお、硝化綿変性アクリル樹脂(C)は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
【0011】
前記硝化綿変性アクリル樹脂(C)の変性率については、特に制限はないが、好ましくは、変性前のアクリル樹脂成分の樹脂固形分に対し、固形分で1〜8重量%の硝化綿が変性されているのが望ましい。変性された硝化綿が1重量%未満であると、初期粘度が高くなるおそれがあり、一方、8重量%を越えると、初期粘度が高くなるとともに、経時的に増粘する傾向があり、貯蔵安定性が低下するおそれがある。
変性前のアクリル樹脂成分としては、例えば、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー等(具体的には、例えば、前記アクリルポリオールの構成モノマーとして例示したモノマー等)をアゾ系やパーオキサイド系の重合開始剤を用いて常法にて重合することにより得られるものを用いることができる。また、前記硝化綿としては、特に制限はないが、好ましくは、JIS−K−6703に従って測定される粘度が1/60秒〜1/4秒のものを用いるのがよい。なお、変性前のアクリル樹脂成分および硝化綿ともに、2種以上のものが併用されてもよい。
【0012】
本発明においては、前記顔料分散用アクリルポリオール(B)のSP値(SP−b)と、前記硝化綿変性アクリル樹脂(C)の変性前のアクリル樹脂成分のSP値(SP−c)とが、下記式(1)を満足することが重要である。
0≦(SP−b)−(SP−c)≦0.52 (1)
すなわち、(SP−b)が(SP−c)と同等以上であり、かつ(SP−b)と(SP−c)とその差が0.52以下であることが重要となる。(SP−b)が(SP−c)よりも小さい場合(0>(SP−b)−(SP−c))、あるいは(SP−b)と(SP−c)とその差が0.52を超える場合((SP−b)−(SP−c)>0.52)には、顔料濃度を上げるにつれて初期粘度が高くなったり、貯蔵安定性が悪化し、貯蔵中に分離、増粘、顔料凝集を生じたりすることとなる。
【0013】
本発明において用いることのできる前記顔料分散剤(D)としては、特に制限はなく、塩基性高分子顔料分散剤、両性低分子顔料分散剤もしくは両性高分子顔料分散剤など従来公知の顔料分散剤を用いることができる。特に、本発明においては、アミン価5〜25KOHmg/gの塩基性高分子顔料分散剤、および/または、酸価50〜150KOHmg/gかつアミン価50〜100KOHmg/gの両性低分子顔料分散剤もしくは両性高分子顔料分散剤が好ましい。塩基性高分子顔料分散剤のアミン価や、両性低分子顔料分散剤もしくは両性高分子顔料分散剤の酸価およびアミン価が前記範囲を外れると、初期粘度が高くなったり、貯蔵安定性や調色の際の耐凝集性が悪化したりする場合がある。
【0014】
本発明において好ましく用いることのできる前記塩基性高分子顔料分散剤の市販品としては、例えば、ビックケミー社製「Disperbyk−160,161,162,163,164,166,182」等が挙げられる。また、本発明において好ましく用いることのできる前記両性低分子顔料分散剤もしくは両性高分子顔料分散剤の市販品としては、例えば、ビックケミー社製「Disperbyk、Disperbyk−140,106」等が挙げられる。なお、顔料分散剤(D)は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
本発明においては、前記顔料分散用アクリルポリオール(B)、硝化綿変性アクリル樹脂(C)および顔料分散剤(D)の固形分総量を100重量部としたときに、顔料分散用アクリルポリオール(B)の固形分量が75〜99重量部、好ましくは75〜90重量部であり、硝化綿変性アクリル樹脂(C)の固形分量が0.5〜25重量部、好ましくは0.5〜20重量部であり、顔料分散剤(D)の固形分量が0.5〜15重量部であることが重要である。顔料分散用アクリルポリオール(B)、硝化綿変性アクリル樹脂(C)、顔料分散剤(D)の固形分量のうちのいずれかが前記範囲を外れると、初期粘度が高くなったり、貯蔵安定性が悪化したり、調色の際の耐凝集性が低下したりする。
【0015】
本発明の調色用顔料分散ペースト組成物は、前記着色顔料(A)の含有量が高くても、初期粘度を低く保持することができ、良好な貯蔵安定性を備え、調色の際の耐凝集性にも優れるものであるので、本発明の顔料分散ペースト組成物中に占める前記着色顔料(A)の含有量は、特に制限されるものではなく、着色顔料の種類等に応じて適宜所望の量に設定することができる。また、本発明の顔料分散ペースト組成物中に占める前記顔料分散用アクリルポリオール(B)、前記硝化綿変性アクリル樹脂(C)および前記顔料分散剤(D)の含有量についても、これらの固形分総量に対する各固形分量の割合が前述の範囲を満足していれば、特に制限はなく、着色顔料(A)の含有量に応じて適宜設定すればよい。
【0016】
本発明の調色用顔料分散ペースト組成物は、さらに、顔料誘導体(E)をも含むことが好ましい。顔料誘導体(E)をも含有することにより、分散ペースト組成物の初期粘度をより低くすることができる。顔料誘導体(E)をも含有する場合、その含有量は、特に制限されないが、組成物の全固形分中2.0重量%以下とすることが好ましい。2.0重量%を超えると、目的とする色相が得られなくなる場合があり、また、経済的な面でも不利となる。
前記顔料誘導体(E)として用いることのできる市販品としては、例えば、アビシア・ピグメンツ&アディティブス社製「ソルスパース−5000、6000、12000、22000」等が挙げられる。なお、顔料誘導体(E)は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
【0017】
本発明の調色用顔料分散ペースト組成物は、さらに、有機溶媒を含むものであってもよい。有機溶媒としては、特に制限はないが、例えば、トルエン、キシレン、石油系混合溶剤等の芳香族炭化水素類;エタノール、ブタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド等の窒素化合物類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;等が挙げられる。なお、有機溶媒は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。また、有機溶媒の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定すればよいが、例えば、組成物中10〜45重量%とするのがよい。
【0018】
本発明の調色用顔料分散ペースト組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに他の添加物を含有していてもよい。
本発明の調色用顔料分散ペースト組成物は、前述した各成分を、例えば、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ニーダー、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等の公知の装置を用いて、混合・分散させることにより、調製することができる。このとき、各成分の混合順序については、特に制限はなく、任意の順序で混合していけばよいが、前記混合・分散装置で分散する前に、あらかじめ全成分を予備混合しておくことが好ましい。
【0019】
本発明の調色用顔料分散ペースト組成物は、例えば、アルキッド樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、フッ素樹脂系、ニトロセルロース系、セルロースアセテートブチレート系など従来公知の種々の塗料に適用することができる。
本発明の着色塗料組成物は、前記本発明の調色用顔料分散ペースト組成物を含有するものである。本発明の調色用顔料分散ペースト組成物により調色することにより、ピグメントショックを受けることなく、鮮明な色調、高透明性、高光沢性、高着色力、高平滑性を発揮させることができる塗料組成物となり、例えば、ラッカー、二液塗料、焼付塗料、ソリッドカラー塗料、メタリック塗料、マイカ塗料等の用途において好適に用いることができる。
【0020】
本発明の着色塗料組成物は、前述した各種塗料のベース材料に、原色として前記調色用顔料分散ペースト組成物の1種または2種以上を常法にて配合することにより得られるものである。なお、本発明の着色塗料組成物に占める前記調色用顔料分散ペースト組成物の配合割合は、特に制限されるものではなく、所望の色調になるように適宜設定すればよい。
なお、本発明の着色塗料組成物は、そのままで最終製品である塗料となるものであってもよいし、さらに他の添加物が配合されることにより塗料となる中間製品であってもよい。
【0021】
【実施例】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
(製造例1−アクリルポリオール(AC−1)の製造)
4つ口フラスコに、酢酸アミルエステル90.0重量部を仕込み、攪拌下145℃に昇温した。次いで、メタアクリル酸メチル(MMA)34.5重量部、メタアクリル酸イソブチル(iBMA)39.1重量部、n−アクリル酸ブチル(nBA)17.1重量部、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル(2HEMA)9.3重量部からなる単量体成分、およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート11.0重量部を3時間かけて滴下し、30分間同温度を維持した後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.1重量部と酢酸アミルエステル10.0重量部とを1時間かけて滴下し、1.5時間同温度を維持した。その後、同温度で酢酸アミルエステル54重量部を留去して、アクリルポリオール(AC−1)を得た。
【0022】
得られたアクリルポリオール(AC−1)の各物性(SP値(SP−b)、重量平均分子量(Mw)、固形分(NV)、粘度(Vis)、ガラス転移点(Tg)、水酸基価(OHV)、酸価(AV))を表1に示す。なお、SP値(SP−b)については、用いた各単量体成分のホモポリマーのSP値(濁点滴定法による測定値)を各モノマーのSP値とし、該各モノマーのSP値に各モノマーの構成比率(重量比)を乗じた値を合算して算出し、粘度(Vis)については、JIS−K5600−2−2−4のガードナー形泡粘度計法に準じて25℃で測定し、その他の物性については通常の方法で測定した。
【0023】
(製造例2〜5−アクリルポリオール(AC−2)〜(AC−5)の製造)
製造例1における単量体成分の使用量を表1に示すように変更したこと以外は、製造例1と同様にして、アクリルポリオール(AC−2)〜(AC−5)を得た。なお、製造例1で用いた単量体成分以外の単量体成分としては、メタクリル酸(MAA)を用いた。また、製造例2においては、単量体成分とともに先に滴下したt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの量を11.0重量部から9.0重量部に変更した。
得られたアクリルポリオール(AC−2)〜(AC−5)の各物性について、製造例1と同様に表1に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0004106250
【0025】
(製造例6−硝化綿変性アクリル樹脂(ACG−1)の製造)
4つ口フラスコに、トルエン40.0重量部および酢酸ブチル50.0重量部を仕込み、攪拌下105℃に昇温した。次いで、メタアクリル酸メチル(MMA)16.3重量部、スチレン(ST)25.7重量部、メタアクリル酸イソブチル(iBMA)43.9重量部、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル(2HEMA)13.9重量部、メタアクリル酸(MAA)0.2重量部からなる単量体成分、およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.2重量部を3時間かけて滴下し、30分間同温度を維持した後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.0重量部とトルエン10.0重量部とを1時間かけて滴下し、1時間同温度を維持し、アクリル樹脂を得た。その後、70℃に冷却した後、後述のようにして別途調製した硝化綿・NCO反応生成物(NC−1)35.4重量部を添加し、80℃に昇温して、同温度で4時間反応させることにより硝化綿変性し、硝化綿変性アクリル樹脂(ACG−1)を得た。
【0026】
前記硝化綿・NCO反応生成物(NC−1)は、4つ口フラスコに、1/60秒硝化綿チップ20.0重量部、キシレン20.0重量部、酢酸ブチル60.0重量部、イソホロンジイソシアネート1.0重量部、およびジブチル錫ジラウレート0.1重量部を仕込み、80℃で4時間反応させることにより、固形分20%のワニス溶液として調製した。
得られた硝化綿変性アクリル樹脂(ACG−1)の各物性(変性前のアクリル樹脂成分のSP値(SP−c)、変性前のアクリル樹脂成分のガラス転移点(Tg)、変性前のアクリル樹脂成分の水酸基価(OHV)、変性前のアクリル樹脂成分の酸価(AV)、固形分(NV)、および粘度(Vis))を表2に示す。なお、変性前のアクリル樹脂成分のSP値(SP−c)については、変性前のアクリル樹脂を得る際に用いた各単量体成分のホモポリマーのSP値(濁点滴定法による測定値)を各モノマーのSP値とし、該各モノマーのSP値に各モノマーの構成比率(重量比)を乗じた値を合算して算出し、粘度(Vis)については、JIS−K5600−2−2−4のガードナー形泡粘度計法に準じて25℃で測定し、その他の物性については通常の方法で測定した。
【0027】
(製造例7〜9−硝化綿変性アクリル樹脂(ACG−2)〜(ACG−4)の製造)
製造例6における単量体成分および硝化綿・NCO反応生成物(NC−1)の使用量を表2に示すように変更したこと以外は、製造例6と同様にして、硝化綿変性アクリル樹脂(ACG−2)〜(ACG−4)を得た。なお、製造例6で用いた単量体成分以外の単量体成分としては、アクリル酸n−ブチル(nBA)を用い、製造例9においては、硝化綿・NCO反応生成物(NC−1)の代わりに、後述のようにして別途調製した硝化綿・NCO反応生成物(NC−2)を用いた。
【0028】
前記硝化綿・NCO反応生成物(NC−2)は、硝化綿・NCO反応生成物(NC−1)の調製と同様の方法において、1/60秒硝化綿チップの代わりに1/4秒硝化綿チップを用いることのみを変更して、固形分20%のワニス溶液として調製した。
得られた硝化綿変性アクリル樹脂(ACG−2)〜(ACG−4)の各物性について、製造例6と同様に表2に示す。
【0029】
【表2】
Figure 0004106250
【0030】
(実施例1〜12および比較例1〜10)
表3〜6に示す配合成分(着色顔料、アクリルポリオール、硝化綿変性アクリル樹脂、顔料分散剤、顔料誘導体、有機溶媒としてキシレンおよびメチルイソブチルケトン(MIBK))を、表3〜6に示す配合量(重量部)で予め予備混合し、直径1.2mmのガラスビーズを容積充填率85%となるように充填した容量0.6Lのビーズミルに、前記混合物を50g/分の流量で表3〜6に示す回数だけパスさせて、調色用顔料分散ペースト組成物を得た。
なお、実施例および比較例で用いた配合成分のうち、アクリルポリオールおよび硝化綿変性アクリル樹脂については、前記製造例で得られたものを用い、着色顔料、顔料分散剤、および顔料誘導体については、下記のものを用いた。なお、表中においては、それぞれ下記の略号にて表記した。
【0031】
・着色顔料;
A−1:「リオノールグリーン6YKP-N」東洋インキ製造社製
A−2:「シンカシアレッドYRT-759D」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
A−3:「ノパパームレッドF3RK-70」クラリアント・ジャパン社製
A−4:「フォスタパームエローH3G」クラリアント・ジャパン社製
A−5:「イルガジンDPPレッドBO」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
A−6:「イルガカラーエロー2GLMA」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
A−7:「ペリントマルーンR6424」バイエル・ジャパン社製
A−8:「シコトランスエローL-1916」BASF・ジャパン社製
A−9:「超微粒子チタンTTO-55B」石原産業社製
A−10:「モノライトブルー3R」アビシア・ピグメンツ&アディティブス社製
A−11:「カーボンブラックモナーク1300」キャボット・スペシャルティ・ジャパン社製
A−12:「酸化チタンCR-97」石原産業社製
・顔料分散剤;
BYK−163:塩基性高分子顔料分散剤「Disperbtk-163」ビック・ケミー社製
(アミン価10KOHmg/g)
BYK−140:両性高分子顔料分散剤「Disperbtk-140」ビック・ケミー社製
(酸価72KOHmg/g、アミン価76KOHmg/g)
・顔料誘導体;「ソルスパース-5000」アビシア・ピグメンツ&アディティブス社製
また、得られた調色用顔料分散ペースト組成物については、それぞれ下記のようにして物性測定および評価を行った。結果は表3〜6に示す。
【0032】
<初期粘度(KU値)> JIS−K5600−2−2−5のストーマー粘度計法に準じて測定した。
<貯蔵安定性> 得られた調色用顔料分散ペースト組成物を50℃で10日間維持したときのペースト状態を目視にて観察して、以下のように判定した。
○:分離、増粘、顔料凝集などの異常が認められない。
×:分離、増粘、顔料凝集などの異常が認められる。
<耐凝集性> 得られた調色用顔料分散ペースト組成物30gを、メタリック塗料(「R−241」日本ビー・ケミカル社製)100gに混合し、1時間後の塗料状態を目視にて観察して、以下のように判定した。
○:顔料の凝集、色相変化、着色力変化などの異常が認められない。
×:顔料の凝集、色相変化、着色力変化などの異常が認められる。
【0033】
【表3】
Figure 0004106250
【0034】
【表4】
Figure 0004106250
【0035】
【表5】
Figure 0004106250
【0036】
【表6】
Figure 0004106250
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、高い着色顔料濃度であっても、初期粘度を低く保持することができ、しかも良好な貯蔵安定性を備え、調色の際の耐凝集性にも優れた調色用顔料分散ペースト組成物、およびこれを用いた着色塗料組成物を提供することができる。

Claims (4)

  1. 着色顔料(A)とともに、顔料分散用アクリルポリオール(B)、硝化綿変性アクリル樹脂(C)および顔料分散剤(D)を含む組成物であって、
    前記顔料分散用アクリルポリオール(B)のSP値(SP−b)が10.20〜10.80であり、前記硝化綿変性アクリル樹脂(C)の変性前のアクリル樹脂成分のSP値(SP−c)が10.00〜10.50であり、かつ該(SP−b)と(SP−c)とが下記式(1)を満足するとともに、
    0≦(SP−b)−(SP−c)≦0.52 (1)
    前記顔料分散用アクリルポリオール(B)、硝化綿変性アクリル樹脂(C)および顔料分散剤(D)の固形分総量を100重量部としたときに、顔料分散用アクリルポリオール(B)の固形分量が75〜99重量部、硝化綿変性アクリル樹脂(C)の固形分量が0.5〜25重量部、顔料分散剤(D)の固形分量が0.5〜15重量部となっている、
    ことを特徴とする調色用顔料分散ペースト組成物。
  2. 前記顔料分散剤(D)が、アミン価5〜25KOHmg/gの塩基性高分子顔料分散剤、および/または、酸価50〜150KOHmg/gかつアミン価50〜100KOHmg/gの両性低分子顔料分散剤もしくは両性高分子顔料分散剤である、請求項1に記載の調色用顔料分散ペースト組成物。
  3. さらに、顔料誘導体(E)をも含む、請求項1または2に記載の調色用顔料分散ペースト組成物。
  4. 請求項1から3までのいずれかに記載の調色用顔料分散ペースト組成物を含有する、着色塗料組成物。
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