JP2002127192A - 射出成形用金型及び射出成形方法 - Google Patents

射出成形用金型及び射出成形方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軟質樹脂からなり、複雑な形状を有する射出
成形品であっても、金型から容易にかつ円滑に取り出す
ことを可能とする射出成型用金型を得る。 【解決手段】 可動型3と固定型4とを備え、可動型3
と固定型4とが分離された際に可動型3に射出成型品1
が保持されるように、可動型3と固定型4とを結ぶ方向
の中間位置に相対的に横断面積が異なる異形部としての
細幅部8aを有する突起8が可動型3に設けられてお
り、射出成型品1を可動型3の係止部としての突起8か
ら離脱させるように、可動型側に、可動型3と独立に固
定型4側に移動可能に構成されている突出しピン7が設
けられている、射出成型用金型。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形用金型及
び射出成形方法に関し、より詳細には、離型性が充分で
ない軟質樹脂の射出成形に好適に用いることができる、
射出成形用金型及び射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、可動型と固定型とを備える射出用
成形金型を用い、様々な樹脂からなる射出成形品が得ら
れている。射出成形に際しては、可動型と固定型とが当
接された際に、両者の間に形成される空間に溶融樹脂が
注入され、成形が行なわれる。成形後に、可動型と固定
型とを離間させ、射出成形品が取り出される。
【0003】従来、成形後に射出成形品を金型から円滑
に取り出すために、射出成形品の離型性の向上が図られ
ていた。例えば、可動型及び固定型の射出成形品と接す
る面に、フッ化エチレン樹脂やシリコーン樹脂を塗布す
る方法が用いられていた。また、射出成形用金型にシボ
加工を施す方法も用いられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フッ化
エチレン樹脂やシリコーン樹脂等の離型性向上剤を塗布
する方法や、金型にシボ加工を施す方法では、離型性は
一応高められるものの、成形品の形状が複雑な場合や、
軟質塩化ビニル樹脂のような軟質樹脂からなる射出成形
品の場合には、金型から射出成形品を安定に離型するこ
とが困難であった。
【0005】特に、軟質塩化ビニル樹脂のような軟質樹
脂からなり、かつ形状が複雑な成形品の場合には、金型
から射出成形品を離型する際に、射出成形品の表面に損
傷を与えることなく円滑に離型することが困難であっ
た。加えて、可動型と固定型とを離間させた場合、射出
成形品が可動型に付着していたり、固定型に付着してい
たりし、固定型及び可動型の一方に安定に付着していな
かった。従って、成形品の取り出し作業が煩雑であっ
た。
【0006】本発明の目的は、上述した従来技術の欠点
を解消し、軟質樹脂からなり、形状が複雑な射出成形品
を得る場合であっても、成形後に射出成形品を安定にか
つ容易に離型することができ、さらに可動型と固定型を
離間させた際に、射出成形品を一方の型に確実に保持さ
せ、従って、成形品の取り出しを容易に行ない得る射出
成形用金型及び射出成形方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の発明は、
可動型と固定型とを備え、可動型と固定型とが当接され
た際に、両者の空間に溶融樹脂が射出されて成形が行わ
れる射出成形用金型において、可動型と固定型とが分離
された際に可動型に射出成形品が係止されるように、前
記可動型に、可動型と固定型とを結ぶ方向の中間位置に
相対的に横断面積が異なる異形部分を有する係止部が形
成されており、前記射出成形品を可動型の係止部から離
脱させるように、前記可動型側に設けられた少なくとも
一本の突出しピンをさらに備え、前記突出しピンが、前
記可動型とは独立して固定型側に稼動可能に構成されて
いることを特徴とする、射出成形用金型である。
【0008】本発明に係る射出成形用金型に係る特定の
局面では、前記係止部が、可動型から固定型へ突出され
ている突起であって、突出方向中間に相対的に横断面積
の小さい細幅部を有するように構成されている。
【0009】本発明に係る射出成形用金型に係るさらに
他の特定の局面では、前記可動型が、前記固定型側に突
出されており、可動型の残りの部分とは独立して移動し
得るコアピンをさらに備える。
【0010】本発明に係る射出成形方法は、軟質樹脂か
らなる射出成形品の成形方法であって、本発明に従って
構成された射出成形用金型を用意する工程と、射出成形
用金型の可動型と固定型とを当接させて型締めを行なう
工程と、型締めされた射出用成金型の可動型と固定型と
の間の空間に溶融樹脂を注入し、固化し、射出成形品を
成形する工程と、固定型から可動型を遠ざかる方向に移
動させ、係止部により射出成形品を可動型に保持する工
程と、可動型に保持された射出成形品を突出しピンを固
定型側に移動させることにより可動型から取り外す工程
とを備えることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る射出成形用金
型及び射出成形方法を、具体的な実施例に基づき説明す
る。
【0012】図3(a),(b)は、本実施例の射出成
形用金型を用いて得られる射出成形品を示す平面図及び
側面断面図である。射出成形品1は、輸液セットのキャ
ップを構成するものであり、軟質塩化ビニル樹脂により
構成されている。もっとも、本発明の射出成形用金型で
得られる成形品の用途については特に限定されず、かつ
軟質ビニル樹脂以外の他の軟質樹脂から構成されていて
もよく、軟質樹脂以外の樹脂から構成されていてもよ
い。
【0013】なお、以下においては、図示を容易とする
ために、図3(b)等の断面図においては、図3(a)
に矢印Aで示す一点鎖線で囲まれた要部の成形を行なう
ための金型部分のみを示して、説明を行なう。すなわ
ち、図3(a)に示されている枠状部2については、他
の図では図示を省略することとする。
【0014】本実施例においては、図1に示すように、
可動型3と固定型4とを有する射出成形用金型が用いら
れる。可動型3は、射出成形品1の筒状部1bの内面に
突出されるコアピン5と、可動型本体6とを有する。コ
アピン5は、可動型本体6とは独立に図示の矢印B方向
すなわち固定型方向に移動されるように固定されてい
る。コアピン5の可動型本体6と独立した移動は、コア
ピン5を独立した駆動源に連結することにより行なわれ
る。また、コアピン5の周囲には、複数の突出しピン7
が配置されている。突出しピン7は、可動型3とは独立
に、図示の矢印B方向すなわち固定型方向に突き出され
るように構成されている。この突出しピン7の上記移動
を可能とするように、突出しピン7は、可動型3及びコ
アピン5とは別の駆動源に連結されている。
【0015】なお、図1では、上記コアピン5及び突出
しピン7のいずれもが、固定型4側に移動される前の状
態で示されている。他方、可動型3の可動型本体6に
は、係止部としての突起8が形成されている。図4
(a)に拡大して示すように突起8は、可動型3と固定
型4とを結ぶ方向において、中間位置に相対的に横断面
積が小さな異形部としての細幅部8aを有する。
【0016】固定型4の形状は、図に示すように、可動
型3に当接された際に、成形品1を得るための空間を形
成する形状とされている。次に、本実施例の射出成形用
金型を用いた射出成形方法につき説明する。まず、可動
型3と固定型4とを当接させ、図1に示す状態とする。
この状態において、図示しない注入孔から溶融樹脂を注
入し、固化させる。その結果、図1に示されている射出
成形品1が成形される。この場合、射出成形品1には、
上記突起8に応じた円筒部1cが形成される。図4
(b)に断面図で示すように、円筒部1cの内面には、
上記細幅部8aに応じた環状リブ1dが形成される。
【0017】次に、可動型3を固定部4に対して遠ざけ
るように可動型3を移動する。その結果、図2に示すよ
うに、可動型3側に射出成形品1が付着した状態で、可
動型4が固定型4から離間される。これは、上記係止部
としての突起8が細幅部8aを有するため、細幅部8a
と射出成形品1の円筒部1cの環状リブ1dとの係合に
より、射出成形品1が可動型3側に確実に付着した状態
となる。
【0018】次に、可動型3のコアピン5を図2の矢印
B方向に移動させ、射出成形品1を可動型本体6から矢
印B方向に移動させる。コアピン5の移動量はわずかで
あるため、射出成形品1は、可動型3に付着している部
分からわずかに浮いた状態とされる。従って、依然とし
て、係止部としての突起8と円筒部1cとの係合によ
り、射出成形品1は、可動型3側に保持された状態とさ
れている。
【0019】次に、突出しピン7を矢印B方向に移動さ
せる。突出しピン7の移動量は、上記係止部としての突
起8と円筒部1cとの係合を解除するように行なわれ
る。突出しピン7を矢印B方向に移動することにより、
上記係止部としての突起8と円筒部1cとの係合状態が
解除されるので、射出成形品1を可動型3から容易に取
り外すことができる。
【0020】すなわち、本実施例の射出成形方法によれ
ば、上記可動型3側に係止部としての突起8が形成され
ており、射出成形品1に、突起8に応じた円筒部1cが
形成されているので、可動型3と固定型4とを離間させ
た場合、射出成形品1が可動型3側に確実に保持される
ことになる。しかも、上記コアピン5及び突出しピン7
を順次移動させることにより、射出成形品1と可動型3
に設けられた係止部としての突起8との係合状態を解除
することができるので、射出成形品1を確実にかつ容易
に金型内から取り出すことができる。
【0021】なお、上記実施例では、可動型に設けられ
た係止部として、中間位置に細幅部8aが形成された突
起8を用いたが、係止部は、射出成形品1を可動3に係
合させ、矢印B方向への突出しピン7の移動により係合
を解除し得る限り、様々な形状とすることができる。す
なわち、係止部を、逆に、内周面に環状リブが設けられ
た凹部を有するよう構成し、射出成形品側に、該凹部に
嵌まり込む突起を形成してもよい。
【0022】また、上記突出しピン7は、図1では、上
下に2本配置されているように図示されているが、突出
しピン7は、1本のみ配置されていてもよく、あるいは
成形品の形状に応じて、3本以上配置されていてもよ
く、複数本の突出しピン7を用いる場合、成形品の外周
に沿って均等に分散させることが望ましい。
【0023】また、上記実施例では、予めコアピン5に
より射出成形品1を可動型3に対して浮かせた状態とし
たが、コアピン5は必ずしも必要ではない。すなわち、
射出成形品の形状がそれほど複雑ではなく、あるいは金
型に対して付着力がそれほど高くない樹脂からなる場合
には、コアピン5の移動は必ずしも必要ではなく、突出
しピン7のみにより射出成形品1を可動型3から取り外
すことができる。また、上記実施例では、コアピン5を
駆動した後、突出しピン7を駆動したが、コアピン5と
同時に突出しピン7を駆動してもよい。
【0024】
【発明の効果】本発明に係る射出成形用金型によれば、
可動型に可動型と固定型とを結ぶ方向の中間位置に相対
的に横断面積が残りの部分と異なる異形部が設けられて
いる係止部が形成されているので、射出成形後に、該係
止部と射出成形品の係止部の形状に応じた成形品部分が
構成され、係止部と該成形品部分とが係合されることに
なる。従って、可動型を固定型から離間させた場合、常
に射出成形品が可動型側に保持されることになる。そし
て、上記突出しピンを可動型とは独立に固定方側に移動
することにより、係止部と射出成形品の上記成形品部分
との係合状態を解除することができるので、可動型側に
保持されていた射出成形品を容易に取り出すこができ
る。
【0025】従って、本発明によれば、軟質塩化ビニル
樹脂のような軟質樹脂からなり、複雑な形状を有する射
出成形品を得る場合であっても、成形後に射出成形品を
金型から容易にかつ円滑に取り出すことが可能となる。
【0026】上記係止部が、可動型から固定型側へ突出
されている突起であって、突出方向中間に相対的に横断
面積の小さい細幅部を有する場合には、該突起と、射出
成形品に該突起に応じて設けられた凹部との係合により
射出成形品が可動型側に確実に保持される。
【0027】可動型が、固定型側に突出されており、可
動型の残りの部分とは独立して移動されるコアピンをさ
らに備える場合には、コアピンを突出しピンと同時にあ
るいは突出しピンの移動に先立ちコアピンを移動させる
ことにより、可動型に付着していた射出成形品を可動型
表面から浮かせた状態とすることができる。
【0028】本発明に係る射出成形方法では、射出成形
用金型の可動型と固定型との間に溶融樹脂を注入して射
出成形品を成形した後、固定型から可動型を遠ざかる方
向に移動させた場合、可動型の係止部により射出成形品
が可動型側に確実に保持される。従って、可動型に保持
された射出成形品を、突出しピンを固定型側に移動させ
ることにより、上記係止部と射出成形品との係合状態を
解除することができ、射出成形品を容易にかつ円滑に取
り出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る射出成形用金型を説明
するための断面図であり、射出成形品を成形した状態を
示す。
【図2】図1の状態から可動型を固定型から離間させた
状態を示す断面図。
【図3】(a),(b)は、本発明の一実施例により得
られる射出成形品を説明するための平面図及び側面断面
図。
【図4】(a),(b)は、本発明の一実施例において
設けられる係止部と、該係止部に対応して成形される円
筒部分の形状を説明するための各側面断面図。
【符号の説明】
1…射出成形品 3…可動型 4…固定型 5…コアピン 6…可動型本体 7…突出しピン 8…突起 8a…細幅部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可動型と固定型とを備え、可動型と固定
    型とが当接された際に、両者の空間に溶融樹脂が射出さ
    れて成形が行われる射出成形用金型において、 可動型と固定型とが分離された際に可動型に射出成形品
    が係止されるように、前記可動型に、可動型と固定型と
    を結ぶ方向の中間位置に相対的に横断面積が異なる異形
    部分を有する係止部が形成されており、前記射出成形品
    を係止部から離脱させ得るように、前記可動型側に設け
    られた少なくとも一本の突出しピンをさらに備え、 前記突出しピンが、前記可動型とは独立して固定型側に
    稼動可能に構成されていることを特徴とする、射出成形
    用金型。
  2. 【請求項2】 前記係止部が、可動型から固定型へ突出
    されている突起であって、突出方向中間に相対的に横断
    面積の小さい細幅部を有する、請求項1に記載の射出成
    形用金型。
  3. 【請求項3】 前記可動型が、前記固定型側に突出され
    ており、可動型の残りの部分とは独立して移動し得るコ
    アピンをさらに備える、請求項2に記載の射出成形用金
    型。
  4. 【請求項4】 軟質樹脂からなる射出成形品の成形方法
    であって、請求項1に記載の射出成形用金型を用意する
    工程と、 前記射出成形用金型の可動型と固定型とを当接させて型
    締めを行う工程と、 前記型締めされた射出成形用金型の可動型と固定型との
    間の空間に溶融樹脂を注入し、固化し、射出成形品を成
    形する工程と、前記固定型から前記可動型を遠ざかる方
    向に移動させ、前記係止部により射出成形品を可動型側
    に保持する工程と、 前記可動型に保持された射出成形品を突出しピンを固定
    型側に移動させることにより可動型から取り外す工程と
    を備えることを特徴とする、射出成形方法。
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