JP2002117837A - 正極活物質の製造方法及び非水電解質電池の製造方法 - Google Patents
正極活物質の製造方法及び非水電解質電池の製造方法Info
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Abstract
質を提供する。 【解決手段】 一般式LixFePO4(ただし、0<x
≦1である。)で表される化合物と炭素材料との複合体
を正極活物質とした正極活物質の製造方法であって、上
記一般式LixFePO4(ただし、0<x≦1であ
る。)で表される化合物の合成原料を混合する混合工程
と、上記混合工程により得られた混合物にミリングを施
すミリング工程と、上記ミリング工程でミリングを施し
た混合物を焼成する焼成工程とを備え、上記焼成工程前
に一次粒子径が10.2μm以下である炭素材料を添加
する。
Description
にドープ及び脱ドープ可能な正極活物質の製造方法及び
この正極活物質を用いた非水電解質電池の製造方法に関
する。
もに、長時間便利に、かつ経済的に使用できる電源とし
て、再充電可能な二次電池の研究が進められている。代
表的な二次電池としては、鉛蓄電池、アルカリ蓄電池、
非水電解質二次電池等が知られている。
電解質二次電池であるリチウムイオン二次電池は、高出
力、高エネルギー密度などの利点を有している。リチウ
ムイオン二次電池は、少なくともリチウムイオンを可逆
的に脱挿入可能な活物質を有する正極と負極と、非水電
解質とから構成される。
リチウム、Li−Al合金等のリチウム合金、ポリアセ
チレンやポリピロール等のリチウムをドープした導電性
高分子、リチウムイオンを結晶中に取り込んだ層間化合
物や炭素材料等が用いられている。また、電解液として
は、非プロトン性有機溶媒にリチウム塩を溶解させた溶
液が用いられている。
硫化物、或いはポリマーが用いられ、例えばTiS2、
MoS2、NbSe2、V2O5等が知られている。これら
の材料を用いた非水電解質二次電池の放電反応は、負極
においてリチウムイオンが電解液中に溶出し、正極では
正極活物質の層間にリチウムイオンがインターカレーシ
ョンすることによって進行する。逆に、充電する場合に
は、上記の逆反応が進行し、正極においては、リチウム
がインターカレーションする。すなわち、負極からのリ
チウムイオンが正極活物質に出入りする反応を繰り返す
ことによって充放電を繰り返すことができる。
質としては、高エネルギー密度、高電圧を有すること等
から、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等が用
いられている。しかし、これらの正極活物質は、クラー
ク数の低い金属元素をその組成中に有しているため、コ
ストが高くつく他、安定供給が難しいという問題があ
る。また、これらの正極活物質は、毒性も比較的高く、
環境に与える影響も大きいことから、これらに代わる新
規正極活物質が求められている。
ePO4をリチウムイオン二次電池の正極活物質として
用いることが提案されている。LiFePO4は、体積
密度が3.6g/cm3と大きく、3.4Vの高電位を
発生し、理論容量も170mAh/gと大きい。また、
LiFePO4は、初期状態で、電気化学的に脱ドープ
可能なLiを、Fe原子1個当たりに1個含んでいるの
で、リチウムイオン電池の正極活物質として有望な材料
である。しかもLiFePO4は、資源的に豊富で安価
な材料である鉄をその組成中に有しているため、上述の
LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等と比較して
低コストであり、また、毒性も低いため環境に与える影
響も小さい。
性は低いため、LiFePO4を正極活物質として用い
た場合、電池の内部抵抗が増大することがある。その結
果、電池の内部抵抗の増大に起因して電池の閉回路時の
分極電位が大きくなり、電池容量が減少してしまうとい
う問題がある。
して用いる場合には、電子伝導性を補うために導電剤を
混合することが必要となり、導電剤との物理的接触を多
くするためにLiFePO4粒子の比表面積が大きいこ
と、すなわちLiFePO4の粒径が小さいことが好ま
しい。
ePO4を製造するに際しては、LiFePO4粒子の焼
成時における粒子成長が著しいという問題がある。すな
わち、LiFePO4の粒径が大きくなってしまうた
め、正極活物質として用いた場合に導電材との物理的接
触を有するための十分な比表面積を得ることが難しいと
いう問題がある。
情に鑑みて創案されたものであり、電子伝導性に優れ、
高容量を有する正極活物質の製造方法及び非水電解質二
次電池の製造方法を提供することを目的とする。
めに、本発明に係る正極活物質の製造方法は、一般式L
ixFePO4(ただし、0<x≦1である。)で表され
る化合物と炭素材料との複合体を正極活物質とした正極
活物質の製造方法であって、一般式LixFePO4(た
だし、0<x≦1である。)で表される化合物の合成原
料を混合する混合工程と、混合工程により得られた混合
物にミリングを施すミリング工程と、ミリング工程でミ
リングを施した混合物を焼成する焼成工程とを備え、焼
成工程前に一次粒子径が10.2μm以下である炭素材
料を添加することを特徴とするものである。
式LixFePO4で表される化合物の合成原料に焼成前
の何れかの時点で炭素材料を添加して焼成を行う。した
がって、本発明による正極活物質の製造方法では、オリ
ビン構造を有し、一般式Li xFePO4(式中、0<x
≦1.0である。)で表される化合物と炭素材料との複
合体、即ちLiFePO4炭素複合体として製造され
る。
0.2μm以下と規定するものである。ここで、一時粒
径が10.2μm以下である炭素材料は、一般式Lix
FePO4で表される化合物の合成原料に添加して焼成
を行った場合、上記化合物の粒子の成長を抑制する効果
を有する。したがって、上記化合物LiFePO4の合
成原料に一時粒径が10.2μm以下である炭素材料を
添加して焼成することにより合成されたLiFePO4
炭素複合体におけるLiFePO4の粒子は、焼成中に
大きく成長することが抑制されている。すなわちLiF
ePO4の合成原料に一時粒径が10.2μm以下であ
る炭素材料を添加して焼成することにより合成されたL
iFePO4炭素複合体におけるLiFePO4粒子は、
粒径が小さいものとされる。これにより、LiFePO
4の重量当たりの比表面積は、一時粒径が10.2μm
以下である炭素材料を添加せずに焼成を行って合成した
LiFePO4粒子の比表面積に比べて大きいものとさ
れる。
大きいということは、すなわちLiFePO4炭素複合
体の比表面積が大きいということであり、これによりL
iFePO4炭素複合体は、正極活物質に混合して用い
られる導電剤との物理的接触を十分に得ることができる
ため、優れた電子伝導性を有するものとされる。また、
電子伝導性が向上することにより、LiFePO4本来
の容量が十分に引き出されるため、正極活物質として用
いた場合に、高容量を有する非水電解液電池が実現され
る。
方法は、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有す
る負極と、非水電解質とを備える非水電解質電池の製造
方法であって、一般式LixFePO4(ただし、0<x
≦1である。)で表される化合物の合成原料を混合する
混合工程と、混合工程により得られた混合物にミリング
を施すミリング工程と、ミリング工程でミリングを施し
た混合物を焼成する焼成工程とを経て、焼成工程前に一
次粒子径が10.2μm以下である炭素材料を添加する
ことによって正極活物質を製造することを特徴とするも
のである。
は、正極活物質を作製する際に、一般式LixFePO4
で表される化合物の合成原料に焼成前の何れかの時点で
炭素材料を添加して焼成を行う。したがって、本発明に
よる非水電解質二次電池の製造方法では、正極活物質
は、オリビン構造を有し、一般式LixFePO4(式
中、0<x≦1.0である。)で表される化合物と炭素
材料との複合体、即ちLiFePO4炭素複合体として
製造される。
0.2μm以下と規定するものである。ここで、一時粒
径が10.2μm以下である炭素材料は、一般式Lix
FePO4で表される化合物の合成原料に添加して焼成
を行った場合、上記化合物の粒子の成長を抑制する効果
を有する。したがって、上記化合物LiFePO4の合
成原料に一時粒径が10.2μm以下である炭素材料を
添加して焼成することにより合成されたLiFePO4
炭素複合体におけるLiFePO4の粒子は、焼成中に
大きく成長することが抑制されている。すなわちLiF
ePO4の合成原料に一時粒径が10.2μm以下であ
る炭素材料を添加して焼成することにより合成されたL
iFePO4炭素複合体におけるLiFePO4粒子は、
粒径が小さいものとされる。これにより、LiFePO
4の重量当たりの比表面積は、一時粒径が10.2μm
以下である炭素材料を添加せずに焼成を行って合成した
LiFePO4粒子の比表面積に比べて大きいものとさ
れる。
大きいということは、すなわちLiFePO4炭素複合
体の比表面積が大きいということであり、これによりL
iFePO4炭素複合体は、正極活物質に混合して用い
られる導電剤との物理的接触を十分に得ることができる
ため、優れた電子伝導性を有するものとされる。そし
て、電子伝導性が向上することにより、LiFePO4
本来の容量が十分に引き出されるため、高容量を有する
非水電解液電池が実現される。
て説明する。
池1は、図1に示すように、負極2と、負極2を収容す
る負極缶3と、正極4と、正極4を収容する正極缶5
と、正極4と負極2との間に配されたセパレータ6と、
絶縁ガスケット7とを備え、負極缶3及び正極缶5内に
非水電解液が充填されてなる。
チウム箔からなる。また、負極活物質として、リチウム
をドープ、脱ドープ可能な材料を用いる場合には、負極
2は、負極集電体上に、上記負極活物質を含有する負極
活物質層が形成されてなる。負極集電体としては、例え
ばニッケル箔等が用いられる。
物質としては、金属リチウム、リチウム合金、リチウム
がドープされた導電性高分子、炭素材料や金属酸化物な
どの層状化合物を用いることができる。
は、この種の非水電解液電池において負極活物質層の結
着剤として通常用いられている公知の樹脂材料等を用い
ることができる。
り、また、非水電解液電池1の外部負極となる。
る正極集電体上に、リチウムを電気化学的に放出するこ
とが可能であり、且つ吸蔵することも可逆的に可能であ
る正極活物質を含有する正極活物質層が形成されてな
る。
述するが、オリビン構造を有し、一般式LixFePO4
(式中、0<x≦1.0である。)で表される化合物と
炭素材料との複合体、即ちLiFePO4炭素複合体を
用いる。
4を用い、これと炭素材料とかならる複合体を正極活物
質として用いる場合について説明する。
O4粒子の表面に、当該LiFePO 4粒子の粒径に比べ
て極めて小とされる粒径を有する炭素材料の粒子が多数
個、付着してなるものである。
体は、後述するようにLiFePO4の合成原料に一時
粒径が10.2μm以下である炭素材料を添加して焼成
することにより製造されている。ここで、一時粒径が1
0.2μm以下である炭素材料は、LiFePO4の合
成原料に添加して焼成を行った場合、LiFePO4粒
子の成長を抑制する効果を有する。したがって、LiF
ePO4の合成原料に一時粒径が10.2μm以下であ
る炭素材料を添加して焼成することにより合成されたL
iFePO4炭素複合体におけるLiFePO4の粒子
は、焼成中に大きく成長することが抑制されている。す
なわちLiFePO4の合成原料に一時粒径が10.2
μm以下である炭素材料を添加して焼成することにより
合成されたLiFePO4炭素複合体におけるLiFe
PO4粒子は、粒径が小さいものとされている。これに
より、LiFePO4の重量当たりの比表面積は、一時
粒径が10.2μm以下である炭素材料を添加せずに焼
成を行って合成したLiFePO4粒子の比表面積に比
べて大きいものとされている。
大きいということは、すなわちLiFePO4炭素複合
体の比表面積が大きいということであり、これによりL
iFePO4炭素複合体は、正極活物質に混合して用い
られる導電剤との物理的接触を十分に得ることができる
ため、優れた電子伝導性を有するものとされている。ま
た、電子伝導性が向上することにより、LiFePO4
本来の容量が十分に引き出されるため、正極活物質とし
て用いた場合に、高容量を有する非水電解液電池1を実
現できる。
素材料とLiFePO4とから構成されるLiFePO4
炭素複合体は、LiFePO4と比較するとLiFeP
O4粒子の表面に付着した炭素材料の導電性による電子
伝導性向上の効果も得ることができる。すなわち、Li
FePO4炭素複合体は、LiFePO4粒子の表面に付
着してなる炭素粒子により電子伝導性が向上するので、
LiFePO4本来の容量を十分に引き出される。した
がって、正極活物質としてLiFePO4炭素複合体を
用いることにより、高容量を有する非水電解液電池1を
実現できる。
量当たりの炭素含有量は、3重量%以上であることが好
ましい。LiFePO4炭素複合体における単位重量当
たりの炭素含有量が3重量%未満である場合、LiFe
PO4粒子の表面に付着している炭素粒子の量が十分で
ないため、電子伝導性向上の効果を十分に得ることがで
きない虞がある。
度は、2.2g/cm3以上であることが好ましい。L
iFePO4炭素複合体は、その粉体密度が2.2g/
cm3以上となる程度に合成原料に対してミリングが施
されると、十分に微小化されたものとなる。したがっ
て、正極活物質の充填率が向上し、高容量を有する非水
電解液電池1を実現できる。また、LiFePO4炭素
複合体は、上記粉体密度を満たすように微小化されてい
るので、LiFePO4の比表面積も増大しているとい
える。つまり、LiFePO4と炭素材料との接触面積
を十二分に確保することができ、電子伝導性を向上させ
ることが可能となる。
2.2g/cm3未満である場合、LiFePO4炭素複
合体は十分に圧縮されてないため、正極4における活物
質充填率の向上が図れない虞がある。
ウアーエメットテラー(以下、BETと称する。)比表
面積は、10.3m2/g以上であることが好ましい。
LiFePO4炭素複合体のBET比表面積を10.3
m2/g以上とすると、単位重量当たりにおけるLiF
ePO4の比表面積を十分に大きいものとすることがで
き、LiFePO4と炭素材料との接触面積を大きくす
ることができる。したがって、正極活物質の電子伝導性
を確実に向上させることができる。
粒径は、3.1μm以下であることが好ましい。LiF
ePO4炭素複合体の一次粒径を3.1μm以下とする
ことにより、単位重量当たりにおけるLiFePO4の
比表面積を十分に大きいものとすることができ、LiF
ePO4と炭素材料との接触面積を大きくすることがで
きる。したがって、正極活物質の電子伝導性を確実に向
上させることができる。
は、この種の非水電解液電池において正極活物質層の結
着剤として通常用いられている公知の樹脂材料等を用い
ることができる。
り、また、非水電解液電池1の外部正極となる。
間させるものであり、この種の非水電解液電池のセパレ
ータとして通常用いられている公知の材料を用いること
ができ、例えばポリプロピレンなどの高分子フィルムが
用いられる。また、リチウムイオン伝導度とエネルギー
密度との関係から、セパレータの厚みはできるだけ薄い
ことが必要である。具体的には、セパレータの厚みは例
えば50μm以下が適当である。
れ一体化されている。この絶縁ガスケット7は、負極缶
3及び正極缶5内に充填された非水電解液の漏出を防止
するためのものである。
媒に電解質を溶解させた溶液が用いられる。
ボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネー
ト、ビニレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、スル
ホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキ
シエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル
−1,3−ジオキソラン、プロピオン酸メチル、酪酸メ
チル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、
ジプロピルカーボネート等を使用することができる。特
に、電圧安定性の点からは、プロピレンカーボネート、
エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレ
ンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネ
ート等の鎖状カーボネート類を使用することが好まし
い。また、このような非水溶媒は、1種類を単独で用い
てもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
は、例えば、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、
LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2等
のリチウム塩を使用することができる。これらのリチウ
ム塩の中でも特に、LiPF 6、LiBF4を使用するこ
とが好ましい。
して、非水電解液を用いた非水電解液電池1を例に挙げ
て説明したが、本発明はこれに限定されるものではな
く、非水電解質として、固体電解質を用いた場合にも適
用可能である。ここで、固体電解質としては、リチウム
イオン導電性を有する材料であれば無機固体電解質、ゲ
ル状電解質等の高分子固体電解質の何れも用いることが
できる。ここで、無機固体電解質としては、窒化リチウ
ム、ヨウ化リチウム等が挙げられる。また、高分子固体
電解質は、電解質塩とそれを溶解する高分子化合物から
なり、その高分子化合物は、ポリ(エチレンオキサイ
ド)や、同架橋体などのエーテル系高分子、ポリ(メタ
クリレート)エステル系高分子、アクリレート系高分子
等を単独、又は分子中に共重合、又は混合して用いるこ
とができる。この場合、例えばゲル状電解質のマトリッ
クスとしては、非水電解液を吸収してゲル化するもので
あれば種々の高分子材料を用いることができる。このよ
うな高分子材料としては、例えば、ポリ(ビニリデンフ
ルオロライド)や、ポリ(ビニリデンフルオロライド−
CO−ヘキサフルオロプロピレン)等のフッ素系高分
子、ポリ(エチレンオキサイド)や、同架橋体などのエ
ーテル系高分子、またポリ(アクリロニトリル)などを
用いることができる。そして、これらの中でも特に、酸
化還元安定性の観点からフッ素系高分子を用いることが
好ましい。
の製造方法について、以下に説明する。
炭素材料との複合体を、以下に示す製造方法に従って合
成する。
ePO4の合成原料を混合し、ミリングを施し、焼成
し、且つ上記焼成前の何れかの時点で炭素材料を添加す
る。Li xFePO4の合成原料としては、Li3PO
4と、Fe3(PO4)2又はその水和物であるFe3(P
O4)2・nH2O(ただし、nは水和数である。)とを
用いる。
(Li3PO4)と、下記に示すようにして合成されるリ
ン酸第一鉄八水和物(Fe3(PO4)2・8H2O)とを
用い、この合成原料に炭素材料を添加した後に種々の工
程を行うことにより、LiFePO4炭素複合体を合成
する場合について説明する。
料とを混合して混合物とする混合工程を行う。次いで、
混合工程で得られた混合物にミリングを施すミリング工
程を行う。次いで、ミリング工程でミリングを施した混
合物を焼成する焼成工程を行う。
チウムとリン酸第一鉄八水和物とを所定比で混合し、さ
らに一時粒径が10.2μm以下である炭素材料を添加
して混合物とする。ここで、一時粒径が10.2μm以
下である炭素材料は、LiFePO4の合成原料に添加
して焼成を行った場合、LiFePO4粒子の成長を抑
制する効果を有する。したがって、一時粒径が10.2
μm以下である炭素材料を添加することにより、焼成工
程でLiFePO4炭素複合体を合成する際に、LiF
ePO4炭素複合体におけるLiFePO4粒子の成長を
抑制することができる。
ある炭素材料を添加して焼成を行うことにより、焼成中
にLiFePO4粒子が大きく成長することを抑制する
ことができ、合成されたLiFePO4粒子の粒径を小
さくすることができる。
の比表面積を、一時粒径が10.2μm以下である炭素
材料を添加せずに焼成を行って合成したLiFePO4
粒子の比表面積に比べて大きいものとすることができ
る。
正極活物質に混合して用いられる導電剤との物理的接触
を十分に得ることができるため、優れた電子伝導性を有
するものとされている。また、電子伝導性が向上するこ
とにより、LiFePO4本来の容量が十分に引き出さ
れるため、正極活物質として用いた場合に、高容量を有
する非水電解液電池1を実現できる。
物は、硫酸鉄七水和物(FeSO4・7H2O)を水に溶
かしてなる水溶液に、リン酸水素二ナトリウム一二水和
物(2Na2HPO4・12H2O)を添加し、所定の時
間放置することにより合成される。リン酸第一鉄八水和
物の合成反応は、下記化1に示す反応式で表される。
は、その合成工程上、ある程度のFe 3+が含まれてい
る。合成原料にFe3+が残存すると、焼成により3価の
Fe化合物が生成されるため、LiFePO4炭素複合
体の単相合成が妨げられてしまう。このため、焼成前の
合成原料に還元剤を添加し、焼成時に合成原料中に含ま
れているFe3+をFe2+に還元する必要がある。
還元能力には限界があり、合成原料中のFe3+の含有率
が多すぎる場合、Fe3+が還元されきれずにLiFeP
O4炭素複合体中に残存してしまうことがある。
に対するFe3+の含有率を、61重量%以下とすること
が好ましい。合成原料であるリン酸第一鉄八水和物中の
鉄総量に対するFe3+の含有率を61重量%以下とあら
かじめ制限することにより、焼成時においてFe3+を残
存させることなく、すなわちFe3+に起因する不純物を
生成させることなく、LiFePO4炭素複合体の単相
合成を確実に行うことができる。
の放置時間が長いほど、生成物中のFe3+の含有率が多
くなるので、放置時間を所定の時間に制御することによ
り、任意のFe3+の含有率を有するリン酸第一鉄八水和
物を生成させることができる。また、リン酸第一鉄八水
和物中の鉄総量に対するFe3+の含有率は、メスバウア
測定法により測定することができる。
合成原料のリン酸第一鉄八水和物中に含まれるFe2+が
大気中の酸素や焼成等によりFe3+に酸化されたとして
も、焼成時にFe3+をFe2+に還元する還元剤として働
く。したがって、合成原料にFe3+が残存していたとし
ても、不純物の生成が防止され、LiFePO4炭素複
合体の単相合成が可能となる。さらに、炭素材料は、合
成原料に含まれるFe 2+のFe3+への酸化を防止する酸
化防止剤として働く。すなわち、炭素材料は、焼成前又
は焼成時において大気中及び焼成炉内に存在する酸素に
より、Fe2+がFe3+へ酸化されてしまうことを防止す
る。
極活物質の電子伝導性を向上させる導電材としての働き
をするとともに、還元剤及び酸化防止剤として働く。な
お、この炭素材料は、LiFePO4炭素複合体の構成
要素となるので、LiFePO4炭素複合体の合成後に
除去する必要がない。従って、LiFePO4炭素複合
体の製造が効率化される。
量あたりの炭素含有量は、3重量%以上とすることが好
ましい。LiFePO4炭素複合体の単位重量あたりの
炭素含有量を3重量%以上とすることにより、LiFe
PO4が本来有する容量及びサイクル特性を十分に引き
出すことが可能となる。
合物に、粉砕・混合同時に行うミリングを施す。本発明
におけるミリングとは、ボールミルを用いた強力な粉砕
・混合をいう。また、ボールミルとしては、例えば遊星
型ボールミル、シェイカー型ボールミル、メカノフュー
ジョン等を好適に用いることができる。
すことにより、合成原料及び炭素材料を均一に混合する
ことができる。また、ミリングを施すことにより合成原
料を微細化すると、合成原料の比表面積を増大させるこ
とができる。したがって、原料同士の接触点が増大し、
引き続く焼成工程における合成反応を速やかに進行する
ことが可能となる。
グを施す際には、粒子径3μm以上の粒子の粒度分布が
体積基準の積算頻度にして22%以下となるようにする
ことが好ましい。合成原料の粒度分布を上記範囲とする
ことにより、合成原料は、表面積として、合成反応に十
分な表面活性を得ることができる広さを有することがで
きる。したがって、焼成温度が例えば600℃という合
成原料の融点以下という低い温度であっても、反応効率
が良好であり、LiFePO4炭素複合体の単相合成を
確実に行うことができる。
度が2.2g/cm3以上となるように、ミリングを施
すことが好ましい。上記粉体密度となるように合成原料
を微小化することにより、LiFePO4の比表面積を
大きくすることができる。これにより、LiFePO4
と炭素材料との接触面積を大きくすることができ、正極
活物質の電子伝導性を向上させることが可能となる。
ミリングを施すことにより、高容量である非水電解液電
池1を実現する正極活物質を製造することができる。
施した混合物を焼成する。混合物を焼成することによ
り、リン酸リチウムとリン酸第一鉄八水和物とを反応さ
せ、LiFePO4を合成する。
示す反応式で表される。なお、下記化に示す反応式にお
いては、Li3PO4と、Fe3(PO4)2又はその水和
物であるFe3(PO4)2・nH2O(ただし、nは水和
数である。)とを反応させた場合を示す。
に、合成原料としてFe3(PO4)2を用いた場合、副
生成物が生じない。また、Fe3(PO4)2・nH2Oを
用いた場合、副生成物として無毒である水のみが生じ
る。
ウム、リン酸二水素アンモニウム及び酢酸鉄(II)を
所定比で混合し、焼成し、下記化3に示す反応によって
LiFePO4を合成していた。
に、従来のLiFePO4の合成方法では、焼成時に有
毒なアンモニアや酢酸等の副生成物が生じていた。この
ため、これら有毒な副生成物を処理するための大規模な
集気装置等の設備が必要となり、製造コスト上昇の原因
となっていた。また、これらの副生成物が大量に生じる
ため、LiFePO4の収率が低下していた。
PO4と、Fe3(PO4)2又はその水和物であるFe3
(PO4)2・nH2O(ただし、nは水和数である。)
とを用いているので、有毒な副生成物が生じることな
く、目的物質であるLiFePO 4を得られる。言い換
えると、従来の製造方法に比べて、焼成時における安全
性が著しく向上する。また、従来では有毒な副生成物を
処理するために大規模な処理設備が必要だったが、本発
明の製造方法では、副生成物が無毒である水なので、処
理工程を大幅に簡略化でき、処理設備を縮小できる。し
たがって、従来の副生成物であるアンモニア等を処理す
る際に比べて、製造コストを大幅に削減することができ
る。さらにまた、上記化2に示す反応式から明らかなよ
うに、副生成物の生成が少量であるので、LiFePO
4の収率を大幅に向上させることができる。
の合成方法により400℃〜900℃とすることが可能
であるが、電池性能を考慮すると、600℃程度とする
ことが好ましい。焼成温度が400℃未満であると、化
学反応及び結晶化が十分に進まず、合成原料であるLi
3PO4等の不純物相が存在し、均一なLiFePO4を
得られない虞がある。一方、焼成温度が900℃を上回
ると、結晶化が過剰に進行してLiFePO4の粒子が
大きくなり、LiFePO4と炭素材料との接触面積が
減少し、電子伝導性が下がるため、十分な放電容量を得
られない虞がある。
4炭素複合体中のFeは2価の状態である。このため、
合成温度である600℃程度の温度においては、LiF
ePO4炭素複合体中のFeは、焼成雰囲気中の酸素に
よって下記化4に示す反応式によりFe3+にすみやかに
酸化されてしまう。これに起因して、3価のFe化合物
等の不純物が生成され、LiFePO4炭素複合体の単
相合成が妨げられてしまう。
等の不活性ガス又は水素や一酸化炭素等の還元性ガスを
用いるとともに、焼成雰囲気中の酸素濃度を、LiFe
PO 4炭素複合体中のFeが酸化されない範囲、すなわ
ち1012ppm(体積)以下とすることが好ましい。
焼成雰囲気中の酸素濃度を、1012ppm(体積)以
下とすることにより、600℃程度の合成温度において
もFeの酸化を防止し、LiFePO4炭素複合体の単
相合成を確実に行うことが可能となる。
(体積)よりも高い場合には、焼成雰囲気中の酸素量が
多すぎるため、LiFePO4炭素複合体中のFeがF
e3+に酸化されてしまい、これに起因して不純物が生成
してしまうため、LiFePO4炭素複合体の単相合成
が妨げられてしまう虞がある。
出しについては、焼成後のLiFePO4炭素複合体の
取り出し温度、すなわちLiFePO4炭素複合体を大
気中に暴露する際のLiFePO4炭素複合体の温度は
305℃以下とすることが好ましい。また、焼成後のL
iFePO4炭素複合体の取り出し温度を204℃以下
とすることがより好ましい。LiFePO4炭素複合体
の取り出し温度を305℃以下とすることにより、焼成
後のLiFePO4炭素複合体中のFeが大気中の酸素
により酸化され、不純物が生成されることを防止でき
る。
に冷却しない状態で取り出した場合、LiFePO4炭
素複合体中のFeが大気中の酸素により酸化され、不純
物が生成される虞がある。しかしながら、あまり低い温
度までLiFePO4炭素複合体を冷却したのでは、作
業効率の低下を招く虞がある。
複合体の取り出し温度を305℃以下とすることによ
り、焼成後のLiFePO4炭素複合体中のFeが大気
中の酸素により酸化されて不純物が生成されることを防
止するとともに、作業効率も維持することが可能とな
り、電池特性として好ましい特性を有するLiFePO
4炭素複合体を効率よく合成することができる。
の冷却は焼成炉内で行うが、このときの冷却方法は、自
然冷却でも良く、また、強制冷却でも良い。ただし、冷
却時間の短縮、すなわち、作業効率を考慮した場合に
は、強制冷却することが好ましい。そして、強制冷却す
る場合には、焼成炉内を上述した酸素濃度、すなわち1
012ppm(体積)以下とするように酸素と不活性ガ
スとの混合ガス、又は不活性ガスのみを焼成炉内に供給
すれば良い。
粒径が10.2μm以下の炭素材料の添加を行っている
が、この炭素材料の添加は、ミリング後に行うことも可
能である。すなわち、一時粒径が10.2μm以下の炭
素材料の添加は、焼成前のいずれかの時点で行えばよ
い。
炭素複合体を正極活物質として用いた非水電解液電池1
は、例えば次のようにして製造される。
剤とを溶媒中に分散させてスラリーの負極合剤を調製す
る。次に、得られた負極合剤を集電体上に均一に塗布、
乾燥して負極活物質層を形成することにより負極2が作
製される。上記負極合剤の結着剤としては、公知の結着
剤を用いることができるほか、上記負極合剤に公知の添
加剤等を添加することができる。また、負極活物質とな
る金属リチウムをそのまま負極2として用いることもで
きる。
LiFePO4炭素複合体と結着剤とを溶媒中に分散さ
せてスラリーの正極合剤を調製する。次に、得られた正
極合剤を集電体上に均一に塗布、乾燥して正極活物質層
を形成することにより正極4が作製される。上記正極合
剤の結着剤としては、公知の結着剤を用いることができ
るほか、上記正極合剤に公知の添加剤等を添加すること
ができる。
解することにより調製される。
4を正極缶5に収容し、負極2と正極4との間に、ポリ
プロピレン製多孔質膜等からなるセパレータ6を配す
る。負極缶3及び正極缶5内に非水電解液を注入し、絶
縁ガスケット7を介して負極缶3と正極缶5とをかしめ
て固定することにより、コイン型の非水電解液電池1が
完成する。
4炭素複合体を正極活物質とする非水電解液電池1は、
正極活物質の電子伝導性に優れたものとされる。したが
って、この非水電解液電池1は、リチウムイオンのドー
プ及び脱ドープが良好に行われるため、大容量を有する
とともに、LiFePO4が本来有する優れたサイクル
特性が十分に引き出されるため、高容量を有する非水電
解質二次電池とされる。
非水電解液電池1は、円筒型、角型、コイン型、ボタン
型等、その形状については特に限定されることはなく、
また、薄型、大型等の種々の大きさにすることができ
る。
説明する。ここでは、本発明の効果を調べるべく、Li
FePO4炭素複合体を合成し、得られたLiFePO4
炭素複合体を正極活物質として用いて非水電解質電池を
作製し、その特性を評価した。
O4複合体を合成した。この正極活物質の製造方法を以
下に示す。
H2Oとを、リチウムと鉄との元素比率が1:1となる
ように混合し、さらに一時粒径が0.02μmである炭
素粉末を焼成物全体の10重量%となるように添加して
混合物とした。次に、混合物及び直径10mmのアルミ
ナ製ボールを、質量比で混合物:アルミナ製ボール=
1:2として直径100mmのアルミナ製ポットに投入
し、遊星型ボールミルを用いてこの混合物にミリングを
施した。なお、遊星型ボールミルとして、実験用遊星回
転ポットミル「LA−PO4」(伊藤製作所製)を使用
し、下記に示す条件としてミリングを施した。
を、以下に示すようにして測定した。まず、ミリングを
施した混合物と、メチルエチルケトン、トルエン及びシ
クロヘキサノンからなる溶媒とをセル(スクリュー管
瓶)に投入した。次いで、セル中の試料を超音波分散
し、HRA(MICROTRAC社製)を用いて混合物
の粒度分布を測定した。そして、粒子径3μm以上の粒
子が示す粒度分布を体積基準の積算頻度として求めた。
クるつぼに入れ、窒素雰囲気中の電気炉にて600℃の
温度で5時間焼成することによりLiFePO4炭素複
合体を得た。
PO4炭素複合体を正極活物質として用いて電池を作製
した。
したLiFePO4炭素複合体を85重量部と、導電材
としてアセチレンブラックを10重量部と、バインダー
としてフッ素樹脂粉末であるポリ(ビニリデンフルオロ
ライド)5重量部とを混合した後、加圧成形して直径1
5.5mm、厚み0.1mmのペレット状の正極とし
た。
打ち抜くことにより負極とした。
ルカーボネートとの等容量混合溶媒に、LiPF6を1
mol/lの濃度で溶解させることにより非水電解液を
調製した。
収容し、負極を負極缶に収容し、正極と負極との間にセ
パレータを配した。正極缶及び負極缶内に非水電解液を
注入し、正極缶と負極缶とをかしめて固定することによ
り、直径20.0mm、厚み1.6mmの2016型の
コイン型テストセルを作製した。
2・8H2Oとの混合物、すなわちLiFePO4の合成
原料に添加する炭素粉末の一時粒径を0.08μmとし
たこと以外は、実施例1と同様にしてコイン型テストセ
ルを作製した。
2・8H2Oとの混合物、すなわちLiFePO4の合成
原料に添加する炭素粉末の一時粒径を0.2μmとした
こと以外は、実施例1と同様にしてコイン型テストセル
を作製した。
2・8H2Oとの混合物、すなわちLiFePO4の合成
原料に添加する炭素粉末の一時粒径を1.1μmとした
こと以外は、実施例1と同様にしてコイン型テストセル
を作製した。
2・8H2Oとの混合物、すなわちLiFePO4の合成
原料に添加する炭素粉末の一時粒径を2.3μmとした
こと以外は、実施例1と同様にしてコイン型テストセル
を作製した。
2・8H2Oとの混合物、すなわちLiFePO4の合成
原料に添加する炭素粉末の一時粒径を6.3μmとした
こと以外は、実施例1と同様にしてコイン型テストセル
を作製した。
2・8H2Oとの混合物、すなわちLiFePO4の合成
原料に添加する炭素粉末の一時粒径を10.2μmとし
たこと以外は、実施例1と同様にしてコイン型テストセ
ルを作製した。
2・8H2Oとの混合物、すなわちLiFePO4の合成
原料に添加する炭素粉末の一時粒径を13.1μmとし
たこと以外は、実施例1と同様にしてコイン型テストセ
ルを作製した。
2・8H2Oとの混合物、すなわちLiFePO4の合成
原料に添加する炭素粉末の一時粒径を15.6μmとし
たこと以外は、実施例1と同様にしてコイン型テストセ
ルを作製した。
2・8H2Oとの混合物、すなわちLiFePO4の合成
原料に添加する炭素粉末の一時粒径を17.9μmとし
たこと以外は、実施例1と同様にしてコイン型テストセ
ルを作製した。
実施例7及び比較例1乃至比較例3の正極活物質である
LiFePO4炭素複合体について、一次粒子の粒度測
定を行った。X線回折測定は、X線回折計:RINT2
000(商品名、リガク社製)を用いていった。また、
粒度測定は、超音波振動により凝集粒子分散後、レーザ
ー回折法により粒子の粒度を測定した。そして、最も小
粒径側に出現する頻度ピークもしくはそれに準ずる頻度
域を一時粒子の粒径とした。一次粒子の粒度測定結果
を、Li3PO4とFe3(PO4)2・8H2Oとの混合物
に添加した炭素粉末の一時粒径とともに表1に示す。
乃至実施例7、比較例1乃至比較例3のコイン型テスト
セルについて、以下のようにして充放電サイクル特性試
験を行い、初期放電容量密度及び50サイクル後の放電
容量維持率を求めた。
ル特性は、充放電を繰り返した後の容量維持率により評
価した。
電池電圧が4.2Vになった時点で、定電流充電から定
電圧充電に切り替えて、電圧を4.2Vに保ったまま充
電を行った。そして、電流が0.01mA/cm2以下
になった時点で充電を終了させた。その後、放電を行
い、電池電圧が2.0Vまで低下した時点で放電を終了
させた。
0サイクル行い、1サイクル目及び50サイクル目にお
ける放電容量を求めた。そして、1サイクル目の放電容
量(C1)に対する、50サイクル目の放電容量(C
2)の比率((C2/C1)×100)を放電容量維持
率として求めた。なお、充電時、放電時ともに常温(2
5℃)で行い、このときの電流密度は0.1mA/cm
2とした。その結果を表1に合わせてに示す。なお、表
1における電池評価は、初期放電容量が100mAh/
g以上、かつ50サイクル目の放電容量が50%以上の
ものに○を、初期放電容量が100mAh/g未満、も
しくは50サイクル目の放電容量が50%未満のものに
×を記した。ここで、100mAh/g以上、かつ50
%以上は、電池特性として好ましい特性値である。
・8H2Oとの混合物、すなわちLi 3PO4の合成原料
に添加した炭素粉末の一時粒径が10.2μm以下であ
る実施例1乃至実施例7では、合成されたLiFePO
4炭素複合体の一時粒径は小さいものとされている。そ
して、初期放電容量密度は、実用レベルの電池特性とし
て望ましい100mAh/gを越えた良好な値を示して
おり、また、50サイクル目の放電容量維持率も実用レ
ベルの電池特性として望ましい50%を大きく越えた良
好な値を示している。これは、Li3PO4の合成原料に
添加された炭素粉末の一時粒径が、焼成中におけるLi
3PO4粒子の著しい成長を抑制するのに適正な値、すな
わち10.2μm以下とされているため、LiFePO
4の一時粒径が小さいものとされ、これによりLi3PO
4炭素複合体の比表面積が大きくされたため、Li3PO
4炭素複合体、すなわち正極活物質の電子伝導性が良好
なものとされているためと考えられる。
H2Oとの混合物、すなわちLi3PO4の合成原料に添
加した炭素粉末の一時粒径が10.2μmよりも大きい
比較例1乃至比較例3では、合成されたLiFePO4
炭素複合体の一時粒径は大きくなっている。そして、初
期放電容量密度は、実用レベルの電池特性として望まし
い100mAh/gを大きく下回った値を示している。
また、比較例1では、50サイクル目の放電容量維持率
も実用レベルの電池特性として望ましい50%を下回っ
た値を示している。これは、Li3PO4の合成原料に添
加された炭素粉末の一時粒径が、焼成中におけるLi3
PO4粒子の著しい成長を抑制するのに適正な値、すな
わち10.2μmよりも大きいため、LiFePO4の
一時粒径が大きくなってしまい、これによりLi3PO4
炭素複合体の比表面積が小さくなったため、Li3PO4
炭素複合体、すなわち正極活物質の電子伝導性が不十分
であるためと考えられる。
の合成原料に添加する炭素粉末の一時粒径を10.2μ
m以下とすることにより、合成されたLiFePO4の
一時粒径を小さくし、優れた電子伝導性を有する正極活
物質を作製することができるといえる。そして、当該L
iFePO4炭素複合体を正極活物質として用いること
により、優れた電子伝導性を有する非水電解質電池を構
成することができるといえる。
した。
示すようにして作製した。まず、ヘキサフルオロプロピ
レンが6.9重量%の割合で共重合されたポリフッ化ビ
ニリデンと、非水電解液と、ジメチルカーボネートとを
混合し、撹拌、溶解させ、ゾル状の電解質溶液を調製し
た。次いで、ゾル状の電解質溶液に、ビニレンカーボネ
ート(VC)を0.5重量%の割合で添加してゲル状電
解質溶液とした。なお、非水電解液として、エチレンカ
ーボネート(EC)と、プロピレンカーボネート(P
C)とを体積比で6:4の割合で混合した混合溶媒にL
iPF6を0.85mol/kgの割合で溶解させたも
のを使用した。
した。まず、実施例1で作製したLiFePO4炭素複
合体を85重量部と、導電剤としてアセチレンブラック
を10重量部と、バインダーとしてフッ素樹脂粉末であ
るポリ(ビニリデンフルオロライド)5重量部とを混合
した後、N−メチルピロリドンを加えてスラリー状にし
たものを準備した。次に、このスラリーを厚み20μm
のアルミ箔に塗布、加熱乾燥後、加圧工程を経て正極塗
布箔を作製した。次に、この正極塗布箔の片面にゲル状
電解質溶液を塗布後、乾燥して溶剤を除去した後、セル
の径に準じて直径15mmの円形に打ち抜き、正極電極
とした。
した。まず、黒鉛粉末にバインダーとしてフッ素樹脂粉
末を10重量%混合し、N−メチルピロリドンを加えて
スラリー状にしたものを準備した。次に、このスラリー
を銅箔に塗布、加熱乾燥後、加圧工程を経てセルの大き
さに準じて直径16.5mmの円形に打ち抜き、負極電
極とした。
収容し、負極を負極缶に収容し、正極と負極との間にセ
パレータを配した。そして、正極缶と負極缶とをかしめ
て固定することにより、直径20mm、厚み1.6mm
の2016型のコイン型リチウムポリマー電池を作製し
た。
7で作製したLiFePO4炭素複合体を用いたこと以
外は、実施例8と同様にしてコイン型リチウムポリマー
電池を作製した。
施例9のコイン型リチウムポリマー電池ついて、上記の
ようにして充放電サイクル特性試験を行い、初期放電容
量密度及び30サイクル後の放電容量維持率を求めた。
その結果を表2に示す。
(PO4)2・8H2Oとの混合物、すなわちLi3PO4
の合成原料に添加した炭素粉末の一時粒径が10.2μ
m以下であるである実施例1及び実施例7の正極活物質
を用いた実施例8及び実施例9は、初期放電容量密度、
30サイクル後の容量維持率ともに良好な値を示してい
る。このことから、本発明に係る正極活物質は、非水電
解質として非水電解液の代わりにゲル状電解質を用いた
場合においても放電容量の向上という効果を得られるこ
とが確認された。
一般式LixFePO4(ただし、0<x≦1である。)
で表される化合物と炭素材料との複合体を正極活物質と
した正極活物質の製造方法であって、一般式LixFe
PO4(ただし、0<x≦1である。)で表される化合
物の合成原料を混合する混合工程と、混合工程により得
られた混合物にミリングを施すミリング工程と、ミリン
グ工程でミリングを施した混合物を焼成する焼成工程と
を備え、焼成工程前に一次粒子径が10.2μm以下で
ある炭素材料を添加するものである。
造方法によれば、LiFePO4粒子の焼成中の粒子成
長を抑制することができ、LiFePO4粒子の粒径の
小さい正極活物質を作製することができるため、優れた
電子伝導性と高容量を有する正極活物質を提供すること
ができる。
方法は、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有す
る負極と、非水電解質とを備える非水電解質電池の製造
方法であって、一般式LixFePO4(ただし、0<x
≦1である。)で表される化合物の合成原料を混合する
混合工程と、混合工程により得られた混合物にミリング
を施すミリング工程と、ミリング工程でミリングを施し
た混合物を焼成する焼成工程とを経て、焼成工程前に一
次粒子径が10.2μm以下である炭素材料を添加する
ことによって上記正極活物質を製造するものである。
の製造方法によれば、LiFePO 4粒子の焼成中の粒
子成長を抑制することができ、LiFePO4粒子の粒
径の小さい正極活物質を作製することができるため、優
れた電子伝導性と高容量を有する正極活物質を作製する
ことができる。したがって、本発明によれば、優れた電
子伝導性と高容量を有する非水電解質二次電池を提供す
ることができる。
示す縦断面図である。
極、5 正極缶、6 セパレータ、7 絶縁ガスケット
Claims (4)
- 【請求項1】 一般式LixFePO4(ただし、0<x
≦1である。)で表される化合物と炭素材料との複合体
を正極活物質とした正極活物質の製造方法であって、 上記一般式LixFePO4(ただし、0<x≦1であ
る。)で表される化合物の合成原料を混合する混合工程
と、 上記混合工程により得られた混合物にミリングを施すミ
リング工程と、 上記ミリング工程でミリングを施した混合物を焼成する
焼成工程とを備え、 上記焼成工程前に一次粒子径が10.2μm以下である
炭素材料を添加することを特徴とする正極活物質の製造
方法。 - 【請求項2】 正極活物質を有する正極と、負極活物質
を有する負極と、非水電解質とを備える非水電解質電池
の製造方法であって、 一般式LixFePO4(ただし、0<x≦1である。)
で表される化合物の合成原料を混合する混合工程と、 上記混合工程により得られた混合物にミリングを施すミ
リング工程と、 上記ミリング工程でミリングを施した混合物を焼成する
焼成工程とを経て、 上記焼成工程前に一次粒子径が10.2μm以下である
炭素材料を添加することによって上記正極活物質を製造
することを特徴とする非水電解質電池の製造方法。 - 【請求項3】 上記非水電解質が、液系電解質であるこ
とを特徴とする請求項2記載の非水電解質電池の製造方
法。 - 【請求項4】 上記非水電解質が、ポリマー電解質であ
ることを特徴とする請求項2記載の非水電解質電池の製
造方法。
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