JP2002115100A - 電解メッキ用塩基性炭酸銅の製造方法 - Google Patents
電解メッキ用塩基性炭酸銅の製造方法Info
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Abstract
イオンの補給剤として供給される塩基性炭酸銅を製造す
るにあたり、メッキに悪影響を与えるClやS04 の濃
度が低い塩基性炭酸銅を得ること。 【解決手段】 塩化第二銅水溶液と炭酸イオンを含む水
溶液とを混合して、混合液のpHを8.0〜9.0の範
囲に維持すると共に、前記混合液の温度を75℃〜90
℃に維持しながら塩基性炭酸銅を生成し、この塩基性炭
酸銅を固液分離しかつ洗浄することにより塩素濃度を8
0ppm以下とする。また塩化第二銅水溶液の代わりに
硫酸第二銅水溶液を用いる場合も同様の反応条件で製造
し、S04濃度が200ppm以下である塩基性炭酸銅
を得る。反応温度を95℃以上とする場合には、混合液
のpH制御を行わずに例えば塩化第二銅水溶液と炭酸イ
オンとの供給比を制御する。
Description
性炭酸銅の製造方法に関する。
一つとして、電解液である硫酸中に銅メッキ材料を供給
し、不溶性陽極と陰極をなす被メッキ体との間で通電す
る電解メッキ法があり、この方法に用いられる銅メッキ
材料として、塩基性炭酸銅を用いることが知られている
(特許第2753855号公報)。
として不純物が少ないことが挙げられ、特にハロゲン、
イオウ、アルカリ金属などが問題となる。前記補給剤が
これら不純物を含むと、メッキ浴中に蓄積されていく。
例えばClイオン(塩素イオン)がメッキ浴中に蓄積さ
れると、被メッキ体の表面が粗面となるか、瘤状や針状
の析出が起こり、製品不良となる。またSO4 体のSが
蓄積した場合、メッキ被膜の状態に悪い影響を与えるだ
けでなく、メッキ浴中のSO4 濃度を制御することが困
難になり、メッキ処理品の品質が不安定になる。塩基性
炭酸銅は塩化第二銅水溶液あるいは硫化第二銅水溶液と
炭酸イオンを含む水溶液とを反応して生成され、塩化第
二銅水溶液を用いた場合にはClを含み、硫化第二銅水
溶液を用いた場合にはSO4 が含まれるが、これら不純
物の量は比較的少ない。
とが要求される。その理由は、銅メッキ材料を銅メッキ
浴(電解液に銅メッキ材料を供給した液)に補給したと
きに電解液に溶けきるまでに長い時間がかかると、銅イ
オン濃度にむらが生じてメッキ処理品の品質にばらつき
が生じる原因となるし、また処理効率の低下の要因にも
なる。塩基性炭酸銅は溶解性が大きいことから、この点
においても銅メッキ材料として適したものである。
中にClイオンやSO4 体のSが蓄積するとメッキ状態
が悪くなることから、これら不純物の濃度を監視し、不
純物の蓄積量が管理上の上限まで達するとメッキ浴を建
浴するようにしているが、メッキ浴の建浴は非常にコス
トが高いので、システムの運用としてはコストアップに
つながる。このため塩基性炭酸銅中の不純物量をより一
層少なくすることが課題になっていた。
のであり、その目的はメッキ被膜の状態に悪影響を与え
る不純物の量が少ない塩基性炭酸銅を製造する方法を提
供することにある。
溶液と炭酸イオンを含む水溶液とを混合して、混合液の
pHを8.0〜9.0の範囲に維持すると共に、前記混
合液の温度を75℃〜90℃に維持しながら塩基性炭酸
銅を生成する工程と、この工程により得られた塩基性炭
酸銅を固液分離しかつ洗浄する工程とを、行うことによ
り塩素濃度が80ppm以下である塩基性炭酸銅を製造
することを特徴とする他の発明は、被メッキ体を電解銅
メッキ処理するときに銅メッキ浴に銅イオンの補給剤と
して供給される塩基性炭酸銅を製造する方法において、
硫酸第二銅水溶液と炭酸イオンを含む水溶液とを混合し
て、混合液のpHを8.0〜9.0の範囲に維持すると
共に、前記混合液の温度を75℃〜90℃に維持しなが
ら塩基性炭酸銅を生成する工程と、この工程により得ら
れた塩基性炭酸銅を固液分離しかつ洗浄する工程とを、
行うことによりS04 濃度が200ppm以下である塩
基性炭酸銅を製造することを特徴とする。
酸第二銅水溶液と炭酸イオンを含む水溶液とを混合する
場合に、混合液のpHを制御しながら供給を行っている
が、本発明者は、95℃以上の温度で混合する場合に
は、見掛け上のpHと実際のpHとの開きが大きく、p
H制御により水溶液の供給を行っていたのでは、得られ
た塩基性炭酸銅中の不純物量が多くなることを把握して
おり、このため更に他の発明をなした。即ち、更に他の
発明は、被メッキ体を電解銅メッキ処理するときに銅メ
ッキ浴に銅イオンの補給剤として供給される塩基性炭酸
銅を製造する方法において、塩化第二銅水溶液と炭酸イ
オンを含む水溶液とを、混合液における銅イオン1モル
に対して炭酸イオンが1.3〜2.6モルとなるように
供給比を調整しながら反応槽内に供給し、混合液のpH
制御を行わずにその混合液の温度を95℃以上に維持し
ながら塩基性炭酸銅を生成する第1の工程と、この工程
により得られた塩基性炭酸銅を固液分離しかつ洗浄する
第2の工程とを、含むことを特徴とする。塩化第二銅の
代わりに硫酸第二銅を用いる場合には、混合液における
銅イオン1モルに対して炭酸イオンが2.3〜4.6モ
ルとなるように供給比を調整する。
二銅の水溶液と炭酸イオンを含む水溶液とを混合すると
は、塩化第二銅または硫酸第二銅の固体を炭酸塩の水溶
液に投入して水溶液になる場合、塩化第二銅または硫酸
第二銅の水溶液に炭酸塩を固体の状態で投入する場合、
あるいは塩化第二銅または硫酸第二銅の水溶液中に二酸
化炭素を吹き込む場合も含む。
明にかかる電解メッキ用塩基性炭酸銅の製造方法を実施
するためのバッチ式の製造装置の概略構成を示す説明図
である。この実施の形態では、例えば銅濃度が10重量
%である塩化第二銅(CuCl2 )の水溶液と炭酸イオ
ンを含む水溶液例えば炭酸濃度が7重量%である炭酸ナ
トリウム(Na2 CO3 )の水溶液とを、混合液のpH
が8.0〜9.0から選ばれる所定の設定値となるよう
に、予め例えば純水が入っている反応槽1内に夫々供給
ライン2、3を通じて投入すると共に、撹拌手段11に
より所定時間撹拌して反応させる。
ン濃度)を検出するpH検出部、42は反応槽1内の溶
液の温度を検出する温度検出部であり、これらの検出信
号は制御部5に取り込まれる。前記供給ライン2、3に
はバルブなどの流量調整部21、31が設けられてお
り、pH検出部41のpH検出値が所定の値となるよう
に流量調整部21、31を調整して塩化第二銅水溶液と
炭酸ナトリウム水溶液との供給量を調整する。
からなるバブリング手段43により加熱された水蒸気
(スチ−ム)を混合液にバブリングして混合液を75℃
〜90℃から選ばれる設定温度となるように加熱し、こ
うして例えば2時間反応させる。混合液の加熱制御は、
前記温度検出部42の検出信号に基づいて制御部5を介
して、例えば蒸気ライン44に設けられたバルブ45の
開度を調整することにより行われる。
(1)式のように炭酸銅が生成され、 Na2 CO3 +CuCl2 →CuCO3 +2NaCl (1) 続いて(2)式のように炭酸銅が水和して塩基性炭酸銅
の二水塩が生成され、 CuCO3 +3/2H2 O→1/2{CuCO3 ・Cu(OH)2・2H 2 O}+1/2CO2 (2) 更に(3)式のように上記の二水塩から水が抜け、無水
の塩基性炭酸銅が生成される。
殿する。そしてバルブ12を開いて沈殿物であるスラリ
−を抜き出して遠心分離機6に送り、ここで遠心分離に
より固形分を母液から分離し、その固形分を乾燥機7に
入れて乾燥し、塩基性炭酸銅の粉体を得る。
いては、混合液のpHが8.0よりも低いと、得られた
塩基性炭酸銅中の塩素濃度が大きくなり、pHが9.0
よりも高いと、一部が酸化銅になってしまい、またアル
カリの使用量が多くなってしまうので8.0〜9.0で
あることが必要である。
温度)については、70℃以下においても、反応時間を
長く取ることにより塩基性炭酸銅中の塩素濃度は減少す
ると考えられるが、本発明者が基準としている濃度より
も小さくするためには、後述の実施例からも分かるよう
に8時間反応させても達成できず、相当長い時間かかる
と推測され、工業的な条件ではない。これに対して75
℃であれば、例えば1.5時間以上反応させることによ
り塩素濃度を十分小さくすることができる。前記塩素濃
度は反応時間が同じであれば、反応温度を高くするにつ
れて減少する傾向にあるが、後述の実施例からも分かる
ように95℃を越えると、この実施の形態の手法では塩
素濃度が高くなってしまう。反応温度を目標値となるよ
うに制御しても実際にはわずかに変動することが避けら
れないので、特許請求の範囲でいう反応温度つまり目標
値は75℃以上で90℃以下であることが必要である。
したが、例えば反応槽の底部から塩化第二銅水溶液及び
硫酸第二銅水溶液を供給しながら反応槽の上部周縁から
混合液を排出するようにして連続処理を行ってもよい。
連続処理の場合には、反応時間は反応槽内における液の
滞留時間となる。
ては塩化第二銅の他に硫酸第二銅の水溶液を用いること
ができる。この場合は硫酸第二銅から塩基性炭酸銅にS
04が持ち込まれるが、S04 濃度を小さくするための
反応条件つまり混合液のpH、反応温度及び反応時間
は、塩化第二銅から塩基性炭酸銅に持ち込まれるClの
量を少なくするための反応条件と同じである。塩化第二
銅水溶液中の銅濃度は例えば5〜24重量%が好まし
く、硫酸第二銅水溶液中の銅濃度は例えば5〜16重量
%が好ましく、炭酸ナトリウム水溶液中の炭酸イオン濃
度は2〜15重量%が好ましい。
に炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金
属の炭酸塩、または炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、炭酸バリウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩ある
いは炭酸アンモニウム((NH4)2 CO3 )などを用い
ることができる。なお炭酸塩を用いずに水溶液中に二酸
化炭素ガスを吹き込むようにしてもよい。
用いた場合には塩基性炭酸銅に含まれるClが少なくな
り、硫酸第二銅を用いた場合には塩基性炭酸銅に含まれ
るSO4 体のSが少なくなり、従って塩基性炭酸銅を銅
メッキ材料として用いた場合に、メッキ浴中の不純物濃
度が管理上の上限に達するまでの時間が長くなるので、
建浴に至るまでの時間が長くなり、コストアップを抑え
ることができる。
形態では、反応温度を75℃〜90℃としているが、こ
の実施の形態では、95℃以上の反応温度で塩基性炭酸
銅を製造する方法を説明する。本発明者は反応温度を上
げていくと塩基性炭酸銅に含まれるClやSO4 体のS
が減少するという結果を得ているが、反応温度を上げて
いくと後述の実施例から分かるように逆にこれら不純物
濃度が増加するという結果が得られた。この原因につい
て検討したところ、酸側である塩化第二銅(あるいは硫
酸第二銅)水溶液とアルカリ側である炭酸ナトリウム水
溶液との供給比が一定でないことが分かった。つまり同
一のpHで管理していても、反応温度を上げていった場
合、塩化第二銅水溶液の供給量に対する炭酸ナトリウム
水溶液の供給量の割り合い(供給比)が小さくなる傾
向、つまり塩化第二銅水溶液が過剰に供給される傾向に
ある。
でpHの目標値を8.0にすると前記供給比が2.0で
あるが、95℃でpHの目標値を8.0にすると前記供
給比は例えば1.2になる。この原因はpHの温度依存
性ではない。何故なら100℃でpH8.0の液を75
℃に下げてもpHの検出値は8.0である。従って95
℃あたりから見掛けのpH(検出値)が8.0でも実際
のpHは異なるものと推測される。逆に言えば実際のp
Hが8.0でも見掛けのpHは8.0から外れているこ
とになり、このため95℃の供給比は75℃の供給比と
かなり異なってしまい、結局塩化第二銅水溶液が過剰に
供給されてCl濃度が高くなるものと考えられる。
合には、pH制御を行わずに上述の供給比を制御するよ
うにする。供給比の設定範囲は、原料液の濃度により異
なることから、本発明では混合液における銅イオンと炭
酸イオンとのモル比を規定することとしている。即ち塩
化第二銅水溶液を用いる場合には、塩化第二銅水溶液と
炭酸イオンを含む水溶液とを、混合液における銅イオン
1モルに対して炭酸イオンが1.3〜2.6モルとなる
ように供給比を調整しながら反応槽1内に供給する。ま
た硫酸第二銅水溶液を用いる場合には、塩化第二銅水溶
液と炭酸イオンを含む水溶液とを、混合液における銅イ
オン1モルに対して炭酸イオンが2.3〜4.6モルと
なるように供給比を調整しながら反応槽1内に供給す
る。
装置の一例の概略を示す図であり、反応槽1は、例えば
底部に前記供給ライン2、3が接続されると共に、上部
周縁に形成された越流部13を越えた液が排出されるよ
うに構成されている。制御部5は、銅イオン1モルに対
して炭酸イオンが1.3〜2.6モルとなるように設定
された供給比(供給比設定値)に基づいて流量調整部2
1、31を調整して、塩化第二銅水溶液と炭酸ナトリウ
ム水溶液の供給比を制御し、こうして反応槽1に供給さ
れた水溶液は所定時間滞留して反応し、越流部13を越
えて排出される。なおこの場合pH検出部41によりp
Hを監視し、その検出値が所定範囲から外れたときにア
ラ−ムを出力してオペレ−タに警告するようにしてもよ
く、このようにすれば、処理の安定化を図ることができ
る。
に含まれるClやS04 を低減できるだけでなく、炭酸
塩から持ち込まれるアルカリ金属やアルカリ土類金属例
えばNaの量を後述の実施例からも分かるように低減で
きる効果がある。アルカリ金属やアルカリ土類金属が銅
メッキ浴に蓄積すると、メッキ面上にそれらの硫酸塩の
析出の懸念があるため、蓄積の防止のため建浴の頻度を
増すおそれがある。従ってこの点から見れば第2の実施
の形態は得策である。
の補給材として用いた銅メッキ方法を実施する装置の一
例を図3に示しておく。図3中8はメッキ浴槽であり、
この中に電解液である硫酸に塩基性炭酸銅を溶解したメ
ッキ液が満たされていると共に、直流電源Eの正極側に
接続された不溶性陽極81例えばチタン板に白金属の白
金、イリジウムを7:3の割合でコーディングしたもの
と、直流電源Eの負極側に接続された陰極である被メッ
キ材82例えば被メッキ用金属板とが浸漬されている。
83は溶解槽であり、メッキ浴槽8内の銅イオンが少な
くなってきたときに、補給源であるホッパ84から塩基
性炭酸銅の粉体を溶解槽83内に所定量補給し、撹拌手
段85により撹拌して硫酸に溶解させた後、ポンプP
1,P2を作動させてメッキ浴を循環させ、その後次の
銅メッキ処理を行う。Fはフィルタである。
実験レベルの装置を用い、反応槽内に予め純水を適当量
入れておき、液温度を75℃に保持して撹拌させてお
く。そして塩化第二銅水溶液及び炭酸ナトリウム水溶液
をpH目標値(管理pH)が一定になるように反応槽内
に供給すると共に、反応温度を一定に保持するようにヒ
−タで加温し、撹拌して塩基性炭酸銅を沈殿させ、これ
を固液分離して塩基性炭酸銅の粉末を得た。反応条件は
以下の通りである。
し、またpHも8.0±0.2とわずかに変動した。こ
うして得られた塩基性炭酸銅中のCl濃度及びNa濃度
を測定したところ図4に示す結果が得られた。なお以下
の実施例1−2から比較例1−3までの結果も図4に示
してある。
標値を8.5、8.75及び9.0に夫々設定した他は
実施例1−1と同様にして塩基性炭酸銅を得た。
℃及び90℃に設定した他は実施例1−1と同様にして
塩基性炭酸銅を得た。
間及び8時間とした他は実施例1−1と同様にして塩基
性炭酸銅を得た。
ムの炭酸イオン濃度を2.0重量%及び3.5重量%と
した他は実施例1−1と同様にして塩基性炭酸銅を得
た。
し、pH目標値を8.5とした他は実施例1−1と同様
にして塩基性炭酸銅を得た。
とした他は実施例1−1と同様にして塩基性炭酸銅を得
た。
た他は実施例1−1と同様にして塩基性炭酸銅を得た。
目標値を8.0、反応時間を2時間とした他は実施例1
−1と同様にして塩基性炭酸銅を得た。
目標値を8.0、反応時間を8時間とした他は実施例1
−1と同様にして塩基性炭酸銅を得た。
結果(図4参照)から反応温度を75℃以上とし、pH
を8.0以上とすることにより塩基性炭酸銅に含まれる
Cl濃度を低く抑えることができ、本発明者が目標とし
ている80ppm以下を達成できることが分かる。
りに銅濃度が5重量%の硫酸第二銅水溶液を用いた他は
実施例1−1と同様にして塩基性炭酸銅を得た。
℃及び90℃とした他は実施例2−1と同様にして塩基
性炭酸銅を得た。
した他は実施例2−1と同様にして塩基性炭酸銅を得
た。
た他は実施例2−1と同様にして塩基性炭酸銅を得た。
以上のようにして得られた塩基性炭酸銅中のS04 濃度
及びNa濃度を測定したところ図5に示す結果が得られ
た。
溶液の代わりに硫酸第二銅水溶液を用いた場合には、塩
基性炭酸銅に持ち込まれる陰イオンはClの代わりにS
04 になるので、反応条件を塩化第二銅水溶液の場合と
同じにすることによりS04 濃度を低減できることは容
易に予測できるが、念のためにpHを変えてS04 濃度
を調べたところ、pHが8.0よりも小さいと510p
pmにもなり、これに対してpHが8.0の場合には2
00ppm以下に低減できた。
いて、反応温度を75℃、80℃、90℃、95℃及び
100℃に夫々設定して塩基性炭酸銅を得、これら塩基
性炭酸銅に含まれるCl濃度を調べたところ図6に示す
結果が得られた(75℃、80℃、90℃については上
述で実験済みである)。このときの酸側である塩化第二
銅水溶液に対するアルカリ側である炭酸ナトリウム水溶
液の供給比(炭酸ナトリウム水溶液の供給量÷塩化第二
銅水溶液の供給量)を調べると同図に示す通りであっ
た。この結果から95℃以上になると、同様の理由によ
り、pH制御により供給量を制御するとCl源である塩
化第二銅溶液が比較的過剰に供給されることになり、塩
基性炭酸銅に含まれるCl濃度が高くなる。
H8.0のときの供給比1.8として反応させる試験及
び、100℃において供給比を75℃、pH8.0のと
きの供給比2.0として反応させる試験を行ったとこ
ろ、塩基性炭酸銅中のCl濃度は夫々35ppm及び4
0ppmとなった。従って反応温度を95℃以上に設定
する場合には、pH制御を行わずに前記供給比を一定に
なるようにあるいは所定の範囲内におさまるように制御
することが有効である。
りに硫酸第二銅水溶液を用い、実施例2−1の条件にお
いて、反応温度を75℃、80℃、90℃、95℃及び
100℃に夫々設定して塩基性炭酸銅を得、これら塩基
性炭酸銅に含まれるS04 濃度を調べたところ図7に示
す結果が得られた(75℃、80℃、90℃については
上述で実験済みである)。このときの酸側である硫酸第
二銅水溶液に対するアルカリ側である炭酸ナトリウム水
溶液の供給比(炭酸ナトリウム水溶液の供給量÷硫酸第
二銅水溶液の供給量)を調べると同図に示す通りであっ
た。この結果から95℃以上になると、第2の実施の形
態にて述べたように実際のpHと見掛けのpHとの差が
大きくなり、pH制御により供給量を制御するとSO4
源である硫酸第二銅溶液が比較的過剰に供給されること
になり、塩基性炭酸銅に含まれるSO4 濃度が高くな
る。
H8.0のときの供給比1.6として反応させる試験及
び、100℃において供給比を75℃、pH8.0のと
きの供給比1.8として反応させる試験を行ったとこ
ろ、塩基性炭酸銅中のSO4 濃度は夫々200ppm及
び120ppmとなった。
約50ppmである塩基性炭酸銅を銅補給剤として電気
メッキを下記条件で実施した。
た。銅濃度を一定に保持するように塩基性炭酸銅を供給
した場合、メッキ浴中のCl濃度は1〜2ppm/日増
加した。しかしメッキ浴中のCl濃度が約40ppmに
なった時点でその後のCl濃度が一定になった。40日
間経過後においても、Cl濃度の増加は見られなかっ
た。これは陽極からのCl発生量と、供給した塩基性炭
酸銅に含まれるCl量のバランスがとれたものと考えら
れる。最終的に得られた陰極の表面は非常に平坦で平滑
であった。
pmである塩基性炭酸銅を銅補給剤として電気メッキを
上記の実施例4と同一の条件で実施した。
リットルとして電気メッキを開始する。銅濃度を一定に
保持するように塩基性炭酸銅を供給した場合、メッキ浴
中でのS04 濃度の増加は9mg/日であった。メッキ
浴からのSO4 の揮散などは生じなかった。メッキ浴に
おけるSO4 の蓄積の進行が非常に遅く、メッキ浴中の
SO4 濃度制御のために希釈などの処置は必要でないと
考えられる。
mである塩基性炭酸銅を銅補給剤として電気メッキを上
記の実施例4と同一の条件で実施した。
pmに調整した。銅濃度を一定に保持するように塩基性
炭酸銅を供給した場合、メッキ浴中で3〜4ppm/日
のCl濃度の増加が起こった。これは陽極からのCl発
生量よりも、供給した塩基性炭酸銅に含まれるCl量の
方が大きいことが原因であると考えられる。40日間経
過後、メッキ浴中のCl濃度は約160ppmとなっ
た。最終的に得られた陰極の表面は実施例4に比較して
粗面となった。
pmである塩基性炭酸銅を銅補給剤として電気メッキを
上記の実施例4と同一の条件で実施した。
リットルとして電気メッキを開始する。銅濃度を一定に
保持するように塩基性炭酸銅を供給した場合、メッキ浴
中で30mg/日のS04 濃度の増加が起こった。メッ
キ浴からのSO4 の揮散などは生じなかった。そのため
メッキ浴にSO4 の蓄積が生じ、メッキ浴中のSO4濃
度制御のために希釈などの処置が必要となった。
中のCl濃度が50ppmである場合を代表例として、
メッキ処理が良好でメッキ浴中のCl濃度の増加がない
ことを確認しているが、Cl濃度が80ppmであって
も全く同様の結果が期待できる。ただし200ppm程
度では、上述のような不都合が起こるため、本発明では
安全を見て塩基性炭酸銅中のCl濃度が80ppm以下
を目標としている。
ppmである場合を代表例としているが、SO4 濃度が
200ppm以下であれば、SO4 の蓄積は遅く、もし
SO4 濃度制御のために希釈などの処置が必要になると
しても、そこに至までの期間は十分長いものであると推
測できる。
ッキ処理を行うことができる銅メッキ材料が得られる。
また本発明により得られた銅メッキ材料を用いることに
より、建浴に至るまでの時間が長くなり、コストアップ
を抑えることができる。
を示す説明図である。
形態を示す説明図である。
ッキするときに使用されるメッキ処理装置の一例を示す
構成図である。
係を示す説明図である。
係を示す説明図である。
二銅に対する炭酸ナトリウムの供給比との関係を示す説
明図である。
第二銅に対する炭酸ナトリウムの供給比との関係を示す
説明図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 被メッキ体を電解銅メッキ処理するとき
に銅メッキ浴に銅イオンの補給剤として供給される塩基
性炭酸銅を製造する方法において、 塩化第二銅水溶液と炭酸イオンを含む水溶液とを混合し
て、混合液のpHを8.0〜9.0の範囲に維持すると
共に、前記混合液の温度を75℃〜90℃に維持しなが
ら塩基性炭酸銅を生成する工程と、 この工程により得られた塩基性炭酸銅を固液分離しかつ
洗浄する工程とを、行うことにより塩素濃度が80pp
m以下である塩基性炭酸銅を製造することを特徴とする
電解メッキ用塩基性炭酸銅の製造方法。 - 【請求項2】 被メッキ体を電解銅メッキ処理するとき
に銅メッキ浴に銅イオンの補給剤として供給される塩基
性炭酸銅を製造する方法において、 硫酸第二銅水溶液と炭酸イオンを含む水溶液とを混合し
て、混合液のpHを8.0〜9.0の範囲に維持すると
共に、前記混合液の温度を75℃〜90℃に維持しなが
ら塩基性炭酸銅を生成する工程と、 この工程により得られた塩基性炭酸銅を固液分離しかつ
洗浄する工程とを、行うことによりS04 濃度が200
ppm以下である塩基性炭酸銅を製造することを特徴と
する電解メッキ用塩基性炭酸銅の製造方法。 - 【請求項3】 被メッキ体を電解銅メッキ処理するとき
に銅メッキ浴に銅イオンの補給剤として供給される塩基
性炭酸銅を製造する方法において、 塩化第二銅水溶液と炭酸イオンを含む水溶液とを、混合
液における銅イオン1モルに対して炭酸イオンが1.3
〜2.6モルとなるように供給比を調整しながら反応槽
内に供給し、混合液のpH制御を行わずにその混合液の
温度を95℃以上に維持しながら塩基性炭酸銅を生成す
る第1の工程と、 この工程により得られた塩基性炭酸銅を固液分離しかつ
洗浄する第2の工程とを、含むことを特徴とする電解メ
ッキ用塩基性炭酸銅の製造方法。 - 【請求項4】 被メッキ体を電解銅メッキ処理するとき
に銅メッキ浴に銅イオンの補給剤として供給される塩基
性炭酸銅を製造する方法において、 硫酸第二銅水溶液と炭酸イオンを含む水溶液とを、混合
液における銅イオン1モルに対して炭酸イオンが2.3
〜4.6モルとなるように供給比を調整しながら反応槽
内に供給し、混合液のpH制御を行わずにその混合液の
温度を95℃以上に維持しながら塩基性炭酸銅を生成す
る第1の工程と、 この工程により得られた塩基性炭酸銅を固液分離しかつ
洗浄する第2の工程とを、含むことを特徴とする電解メ
ッキ用塩基性炭酸銅の製造方法。
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