JP2002114049A - 車両用駆動力配分装置 - Google Patents
車両用駆動力配分装置Info
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- JP2002114049A JP2002114049A JP2000307649A JP2000307649A JP2002114049A JP 2002114049 A JP2002114049 A JP 2002114049A JP 2000307649 A JP2000307649 A JP 2000307649A JP 2000307649 A JP2000307649 A JP 2000307649A JP 2002114049 A JP2002114049 A JP 2002114049A
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Abstract
アンダーステアモーメントを左右輪間の駆動力配分を制
御することで確実に軽減し、もって、車両の旋回性能を
確保して運動特性を改善できる車両用駆動力配分装置を
提供する。 【解決手段】 旋回後半の加速時において、センタデフ
の拘束トルクを増加してトラクション性能を確保すると
共に、このときに発生するアンダーステアモーメントを
軽減するために、リアデフ13の外輪3R側へのトルク
分配量を増加させ、これにより良好な旋回性能を確保す
る。リアデフ13の構成として、増速用クラッチ120
及び減速用クラッチ121の係合に応じて、駆動力偏移
機構Sを介してエンジンからのトルクの一部をインナケ
ーシング112と右側のドライブシャフト14との間で
伝達して、左右の後輪3Rへのトルク分配を変更する構
成を採用し、自由にオーバーステアモーメントを発生可
能とする。
Description
び左右輪間の駆動力配分を制御可能な車両用駆動力配分
装置に関するものである。
しては、例えば特登録2770670号を挙げることが
できる。この駆動力配分装置では、エンジンから後輪に
伝達される駆動力を油圧式の多板クラッチを経て前輪側
に任意に分配可能とすると共に、左右の後輪間に設けら
れたリアディファレンシャル(以下、リアデフという)
の差動を油圧多板クラッチで制限することにより、左右
の後輪間の駆動力配分を変更可能としている。
駆動状態から前輪側への駆動力分配量を増加させて4輪
駆動状態に接近させるほど、トラクション性能は増加す
るものの操舵特性はアンダーステア側に変化し、一方、
リアデフの差動を制限するほど、操舵特性はオーバース
テア側に変化する。そこで、この運動特性を前提とし
て、上記した駆動力配分装置では良好な運動性能が実現
されるように車両の走行状態に応じて制御を実施してお
り、例えば旋回後半のコーナーからの加速時には、トラ
クション性能と共に良好な旋回性能が要求されることか
ら、前輪側への駆動力の分配量を増加させると共に、こ
れにより発生したアンダーステアモーメントをリアデフ
の差動を制限することで軽減して、旋回性能の確保を図
っている。
置においてリアデフを差動制限することでオーバーステ
アモーメントが発生する原理は、旋回限界付近で生じる
内輪側のスリップに起因するものである。即ち、差動制
限したときの旋回時には、外輪側に減速方向の駆動力が
作用し、内輪側に増速方向の駆動力が作用することか
ら、本来はアンダーステアモーメントが発生する。これ
に対して旋回限界付近では外輪側への接地荷重の移動に
より内輪側にスリップが発生して駆動力が急減し、その
分だけ外輪側の駆動力が増加することから、結果として
車両の旋回を促すオーバステアモーメントが発生するの
である。
高μ路での急旋回時でなければ、オーバステアモーメン
トを発生できず、他の多くの走行状態では、むしろ旋回
を妨げるアンダーステアモーメントが発生してしまう。
その結果、上記した前輪への駆動配分の増加によるアン
ダーステアモーメントを軽減できないばかりか助長して
しまうことになり、車両の運動特性を改善できるとは言
い難かった。
制御により発生したアンダーステアモーメントを左右輪
間の駆動力配分を制御することで確実に軽減し、もっ
て、車両の旋回性能を確保して運動特性を改善すること
ができる車両用駆動力配分装置を提供することにある。
め、請求項1の発明では、エンジンからの駆動力を前後
輪に分配すると共に、前後輪の差動を車両の運転状態に
基づいて設定される拘束トルクにより制限可能な駆動力
前後配分手段と、エンジンからの駆動力を左右輪に分配
すると共に、分配経路に併設された駆動力偏移機構によ
り駆動力の一部を伝達して、左右輪への駆動力の分配量
を変更可能な駆動力左右配分手段と、駆動力前後配分手
段の拘束トルクに応じて駆動力左右配分手段の配分量を
制御する制御手段とを備えた。
て、駆動力前後配分手段による前後輪の差動制限により
好ましくない方向にヨーモーメントが発生したときに
は、これを軽減する方向に駆動力左右配分手段により左
右輪への駆動力が分配される。そして、駆動力左右配分
手段は、駆動力偏移機構により駆動力の一部を左右何れ
かの車輪に伝達することで左右輪への分配量を任意に変
更可能であることから、特登録2770670号に記載
された従来例のリアデフのように、左右輪の差動制限に
より荷重移動を利用してオーバーステアモーメントを発
生させる原理とは全く異なり、高μ路での急旋回時等に
限定されることなく自由にヨーモーメントを発生可能で
ある。
左右配分手段の駆動力分配量とを相関させるための好ま
しい態様としては、上記制御手段を、拘束トルクの算出
に用いられたパラメータを共通の媒介変数として、駆動
力左右配分手段の駆動力分配量を算出するように構成す
ることが望ましい。例えば、旋回加速時においては、駆
動力前後配分手段の拘束トルクと駆動力左右配分手段の
駆動力分配量との最適値が加速の緩急に応じて変化する
ことから、車両の加速度合を表すスロットル開度等を共
通の媒介変数として、これらの拘束トルクと駆動力の分
配量とを設定する。これにより旋回後半での加速の緩急
に関わらず、好ましくないヨーモーメントを確実に軽減
可能となる。
動力前後配分手段の拘束トルクの増加に伴って、車両の
旋回時の内輪に対して外輪への分配量を増加させるよう
に駆動力左右配分手段を制御する。従って、旋回後半の
加速時において、トラクション性能の確保のために駆動
力前後配分手段の拘束トルクが増加されると、アンダー
ステアモーメントが発生するが、それに応じて駆動力左
右配分手段により外輪への駆動力の分配量が増加されて
オーバーステアモーメントが発生するため、上記アンダ
ーステアモーメントが軽減されて、良好な旋回性能が確
保される。
駆動力配分装置の一実施形態を説明する。図1は本実施
形態の車両用駆動力配分装置を示す全体構成図、図2は
センタデフ及びフロントデフの詳細を示す部分拡大図で
ある。これらの図に示すように、駆動力前後配分手段と
してのセンタデフ1はフロントディファレンシャル(以
下、フロントデフという)2と共に車両の前輪3Fの車
軸上に配設され、エンジン4の回転が手動式の変速機5
を介してセンタデフ1の外周のリングギア6に入力され
るようになっている。センタデフ1はピニオンギア7に
一対のサイドギア8a,8bを噛合させた一般的な構成
であり、エンジン4によりリングギア6が回転駆動され
ると一体でピニオンギア7が回転し、左右のサイドギア
8a,8bに回転差を許容しながら50:50の比率で
トルクが配分される。
ロントデフ2のアウタケーシング9に連結され、アウタ
ケーシング9の外周に設けられたリングギア10がピニ
オンギア11及びプロペラシャフト12を介して駆動力
左右配分手段としてのリアディファレンシャル(以下、
リアデフという)13に接続されている。一方のサイド
ギア8aと共にアウタケーシング9が回転すると、その
回転はリングギア10、ピニオンギア11、プロペラシ
ャフト12を経てリアデフ13に伝達され、更にドライ
ブシャフト14を介して左右の後輪3Rが回転駆動され
る。
前記アウタケーシング9に内装されたインナケーシング
15に接続され、このインナケーシング15内に支持さ
れた一対のプラネタリギア16は、左右のドライブシャ
フト17の内端に形成されたサンギア18にそれぞれ噛
合している。他方のサイドギア8bと共にインナケーシ
ング15が回転すると、その回転はプラネタリギア1
6、サンギア18を経てドライブシャフト17に伝達さ
れて左右の前輪3Fが回転駆動されると共に、プラネタ
リギア16の自転に伴って左右の回転差が許容される。
ンナケーシング15との間には油圧多板クラッチ19が
設けられ、この油圧多板クラッチ19の係合状態に応じ
て拘束トルクが発生して、両ケーシング9,15の相対
回転が規制される。油圧多板クラッチ19の完全開放時
(拘束トルク0)には、両ケーシング9,15が回転規
制されることなくフリー状態に保持されて、上記のよう
に50:50の比率で前輪3F側と後輪3R側へのトル
ク配分が行われ、一方、油圧多板クラッチ19の完全係
合時(拘束トルク最大)には、両ケーシング9,15が
回転規制されてロック状態に保持され、このときには前
後輪3F,3Rの接地荷重に応じた比率でトルク配分が
行われる。そして、このような拘束トルクの調整に応じ
て、後述のように車両の走行特性が変化する。油圧多板
クラッチ19は油圧ユニット20から作動油の供給を受
けて作動し、その作動油の供給状態がソレノイドバルブ
21で制御されることにより油圧多板クラッチ19の係
合状態が調整されて、任意の拘束トルクが実現される。
大図であり、この図に基づいて前記リアデフ13の構成
を説明すると、リアデフ13のアウタケーシング111
内にはインナケーシング112が配設され、このインナ
ケーシング112はピニオンギア113及びリングギア
114を介して前記プロペラシャフト12により回転駆
動される。インナケーシング112内には、ピニオンギ
ア115に一対のサイドギア116a,116bを噛合
させた一般的な構成のディファレンシャル機構が設けら
れ、インナケーシング112の回転に伴って、左右のサ
イドギア116a,116bは回転差を許容されながら
50:50の比率でトルクを配分され、そのトルクが前
記ドライブシャフト14を介して左右の後輪3Rに伝達
される。
ンギア117aが設けられ、このサンギア117aは、
アウタケーシング111内に支持された3連のピニオン
ギア117b,118b,119bの一つ117bに噛
合している。残りの2つのピニオンギア118b,11
9bは、左側のドライブシャフト14に外嵌した中空軸
118,119のサンギア118a,119aとそれぞ
れ噛合し、各中空軸118,119は増速用クラッチ1
20及び減速用クラッチ121を介して右側のドライブ
シャフト14に連結されている。
118b,119bの歯数は、インナーケーシング11
2側のサンギア117aと噛合するピニオンギア117
bを基準として、増速用クラッチ120側のサンギア1
18aと噛合するピニオンギア118bが大きく、減速
増速用クラッチ121側のサンギア119aと噛合する
ピニオンギア119bが小さく設定されている。従っ
て、例えば車両の直進時においては、増速用クラッチ1
20には右側のドライブシャフト14を増速させる方向
の回転差が発生し、減速用クラッチ121には右側のド
ライブシャフト14を減速させる方向の回転差が発生す
る。そして、本実施形態では、これらのサンギア117
a,118a,119a、ピニオンギア117b,11
8b,119b、増速用クラッチ120及び減速用クラ
ッチ121により駆動力偏移機構Sが構成されている。
時には、この回転差による増速或いは減速作用は奏され
ないことから、左右の駆動輪3Rは上記のように50:
50の比率でトルク配分がなされる。この状態から増速
用クラッチ120が係合されると、インナケーシング1
12の回転トルクの一部がサンギア117a、ピニオン
ギア117b、ピニオンギア118b、サンギア118
a、増速用クラッチ120を経て右側のドライブシャフ
ト14に分配され、結果として右後輪3Rへのトルク配
分量が増加し、その増加分だけ左後輪3Rへのトルク配
分量が減少する。逆に、減速用クラッチ121が係合さ
れると、右側のドライブシャフト14の回転トルクの一
部が減速用クラッチ121、サンギア119a、ピニオ
ンギア119b、ピニオンギア117b、サンギア11
7aを経てインナケーシング112に回収され、結果と
して右後輪3Rへのトルク配分量が減少し、その減少分
だけ左後輪3Rへのトルク配分量が増加する。つまり、
増速用クラッチ120或いは減速用クラッチ121を選
択的に係合させることで左右の後輪3Rへのトルク分配
量を変更でき、それに伴って車両のヨーモーメントを任
意の方向に発生可能となる。
121は前記油圧ユニット20から作動油の供給を受け
て作動し、その作動油の供給状態がソレノイドバルブ1
22a,122bで制御されることにより各クラッチ1
20,121の係合状態が調整されて、上記のように左
右後輪3Rへの任意のトルク配分が実現される。一方、
車両の室内には、制御手段としての4WD用ECU(電
子制御ユニット)31が図示しないエンジン・変速機用
ECUやABS用ECU等と共に設置されており、この
4WD用ECU31は他のECUと同様に、図示しない
入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供
される記憶装置(ROM,RAM等)、中央処理装置
(CPU)、タイマカウンタ等を備えている。4WD用
ECU31の入力側には、車両に作用する前後方向の加
速度Gxを検出する前後加速度センサ33、車両に作用
する横方向の加速度Gyを検出する横加速度センサ3
4、エンジン4のスロットル開度TPSを検出するスロ
ットルセンサ36、ステアリング操舵角θsを検出する
操舵角センサ37、及び、運転者が高μ路面(例えば、
舗装路)、中μ路面(例えば、未舗装路)、低μ路面
(例えば、凍結路)の3種の路面状況を選択するための
モード切換スイッチ38が接続されている。又、4WD
用ECU31の出力側には、前記ソレノイドバルブ2
1,122a,112bが接続されている。
力配分装置のECU31が実行するセンタデフ1とリア
デフ13の制御、特にセンタデフ1の差動制限制御に適
用する拘束トルク、及びリアデフ13の左右後輪3Rへ
のトルク配分制御に適用するトルク差の設定手順を説明
する。図4はECUが実行するセンタデフ1の拘束トル
クの設定手順を系統的に示したブロック図である。図に
示すように、この拘束トルク設定手順は、運転者の意志
に沿った旋回挙動を実現すべく前後差回転拘束トルクT
vを算出する前後差回転拘束トルク設定部41、前後差
回転拘束トルクTvに生じるハンチングを防止すべく前
後G拘束トルクTxを算出する前後G比例拘束トルク設
定部42、加速時のトラクション性能を確保すべく加速
対応拘束トルクTaを算出する加速対応拘束トルク設定
部43、及び減速時の安定性を確保すべく減速対応拘束
トルクTbを算出する減速対応拘束トルク設定部44
と、それらの各拘束トルク設定部41〜44で設定され
た拘束トルクTv,Tx,Ta,Tbに基づき、例えば各値
を加算して最終的な拘束トルクTfinalを設定する最終
拘束トルク設定部45とから構成されている。
束トルクTfinalに基づいて、センタデフ1の実際の拘
束トルクが制御される。即ち、最終拘束トルクTfinal
に対応するデューティ率が図示しないマップから設定さ
れ、そのデューティ率に基づいてソレノイドバルブ21
が作動して、油圧ユニット20から油圧多板クラッチ1
9に供給される作動油を制御し、その結果、油圧多板ク
ラッチ19の係合状態が調整されて、拘束トルクが上記
最終拘束トルクTfinalに制御される。
ルク設定部43では、以下の手順で加速対応拘束トルク
Taが設定される。拘束トルク算出部81には、スロッ
トルセンサ36にて検出されたスロットル開度TPS、
モード切換スイッチ38の操作状況、及び推定車体速算
出部54にて推定された推定車体速VBが入力される。
推定車体速VBとは所定時間t後の車体速VBを表し、例
えば、2番目に小さい車輪速を現在の車体速と見なし
(最小値は故障中の可能性があるため除外)、その値を
前後加速度Gx(以降の車体速の変化を意味する)で補
正することにより算出される。拘束トルク算出部81で
は、予め設定された3種のマップからモード切換スイッ
チ38にて入力された路面状況に対応するマップが選択
され、そのマップに基づいてスロットル開度TPS及び
推定車体速VBから加速対応拘束トルクTaが算出され
る。この加速対応拘束トルクTaがフィルタ82を経て
上記した最終拘束トルクTfinal設定部に出力されて、
最終拘束トルクTfinalの算出に適用される。
は、スロットル開度TPSの増加に伴って増加するよう
に設定される。この特性により、スロットル開度TPS
が大となる急加速ほど加速対応拘束トルクTaが増加設
定され、その設定が最終拘束トルクTfinalの算出に反
映される。結果として、センタデフ1の実際の拘束トル
クが増加側に制御されることから、車両のトラクション
性能が確保されて良好な加速が実現される。
3のトルク差の設定手順を系統的に示したブロック図で
ある。図に示すように、このトルク差の設定手順は、旋
回加速時の旋回性能を確保すべく加速旋回トルク差TD
aを算出する加速旋回トルク差設定部131、減速時の
安定性を確保すべく減速旋回トルク差TDbを算出する
減速旋回トルク差設定部132、及び急操舵時の回頭性
を確保すべく操舵過渡応答トルク差TDsを算出する操
舵過渡応答トルク差設定部133と、それらの各トルク
差設定部131〜133で設定されたトルク差TDa,
TDb,TDsに基づき、例えば各値を加算して最終的な
トルク差TDfinalを設定する最終トルク差設定部13
4とから構成されている。
ルク差TDfinalに基づいて、リアデフ13の実際のト
ルク差が制御される。即ち、上記したセンタデフ1での
拘束トルクの制御と同様に、最終トルク差TDfinalに
対応するデューティ率が図示しないマップから設定さ
れ、そのデューティ率に基づいてソレノイドバルブ12
2a,122bが選択的に作動して、油圧ユニット20
から増速用クラッチ120又は減速用クラッチ121に
供給される作動油を制御し、その結果、何れかのクラッ
チ120,121の係合状態が調整されて、上記最終ト
ルク差TDfinalを達成するように左右後輪3Rへのト
ルク配分が制御される。
よるトルク差TDa,TDb,TDsの設定手順を説明す
る。加速旋回トルク差設定部131のトルク差算出部1
41では、横加速度センサ34にて検出された横加速度
Gyに基づき、予め設定されたマップに従って加速旋回
トルク差TDaが算出される。マップ中の横加速度Gyの
正負は車両の旋回方向を表し、加速旋回トルク差TDa
の正負は左右の後輪3Rに分配するトルクの増減方向を
表している。そして、このマップでは、車両の旋回方向
の外輪側へのトルク分配量を増加させ、内輪側へのトル
ク分配量を減少させる方向に加速旋回トルク差TDaを
設定し、且つ、横加速度Gyが大の急旋回ほど加速旋回
トルク差TDaを増加させている。この設定により、車
両の旋回を促すオーバステアモーメントが発生し、その
オーバーステアモーメントは急旋回ほど増加する。
TPSに基づき、予め設定されたマップに従って補正係
数K4が算出され、この補正係数K4が乗算処理部143
において加速旋回トルク差TDaに乗算される。図に示
すように、所定のスロットル開度TPS以上の領域で
は、スロットル開度TPSの増加に伴って補正係数K4
を増加させ、これにより加速旋回トルク差TDaが増加
補正される。乗算後の加速旋回トルク差TDaはスイッ
チ144を経て最終トルク差設定部134に入力され
て、最終トルク差TDfinalの算出に適用される。スイ
ッチ144は、上記減速旋回トルク差設定部132が減
速旋回トルク差TDbを算出中にオフされるため、加速
旋回トルク差TDaに対して減速旋回トルク差TDbが優
先して最終トルク差TDfinalに反映される。
算出部151では、横加速度センサ34にて検出された
横加速度Gyに基づき、予め設定されたマップに従って
減速旋回トルク差TDbが算出される。このマップで
は、上記した加速旋回トルク差設定部131のマップと
は逆に、車両の旋回方向の外輪側へのトルク分配量を減
少させ、内輪側へのトルク分配量を増加させる方向に減
速旋回トルク差TDbが設定されるため、結果として車
両の旋回を妨げるアンダーステアモーメントが発生する
ことになる。
TPSが時間微分されてスロットル開閉速度DTPSに
変換され、このスロットル開閉速度DTPSはK5算出
部153に入力される。K5算出部153では、スロッ
トル開度TPS及びスロットル開閉速度DTPSに基づ
いてスロットル開度TPSの急減を判定し、この急減さ
れた瞬間は補正係数K5を1に設定し、それ以外のとき
には補正係数K5を0に設定する。補正係数K5は乗算処
理部154において減速旋回トルク差TDbに乗算され
るため、スロットル開度TPSが急減された瞬間のみ減
速旋回トルク差TDbが設定されて、上記のように加速
旋回トルク差TDaに優先して最終トルク差TDfinalの
算出に適用され、それ以外のときには減速旋回トルク差
TDbは設定されずに、加速旋回トルク差TDaが最終ト
ルク差TDfinalの算出に適用される。
づき、予め設定されたマップに従って補正係数K6が算
出され、この補正係数K6が乗算処理部156において
減速旋回トルク差TDbに乗算され、乗算後の減速旋回
トルク差TDbが最終トルク差設定部134に入力され
る。図に示すように、前後加速度Gxが負となる減速側
では大きな補正係数K6が設定され、これにより減速旋
回トルク差TDbが増加補正される。
の微分処理部161では、ステアリング操舵角θsが時
間微分されて操舵角速度Dθsに変換され、この操舵角
速度Dθsがトルク差算出部162に入力される。トル
ク差算出部162では入力された操舵角速度Dθsに基
づき、予め設定されたマップに従って操舵過渡応答トル
ク差TDsが算出され、この操舵過渡応答トルク差TDs
が最終トルク差設定部134に入力される。このマップ
は上記した加速旋回トルク差設定部131のマップと同
様の特性であり、車両の旋回を促すオーバーステアモー
メントが発生することになる。
は、各トルク差TDa,TDb,TDsを加算して最終ト
ルク差TDfinalを算出することから、車両の走行状態
の変化に基づいて何れかのトルク差TDa,TDb,TD
sが増減したときには、その増減が最終トルク差TDfin
alに反映されることになる。次に、以上の最終拘束トル
クTfinal及び最終トルク差TDfinalの設定によりセン
タデフ1とリアデフ13がどのように制御されるかを、
車両の旋回時を例にとって説明する。
ルク分配状況を示す図である。に示すコーナーの手前
での減速時では、センタデフ1の差動制限制御には、主
に減速対応拘束トルク設定部44にて設定された減速対
応拘束トルクTbが反映され、リアデフ13のトルク配
分制御には、主に減速旋回トルク差設定部132にて設
定された減速旋回トルク差TDbが反映される。つま
り、詳細は説明していないが、減速対応拘束トルク設定
部44では、前後加速度Gxに基づいて車両の急減速ほ
ど大きな減速対応拘束トルクTbが設定され、これによ
り実際のセンタデフ1の拘束トルクが増加側に制御され
て制動時の車両姿勢の安定化が図られる。又、上記のよ
うに減速旋回トルク差設定部132では、スロットル開
度TPSが急減された瞬間に内輪側へのトルク分配量を
増加させるように減速旋回トルク差TDbが設定され、
結果としてアンダーステアモーメントを発生させてタッ
クイン現象の軽減が図られる。
は、センタデフ1の差動制限制御には、主に減速対応拘
束トルク設定部44にて設定された減速対応拘束トルク
Tbが反映され、リアデフ13のトルク配分制御には、
主に操舵過渡応答トルク差設定部133にて設定された
操舵過渡応答トルク差TDsが反映される。詳細は説明
していないが、減速対応拘束トルク設定部44では、操
舵角θsや操舵角速度Dθsに基づいて急操舵ほど減速対
応拘束トルクTbを減少補正し、これにより実際のセン
タデフ1の拘束トルクが減少側に制御されて回頭性の向
上が図られる。又、操舵過渡応答トルク差設定部133
では、外輪側へのトルク分配量を増加させるように操舵
過渡応答トルク差TDsが設定され、オーバーステアモ
ーメントを発生させて回頭性の向上が図られる。
では、センタデフ1の差動制限制御には、主に加速対応
拘束トルク設定部43にて設定された加速対応拘束トル
クTaが反映され、リアデフ13のトルク配分制御に
は、主に加速旋回トルク差設定部131にて設定された
加速旋回トルク差TDaが反映される。つまり、上記の
ように加速対応拘束トルク設定部43では、スロットル
開度TPSに基づいて急加速時ほど加速対応拘束トルク
Taが増加設定され、これによりトラクション性能の確
保が図られる。又、加速旋回トルク差設定部131で
は、横加速度Gyに基づいて急旋回ほど外輪側へのトル
ク分配量を増加させるように加速旋回トルク差TDaが
設定され、オーバステアモーメントによる旋回性能の確
保が図られる。
開始するため、車両にはトラクション性能と共に旋回性
能も要求される。上記のようにセンタデフ1の拘束トル
クが増加すると、車両の操舵特性はアンダーステア側に
変化して旋回性能の点では好ましくないが、リアデフ1
3側の制御によりアンダーステアモーメントが軽減され
ることから旋回性能が十分に確保され、理想的なコーナ
ー脱出を実現することができる。
置では、増速用クラッチ120及び減速用クラッチ12
1の係合に応じて、駆動力偏移機構Sを介してエンジン
4からのトルクの一部をインナケーシング112と右側
のドライブシャフト14との間で伝達させ、これにより
左右の後輪3Rへのトルク分配を任意に変更可能として
いる。即ち、特登録2770670号に記載された従来
例のリアデフのように、左右輪の差動制限により荷重移
動を利用してオーバーステアモーメントを発生させる原
理とは全く異なり、高μ路での急旋回時等に限定される
ことなく自由にオーバーステアモーメントを発生可能で
ある。
オーバーステアモーメントを発生させて、センタデフ1
側の拘束トルクによるアンダーステアモーメントを軽減
でき、もって、トラクション性能と旋回性能を両立させ
て車両の運動特性を大幅に改善することができる。一
方、上記のようにセンタデフ1側の加速対応拘束トルク
Taとリアデフ13側の加速旋回トルク差TDaとは、ス
ロットル開度TPSを共通の媒介変数として設定されて
いる。つまり、図4の拘束トルク算出部81において、
スロットル開度TPSの増加に伴って加速対応拘束トル
クTaが増加設定される一方、図5のK4算出部142に
おいて、スロットル開度TPSの増加に伴って補正係数
K4を増加させて、加速旋回トルク差TDaを増加補正す
ることから、結果として加速対応拘束トルクTaの増減
に応じて加速旋回トルク差TDaが増減される。その結
果、旋回後半での加速の緩急に関わらず確実にアンダー
ステアモーメントを軽減でき、常に適切なヨーモーメン
トを実現して、上記した車両の運動特性の改善をより一
層確実なものとすることができる。
の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例え
ば、上記実施形態では、サンギア117a,118a,
119a及びピニオンギア117b,118b,119
bのギア比を利用して、インナケーシング112と右側
のドライブシャフト14との間でトルクを伝達し、左右
の後輪3Rへのトルク分配を変更するように駆動力偏移
機構Sを構成したが、駆動力偏移機構Sの構成はこれに
限らず、例えば各ギアの配置を変更したり、インナケー
シング112と左側のドライブシャフト14との間でト
ルク伝達するようにしたりしてもよい。
動制限制御において前後差回転拘束トルクTv、前後G
比例拘束トルクTx、加速対応拘束トルクTa、減速対応
拘束トルクTbをそれぞれ算出して最終的な拘束トルク
Tfinalを設定し、リアデフ13のトルク配分制御にお
いて、加速旋回トルク差TDa、減速旋回トルク差TD
b、操舵過渡応答トルク差TDsをそれぞれ算出して最終
的なトルク差TDfinalを設定したが、何れかの拘束ト
ルクを省略したり、別のパラメータから算出された拘束
トルクやトルク差を追加したりしてもよい。
TPSを共通の媒介変数として、センタデフ1側の加速
対応拘束トルクTaとリアデフ13側の加速旋回トルク
差TDaとを相関させたが、その手法はこれに限定され
ず、例えば加速対応拘束トルクTaの演算値をリアデフ
13側の制御に直接適用して、加速旋回トルク差TDa
を求めるようにしてもよい。
制限装置によれば、前後輪間の駆動力配分の制御により
発生したアンダーステアモーメントを左右輪間の駆動力
配分を制御することで確実に軽減し、もって、車両の旋
回性能を確保して運動特性を改善することができる。
成図である。
拡大図である。
定手順を系統的に示したブロック図である。
順を系統的に示したブロック図である。
況を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 エンジンからの駆動力を前後輪に分配す
ると共に、該前後輪の差動を車両の運転状態に基づいて
設定される拘束トルクにより制限可能な駆動力前後配分
手段と、 上記エンジンからの駆動力を左右輪に分配すると共に、
該分配経路に併設された駆動力偏移機構により駆動力の
一部を伝達して、上記左右輪への駆動力の分配量を変更
可能な駆動力左右配分手段と、 上記駆動力前後配分手段の拘束トルクに応じて上記駆動
力左右配分手段の配分量を制御する制御手段とを備えた
ことを特徴とする車両用駆動力配分装置。 - 【請求項2】 上記制御手段は、上記駆動力前後配分手
段の拘束トルクの増加に伴って、車両の旋回時の内輪に
対して外輪への分配量を増加させるように上記駆動力左
右配分手段を制御することを特徴とする請求項1に記載
の車両用駆動力配分装置。
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