JP2770670B2 - 前後輪と左右輪の駆動力配分総合制御装置 - Google Patents

前後輪と左右輪の駆動力配分総合制御装置

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JP2770670B2
JP2770670B2 JP23586392A JP23586392A JP2770670B2 JP 2770670 B2 JP2770670 B2 JP 2770670B2 JP 23586392 A JP23586392 A JP 23586392A JP 23586392 A JP23586392 A JP 23586392A JP 2770670 B2 JP2770670 B2 JP 2770670B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、前後輪駆動力配分制御
システムと左右輪駆動力配分制御システムが共に搭載さ
れた車両に適用される前後輪と左右輪の駆動力配分総合
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、前後輪と左右輪の駆動力配分総合
制御装置としては、例えば、特開昭62−292529
号公報に記載されている装置が知られている。
【0003】この従来出典には、クラッチ締結力の大き
さにより前輪側への駆動力配分を制御する前後輪駆動力
配分制御システムと、クラッチ締結力の大きさにより差
動制限トルクを制御する差動制限トルク制御システムと
が共に搭載された車両において、両システムで用いられ
るクラッチ締結力の一方を高める時には他方も高めると
いうように連動させることで、駆動輪スリップを有効に
抑え、スタック脱出性の向上や低摩擦係数路での加速性
の向上を図る技術が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の前後輪と左右輪の駆動力配分総合制御装置に
あっては、ただ単純に両クラッチ締結力を連動させてい
るだけで積極的にステア特性を制御するようになってい
ない装置であるため、駆動性能はある程度向上しても、
高横加速度旋回時等においてステア特性としてアンダ−
ステア特性が出たりオーバステア特性が出てしまう。
【0005】本発明は、上述のような問題点に着目して
なされたもので、前後輪駆動力配分制御システムと左右
輪駆動力配分制御システムが共に搭載された車両に適用
される前後輪と左右輪の駆動力配分総合制御装置におい
て、旋回時に駆動性能の向上とステア特性の改善との両
立を図ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
請求項1記載の前後輪と左右輪の駆動力配分総合制御装
置では、旋回中、左右輪駆動力配分制御システム側での
制御によるオーバステアモーメントの発生時あるいは発
生予期時、オーバステアモーメント検出量に応じた前輪
配分量を加えた補正制御を前後輪駆動力配分制御システ
ム側で行なわせる第1総合制御手段を設けた。
【0007】即ち、図1(a) のクレーム対応図に示すよ
うに、所定の車両状態に応じて前後輪への駆動力配分を
制御する前後輪駆動力配分制御システムaと、所定の車
両状態に応じて左右輪への駆動力配分を制御する左右輪
駆動力配分制御システムbと、旋回中、前記左右輪駆動
力配分制御システムb側での制御によりオーバステアモ
ーメントが発生する時あるいは発生が予期される状態に
ある時を検出するオーバステアモーメント検出手段c
と、オーバステアモーメントが検出された時、オーバス
テアモーメント検出量に応じた前輪配分量を加えた補正
制御を前後輪駆動力配分制御システムa側で行なわせる
第1総合制御手段dとを備えている。
【0008】上記課題を解決するため請求項2記載の前
後輪と左右輪の駆動力配分総合制御装置では、旋回中、
前後輪駆動力配分制御システム側での制御によるアンダ
ーステアモーメントの発生時あるいは発生予期時、アン
ダーステアモーメント検出量に応じた旋回外輪配分量を
加えた補正制御を左右輪駆動力配分制御システム側で行
なわせる第2総合制御手段を設けた。
【0009】即ち、図1(b) のクレーム対応図に示すよ
うに、車両の走行状態に応じて前後輪への駆動力配分を
制御する前後輪駆動力配分制御システムaと、車両の走
行状態に応じて左右輪への駆動力配分を制御する左右輪
駆動力配分制御システムbと、旋回中、前記前後輪駆動
力配分制御システムa側での制御によりアンダーステア
モーメントが発生する時あるいは発生が予期される状態
にある時を検出するアンダーステアモーメント検出手段
eと、アンダーステアモーメントが検出された時、アン
ダーステアモーメント検出量に応じた旋回外輪配分量を
加えた補正制御を左右輪駆動力配分制御システムb側で
行なわせる第2総合制御手段fとを備えている。
【0010】
【作用】請求項1記載の発明の作用を説明する。
【0011】高μ路加速旋回時等であって、旋回中、左
右輪駆動力配分制御システムb側で旋回外輪側の駆動力
配分を増す制御によりオーバステアモーメントが発生す
る時あるいは発生が予期される状態にある時、オーバス
テアモーメント検出手段cにおいて、オーバステアモー
メント状態が検出される。そして、オーバステアモーメ
ントが検出された時、第1総合制御手段dにおいて、オ
ーバステアモーメント検出量に応じた前輪配分量を加え
た補正制御が前後輪駆動力配分制御システムa側で行な
われる。
【0012】したがって、前後輪駆動力配分制御システ
ムa側での補正制御により前輪配分量が加えられること
によりアンダーステアモーメントが発生し、このアンダ
ーステアモーメントが左右輪駆動力配分制御システムb
側での制御により発生するオーバステアモーメントを打
ち消し、車両のステア特性がニュートラルステア方向に
修正される。なお、前後輪駆動力配分制御システムa及
び左右輪駆動力配分制御システムbの基本制御を変更す
るものではないことで、これらの駆動力配分制御による
駆動性能の向上はそのまま確保されることになる。
【0013】請求項2記載の発明の作用を説明する。
【0014】低μ路旋回時等であって、旋回中、前後輪
駆動力配分制御システムa側で前輪側への駆動力配分を
増す制御によりアンダーステアモーメントが発生する時
あるいは発生が予期される状態にある時、アンダーステ
アモーメント検出手段eによりアンダーステアモーメン
ト状態が検出される。そして、アンダーステアモーメン
トが検出された時、第2総合制御手段fにおいて、アン
ダーステアモーメント検出量に応じた旋回外輪配分量を
加えた補正制御が左右輪駆動力配分制御システムb側で
行なわれる。
【0015】したがって、左右輪駆動力配分制御システ
ムb側での補正制御により旋回外輪配分量が加えられる
ことによりオーバステアモーメントが発生し、このオー
バステアモーメントが前後輪駆動力配分制御システムa
側での制御により発生するアンダーステアモーメントを
打ち消し、車両のステア特性がニュートラルステア方向
に修正される。なお、前後輪駆動力配分制御システムa
及び左右輪駆動力配分制御システムbの基本制御を変更
するものではないことで、これらの駆動力配分制御によ
る駆動性能の向上はそのまま確保されることになる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0017】(第1実施例)まず、構成を説明する。
【0018】図2は請求項1記載の本発明に対応する第
1実施例の前後輪と左右輪の駆動力配分総合制御装置が
適用された後輪駆動ベースの四輪駆動車の全体システム
図である。
【0019】図2において、エンジン1及びトランスミ
ッション2からの駆動力は、リヤプロペラシャフト3か
ら電制LSD4を介して左右の後輪5,6に伝達され、
リヤプロペラシャフト3からETSトランスファ7,フ
ロントプロペラシャフト8及びフロントディファレンシ
ャル9を介して左右の前輪10,11に伝達される。
【0020】前記電制LSD4には、油圧ユニット12
から付与されるクラッチ制御圧に応じて左右後輪5,6
間の差動制限トルクを発生する差動制限クラッチ13が
内蔵されている。
【0021】前記ETSトランスファ7には、油圧ユニ
ット12から付与されるクラッチ制御圧に応じて前輪1
0,11への伝達駆動トルクを発生するトランスファク
ラッチ14が内蔵されている。
【0022】前記油圧ユニット12は、油圧源15とE
TS制御バルブ16とCSD制御バルブ17とを有して
構成されている。
【0023】前記ETS制御バルブ16は、コントロー
ラ18のETS制御部18aからの指令により制御作動
をし、トランスファクラッチ14へのクラッチ制御圧を
作り出す(前後輪駆動力配分制御システムに相当)。
【0024】前記CSD制御バルブ17は、コントロー
ラ18のCSD制御部18bからの指令により制御作動
をし、差動制限クラッチ13へのクラッチ制御圧を作り
出す(左右輪駆動力配分制御システムに相当)。
【0025】前記コントローラ18には、左前輪回転セ
ンサ19からの左前輪回転数NFLと、右前輪回転センサ
20からの右前輪回転数NFRと、左後輪回転センサ21
からの左後輪回転数NRLと、右後輪回転センサ22から
の右後輪回転数NRRと、横加速度センサ23からの横加
速度YGと、アクセル開度センサ24からのアクセル開度
θと、ブレーキスイッチ25からのスイッチ信号等が入
力される。
【0026】また、コントローラ18内のETS制御部
18aとCSD制御部18bとの間では、ETSクラッ
チトルクTETS とCSDクラッチトルクTCSD の情報を
互いに交換している。
【0027】次に、作用を説明する。
【0028】(イ)前後輪駆動力配分制御作動 図3はコントローラ18のETS制御部18aで行なわ
れる前後輪駆動力配分制御作動の流れを示すフローチャ
ートである(オーバステアモーメント検出手段及び第1
総合制御手段に相当)。
【0029】ステップ30では、左前輪回転数NFLと右
前輪回転数NFRと左後輪回転数NRLと右後輪回転数NRR
と横加速度YGとCSDクラッチトルクTCSD が読み込ま
れる。なお、CSDクラッチトルクTCSD は、後述する
第2実施例のようにアクセル開度及びアクセル開速度に
応じて与えられるものであっても良いし、左右輪回転速
度差や横加速度等の他の制御要素を含んだ制御則により
与えられるものであっても良い。
【0030】ステップ31では、左前輪回転数NFLと右
前輪回転数NFRと左後輪回転数NRLと右後輪回転数NRR
からそれぞれ左前輪速VWFLと右前輪速VWFRと左後輪速V
WRLと右後輪速VWRRが算出される。
【0031】ステップ32では、左前輪速VWFLと右前輪
速VWFRとの平均値により前輪速VWF が算出され、左後輪
速VWRLと右後輪速VWRRとの平均値により後輪速VWR が算
出される。
【0032】ステップ33では、後輪速VWR と前輪速V
WF との差により前後輪回転速度差ΔVが算出される。
【0033】ステップ34では、横加速度YGによりET
S基本制御での比例ゲインKdvが算出される。この比例
ゲインKdvは、図4に示すように、横加速度YGが所定値
以下の領域では最大値が与えられ、所定値を超えると、
横加速度YGの上昇にしたがって徐々に低くなる値で与え
られる。
【0034】ステップ35では、横加速度YG,CSDク
ラッチトルクTCSD ,CSDクラッチトルク微分値T
CSD'により差動制限トルク感応ゲインKgdが下記の式に
より算出される。
【0035】Kgd=Kxx・(Kdiff1 +Kdiff2) ここで、係数Kxxは、図5(a) に示すように、横加速度
YGが所定値YGO までは0で所定値YGO を超えると高次関
数的に上昇する値で与えられる。
【0036】第1ゲインKdiff1 は、図5(b) に示すよ
うに、CSDクラッチトルクTCSD の大きさに比例する
値で与えられる。
【0037】第2ゲインKdiff2 は、図5(c) に示すよ
うに、CSDクラッチトルク微分値TCSD'が正の時は比
例する正の値で、負の時は比例する負の値で与えられ
る。
【0038】つまり、横加速度が大で差動制限トルク大
の時、または横加速度が大で差動制限トルクの増大変化
が大の時にオーバステアモーメントがでやすいことで、
オーバステアモーメントのでやすさに応じて差動制限ト
ルク感応ゲインKgdを高い値として与えるようにしてい
る。
【0039】ステップ36では、差動制限トルク感応ゲ
インKgdがオーバステアモーメントが発生すると考えら
れる設定値Kgdo より大きいかどうかが判断される。
【0040】ステップ37では、ETSクラッチトルク
ETS が比例ゲインKdv,差動制限トルク感応ゲインK
gd及び前後輪回転速度差ΔVにより下記の式で算出され
る。
【0041】TETS =(Kdv+Kgd)・ΔV ステップ38では、ETSクラッチトルクTETS が比例
ゲインKdv及び前後輪回転速度差ΔVにより下記の式で
算出される。
【0042】TETS =Kdv・ΔV ステップ39では、ステップ37あるいはステップ38
で得られたETSクラッチトルクTETS が得られる電流
値IETS に変換される。
【0043】ステップ40では、電流値IETS が油圧ユ
ニット12のETS制御バルブ16へ出力される。
【0044】(ロ)差動制限によるオーバステアモーメ
ントの発生が小さい時 直進走行時や旋回時であっても差動制限トルクが小さい
時や差動制限トルク微分値が小さい時には、ステップ3
5での差動制限トルク感応ゲインKgdが小さな値に設定
され、ステップ36でNOと判断される。
【0045】したがって、図3のフローチャートにおい
て、ステップ30→ステップ31→ステップ32→ステ
ップ33→ステップ34→ステップ35→ステップ36
→ステップ38→ステップ39→ステップ40という流
れとなり、ステップ38では、ETSクラッチトルクT
ETS が比例ゲインKdv及び前後輪回転速度差ΔVにより
算出されることになり、いわゆる基本の前後輪駆動力配
分制御が行なわれることになる。
【0046】この前後輪駆動力配分制御は、後輪スリッ
プの発生が大きいほど前輪側への伝達トルクを増す制御
であるため、4WDの駆動性能と後輪駆動車の走りを両
立させることができるし、また、横加速度が大きいほど
比例ゲインKdvを低くする制御であるため、あらゆる路
面で弱アンダーステア〜弱オーバステアによる理想の旋
回性能を実現することができる。
【0047】 (ハ)差動制限によるオーバステアモーメントの発生時 アクセル踏み込み量やアクセル踏み込み速度が大きな高
μ路加速旋回時等であって、横加速度が大で差動制限ト
ルク大の時、または横加速度が大で差動制限トルクの増
大変化が大の時にオーバステアモーメントがでやすいこ
とで、ステップ35では、オーバステアモーメントので
やすさに応じて差動制限トルク感応ゲインKgdが高い値
に設定され、ステップ36でNOと判断される。
【0048】したがって、図3のフローチャートにおい
て、ステップ30→ステップ31→ステップ32→ステ
ップ33→ステップ34→ステップ35→ステップ36
→ステップ37→ステップ39→ステップ40という流
れとなり、ステップ37では、ETSクラッチトルクT
ETS が比例ゲインKdv,差動制限トルク感応ゲインKgd
及び前後輪回転速度差ΔVにより算出されることにな
り、いわゆる基本の前後輪駆動力配分制御によるクラッ
チトルク(Kdv・ΔV)に、差動制限トルク対応補正ト
ルク(Kgd・ΔV)を加えたETSクラッチトルクT
ETS が得られる前後輪駆動力配分制御が行なわれる。な
お、高μ路加速旋回時等の様に横加速度が大きい時には
基本制御による比例ゲインが小さく、前後輪駆動力配分
制御システム側で前輪への伝達駆動トルクを増大する余
裕代が十分残っている。
【0049】この前後輪駆動力配分制御での差動制限ト
ルク対応補正トルク(Kgd・ΔV)は、差動制限トルク
感応ゲインKgdが横加速度YG,CSDクラッチトルクT
CSD ,CSDクラッチトルク微分値TCSD'により算出さ
れることで、差動制限制御により発生するであろうオー
バステアモーメントに応じたものとなり、この差動制限
トルク対応補正トルク(Kgd・ΔV)分が前輪10,1
1への伝達駆動トルクに加えられることによりアンダー
ステアモーメントが発生し、このアンダーステアモーメ
ントが差動制限制御により発生するオーバステアモーメ
ントを打ち消し、車両のステア特性がニュートラルステ
ア方向に修正される。
【0050】さらに、前後輪駆動力配分制御システム側
では基本の前後輪駆動力配分制御によるクラッチトルク
(Kdv・ΔV)が与えられるし、差動制限制御側での制
御は何ら変更するものではないことで、これら前後輪並
びに左右輪の駆動力配分制御による駆動性能の向上はそ
のまま確保されることになる。
【0051】次に、効果を説明する。
【0052】(1)前後輪駆動力配分制御システムと差
動制限トルク制御システムが共に搭載された後輪駆動ベ
ースの四輪駆動車に適用される前後輪と左右輪の駆動力
配分総合制御装置において、旋回中、差動制限トルク側
での制御によるオーバステアモーメントの発生予期時、
差動制限トルク感応ゲインKgdに応じた差動制限トルク
対応補正トルク(Kgd・ΔV)を加えた補正制御を前後
輪駆動力配分制御システム側で行なう装置としたため、
旋回時に駆動性能の向上とステア特性の改善との両立を
図ることができる。
【0053】(2)差動制限トルク制御でのオーバステ
アモーメントの発生予期を、横加速度YG,CSDクラッ
チトルクTCSD ,CSDクラッチトルク微分値TCSD'に
より行ない、オーバステアモーメント量をこれらを総合
した差動制限トルク感応ゲインKgdにより得るようにし
たため、旋回情報である横加速度YGと差動制限情報であ
るCSDクラッチトルクTCSD のみによりオーバステア
モーメントの発生を予期したりオーバステアモーメント
量を得る場合に比べ、CSDクラッチトルク微分値T
CSD'を加えた分、早期にオーバステアモーメントの発生
を予期することができるし、精度の良いオーバステアモ
ーメント量を得ることができることになり、ステア特性
の大幅な改善を達成できる。
【0054】(第2実施例)請求項2記載の本発明に対
応する第2実施例の前後輪と左右輪の駆動力配分総合制
御装置について説明する。
【0055】まず、構成を説明する。
【0056】第2実施例装置が適用された全体システム
は、第1実施例装置が適用された全体システムを示す図
2と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0057】次に、作用を説明する。
【0058】(イ)差動制限トルク制御作動 図6はコントローラ18のCSD制御部18bで行なわ
れる差動制限トルク制御作動の流れを示すフローチャー
トである(アンダーステアモーメント検出手段及び第2
総合制御手段に相当)。
【0059】ステップ60では、横加速度YGとアクセル
開度θとETSクラッチトルクTETSが読み込まれる。
なお、ETSクラッチトルクTETS は、上述の第1実施
例の制御則により与えられるものであっても良いし、さ
らに、他の制御要素を含んだ制御則により与えられるも
のであっても良い。
【0060】ステップ61では、アクセル開度θの微分
演算処理によりアクセル開速度θ’が演算される。
【0061】ステップ62では、横加速度YGによりアク
セル開度比例ゲインKa が算出される。このアクセル開
度比例ゲインKa は横加速度YGが所定値まではゼロで、
所定値を超えると急に増大する値で与えられる。
【0062】ステップ63では、横加速度YGにより基本
アクセル開速度比例ゲインKa'が算出される。この基本
アクセル開速度比例ゲインKa'は横加速度YGが所定値ま
ではゼロで、所定値を超えると急に増大する値で与えら
れる。
【0063】ステップ64では、ETSクラッチトルク
ETS により補正ゲインKe'が算出される。補正ゲイン
Ke'は、ETSクラッチトルクTETS が所定値まではゼ
ロで、所定値を超えると急に増大する値で与えられる。
【0064】ステップ65では、横加速度YGがアンダー
ステアモーメントが発生すると考えられる設定値a(例
えば、a=0.7G)より大きいかどうかが判断される。
【0065】ステップ66では、アクセル開速度比例ゲ
インKx が、基本アクセル開速度比例ゲインKa'と補正
ゲインKe'との和により算出される。
【0066】ステップ67では、基本アクセル開速度比
例ゲインKa'がそのままアクセル開速度比例ゲインKx
とされる。
【0067】ステップ68では、CSDクラッチトルク
CSD がアクセル開度比例ゲインKa,アクセル開度
θ,アクセル開速度比例ゲインKx 及びアクセル開速度
θ’により下記の式で算出される。
【0068】TCSD =Ka*θ+Kx*θ’ ステップ69では、ステップ68で得られたCSDクラ
ッチトルクTCSD が得られる電流値ICSD に変換され
る。
【0069】ステップ70では、電流値ICSD が油圧ユ
ニット12のCSD制御バルブ17へ出力される。
【0070】(ロ)ETS制御によるアンダーステアモ
ーメントの発生が小さい時 直進走行時や旋回時であっても横加速度YGが小さい時に
は、ステップ66でNOと判断される。
【0071】したがって、図6のフローチャートにおい
て、ステップ60→ステップ61→ステップ62→ステ
ップ63→ステップ64→ステップ65→ステップ67
→ステップ68→ステップ69→ステップ70という流
れとなり、ステップ67では、基本アクセル開速度比例
ゲインKa'がそのままアクセル開速度比例ゲインKx と
され、いわゆる基本の差動制限トルク制御が行なわれる
ことになる。
【0072】この差動制限トルク制御は、アクセル開度
及びアクセル開速度に比例して差動制限トルクが増大さ
れると共にその制御ゲインは横加速度が大きいほど大き
くされるというように、旋回時に旋回外輪側への伝達ト
ルクを増す制御であるため、加速初期のオーバステア応
答性の向上、つまり、アクセルコントロールのレスポン
スの向上を実現することができる。
【0073】(ハ)ETS制御によるアンダーステアモ
ーメントの発生時 路面が滑りやすく駆動輪スリップの発生が大となる低μ
路旋回時等であって、大きなETSクラッチトルクT
ETS が与えられている時には、ステップ64において、
ETSクラッチトルクTETS の大きさにより補正ゲイン
Ke'が算出され、旋回判断ステップであるステップ65
でYESと判断される。
【0074】したがって、図6のフローチャートにおい
て、ステップ60→ステップ61→ステップ62→ステ
ップ63→ステップ64→ステップ65→ステップ66
→ステップ68→ステップ69→ステップ70という流
れとなり、ステップ66では、基本アクセル開速度比例
ゲインKa'に補正ゲインKe'を加えた値がアクセル開速
度比例ゲインKx とされ、基本の差動制限トルク制御に
よるクラッチトルク(Ka*θ+Ka'* θ’)に、ETS
トルク対応補正トルク(Ke'* θ’)を加えたCSDク
ラッチトルクTCSD が得られる差動制限トルク制御が行
なわれる。なお、低μ路旋回時等の様にアクセル開速度
が小さい時には基本制御による比例ゲインKa'が小さ
く、差動制限トルク制御システム側で差動制限トルクを
増大する余裕代が十分残っている。
【0075】この差動制限トルク制御でのETSトルク
対応補正トルク(Ke'* θ’)は、補正ゲインKe'がE
TSクラッチトルクTETS により算出されることで、E
TS制御により発生するであろうアンダーステアモーメ
ントに応じたものとなり、このETSトルク対応補正ト
ルク(Ke'* θ’)分が左右の後輪5,6のうち旋回外
輪となる側への伝達駆動トルクに加えられることにより
オーバステアモーメントが発生し、このオーバステアモ
ーメントがETS制御により発生するアンダーステアモ
ーメントを打ち消し、車両のステア特性がニュートラル
ステア方向に修正される。
【0076】さらに、差動制限トルク制御システム側で
は基本のクラッチトルク(Ka*θ+Ka'* θ’)が与え
られるし、前後輪駆動力配分制御システム側での制御は
何ら変更するものではないことで、これら前後輪並びに
左右輪の駆動力配分制御による駆動性能の向上はそのま
ま確保されることになる。
【0077】次に、効果を説明する。
【0078】(1)前後輪駆動力配分制御システムと差
動制限トルク制御システムが共に搭載された後輪駆動ベ
ースの四輪駆動車に適用される前後輪と左右輪の駆動力
配分総合制御装置において、旋回中、前後輪駆動力配分
制御システム側での制御によるアンダーステアモーメン
トの発生予期時、補正ゲインKe'に応じたETSトルク
対応補正トルク(Ke'* θ’)を加えた補正制御を差動
制限トルク制御システム側で行なう装置としたため、旋
回時に駆動性能の向上とステア特性の改善との両立を図
ることができる。
【0079】(2)ETSクラッチトルクTETS の大き
さによるアンダーステアモーメントの発生予期に対して
アクセル開速度θ’のゲインに補正を加えるようにして
いるため、ステア特性の急変が問題となるアクセルを踏
み込みながらの旋回加速時に有効にステア特性の改善を
図ることができる。
【0080】以上、実施例を図面に基づいて説明してき
たが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではな
い。
【0081】例えば、第1実施例装置と第2実施例装置
とは、一方の制御システム側で制御限界方向にある時に
他方の制御システム側でステア特性を補償する総合制御
としていることで、第1実施例装置と第2実施例装置と
を同一車両に共に搭載して適用するようにしても良い。
【0082】実施例では、後輪駆動ベースの四輪駆動車
への適用例を示したが、前輪駆動ベースの四輪駆動車へ
も適用することができる。この場合、前後輪駆動力配分
制御でアンダーステア特性を得るにはクラッチトルクを
弱めて前輪駆動方向に制御することになる。
【0083】第1実施例ではオーバステアモーメントの
発生を予期し、第2実施例ではアンダーステアモーメン
トの発生を予期する例を示したが、いずれの場合も駆動
トルクの直接的あるいは間接的な検出により、オーバス
テアモーメントあるいはアンダーステアモーメントの発
生を検出するような例としても良い。
【0084】
【発明の効果】請求項1記載の本発明にあっては、前後
輪駆動力配分制御システムと左右輪駆動力配分制御シス
テムが共に搭載された車両に適用される前後輪と左右輪
の駆動力配分総合制御装置において、旋回中、左右輪駆
動力配分制御システム側での制御によるオーバステアモ
ーメントの発生時あるいは発生予期時、オーバステアモ
ーメント検出量に応じた前輪配分量を加えた補正制御を
前後輪駆動力配分制御システム側で行なわせる第1総合
制御手段を設けたため、旋回時に駆動性能の向上とステ
ア特性の改善との両立を図ることができるという効果が
得られる。
【0085】請求項2記載の本発明にあっては、前後輪
駆動力配分制御システムと左右輪駆動力配分制御システ
ムが共に搭載された車両に適用される前後輪と左右輪の
駆動力配分総合制御装置において、旋回中、前後輪駆動
力配分制御システム側での制御によるアンダーステアモ
ーメントの発生時あるいは発生予期時、アンダーステア
モーメント検出量に応じた旋回外輪配分量を加えた補正
制御を左右輪駆動力配分制御システム側で行なわせる第
2総合制御手段を設けたため、旋回時に駆動性能の向上
とステア特性の改善との両立を図ることができるという
効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) は請求項1記載に対応する本発明の前
後輪と左右輪の駆動力配分総合制御装置を示すクレーム
対応図であり、図1(b) は請求項1記載に対応する本発
明の前後輪と左右輪の駆動力配分総合制御装置を示すク
レーム対応図である。
【図2】第1実施例の前後輪と左右輪の駆動力配分総合
制御装置が適用された後輪駆動ベースの四輪駆動車を示
す全体システム図である。
【図3】第1実施例装置のコントローラのETS制御部
で行なわれる前後輪駆動力配分制御作動の流れを示すフ
ローチャートである。
【図4】ETS基本制御での比例ゲイン特性図である。
【図5】図5(a) は横加速度YGに応じた係数Kxxの特性
図であり、図5(b) はCSDクラッチトルクTCSD に応
じた第1ゲインKdiff1 の特性図であり、図5(c) はC
SDクラッチトルク微分値TCSD'に応じた第2ゲインK
diff2 の特性図である。
【図6】第2実施例装置のコントローラのCSD制御部
で行なわれる差動制限トルク制御作動の流れを示すフロ
ーチャートである。
【符号の説明】 a 前後輪駆動力配分制御システム b 左右輪駆動力配分制御システム c オーバステアモーメント検出手段 d 第1総合制御手段 e アンダーステアモーメント検出手段 f 第2総合制御手段

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の車両状態に応じて前後輪への駆動
    力配分を制御する前後輪駆動力配分制御システムと、 所定の車両状態に応じて左右輪への駆動力配分を制御す
    る左右輪駆動力配分制御システムと、 旋回中、前記左右輪駆動力配分制御システム側での制御
    によりオーバステアモーメントが発生する時あるいは発
    生が予期される状態にある時を検出するオーバステアモ
    ーメント検出手段と、 オーバステアモーメントが検出された時、オーバステア
    モーメント検出量に応じた前輪配分量を加えた補正制御
    を前後輪駆動力配分制御システム側で行なわせる第1総
    合制御手段と、 を備えていることを特徴とする前後輪と左右輪の駆動力
    配分総合制御装置。
  2. 【請求項2】 車両の走行状態に応じて前後輪への駆動
    力配分を制御する前後輪駆動力配分制御システムと、 車両の走行状態に応じて左右輪への駆動力配分を制御す
    る左右輪駆動力配分制御システムと、 旋回中、前記前後輪駆動力配分制御システム側での制御
    によりアンダーステアモーメントが発生する時あるいは
    発生が予期される状態にある時を検出するアンダーステ
    アモーメント検出手段と、 アンダーステアモーメントが検出された時、アンダース
    テアモーメント検出量に応じた旋回外輪配分量を加えた
    補正制御を左右輪駆動力配分制御システム側で行なわせ
    る第2総合制御手段と、 を備えていることを特徴とする前後輪と左右輪の駆動力
    配分総合制御装置。
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