JP2004505215A - 車両の動的乗車制御方法 - Google Patents

Abstract

車両は、駆動軸（２３、２４）上に配置される少なくとも一対の駆動輪（１７、１８）を備えると共に、この一対の駆動輪の相対的な回転速度を調整する制御手段が上記駆動軸に相互に連結されており、これにより車両操作に及ぼすヨー効果を規制制御する。この制御手段は差動装置（１５）から構成されることが可能であり、この差動装置のロック要素は、センサー（１９、２０、２１）により検知される運転操作に応じて上記相対速度を制御するように調整可能である。
【選択図】図１

Description

【０００１】
本発明は車両制御に関し、特に、しかしこれに限定されないが、車両に対し安定性と機敏性の両方を提供する車両の操作並びに動作を制御する方法に関する。
【０００２】
過激なあるいは回避的な車両操作の際に、車両のヨー（車両の垂直軸廻りの回転）は、ドライバーに対してかなりの危険を与える。車両固有のヨーの減衰の量が、車両の制御を回復及び／又は維持しようとするドライバーの能力に対して直接的な影響を及ぼすことが分かっている。多くの最近の車両には、車両のヨーを減らす為に、各車輪に作用するブレーキ力を選択的に調整する高度なヨー制御システムが備えられている。
【０００３】
本発明は、改良された車両制御の方法を提供することを目的とする。
【０００４】
従って、本発明は、車両の反対側に夫々配置される車輪を有する少なくとも一対の駆動輪と、該一対の車輪の各車輪に駆動的に連結されて選択的に駆動トルクを与える駆動軸手段と、該駆動軸手段の夫々を相互に連結して上記一対の車輪の相対的な回転速度を調整する制御手段とを備える駆動アッセンブリーを少なくとも有する車両の制御方法であって、該方法は、車両の動作、車輪のステアリング角及び／又は車両のステアリングホイールの回転を選択的に検知し、これに応答して制御信号を発生し、そして該制御信号に応答して上記一対の車輪の相対的な回転速度を制御するステップを備え、これにより車両を制御するようになしたことを特徴とする車両の制御方法を提供するものである。
【０００５】
好都合なことに、この制御手段は差動装置等を備えている。好ましくは、この差動装置の調整ステップは、差動装置の交差車軸ロック状態、あるいはロック要素を調整するステップを含むものである。
【０００６】
有利な事に、この発生する制御信号は、車両の動作、例えばヨーレート、横滑り、横及び前後加速度及び／又は車速に基付くものである。あるいは、もしくは追加的に、この発生する制御信号は、車両のステアリング角及び／又はステアリングホイールの操作の変化の割合のような、ドライバーからステアリングホイールへの入力に基付くものである。
【０００７】
あるいは、この制御手段は、電動モータのような少なくとも一つの駆動手段と、この駆動手段から各駆動軸手段への駆動を制御する制御ユニットとを備えるものである。
【０００８】
好都合なことに、車両の動作は、車両内に配置された従来型のセンサーにより検知されることが出来る。有利な事に、この方法は、車両に従来から搭載されるものに付加されるいかなるハードウエアの使用も必要としないものである。
【０００９】
以下、本発明を４輪駆動車両の概略レイアウトの平面図を示す添付図面を参照して説明する。以下の説明は４輪駆動車両についてのものであるが、本発明は前輪駆動車両、後輪駆動車両にも同様に適用できることは当業者にとって明らかであろう。
【００１０】
多くの道路車両、特に、後輪もしくは四輪駆動伝達装置を備える車両には、限界グリップ状況下で車輪を通じて道路表面へのパワー伝達を改善するように設計された装置が備えられている。
【００１１】
これを目的とする最も一般的な形態は、差動装置として知られている。従来より、差動装置は、駆動車輪間の相対的な回転速度差、例えば、コーナリング時の内外輪、又は４輪駆動車両における異なる両駆動車軸の間の回転速度差を補正する歯車ユニットである。この差動装置のよく知られた形態は、摩擦板、摩擦コーン、セルフロックギア、又は高粘性流体内の多板ユニットを採用して、車輪に駆動を伝えている出力軸又は駆動車軸をロックして車輪間の相対回転を減じ、あるいは同じ速度で車輪が回転するようにして、車輪スリップを減少又は抑制するリミテッドスリップ差動装置として知られている。
【００１２】
このような差動装置には、本発明に適用され得る種々のものがあるが、必ずしもそれらの通常機能に影響を及ぼすことはない。制御手段は、例えば、ＵＳ−Ａ−４２７３２０６、ＥＰ−Ａ−０５７５１５２、ＧＢ−Ａ−２０１５６６６、 ＧＢ−Ａ−２１１９３２８、並びにＧＢ−Ａ−２２２１５１８に開示されるものから選択することができる。
【００１３】
図１に、車両１０が概略的に示されている。車両は、エンジンから車輪に駆動力を伝達するギアボックス１２が連結される前方搭載エンジン１１を備えている。このギアボックス１２は、駆動力をギアボックス１２から車両の前輪、後輪間に分配するトランスファーケース１３に連結されている。そして、トランスファーケースは、メインリヤ駆動軸１４を介して、リヤ駆動アクスル２３を介して一対の後輪１７の夫々に駆動力を選択的に伝達するリヤ差動装置１５に連結されている。さらに、トランスファーケース１３は、メインフロント駆動軸１６を介して、各フロント駆動アクスル２４を介して一対の前輪１８に駆動力を伝達するフロント差動装置（図示なし）に連結されている。
【００１４】
車両は、車両の動作を検知する幾つかのセンサーを備えている。図１において、車両のヨーレートを検知するセンサー１９、車両の前後並びに横加速度を検知するセンサー２０、並びに、車輪のステアリング角とステアリングホイールの回転割合を検知するセンサー２１が設けられている。これらセンサー１９、２０、２１は、リヤ差動装置１５とフロント差動装置（図示なし）の作動を制御する制御ユニット２２に接続されている。
【００１５】
上述のように、図１の参照番号１１から２２で示される車両部品は、多くの車両、特にあるレベルの車両のヨー制御を提供する車両にとっては従来から知られているものである。しかしながら、そのようなシステムは、一般に、ヨー制御を行う為に、個々の車輪のブレーキ力調整に頼っているものであった。
【００１６】
しかしながら、本発明によれば、制御ユニット２２はフロント、リヤ差動装置を制御するように作動し、各センサー１９、２０、２１の発生信号に応じて夫々の一対の前輪、後輪の相対的な回転速度が調整される。好ましい実施例においては、差動装置の交差車軸ロック状態又はロック要素、すなわち差動装置が駆動車軸を各車輪と一体になりロックするように作用する時の車輪の相対的な回転速度が、制御ユニット２２によって調整される。
【００１７】
有利な事に、差動装置の作動は、個々の車輪スピンでなく車両の動作に基付いているので、これは、車両の挙動を安定的に並びにヨーを減じるように制御することに使用することができる。
【００１８】
更なる実施例においては、ドライバーのステアリングホイールへの入力、すなわちステアリングホイール操作並びに操作変化の割合が、センサー２１によりモニターされ、そして、適切なアルゴリズムの使用により、ドライバーが得ようとしている運転操作が何であるかを制御ユニット２２が決定することができる。そして、制御ユニット２２は、ドライバーの操作の達成を支援するように差動装置の状態を調整することができる。例えば，ドライバーによるステアリングホイールの急な操作は、急旋回を望んでいるものとして制御ユニット２２により判断される。そして、制御ユニット２２は、差動装置を調整することで、内輪よりも外輪の回転を早めて、これによりドライバーの旋回を支援する。
【００１９】
車両の差動装置を操作することにより、車両をより安定的にすることができ、そして他のより複合的で高価なヨー制御システムを提供することが出来ることが分かるであろう。更に、車両の各車輪の相対的な回転を積極的に制御することにより、本システムは、ドライバーの操作意図を検知して、関係する差動装置をそれに応じて操作することで、車両の機敏性を向上させることができる。こうして、本システムは、車輪のブレーキ制御方法による既存のヨー制御システムよりもより多才な機能を提供する。
【００２０】
本システムと方法は、ヨー制御用のブレーキトルク調整を使用することを除外するものではない。運転の安全性と楽しさを向上させる為に、両システムを同時に採用することも予想される。更に、上述の方法は、従来のドライブトレイン、すなわち、燃焼エンジンと機械的な伝達装置からなるものを備える車両に使用が限定されるものではない。例えば、各車輪を電気駆動する車両に対しても、同様に適用が可能である。
【００２１】
更に、本システムと方法は、差動装置、あるいは他のいかなる車両部品を通常モードで使用することを阻害するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図１】
本発明に係る車両の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
１０…　車両
１１…　前方搭載エンジン
１２…　ギアボックス
１３…　トランスファケース
１４…　メインリヤ駆動軸
１５…　リヤ差動装置
１６…　メインフロント駆動軸
１７…　後輪
１８…　前輪
１９…　ヨーレートセンサー
２０…　横加速度センサー
２１…　ステアリングホイール回転センサー
２２…　制御ユニット
２３…　リヤ駆動アクスル
２４…　フロント駆動アクスル

Claims (6)

1. 車両の反対側に夫々配置される車輪を有する少なくとも一対の駆動輪と、該一対の車輪の各車輪に駆動的に連結されて選択的に駆動トルクを与える駆動軸手段と、該駆動軸手段の夫々を相互に連結して上記一対の車輪の相対的な回転速度を調整する制御手段とを備える駆動アッセンブリーを少なくとも有する車両の制御方法であって、
   該方法は、車両の動作、車輪のステアリング角及び／又は車両のステアリングホイールの回転を選択的に検知し、これに応答して制御信号を発生し、そして該制御信号に応答して上記一対の車輪の相対的な回転速度を制御するステップを備え、これにより車両を制御するようになしたことを特徴とする車両の制御方法。
2. 上記制御手段は差動装置を備え、該差動装置は、差動装置の交差車軸ロック状態もしくはロック要素を調整することにより制御されることを特徴とする請求項１に記載の車両の制御方法。
3. 上記発生する制御信号は、ヨーレート、横滑り、横加速度、前後加速度及び／又は車速から選択される車両の動作に基付くことを特徴とする請求項１に記載の車両の制御方法。
4. 上記発生する制御信号は、車両のステアリング角及び／又はステアリングホイールの操作の変化割合に関するドライバーのステアリングホイールへの入力に基付くものであることを特徴とする請求項１〜３の何れか１項に記載の車両の制御方法。
5. 上記車両の動作は、横及び／又は前後加速度メータ、車速センサー及び／又はホイールステアリング角度センサーのような、車両内に配置された検知手段により検知されるものであることを特徴とする請求項１〜４の何れか１項に記載の車両の制御方法。
6. 車両の反対側に夫々配置される車輪を有する少なくとも一対の駆動輪と、該一対の車輪の各車輪に駆動的に連結されて選択的に駆動トルクを与える駆動軸手段と、該駆動軸手段の夫々を相互に連結して上記一対の車輪の相対的な回転速度を調整する制御手段とを備える駆動アッセンブリーを有する車両であって、
   上記制御手段は、制御信号に応答して上記一対の車輪の相対的な回転速度を制御する差動装置を備えており、これにより車両が制御されるようになされていることを特徴とする車両。