JP2012057639A - 差動制限機構の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両の左右輪4FR,4FLの差動を制限する差動制限機構5と、車両の操舵に対しアシストトルクを付加するパワーステアリング機構8とを有し、差動制限機構5の動作に応じて、パワーステアリング機構8の制御量を増減制御する制御手段10とを有すると共に、パワーステアリング機構8のインタロックの作動を検出するインタロック作動検出手段を有し、制御手段10は、インタロック作動検出手段によりインタロックの作動を検出した際には、差動制限機構5の制御量を減少させる。
【選択図】図1
Description
このようなLSDには、トルク感応式,回転感応式,電子制御式の3つの種類がある。トルク感応式はエンジンからのトルクに応じてLSDが作動し、回転感応式は左右輪の回転速度差に応じてLSDが作動する。そして、電子制御式はLSDの制御器により任意のタイミングでLSDを作動させることができる。
また、車輪が空転していない状態でのLSDの作動においては、回転速度の速い旋回外輪から、回転速度の遅い旋回内輪へ駆動力が移動する、即ち、旋回を抑える方向に駆動力が移動するため、直進安定性の向上が期待できる。
特に、旋回内輪の空転時にLSDを強く作動させた場合、旋回外輪の駆動力が増加してこれによるトルクステアが旋回方向へ発生するため、ドライバに要求される旋回方向への操舵トルクが大きく減少し、このトルクステアが大きいとドライバには旋回方向と逆向きの操舵トルクが要求される。つまり、ステアリングホイールが操舵しようとする方向に勝手に回ってしまい、ドライバに対して大きな違和感を与える。このため、LSDの作動量を任意に制御できる電子制御式LSDにおいて、操舵性の悪化を防ぐために、電子制御式LSDの制御量を大きくすることができないのが現状である。
この場合、前記制御手段は、前記空転した車輪に対し前記制動力調整機構により制動力を付加させる際に、前記空転車輪の空転状態に応じた大きさの制動力を付加させることが好ましい。
この場合、空転車輪の空転状態に応じた大きさの制動力を付加させることにより、空転車輪の回転を適正に制御することができる。
図1〜図4は本実施形態を説明するもので、図1はその車両の駆動系の構成図、図2はそのパワーステアリング機構のインタロック作動領域を説明する図、図3はその制御ブロック図、図4はその制御を説明するフローチャートである。これらの図を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態にかかる車両は、車両の前部にエンジン(内燃機関)1を備えると共に、前輪4FR,4FLを駆動輪として構成された前輪駆動車(FF車)として構成されている。エンジン1の出力軸1aには、変速機(トランスミッション)2が接続され、変速機2の出力軸2aに差動制限機構付きの差動機構(Differential)3を介して前輪4FR,4FLが接続されている。
この例では、差動機構3には、デフケース31に装備された入力ベベルギア32,32と、入力ベベルギア32,32と噛み合い右前輪4FR,左前輪4FRにそれぞれ結合された出力ベベルギア33R,33Lとからなるベベルギア式のものが使われている。また、変速機2の出力軸2aに装備されたベベルギア2bは、デフケース31に装備されたリングギア31aと噛合している。
差動機構3に備えられる差動制限機構(LSD:Limited Slip Differential)5は、片輪(ここでは、右前輪)4FRとデフケース31との間に介装され、本実施形態では電磁式の多板クラッチ51が用いられ、制御量(例えば制御電流)に応じて発生する磁力に応じて、多板クラッチ51が係合し、片輪(右前輪)4FRとデフケース31との間の差動を制限する。右前輪4FRとデフケース31との間の差動が制限されれば、当然ながら、左前輪4FLとデフケース31との間の差動も制限されることになる。
LSDコントローラ11では、この駆動輪の空転の判定は、各車輪の車輪速を検出する車輪速センサ21FR〜21RLの検出結果VWFR〜VWRLに基づいて、従動輪である後輪4RR,4RLから基準の車輪速(車体速)VWSを得て、駆動輪4FL,4FRの車輪速VWFR,VWFLとこの基準の車輪速VWSとを比較して行なう。つまり、後輪4RR,4RLの車輪速VWRR,VWRLの平均値VWA等を基準の車輪速VWSとし、駆動輪4FL,4FRの何れかの車輪速VWFR,VWFLが基準の車輪速VWSよりも予め設定された車輪速差以上大きくなったら空転状態であると判定する。ただし、旋回時には、旋回半径に応じて、旋回内輪の車輪速は小さくなり、旋回外輪の車輪速は大きくなるので、この点は補正して判定する。
LSD5を作動させる条件としては、空転状態の場合に替えて、左右駆動輪に所定以上のトルク差が発生した場合や、左右輪の回転数差が所定値以上になった場合としてもよい。或いは、空転状態,所定以上のトルク差,所定値以上の回転数差の各条件の中の複数を設けて、これらのいずれかが成立したらLSD5を作動させるものと設定しても良い。
左右駆動輪の回転数差については、各車輪の車輪速を検出して差分を算出して得ることができる。この場合も、旋回時には、旋回半径に応じて、旋回内輪の車輪速は小さくなり、旋回外輪の車輪速は大きくなるので、この点は補正して判定する。
また、LSD5による差動制限は、上記の車輪の空転状態の程度に応じた制御量で行なう場合と同様に、左右駆動輪のトルク差の程度に応じた制御量で行なうこと、或いは、左右駆動輪の回転数差の程度に応じた制御量で行なうことが好ましい。
前輪4FR,4FL及び後輪4RR,4RLの各ブレーキ機構6FR,6FL及び6RR,6RLは、それぞれ独立して作動を制御できるようになっている。つまり、各ブレーキ機構6FR〜6RLは車輪と共に回転するブレーキロータ6aとブレーキロータ6aを挟み込み係止するブレーキキャリパー6bとを有し、ブレーキキャリパー6bが各車輪のブレーキ機構毎に独立して作動を制御される。なお、ブレーキ機構6FR〜6RLを個々に、或いは統合して制動力調整機構とも呼ぶ。
前輪4FR,4FLは、ステアリングホイール7のシャフト7a先端に接続されたラックアンドピニオン等の機構7bを通じて、ステアリングホイール7の操舵角に応じて転舵される。ステアリングシャフト7aにはパワーステアリング機構(パワステ機構、又はパワステとも言う)8が装備されており、パワステ機構8によってステアリングホイール7に加わる操舵トルクに応じた操舵アシストトルクがステアリングシャフト7aに加えられ操舵力をアシストする。
このパワステ機構8は、パワステコントローラ13によって、作動を電子制御される電子制御パワステ(EPS)として構成される。ここでは、電動モータ(EPSモータ)8aによって操舵アシストトルクを発生する電動パワステが用いられている。パワステ機構は電動式のものに限らず、油圧式のものも適用可能ではあるが、電動式のものは制御応答性に優れており、電子制御する上で有利である。
つまり、この電子制御パワステでは、図2に実線P1,P2で示すように、ステアリングホイール7に加わる操舵トルクに対応してEPSモータ電流(操舵アシストトルク)が加えられる。図示するように、操舵トルクが小さい領域では中立保舵感を重視しEPSモータ電流は加えないが、操舵トルクが一定以上になると操舵トルクの大きさに比例した大きさのEPSモータ電流を加え、操舵トルクが大きい領域では操舵トルクの大きさにかかわらず一定のEPSモータ電流を加える。実線P1は低速時であり、P2は高速時であり、車速に対応して操舵トルクの大きさに対して加えるEPSモータ電流の大きさの特性を変えている。
ところで、上述のLSD5の作動による操舵反力変化を、電子制御パワステを用いて相殺する技術は、パワステのインタロック作動領域では適用できない。
そこで、本装置では、図3に示すように、制御手段としての車両ECU(車両電子制御ユニット)10が、操舵トルクセンサ23から入力される操舵トルクτに対応するインタロック作動領域(EPSモータ電流が下限値IIL_min以下の領域及び上限値IIL_max以上の領域)を求めて、パワステコントローラ13により設定されたEPSモータ電流IEPSを、下限値IIL_min及び上限値IIL_maxと比較してインタロック作動領域であるか否かを判定する。なお、この車両ECU10によるインタロック作動領域の判定機能をインタロック作動判定手段10aとする。また、操舵トルクセンサ21とこのインタロック作動判定手段10aとからインタロック作動検出手段10Aが構成される。
また、車両ECU10は、このインタロック判定時のLSDの制御量を抑制している際に、各車輪速センサ21FR,21FLで検出した車輪速VWFR,VWFLからいずれかの車輪が空転しているかを判定する。いずれかの車輪が空転していることが判明した場合には、空転した車輪に対し制動力調整機構(ブレーキ機構)6FR〜6RLにより制動力を付加させる。この制動力を付加させる際には、空転車輪の空転状態に応じた大きさの制動力を付加させる。なお、この車両ECU10による車輪が空転しているかを判定する機能を各輪空転判定手段10bとする。また、輪速センサ21FR,21FLとこの各輪空転判定手段10bとから各輪空転検出手段10Bが構成される。
本発明の一実施形態にかかる差動制限機構の制御装置は、上述のように構成されているので、LSD5の動作に応じて、パワステ制御量(アシストトルク)を増減制御して、LSD5による差動制限により操舵反力変化が大きくなる場合に操舵アシスト力によってこれを抑制することができ、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
そして、パワーステアリング機構のインタロックの作動を考慮して、例えば図4に示すように制御が行なわれる。
まず、ドライバの入力する操舵トルクτ及びEPSモータ8aに出力すべきEPSモータ電流IEPS(ステップS10)を読み込む。そして、操舵トルクτから、これに対応するパワステのインタロック作動領域を規定するEPSモータの電流範囲IIL_min〜IIL_max(つまり、EPSモータ電流の下限値IIL_min及び上限値IIL_max)を計算し(ステップS12)、ステップS10で読み込んだEPSモータ電流IEPSがインタロック作動領域のEPSモータ電流の下限値IIL_min以下又は上限値IIL_max以上であるか否か、換言すれば、EPSモータ電流IEPSがインタロック作動領域に含まれるか否かを判定する(ステップS14)。EPSモータ電流IEPSがインタロック作動領域に含まれれば電動LSD5を通常よりも制御量を低下させて動作させる(動作制限、ステップS16)。EPSモータ電流IEPSがインタロック作動領域のEPSモータ電流の下限値IIL_min以下又は上限値IIL_max以上でなければ、つまり、EPSモータ電流IEPSがインタロック非作動領域に含まれれば、LSD5を通常の制御量で動作させる(ステップS18)。
パワステのインタロックが作動する領域では、操舵アシスト力によって操舵反力変化を抑制することができないが、この場合には、上記のように、LSD5の制御量(差動制限量)を減少させるので、操舵反力変化が抑えられ、操舵フィーリングを良好に維持することができる。
この場合、空転車輪の空転状態に応じた大きさの制動力を付加させるので、空転車輪の回転を適正に制御することができる。
例えば、上記実施形態では、FF車について説明したが、FR車(フロントエンジン・リアドライブ車),RR車(リヤエンジン・リヤドライブ車)及び4WD車(4輪駆動)についても、左右輪LSDが装備されている車両であればいずれも本発明を適用することができる。
2 変速機
3 差動機構
4FR,4FL 前輪
5 差動制限機構(LSD)
6FR,6FL,6RR,6RL ブレーキ機構
7 ステアリングホイール
8 パワーステアリング機構(パワステ機構、又はパワステ)
10 制御手段としての車両ECU(車両電子制御ユニット)
10A インタロック作動検出手段
10a インタロック作動判定手段
10B 各輪空転検出手段
10b 各輪空転判定手段
11 LSDコントローラ
12 ブレーキコントローラ
13 パワステコントローラ
21FR,21FL 車輪速センサ
23 操舵トルクセンサ
31 デフケース
32,32 入力ベベルギア
33R,33L 出力ベベルギア
Claims (3)
- 車両の左右輪の差動を制限する差動制限機構と、前記車両の操舵に対しアシストトルクを付加するパワーステアリング機構とを有し、前記差動制限機構の動作に応じて、前記パワーステアリング機構の制御量を増減制御する制御手段とを有すると共に、
前記パワーステアリング機構のインタロックの作動を検出するインタロック作動検出手段を有し、
前記制御手段は、前記インタロック作動検出手段により前記インタロックの作動を検出した際には、前記差動制限機構の制御量を減少させる
ことを特徴とする、差動制限機構の制御装置。 - 前記車両の各輪制動力に差を与える制動力調整機構と、
前記車両の各輪の空転を検出する各輪空転検出手段と、をさらに有し、
前記制御手段は、前記差動制限機構の制御量を減少した際に、前記各輪空転検出手段により前記車両のいずれかの車輪の空転を検出すると、空転した車輪に対し前記制動力調整機構により制動力を付加させる
ことを特徴とする、請求項1記載の差動制限機構の制御装置。 - 前記制御手段は、前記空転した車輪に対し前記制動力調整機構により制動力を付加させる際に、前記空転車輪の空転状態に応じた大きさの制動力を付加させる
ことを特徴とする、請求項2記載の差動制限機構の制御装置。
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