JP3187119B2 - 車両用駆動力制御装置 - Google Patents

車両用駆動力制御装置

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JP3187119B2
JP3187119B2 JP06423192A JP6423192A JP3187119B2 JP 3187119 B2 JP3187119 B2 JP 3187119B2 JP 06423192 A JP06423192 A JP 06423192A JP 6423192 A JP6423192 A JP 6423192A JP 3187119 B2 JP3187119 B2 JP 3187119B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の車両におい
て、ヨーレイトに着目して駆動状態を制御する、車両用
駆動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、4つの車輪の全てを駆動する四輪
駆動式自動車(以下、四輪駆動車という)の生産が盛ん
に行なわれているが、かかる四輪駆動車では、前輪と後
輪とへの駆動力配分を制御して、各輪を通じて駆動力を
確実に路面へ伝達できるようにすることが考えられてい
る。
【0003】一方、旋回時等に左右輪の間の駆動力配分
を積極的に制御することで、旋回性能を向上させること
が考えられる。具体的には、車両外輪側に内輪側よりも
駆動力を多く配分することで車両の旋回性を向上させる
ことができる。また、旋回時の限界付近での車両コント
ロール性の向上等の効果があり、旋回時に限らず、ステ
アリングを操作して車両に操舵角を与えた時のヨー応答
性を向上させることができ、車両の走行性能そのものを
向上させることができる。
【0004】しかしながら、このような左右輪間の駆動
力配分の積極的な制御は、まだ十分とは言えず、前後輪
間の駆動力配分制御手段に比べて、開発が遅れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前後輪間の
駆動力配分に加えて左右輪間の駆動力配分制御も行なえ
る車両用駆動装置では、前後輪間の駆動力配分制御と左
右輪間の駆動力配分制御とを組み合わせることで、車両
の旋回性能や加速性能を大幅にを向上させることが期待
できる。この場合、前後輪間駆動力配分制御と左右輪間
駆動力配分制御とをどのように関連づけて制御を行なう
かが問題になる。
【0006】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、車両の旋回性能や旋回性能を確実に向上させ
ることができるようにした、車両用駆動力制御装置を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の車両用駆動力制御装置では、4輪駆動式車両
にそなえられる駆動力配分装置において、エンジンから
の駆動力を前後輪へ配分調整する駆動力前後配分調整手
段と、この駆動力前後配分調整手段を通じて配分された
後輪側駆動力を左右の後輪へ差動を許容して配分する差
動機構と、該左右輪間で駆動力を授受させて移動可能に
して配分調整する駆動力左右配分調整手段と、上記の駆
動力前後配分調整手段及び駆動力左右配分調整手段の作
動を制御する制御手段とをそなえ、上記制御手段が、車
両の運転状態や走行状態に応じて上記駆動力左右配分調
整手段の制御量を設定する左右配分制御量設定手段と、
該左右配分制御量設定手段で設定された制御量に対応し
てステア特性を調整するように上記駆動力前後配分調整
手段の制御量を設定する前後配分制御量設定手段とをそ
なえ、これらの設定された各制御量に基づいて上記の左
右配分制御量設定手段及び前後配分制御量設定手段を制
御するように構成されていることを特徴としている。
【0008】また、請求項2記載の本発明の車両用駆動
力制御装置では、4輪駆動式車両にそなえられる駆動力
配分装置において、エンジンからの駆動力を前後輪へ配
分調整する駆動力前後配分調整手段と、この駆動力前後
配分調整手段を通じて配分された後輪側駆動力を左右の
後輪へ差動を許容して配分する差動機構と、該左右輪間
で駆動力を授受させて移動可能にして配分調整する駆動
力左右配分調整手段と、上記の駆動力前後配分調整手段
及び駆動力左右配分調整手段の作動を制御する制御手段
とをそなえるとともに、上記車両の操舵角を検出する操
舵角検出手段と、上記車両の車速を検出する車速検出手
段と、上記車両の実ヨーレイトを検出するヨーレイト検
出手段とをそなえ、上記制御手段が、上記の各検出手段
で検出された操舵角情報及び車速情報に基づいて車両の
目標ヨーレイトを算出する目標ヨーレイト算出手段と、
上記実ヨーレイトを上記目標ヨーレイトに接近させるよ
うに上記駆動力左右配分調整手段の制御量を設定する左
右配分制御量設定手段と、該左右配分制御量設定手段で
設定された制御量に対応してステア特性を調整するよう
に上記駆動力前後配分調整手段の制御量を設定する前後
配分制御量設定手段とをそなえ、これらの設定された各
制御量に基づいて上記の左右配分制御量設定手段及び前
後配分制御量設定手段を制御するように構成されている
ことを特徴としている。
【0009】
【作用】上述の請求項1に記載の車両用駆動力制御装置
では、左右配分制御量設定手段が、車両の運転状態や走
行状態に応じて駆動力左右配分調整手段の制御量を設定
し、前後配分制御量設定手段が、左右配分制御量設定手
段で設定された制御量に対応してステア特性を調整する
ように駆動力前後配分調整手段の制御量を設定する。そ
して、制御手段が、上記各制御量に基づいて左右配分制
御量設定手段及び前後配分制御量設定手段を制御する。
【0010】また、請求項2記載の本発明の車両用駆動
力制御装置では、目標ヨーレイト算出手段が、操舵角検
出手段によって検出された操舵角情報と車速検出手段に
よって検出された車速情報とに基づき目標ヨーレイトを
算出して、左右配分制御量設定手段が、ヨーレイト検出
手段により検出された実ヨーレイトを上記目標ヨーレイ
トに近接させるようにフィードバックを行ないながら駆
動力左右配分調整手段を制御する。また、前後配分制御
量設定手段が、左右配分制御量設定手段で設定された制
御量に対応してステア特性を調整するように駆動力前後
配分調整手段の制御量を設定する。そして、制御手段
が、上記各制御量に基づいて左右配分制御量設定手段及
び前後配分制御量設定手段を制御する。これにより、左
右輪へのエンジンの駆動力配分とステア特性とが調整さ
れて、車両の旋回が滑らかに行なわれる。
【0011】
【実施例】以下、図面により、本発明の実施例について
説明すると、図1〜図7は本発明の第1実施例としての
車両用駆動力制御装置を示すもので、図1は本装置をそ
なえた自動車の駆動力伝達系の概略構成を示す摸式図、
図2はその要部構成を示す摸式図、図3はその要部の作
動を示すフローチャート、図4〜図7はいずれもその制
御特性を示すグラフであり、図8は本発明の第2実施例
としての自動車用左右駆動力制御装置をそなえた自動車
の駆動力伝達系の概略構成を示す摸式図である。
【0012】まず、本発明の第1実施例について説明す
ると、この車両用駆動力制御装置をそなえた自動車の駆
動力伝達系1は、エンジン2からの回転駆動力(駆動ト
ルク)を図示しないトランスミッション等を介して遊星
歯車で構成されたセンタデフ3で受けて、センタデフ3
から、前輪側と後輪側とに伝達するようになっている。
【0013】特に、このセンタデフ3には、前後輪の差
動を適当に制限しうる駆動力前後配分調整手段としての
センタデフ差動制限機構24が設けられている。この差
動制限機構24は、ここでは油圧式の多板クラッチによ
り構成され、供給油圧に応じて前後輪の差動を制限しな
がら、前後輪への駆動力配分を制御できるようになって
おり、前後輪間の駆動力配分を制御する装置となってい
る。
【0014】このようにして、センタデフ3から配分さ
れた駆動力の一方は、フロントデフ10を通じて左右の
前輪4,5に伝達されるようになっている。一方、セン
タデフ3から配分された駆動力の他方は、プロペラシャ
フト62を介してリヤデフ11に伝達され、このリヤデ
フ11を通じて左右の後輪6,7に伝達されるようにな
っている。なお、符号25はドライブピニオン及びリン
グギヤからなるベベルギヤ機構である。
【0015】リヤデフ11部分には、変速機構26と多
板クラッチ機構27とからなる駆動力左右配分調整手段
としての駆動力伝達制御機構60が設けられ、リヤデフ
11及び駆動力伝達制御機構60から駆動力左右配分調
整手段が構成される。なお、この多板クラッチ機構27
は油圧式のもので、油圧を調整されることで左右輪への
駆動力配分を調整できるようになっている。
【0016】そして、この駆動力伝達制御機構60の多
板クラッチ機構27の油圧系は、駆動力前後配分調整手
段としてのセンタデフ差動制限機構24の油圧系ととも
に、コントローラ16によって制御されるようになって
いる。つまり、多板クラッチ機構27の油圧系及び多板
クラッチ機構24の油圧系は、各クラッチ機構にそれぞ
れ付設された図示しない油圧室と、油圧源を構成する電
動ポンプ28及びアキュムレータ29と、この油圧を上
記の油圧室に所要量だけ供給させるクラッチ油圧制御バ
ルブ61とからなっている。そして、クラッチ油圧制御
バルブ61の開度がコントローラ16によって制御され
るようになっている。
【0017】なお、コントローラ16では、車速センサ
17,操舵角センサ18,ヨーレイトセンサ19などか
らの情報に基づいて、クラッチ油圧制御バルブ61の開
度を制御する。ここで、この駆動力伝達制御機構60の
要部を説明すると、図1,2に示すように、プロペラシ
ャフト62の後端に設けられて回転駆動力を入力される
入力軸62Aと、入力軸62Aから入力された駆動力を
出力する左輪回転軸(左後輪6の駆動軸)14と右輪回
転軸(右後輪7の駆動軸)15とが設けられており、左
輪回転軸14と右輪回転軸15と入力軸62Aとの間に
駆動力伝達制御機構60が介装されている。
【0018】そして、この駆動力伝達制御機構60は、
次のような構成により、左輪回転軸14と右輪回転軸1
5との差動を許容しながら、左輪回転軸14と右輪回転
軸15とに伝達される駆動力を所要の比率に配分できる
ようになっている。すなわち、左輪回転軸14と入力軸
62Aとの間及び右輪回転軸15と入力軸62Aとの間
に、それぞれ変速機構26と多板クラッチ機構27とが
介装されており、左輪回転軸14又は右輪回転軸15の
回転速度が、変速機構26により増速されて駆動力伝達
補助部材としての中空軸63に伝えられる。
【0019】そして、多板クラッチ機構27は、この中
空軸63と入力軸62A側のデファレンシャルケース
(以下、デフケースと略す)11Aとの間に介装されて
おり、この多板クラッチ機構27を係合させることで、
デフケース11Aから中空軸63へ、又は、中空軸63
からデフケース11Aへ、駆動力が送給されるようにな
っている。これは、対向して配設されたクラッチ板にお
ける一般的な特性として、トルクの伝達が、速度の速い
方から遅い方へ行なわれるためである。
【0020】したがって、例えば、右輪回転軸15と入
力軸62Aとの間の多板クラッチ機構27が係合される
と、右輪回転軸15へ配分される駆動力は変速機構26
側からのルートで増加又は減少されて、この分だけ、左
輪回転軸14へ配分される駆動力が減少又は増加する。
上述の変速機構26は、2つのプラネタリギヤ機構を直
列的に結合してなるいわゆるダブルプラネタリギヤ機構
で構成されており、右輪回転軸15に設けられた変速機
構26を例に説明すると次のようになる。
【0021】すなわち、右輪回転軸15には第1のサン
ギヤ26Aが固着されており、この第1のサンギヤ26
Aは、その外周において第1のプラネタリギヤ(プラネ
タリピニオン)26Bに噛合している。また、第1のプ
ラネタリギヤ26Bは、第2のプラネタリギヤ26Dと
一体回転するように固着され、共にキャリヤに設けられ
たピニオンシャフト26Cを通じて、ケーシング(固定
部)に固着されて回転しないキャリア26Fに枢支され
ている。これにより、第1のプラネタリギヤ26Bと第
2のプラネタリギヤ26Dとが、ピニオンシャフト26
Cを中心として同一の回転を行なうようになっている。
【0022】さらに、第2のプラネタリギヤ26Dは、
右輪回転軸15に枢支された第2のサンギヤ26Eに噛
合しており、第2のサンギヤ26Eは、中空軸63を介
して多板クラッチ機構27のクラッチ板27Aに連結さ
れている。また、多板クラッチ機構27の他方のクラッ
チ板27Bは、入力軸62Aにより駆動されるデフケー
ス11Aに連結されている。
【0023】そして、この実施例の構造では、第2のサ
ンギヤ26Eが第1のサンギヤ26Aよりも小さい径に
形成されているので、プラネタリギヤ26B,26Dを
通じて、第2のサンギヤ26Eの回転速度は第1のサン
ギヤ26Aよりも大きくなり、この変速機構26は増速
機構としてはたらくようになっている。したがって、ク
ラッチ板27Aの回転速度がクラッチ板27Bよりも大
いときに、多板クラッチ機構27を係合させた場合に
は、この係合状態に応じた量のトルクが、右輪回転軸1
5側からデフケース11A側へ送給されるようになって
いる。このため、デフケース11Aからの駆動トルクが
左輪回転軸14の方により多く配分されるようになる。
【0024】一方、左輪回転軸14にそなえられる変速
機構26及び多板クラッチ機構27も、同様に構成され
ている。このため、デフケース11Aからの駆動トルク
を右輪回転軸15により多く配分したい場合には、その
配分したい程度(配分比)に応じて左輪回転軸14側の
多板クラッチ機構27を適当に係合し、左輪回転軸14
により多く配分したい場合には、その配分比に応じて右
輪回転軸15側の多板クラッチ機構27を適当に係合す
る。
【0025】このとき、多板クラッチ機構27は油圧駆
動式であるので、油圧の大きさを調整することで多板ク
ラッチ機構27の係合状態を制御でき、デフケース11
から左輪回転軸14又は右輪回転軸15への駆動力の
送給量(つまりは駆動力の左右配分比)を適当な精度で
調整することができるようになっている。なお、左右の
多板クラッチ機構27が共に完全係合することのないよ
うに設定されており、左右の多板クラッチ機構27のう
ち一方が完全係合したら他方の多板クラッチ機構27は
滑りを生じるようになっている。
【0026】また、センタデフ3に設けられているセン
タデフ差動制限機構24について説明すると、このセン
タデフ差動制限機構24は、上述したように、油圧式の
多板クラッチにより構成されており、油圧を供給してこ
の多板クラッチを係合させたときに、エンジン2からの
回転駆動力は、前輪側駆動軸12,13とプロペラシャ
フト62とへ50:50に配分されるようになってい
る。また、センタデフ差動制限機構24に油圧を供給し
ないときは、前輪側駆動軸12,13とプロペラシャフ
ト62との回転駆動力は、例えば、30:70に配分さ
れるようになっている。
【0027】ところで、これらの駆動力前後配分調整手
段としてのセンタデフ差動制限機構24と駆動力左右配
分調整手段としての駆動力伝達制御機構60とは、制御
手段としてのコントローラ16により制御されるように
なっている。図1に示すように、この車両には、車両の
車速を検出する車速検出手段としての車速センサ17
と、ハンドルの切れ角を検出する操舵角検出手段として
の操舵角センサ18と、車両の実ヨーレイトを検出する
実ヨーレイト検出手段としてのヨーレイトセンサ19と
が設けられており、上記各センサの検出した情報は、コ
ントローラ16に入力された後、各検出信号に基づい
て、コントローラ16内において所要の演算を行なっ
て、各調整手段24,60の制御量が求められて、設定
された制御信号がクラッチ油圧制御バルブ61に送られ
る。そして、図4のマップにしたがって所定量の作動油
圧がセンタデフ差動制限機構24と多板クラッチ機構2
7に供給されるようになっている。
【0028】なお、車速センサ17は、各駆動軸12,
13,14,15の近傍にそれぞれ設けられており、駆
動軸12,13,14,15の回転状態、すなわち、各
車輪4,5,6,7の車輪速を検出することができるよ
うになっている。そして、このコントローラ16の一部
には、操舵角情報および車速情報に基づき目標ヨーレイ
トを算出する目標ヨーレイト算出手段22と、駆動力伝
達制御機構60の制御量を設定する左右配分制御量設定
手段23とがそなえられ、ヨーレイトを参照しながら左
右輪の駆動力配分を制御する制御信号を出力するように
なっている。
【0029】つまり、この左右配分制御量設定手段23
では、ヨーレイト偏差及びヨーレイト偏差の微分値とに
応じて左輪側と右輪側とへの各制御指令値EL,ERを
出力するようになっている。なお、目標ヨーレイトは、
目標ヨーレイト算出手段22により操舵角センサ18で
検出された操舵角情報および車速センサ17で検出され
た車速情報に基づき算出され、実ヨーレイトは、ヨーレ
イトセンサ19で検出されるようになっている。
【0030】また、コントローラ16には、前後配分制
御量設定手段21も設けられている。この前後配分制御
量設定手段21は、上記左右配分制御量設定手段23に
より設定された制御量に対応して、この車両のステア特
性を調整するようにセンタデフ差動制限機構24の制御
量を設定するようになっている。コントローラ16にお
けるセンタデフ差動制限機構24と駆動力伝達制御機構
60との制御については、例えば図3に示すフローチャ
ートのようにして、実ヨーレイトと目標ヨーレイトとか
らフィードバックを行ないつつ制御信号が出力されるよ
うになっている。
【0031】ここで、駆動力伝達制御機構60による制
御を具体的に説明すると、まず、操舵角センサ18によ
って検出されたハンドル角(実操舵角)δf,車速セン
サ17によって検出された4輪の車輪速V4,V5,V
6,V7およびヨーレイトセンサ19によって検出され
た実ヨーレイトYのそれぞれがコントローラ16に入力
されるようになっている。
【0032】つぎに、目標ヨーレイト算出手段22が目
標ヨーレイトY* を下式(1)にしたがって計算するよ
うになっている。 Y* =(V・δf)/〔L(1+A・V2 )〕・・・(1) ここで、Vは車輪速V4,V5,V6,V7の平均値,
Lは車両のホイールベース,Aはスタビリティファクタ
である。スタビリティファクタAは、後述するフィード
バックゲインG1,G2と同様に車速感応要素の1つで
あり、例えば、図5のマップ1に示すようなグラフにし
たがってその値が決定されるようになっている。
【0033】そして、目標ヨーレイトY* と実際のヨー
レイトYとの偏差であるヨーレイト偏差ΔYが式(2)
により算出されるとともに、ヨーレイト偏差微分値Δ
Y′が式(3)にしたがって算出されるようになってい
る。 ΔY=Y* −Y・・・・・・・・・・・・・・・・・(2) ΔY′=dΔY/dt・・・・・・・・・・・・・・(3) そして、左右配分制御量設定手段23が上記ヨーレイト
偏差ΔYとヨーレイト偏差微分値ΔY′を用いて制御信
号の指令値EL,ERを下記に示すような式(3),
(4)にしたがって算出するようになっている。 EL=G1×ΔY+G2×ΔY′・・・・・・・・・(3) ER=−G1×ΔY−G2×ΔY′・・・・・・・・(4) ここで、G1,G2はフィードバックゲインと呼ばれる
車速感応要素であり、これらフィードバックゲインG
1,G2については、例えば、図5のマップ2に示すよ
うなグラフにしたがってその値が決定されるようになっ
ている。
【0034】なお、指令値ELは、左輪側に送られる制
御信号であり、左輪側へ移動する駆動力の大きさを示す
信号である。また、指令値ERは、右輪側に送られる制
御信号であり、右輪側へ移動する駆動力の大きさを示す
信号である。そして、左右配分制御量設定手段23から
上記の指令値EL,ERの制御信号がクラッチ油圧制御
バルブ61に送られて、図4のマップにしたがって所定
量の作動油圧が多板クラッチ機構27に供給されるよう
になっている。そして、このような制御動作が所定の周
期で繰り返されるようになっている。
【0035】この結果、指令値EL,ERの制御信号が
コントローラ16からクラッチ油圧制御バルブ61に送
られて、所定の作動油圧が駆動力伝達制御機構60へ出
力され、左輪および右輪へ伝達される駆動力が所要の状
態に調整され、車両の運転状態に対応した駆動力配分が
行なわれるようになっている。ここで、指令値EL,E
Rの制御信号に対応した駆動力は、例えば、図4に示す
マップによって決定されるようになっている。このマッ
プでは中立不感帯幅αが設けられており、指令値EL,
ERが不感帯域にあるような小さい値のときは、左右輪
間の駆動力配分を変化させないように設定されている。
【0036】この中立不感帯は、EL,ERが0近傍の
領域に設けられており、車両の走行時に各センサ17,
18,19に入力される信号に対して、路面からの外乱
等によりノイズが混入したときに、このノイズによって
出力される微小な制御信号に対しての過度な制御を抑制
して制御を安定させるために設けられている。したがっ
て、EL,ERが0近傍にあるような小さい値のとき
は、制御信号の指令値EL,ERに対応する駆動トルク
が0に設定されて左右輪間の駆動力配分を変化させない
ようになっている。
【0037】このようにして、左右輪間の駆動力配分が
決定され、駆動力伝達制御機構60が制御されるように
なっている。そして、次に駆動力前後配分調整手段24
の制御を具体的に説明すると、制御信号の指令値EL,
ERが算出された後、前後輪回転差ΔVFRが、例えば下
式(5)にしたがって算出される。 ΔVFR=〔2・(V1+V2)/(V1+V2+V3+V4)〕−1.0・・・ ・・・・・・・・・(5) なお、(5)式によって算出された前後輪回転差ΔVFR
は、ここでは、後輪に対して前輪がどの程度スリップし
ているかを示すスリップ率として計算される。
【0038】そして、実ヨーレイトYの正負と制御信号
の指令値EL,ERの正負が判断される。ここで、この
フローチャートでは、Y>0のとき車両が右旋回してい
るとする。実ヨーレイトYが正と判断されたとき、すな
わち車両が右旋回の状態にあると判断され、且つ、制御
信号の指令値ERが正と判断されると、前後配分制御量
設定手段21は、図7のマップ2を用いてセンタデフ差
動制限機構24の制御信号の指令値ECを設定するよう
になっている。
【0039】また、制御信号の指令値ERが負と判断さ
れると、前後配分制御量設定手段21は、図7のマップ
1を用いてセンタデフ差動制限機構24の制御信号の指
令値ECを設定するようになっている。ここで、制御信
号の指令値ERが正のときは、前述したように、右輪側
へ駆動力を移動するものなので、これは、車両が右旋回
しているときに車両の実際の挙動としてはオーバステア
傾向にあり、左右配分制御量設定手段23がこれを抑制
しようとしてER>0となるように制御しているときで
ある。
【0040】このため、前後配分制御量設定手段21に
よって設定される制御信号の指令値ECにより、センタ
デフ差動制限機構24を調整して前輪側の駆動力配分を
増加させることにより、車両にアンダステアを促して車
両のステア特性を例えばニュートラルステアにするよう
になっている。また、制御信号の指令値ERが負のとき
は、上述とは逆に車両の実際の挙動としてはアンダステ
ア傾向のときである。そして、これを抑制しようとして
左右配分制御量設定手段23がER<0となるように制
御しているときである。
【0041】このため、前後配分制御量設定手段21に
よって設定される制御信号の指令値ECにより、センタ
デフ差動制限機構24を調整して後輪側の駆動力配分を
増加させることにより、車両にオーバステアを促して車
両のステア特性を例えばニュートラルステアにするよう
になっている。一方、実ヨーレイトYが負と判断された
とき、すなわち車両が左旋回の状態にあると判断された
ときに、制御信号の指令値ELが正の値であると、前後
配分制御量設定手段21は、図7のマップ2を用いて指
令値ECを設定するようになっている。
【0042】また、このときに制御信号の指令値ELが
負と判断されると、前後配分制御量設定手段21は、図
7のマップ1を用いてECを設定するようになってい
る。ここで、制御信号の指令値ELが正のときは、前述
したように、左輪側へ駆動力を移動するものなので、こ
れは、車両が左旋回しているときに車両の実際の挙動と
してはオーバステア傾向にあり、これを抑制しようとし
て左右配分制御量設定手段23がEL>0となるように
制御しているときである。
【0043】このため、前後配分制御量設定手段21に
よって設定された制御信号の指令値ECにより、センタ
デフ差動制限機構24を調整して前輪側の駆動力配分を
増加させることにより、車両にアンダステアを促して車
両のステア特性を例えばニュートラルステアにするよう
になっている。また、制御信号の指令値ELが負のとき
は、上述とは逆に車両の実際の挙動としてはアンダステ
ア傾向のときに、これを抑制しようとして左右配分制御
量設定手段23がEL<0となるように制御していると
きである。
【0044】このため、前後配分制御量設定手段21に
おいて設定される制御信号の指令値ECにより、センタ
デフ差動制限機構24を調整して後輪側の駆動力配分を
増加させることにより、車両にオーバステアを促して車
両のステア特性を例えばニュートラルステアにするよう
になっている。そして、上述のようにして、前後配分制
御量設定手段21により指令値ECが設定された後、セ
ンタデフ差動制限機構24の制御信号ECが出力され
る。ここで、センタデフ差動制限機構24の伝達トルク
は、例えば図6に示すマップにしたがって決定されるよ
うになっている。ここでは、制御信号ECと伝達トルク
との関係は線形となっているが、図6のマップの特性は
必ずしも線形である必要はない。
【0045】また、図7に示すマップ1,2について説
明すると、マップ1は車両がアンダステア傾向のとき
に、前後輪回転差ΔVFRからセンタデフ差動制限機構2
4の制御信号ECを設定するマップである。このマップ
1には中立不感帯幅が設けられており、前後輪回転差Δ
FRが不感帯域にあるような小さい値のときは、前後輪
間の駆動力配分を変化させないように設定されている。
【0046】また、このマップ1は、EL,ERの値を
パラメータとして、その制御特性が変化するように設定
されており、EL,ERの値が大きくなると、中立不感
帯幅が大きくなり、且つ、前後輪回転差の絶対値|ΔV
FR|の増加率に対して、設定されるECの値の増加率が
減少する(すなわちマップ1のグラフの勾配が緩やかに
なる)ようになっている。
【0047】これは、車両がアンダステア傾向のときに
は、センタデフ差動制限機構24の制御量は小さくても
よいためであり、このため、EL,ERの値が大きくな
るほどECの値が小さく設定されるようになっている。
一方、マップ2は車両がオーバステア傾向のときに、前
後輪回転差ΔVFRからセンタデフ差動制限機構24の制
御信号ECを設定するマップである。
【0048】このマップ2にも、マップ1と同様に中立
不感帯幅が設けられており、前後輪回転差ΔVFRが不感
帯域にあるような小さい値のときは、前後輪間の駆動力
配分を変化させないようになっている。また、このマッ
プ2は、EL,ERの値をパラメータとして、その制御
特性が変化するように設定されており、EL,ERの値
が大きくなると、中立不感帯幅が狭くなり、且つ、前後
輪回転差の絶対値|ΔVFR|の増加率に対して、設定さ
れるECの値の増加が急激になる(すなわちマップ2の
グラフの勾配が急激になる)ようになっている。
【0049】これは、車両がオーバステア傾向のときに
は、センタデフ差動制限機構24の制御量が大きく必要
となるためであり、このため、EL,ERの値が大きく
なるほどECの値が大きく設定されるようになってい
る。上述により、駆動力前後配分調整手段としてのセン
タデフ差動制限機構24への制御信号の指令値ECがが
コントローラ16からクラッチ油圧制御バルブ61に送
られて、所定の作動油圧がセンタデフ差動制限機構24
へ出力される。
【0050】そして、前輪側と後輪側との駆動力が所定
の状態に調整され、車両の運転状態に対応した駆動力配
分が行なわれる。本発明の第1実施例としての車両用駆
動力制御装置は、上述のように構成されているので、例
えば、車両が旋回すると、図3のフローチャートにした
がって左右配分制御量設定手段23により、駆動力伝達
制御機構60が制御されて後輪側の左右駆動力配分が調
整される。このときに内輪側へ駆動トルクが移動したと
きは、車両がオーバステア傾向にあるときなので、この
ステア特性をニュートラルステアにするように図7のマ
ップ2にしたがってセンタデフ差動制限機構24が制御
される。すなわち、センタデフ差動制限機構24により
前輪側と後輪側の駆動力配分を例えば50:50にして
アンダステア傾向を促進させる。
【0051】また、図3のフローチャートにしたがって
駆動力伝達制御機構60が制御されて外輪側へ駆動トル
クが移動したときは、車両がアンダステア傾向にあると
きなので、前後配分制御量設定手段21により、このア
ンダステア傾向を打ち消すように図7のマップ1によっ
てセンタデフ差動制限機構24が制御される。具体的に
は、後輪側の駆動力配分を多くしてオーバステア傾向を
促進する。
【0052】ここで、図3に示すフローチャートにおけ
る駆動力伝達制御機構60の制御フローについて説明す
ると、まずステップS1において、ハンドル角(実操舵
角)δf,4輪の車輪速V4,V5,V6,V7および
実ヨーレイトYのそれぞれがコントローラ16に入力さ
れる。つぎに、ステップS2で、目標ヨーレイト算出手
段22により目標ヨーレイトY* が上述の式(1)にし
たがって計算される。
【0053】そして、ステップS3において、目標ヨー
レイトY* と実際のヨーレイトYとの偏差であるヨーレ
イト偏差ΔYが式(2)により算出されるとともに、ヨ
ーレイト偏差微分値ΔY′が式(3)にしたがって算出
される。そして、ステップS4で上記ヨーレイト偏差Δ
Yとヨーレイト偏差微分値ΔY′を用いて左右配分制御
量設定手段23により制御信号の指令値EL,ERが、
例えば下記に示すような式(3),(4)にしたがって
算出される。
【0054】そして、ステップS5において、左右配分
制御量設定手段23から上記の指令値EL,ERの制御
信号がクラッチ油圧制御バルブ61に送られて図4のマ
ップにしたがって所定量の作動油圧が多板クラッチ機構
27に供給されるようになっている。そして、このよう
な制御動作が所定の周期で繰り返される。この結果、指
令値EL,ERの制御信号がコントローラ16からクラ
ッチ油圧制御バルブ61に送られて、所定の作動油圧が
駆動力伝達制御機構60へ出力され、左輪および右輪へ
伝達される駆動力が所要の状態に調整され、車両の運転
状態に対応した駆動力配分が行なわれる。
【0055】このように、図3に示すフローチャートの
S1〜S5において左右輪間の駆動力配分が決定され、
駆動力伝達制御機構60が制御されるようになってい
る。そして、次に図3に示すフローチャートにおけるセ
ンタデフ差動制限機構24の制御量を設定するフローに
ついて説明すると、ステップS4以降は、駆動力伝達制
御機構60とは別のフローチャート(S6〜S12)に
したがってセンタデフ差動制限機構24の制御量が設定
れさる。
【0056】すなわち、ステップS4で制御信号の指令
値EL,ERが算出された後、ステップS6で前後輪回
転差ΔVFR(スリップ率)が、例えば上述の式(5)に
したがって算出される。そして、ステップS7におい
て、ステップS1で入力された実ヨーレイトYの正負が
判断される。ここで、このフローチャートでは、Y>0
のとき車両が右旋回しているとする。
【0057】ステップS7で実ヨーレイトYが正と判断
されたとき、すなわち車両が右旋回の状態にあると判断
されたときは、ステップS8で制御信号の指令値ERの
正負が判断される。このとき、ステップS8で制御信号
の指令値ERが正と判断されると、ステップS10にお
いて図7のマップ2を用いてセンタデフ差動制限機構2
4の制御信号の指令値ECが設定される。
【0058】また、ステップS8で制御信号の指令値E
Rが負と判断されると、ステップS11で図7のマップ
1を用いてセンタデフ差動制限機構24の制御信号の指
令値ECが設定される。そして、ステップS7で実ヨー
レイトYが負と判断されたとき、すなわち車両が左旋回
の状態にあると判断されたときは、ステップS9で制御
信号の指令値ELの正負が判断される。このとき、ステ
ップS9で制御信号の指令値ELが正と判断されると、
ステップS10において図7のマップ2を用いて指令値
ECが設定される。
【0059】また、ステップS9で制御信号の指令値E
Lが負と判断されると、ステップS11で図7のマップ
1を用いてECが設定される。そして、上述のようにし
て、ステップS10あるいはステップS11で指令値E
Cが設定された後、ステップS12においてセンタデフ
差動制限機構24の制御信号ECが出力される。ここ
で、センタデフ差動制限機構24の伝達トルクは、例え
ば図6に示すマップにしたがって決定されるようになっ
ている。
【0060】上述の動作により、センタデフ差動制限機
構24への制御信号の指令値ECががコントローラ16
からクラッチ油圧制御バルブ61に送られて、所定の作
動油圧がセンタデフ差動制限機構24へ出力される。そ
して、前輪側と後輪側との駆動力が所定の状態に調整さ
れ、車両の運転状態に対応した駆動力配分が行なわれ
る。
【0061】本装置は上述のように作用するので、車両
旋回時には、車両のヨーレイトが目標ヨーレイトに近づ
くようにフィードバックしながら、車両の操舵状態に応
じて内輪側の車輪と外輪側の車輪とに伝達される駆動力
を調整するので、車体に旋回しようとする方向への旋回
モーメントが与えられる。さらに、センタデフ差動制限
機構24を適度に調整することにより、前後輪の駆動力
配分が制御される。これにより、さらに大きな旋回ヨー
モーメントが発生する。
【0062】このようにして、車体に旋回しようとする
方向への旋回モーメントが与えられるので、車両の旋回
性が向上する。そして、目標ヨーレイトを適切に設定す
ることで、車両の旋回特性を例えばニュートラルステア
等の理想とするステア特性にすることができる。例え
ば、車両の駆動時に旋回操作を行なうと、旋回内輪側へ
の駆動力が減少されて、旋回外輪側への駆動力が増加さ
れ、車体に旋回しようとする方向への旋回モーメントが
与えられる。
【0063】一方、車両の制動時に旋回操作を行なう
と、旋回内輪側への駆動力(この場合の駆動力はエンジ
ンブレーキの作用する状態であって負の値、即ち制動力
である。)が増加されて、旋回外輪側への駆動力(つま
り、制動力)が減少され、車体に旋回しようとする方向
への旋回モーメントが与えられる。また、センタデフ差
動制限機構24の制御信号の指令値ECは、左右輪の駆
動力配分に対応して設定されるので、より、正確な駆動
力配分を行なうことができる。
【0064】さらに、駆動トルクや回転数のフィードバ
ックを行なうことなく、ヨーレイト偏差のみで十分な旋
回特性の向上を図ることができる。また、本実施例で
は、センタデフ3を備えた4輪駆動車を用いて説明して
いるが、センタデフ差動制限機構24と同様の、前輪側
と後輪側の駆動力を調整できるような機構を備えていれ
ば、本車両用駆動力制御装置は、センタデフ3を備えて
いない4輪駆動車にも用いることができる。
【0065】次に、本発明の第2実施例について説明す
ると、ここでは、第1実施例に対して、駆動力前後配分
調整手段と駆動力左右配分調整手段との構成がことなっ
ている。図8に示すように、この車両用駆動力制御装置
をそなえた自動車の駆動力伝達系1は、エンジン2から
の回転駆動力(駆動トルク)を図示しないトランスミッ
ション等を介して遊星歯車で構成されたセンタデフ3で
受けて、センタデフ3から、前輪側と後輪側とに伝達す
るようになっている。
【0066】そして、このセンタデフ3には、前後輪の
差動を適当に制限しうる駆動力前後配分調整手段として
の多板クラッチ機構64が併設されている。この多板ク
ラッチ64は、供給油圧に応じて前後輪の差動を制限し
ながら、前後輪への駆動力配分を制御できるようになっ
ている。このようにして、センタデフ3から配分された
駆動力の一方は、フロントデフ10を通じて左右の前輪
4,5に伝達されるようになっている。一方、センタデ
フ3から配分された駆動力の他方は、プロペラシャフト
62を介してリヤデフ11に伝達され、このリヤデフ1
1を通じて左右の後輪6,7に伝達されるようになって
いる。
【0067】リヤデフ11部分には、多板クラッチ機構
27からなる駆動力左右配分調整手段としての駆動力伝
達制御機構65が設けられている。この多板クラッチ機
構27も油圧式のもので、油圧を調整されることで左右
輪への駆動力配分を調整できるようになっている。そし
て、この駆動力伝達制御機構65の多板クラッチ機構2
7の油圧系は、駆動力前後配分調整手段としての多板ク
ラッチ機構64の油圧系とともに、コントローラ16に
よって制御されるようになっている。
【0068】なお、コントローラ16では、車速センサ
17,操舵角センサ18,ヨーレイトセンサ19などか
らの情報に基づいて、多板クラッチ機構27,64を制
御するようになっている。ここで、この駆動力伝達制御
機構65の要部を説明すると、図8に示すように、左輪
回転軸14と右輪回転軸15とプロペラシャフト62と
の間に駆動力伝達制御機構65が介装されている。
【0069】そして、この駆動力伝達制御機構65は、
次のような構成により、左輪回転軸14と右輪回転軸1
5との差動を許容しながら、左輪回転軸14と右輪回転
軸15とに伝達される駆動力を所要の比率に配分できる
ようになっている。すなわち、左輪回転軸14とプロペ
ラシャフト62との間及び右輪回転軸15とプロペラシ
ャフト62との間に、それぞれ多板クラッチ機構27が
介装されており、この多板クラッチ機構27を係合させ
ることで、左輪回転軸14および右輪回転軸15へ配分
される駆動力が調整される。
【0070】このとき、多板クラッチ機構27は油圧駆
動式であるので、油圧の大きさを調整することで多板ク
ラッチ機構27の係合状態を制御でき、プロペラシャフ
ト62から左輪回転軸14又は右輪回転軸15への駆動
力の送給量(つまりは駆動力の左右配分比)を適当な精
度で調整することができるようになっている。なお、左
右の多板クラッチ機構27が共に完全係合することのな
いように設定されており、左右の多板クラッチ機構27
のうち一方が完全係合したら他方の多板クラッチ機構2
7は滑りを生じるようになっている。
【0071】また、センタデフ3に併設されている多板
クラッチ機構64について説明すると、この多板クラッ
チ機構64は、上述したように、油圧式の多板クラッチ
により構成されており、油圧を供給してこの多板クラッ
チを完全に係合させたときに、エンジン2からの回転駆
動力は、前輪側駆動軸12,13とプロペラシャフト6
2とへ50:50に配分されるようになっている。ま
た、多板クラッチ機構64に油圧を供給しないときは、
前輪側駆動軸12,13とプロペラシャフト62との回
転駆動力は、例えば、30:70に配分されるようにな
っている。
【0072】ところで、これらの駆動力前後配分調整手
段としての多板クラッチ機構64と駆動力左右配分調整
手段としての多板クラッチ機構27とは、制御手段とし
てのコントローラ16により制御されるようになってい
る。そして、これら多板クラッチ機構27,64の制御
については、第1実施例と同様の手法により制御される
ので、ここでは説明を省略する。
【0073】本装置は上述のように構成されているの
で、車両旋回時には、車両のヨーレイトが目標ヨーレイ
トに近づくようにフィードバックしながら、車両の操舵
状態に応じて内輪側の車輪を遅く回転させて、外輪側の
車輪を早く回転させるので、車体に旋回しようとする方
向への旋回モーメントが与えられる。さらに、センタデ
フ3に併設された多板クラッチ機構64を適度に調整す
ることにより、前後輪の駆動力配分が制御される。これ
により、さらに大きな旋回ヨーモーメントが発生する。
そして、このようにして、車体に旋回しようとする方向
への旋回モーメントが与えられるので、車両の旋回性が
向上する。
【0074】そして、目標ヨーレイトを適切に設定する
ことで、車両の旋回特性を例えばニュートラルステア等
の理想とするステア特性にすることができる。また、セ
ンタデフ差動制限機構24の制御信号の指令値ECは、
左右輪の駆動力配分に対応して設定されるので、より、
正確な駆動力配分を行なうことができる。
【0075】さらに、駆動トルクや回転数のフィードバ
ックを行なうことなく、ヨーレイト偏差のみで十分な旋
回特性の向上を図ることができる。
【0076】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に記載の
本発明によれば、4輪駆動式車両にそなえられる駆動力
配分装置において、エンジンからの駆動力を前後輪へ配
分調整する駆動力前後配分調整手段と、この駆動力前後
配分調整手段を通じて配分された後輪側駆動力を左右の
後輪へ差動を許容して配分する差動機構と、該左右輪間
で駆動力を授受させて移動可能にして配分調整する駆動
力左右配分調整手段と、上記の駆動力前後配分調整手段
及び駆動力左右配分調整手段の作動を制御する制御手段
とをそなえ、上記制御手段が、車両の運転状態や走行状
態に応じて上記駆動力左右配分調整手段の制御量を設定
する左右配分制御量設定手段と、該左右配分制御量設定
手段で設定された制御量に対応してステア特性を調整す
るように上記駆動力前後配分調整手段の制御量を設定す
る前後配分制御量設定手段とをそなえ、これらの設定さ
れた各制御量に基づいて上記の左右配分制御量設定手段
及び前後配分制御量設定手段を制御するという構成によ
り、車両旋回時には、車両の操舵状態に応じて内輪側の
車輪と外輪側の車輪とに伝達される駆動力を調整して、
車体に旋回しようとする方向への旋回モーメントを積極
的に与えることができる。
【0077】また、前後輪の駆動力配分を制御すること
により、さらに大きな旋回ヨーモーメントを発生させ
て、車両の旋回性が向上させることができる。さらに、
前後配分制御量設定手段の制御信号の指令値は、左右輪
の駆動力配分に対応して設定されるので、より、正確な
駆動力配分を行なうことができる。また、請求項2に記
載の本発明によれば、エンジンからの駆動力を前後輪へ
配分調整する駆動力前後配分調整手段と、この駆動力前
後配分調整手段を通じて配分された後輪側駆動力を左右
の後輪へ差動を許容して配分する差動機構と、該左右輪
間で駆動力を授受させて移動可能にして配分調整する駆
動力左右配分調整手段と、上記の駆動力前後配分調整手
段及び駆動力左右配分調整手段の作動を制御する制御手
段とをそなえるとともに、上記車両の操舵角を検出する
操舵角検出手段と、上記車両の車速を検出する車速検出
手段と、上記車両の実ヨーレイトを検出するヨーレイト
検出手段とをそなえ、上記制御手段が、上記の各検出手
段で検出された操舵角情報及び車速情報に基づいて車両
の目標ヨーレイトを算出する目標ヨーレイト算出手段
と、上記実ヨーレイトを上記目標ヨーレイトに接近させ
るように上記駆動力左右配分調整手段の制御量を設定す
る左右配分制御量設定手段と、該左右配分制御量設定手
段で設定された制御量に対応してステア特性を調整する
ように上記駆動力前後配分調整手段の制御量を設定する
前後配分制御量設定手段とをそなえ、これらの設定され
た各制御量に基づいて上記の左右配分制御量設定手段及
び前後配分制御量設定手段を制御するという構成によ
り、車両旋回時には、車両のヨーレイトが目標ヨーレイ
トに近づくようにフィードバックしながら、車両の操舵
状態に応じて内輪側の車輪と外輪側の車輪とに伝達され
る駆動力を調整して、車体に旋回しようとする方向への
旋回モーメントを与えることができる。
【0078】さらに、駆動力前後配分調整手段を適度に
調整することにより、前後輪の駆動力配分を制御して、
さらに大きな旋回ヨーモーメントを発生させて、車両の
旋回性が向上させることができる。また、駆動力前後配
分調整手段の制御信号の指令値は、左右輪の駆動力配分
に対応して設定されるので、より、正確な駆動力配分を
行なうことができる。
【0079】また、車体に旋回しようとする方向への旋
回モーメントが与えられるので、車両の旋回性が向上す
る。そして、目標ヨーレイトを適切に設定することで、
車両の旋回特性を例えばニュートラルステア等の理想と
するステア特性にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としての車両用駆動力制御
装置をそなえた自動車における駆動力伝達系の概略構成
を示す車両の模式図である。
【図2】本発明の第1実施例としての車両用駆動力制御
装置の要部構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第1実施例としての車両用駆動力制御
装置の作動を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施例としての車両用駆動力制御
装置における制御量設定に関するマップ(制御特性を示
すグラフ)である。
【図5】本発明の第1実施例としての車両用駆動力制御
装置における制御量設定に関するマップ(制御特性を示
すグラフ)である。
【図6】本発明の第1実施例としての車両用駆動力制御
装置における制御量設定に関するマップ(制御特性を示
すグラフ)である。
【図7】本発明の第1実施例としての車両用駆動力制御
装置における制御量設定に関するマップ(制御特性を示
すグラフ)である。
【図8】本発明の第2実施例としての車両用駆動力制御
装置をそなえた自動車における駆動力伝達系の概略構成
を示す車両の模式図である。
【符号の説明】
1 駆動力伝達系 2 エンジン 3 センタデファレンシャル 4,5 前輪 6,7 後輪 8 前輪側出力軸 8A 前輪側駆動ギア 9 後輪側出力軸 9A 後輪側駆動ギア 10 フロントデファレンシャル 11 リアデファレンシャル 11A リアデフケース 12,13 前輪側駆動軸 14,15 後輪側駆動軸 16 制御手段としてのコントローラ 17 車速センサ 18 操舵角センサ 21 前後配分制御量設定手段 22 目標ヨーレイト算出手段 23 左右配分制御量設定手段 24 駆動力前後配分調整手段としてのセンタデフ差動
制限機構 25 ベベルギヤ機構 26 変速機構 26A 第1のサンギヤ 26B 第1のプラネタリギヤ 26C ピニオンシャフト 26D 第2のプラネタリギヤ 26E 第2のサンギヤ 26F キャリア 27 多板クラッチ機構 27A,27B クラッチ板 28 電動ポンプ 29 アキュムレータ 30,40,50 無段変速機(CVT) 31,32,41,42,51,52 従動ギア 33,34,43,44,53,54 プーリ 33A,34A,43A,44A,53A,54A プ
ーリ溝部 35,45,55 スチールベルト 60 駆動力左右配分調整手段としての駆動力伝達制御
機構 61 クラッチ油圧制御バルブ 62 プロペラシャフト 62A 入力軸 63 中空軸 64 駆動力前後配分調整手段としての多板クラッチ機
構 65 駆動力左右配分調整手段としての駆動力伝達制御
機構

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4輪駆動式車両にそなえられる駆動力配
    分装置において、エンジンからの駆動力を前後輪へ配分
    調整する駆動力前後配分調整手段と、この駆動力前後配
    分調整手段を通じて配分された後輪側駆動力を左右の後
    輪へ差動を許容して配分する差動機構と、該左右輪間で
    駆動力を授受させて移動可能にして配分調整する駆動力
    左右配分調整手段と、上記の駆動力前後配分調整手段及
    び駆動力左右配分調整手段の作動を制御する制御手段と
    をそなえ、 上記制御手段が、車両の運転状態や走行状態に応じて上
    記駆動力左右配分調整手段の制御量を設定する左右配分
    制御量設定手段と、該左右配分制御量設定手段で設定さ
    れた制御量に対応してステア特性を調整するように上記
    駆動力前後配分調整手段の制御量を設定する前後配分制
    御量設定手段とをそなえ、これらの設定された各制御量
    に基づいて上記の左右配分制御量設定手段及び前後配分
    制御量設定手段を制御するように構成されていることを
    特徴とする、車両用駆動力配分装置。
  2. 【請求項2】 4輪駆動式車両にそなえられる駆動力配
    分装置において、エンジンからの駆動力を前後輪へ配分
    調整する駆動力前後配分調整手段と、この駆動力前後配
    分調整手段を通じて配分された後輪側駆動力を左右の後
    輪へ差動を許容して配分する差動機構と、該左右輪間で
    駆動力を授受させて移動可能にして配分調整する駆動力
    左右配分調整手段と、上記の駆動力前後配分調整手段及
    び駆動力左右配分調整手段の作動を制御する制御手段と
    をそなえるとともに、上記車両の操舵角を検出する操舵
    角検出手段と、上記車両の車速を検出する車速検出手段
    と、上記車両の実ヨーレイトを検出するヨーレイト検出
    手段とをそなえ、 上記制御手段が、上記の各検出手段で検出された操舵角
    情報及び車速情報に基づいて車両の目標ヨーレイトを算
    出する目標ヨーレイト算出手段と、上記実ヨーレイトを
    上記目標ヨーレイトに接近させるように上記駆動力左右
    配分調整手段の制御量を設定する左右配分制御量設定手
    段と、該左右配分制御量設定手段で設定された制御量に
    対応してステア特性を調整するように上記駆動力前後配
    分調整手段の制御量を設定する前後配分制御量設定手段
    とをそなえ、これらの設定された各制御量に基づいて上
    記の左右配分制御量設定手段及び前後配分制御量設定手
    段を制御するように構成されていることを特徴とする、
    車両用駆動力配分装置。
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